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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02M
管理番号 1297761
審判番号 不服2014-6382  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-07 
確定日 2015-02-19 
事件の表示 特願2012-548541「排気ガス循環バルブ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月21日国際公開、WO2012/081049〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年12月13日を国際出願日とする出願であって、平成24年11月8日に特許法第184条の5第1項に規定する書面とともに手続補正書が提出され、平成25年9月9日付けで拒絶理由が通知され、同年10月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年1月10日に意見書が提出されたが、同年2月5日付けで拒絶査定がされ、同年4月7日に拒絶査定に対する審判請求がされたものである。

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年10月23日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに国際出願時の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものであると認められる。

「【請求項1】
排気ガスを通す直線状の排気通路と、
前記排気通路から分岐して、前記排気ガスを吸気通路へ導く排気ガス循環通路と、
前記排気通路と前記排気ガス循環通路に分岐する通路内壁に位置する回動自在なシャフトと、
前記シャフトを中心に両翼部が回動し、一方の片翼が前記排気通路を開弁するときに他方の片翼が前記排気ガス循環通路を閉弁し、前記一方の片翼が前記排気通路を絞るときに前記他方の片翼が前記排気ガス循環通路を開弁するバタフライバルブとを備え、
前記バタフライバルブは、前記シャフトを三方弁通路角部に設け、前記シャフトの軸方向に直交する方向の直線部分およびその両端の円弧部分からなる長円形状であるとともに、前記排気通路を閉弁するときに一方の片翼が前記排気通路内壁との間に隙間を形成するようにして、両翼部が前記シャフトを中心にした非対称な長円形状であることを特徴とする排気ガス循環バルブ。」

第3 引用文献の記載、引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特表2009-517595号公報(以下、「引用文献」という。)には、「2つの出口間に作動手段を備えるバルブ装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(以下、「記載1a」及び「記載1b」という。)。

1a 「【0001】
本発明は、例えば自動車の内燃エンジンの排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス再循環装置(EGR)は、通常、内燃エンジンの回路の入口に接続された冷却された導管と、内燃エンジンの排気用マニホールドの高圧部に設けた口金に接続された冷却されていない導管とを備えている。これら2つの導管は、冷却された導管と、冷却されていない導管との間の廃棄ガスの流れを制御する「バイパスバルブ」と呼ばれるバルブ装置を介して、互に接続されている。
【0003】
このような再循環装置は、排気ガスの一部を、内燃エンジンに供給される混合ガスの中に混入して、再利用するようになっている。
【0004】
今後、汚染防止基準に従って、廃棄ガスのより多くの部分を再循環させることが必要となる。従来の装置は、排気ガスを再循環させうる量に関しては、限界に達している。
【0005】
排気ガスの再循環を促進するべく、排気ガスの大部分を内燃エンジンの吸気回路の方向に向けるため、排気マニホールドの低圧部、すなわち排気ガスの拡散部の下流に、再循環装置を接続するという着想がある。この場合、排気ガスを外部へ、または再循環装置に向かって向かわせるために、排気マニホールドの低圧部にバルブを設けることが必要である。しかし、マニホールドにおける排気ガスが清浄化処理を受ける部分は、燃焼後においては温度が上昇する。」(段落【0001】ないし【0005】)

1b 「【0019】
各図において、全体を符号1で示すバルブ装置は、排気を外部に、または再循環装置101(その流入筒の一部のみを示す)に向けて送るべく、内燃エンジンの排気マニホールド100の低圧部に取り付けることができるように設計されている。一例として、過給器を備える内燃エンジンにおいては、排気マニホールドの低圧部分は、過給器のタービンの下流にある。
【0020】
バルブ装置1は、分岐部6を形成する2つの出口筒4、5へ向かって開口している入口筒3を有するボディ2を備えている。入口筒3の外端は、内燃エンジン側の排気マニホールド100に接続しうるようになっており、その内端は、2つの出口筒4、5の内端同士の連結部に連なり、出口筒4、5の外端は、それぞれ、再循環装置101および排気マニホールド100の最終排出筒102につながっている。出口筒4、5の内端は、交点が入口筒3の方を向くように、ほぼ直角に接続されている。ハウジング8における、直交する出口筒4、5の内方部分は、接続壁7となっている。従って接続壁7は出口筒4、5の接続部となっている。
【0021】
ハウジング8は、接続壁7の冷却に寄与する手段を有するアルミニウム製の鋳造品である。上記冷却手段は、ハウジング8に設けた熱伝導性流体を循環させるための流入部13と流出部14を備えている。この例では、冷却経路の流入部13と流出部14は、内燃エンジンの冷却回路に接続しうるように設計されている。
【0022】
ハウジング8には、接続壁7における入口筒3、出口筒4、及び出口筒5の中での排気ガスの流れの上流方向にある分岐部6に取り付けられたバタフライバルブ10を作動させるモータ9が設けられている。このモータ9は直流電気モータである。
【0023】
バタフライバルブ10が、接続壁7の突き出し部にある、両端がハウジング8自体に装着されているベアリング12に保持された回転軸11に結合されているので、ベアリング12が、ハウジング8の冷却経路が接続壁7におよぼす冷却効果を少しでも得られる利点がある。冷却経路の入口筒13と出口筒14がベアリング12に隣接しているので、ベアリング12は冷却される。回転軸11が接続壁7に近いため、回転軸11の冷却が促進される。冷却経路は、回転軸11の近くを通っているのが望ましい。
【0024】
回転軸11は一般的な伝達手段、この例ではハウジング8に設けられた歯車群15によりモータ9の出力軸に接続されており、ハウジング8の冷却手段の動作の影響を受けやすくなる。歯車群15は、この例ではプラスチック製である。
【0025】
歯車群の下方には、密封体(図では見えない)が、回転軸11とボディ2との間を密封するために、回転軸11に設けられている。回転軸は冷却されるので、エラストマー製の密封体を使用することができる。同じことが、このバルブ装置の他のシールにもあてはまり、冷却手段による冷却から直接的または間接的な恩恵を受ける。より高温を受けやすい密封体は、セラミックのような高耐熱性の素材で作られている。
【0026】
バタフライバルブ10は、流体を主として出口筒4に向わせる第1の極限位置と、流体を主として出口筒5に向わせる第2の極限位置の間で動かすことができる。
【0027】
第1の極限位置で、バタフライバルブ10は、出口筒4の隣の接続面7に沿う部位10.1と、出口筒5を部分的に閉塞する部位10.2とを有する。部位10.1は、接続壁7と重なり障害を受けない縁を有する。接続壁7の凹み16は、部位10.1の背後に狭い空間を形成する。
第2の極限位置において、バタフライバルブ10は、出口筒5の隣の接続壁7に沿う部位10.2と、出口筒4を閉塞する部位10.1を有する。部位10.2の自由縁は、接続壁7に当接している。接続壁7の部位10.2の背後には、凹み17が設けられ、狭い空間が形成されている。」(段落【0019】ないし【0027】)

2 引用文献の記載事項
記載1a及び1bから、引用文献には、次の事項が記載されていると認める(以下、順に「記載事項2a」ないし「記載事項2i」という。)。

2a 記載1aの「本発明は、例えば自動車の内燃エンジンの排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置に関する。」(段落【0001】)、記載1bの「各図において、全体を符号1で示すバルブ装置は、排気を外部に、または再循環装置101(その流入筒の一部のみを示す)に向けて送るべく、内燃エンジンの排気マニホールド100の低圧部に取り付けることができるように設計されている。」(段落【0019】)及び「バルブ装置1は、分岐部6を形成する2つの出口筒4、5へ向かって開口している入口筒3を有するボディ2を備えている。」(段落【0020】)並びに図面によると、引用文献には、排気ガスを送る入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分(便宜上、このように表現する。)が記載されている。

2b 記載1aの「排気ガスの再循環を促進するべく、排気ガスの大部分を内燃エンジンの吸気回路の方向に向けるため、排気マニホールドの低圧部、すなわち排気ガスの拡散部の下流に、再循環装置を接続するという着想がある。」(段落【0005】)、記載1bの「各図において、全体を符号1で示すバルブ装置は、排気を外部に、または再循環装置101(その流入筒の一部のみを示す)に向けて送るべく、内燃エンジンの排気マニホールド100の低圧部に取り付けることができるように設計されている。」(段落【0019】)及び「バルブ装置1は、分岐部6を形成する2つの出口筒4、5へ向かって開口している入口筒3を有するボディ2を備えている。入口筒3の外端は、内燃エンジン側の排気マニホールド100に接続しうるようになっており、その内端は、2つの出口筒4、5の内端同士の連結部に連なり、出口筒4、5の外端は、それぞれ、再循環装置101および排気マニホールド100の最終排出筒102につながっている。」(段落【0020】)、図面、並びに記載事項2aによると、引用文献には、入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分から分岐して、排気ガスを内燃エンジンの吸気回路に向けて送る出口筒4及び再循環装置101が記載されている。

2c 記載1bの「出口筒4、5の内端は、交点が入口筒3の方を向くように、ほぼ直角に接続されている。ハウジング8における、直交する出口筒4、5の内方部分は、接続壁7となっている。従って接続壁7は出口筒4、5の接続部となっている。」(段落【0020】)、「ハウジング8には、接続壁7における入口筒3、出口筒4、及び出口筒5の中での排気ガスの流れの上流方向にある分岐部6に取り付けられたバタフライバルブ10を作動させるモータ9が設けられている。このモータ9は直流電気モータである。」(段落【0022】)及び「バタフライバルブ10が、接続壁7の突き出し部にある、両端がハウジング8自体に装着されているベアリング12に保持された回転軸11に結合されているので、ベアリング12が、ハウジング8の冷却経路が接続壁7におよぼす冷却効果を少しでも得られる利点がある。」(段落【0023】)、図面並びに記載事項2a及び2bによると、引用文献には、入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分と出口筒4及び再循環装置101に分岐する接続壁7の突き出し部にある回転軸11が記載されている。

2d 記載1bの「バタフライバルブ10が、接続壁7の突き出し部にある、両端がハウジング8自体に装着されているベアリング12に保持された回転軸11に結合されているので、ベアリング12が、ハウジング8の冷却経路が接続壁7におよぼす冷却効果を少しでも得られる利点がある。」(段落【0023】)、「バタフライバルブ10は、流体を主として出口筒4に向わせる第1の極限位置と、流体を主として出口筒5に向わせる第2の極限位置の間で動かすことができる。」(段落【0026】)及び「第1の極限位置で、バタフライバルブ10は、出口筒4の隣の接続面7に沿う部位10.1と、出口筒5を部分的に閉塞する部位10.2とを有する。部位10.1は、接続壁7と重なり障害を受けない縁を有する。接続壁7の凹み16は、部位10.1の背後に狭い空間を形成する。
第2の極限位置において、バタフライバルブ10は、出口筒5の隣の接続壁7に沿う部位10.2と、出口筒4を閉塞する部位10.1を有する。部位10.2の自由縁は、接続壁7に当接している。接続壁7の部位10.2の背後には、凹み17が設けられ、狭い空間が形成されている。」(段落【0027】)、図面並びに記載事項2aないし2cによると、引用文献には、回転軸11を中心に部位10.1及び部位10.2が動き、部位10.2が出口筒5の隣の接続壁7に沿うときに部位10.1が出口筒4を閉塞し、部位10.2が出口筒5を部分的に閉塞するときに部位10.1が出口筒4の隣の接続壁7に沿うバタフライバルブ10が記載されている。

2e 記載1bの「バタフライバルブ10が、接続壁7の突き出し部にある、両端がハウジング8自体に装着されているベアリング12に保持された回転軸11に結合されているので、ベアリング12が、ハウジング8の冷却経路が接続壁7におよぼす冷却効果を少しでも得られる利点がある。」(段落【0023】)、図面及び記載事項2aないし2dによると、引用文献には、バタフライバルブ10は、回転軸11を接続壁7の突き出し部に設けるものであることが記載されている。

2f 記載1bの「第1の極限位置で、バタフライバルブ10は、出口筒4の隣の接続面7に沿う部位10.1と、出口筒5を部分的に閉塞する部位10.2とを有する。」(段落【0027】)を考慮すると、 図2から、バタフライバルブ10が出口筒5を閉塞するときに、部位10.2とボディ2の内壁との間に隙間が形成されることが看取される。

2g 記載1bの「第1の極限位置で、バタフライバルブ10は、出口筒4の隣の接続面7に沿う部位10.1と、出口筒5を部分的に閉塞する部位10.2とを有する。部位10.1は、接続壁7と重なり障害を受けない縁を有する。接続壁7の凹み16は、部位10.1の背後に狭い空間を形成する。」(段落【0027】)、図面及び記載事項2aないし2fによると、引用文献には、バタフライバルブ10は、入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分を閉塞するときに部位10.2が入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分の内壁との間に隙間を形成することが記載されている。

2h 記載1bの「バタフライバルブ10が、接続壁7の突き出し部にある、両端がハウジング8自体に装着されているベアリング12に保持された回転軸11に結合されているので、ベアリング12が、ハウジング8の冷却経路が接続壁7におよぼす冷却効果を少しでも得られる利点がある。」(段落【0023】)及び「第1の極限位置で、バタフライバルブ10は、出口筒4の隣の接続面7に沿う部位10.1と、出口筒5を部分的に閉塞する部位10.2とを有する。」(段落【0027】)、図面並びに記載事項2aないし2gによると、引用文献には、バタフライバルブ10は、部位10.1と部位10.2が回転軸11を中心に含む形状であることが記載されている。

2i 記載1aの「本発明は、例えば自動車の内燃エンジンの排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置に関する。」(段落【0001】)、記載1bの「各図において、全体を符号1で示すバルブ装置は、排気を外部に、または再循環装置101(その流入筒の一部のみを示す)に向けて送るべく、内燃エンジンの排気マニホールド100の低圧部に取り付けることができるように設計されている。」(段落【0019】)、図面並びに記載事項2aないし2hによると、引用文献には、排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置1が記載されている。

3 引用発明
記載1a及び1b、記載事項2aないし2i及び図面の記載を整理すると、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「排気ガスを送る入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分と、
前記入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分から分岐して、前記排気ガスを内燃エンジンの吸気回路に向けて送る出口筒4及び再循環装置101と、
前記入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分と出口筒4及び再循環装置101に分岐する接続壁7の突き出し部にある回転軸11と、
前記回転軸11を中心に部位10.1及び部位10.2が動き、部位10.2が出口筒5の隣の接続壁7に沿うときに部位10.1が出口筒4を閉塞し、部位10.2が出口筒5を部分的に閉塞するときに部位10.1が出口筒4の隣の接続壁7に沿うバタフライバルブ10とを備え、
前記バタフライバルブ10は、前記回転軸11を接続壁7の突き出し部に設け、前記入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分を閉塞するときに部位10.2が入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分の内壁との間に隙間を形成するようにして、部位10.1と部位10.2が前記回転軸11を中心に含む形状である排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置1。」

第4 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明における「排気ガス」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「排気ガス」に相当し、以下、同様に「送る」は「通す」に相当する。
また、引用発明における「入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分」は、本願発明における「直線状の排気通路」と、「排気通路」という限りにおいて一致する。
さらに、引用発明における「内燃エンジンの吸気回路」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「吸気通路」に相当し、以下、同様に、「に向けて送る」は「へ導く」に、「出口筒4及び再循環装置101」は「排気ガス循環通路」に、「接続壁7の突き出し部」は「通路内壁」に、「ある」は「位置する」に、「回転軸11」は「回動自在なシャフト」及び「シャフト」に、「部位10.1及び部位10.2」は「両翼部」に、「動き」は「回動し」に、「部位10.2が出口筒5の隣の接続壁7に沿うときに部位10.1が出口筒4を閉塞し、部位10.2が出口筒5を部分的に閉塞するときに部位10.1が出口筒4の隣の接続壁7に沿う」は「一方の片翼が前記排気通路を開弁するときに他方の片翼が前記排気ガス循環通路を閉弁し、前記一方の片翼が前記排気通路を絞るときに前記他方の片翼が前記排気ガス循環通路を開弁する」に、「バタフライバルブ10」は「バタフライバルブ」に、それぞれ、相当する。
さらにまた、引用文献の図2及び3からみて、引用発明における「接続壁7の突き出し部」は、「入口筒3」からの「排気ガス」の流れを「出口筒4」又は「出口筒5」に向ける箇所であって、「バタフライバルブ10」が設けられる角部であるから、引用発明における「前記バタフライバルブ10は、前記回転軸11を接続壁7の突き出し部に設け」は、本願発明における「前記バタフライバルブは、前記シャフトを三方弁通路角部に設け」に相当する。
さらにまた、引用発明における「前記入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分を閉塞するときに部位10.2が入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分の内壁との間に隙間を形成するようにして」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「前記排気通路を閉弁するときに一方の片翼が前記排気通路内壁との間に隙間を形成するようにして」に相当する。
さらにまた、引用発明における「部位10.1と部位10.2が前記回転軸11を中心に含む形状である」は、本願発明における「前記シャフトの軸方向に直交する方向の直線部分およびその両端の円弧部分からなる長円形状であるとともに、」「両翼部が前記シャフトを中心にした非対称な長円形状である」と、「両翼部が前記シャフトを中心に含む形状である」という限りにおいて一致する。
さらにまた、引用発明における「排気ガスを再循環させるための装置に使用しうるバルブ装置1」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、「排気ガス循環バルブ」に相当する。

したがって、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。

「排気ガスを通す排気通路と、
前記排気通路から分岐して、前記排気ガスを吸気通路へ導く排気ガス循環通路と、
前記排気通路と前記排気ガス循環通路に分岐する通路内壁に位置する回動自在なシャフトと、
前記シャフトを中心に両翼部が回動し、一方の片翼が前記排気通路を開弁するときに他方の片翼が前記排気ガス循環通路を閉弁し、前記一方の片翼が前記排気通路を絞るときに前記他方の片翼が前記排気ガス循環通路を開弁するバタフライバルブとを備え、
前記バタフライバルブは、前記シャフトを三方弁通路角部に設け、前記排気通路を閉弁するときに一方の片翼が前記排気通路内壁との間に隙間を形成するようにして、両翼部が前記シャフトを中心に含む形状である排気ガス循環バルブ。」

そして、以下の点で相違する。
1 相違点1
「排気通路」に関して、本願発明においては、「直線状の排気通路」であるのに対し、引用発明においては、「入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分」である点(以下、「相違点1」という。)。

2 相違点2
「両翼部が前記シャフトを中心に含む形状である」に関して、本願発明においては、「前記シャフトの軸方向に直交する方向の直線部分およびその両端の円弧部分からなる長円形状であるとともに、」「両翼部が前記シャフトを中心にした非対称な長円形状である」のに対し、引用発明においては、「部位10.1と部位10.2が前記回転軸11を中心に含む形状である」点(以下、「相違点2」という。)。

第5 相違点についての判断
そこで、相違点1及び2について、以下に検討する。

1 相違点1について
「排気通路」をどのような形状とするかは、当業者が適宜決めるべき設計的事項であり、しかも、「排気通路」の形状を直線状とすることは、周知(必要であれば、例として、下記1-1を参照。以下、「周知技術1」という。)である。
したがって、引用発明において、周知技術1を適用し、「排気通路」に相当する「入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分」の形状を直線状として、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

1-1 特表2008-530423号公報の記載
特表2008-530423号公報には、「ディーゼルエンジン用の排気スロットルEGR弁モジュール」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(なお、下線は当審で付したものである。他の文献も同様。)。

・「【0008】
図1-3を参照すると、排気スロットル排気ガス再循環弁モジュール(ETVM)は、全体が10で示されている。ETVM10は、吸入口14と少なくとも一つの排出口16を備えたハウジング12を有している。或る好適な実施形態では、ハウジング12は、2つの排出口16を有している。第1の排出口16aは排気ガス再循環(EGR)経路であり、第2の排出口16bは排気経路である。ハウジング12には、更に、EGR経路16aと排気経路16bに対して異なる位置に配置することにより、ハウジング12内の排気ガスの流れの向きを定めるために用いられる弁18が設けられている。」(段落【0008】)

・図3から、吸入口14から排気経路である第2の排出口16bへ向かう通路の形状は直線状であることが看取される。

2 相違点2について
「バタフライバルブ」の形状をどのような形状とするかは、当業者が適宜決めるべき設計的事項であり、しかも、シャフトの軸方向に直交する方向の直線部分およびその両端の円弧部分からなる長円形状であるとともに、両翼部が前記シャフトを中心にした非対称な長円形状であるバタフライバルブは、周知(必要であれば、例として、下記2-1を参照。以下、「周知技術2」という。)である。
したがって、引用発明において、周知技術2を適用し、「バタフライバルブ」に相当する「バタフライバルブ10」の形状を、「シャフト」に相当する「回転軸11」の軸方向に直交する方向の直線部分およびその両端の円弧部分からなる長円形状であるとともに、両翼部が前記「回転軸11」を中心にした非対称な長円形状として、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

2-1 特開2002-256897号公報の記載
特開2002-256897号公報には、「排気圧制御装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある。

・「【0021】同図に示すように、弁体44は長円形をしており、軸43は当該長円形をした弁体44の長手方向の一側に偏倚した位置に取り付けられている。詳しくは、弁体44は、図3に示すように、半径aからなる一対の半円部A及び半円部Cの間に一辺がbである長方形部Bを挟んで構成されており、軸43は、半円部Cと長方形部Bの境界線上に配設されている。つまり、軸(回動中心)43は弁体44の長手方向の中心線(受圧面中心)Yから距離d(ここではd=b/2)だけ偏心した位置に設けられている。」(段落【0021】)

3 請求人の主張する相違点について
3-1 請求人は、審判請求書において、「本願発明では、排気通路の開弁時には、バタフライバルブの両翼が直線状の通路に沿った状態になることで、排気ガスが両翼に全く当たらずに、ガスの流れを円滑にする[図4]ことができるものであります。かかる機能を引例1の発明では全く達成することはできません。」(「3.本願の説明(2)[見解3]について」を参照。)と主張するが、特許請求の範囲の請求項1には、「排気通路の開弁時には、バタフライバルブの両翼が直線状の通路に沿った状態になる」ことに対応する事項は記載されておらず、上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものであり、採用できない。
仮に、本願発明が、「排気通路の開弁時には、バタフライバルブの両翼が直線状の通路に沿った状態になる」ものであり、この点が引用発明との相違点(以下、「相違点3」という。)であるとしても、引用発明において、周知技術1を適用し、「入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分」の形状を「直線状」とすれば、「バタフライバルブ10」の配置は、必然的に「排気通路の開弁時には、バタフライバルブの両翼が直線状の通路に沿った状態になる」ような配置になるので、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

3-2 また、審判請求人は、審判請求書において、「しかしながら、引例1のバタフライバルブのシャフトは通路角部ではなく、排気通路の中央に位置しており、開弁時・閉弁時ともに、バタフライバルブ全体で通路を流れる流体を受け止めるものであります。その結果、接続部付近に位置するモータに伝わる熱の影響を軽減させることを重要な役割とするものであります
(引例1[0008]-[0009]、図2)。かかる引例1の発明からバタフライバルブのシャフトを通路の角部に位置付ける技術思想を示唆することはできません。」(「3.本願の説明(5)[見解1]について」を参照。)と主張するが、上記第4で検討したとおり、引用発明における「接続壁7の突き出し部」は、「通路の角部」ということができるので、上記主張は採用できない。
仮に、本願発明における「通路の角部」が、「開弁時・閉弁時ともに、バタフライバルブ全体で通路を流れる流体を受け止める」ようなものではないものを意味し、「シャフト」を「通路の角部」に設けることが、引用発明との相違点(以下、「相違点4」という。)であるとしても、引用発明において、周知技術1を適用し、「入口筒3及び出口筒5からなるボディ2の部分」の形状を「直線状」とすれば、「回転軸11」の配置箇所は、必然的に本願発明で採用されているような「通路の角部」になるので、引用発明において、相違点4に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

4 効果について
そして、本願発明を全体としてみても、本願発明が、引用発明並びに周知技術1及び2からみて、格別顕著な効果を奏するともいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-12-16 
結審通知日 2014-12-24 
審決日 2015-01-06 
出願番号 特願2012-548541(P2012-548541)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 中村 達之
特許庁審判官 藤原 直欣
加藤 友也
発明の名称 排気ガス循環バルブ  
代理人 田澤 英昭  
代理人 濱田 初音  
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