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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1298065 |
審判番号 | 不服2013-16618 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-08-28 |
確定日 | 2015-03-04 |
事件の表示 | 特願2009-537987「携帯端末および操作部表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月23日国際公開、WO2009/050941〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
【第1】経緯 [1]手続の経緯 本願は、平成20年8月26日(優先権主張 平成19年10月18日、平成20年3月25日)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成25年 3月 4日(起案日) 意見書 :平成25年 4月22日 手続補正 :平成25年 4月22日 拒絶査定 :平成25年 5月27日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成25年 8月28日 手続補正 :平成25年 8月28日 前置審査報告 :平成25年11月21日 [2]査定 原査定の理由は、概略、以下のとおりである。 〈査定の理由の概略〉 本願の各請求項に係る発明は,下記の刊行物1?3に記載された発明、及び周知技術(下記参照)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 記(刊行物一覧) 刊行物1:特開2006-191548号公報 刊行物2:特開2002-318655号公報 刊行物3:特開2007-036544号公報 〈周知技術を示す刊行物〉 刊行物4:特開平01-267719号公報 刊行物5:実願平05-068894号(実開平07-036234号)のCD-ROM 刊行物6:特開昭63-257819号公報 【第2】補正の却下の決定(当審の判断) 平成25年8月28日付けの補正(以下「本件補正」という。)について次のとおり決定する。 《結論》 平成25年8月28日付けの補正を却下する。 《理由》 本件補正は特許請求の範囲についてする補正であり、補正前独立請求項15を引用する補正前請求項16を補正後独立請求項14とする補正(以下、「補正1」という)を含んでおり、それらの記載は下記のとおりである。 記(補正前、平成25年4月22日補正によるもの) 【請求項15】 携帯端末のアプリケーションが起動されているときに、複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えることと、 前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示することと、 アプリケーションと、前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することと を具備し、 前記表示デバイスに与えることは、 前記アプリケーションが起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記アプリケーションに関連づけられた操作部表示データを取得することを含む 操作部表示方法。 【請求項16】 前記記憶することは、 前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含む 請求項15記載の操作部表示方法。 記(補正後、補正部分をアンダーラインで示す。) 【請求項14】 携帯端末のアプリケーションが起動されているときに、複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えることと、 前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示することと、 アプリケーションと、前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することと を具備し、 前記記憶することは、前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含み、 前記表示デバイスに与えることは、前記アプリケーションが起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記アプリケーションに関連づけられた操作部表示データを取得することを含み、 前記表示することは、前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行うことを含む 操作部表示方法。 〈補正の範囲(第17条の2第3項)〉 上記補正1は、請求人の主張するとおり、当初明細書の段落【0098】?【0101】,【0127】等の記載を根拠とするものと認められ、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてする補正であるといえ、特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 〈補正の目的(第17条の2第5項)、シフト(第17条の2第4項)〉 上記補正1は、補正前請求項15に記載のあった「前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示すること」について、「前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行うことを含む」との限定を付加するものであって、また、補正の前後において、産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一である。 したがって、上記補正1は、特許法第17条の2第5項第2号で規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 また、上記補正1が、特許法第17条の2第4項の規定に適合することは明らかである。 〈独立特許要件(第17条の2第6項)〉 そこで、独立特許要件について検討するに、補正後請求項14に記載される発明は特許出願の際独立して特許を受けることができない。 したがって、上記補正1(「補正前独立請求項15を引用する補正前請求項16を補正後独立請求項14とする補正」)を含む本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 本件補正後の請求項14に記載される発明(以下、「補正後発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由の詳細は、以下のとおりである。 《理由:独立特許要件に適合しない理由の詳細》 [1]補正後発明 補正後発明は、前記本件補正後の【請求項14】のとおりである。 [2]引用刊行物の記載 刊行物1:特開2006-191548号公報 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物である特開2006-191548号公報(上記刊行物1)には、以下の記載(下線は、注目箇所を示すために当審で施したものである。)が認められる。 〈特許請求の範囲〉 【請求項1】 電子ペーパにより操作内容の表示を行う操作ボタンと、 本装置で使用する機能の選択を行う機能選択手段と、 前記機能選択手段により選択された機能に応じて、前記電子ペーパに表示する操作内容の表示を切り替える表示切替手段と、 を備える携帯情報端末装置。 【請求項2】 前記操作ボタンは、電子ペーパと、透明あるいは半透明なボタン部と、タクトスイッチを備え、 前記電子ペーパは、前記ボタン部と前記タクトスイッチとの間に介装される請求項1記載の携帯情報端末装置。 【請求項3】 前記操作ボタンが押下された場合、前記電子ペーパに表示された操作内容に応じた処理プログラムが実行されるように制御する制御部を備える請求項1記載の携帯情報端末装置。 〈技術分野〉 【0001】 本発明は、複数機能と、ボタン(キー)の押下による入力機能を有する携帯情報端末に関する。 〈課題、課題解決手段、効果〉 【0012】 そこで本発明は、ボタン(キー)や画面を有する端末において、複数の機能を有し、ボタン(キー)や画面にそれぞれの機能に対応した割当がなされている場合において、それぞれの機能でのボタン(キー)や画面の内容を表示するとともに、端末の使用形態によってボタン(キー)や画面の表示を最適に表示することができる携帯情報端末装置を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0013】 前記従来の課題を解決するために、本発明の携帯情報端末装置は、電子ペーパにより操作内容の表示を行う操作ボタンと、本装置で使用する機能の選択を行う機能選択手段と、前記機能選択手段により選択された機能に応じて、前記電子ペーパに表示する操作内容の表示を切り替える表示切替手段とを備える。 【0014】 本構成によって、携帯情報端末装置において任意の機能を選択した場合に、表示切替手段により、操作ボタンの表示が、選択された機能に対応した内容に変更されるため、操作性が向上する。 【0017】 本発明の携帯情報端末装置によると、機能に対応した内容を表示し、また使用形態に適した方向で内容を表示することで、操作者はボタン(キー)を誤って押下することなく、操作性の向上を図ることができる。 《実施の形態》 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 まず、図1に本発明に係る携帯情報端末装置の概略を示す。 【0019】 携帯情報端末装置10は、図1(A)に示すように、携帯情報端末装置10が有する機能によって、操作ボタン11の内容を変更することを特徴とし、また、図1(B)に示すように、携帯情報端末装置10の持ち方を変える等の使用形態を変更したときに操作ボタン11の表示を、その使用形態に適した内容にすることを特徴とする。 【0021】 (実施の形態1) 本発明の実施の形態1に係る携帯情報端末装置について、図2?図8を用いて説明する。 《図2,図3》 【0022】 図2は、実施の形態1に係る携帯情報端末装置20の概略図である。図3は、実施の形態1に係る携帯情報端末装置20の構成を示すブロック図である。 【0023】 携帯情報端末装置20は、携帯情報端末装置20を操作するために配列された複数の操作ボタン23(操作キー)を有し、携帯情報端末装置20が有する機能の選択で使用するため、あるいは各機能で使用するための映像を、後述する制御部25に制御されて表示を行う画面21を有する。この操作ボタン23は、携帯情報端末装置20が有する各種機能に応じた操作内容を表示し、それらの操作内容の表示の変更(切り替え)が可能である。操作ボタン23での操作内容の表示については、後ほど詳しく説明する。また、携帯情報端末装置20は、画面21上で各機能を選択するための一覧表示であるメニューを表示させるメニュー表示ボタン24を有する。また、どの機能を使用するかを選択する機能選択ボタン22を有する。制御部25は、CPUおよびメモリ等から実現され、機能選択ボタン22、メニュー表示ボタン24、操作ボタン23が押下されることによって、画面21への表示や操作ボタン23での操作内容の表示の制御や、各種ボタン入力に応じた内部での処理プログラムの実行を行う等、携帯情報端末装置20全体の制御を行う。 【0024】 ここで、携帯情報端末装置20は、例えば、携帯電話等のように、電話機能やメール機能、及びインターネット機能等を備えるものを指し、メニュー表示ボタン24は、これらの機能を選択するための一覧表示を画面21に表示するボタンである。そして、機能選択ボタン22はメニュー表示ボタン24により画面21表示された一覧表示から任意の機能を選択するためのボタンであり、機能選択ボタン22が押下されることで、制御部25が有する機能選択手段によって機能が選択され、制御部25によって選択された機能に応じた処理が実行される。操作ボタン23は、電話機能を使用するときは、操作内容として、電話番号を入力するための“0?9”の数字を表示し、メール機能を使用するときは、文字を入力するための“あ、か、さ、?、わ”の文字の表示等を行い、操作ボタン23が押下されることで、表示されている操作内容に対応した動作を制御部25が実行する。なお、操作ボタン23の操作内容の表示は、制御部25が有する表示切替手段によって、機能選択手段により選択された機能ごとに切り替えられる。 【0025】 また、表示内容は、先に述べた“あ、か、さ、?、わ”の文字や、“0?9”の数字のみでなく、携帯情報端末装置20が有する機能に対応した記号等でも良い。 《図4,図5》 【0026】 図4は、操作ボタン23の操作内容の表示を切り替える処理を示すフローチャートである。 【0027】 まず、メニュー表示ボタン24が押下され、制御部25においてメニュー表示を行うと判断されると、制御部25の制御により画面21に機能の一覧表示であるメニューが表示され、メニュー表示ボタン24が押下されなければ制御部25は何も行わない(ステップS11)。 【0028】 次に、制御部25が、機能選択ボタン22が押下されて、制御部25の機能選択手段により画面21上で表示されているメニューの中からいずれかの機能が選択されたかを判断する(ステップS12)。ステップS12で、いずれの機能も選択されていなければ、何も行わずに表示切替処理を終了する。ステップS12で、いずれかの機能が選択された場合、制御部25が、機能選択手段により選択された機能と操作ボタン23に表示する操作内容および操作ボタン23の押下時に実行するプログラムを対応付したデータ(機能対応テーブル)を呼び出す(ステップS13)。 【0029】 ステップS13で呼び出される機能対応テーブルの具体的な内容例を図5に示す。図5に示すテーブル40では、メニューテーブル41と、メニューに対応した機能情報テーブル42、その際どの操作ボタン23にどのような内容を表示するかを示したボタン表示データ43を有し、また機能情報テーブル42に対応して、どのボタン操作ボタン23にどの処理プログラムを割当てるかを示したプログラム割当てテーブル44を有する。このテーブル44の処理プログラムは、対応する操作ボタン23が押下されたときに、制御部25により実行される。 【0030】 次に、ステップS13で制御部25が呼び出した機能対応テーブルとステップS12で機能選択手段に選択された機能の対応付けを制御部25が行う(ステップS14)。この時点で、操作ボタン23にどのような内容を表示するか、またボタン押下時にどのような処理プログラムが制御部25によって実行されるかが決定される。 【0031】 その後、操作ボタン23に、機能選択手段によって選択した機能に対応した操作内容を表示するように表示切替手段が表示内容を切り替え(ステップS15)、表示切替処理を終了する。 【0032】 操作ボタン23に内容を表示し、割付けられた機能を選択する構成として、特許文献2に開示された液晶モニタのようなディスプレイ(以下、液晶モニタとする)とタッチパネルやボタンで構成したり、透明あるいは半透明なボタン部と、電子ペーパならびにタクトスイッチで構成することで実現できる。ここでは、後者の電子ペーパを用いた構成について説明する。 《図7,図8》 【0039】 図7に電子ペーパを用いた、操作ボタン23の表示内容を変更するための構成を示す。これは電子ペーパが10分の数ミリ程度の厚さしかなく、またフレキシブルつまり、ペーパを曲げることができるという特徴を利用している。 【0040】 タクトスイッチ61の上部に電子ペーパ62を配置し、さらにその上部に透明または半透明なボタンあるいはボタン群を配置する。この透明または半透明なボタンあるいはボタン群を、ボタン部63とする。 【0041】 これにより、図3の表示切替処理において、ステップS14にて制御部25がタクトスイッチ61に押下時に実行する処理プログラムの割当てを行い、ステップS15にて表示切替手段が、選択された機能に応じた操作内容を電子ペーパに表示するように切り替え処理を行うことで、ボタン部63に選択した機能に対応した内容を表示することが可能となる。 【0042】 実施の形態1の携帯情報端末装置20によれば、機能選択手段により選択された機能に対して、表示切替手段により、操作ボタン23の表示が、選択された機能に対応した内容に適宜変更されるため、操作者は操作ボタン23を誤って押下することなく操作することができ、ユーザーインターフェースの操作性が向上する。また、操作ボタン23の操作内容の表示に電子ペーパ62を用いる構成にすることで、操作ボタン23の押下時の衝撃に強く、さらに現在主な端末で使用されているボタン部63とタクトスイッチ61の構成を極力変更することなく上記機能を実現することができる。 【0043】 なお、電子ペーパはモノクロに限らず、カラー表示できるものであってもよい。 【0044】 また、電子ペーパ62は、図7に示すように、ボタン部63とタクトスイッチ61との間に介装される構成に限らない。例えば、図8に示すように、タクトスイッチ61上にボタン部63を配置し、その表面に電子ペーパ62を積層したものでもよい。 [3]刊行物1に記載された発明 ア 刊行物1概要、引用発明認定の対象 刊行物1には、概要、「電子ペーパにより操作内容の表示を行う操作ボタン」を有する「携帯情報端末」において、「選択された機能に応じて、前記電子ペーパに表示する操作内容の表示を切り替える」こと、及び、 それにより「操作者はボタン(キー)を誤って押下することなく、操作性の向上を図ることができる」(請求項1、段落【0012】?【0014】)ことが示されている。 したがって、刊行物1には、概要、電子ペーパにより操作内容の表示を行う操作ボタンを有する携帯情報端末において、選択された機能に応じて、前記電子ペーパに表示する操作内容の表示を切り替えることを含む方法、が記載されているということができる。 (→引用発明のp) そして、その実施の形態が段落【0018】?【0044】に示されている。 イ 実施の形態 段落【0019】,【0023】,【0024】、図1?図3によれば、刊行物1には、次の事項が記載されている、といえる。 「画面21上で」「電話機能やメール機能、及びインターネット機能等」の「各機能を選択するための一覧表示であるメニューを表示させるメニュー表示ボタン24」、「メニュー表示ボタン24により画面21表示された一覧表示から任意の機能を選択するための」「機能選択ボタン22」、「携帯情報端末装置20を操作するために配列された複数の操作ボタン23(操作キー)」を有する「携帯情報端末装置20」(図2)において、 (→引用発明のq1) 「機能選択ボタン22が押下されることで、制御部25が有する機能選択手段によって機能が選択され、制御部25によって選択された機能に応じた処理が実行され」、 (→引用発明のr) 「携帯情報端末装置20が有する各種機能に応じた操作内容を表示」する「複数の操作ボタン23(操作キー)」「の操作内容の表示」は、「選択された機能ごとに切り替えられ」るもので、「図1(A)に示すように」、「機能によって、操作ボタン11の内容」が「変更」され、 (→引用発明のs) 例えば、「電話機能を使用するときは、操作内容として、電話番号を入力するための“0?9”の数字を表示し、メール機能を使用するときは、文字を入力するための“あ、か、さ、?、わ”の文字の表示等を行」うように、操作内容の表示が切替えられ、 (→引用発明のs1) そして、「操作ボタン23が押下されることで、表示されている操作内容に対応した動作を制御部25が実行する」ようにされる。 (→引用発明のt) 《表示切替え処理フロー》 段落【0026】?【0031】、図4,図5によれば、上記「操作ボタン23(操作キー)」「の操作内容の表示」の切替え処理は、以下のステップで行われる。 ステップS11:「メニュー表示ボタン24が押下され」ると、「画面21に機能の一覧表示であるメニューが表示され」(ステップS11)、 ステップS12:次に、「機能選択ボタン22が押下されて」「画面21上で表示されているメニューの中からいずれかの機能が選択されたかを判断」し、 ステップS13:「いずれかの機能が選択された場合」、「選択された機能と操作ボタン23に表示する操作内容および操作ボタン23の押下時に実行するプログラムを対応付した」「機能対応テーブル」40(図5)を「呼び出す」。 「機能対応テーブル」40は、「メニューテーブル41」、「メニューに対応した機能情報テーブル42」、「その際どの操作ボタン23にどのような内容を表示するかを示したボタン表示データ43」を有するものである。 ステップS14:「ステップS13で制御部25が呼び出した機能対応テーブルとステップS12で」「選択された機能の対応付けを」行い、「この時点で、操作ボタン23にどのような内容を表示するか、またボタン押下時にどのような処理プログラムが制御部25によって実行されるかが決定される。」 ステップS15:「その後、操作ボタン23に、機能選択手段によって選択した機能に対応した操作内容を表示するように」「表示内容を切り替え」、「表示切替処理を終了する。」 (→引用発明のss) 《操作ボタン、電子ペーパー、ボタン部》 請求項2、段落【0039】?【0041】、図7、図8によれば、 操作ボタン23は、電子ペーパ62と透明あるいは半透明なボタン部63とタクトスイッチ61を備え、 電子ペーパー62は、複数の操作ボタン23を含むボタン部63に対応する領域(図7,図8)に配置されている。 (→引用発明のq2) そして、操作ボタン23に表示する操作内容の表示内容の切替えは、「選択された機能に応じた操作内容を電子ペーパに表示するように切り替え処理を行うことで、ボタン部63に選択した機能に対応した内容を表示する。」 (→引用発明のs2) ウ 刊行物1記載の発明(以下、「引用発明」という) 以上によれば、引用発明として、下記の発明を認定することができる(便宜上、p?t、ss、S11?S15に分説しておく)。 記(引用発明) p:電子ペーパにより操作内容の表示を行う操作ボタンを有する携帯情報端末において、選択された機能に応じて、前記電子ペーパに表示する操作内容の表示を切り替えることを含む方法であって、 q1:画面21上で電話機能やメール機能、及びインターネット機能等の各機能を選択するための一覧表示であるメニューを表示させるメニュー表示ボタン24、どの機能を使用するかを選択する機能選択ボタン22、携帯情報端末装置20を操作するために配列された複数の操作ボタン23(操作キー)を有する携帯情報端末装置20(図2)において、 q2:操作ボタン23は、電子ペーパ62と透明あるいは半透明なボタン部63とタクトスイッチ61を備え、 電子ペーパー62は、複数の操作ボタン23を含むボタン部63に対応する領域(図7,図8)に配置されており、 r:機能選択ボタン22が押下されることで、制御部25が有する機能選択手段によって機能が選択され、制御部25によって選択された機能に応じた処理が実行され、 s:携帯情報端末装置20が有する各種機能に応じた操作内容を表示する複数の操作ボタン23(操作キー)の操作内容の表示は、選択された機能ごとに切り替えられるもので、図1(A)に示すように、機能によって、操作ボタン11の内容が変更され、 s1:例えば、電話機能を使用するときは、操作内容として、電話番号を入力するための“0?9”の数字を表示し、 メール機能を使用するときは、文字を入力するための“あ、か、さ、?、わ”の文字の表示等を行うように、操作内容の表示が切替えられ、 s2:操作ボタン23に表示する操作内容の表示内容の切替えは、選択された機能に応じた操作内容を電子ペーパに表示するように切り替え処理を行うことで、ボタン部63に選択した機能に対応した内容を表示するようにされ、 t:操作ボタン23が押下されることで、表示されている操作内容に対応した動作を制御部25が実行するようにされ、 ss:表示の切替え処理は、以下のステップS11?S15で行われる、 方法。 S11:「メニュー表示ボタン24が押下されると、画面21に機能の一覧表示であるメニューが表示され、 S12:次に、機能選択ボタン22が押下されて画面21上で表示されているメニューの中からいずれかの機能が選択されたかを判断し、 S13:いずれかの機能が選択された場合、選択された機能と操作ボタン23に表示する操作内容および操作ボタン23の押下時に実行するプログラムを対応付した機能対応テーブル40(図5)を呼び出す。 ここに、機能対応テーブル40は、メニューテーブル41、メニューに対応した機能情報テーブル42、その際どの操作ボタン23にどのような内容を表示するかを示したボタン表示データ43を有するものである。 S14:ステップS13で制御部25が呼び出した機能対応テーブルとステップS12で選択された機能の対応付けを行い、この時点で、操作ボタン23にどのような内容を表示するか、またボタン押下時にどのような処理プログラムが制御部25によって実行されるかが決定される。 S15:その後、操作ボタン23に、機能選択手段によって選択した機能に対応した操作内容を表示するように表示内容を切り替え、表示切替処理を終了する。 [4]補正後発明と引用発明との対比(対応関係) (1) 補正後発明(構成要件の分説) 補正後発明は,以下のように要件A?Dに分説することができる。 記(補正後発明,分説) A :携帯端末のアプリケーションが起動されているときに、複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えることと、 B :前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示することと、 C :アプリケーションと、前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することと を具備し、 C1:前記記憶することは、前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含み、 A1:前記表示デバイスに与えることは、前記アプリケーションが起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記アプリケーションに関連づけられた操作部表示データを取得することを含み、 B1:前記表示することは、前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行うことを含む D :操作部表示方法。 (2)対比 ア 要件A,Bについて A「携帯端末のアプリケーションが起動されているときに、複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えることと、」(を具備する) B「前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示することと、」(を具備する) ア-1 「携帯端末」、「表示デバイス」 :引用発明の「携帯情報端末」(p,sにおける)は「携帯端末」といえ、また、引用発明の「電子ペーパ」(p,s2における)は「表示デバイス」といえることは明らかである。 ア-2 「複数のキーを有する操作部に含まれる領域」 :引用発明のq1の「携帯情報端末装置20を操作するために配列された複数の操作ボタン23(操作キー)」は、「操作部」といえると共に,「複数のキーを有する操作部」といえ、したがって、引用発明のq2の、「電子ペーパー62」が「配置」されている」、「複数の操作ボタン23を含ボタン部63に対応する領域(図7,図8)」は、補正後発明でいう「複数のキーを有する操作部に含まれる領域」といい得るものである。 ア-3 「操作部表示データ」、「操作部表示データを、表示デバイスに与えること」 :引用発明のS13の「どの操作ボタン23にどのような内容を表示するかを示したボタン表示データ43」も、q2,s,s2からみて「電子ペーパ」(補正後発明でいう「表示デバイス」)に与えるもの(要件A)であり、「操作部」に表示するもの(要件B)、といい得ることは明らかであるから、補正後発明でいう「操作部表示データ」といえ、 引用発明においても「操作部表示データを、表示デバイスに与えること」がなされているということができる。 ア-4 「複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えること」 :引用発明の上記「ボタン表示データ43」によって表示されるsの「ボタン23(操作キー)の操作内容の表示」は、「図1(A)に示すように、機能によって、操作ボタン11の内容が変更され」る表示であるところ、その変更される表示は、「ボタン23のキー枠内側領域」の表示であることが図1(A)から見て取れる。すなわち、上記「ボタン表示データ43」は、補正後発明でいう、「複数のキーを有する操作部に含まれる領域」のうち「前記複数のキーのキー枠内側領域」のみ「に表示を行う操作部表示データ」であって、「キー枠外側領域」に表示を行うデータではない。 すなわち、引用発明は、「複数のキーを有する操作部に含まれる領域であって、前記複数のキーのキー枠内側領域に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えること」を満たすが、「キー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与える」とはしていない。 つまり、両者は、 「複数のキーを有する操作部に含まれる領域に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えること」において一致し、 「複数のキーを有する操作部に含まれる領域に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与える」とする「操作部表示データ」が、 補正後発明では、「複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う」操作部表示データであるのに対して、 引用発明では、「複数のキーのキー枠内側領域」のみ「に表示を行う操作部表示データである点で相違する。 また、そのような相違を別とすれば、引用発明は、「前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示すること」とする要件Bも満たしている。 ア-5 「携帯端末のアプリケーションが起動されているときに」 :要件Aでは、「操作部表示データを、表示デバイスに与える」のが、「携帯端末のアプリケーションが起動されているときに」としているところ、 「携帯端末のアプリケーションが起動されているとき」について、明細書の記載、 -段落【0028】「機能キー群操作部30は、携帯端末10の各種機能を実行するために必要となるキーを含んでおり、例えば、電源キー、メニュー表示キー、機能選択キー、十字キー、使用形態変更キーなどを含んでいる。・・・メニュー表示キーは、携帯端末10が備える機能のメニューを、表示部20に表示させるためのキーである。機能選択キーは、携帯端末10が備える機能を選択して実行させるために用いられるキーである。」、 -【0036】「・・・機能キー群操作部30は、携帯端末10の各種機能を実行するために必要となるキー(複数可)を含んでおり、何れかのキーが押下されると、押下されたキーの種別を示す信号を、制御部60に対して出力する。」、 -【0068】「 ここで、携帯端末10のユーザが、携帯端末10の有する複数の機能の内の或る1つの機能を起動すると、当該機能を実行するアプリ(アプリケーション・プログラム)が起動される(図8のステップS1)。機能の起動は、携帯端末10の機能キー群操作部30の、メニュー表示キー、機能選択キー、十字キーなどのキー操作によって行われる。つまり、携帯端末10の制御部60は、機能キー群操作部30の何れかのキーの操作を検出し、当該キーの操作に対応して選択された機能を起動するようになっている。」 に照らせば、 上記「携帯端末のアプリケーションが起動されているとき」とは、 (ユーザにより)携帯端末の「機能」が選択されて「機能」が「起動」されると「アプリケーションが起動」し、そのようにして「アプリケーションが起動されているとき」を含んでいうものといえるところ、 引用発明でも、S12「機能選択ボタン22が押下されて」「いずれかの機能が選択されたかを判断し」、S13で「いずれかの機能が選択された場合」になされる処理として、 「選択された機能と操作ボタン23に表示する操作内容および操作ボタン23の押下時に実行するプログラムを対応付した機能対応テーブル40(図5)を呼び出す」、S14、S15「操作ボタン23に、機能選択手段によって選択した機能に対応した操作内容を表示するように表示内容を切り替え」る処理がなされていて、これらの処理は、選択された機能に応じた処理といえ、したがって、 引用発明も、(ユーザにより機能選択ボタン22が押下されて)「機能」が選択されたとき、当該「機能」に応じた処理が実行されるようになっているといえ、これは、「機能」が選択されたとき、「機能」が「起動」されるようになっているともいうことができる。 また、引用発明において、「操作部表示データを、表示デバイスに与える」のはS13の?S14において行われているといえるところ、当該S13?S14の時点より前のS12の時点で、既に「機能」が選択されて「機能」が「起動されている」から、引用発明でも「操作部表示データを、表示デバイスに与える」のは「携帯端末の機能が起動されているとき」、ということができる。 以上によれば、補正後発明と引用発明とは、 要件Aについては、 携帯端末の機能が起動されているときに、「複数のキーを有する操作部に含まれる領域」「に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えること」を、具備している点では一致し、 上記「機能が起動されているときに」が、 補正後発明では、「アプリケーションが起動されているときに」であるのに対して、 引用発明では、そのようにはしておらず、 また、 (「複数のキーを有する操作部に含まれる領域」「に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与える」とする)上記「操作部表示データ」が、 補正後発明では、「複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う」操作部表示データであるのに対して、 引用発明では、「複数のキーのキー枠内側領域」のみ「に表示を行う」操作部表示データである点で相違する。 そして、要件Bについは、(上記「操作部表示データ」の相違を除いて)引用発明と相違しない。 イ 要件C、C1について C「アプリケーションと、前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することと を具備し」 C1「前記記憶することは、前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含み、」 要件Cについては、引用発明のS13の「機能対応テーブル40(図5)」は、「機能と操作ボタン23に表示する操作内容」が対応付けられた、すなわち「関連付け」られたものであるといえ、また、これが記憶されているものであることが明らかであるから、当該「テーブル40」を「記憶すること」を具備するといい得るものである。 したがって、引用発明も、「機能」と「前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することとを具備し」といえ、この点では、補正後発明と相違しない。 もっとも、「機能」が「アプリケーション」とはしておらず、この点では、補正後発明と相違することは上記のとおりである。 要件C1については、引用発明も具備するといい得る「前記複数のキーのキー枠内側領域」「に表示を行う操作部表示データ」(上記ア-4)を「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データ」と称しても支障はないから、 上記ア-4での検討を踏まえれば、 引用発明も「前記記憶することは、前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データ」「を含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含み、」といえ、この点では、補正後発明と相違しないものの、 引用発明では、かかる「操作部表示データ」が、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む」「操作部表示データ」とはしておらず、この点、補正後発明と相違する。 ウ 要件A1について A1「前記表示デバイスに与えることは、前記アプリケーションが起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記アプリケーションに関連づけられた操作部表示データを取得することを含み、」 引用発明では、S12「機能選択ボタン22が押下されて画面21上で表示されているメニューの中からいずれかの機能が選択されたかを判断し、」、S13の「いずれかの機能が選択された場合」、すなわち、上記のとおり機能が選択されて起動されたときに、 S13で「選択された機能と操作ボタン23に表示する操作内容および操作ボタン23の押下時に実行するプログラムを対応付した機能対応テーブル40(図5)を呼び出」し、S14で「ステップS13で制御部25が呼び出した機能対応テーブルとステップS12で選択された機能の対応付けを行い、この時点で、操作ボタン23にどのような内容を表示するか、またボタン押下時にどのような処理プログラムが制御部25によって実行されるかが決定される」のであるから、 引用発明も「前記表示デバイスに与えることは、前記機能が起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記機能に関連づけられた操作部表示データを取得することを含み、」ということができる。 もっとも、「機能」が「アプリケーション」とはしておらず、この点では、補正後発明と相違することは上記のとおりである。 エ 要件B1について B1「前記表示することは、前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行うことを含む」 これまでの検討結果から、引用発明も「前記表示することは、前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域に表示を行うことを含む」といい得ることは明らかであるが、 「前記キー枠外側領域の双方に表示を行う」とはしておらず、この点、補正後発明とは相違する。 オ 要件D「操作部表示方法」 引用発明も「操作部表示方法」といい得ること明らかであり、したがって、この点補正後発明と相違しない。 カ 一致点・相違点 そうすると、補正後発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] A’ 携帯端末の機能が起動されているときに、複数のキーを有する操作部に含まれる領域に表示を行う操作部表示データを、表示デバイスに与えることと、 B 前記表示デバイスによって、前記操作部表示データを前記操作部に表示することと、 C’ 機能と、前記表示デバイスに与える操作部表示データとを関連付けるテーブルを記憶することと を具備し C1’前記記憶することは、前記操作部表示データとして、前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データを含む操作部表示データを関連付けるテーブルを記憶することを含み、 A1’前記表示デバイスに与えることは、前記機能が起動されたときに、前記テーブルを参照することによって、前記機能に関連づけられた操作部表示データを取得することを含み、 B1’前記表示することは、前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域に表示を行うことを含む D 操作部表示方法。 [相違点] [相違点1] 「機能」、A’の「機能が起動されているときに」、A1’の「機能が起動されたときに」、「機能に関連づけられた」が、 補正後発明では、「アプリケーション」、「アプリケーションが起動されているときに」、「アプリケーションが起動されたときに」、「アプリケーションに関連づけられた」であるのに対して、 引用発明では、そのようにはしていない点 [相違点2] A’,C’の「操作部表示データ」が、 補正後発明では、 「複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データ」であって、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」であるのに対して、 引用発明では、 「複数のキーのキー枠内側領域のみに表示を行う操作部表示データ」であって、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」であり、そのようなデータではなく、 B1’の「複数のキーの前記キー枠内側領域に表示を行う」が、 補正後発明では、「複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行う」とするのに対して、 引用発明では、そのようにするとはしていない点 [5]相違点等の判断 (1)[相違点の克服] 引用発明を出発点とし、 〈相違点1の克服〉 引用発明の、「機能」、「機能が起動されているときに」、「機能が起動されたときに」、「機能に関連づけられた」を、「アプリケーション」、「アプリケーションが起動されているときに」、「アプリケーションが起動されたときに」、「アプリケーションに関連づけられた」とすること(以下、[相違点1の克服]という)で、上記[相違点1]は克服され、 〈相違点2の克服〉 引用発明の、「複数のキーのキー枠内側領域のみに表示を行う操作部表示データ」であって、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」(「ボタン表示データ43」)を、 「前記複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データ」であって、 「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」とし、 引用発明の「複数のキーの前記キー枠内側領域に表示を行う」を、 「前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行う」とすること(以下、[相違点2の克服]という)で、上記[相違点2]は克服され、補正後発明に到達する。 (2)[相違点の克服]の容易想到性の判断 ア [相違点1の克服]について 引用発明の携帯情報端末装置20(図2)の「機能」は、例えば、「電話機能」や「メール機能」であるところ(q2)、s1の「メール機能を使用するときは、文字を入力するための“あ、か、さ、?、わ”の文字の表示等を行うように、操作内容の表示が切替えられ、」からすれば、その「メール機能」は「メール作成機能」といえるところ、 携帯情報端末において、「電話機能」や「メール作成機能」を(機能を実行する)「アプリケーション」とすることはごく普通のことにすぎず {これには、例えば、査定で引用された刊行物3を含め、 ・特開2007-36544号公報(刊行物3に同じ。【0016】?【0022】等、図3、特に「携帯電話機1でアプリケーションを起動したときに、タッチパネル部102の表示を決定する手順を示したフローチャートである。」(【0016】),「メールを作成する画面では、・・・」(【0021】),「従来の携帯電話機と同様に表示部101にのみ起動中のアプリケーションに応じた表示を行う」(【0022】)), ・特開2003-204399号公報(【0028】,【0037】等), ・特開2003-209596号公報(【0024】等), ・特開2002-175191号公報(【0002】,【0003】,【0045】等), ・特開2003-348289号公報(【0044】,【0047】,図2等), ・特開2003-264614号公報(【0002】?【0003】等) 等が参照される。}、 このことからすれば、 引用発明の「機能」を「アプリケーション」とする(「機能」を実行する「アプリケーション」で構成する)ことは、当業者が容易に想到し得ることである。 そして、引用発明の「機能」を、そのように「アプリケーション」とする際、「機能の起動」を「アプリケーションの起動」とすることは、当業者にとって、ごく自然なことであって格別困難とはいえない。(このことは、上記刊行物3(特開2007-36544号公報)の上記指摘箇所の記載からみても首肯されることである。) そして、そのようにすれば、「機能が起動されているときに」、「機能が起動されたときに」、「機能に関連づけられた」は、「アプリケーションが起動されているときに」、「アプリケーションが起動されたときに」、「アプリケーションに関連づけられた」となる。 したがって、上記[相違点1の克服]は、当業者が容易に想到し得ることである。 イ [相違点2の克服]について イ-1 以下の(a)?(e)からすれば、刊行物1に接した当業者が、引用発明の「複数の操作ボタン23(操作キー)の操作内容の表示」(s)を、キー枠内側領域だけでなく、その近傍であってキー枠外側領域にも行うようにする動機付けがある、というべきである。 (a)周知事項 複数のキーを有する携帯端末等において、複数のキーの文字・記号等の表記を、キー枠内側領域とその近傍であってキー枠外側領域の双方に行うことは普通に知られた事項であること。 これには、例えば、査定で引用された刊行物2を含め、下記周知例が参照される。 記(周知例) ・周知例1:特開2004-46517号公報(【0016】,【0023】,【0035】?【0044】,【0052】?【0056】,【0084】、図2等参照) ・周知例2:特開2002-318655号公報(刊行物2に同じ,【0020】,図3等参照) ・周知例3:特開平6-203061号公報(図2,【0013】「キー群17は、・・・文字や記号を入力するためのキー群である。」等参照) ・周知例4:特開2000-50006号公報(【0029】,【0030】,図3等参照) (b)引用発明において、s1の「メール機能」(メール作成機能)を選択したとき、1のキーに複数の文字種が表示されると普通に想定されること。 引用発明の携帯情報端末装置20(図2)「機能」の例である「メール機能」(メール作成機能)では、s1「メール機能を使用するときは、文字を入力するための“あ、か、さ、?、わ”の文字の表示等を行うように、操作内容の表示が切替えられ、」とされている(「電話機能では、“0?9”の数字を表示し」とされていて「等」はない)ところ、 一般に、メール作成においては、“あ、か、さ、?、わ”の「ひらがな」だけでなく、他の数字や英数字等も入力できるようにすることはごく普通のことにすぎず、また、キーの少ない携帯端末では、通常、1つのキーに複数の文字種(ひらがな、数字等)を割り当てて表記するようになっている {査定で引用された上記刊行物3(特開2007-36544号公報)の【0021】「図4の(b)に示すように、メールを作成する画面では、文字入力等の操作が必要であるため、0から9のテンキー、*および#のキー、メニュー呼び出しボタンおよびカーソル移動ボタンをタッチパネル部102の画面全体に表示する。」とあり、1つのキーに「ひらがな」と「数字」を表示していて「ひらがな」も「数字」も入力できるようになっている。} ことからすれば、 引用発明においても、s1の「メール作成機能」を選択したときは、1のキーに複数の文字種が表示されると当業者は普通に想定する。 (c)引用発明の、「電子ペーパー62は、複数の操作ボタン23を含むボタン部63に対応する領域(図7,図8)に配置されて」(q2)おり、かつ、複数のキー枠間には空間が有り(図1,2、その空間にも電子ペーパー62が配置されている)、 「複数の操作ボタン23(操作キー)の操作内容」は、表示しようと思えば、キー枠内側領域だけでなく、その近傍であってキー枠外側領域にも、簡単に表示し得る構成となっていること、 (d)加えて、キー枠外側領域にも、使用モードに応じた情報を可変表示すること自体は古くから知られていること(例えば、特開昭57-106944号公報,特開昭61-224020号公報等参照のこと)。 (e)刊行物1自身には、「複数の操作ボタン23(操作キー)の操作内容の表示」(s)を、キー枠内側領域だけでなく、その近傍であってキー枠外側領域にも行うようにする技術思想は示されていないが、 1のキーに複数の文字種を表示する{上記(b)}のに、すべての文字種をキー枠内側領域に表示する手法だけではなく、(キー枠間等の)キー枠外側領域{上記(c)}も文字種を表示する領域として活用することが普通に知られている{上記(a)}ことから、 例えば、キー枠内側領域には最もよく使われるデフォールトの文字種を大きく目立たせて表示し、キー枠外側領域には比較的使用頻度の少ない文字種を表示したり、または、キー枠内側領域のみに多くの文字種を表示するとその表示が小さくなりすぎて見にくくなることからその一部をキー枠外側領域に表示する等、種々の事情・種々の活用形態が普通に想定されるのであり、引用発明においても、そのように普通に想定される事情があり得るといえ、刊行物1に接した当業者がキー枠外側領域にも文字種を表示することを想起することもあろう、というべきである。(加えて、上記(d)の事情も踏まえれば、なおのこと、容易に想起するであろう。) イ-2 容易想到性 上記イ-1に示した動機付けに従い、引用発明の「複数の操作ボタン23(操作キー)の操作内容の表示」(s)を、キー枠内側領域だけでなく、その近傍であってキー枠外側領域にも行うようにしようとする際、 引用発明の「複数のキーのキー枠内側領域のみに表示を行う操作部表示データ」であって、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」を、 「複数のキーのキー枠内側領域とキー枠外側領域の双方に表示を行う操作部表示データ」であって、「前記キー枠内側領域に表示する第1のサブ操作部表示データと、前記キー枠外側領域に表示する第2のサブ操作部表示データとの二種類のサブ操作部表示データを含む操作部表示データ」とすることは、ごく普通のことにすぎず、 そのようにしたとき、引用発明の「前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域に表示を行う」を、「前記操作部表示データに基づいて、「複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行う」とすることは当然である。 以上によれば、上記[相違点1の克服]は、当業者が容易に想到し得た、というべきである。 (3)まとめ 以上、引用発明を出発点として、上記[相違点1の克服]及び[相違点2の克服]をして補正後発明に到達することは、当業者が容易に想到し得たことである。 [6]小活 以上によれば、補正後の請求項14に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 【第3】査定の当否(当審の判断) [1]本願発明 平成25年8月28日付けの補正は上記のとおり却下する。 上記「補正1」前の発明、すなわち、上記補正後発明(補正後独立請求項14)に対応する補正前請求項16に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記【第2】に「平成25年4月22日補正によるもの」として記載したとおりである。 [2]判断 本願発明は、上記補正後発明から「前記表示デバイスが、前記操作部表示データに基づいて、前記複数のキーの前記キー枠内側領域と前記キー枠外側領域の双方に表示を行うことを含む」との限定を除いたものに相当するから、上記補正後発明を含んでいるものである。 そして、上記のとおり、上記補正後発明が、上記刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これを含む本願発明も、同様の理由で、上記刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 【第4】むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項16に係る発明は、上記刊行物1に記載された発明及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願の他の請求項について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-09-01 |
結審通知日 | 2014-09-02 |
審決日 | 2014-10-21 |
出願番号 | 特願2009-537987(P2009-537987) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
乾 雅浩 千葉 輝久 |
発明の名称 | 携帯端末および操作部表示方法 |
代理人 | 丸山 隆夫 |