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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1298189
審判番号 不服2014-2320  
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-07 
確定日 2015-03-06 
事件の表示 特願2011-112188「材料内の固体と液体とを分離する装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月17日出願公開、特開2011-230929〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は2007年6月13日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年6月13日、オーストラリア国)を国際出願日とする特願2009-514593号の一部を平成23年5月19日に新たな特許出願としたものであって、平成25年1月11日付けで拒絶理由が通知され、同年7月12日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月8日付けで拒絶査定がされ、平成26年2月7日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年2月7日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成26年2月7日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 平成26年2月7日付けの手続補正の内容
平成26年2月7日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成25年7月12日に提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1の記載へ補正するものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
材料を2つの箇所間に運搬する装置において、経路の周りに移動可能なエンドレスベルト構造を備え、前記エンドレスベルト構造は、前記2つの箇所間に延在する管状構造に組み立てられるように構成されたベルト部を備え、運搬される材料は、前記管状構造の一端に導入され、前記管状構造に沿って運搬され、前記運搬された材料は、前記管状構造の他端から排出されるようになっており、前記エンドレスベルト構造は、2つの索要素を備え、それらの間を前記ベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つの接続されたベルト区分を備えており、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されていることを特徴とする装置。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
材料に作業を施して前記材料内の固体と液体とを分離する装置において、経路の周りに移動可能なエンドレスベルト構造を備え、前記エンドレスベルト構造は、前記2つの箇所間に延在する管状構造に組み立てられるように構成されたベルト部を備え、前記作業が施される材料は、前記管状構造の一端に導入され、前記管状構造に沿って運搬され且つ前記作業が施され、前記材料の少なくとも一部は、前記管状構造の他端から排出されるようになっており、前記エンドレスベルト構造は、2つの索要素を備え、それらの間を前記ベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つの別個で且つ接続されたベルト区分を備えており、前記ベルト区分の両方は、前記ベルト部の長さに沿って延在し、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されていることを特徴とする装置。」
(なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。)

2 本件補正の適否
2-1 補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の「材料を2つの箇所間に運搬する装置において」という記載を「材料に作業を施して前記材料内の固体と液体とを分離する装置において」という記載にするものであり、発明の対象を、材料を運搬する装置から材料内の固体と液体とを分離する装置へ変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではないし、また、請求項の削除、誤記の訂正及び明りようでない記載の釈明の何れを目的とするものでもない。
したがって、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものである。

2-2 独立特許要件の検討
仮に、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについて、さらに検討する。

(1)引用文献1の記載、記載事項及び引用発明
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特公昭40-20678号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「醸造用諸味の全自動圧力濾過装置」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(以下、「記載1」という。)。

「この発明はこの種の諸味を全自動的に強制濾過する装置を提供することを目的とし、無端濾材の両側に全周にわたりフアスナー務歯を取付けたテープ(以下便宜上フアスナーという)を取付け、これを複数の絞りローラーの間を通して循環させ、この濾材が原料送入管の先端の手前を進行するとき前記フアスナーを自動的に閉めてホース状となし、最後の絞りローラーを通過したとき自動的にフアスナーを開いて濾材を1重の帯状に展開し、濾材に附着している粕をスクレーパーでかき落とすようにしたもので、つぎにその実施例を図面によつて説明する。
図中1は例えば織布製の無端濾材で、その両側には全周にわたりフアスナー2,2が取付けられている。3は原料送入管で、無端濾布1が帯状に展開している位置の上側から濾布の進行方向に向う屈曲部4が形成されている。5,6はフアスナー2,2にかみ合つているスライダーで、固定部7,8に取付けられている。9は駆動プーリー、10は被動プーリー、11は絞りローラ-、12はガイドローラー、13はスクレーパーである。
つぎにこの発明による濾過装置の作用を述べると、無端濾材1がスライダー5の位置を通過する際に、フアスナー2,2が閉鎖してホース状となる。この位置に原料送入管3の屈曲部4から麹味原料が送入される。ホース状濾材が複数の絞りローラー11を通過する間に諸味原料は次第に絞られ、最後の絞りローラーを通過する際には充分に絞られて無端濾材1は偏平となり、その内面に粕のみが附着している。この濾材がスライダー6の位置を通過する際にフアスナー2,2のかみ合いが外れ、濾材は展開されて1重の帯状となるためスクレーパー13の先端を通過する際に濾材1に附着している粕がかき落とされ、再びスライダー5によりホース状となり、以上の作動が自動的に繰返えされるのである。」(第1ページ左欄下から18行ないし右欄第13行)

イ 引用文献1の記載事項
記載1及び図面の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていると認める(以下、順に「記載事項1a」ないし「記載事項1d」という。)。

1a 記載1の「この発明はこの種の諸味を全自動的に強制濾過する装置を提供することを目的とし」及び「この位置に原料送入管3の屈曲部4から麹味原料が送入される。ホース状濾材が複数の絞りローラー11を通過する間に諸味原料は次第に絞られ、最後の絞りローラーを通過する際には充分に絞られて無端濾材1は偏平となり、その内面に粕のみが附着している。」並びに図面によると、引用文献1には、諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置が記載されている。

1b 記載1の「これを複数の絞りローラーの間を通して循環させ」及び「図中1は例えば織布製の無端濾材で、その両側には全周にわたりフアスナー2,2が取付けられている。3は原料送入管で、無端濾布1が帯状に展開している位置の上側から濾布の進行方向に向う屈曲部4が形成されている。5,6はフアスナー2,2にかみ合つているスライダーで、固定部7,8に取付けられている。9は駆動プーリー、10は被動プーリー、11は絞りローラ-、12はガイドローラー、13はスクレーパーである。」、図面並びに記載事項1aによると、引用文献1には、諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置において、駆動プーリー9、被動プーリー10、絞りローラー11、ガイドローラー12を通過する経路の周りに循環する無端濾材1を備えることが記載されている。

1c 記載1の「この濾材が原料送入管先端の手前を進行するとき前記フアスナーを自動的に閉めてホース状となし、最後の絞りローラーを通過したとき自動的にフアスナーを開いて濾材を1重の帯状に展開し、濾材に附着している粕をスクレーパーでかき落とすようにした」、「無端濾材1がスライダー5の位置を通過する際に、フアスナー2,2が閉鎖してホース状となる。」及び「この濾材がスライダー6の位置を通過する際にフアスナー2,2のかみ合いが外れ、濾材は展開されて1重の帯状となるためスクレーパー13の先端を通過する際に濾材1に附着している粕がかき落とされ、再びスライダー5によりホース状となり、以上の作動が自動的に繰返えされるのである。」、図面並びに記載事項1aによると、引用文献1には、諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置において、無端濾材1は、スライダー5の位置とスライダー6の位置の間に延在するホース状に組み立てられるように構成された無端濾材1を備えることが記載されている。

1d 記載1の「3は原料送入管で、無端濾布1が帯状に展開している位置の上側から濾布の進行方向に向う屈曲部4が形成されている。」及び「つぎにこの発明による濾過装置の作用を述べると、無端濾材1がスライダー5の位置を通過する際に、フアスナー2,2が閉鎖してホース状となる。この位置に原料送入管3の屈曲部4から麹味原料が送入される。ホース状濾材が複数の絞りローラー11を通過する間に諸味原料は次第に絞られ、最後の絞りローラーを通過する際には充分に絞られて無端濾材1は偏平となり、その内面に粕のみが附着している。この濾材がスライダー6の位置を通過する際にフアスナー2,2のかみ合いが外れ、濾材は展開されて1重の帯状となるためスクレーパー13の先端を通過する際に濾材1に附着している粕がかき落とされ、再びスライダー5によりホース状となり、以上の作動が自動的に繰返えされるのである。」、図面並びに記載事項1aないし1cによると、引用文献1には、諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置において、絞りローラー11による絞りを施される諸味原料は、フアスナー2,2が閉鎖して無端濾材1がホース状となる位置に送入され、ホース状に沿って運搬され且つローラ11による絞りが施され、諸味原料の粕は、フアスナー2,2のかみ合いが外れ、無端濾材1が1重の帯状となる位置からかき落とされるようになっていることが記載されている。

ウ 引用発明
記載1、記載事項1aないし1d及び図面の記載を整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置において、駆動プーリー9、被動プーリー10、絞りローラー11、ガイドローラー12を通過する経路の周りに循環する無端濾材1を備え、前記無端濾材1は、スライダー5の位置とスライダー6の位置の間に延在するホース状になるように構成された無端濾材1を備え、前記絞りローラー11による絞りが施される諸味原料は、前記フアスナー2,2が閉鎖して無端濾材1がホース状となる位置に送入され、前記ホース状に沿って運搬され且つ前記ローラ11による絞りが施され、前記諸味原料の粕は、前記フアスナー2,2のかみ合いが外れ、無端濾材1が1重の帯状となる位置からかき落とされるようになっている、装置。」

(2)引用文献2及び3の記載
ア 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特公昭58-44564号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「筒状ベルトコンベア」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(以下、「記載2」という。なお、下線は、他の文献を含め、当審で付したものである。)。

「本発明は、無限コンベアベルトを含む筒状ベルトコンベアにおいて、前記のコンベアベルトは筒状輪郭に形成され、前記コンベアベルトの縦へり部分は、コンベアベルトの成す無限ループの内側ランに相互に直線的に集中し、コンベアベルトの縦へりに沿つて相互に当接されるようにした筒状ベルトコンベアに関するものである。
・・・(略)・・・
付図に示した筒状ベルトコンベアは、補強織物挿入部材を備えた比較的柔らかなゴムの無限コンベアベルト10を含む。このベルト10は、帯状に長く伸びる素材をその長手方向側縁(縦方向へり)を当接させるように折返して無端(無限)の筒状に形成されている。このベルト10の横断面形状は、弧状に(ほぼ半円形に)曲つた半円形部分(弧状部分)11と、この弧状部に連なり、前記側縁の当接部分に直線的に集中しているへり部分12とからなる。・・・(略)・・・両端がビード16の中に突入している。これらのビードはVベルトの形状を有し、筒状輪郭の両側部と一体を成している。・・・(略)・・・筒状輪郭に形成されたコンベアベルトはビード16と共に、それぞれ上下の戻しホイール対18と19の周囲に無限ループとして配置されているので、前記u形鋼バネクリツプ13の作用で相互に当接関係のあるコンベアベルトの縦へり(帯状素材の長手方向側縁に相当)は開閉自在に無限ループの走行路に沿つて伸びている。戻しホイール対の一方が駆動され、これが無限ループをビード16において駆動し、ループ内部の引張り力はコード挿入物によつて取上げられる。コンベアベルトは平坦な(断面が直線をなす)へり部分を有し、前記縦へりの当接部分を互いに開閉するときには主としてへり部分12のみが開閉することになりそのときには弧状部分11が大きく変形しない(第4図参照)。
・・・(略)・・・
筒状ベルトコンベアによつて形成される中空部に粒状または粉状の材料を供給するため、またこれを中空部から排出するため、ベルトの相互に当接した縦へりに沿つて前記中空部を開かなければならない。」(第2欄第6行ないし第4欄第14行)

イ 引用文献3の記載
本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭60-179957号(実開昭62-89203号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献3」という。)には、「ベント付きコンベアーベルト」に関して、図面とともに概ね次の記載がある(以下、「記載3」という。)。

「本考案は上記の欠点に鑑み、ベルト1の両サイドに蓋を形成するため、側板2、2’をコンベアーベルト1に固定し、キヤリヤローラーの組合せによつてU字形を形成した場合、上面からの蓋となり、搬送物の飛散を防止し、・・・(略)・・・
本考案を実施例によって説明するとコンベアーフレーム6にベルト回転用プーリー5を配しコンベアーベルト1と両側に直立させた側板2、2’を一体とし、キヤリヤローラー3の組合せによってU字形を形成したものである。
・・・(略)・・・又、両側に直立する側板2、2’の損傷にも取替えが容易で、特別な技術を要することなく大量に生産できるので工業的に実用効果の大なるものである。」(明細書第2ページ第5行ないし第3ページ第14行)

(3)対比
本願補正発明と引用発明を対比する。

引用発明における「諸味原料」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「材料」に相当し、以下、同様に、「絞りローラー11による絞り」は「作業」に、「諸味原料を強制濾過する」は「材料内の固体と液体とを分離する」に、「駆動プーリー9、被動プーリー10、絞りローラー11、ガイドローラー12を通過する経路」は「経路」に、「循環する」は「移動可能な」に、「無端濾材1」は「エンドレスベルト構造」及び「ベルト部」に、「スライダー5の位置とスライダー6の位置の間」は「前記2つの箇所間」に、「ホース状」は「管状構造」に、「(ホース状に)なる」は「(管状構造に)組み立てられる」に、「フアスナー2,2が閉鎖して無端濾材1がホース状となる位置」は「管状構造の一端」に、「送入」は「導入」に、「粕」は「少なくとも一部」に、「フアスナー2,2のかみ合いが外れ、無端濾材1が1重の帯状となる位置」は「管状構造の他端」に、「かき落とされる」は「排出される」に、それぞれ、相当する。

したがって、両者は、
「材料に作業を施して前記材料内の固体と液体とを分離する装置において、経路の周りに移動可能なエンドレスベルト構造を備え、前記エンドレスベルト構造は、前記2つの箇所間に延在する管状構造に組み立てられるように構成されたベルト部を備え、前記作業が施される材料は、前記管状構造の一端に導入され、前記管状構造に沿って運搬され且つ前記作業が施され、前記材料の少なくとも一部は、前記管状構造の他端から排出されるようになっている、装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明においては、「前記エンドレスベルト構造は、2つの索要素を備え、それらの間を前記ベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つの別個で且つ接続されたベルト区分を備えており、前記ベルト区分の両方は、前記ベルト部の長さに沿って延在し、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されている」のに対し、引用発明においては、そのようなものではない点(以下、「相違点1」という。)。

(4)相違点1についての判断
そこで、相違点1について、以下に検討する。

記載2における「無限ベルトコンベア10」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「エンドレスベルト構造」及び「ベルト部」に相当し、以下、同様に、「ビード16」は「索要素」に、「半円形部分11とへり部分12」は「2つ」の「ベルト区分」に、「へり部分12」は「折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されている」「ベルト区分の1つ」に、それぞれ、相当する。
また、記載2における「ビード16」は、記載2の「これらのビード」という記載及び図面によると、その数は2つである。
したがって、記載2及び図面を整理すると、引用文献2には、次の技術(以下、「周知技術1」という。)が記載されていると認める。

「2つの索要素を備え、それらの間をベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つのベルト区分を備えており、前記ベルト区分の両方は、前記ベルト部の長さに沿って延在し、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されているエンドレスベルト構造。」

また、記載3における「コンベアーベルト1」及び「側板2、2’」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願補正発明における「2つのベルト区分」に相当することから、引用文献3には、2つのベルト区分を別体で且つ接続されたものとすること(以下、「周知技術2」という。)が記載されていると認める。

ところで、引用発明における「諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置」は、「無端濾材1」を備え、「諸味原料」を、「フアスナー2,2が閉鎖して無端濾材1がホース状となる位置」から「フアスナー2,2のかみ合いが外れ、無端濾材1が1重の帯状となる位置」に運搬しながら、絞りを施すものであるから、諸味原料という物をエンドレスベルトを用いて搬送する装置ということができ、周知技術1及び2も、物をエンドレスベルトを用いて搬送する技術に関するものであるから、引用発明において、周知技術1及び2を適用し、「エンドレスベルト構造」を「2つの索要素を備え、それらの間をベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つのベルト区分を備えており、前記ベルト区分の両方は、前記ベルト部の長さに沿って延在し、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されている」ものとし、その際に、2つのベルト区分を別体で且つ接続されたものとすることによって、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明を全体としてみても、本願補正発明により、引用発明並びに周知技術1及び2からみて、格別顕著な効果が奏されるともいえない。

(5)むすび
したがって、本願補正発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

2-3 むすび
上記2-1のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、本件補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、上記2-2のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないので、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたため、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成25年7月12日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1(1)」の【請求項1】のとおりである。

2 引用文献1の記載、記載事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特公昭40-20678号公報(以下、上記第2[理由]2 2-2(1)と同様に「引用文献1」という。)には、上記第2[理由]2 2-2(1)アのとおりの記載があり、該記載及び図面の記載から、上記第2[理由]2 2-2(1)イのとおりの記載事項が記載されていると認める。
そして、引用文献1には、上記第2[理由]2 2-2(1)ウのとおりの発明(以下、上記第2[理由]2 2-2(1)ウと同様に「引用発明」という。)が記載されていると認める。

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明における「諸味原料」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明における「材料」に相当し、以下、同様に、「駆動プーリー9、被動プーリー10、絞りローラー11、ガイドローラー12を通過する経路」は「経路」に、「循環する」は「移動可能な」に、「無端濾材1」は「エンドレスベルト構造」及び「ベルト部」に、「スライダー5の位置とスライダー6の位置の間」は「前記2つの箇所間」に、「ホース状」は「管状構造」に、「(ホース状に)なる」は「(管状構造に)組み立てられる」に、「フアスナー2,2が閉鎖してホース状となる位置」は「管状構造の一端」に、「送入」は「導入」に、「諸味原料の粕」は「運搬された材料」に、「フアスナー2,2のかみ合いが外れ、1重の帯状となる位置」は「管状構造の他端」に、「かき落とされる」は「排出される」に、それぞれ、相当する。
また、引用発明における「諸味原料を絞りローラー11による絞りを施して前記諸味原料を強制濾過する装置」は、「諸味原料」を、「フアスナー2,2が閉鎖して無端濾材1がホース状となる位置」から「フアスナー2,2のかみ合いが外れ、無端濾材1が1重の帯状となる位置」に運搬しながら、絞りを施すものであるから、本願発明と同様に、「材料を2つの箇所間に運搬する装置」であるといえ、引用発明における「絞りローラ11による絞りが施される諸味原料」は本願発明における「運搬される材料」といえる。

したがって、両者は、
「材料を2つの箇所間に運搬する装置において、経路の周りに移動可能なエンドレスベルト構造を備え、前記エンドレスベルト構造は、前記2つの箇所間に延在する管状構造に組み立てられるように構成されたベルト部を備え、運搬される材料は、前記管状構造の一端に導入され、前記管状構造に沿って運搬され、前記運搬された材料は、前記管状構造の他端から排出されるようになっている、装置。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点2>
本願発明においては、「前記エンドレスベルト構造は、2つの索要素を備え、それらの間を前記ベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つの接続されたベルト区分を備えており、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されている」のに対し、引用発明においては、そのようなものではない点(以下、「相違点2」という。)。

4 相違点2についての判断
そこで、相違点2について、以下に検討する。

上記第2[理由]2 2-2(4)において、周知技術1として示したように、「2つの索要素を備え、それらの間をベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つのベルト区分を備えており、前記ベルト区分の両方は、前記ベルト部の長さに沿って延在し、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されているエンドレスベルト構造。」は周知である。
また、上記第2[理由]2 2-2(4)において、周知技術2として示したように、2つのベルト区分を別体で且つ接続されたものとすることは、周知である。
したがって、引用発明において、周知技術1及び2を適用し、「エンドレスベルト構造」を「2つの索要素を備え、それらの間を前記ベルト部が延在し、それによって前記ベルト部は前記2つの索要素間に支持されており、前記ベルト部は、2つのベルト区分を備えており、前記ベルト区分の1つは、折り畳み可能であり、且つ2つの離脱可能に相互接続可能な互いに対向する長手方向縁をもたらすように分割されている」ものとし、その際に、2つのベルト区分を接続されたものとすることによって、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願発明を全体としてみても、本願発明により、引用発明並びに周知技術1及び2からみて、格別顕著な効果が奏されるともいえない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明並びに周知技術1及び2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-08 
結審通知日 2014-10-10 
審決日 2014-10-22 
出願番号 特願2011-112188(P2011-112188)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
P 1 8・ 575- Z (B65G)
P 1 8・ 57- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大谷 光司石川 太郎  
特許庁審判長 林 茂樹
特許庁審判官 槙原 進
加藤 友也
発明の名称 材料内の固体と液体とを分離する装置および方法  
代理人 松島 鉄男  
代理人 河村 英文  
代理人 奥山 尚一  
代理人 有原 幸一  

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