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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C12Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C12Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12Q
管理番号 1298587
審判番号 不服2013-13493  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-12 
確定日 2015-03-11 
事件の表示 特願2008-537851「エンコードされたライブラリーを用いて興味のある化合物を同定する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 5月10日国際公開、WO2007/053358、平成21年 4月 2日国内公表、特表2009-513135〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年10月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年10月28日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年3月8日付で拒絶査定がなされたところ、同年7月12日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同日付で特許請求の範囲について手続補正がなされたものである。

第2 補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年7月12日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成25年7月12日付の手続補正(以下、「本件補正」という)により、特許請求の範囲の請求項1?3は、補正前の
「【請求項1】
生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定する方法であって:
(A)化合物のライブラリーを合成し(ここで、化合物は:
(i)mのイニシエーター化合物を含む溶液を提供し(ここで、mは1以上の整数であり、イニシエーター化合物は、nのビルディングブロックを含む官能部分(ここで、nは1以上の整数である)であって、nのビルディングブロックを同定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合するものからなる);
(ii)段階(i)の溶液をrの反応容器中に分割し(ここで、rは2以上の整数である)、これにより、溶液のrのアリコートを作製し;
(iii)各反応容器中のイニシエーター化合物をrのビルディングブロックの1つと反応させ、これにより、初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製し;
(iv)各アリコート中の初期オリゴヌクレオチドを、rの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つと、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドを触媒する酵素の存在下、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドの酵素結紮に適した条件下で反応させ;これにより、n+1のビルディングブロックをエンコードする伸長されたオリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる分子のrのアリコートを作製する
ことにより官能部分の構造を特定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合する2以上のビルディングブロックを含む官能部分を含む);
(B)生物学的標的を化合物のライブラリー、またはその一部と、化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーが標的と結合するために適した条件下で接触させ;
(C)標的と結合しないライブラリーメンバーを除去し;
(D)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを配列決定し;
(E)生物学的標的と結合する化合物のライブラリーのメンバー,の官能部分の構造を決定するために、段階(D)において決定された配列を使用し、これにより生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定することを含む方法。
【請求項2】
標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記増幅段階が:
(i)油中水エマルジョンを形成して、複数の水性ミクロリアクターを作製し(ここで、ミクロリアクターの少なくとも1つは、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバー、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドと結合できる1つのビーズ、および核酸増幅を行うために必要な試薬を含有する増幅反応溶液を含む);
(ii)前記エンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを形成するために、ミクロリアクター中でエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅し;
(iii)ミクロリアクター中のビーズにエンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを結合させることを含む、請求項2記載の方法。」から、対応する補正後の請求項1である、
「【請求項1】
生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定する方法であって、
(A)化合物のライブラリーを合成し(ここで、化合物は、
(i)mのイニシエーター化合物を含む溶液を提供し(ここで、mは1以上の整数であり、イニシエーター化合物は、nの少なくとも1つの反応性基を含むビルディングブロックを含む官能部分(ここで、nは1以上の整数である)であって、nのビルディングブロックを同定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合するものからなり、初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドは二本鎖であり、結合部分は初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドの2つのストランドと共有結合している);
(ii)段階(A)(i)の溶液をrの反応容器中に分割し(ここで、rは2以上の整数である)、これにより、溶液のrのアリコートを作製し;
(iii)各反応容器中のイニシエーター化合物をrのビルディングブロック(ここで、ビルディングブロックは少なくとも1つの相補反応性基を含み、相補反応性基は、相補反応性基が共有結合を形成する反応に適当な条件下の段階(A)(i)の反応性基に相補的である)の1つと反応させ、これにより、初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製し;
(iv)各アリコート中の初期オリゴヌクレオチドを、段階(A)(iii)のビルディングブロックに相当するrの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つと、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドを触媒する酵素の存在下、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドの酵素ライゲーションに適した条件下で反応させ、これにより、n+1のビルディングブロックを含む官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる分子のrのアリコートを作製すること
により官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチドと操作可能に結合する2以上のビルディングブロックを含む官能部分を含む);
(B)生物学的標的を化合物のライブラリー、またはその一部と、化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーが標的と結合するために適した条件下で接触させ;
(C)標的と結合しないライブラリーメンバーを除去し;
(D)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅し;
(E)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを配列決定し;
(F)生物学的標的と結合する化合物のライブラリーのメンバーの官能部分の構造を決定するために、段階(E)において決定された配列を使用し、これにより生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定し;
前記増幅段階が、
(i)油中水型エマルジョンを形成して、複数の水性ミクロリアクターを作製し(ここで、ミクロリアクターの少なくとも1つは、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバー、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドと結合できる1つのビーズ、および核酸増幅を行うために必要な試薬を含有する増幅反応溶液を含む);
(ii)前記エンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを形成するために、ミクロリアクター中でエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅し;
(iii)ミクロリアクター中のビーズにエンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを結合させることを含む、方法。」へと補正された。(下線部は、補正前請求項1?3に記載された発明特定事項に対し、本件補正により追加された事項である。)

上記補正は、補正前の請求項1、2を削除して、補正前の請求項3を新たな請求項1とするとともに、補正前の請求項1に記載した「nのビルディングブロックを含む官能部分」を、「nの少なくとも1つの反応性基を含むビルディングブロックを含む官能部分」と限定し、以下同様に、「官能部分」及び「初期オリゴヌクレオチド」を備えた「イニシエーター化合物」について、「初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドは二本鎖であり、結合部分は初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドの2つのストランドと共有結合している)」と限定し、「rのビルディングブロック」を、「rのビルディングブロック(ここで、ビルディングブロックは少なくとも1つの相補反応性基を含み、相補反応性基は、相補反応性基が共有結合を形成する反応に適当な条件下の段階(A)(i)の反応性基に相補的である)」と限定し、さらに「rの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つ」を、「段階(A)(iii)のビルディングブロックに相当するrの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つ」と限定するものである。
そして、補正前の請求項3に記載された発明とその補正後の当該請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という)特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際、独立して特許を受けることができることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.特許法第29条第2項
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開2005/058479号(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(原文は英語で記載されているため、日本語訳で摘記する。下線は、当審が付与した。)

(1-1)「【請求項27】
化合物のライブラリーを合成する方法であって、該化合物は、機能性部分の構造を同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結される、2つ以上のビルディングブロックを含む機能性部分を含み、該方法は、
(a)mのイニシエーター化合物(mは1以上の整数である)を含む溶液を提供する工程であって、該イニシエーター化合物は、nのビルディングブロック(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなり、該機能性部分は、該nのビルディングブロックを同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に結合する、工程;
(b)工程(a)の溶液をrの反応容器(rは2以上の整数である)に分割し、それにより、該溶液のrのアリコートを作製する工程;
(c)各反応容器における該イニシエーター化合物をrのビルディングブロックの1つと反応させ、それにより、該最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製する工程;および
(d)各アリコートにおける最初のオリゴヌクレオチドを、後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの酵素的連結のために適した条件下で、該後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、rの異なる後続オリゴヌクレオチドの1組の中の1つと反応させる工程;
を包含し、
それにより、n+1のビルディングブロックをコードする伸長したオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる分子を含むr個のアリコートを作製する、方法。
・・・
【請求項105】
生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定するための方法であって、該方法は、
(a)該生物学的標的を、請求項27に記載の方法により調製される化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーが該標的に結合するのに適した条件下で、該化合物ライブラリーと接触させる工程;
(b)該標的に結合しないライブラリーメンバーを除去する工程;
(c)該標的に結合する該化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程;
(d)工程(c)の該コードオリゴヌクレオチドを配列決定する工程;および
(e)工程(d)で決定された該配列を使用して、該生物学的標的に結合する該化合物ライブラリーのメンバーの機能性部分の構造を決定する工程
を包含し、
それにより、該生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定する、方法。」(88?89頁の請求項27、99頁の請求項105)

(1-2)「(発明の要旨)
本発明は、コードオリゴヌクレオチドタグを含む分子のライブラリーを合成する方法を提供する。この方法では、コードオリゴヌクレオチドに連結された第1のビルディングブロックを含むイニシエーターを含む溶液を多数の画分に分割(「スプリット」)する「スプリット・アンド・プール」法が利用される。それぞれの画分において、イニシエーターが、第2の特有のビルディングブロックと、また、第2のビルディングブロックを特定する第2の特有のオリゴヌクレオチドと反応する。これらの反応は同時または逐次的であることが可能であり、逐次的である場合、いずれかの反応の前に、他方の反応を行うことができる。画分のそれぞれにおいて作製されたダイマー分子が一緒にされ(「プールされ」)、その後、再び多数の画分に分割される。その後、これらの画分のそれぞれが、第3の特有の(画分特異的な)ビルディングブロック、および、ビルディングブロックをコードする第3の特有のオリゴヌクレオチドと反応させられる。生成物ライブラリーに存在する特有の分子の数は、(1)合成の各工程において使用される異なるビルディングブロックの数と、(2)プールおよび分割のプロセスが繰り返される回数との関数である。」(2頁3?16行)

(1-3)「ビルディングブロックは、相補的である任意の化学化合物が可能である。すなわち、ビルディングブロックは一緒に反応して、2つ以上のビルディングブロックを含む構造を形成しなければならない。典型的には、使用されるビルディングブロックのすべてが少なくとも2つの反応基を有する。だが、使用されるビルディングブロックの一部(例えば、オリゴマー状機能性部分における最後のビルディングブロック)は1つにつき1つだけの反応基を有することが可能である。2つの異なるビルディングブロックにおける反応基は相補的でなければならない。」(9頁下から3行?10頁4行)

(1-4)「ビルディングブロックは、機能性部分を形成させるために用いられる反応基(1つまたは複数)に加えて1つまたは複数の官能基を含むことができる。」(12頁下から6行目?5行目)

(1-5)「1つの実施形態において、最初のオリゴヌクレオチドは二本鎖であり、2つの鎖が共有結合的に連結される。2つの鎖を共有結合的に連結する1つの手段が図3に示される。図3では、結合部分が、2つの鎖と、機能性部分とを結合するために使用される。」(24頁9?12行)

(1-6)「本発明の方法の利点の1つは、本発明の方法を使用して、非常に多数の化合物を含むライブラリーを調製することができることである。ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)などの知られている方法を使用してコードオリゴヌクレオチド配列を増幅することができることは、比較的少ないコピー体が回収される場合でさえ、選択された分子を同定することができることを意味する。」(33頁10?14行)

(1-7)「好ましい実施形態において、ライブラリーは約10^(3)コピー?約10^(15)コピーの各ライブラリー成分を含む。ライブラリー成分間の合成効率の違いを考えると、異なるライブラリー成分が任意の所与のライブラリーにおいて異なる数のコピー体を有することが考えられる。従って、ライブラリーにおいて理論的に存在する各成分のコピー体の数は同じあるかもしれないが、任意の所与のライブラリー成分のコピー体の実際の数は、任意の他の成分のコピー体の数とは無関係である。」(33頁21?27行)

(1-8)「図6に示される実施形態では、いずれかの選択ラウンドの後で残っている化合物の増幅(そのような化合物のより多くのコピー体の合成)は行われない。そのような増幅は、選択後に残っている化合物の相対的な量と一致しない化合物の混合物をもたらし得る。この不一致は、特定の化合物が他の化合物よりも容易に合成されることがあり、従って、選択後のそれらの存在に比例しない様式で増幅されることがあるという事実に起因する。例えば、化合物2が化合物1よりも容易に合成されるならば、ラウンド2の後に残っている分子の増幅は、化合物1に対して化合物2の不釣り合いな増幅をもたらし、化合物2に対して化合物1の(生じるならば)はるかに低下した濃縮を伴う化合物の混合物をもたらす。」(34頁17?27行)

記載事項(1-1)の請求項27(a)及び(c)、(1-3)、並びに、(1-4)より、ビルディングブロックが少なくとも1つの相補的反応基を含み、該相補的反応基は、イニシエーター化合物を構成する機能性部分の反応基と反応し共有結合を形成することが記載されており、記載事項(1-2)より、先行して反応させたビルディングブロックに相当する後続オリゴヌクレオチドを連結させることが記載されており、さらに記載事項(1-1)の請求項105より、生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定するための方法に適用することが記載されている。

よって、引用例1には、
「生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定するための方法であって、
(A)該生物学的標的を、以下の方法により調製される化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーが該標的に結合するのに適した条件下で、該化合物ライブラリーと接触させる工程;
(B)該標的に結合しないライブラリーメンバーを除去する工程;
(C)該標的に結合する該化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程;
(D)工程(C)の該コードオリゴヌクレオチドを配列決定する工程;および
(E)工程(D)で決定された該配列を使用して、該生物学的標的に結合する該化合物ライブラリーのメンバーの機能性部分の構造を決定する工程
を包含し、
それにより、該生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定する、方法であって、

前記化合物ライブラリーを調製する方法は、
該化合物が、機能性部分の構造を同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結される、2つ以上のビルディングブロックを含む機能性部分を含み、
(a)mのイニシエーター化合物(mは1以上の整数である)を含む溶液を提供する工程であって、該イニシエーター化合物は、nの少なくとも1つの反応基を含むビルディングブロック(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなり、該機能性部分は、該nのビルディングブロックを同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に結合され、
最初のオリゴヌクレオチドは二本鎖であり、結合部分は初期機能性部分および最初のオリゴヌクレオチドの2つのストランドと共有結合している、工程;
(b)工程(a)の溶液をrの反応容器(rは2以上の整数である)に分割し、それにより、該溶液のrのアリコートを作製する工程;
(c)各反応容器における該イニシエーター化合物をrのビルディングブロック(ここで、ビルディングブロックは少なくとも1つの相補的反応基を含み、相補的反応基は、相補的反応基が共有結合を形成する反応に適当な条件下の前記機能性部分の反応基に相補的である)の1つと反応させ、それにより、該最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製する工程;および
(d)各アリコートにおける最初のオリゴヌクレオチドを、前記段階(c)のビルディングブロックに相当する後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの酵素的連結のために適した条件下で、該後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、rの異なる後続オリゴヌクレオチドの1組の中の1つと反応させる工程;
を包含し、
それにより、n+1のビルディングブロックをコードする伸長したオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる分子を含むrのアリコートを作製する、方法である、

化合物を同定するための方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開2004/069849号(以下、「引用例2」という)には、下記の事項が記載されている。(原文は、英語であるため、日本語訳で摘記する。下線は、当審が付与した。)

(2-1)「 (a) 油中水型エマルジョンを形成して、複数の水性マイクロリアクターを作製する段階であって、マイクロリアクターの少なくとも1つが単一の核酸鋳型、核酸に結合できる単一のビーズ、および核酸増幅を行なうために必要な試薬を含む増幅反応溶液を含む段階;
(b) マイクロリアクター中で核酸を増幅して、核酸の増幅されたコピーを形成する段階;および
(c) 増幅されたコピーをマイクロリアクター中のビーズに結合させる段階
を含む、1つまたは複数の核酸の増幅方法。」(41頁の請求項1)

(2-2)「発明の分野
本発明は、ビーズのような固体支持体上で、少ないコピー数の核酸鋳型を、配列決定に適した量まで増幅する方法に関する。」(1頁15?17行)

(2-3)「本発明の1つの利点は、マイクロリアクターを用いることにより、増幅された産物もしくは試薬の間の相互汚染、または1つの特定の鋳型または鋳型セットが優勢になる(例えば、PCRバイアス)ことなく、多くの異なる鋳型を同時にクローン的に、かつ別々に増幅することができるということである。」(3頁3?6行)

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「機能性部分」、「最初のオリゴヌクレオチド」及び「後続オリゴヌクレオチド」は、本願補正発明の「官能部分」、「初期オリゴヌクレオチド」及び「入力オリゴヌクレオチド」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の工程(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、本願補正発明の(A)(i)、(A)(ii)、(A)(iii)、及び、(A)(iv)の「各アリコート中の・・・ライゲーションに適した条件下で反応させ」る工程に相当する。
さらに、引用発明の、工程(d)後の「n+1のビルディングブロックをコードする伸長したオリゴヌクレオチド」は、本願補正発明(iv)の「n+1のビルディングブロックを含む官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチド」に相当する。
また、引用発明の工程(a)前の「機能性部分の構造を同定する最初のオリゴヌクレオチド」は、本願補正発明の工程(A)(iv)最後の「官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチド」に相当する。
そして、引用発明の工程(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は、それぞれ、本願補正発明の(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)に相当する。

よって、両者の、一致点・相違点は以下のとおりとなる。
一致点:「生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定する方法であって、
(A)化合物のライブラリーを合成し(ここで、化合物は、
(i)mのイニシエーター化合物を含む溶液を提供し(ここで、mは1以上の整数であり、イニシエーター化合物は、nの少なくとも1つの反応性基を含むビルディングブロックを含む官能部分(ここで、nは1以上の整数である)であって、nのビルディングブロックを同定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合するものからなり、初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドは二本鎖であり、結合部分は初期官能部分および初期オリゴヌクレオチドの2つのストランドと共有結合している);
(ii)段階(A)(i)の溶液をrの反応容器中に分割し(ここで、rは2以上の整数である)、これにより、溶液のrのアリコートを作製し;
(iii)各反応容器中のイニシエーター化合物をrのビルディングブロック(ここで、ビルディングブロックは少なくとも1つの相補反応性基を含み、相補反応性基は、相補反応性基が共有結合を形成する反応に適当な条件下の段階(A)(i)の反応性基に相補的である)の1つと反応させ、これにより、初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製し;
(iv)各アリコート中の初期オリゴヌクレオチドを、段階(A)(iii)のビルディングブロックに相当するrの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つと、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドを触媒する酵素の存在下、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドの酵素ライゲーションに適した条件下で反応させ、これにより、n+1のビルディングブロックを含む官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる分子のrのアリコートを作製すること
により官能部分の構造を同定するエンコーディングオリゴヌクレオチドと操作可能に結合する2以上のビルディングブロックを含む官能部分を含む);
(B)生物学的標的を化合物のライブラリー、またはその一部と、化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーが標的と結合するために適した条件下で接触させ;
(C)標的と結合しないライブラリーメンバーを除去し;
(D)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅し;
(E)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを配列決定し;
(F)生物学的標的と結合する化合物のライブラリーのメンバーの官能部分の構造を決定するために、段階(E)において決定された配列を使用し、これにより生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定することを含む、方法。」である点。

相違点:本願補正発明は、
「前記増幅段階が、
(i)油中水型エマルジョンを形成して、複数の水性ミクロリアクターを作製し(ここで、ミクロリアクターの少なくとも1つは、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバー、標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドと結合できる1つのビーズ、および核酸増幅を行うために必要な試薬を含有する増幅反応溶液を含む);
(ii)前記エンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを形成するために、ミクロリアクター中でエンコーディングオリゴヌクレオチドを増幅し;
(iii)ミクロリアクター中のビーズにエンコーディングオリゴヌクレオチドの増幅されたコピーを結合させることを含む」と特定されているのに対し、引用発明は、そのような特定はなされていない点。

(4)当審の判断
引用発明は、配列決定前に、標的に結合する化合物中のオリゴヌクレオチドを増幅する工程を備えた化合物の同定方法に係るものであるところ、増幅工程を備えることで、少ないコピー数であっても、選択された化合物の同定を可能とするという利点が記載される一方(記載事項(1-6))、ライブラリー成分は、それぞれ合成効率が異なることが記載され(記載事項(1-7))、ある実施形態においては、増幅した場合、選択後に残っている化合物の相対的な量と一致しない化合物の混合物をもたらすこと、すなわち、不均一な増幅がなされるという課題が記載されている(記載事項(1-8))。
一方、核酸増幅の技術分野に属する引用例2には、少ないコピー数の核酸鋳型を、配列決定に適した量まで増幅する方法に関する発明として(記載事項(2-2))、「 (a) 油中水型エマルジョンを形成して、複数の水性マイクロリアクターを作製する段階であって、マイクロリアクターの少なくとも1つが単一の核酸鋳型、核酸に結合できる単一のビーズ、および核酸増幅を行なうために必要な試薬を含む増幅反応溶液を含む段階;
(b) マイクロリアクター中で核酸を増幅して、核酸の増幅されたコピーを形成する段階;および
(c) 増幅されたコピーをマイクロリアクター中のビーズに結合させる段階
を含む、1つまたは複数の核酸の増幅方法。」という、本願補正発明の増幅段階に対応する工程を備えた方法が記載されており、その利点として、1つの特定の鋳型または鋳型セットが優勢になる(例えば、PCRバイアス)ことなく増幅できること、すなわち、不均一な増幅がなされないことも記載されている(記載事項(2-3))。
してみれば、引用発明と同じく、少ないコピー数の核酸に対し、配列決定前に核酸増幅を行う方法に係る発明であり、かつ、引用例1に記載される、不均一な増幅という課題を解決可能なことが記載される引用例2に記載の核酸増幅方法を用いて、引用発明の標的に結合する化合物ライブラリーのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、本願補正発明が、引用例1、2から予測できない格別な効果を奏するとも認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求人の主張
審判請求人は、平成25年8月19日付で提出した審判請求書の手続補正書において、以下の点イ.?ハ.を主張している。

イ.引用例1に記載の、短いオリゴヌクレオチド配列の増幅法と、引用例2に記載の長いセグメントであるゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを作製するために用いられる増幅法とを、組み合わせるということを動機付けるとは考えられない。

ロ.本願の化合物で行われるPCR反応に影響を及ぼすことが予測されうる潜在的な種々の要件によって、当業者が引用例1、2を組み合わせることは妨げられ、予期される結果をもたらすことまたは過度の実験を行うことなく成功することは期待され得ない。

ハ.引用例2に記載のエマルジョンは、本願の合成中にオリゴヌクレオチドで標識するエマルジョンではないから、引用例1、2を組み合わせても、本願の発明を実施することは容易になし得るものではない。したがって、PCR増幅などの核酸増幅により導入される偏りを排除するという本願の発明の効果もまた容易に想到され得ない。

請求人の主張について検討する。

イ.について
引用例2には、核酸の増幅方法が記載されているのであって(請求項1等)、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーの作製のみに適用可能な方法が記載されているわけではない。

ロ.について
請求人のいう潜在的な種々の要件とは、具体的にどのような要件であるのか不明であり、また、引用例1、2をみても、両者を組み合わせることが妨げられるような要件が存在するとは認められない。そして、所期の結果が得られることを期待して、引用例1、2を組み合わせることは当業者が容易になし得たことである。

ハ.について
引用例1に記載される発明(引用発明)に対し、引用例2に記載の発明を組み合わせると思い至った当業者が、引用例2に記載の「単一の核酸鋳型」として、引用発明の「標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバー」を用いることは当然である。また、核酸増幅により偏りを排除するという効果については、引用例2の記載事項(2-3)より予測される範囲内のものであるし、そもそも、本願明細書において、油中水型エマルジョンを用いた増幅工程を備えた方法の実験結果は全く記載されておらず、本願補正発明の効果が容易に想到され得ないという請求人の主張は根拠がない。

よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。

(6)小括
以上のように、本願補正発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、独立して特許を受けることができない。

3.むすび
したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するので、第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1.本願発明
平成25年7月12日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成20年6月30日付国際出願翻訳文提出書の特許請求の範囲の請求項1?47に記載された発明特定事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、以下に記載したとおりのものである。

「生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定する方法であって:
(A)化合物のライブラリーを合成し(ここで、化合物は:
(i)mのイニシエーター化合物を含む溶液を提供し(ここで、mは1以上の整数であり、イニシエーター化合物は、nのビルディングブロックを含む官能部分(ここで、nは1以上の整数である)であって、nのビルディングブロックを同定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合するものからなる);
(ii)段階(i)の溶液をrの反応容器中に分割し(ここで、rは2以上の整数である)、これにより、溶液のrのアリコートを作製し;
(iii)各反応容器中のイニシエーター化合物をrのビルディングブロックの1つと反応させ、これにより、初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製し;
(iv)各アリコート中の初期オリゴヌクレオチドを、rの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つと、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドを触媒する酵素の存在下、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドの酵素結紮に適した条件下で反応させ;これにより、n+1のビルディングブロックをエンコードする伸長されたオリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる分子のrのアリコートを作製する
ことにより官能部分の構造を特定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合する2以上のビルディングブロックを含む官能部分を含む);
(B)生物学的標的を化合物のライブラリー、またはその一部と、化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーが標的と結合するために適した条件下で接触させ;
(C)標的と結合しないライブラリーメンバーを除去し;
(D)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを配列決定し;
(E)生物学的標的と結合する化合物のライブラリーのメンバー,の官能部分の構造を決定するために、段階(D)において決定された配列を使用し、これにより生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定することを含む方法。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例1
引用例1には、上記第2 2.(1)で摘記した記載事項(1-1)、(1-8)が記載されており、記載事項(1-1)より、引用例1には、
「生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定するための方法であって、
(A)該生物学的標的を、以下の方法により調製される化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーが該標的に結合するのに適した条件下で、該化合物ライブラリーと接触させる工程;
(B)該標的に結合しないライブラリーメンバーを除去する工程;
(C)該標的に結合する該化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程;
(D)工程(C)の該コードオリゴヌクレオチドを配列決定する工程;および
(E)工程(D)で決定された該配列を使用して、該生物学的標的に結合する該化合物ライブラリーのメンバーの機能性部分の構造を決定する工程
を包含し、
それにより、該生物学的標的に結合する1個以上の化合物を同定する、方法であって、

前記化合物ライブラリーを調製する方法は、
該化合物が、機能性部分の構造を同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結される、2つ以上のビルディングブロックを含む機能性部分を含み、
(a)mのイニシエーター化合物(mは1以上の整数である)を含む溶液を提供する工程であって、該イニシエーター化合物は、nのビルディングブロック(nは1以上の整数である)を含む機能性部分からなり、該機能性部分は、該nのビルディングブロックを同定する最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に結合される、工程;
(b)工程(a)の溶液をrの反応容器(rは2以上の整数である)に分割し、それにより、該溶液のrのアリコートを作製する工程;
(c)各反応容器における該イニシエーター化合物をrのビルディングブロックの1つと反応させ、それにより、該最初のオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製する工程;および
(d)各アリコートにおける最初のオリゴヌクレオチドを、後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの酵素的連結のために適した条件下で、該後続オリゴヌクレオチドと該最初のオリゴヌクレオチドとの連結を触媒する酵素の存在下、rの異なる後続オリゴヌクレオチドの1組の中の1つと反応させる工程;
を包含し、
それにより、n+1のビルディングブロックをコードする伸長したオリゴヌクレオチドに操作可能に連結されたn+1のビルディングブロックを含む機能性部分からなる分子を含むrのアリコートを作製する、方法である、

化合物を同定するための方法」の発明(以下、「引用発明’」という。)が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用発明’とを対比する。
引用発明’の「機能性部分」、「最初のオリゴヌクレオチド」及び「後続オリゴヌクレオチド」は、本願発明の「官能部分」、「初期オリゴヌクレオチド」及び「入力オリゴヌクレオチド」にそれぞれ相当する。
また、引用発明’の工程(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、本願発明の(A)(i)、(A)(ii)、(A)(iii)、及び、(A)(iv)の「各アリコート中の・・・結紮に適した条件下で反応させ」る工程に相当する。
そして、引用発明’の工程(A)、(B)、(D)及び(E)は、それぞれ、本願発明の(B)、(C)、(D)及び(E)に相当する。

よって、両者は、
「生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定する方法であって:
(A)化合物のライブラリーを合成し(ここで、化合物は:
(i)mのイニシエーター化合物を含む溶液を提供し(ここで、mは1以上の整数であり、イニシエーター化合物は、nのビルディングブロックを含む官能部分(ここで、nは1以上の整数である)であって、nのビルディングブロックを同定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合するものからなる);
(ii)段階(i)の溶液をrの反応容器中に分割し(ここで、rは2以上の整数である)、これにより、溶液のrのアリコートを作製し;
(iii)各反応容器中のイニシエーター化合物をrのビルディングブロックの1つと反応させ、これにより、初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる化合物を含むrのアリコートを作製し;
(iv)各アリコート中の初期オリゴヌクレオチドを、rの独立した入力オリゴヌクレオチドの組の一つと、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドを触媒する酵素の存在下、入力オリゴヌクレオチドおよび初期オリゴヌクレオチドの酵素結紮に適した条件下で反応させ;これにより、n+1のビルディングブロックをエンコードする伸長されたオリゴヌクレオチドと操作可能に結合したn+1のビルディングブロックを含む官能部分からなる分子のrのアリコートを作製する
ことにより官能部分の構造を特定する初期オリゴヌクレオチドと操作可能に結合する2以上のビルディングブロックを含む官能部分を含む);
(B)生物学的標的を化合物のライブラリー、またはその一部と、化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーが標的と結合するために適した条件下で接触させ;
(C)標的と結合しないライブラリーメンバーを除去し;
(D)標的と結合する化合物のライブラリーの少なくとも1つのメンバーのエンコーディングオリゴヌクレオチドを配列決定し;
(E)生物学的標的と結合する化合物のライブラリーのメンバー,の官能部分の構造を決定するために、段階(D)において決定された配列を使用し、これにより生物学的標的と結合する1以上の化合物を同定することを含む方法。」である点で一致する。

一方、本願発明は、増幅工程を備えていないのに対し、引用発明’は、「(C)該標的に結合する該化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程」を備えている点で一応相違する。

しかしながら、本願発明は、「・・・同定することを含む方法。」であり、本願発明で特定される(A)?(E)の工程以外の工程も包含しうるものであるから、引用発明’の「(C)該標的に結合する該化合物ライブラリーの少なくとも1つのメンバーのコードオリゴヌクレオチドを増幅する工程」を有する発明も包含しており、上記相違点は実質的な相違ではない。

したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第4 まとめ
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その余の請求項について言及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-07 
結審通知日 2014-10-14 
審決日 2014-10-30 
出願番号 特願2008-537851(P2008-537851)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C12Q)
P 1 8・ 575- Z (C12Q)
P 1 8・ 113- Z (C12Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐久 敬柴原 直司  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 田中 晴絵
中島 庸子
発明の名称 エンコードされたライブラリーを用いて興味のある化合物を同定する方法  
代理人 田村 恭生  
代理人 品川 永敏  
代理人 鮫島 睦  
代理人 水原 正弘  
代理人 森本 靖  
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