• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1299011
審判番号 不服2013-35  
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-01-04 
確定日 2015-03-25 
事件の表示 特願2006- 89224「H3型ウマA型インフルエンザウイルス」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月11日出願公開、特開2007-259758〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成18年 3月28日の出願であって、主な経緯は次のとおりである。

平成24年 8月30日 拒絶査定
平成25年 1月 4日 審判請求書・手続補正書
平成25年 3月25日 前置報告書
平成26年 5月 7日 審尋
平成26年 9月30日 回答書

第2 本願発明

本願請求項1?40に係る発明は、平成25年 1月 4日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?40に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。そのうち、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「配列番号1を有するポリペプチドをコードするHA遺伝子断片、又は位置78のバリンもしくは位置159のアスパラギンを有さない配列番号1と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するHAをコードするHA遺伝子断片を含む、単離H3ウマインフルエンザウイルス。」

第3 引用例

1.引用例の記載事項

原査定の拒絶理由で引用され,本願出願前に頒布された刊行物であるJ.Vet.Intern.Med.,Vol.18(2004)p.132-134(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
なお、翻訳は当審によるものであり、下線は当審が付与したものである。

(1)「鼻汁試料中のウマヘルペスウイルス(EHV)-1及びEHV-4の存在に関するリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)評価;ウマウイルス性動脈炎ウイルスへの曝露があるかを決定する血清試験;及びDirectigen Flu Aアッセイ^(b)、並びにインフルエンザウイルスの存在を試験するための鼻汁試料からのウイルス単離のみならず、完全なかつ組織病理学的解剖検査も行った。」(132頁右欄下から12?5行目)

(2)「H3-サブタイプウマインフルエンザウイルスとしてのウイルスの同定は、以前に記述された^(5)プライマーを用いた、卵の単離物からの血球凝集(HA)遺伝子の逆転写-PCR増幅、その後のHA遺伝子の完全長タンパク質コード領域のサイクルシークエンシング、並びにGenBankで利用できるウイルス配列に対する一対一の比較によって確認された^(c)。さらに、このウイルスは、1,000ブートストラップ複製の高速発見的検索法で参照ウイルス株と比較されたウイルスのHA配列の最大構文ブートストラップ解析^(d)を使用した系統発生解析によって、北アメリカ系H3ウマインフルエンザウイルスに由来することが示された。ウイルスの非構造的タンパク質遺伝子(544ヌクレオチドが配列決定された)及びNP遺伝子(885ヌクレオチドが配列決定された)のヌクレオチド配列部分に関する同様の解析によりさらに、北アメリカ系ウマインフルエンザウイルスとしてウイルスの一致を確認した。このウイルスは、A/Equine/Wisconsin/1/03として今定義される。」(133頁左欄下から14行目?右欄4行目)

2.引用例に記載の発明

引用例の摘記事項(1)及び(2)の下線部分を整理すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「A/Equine/Wisconsin/1/03として定義されている、単離H3-サブタイプウマインフルエンザウイルス。」

第4 対比・判断

まず、本願の発明の詳細な説明の【0091】の1?5行目には「図1Aは、A/Equine/Wisconsin/1/03の配列を示す。配列番号1?8、17及び18は、各々、A/Equine/Wisconsin/1/03のHA、NA、PB1、PB2、PA、NP、M1、NS1、M2及びNS2の推定アミノ酸配列を示す。」と記載されており、配列番号1のアミノ酸配列はA/Equine/Wisconsin/1/03に由来するHAのアミノ酸配列であるから、本願発明の「配列番号1を有するポリペプチドをコードするHA遺伝子断片、又は位置78のバリンもしくは位置159のアスパラギンを有さない配列番号1と少なくとも98%のアミノ酸配列同一性を有するHAをコードするHA遺伝子断片を含む、単離H3ウマインフルエンザウイルス」には、A/Equine/Wisconsin/1/03が包含されることは明らかである。

その上で、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明の単離H3ウマインフルエンザウイルスはA/Equine/Wisconsin/1/03を明らかに包含し、引用発明はA/Equine/Wisconsin/1/03として定義されている単離H3-サブタイプウマインフルエンザウイルスなのであるから、両者に相違点は存在しない。

したがって、本願発明は引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないので、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-10-22 
結審通知日 2014-10-28 
審決日 2014-11-12 
出願番号 特願2006-89224(P2006-89224)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白井 美香保  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 中島 庸子
三原 健治
発明の名称 H3型ウマA型インフルエンザウイルス  
代理人 青木 篤  
代理人 武居 良太郎  
代理人 古賀 哲次  
代理人 中村 和美  
代理人 福本 積  
代理人 渡辺 陽一  
代理人 石田 敬  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ