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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1299749
審判番号 不服2013-24618  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-13 
確定日 2015-04-08 
事件の表示 特願2009-515956号「皮膚処理用装置及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年12月27日国際公開、WO2007/148090、平成21年11月26日国内公表、特表2009-540901号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成19年6月21日(パリ条約による優先権主張 2006年6月22日、英国)を国際出願日とする出願であって、平成24年8月14日付けで拒絶の理由が通知され、平成25年1月21日付けで意見書及び手続補正書が提出された。その後、平成25年2月13日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成25年7月19日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、平成25年8月8日付けで、平成25年7月19日付けの手続補正書について補正却下の決定がされるとともに、拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に特許請求の範囲及び明細書についての手続補正がなされたものである。
第2 平成25年12月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成25年12月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「体毛の除去、体毛の成長の防止および減退の少なくとも1つを行うために、人間または動物の皮膚を処理するための体毛処理装置であって、
軸に沿って光ビームを照射するための光源と、
前記皮膚を横切って前記光ビームを偏向させるためのビーム偏向手段と、を有し、
前記ビーム偏向手段は、
前記光ビームが入射するとともに、前記光ビームを通過させて前記皮膚の標的部位で前記光ビームを集光させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された集束レンズと、
前記光ビームと交差する平面内で、前記集束レンズに入射する前記光ビームに対する少なくとも2つの直交方向に前記集束レンズを移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段と、
前記光ビームを偏向させるために前記駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、予めプログラムされた前記直交方向の移動を行うように前記駆動手段を制御することにより、前記皮膚に対して前記光ビームを走査して処理領域を処理する、ことを特徴とする装置。」(下線部は補正箇所。)
と補正された。

2.補正の目的及び新規事項の追加の有無
本件補正は、平成25年1月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ビーム偏向手段」の構成要素である「前記光ビームを通過させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された屈折手段」を「前記光ビームが入射するとともに、前記光ビームを通過させて前記皮膚の標的部位で前記光ビームを集光させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された集束レンズ」と限定するとともに、発明を特定するために必要な事項である「ビーム偏向手段」の構成要素である「少なくとも2つの直交方向に前記屈折手段を移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段」を「前記光ビームと交差する平面内で、前記集束レンズに入射する前記光ビームに対する少なくとも2つの直交方向に前記集束レンズを移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段」と限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではなく、特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。

3.独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3-1.引用文献の記載事項
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である、特表2005-502385号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本発明は、色々な療法のため電磁放射線(EMR)を使用する方法及び装置、より具体的には、空間的に密閉され且つ集中させたEMRを使用して予備領域により実質的に取り巻かれた治療領域又は損傷領域を形成することで皮膚科的治療を行う方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
色々な形態の電磁放射線、特に、コヒーレント及び非コヒーレントの双方の光学放射線は、永年に亙って多様な医療治療のため、特に、皮膚科学治療のため利用されている。かかる治療は、望ましくない毛の除去、皮膚の若返り、血管病変部の除去、アクネの治療、セリュライトの治療、色素沈着病変部及び乾癬、刺青の除去、皮膚及びその他の癌の治療等を含むが、これらにのみ限定されるものではない。・・・」(段落【0001】?【0002】。)

イ 「【0019】
最初に、図22A及び図22Bを参照すると、患者の皮膚200の一部分が図示されており、該部分は、真皮204の上方に位置する表皮202を含んでおり、表皮と真皮との接合部は、真皮-表皮(DE)接合部206として説明する。患者の皮膚の深さdに配置され且つ領域Aを有する治療容積Vも図示されている。治療容積Vは、破壊し又は除去すべき1つ又は2つ以上の血管病変部を含み、また、恒久的に破壊するか又は一時的な除毛となるように少なくとも損傷させるべき又は毛を成長させるため刺激すべき複数の毛包を含み、DE接合部の下方の領域内にあり、例えば、再成長を刺激するため特に皮膚の若返り及び皺取りのため、一時的に破壊することによるような色々な手段によって再生すべきコラーゲンを含み、除去すべき黒色腫、血管病変部、色素沈着病変部、ポートワインあざ、乾癬、瘢痕又は除去すべきその他の皮膚の傷又は刺青又は光学皮膚科的方法を行うべき何らかのその他の身体構成要素を含むことができる。
【0020】
光学放射線を容積Vに供給するシステム208も図示されている。システム208は、固相レーザ、色素レーザ、ダイオードレーザ、ファイバレーザのようなコヒーレントな光源又はその他のコヒーレントな光源とし又は例えば、皮膚科的方法にて光学放射線を供給するために使用されるフラッシュランプ、ハロゲンランプ、電球又はその他の非コヒーレントな光源とすることができるEMR光源210を備えている。適宜な用途にて音波、RF又はその他のEMR源を採用することもできる。源210からの出力は、図22Bに図示するように、患者の皮膚の表面と接触した供給ヘッドの形態をすることが好ましい光学系212に印加される。音波、RF又はその他の非光学EMF源が源210として使用される場合、システム212は、例えば、位相配列のようなかかるEMRを集中又は集束させる適宜なシステムとし、「光学系」という語は、該当する場合、かかるシステムを含むよう解釈されるべきである。
【0021】
光学系212の色々な実施の形態が以下に説明され且つ色々な図面に図示されている。全体として、システム212は、源210から放射線を受け取り且つ該放射線を容積Vの選ばれた1つ又は2つ以上の治療部分すなわちターゲット部分214に向けられた1つ又は2つ以上の集束ビーム222となるように集束し/集中させる作用を果たし、この焦点は領域A内の深さd及び空間的なものである。このように、印加されたEMRのエネルギは集中されてより多量のエネルギをターゲット部分214に供給する。システムのパラメータに依存して、部分214は、選ばれた直径、厚さの円筒体、球又は楕円体とし、また、1つの実施の形態の場合、四角形又は矩形の断面を有することができる。各形状の部分は、容積Vを貫通して伸びるか又はその単一の層又は偏心層にて形成することができる。ターゲット部分214はまた、(a)容積Vを貫通して伸び、容積V内で薄い単一層として形成されるか又は容積の偏心層にて形成することのできる比較的狭小なストリップとし、又は(b)容積V内に形成された1つ又は2つ以上の薄層とすることができる。以下により詳細に説明するように、光学系212は、全ての又は選ばれた部分214の群に同時に集束し、深さdに集束された放射線を連続的な部分214に移動させる何らかの型式の光学又は機械-光学スキャナを保持するか又は深さdに集束され且つ容積Vを亙って手動で又は適宜な二次元的又は三次元的(深さを含む)位置決め機構の何れかにより皮膚表面を物理的に移動させて放射線を所望の連続的な部分214に向けることができる。後者の2つの実施の形態の場合、この動作は、集束すべき部分から部分に直接行うか、又はこの動作は、例えば、格子パターンのような標準的なパターンにて行い、所望の部分214の上に来たときにのみ、EMR源を作動させることができる。」(段落【0019】?【0021】。)

ウ 「【0023】
システム208は、例えば、患者の皮膚の選ばれた特徴に対するCCDカメラ又はその他の適宜な検出器とすることのできる光学検出器216も備えている。検出器216からの出力は、典型的に、適宜にプログラム化したマイクロプロセッサであるが、特殊目的のハードウェア又はハードウェア及びソフトウェアの複合体とすることのできる制御装置218に付与される。制御装置218は、源210の作動及び不作動の双方を制御し、また、放射線のパワー特性線を制御することもできる。制御装置218はまた、例えば、光学系の焦点深さを制御し且つ例えば、光学系及び(又は)放射されるビームによって走査を制御することにより、任意の所望の時点にて放射線が集束/集中される1つの部分又は複数の部分214を制御し得るように光学系212にも適用される。最後に、制御装置218は、冷却要素215に適用されて予冷却及び照射時の双方にて、容積Vの上方の皮膚の温度及び冷却時間の双方を制御する。」(段落【0023】。)

エ 「【0036】
制御装置218は、ターゲット容積V内の選んだ部分214にて集束するよう予めプログラム化することができる一方、別の選択は、検出器216を使用して機械的に得られ、又は全体として光学的に操作者によって得られるが、触覚又は聴覚のような操作者のその他の感覚を使用して得ることのできるフィードバックを使用して、集束される容積V内の部分214を制御することである。例えば、検出器216がCCD画像装置であると想定すれば、容積V内の毛包、血管病変部又はその他のターゲット構成要素の位置を探知し、集束ビーム222によってかかる構成要素の位置に特に向けることができる。このように、除毛治療であると想定すれば、検出器216は容積Vの上方の表面にて毛包の各々の位置を探知し、次に、例えば、軸細胞が配置される1mmの深さのような選んだ深さにてかかる毛包の各々に対しビーム222を集束させることができる。ビームはまた、例えば、0.7乃至3mmだけ、毛包に沿って深い深さまで集束させ、例えば、毛包を取り巻く組織を著しく熱的に損傷させずに又は毛包基質を損傷させずに、毛包軸細胞を破壊し、恒久的又はほぼ恒久的に除毛するのに必要な毛包内の全ての要素を確実に破壊することも可能である。この結果は、上述した冷却技術が利用され、冷却効果が治療容積Vの下方まで伸び、そのためターゲットとされた毛包の各々が冷却した皮膚組織によって取り巻かれるようにするならば、最も容易に実現される。
【0037】
治療を受ける血管又はその他の血管構造体を追跡し又はコラーゲンの再生(restructuring)により治療すべき1つ又は複数の皺を追跡するためにフィードバックを使用することもできる。更に、集束ビーム222は、制御装置218に検出器216からの出力に応答して自動的に配置することができる一方、かかるフィードバックは、また、光学系212の位置を手操作で調節し、毛包、血管構造体、皺等を追跡し且つ治療するために操作者が操作することもできる。」(段落【0036】?【0037】。)

オ.「【0048】
図1乃至図21には、光学系212にて使用するのに適した色々な光学構成要素が図示されている。これら図面において、図1乃至図9Bには、複数のターゲット部分214に対し平行に放射線を供給する各種のシステムが図示されている。これら図面の配列は、典型的に、特定の深さdに対し固定された焦点配列である。この深さは、異なる焦点深さを有する異なる配列を使用し、患者の皮膚又はターゲット容積Vの表面に対する配列の位置を選択的に変更し、又は放射線の波長を制御することにより変更することができる。図10乃至図13には、図14乃至図19の走査又は偏向器システムと共に使用してターゲット容積V内の1つ又は2つ以上の連続的な集束部分214を動かすことのできる色々な対物レンズ配列が図示されている。最後に、図20及び図21には、例えば、その上の連続的な部分214を照射するため、患者の皮膚上を機械的に又は手操作で移動させることができる2つの異なる可変焦点の光学系が図示されている。」(段落【0048】。)

カ.「【0064】
図16、図16Aには、2ミラーの走査システムが図示されている。図16に図示したより簡単な形態の場合、走査ミラー67は、角度f2に亙って回転し、走査ミラー62は角度f1に亙って回転する。ビーム63は、最初にミラー67に入射し且つミラー67によってミラー62に反射され、該ミラーから光学レンズ43の面41に反射される。図16Aにおいて、集束ビームの開口数を増大させ、皮膚上の作用領域を増大させ且つ走査ミラー62、67の間の収差を減少させるため、対物レンズ106がミラーの間に挿入される。この図面には簡単な1対の対物レンズ106が図示されているが、より複雑な対物レンズを採用することができる。対物レンズ106は、ビームを走査ミラー67の中心から走査ミラー62の中心まで屈折させる。
【0065】
図17において、方向sに向けて可動である走査レンズ70によって走査が行われる。走査レンズ70が偏心位置73まで移動すると、光学面68は光線を光軸71に沿って方向72に向けて屈折させる。
【0066】
図18において、レンズ76を、例えば、位置77まで回転させることにより走査が行われる。面74は平坦面であり、面75は、屈折した光軸72の方向に影響を与えないように選ばれる。図19において、点光源又は光ファイバ65を方向sに向けて動かすことにより走査が行われる。」(段落【0064】?【0066】。)

キ.FIG.14ないしFIG.16にはミラーを用いた走査機構が図示され、FIG.17及びFIG.18には光軸軸に沿って照射された光ビームを、レンズを移動させることにより偏向させ、集束部分を移動させる走査機構が図示されており、FIG.17には、走査レンズ70と対物レンズ43によって光を集束させるレンズ配列のうち、その1つである走査レンズ70を光軸と交差するS方向に移動して光を屈折させ、光走査を行う態様が看取される。

上記記載事項アないしカ、及び、図示内容キから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数の毛包を含む治療容積Vの選ばれた1つ又は2つ以上の治療部分すなわちターゲット部分214の毛包を恒久的に破壊するか又は損傷させて、除毛治療を行う装置であって、
ダイオードレーザ等の、軸に沿って光ビームを照射するための光源と、
光源から放射線を受け取り且つ該放射線を治療容積Vの1つ又は2つ以上の治療部分すなわちターゲット部分214に向けられた集束ビーム222となるように集束し/集中させる光学系212と、
制御装置218、とからなり、
制御装置218は、検出器216からの出力に応答して光学系の走査を制御することにより集束ビーム222を、自動的に配置することができ、これにより、
光学系212は、深さdに集束され且つ容積Vを亙って適宜な二次元的位置決め機構により皮膚表面を物理的に移動させて放射線を所望の連続的な部分214に向けることができるものであり、
かつ、光学系212は、光を集束させ集束部分を動かすことができる対物レンズ配列であって、走査レンズ70を備え、走査レンズを光軸と交差するS方向に移動させて光走査を行う装置。」

3-2.対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者における「複数の毛包を含む治療容積Vの選ばれた1つ又は2つ以上の治療部分すなわちターゲット部分214の毛包を恒久的に破壊するか又は損傷させて、除毛治療を行う」ことは、前者の「体毛の除去、体毛の成長の防止および減退の少なくとも1つを行うために、人間または動物の皮膚を処理する」ことに相当するから、後者の「除毛治療を行う装置」は、前者の「体毛処理装置」に相当する。
後者の走査レンズ70を備えた「光学系212」は、制御装置218の制御のもとに、深さdに集束された集束ビームを皮膚表面を物理的に移動させて放射線を所望の連続的な部分214に向けるものであり、「制御装置218」は、光走査を制御するものであるから、「光学系212」の走査レンズを光軸と交差するS方向に移動させるための駆動手段を備え、それを制御して光ビームを偏向させていると認められ、後者の「光学系212」及び「制御装置218」は、前者の「ビーム偏向手段」に相当する。
また、後者の「光源」が、軸に沿って光ビームを照射するための光源であることは明らかである。
また、後者の「対物レンズ配列」は、光を集束させ集束部分を動かすことができるものであるから、前者の「集束レンズ」に相当し、かつ、対物レンズ配列を構成する走査レンズが光軸と交差するS方向に移動させて光走査を行うものであるから、後者の「対物レンズ配列」と、前者の「集束レンズ」とは、「光ビームが入射するとともに、光ビームを通過させて皮膚の標的部位で光ビームを集光させ、軸と交差する平面内で、集束レンズを構成する部材を移動できるように搭載された集束レンズ」という限りで一致する。
さらに、両者の駆動手段は、その機能から「光ビームと交差する平面内で、集束レンズを構成する部材を移動させて、光ビームを偏向させるための駆動手段」という限りで一致する。
そうすると、両者は、
「体毛の除去、体毛の成長の防止および減退の少なくとも1つを行うために、人間または動物の皮膚を処理するための体毛処理装置であって、
軸に沿って光ビームを照射するための光源と、
前記皮膚を横切って前記光ビームを偏向させるためのビーム偏向手段と、を有し、
前記ビーム偏向手段は、
前記光ビームが入射するとともに、前記光ビームを通過させて前記皮膚の標的部位で前記光ビームを集光させ、前記軸と交差する平面内で、集束レンズを構成する部材を移動できるように搭載された集束レンズと、
前記光ビームと交差する平面内で、前記集束レンズを構成する部材を移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段と、
前記光ビームを偏向させるために前記駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記駆動手段を制御することにより、前記皮膚に対して前記光ビームを走査して処理領域を処理する装置。」である点で一致しており、次の点で相違する。

(相違点1)
「光ビームを偏向させるための駆動手段」において、前者は、「光ビームと交差する平面内で、少なくとも2つの直交方向に集束レンズを移動させて」いるのに対し、後者においては、光ビームと交差する平面内で、交差する方向に集束レンズを移動させているが、光ビームに対する少なくとも2つの直交方向に移動させているか明らかでない点。
(相違点2)
「光ビームを偏向させるための駆動手段」において、前者は、収束レンズを移動させているのに対し、後者は、駆動手段が駆動する部材が、集束レンズそのものを移動させるのではなく、収束レンズを構成する部材である走査レンズを移動させている点。

(相違点3)
「制御手段」において、前者は、「予めプログラムされた前記直交方向の移動を行うように前記駆動手段を制御する」のに対し、後者においては、予めプログラムされた直交方向の移動を行うのか明らかでない点。

相違点1について検討する。
レーザ光を皮膚に照射して、トリートメントを行うレーザトリートメント装置において、レーザ光の走査を光ビームと交差する平面内で、2つの直交方向において行うことは、国際公開WO00/53261号(例えば、Fig.5、Fig.7のスキャンパターン参照。)、国際公開WO2004/007022号(例えば、Fig.5、Fig.8等参照。)、特開2003-79752号公報(段落【0036】?【0037】、【図6】)に記載されているように周知の技術手段であり、また、引用文献1の段落【0021】にも、集束された放射線を二次元的に皮膚表面を移動させることが示唆されていることから、引用文献1に接した当業者が、治療対象の皮膚表面に、集束させた放射線を、少なくとも2つの直交方向に集束レンズを移動させるように構成する程度のことは、容易に想到し得る程度のことにすぎない。

次に、相違点2について検討する。
引用発明や本願発明のような光を皮膚に照射して脱毛等の処置を行う装置において、光の集束位置を移動させるためそのレンズを移動する構成において、移動させるレンズを、集束レンズを構成するレンズの一部ではなく、集束レンズを一体として移動させる程度のことは、例えば、特開2003-79752号公報に記載されているように周知の事項であるといえ、集束レンズのレンズ配列や構成等を考慮し、集束レンズを一体として移動させる程度のことは当業者が容易に想到し得る程度のことにすぎない。

相違点3について検討する。
レーザ光を皮膚に照射して、トリートメントを行うレーザトリートメント装置において、レーザの走査を予めプログラムされた直交方向の移動を行うように駆動手段を制御することにより行うことは 、国際公開WO00/53261号(29頁24行?30頁2行等参照。)、国際公開WO2004/007022号(28頁4行?35行)、特開2003-79752号公報の段落(【0036】?【0037】、【図6】)から、周知の事項であり、引用文献1に接した当業者であれば、当該周知の事項を引用発明に適用して、相違点3に係る本願補正発明のようにする程度のことは容易に想到し得たものである。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3-4.むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、拒絶査定時の特許請求の範囲の請求項1(平成25年1月21日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1)に記載された、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「体毛の除去、体毛の成長の防止および減退の少なくとも1つを行うために、人間または動物の皮膚を処理するための体毛処理装置であって、
軸に沿って光ビームを照射するための光源と、
前記皮膚を横切って前記光ビームを偏向させるためのビーム偏向手段と、を有し、
前記ビーム偏向手段は、
前記光ビームを通過させて前記皮膚の標的部位で前記光ビームを集光させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された屈折手段と、
前記光源に対して、少なくとも2つの直交方向に前記屈折手段を移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段と、
前記光ビームを偏向させるために前記駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、予めプログラムされた前記直交方向の移動を行うように前記駆動手段を制御することにより、前記皮膚に対して前記光ビームを走査して処理領域を処理する、
ことを特徴とする装置。」

第4 引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2 3-1に記載したとおりである。

第5 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、「ビーム偏向手段」の構成要素である「光ビームが入射するとともに、前記光ビームを通過させて前記皮膚の標的部位で前記光ビームを集光させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された集束レンズ」を「光ビームを通過させ、前記軸と交差する平面内で移動できるように搭載された屈折手段」とその限定事項の一部を省いて拡張し、「ビーム偏向手段」の構成要素である「光ビームと交差する平面内で、前記集束レンズに入射する前記光ビームに対する少なくとも2つの直交方向に前記集束レンズを移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段」を、「少なくとも2つの直交方向に前記屈折手段を移動させて、前記光ビームを偏向させるための駆動手段」と、その限定事項の一部を省いて拡張したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項をさらに限定したものに相当する本願補正発明が上記したとおり、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び、周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が特許を受けることができないものである以上、本願の請求項2?11に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2014-11-07 
結審通知日 2014-11-11 
審決日 2014-11-25 
出願番号 特願2009-515956(P2009-515956)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武山 敦史  
特許庁審判長 山口 直
特許庁審判官 蓮井 雅之
松下 聡
発明の名称 皮膚処理用装置及び方法  
代理人 水野 勝文  
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