• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1300003
審判番号 不服2014-9008  
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-15 
確定日 2015-04-23 
事件の表示 特願2009-235475「過給機」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月21日出願公開、特開2011- 80453〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年10月9日の出願であって、平成25年7月23日付けで拒絶理由が通知されたのに対し、平成25年9月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成25年10月8日付けで最後の拒絶理由が通知されたのに対し、平成25年11月18日に意見書が提出され、再度、平成25年12月2日付けで最後の拒絶理由が通知されたのに対し、平成26年1月27日に意見書が提出されたが、平成26年2月13日付けで拒絶査定がされ、平成26年5月15日に拒絶査定に対する審判請求がされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成25年9月25日に提出された手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲並びに出願時に願書に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「 【請求項1】
略円環状の凹部と、当該凹部の径方向外側に形成されると共に複数の雌ネジ部が前記凹部に沿って所定間隔で形成された略円環状の平面部と、を備えるタービンハウジングと、
前記凹部に嵌合する略円環状の鍔部を備える軸受ハウジングと、
複数の締結ボルトと、
前記締結ボルトがそれぞれ挿通される貫通部が複数形成され、前記締結ボルトが前記雌ネジ部に羅合することにより前記タービンハウジングとの間で前記鍔部を挟持して前記タービンハウジングと前記軸受ハウジングとを一体に締結する締結部材と、を備え、
前記締結部材は、間隔を空けて配置される一対の円弧状部材であり、
前記貫通部は、前記タービンハウジングの熱膨張に伴う前記雌ネジ部の位置変化に応じた形状となっていることを特徴とする過給機。」

3.引用文献
(1)引用文献の記載
本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である実願昭53-40100号(実開昭54-143916号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。)には、「過給機用ロツクプレート」に関し、図面とともに次の記載がある。

(ア)「本考案は、過給機のセンタハウジングとコンプレツサおよびタービンハウジングとを固定する際に用いるロツクプレートに関するものである。
過給機のコンプレツサおよびタービンハウジングのエア吐出口および排気ガス入口部はセンタハウジングの上下方向に対して任意である必要があり、一般にはこのコンプレツサ、タービンハウジングはセンタハウジングに対して任意の角度に固定できるようになつている。
そしてセンタハウジングに対するコンプレツサ、タービンハウジングの固定は第1図から第3図に示すように、コンプレツサハウジング(およびタービンハウジング)aに螺合するボルトbにてセンタハウジングcに当接するロツクプレートdを締め付けることによりなされるようになつている。このときコンプレツサハウジングaの座面に対してセンタハウジングcのフランジ面との間は段状になつていてロツクプレートdはこの段部高さHだけ傾斜された状態で締め付けられ、センタハウジングcのフランジ角部とロツクプレートdとの接触部eにおける摩擦力で固定されている。」(明細書第1ページ第15行ないし第2ページ第17行)

(2)引用文献記載の事項
上記(1)(ア)及び第1図ないし第3図の記載から、以下の事項が分かる。

(イ)第2図において、タービンハウジングaの外形が湾曲して描かれていること、及び上記(1)(ア)に、「タービンハウジングはセンタハウジングに対して任意の角度に固定できるようになつている」と記載があることから、タービンハウジングaの外形が略円形を成していることが分かり、第1図において、タービンハウジングaを紙面上の右側から見たときに、タービンハウジングaは、略円環状の凹所と、当該凹所の径方向外側に形成されると共に複数の雌ネジが形成された略円環状の平面とを備えることが看取できる。

(ウ)第1図において、センタハウジングcを紙面上の左側から見たときに、センタハウジングcは、前記凹所に嵌合する略円環状の鍔を備えることが看取できる。

(エ)第1図ないし第3図において、ロツクプレートdは、複数のボルトbがそれぞれ挿通される貫通孔が複数形成され、前記ボルトbがタービンハウジングaに形成された雌ネジに螺合することにより、前記タービンハウジングaとの間で前記鍔を挟持して前記タービンハウジングaと前記センタハウジングcとを接触部eにおける摩擦力で固定するものであることが看取できる。

(オ)第2図及び第3図において、前記雌ネジは、ロックプレートdに形成された貫通孔に合わせて設けられていることが分かるから、前記雌ネジは、略円環状の前記平面に、前記凹所に沿って所定間隔で形成されたものであることが分かる。

(カ)上記(1)(ア)及び第1図ないし第3図の記載から、引用文献の第1図ないし第3図に記載された過給機は、タービンハウジングaと、センタハウジングcと、ボルトbと、ロツクプレートdとを備えるものであることが分かる。

(キ)第2図において、ロツクプレートdの下辺は、センタハウジングcの略円環状の鍔に沿って湾曲しており、ロツクプレートdは、全体として円弧状をしていることが看取できる。

(ク)第3図において、前記貫通孔は、ボルトbに対して幾分大きめの径を有するものであることが看取できる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに第1図ないし第3図の記載から、引用文献には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「略円環状の凹所と、当該凹所の径方向外側に形成されると共に複数の雌ネジが前記凹所に沿って所定間隔で形成された略円環状の平面とを備えるタービンハウジングaと、
前記凹所に嵌合する略円環状の鍔を備えるセンタハウジングcと、
複数のボルトbと、
前記ボルトbがそれぞれ挿通される貫通孔が複数形成され、前記ボルトbが前記雌ネジに螺合することにより前記タービンハウジングaとの間で前記鍔を挟持して前記タービンハウジングaと前記センタハウジングcとを接触部eにおける摩擦力で固定するロツクプレートdと、を備え、
前記ロツクプレートdは、円弧状をしており、
前記貫通孔は、前記ボルトbに対して幾分大きめの径を有する過給機。」

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「凹所」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願発明における「凹部」に相当し、以下同様に、「雌ネジ」は「雌ネジ部」に、「平面」は「平面部」に、「タービンハウジングa」は「タービンハウジング」に、「鍔」は「鍔部」に、「センタハウジングc」は「軸受ハウジング」に、「ボルトb」は「締結ボルト」に、「貫通孔」は「貫通部」に、「螺合」は「羅合」に、「ロツクプレートd」は「締結部材」に、「過給機」は「過給機」に、それぞれ相当する。
また、引用発明においてロツクプレートdが「タービンハウジングaとセンタハウジングcとを接触部eにおける摩擦力で固定する」ことは、その技術的意義からみて、本願発明において締結部材が「タービンハウジングと軸受ハウジングとを一体に締結する」ことに相当し、引用発明において「ロツクプレートd」が「円弧状をして」いることは、その形状からみて、本願発明において「締結部材」が「円弧状の部材であ」ることに、相当する。

よって、本願発明と引用発明とは、
「 略円環状の凹部と、当該凹部の径方向外側に形成されると共に複数の雌ネジ部が前記凹部に沿って所定間隔で形成された略円環状の平面部と、を備えるタービンハウジングと、
前記凹部に嵌合する略円環状の鍔部を備える軸受ハウジングと、
複数の締結ボルトと、
前記締結ボルトがそれぞれ挿通される貫通部が複数形成され、前記締結ボルトが前記雌ネジ部に羅合することにより前記タービンハウジングとの間で前記鍔部を挟持して前記タービンハウジングと前記軸受ハウジングとを一体に締結する締結部材と、を備え、
前記締結部材は、円弧状部材である過給機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
(a)本願発明においては、締結部材が間隔を空けて一対配置されるのに対し、引用発明においては、ロツクプレートdがいくつ設けられるのか不明である点(以下、「相違点1」という。)。
(b)本願発明においては、貫通部が「タービンハウジングの熱膨張に伴う雌ネジ部の位置変化に応じた形状となっている」のに対し、引用発明においては、貫通孔は、「ボルトbに対して幾分大きめの径を有する」点(以下、「相違点2」という。)。

5.判断
まず、相違点1について検討すると、引用文献には、ロックプレートdをいくつ設けるのか明記されていないが、引用発明の「ボルトbが雌ネジに螺合することによりタービンハウジングaとの間で鍔を挟持してタービンハウジングaとセンタハウジングcとを接触部eにおける摩擦力で固定する」という構成からみて、固定位置のバランス上、ロツクプレートdを間隔を空けて複数設けることは、設計上普通に考えることであり、その数を2個とすることも、締結強度や部品点数の削減等を勘案して適宜定められる設計上の事項にすぎない。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点2について検討すると、「内燃機関の排気系において、ネジ部材を用いて複数の部材を締結するにあたり、ネジ部材が螺入される雌ネジ部を複数備える部材と、前記ネジ部が貫通する貫通部を複数備える部材との間の熱膨張差を考慮して、前記貫通部を前記熱膨張差に伴う前記雌ネジ部の位置変化に応じた形状とすること」は、周知技術(以下、「周知技術」という。例えば、特開2008-274770号公報の段落【0021】及び図1、特開2002-195031号公報の段落【0020】ないし【0028】及び図1、実願昭61-40351号(実開昭62-152015号)のマイクロフィルムの第10ページ第20行ないし第11ページ第14行及び第2図、並びに特開平7-293236号公報の段落【0010】ないし0013】及び図1ないし図4等参照。)である。
そして、締結する部品間の膨張率の違いによって生じる応力を抑制するという課題は、ターボチャージャを含む内燃機関の排気装置の分野における周知の技術課題であって(例えば、上記特開平7-293236号公報の段落【0004】等参照)、引用発明においても当然に同様の技術課題を内在するといえるから、引用発明において、上記周知技術を適用することによって、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本願発明を、全体的にみても、引用発明及び周知技術から予測できる作用効果以上の顕著な作用効果を奏するものではない。

6.まとめ
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

7.むすび
上記6.のとおり、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-02-20 
結審通知日 2015-02-24 
審決日 2015-03-09 
出願番号 特願2009-235475(P2009-235475)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 藤原 直欣
中村 達之
発明の名称 過給機  
代理人 高橋 久典  
代理人 志賀 正武  
代理人 寺本 光生  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ