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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1300494 |
審判番号 | 不服2014-4098 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-03 |
確定日 | 2015-05-07 |
事件の表示 | 特願2012-127132「表示装置、制御方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月 8日出願公開、特開2012-216219〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成18年12月15日に出願された特願2006-338678号の一部を、平成24年6月4日に新たな特許出願としたものであって、平成24年6月27日付けで手続補正がなされ、平成24年11月6日付けでさらなる手続補正がなされ、平成25年6月19日付けで拒絶理由が通知され、同年8月26日付けで意見書が提出されたが、同年11月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2.本願発明 本願の請求項22に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成24年11月6日付けの手続補正書の請求項22に記載された次のとおりのものである。 「複数の画像を表示する表示手段と、 前記表示手段に表示されている画像とともに、前記表示手段に表示された複数の画像のうちのユーザにより選択された複数の画像に対応する複数の画像であって前記表示手段に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、 前記表示手段に表示されている複数の画像のうちのユーザにより選択された画像に対応する画像データに基づく印刷を印刷装置に実行させる印刷制御手段と、を備えることを特徴とする表示装置。」 3.引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された特開2006-55522号公報(以下、「引用例」という。)には、次の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 この発明は、格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 近年、内視鏡の分野においては、飲込み型のカプセル型内視鏡が提案されている。このカプセル型内視鏡には、撮像機能と無線通信機能とが設けられている。カプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体の口から飲込まれた後、自然排出されるまでの間、体腔内、たとえば、胃、小腸などの臓器の内部をその蠕動運動にしたがって移動し、移動にともない、たとえば0.5秒間隔で被検体内画像の撮像を行う機能を有する。 【0003】 体腔内を移動する間、カプセル型内視鏡によって撮像された画像データは、順次無線通信により外部に送信された外部に設けられたメモリに蓄積される。無線通信機能とメモリ機能とを備えた受信機を携帯することにより、被検体は、カプセル型内視鏡を飲込んだ後、排出されるまでの間にわたって、自由に行動できる。カプセル型内視鏡が排出された後、医者もしくは看護士においては、メモリに蓄積された画像データに基づいて臓器の画像をディスプレイに表示させて診断を行うことができる(特許文献1参照)。 【0004】 【特許文献1】特開2003-19111号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ところで、ディスプレイには撮像順にしたがって所定の表示レートで画像を順次表示され、医者もしくは看護士は、順次に表示された画像のうち、診断において必要な画像を選択する場合があった。しかしながら、従来、医師もしくは看護士は、選択した画像をディスプレイ上で確認する場合、格納された複数の画像の中から所望の選択画像を検索し、検索した選択画像をディスプレイ上に表示させるという煩雑な処理を行う必要があり、医師もしくは看護士による迅速な診断の妨げとなる場合があった。 【0006】 この発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、ユーザによる選択画像の迅速な確認を可能にする画像表示装置、画像表示方法および画像表示プログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる画像表示装置は、格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する表示手段を備えた画像表示装置において、順次表示された前記画像の中から所望の画像を選択する選択情報を入力する入力手段と、前記複数の画像の中から前記選択情報に対応する画像を抽出する選択画像抽出手段と、前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段が抽出した画像を所定の選択画像表示領域に表示させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。 【0008】 また、この発明にかかる画像表示装置は、前記制御手段は、前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段によって抽出された画像を前記所定の表示領域に表示された画像よりも小さい画像で前記所定の選択画像表示領域に表示させることを特徴とする。 ・・・(中略)・・・ 【発明の効果】 【0020】 本発明によれば、所定の表示領域に順次表示された画像の中から選択された画像を所定の選択画像表示領域に表示させるため、ユーザによる選択画像の迅速な確認を可能にするという効果を奏する。 【発明を実施するための最良の形態】 【0021】 以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である画像表示装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。また、本実施の形態にかかる画像表示装置として、カプセル型内視鏡を用いた被検体内情報取得システムにおける画像表示装置を例として説明する。 【0022】 (実施の形態1) まず、実施の形態1にかかる画像表示装置について説明する。本実施の形態1にかかる画像表示装置は、所定の画像表示領域に順次表示された画像のうちユーザよって選択された画像を所定の選択画像表示領域に表示させる。 ・・・(中略)・・・ 【0026】 ここで、図2を参照して画像表示装置4について説明する。図2は、図1に示す画像表示装置4の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像表示装置4は、入力部20、表示部30、記憶部40、制御部50を備える。 【0027】 入力部20は、表示部30に順次表示される画像の中から所望の画像を選択する選択情報を入力する選択情報入力部21を有する。入力部20は、キーボードやマウスなどのポインティングデバイスなどによって実現され、画像表示装置4の動作指示および画像表示装置4が行なう処理の指示情報を制御部50に送出する。 【0028】 表示部30は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等によって実現され、入力部20の指示情報あるいは指示結果などを表示出力する。また、表示部30は、擬似動画像として、カプセル型内視鏡3が撮像した画像群の各画像を撮影順にしたがって所定の擬似動画像表示領域に順次表示する。表示部30は、選択情報入力部21の選択情報において選択された画像の縮小画像を所定の縮小画像表示領域に表示出力する。 【0029】 記憶部40は、たとえばハードディスク装置などによって実現され、各種画像などが保持され、特に、カプセル型内視鏡3によって撮像された画像群P1および制御部50において生成された縮小画像群P2がそれぞれフォルダF1,F2内に格納される。 【0030】 制御部50は、入力部20、表示部30、記憶部40の各処理または動作を制御する。制御部50は、選択画像抽出部52と、縮小画像生成部53およびタイマー54を有する画像表示制御部55とを備える。選択画像抽出部52は、選択情報入力部21から入力された選択情報をもとに、選択された画像をフォルダF1の中から抽出する。縮小画像生成部53は、画素の間引き処理、さらに、表示する画素値の線形補間による決定処理などを行うことによって、選択画像抽出部52が抽出した画像に対する縮小画像を生成する。縮小画像生成部53は、選択画像抽出部52が抽出した画像に対する縮小画像として、表示部30の擬似動画像表示領域に表示された画像よりも小さい画像を生成する。タイマー54は、時間を計測する機能を備える。画像表示制御部55は、表示部30における画像表示処理を制御する。画像表示制御部55は、表示部30に対して、縮小画像生成部53が生成した縮小画像を縮小画像表示領域に表示させる。言い換えると、画像表示制御部55は、表示部30に対して、選択画像抽出部52が抽出した画像を、擬似動画像表示領域に表示された画像よりも小さい画像で縮小画像表示領域に表示させることとなる。 【0031】 つぎに、図3を参照して、制御部50による画像表示処理手順について説明する。図3において、制御部50は、入力部20からの擬似動画像表示を指示する指示情報があったか否かを判断する(ステップS102)。制御部50は、擬似動画像表示を指示する指示情報があるまでステップS102の判断を繰り返し、擬似動画像表示を指示する指示情報があった場合(ステップS102:Yes)、画像表示制御部55は、表示部30に対して、記憶部40のフォルダF1に格納された画像群P1の各画像を撮像順にしたがって所定の擬似動画表示領域に順次表示させる擬似動画像表示を行う(ステップS104)。 【0032】 制御部50は、入力部20からの擬似動画像表示の終了を指示する指示情報があるか否かを判断し(ステップS106)、この指示情報があった場合には(ステップS106:Yes)、擬似動画像表示を終了する。これに対し、制御部50が入力部からの擬似動画像表示の終了を指示する指示情報がないと判断した場合(ステップS106:No)、画像表示制御部55は、表示部30が画像群P1の最終画像まで表示したか否かを判断する(ステップS108)。画像表示制御部55は、表示部30が画像群P1の最終画像まで表示したと判断した場合(ステップS108:Yes)、擬似動画像表示を終了する。 【0033】 一方、表示部30が画像群P1の最終画像まで表示していないと判断した場合(ステップS108:No)、制御部50は、選択情報入力部21からの選択情報の有無をもとに画像選択指示があるか否かを判断する(ステップS110)。制御部50は、画像選択指示がないと判断した場合には(ステップS110:No)、ステップS104に進み、擬似動画像表示を継続する。 【0034】 これに対し、制御部50は、選択情報入力部21から選択情報が入力され、画像選択指示があると判断した場合(ステップS110:Yes)、選択情報をもとに選択された画像を縮小し、表示部30に対して、所定の縮小画像表示領域に縮小した画像を表示させる画像選択処理を行う(ステップS112)。制御部50は、画像選択処理を行った後、ステップS104に進み、擬似動画像表示を行う。 【0035】 つぎに、図3に示す画像選択処理について説明する。図4は、図3に示す画像選択処理の処理手順を示すフローチャートである。図4に示すように、画像表示制御部55は、表示部30に対して、擬似動画表示領域に表示される擬似動画像の順次表示を一時停止させ(ステップS122)、擬似動画表示領域に停止画像を表示させる。選択画像抽出部52は、選択情報入力部21から入力された選択情報をもとに、選択された画像を記憶部40のフォルダF1から抽出する(ステップS124)。縮小画像生成部53は、選択画像抽出部52が抽出した画像に対する縮小画像を生成する(ステップS126)。画像表示制御部55は、表示部30に対して、縮小画像生成部53が生成した縮小画像を所定の縮小画像表示領域に表示させる(ステップS128)。 【0036】 その後、画像表示制御部55は、タイマー54の計時をスタートさせる(ステップS130)。画像表示制御部55は、タイマー54の計時値Tが所定の待機時間Ts以上であるか否かを判断し(ステップS132)、計時値Tが待機時間Ts以上になるまでステップS132の判断を繰り返す。計時値Tが待機時間Ts以上であると判断した場合(ステップS132:Yes)、画像表示制御部55は、擬似動画像表示の順次表示の一時停止を解除する(ステップS134)。すなわち、画像表示制御部55は、擬似動画像表示の順次表示の再開を表示部30に対して指示する。その後、画像表示制御部55は、タイマー54の計時値を0にリセットして、停止させる(ステップS136)。 【0037】 ここで、図5?図7を参照して具体的な操作および処理について説明する。図5?図7は、表示部30の表示画面の一例を示す図であり、表示部30の表示画面にはウィンドウWが表示される。ウィンドウWは、大きくは、擬似動画像表示領域A1、縮小画像表示領域A2,および動画表示制御キー領域A3を有し、縮小画像表示領域A2は、擬似動画像表示領域A1の右側領域に設けられ、動画表示制御キー領域A3は、擬似動画像表示領域A1の下部に設けられる。擬似動画像表示領域A1には、記憶部40内に格納されたフォルダF1内の画像が撮像順にしたがって順次表示され、縮小画像表示領域A2には、縮小画像生成部53が生成した縮小画像が表示され、動画表示制御キー領域A3には、再生ボタン24、一時停止ボタン25などの擬似動画像の各種表示制御処理を示すボタン画像が表示される。なお、縮小画像表示領域A2では、縮小画像を一画面で表示しきれない場合には、スクロールバー32が表示される。ユーザは、入力部20のマウスを動かし、スライダー33上に移動させたカーソル23を上下に移動させることによって、画面上のスライダー33を上下に移動し、縮小画像表示領域A2の表示内容を上下に変化させる。 【0038】 まず、入力部20のマウスなどの動作により、図5に示すカーソル23を再生ボタン24上に移動させ、マウスの左ボタンをクリックすることによって、擬似動画表示の開始を指示する指示情報が制御部50に入力される。この結果、図5に示すように、擬似動画像表示領域A1の左側領域には、画像Paが表示され、擬似動画像表示領域A1の右側領域には、画像Paの次にカプセル型内視鏡3が撮像した画像Pbが表示される。その後、擬似動画像表示領域A1の左側領域には、画像Pbの次にカプセル型内視鏡3が撮像した画像が表示され、擬似動画像表示領域A1の右側領域には、左側に表示された画像の次にカプセル型内視鏡3が撮像した画像が表示される。 【0039】 たとえば、画像Paを所望の画像として選択する場合、ユーザは、入力部20のマウスを動かし、カーソル23を画像Pa上に移動させ、マウスの左ボタンをダブルクリックすることによって、入力部20の選択画像入力部21から制御部50に対して、画像Paを選択した選択情報が入力される。 【0040】 制御部50に選択情報が入力された場合、画像表示制御部55は、まず、表示部30に対して、擬似動画像の順次表示を一時停止させる。この結果、擬似動画像表示領域A1では、画像Pa,Pbの表示が継続する。選択画像抽出部52は、選択情報をもとに記憶部40のフォルダF1の中から選択された画像Paを抽出し、縮小画像生成部53は、抽出された画像Paに対する縮小画像Pa1を生成する。そして、図6に示すように、画像表示制御部55は、表示部30に対して、縮小画像生成部53が生成した縮小画像Pa1を、縮小画像表示領域A2に表示させる。この結果、縮小画像表示領域A2には、選択された画像Paに対する縮小画像Pa1が表示される。 【0041】 その後、タイマー54の計時がスタートし、タイマー54の計時値Tが待機時間Ts以上となった場合に、画像表示制御部55の表示制御によって、表示部30の擬似動画像表示領域における画像の順次表示が再開される。この結果、図7に示すように、擬似動画像表示領域A1には、画像Pa,Pbの次にカプセル型内視鏡3によって撮像された画像Pc,Pdが表示される。このように、画像Paの選択後、縮小画像Pa1表示されてから待機時間Ts経過までの間は、擬似動画像表示領域A1の画像の順次表示が停止され、画像Pa,Pbが継続して表示される。 【0042】 本実施の形態1にかかる画像表示装置4によれば、所定の擬似動画像表示領域に順次表示された画像のうちユーザよって選択された画像を、擬似動画像表示領域とは別の表示領域である所定の選択画像表示領域に表示させることによって、ユーザによる迅速な選択画像の確認を可能とする。さらに、画像表示装置4は、所定の擬似動画像表示領域に順次表示された画像のうちユーザよって選択された画像を、別の表示領域である所定の選択画像表示領域に撮像順にしたがって縮小して表示するため、ユーザは、選択画像がいずれの順で撮像されたかを確実に把握することができる。 【0043】 また、本実施の形態1では、選択情報が入力後、縮小画像が表示されてから所定の待機時間経過までの間、擬似動画像の順次表示は停止される。言い換えると、ユーザが所望の画像を選択してから、この選択画像の縮小画像がウィンドウWの縮小画像表示領域A2に表示され所定の待機時間Tsを経過するまでは、擬似動画像表示領域A1の動画は停止する。このように、本実施の形態1では、ユーザが画像を選択した場合、擬似動画像の動画は停止されるため、ユーザの擬似動画像における画像の見逃しを防止することができる。さらに、本実施の形態1では、縮小画像が表示されてから所定の待機時間Tsの間も擬似動画像表示の動画は停止されるため、ユーザが縮小画像表示領域を視認していた場合であっても、擬似動画像表示領域への視認を移動させるために十分な時間を確保することができ、ユーザの擬似動画像の見逃しを防止することができる。この結果、診断に必要な画像の選択時におけるユーザの負担を軽減することができる。この結果、本実施の形態1にかかる画像表示装置4を用いることによって、ユーザによる内視鏡画像を用いた診断の向上を図ることが可能になる。 【0044】 また、ユーザは、所望の画像上に直接カーソルを移動させた状態でマウスの左ボタンをダブルクリックすることによって、所望の画像に対する選択情報を入力している。このため、ユーザは、動画像表示制御キー領域A3上にカーソル23を移動させる必要がない。したがって、本実施の形態1によれば、画像選択時のマウス移動を低減することができるため、画像選択時におけるユーザの負担を軽減することができる。 【0045】 なお、本実施の形態1では、図5?図7において、マウスの左ボタンのダブルクリックによって選択情報が入力される場合について説明したが、これに限らず、シングルクリックまたはマウスの右ボタンのクリックによって選択情報が入力されてもよい。また、いわゆるドラッグアンドドロップを行うことによって選択情報が入力されてもよい。たとえば、図8に示す画像Pbを選択する場合について説明する。ユーザは、入力部20のマウスを動かし、カーソル23を画像Pb上に移動させ、カーソル23が画像Pbに重なった状態でマウスのボタンを押し、そのままの状態でマウスを矢印Y1にしたがって、カーソル23を縮小画像表示領域A2に移動させ、縮小画像表示領域A2上でマウスのボタンを離す。本実施の形態1では、このようなドラッグアンドドロップ動作によって、所望の画像を選択する選択情報が入力されてもよい。」 ここで、上記記載事項のうちの段落【0007】、【0008】、【0037】、及び図5?7の記載を特に参酌すると、段落【0007】でいう「所定の選択画像表示領域」に、「『段落【0007】でいう所定の表示領域』に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像」が表示され得ることは明らかである。 以上を踏まえると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「 格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する表示手段を備えた画像表示装置において、 順次表示された前記画像の中から所望の画像をユーザが選択する選択情報を入力する入力手段と、 前記複数の画像の中から前記選択情報に対応する画像を抽出する選択画像抽出手段と、 前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段が抽出した画像であって前記所定の表示領域に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像を、所定の選択画像表示領域に表示させる制御手段と、 を備えた画像表示装置。」 4.対比 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 (1)引用発明の「格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する表示手段」は、本願発明の「複数の画像を表示する表示手段」に相当する。 (2)引用発明の「『格納された複数の画像を撮像順にしたがって所定の表示領域に順次表示する』ための制御をつかさどる部分」と「前記表示手段に対して、前記選択画像抽出手段が抽出した画像であって前記所定の表示領域に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像を、所定の選択画像表示領域に表示させる制御手段」とを合わせた部分は、本願発明の「前記表示手段に表示されている画像とともに、前記表示手段に表示された複数の画像のうちのユーザにより選択された複数の画像に対応する複数の画像であって前記表示手段に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明の間には、以下の一致点と相違点とがある。 〈一致点〉 「複数の画像を表示する表示手段と、 前記表示手段に表示されている画像とともに、前記表示手段に表示された複数の画像のうちのユーザにより選択された複数の画像に対応する複数の画像であって前記表示手段に表示されていない画像に対応する画像を少なくとも1つ含む複数の画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を備える表示装置。」である点。 〈相違点〉 本願発明は、「前記表示手段に表示されている複数の画像のうちのユーザにより選択された画像に対応する画像データに基づく印刷を印刷装置に実行させる印刷制御手段」を備えるのに対し、引用発明は、それに相当する手段を有するものとはされていない点。 5.判断 (1)上記相違点について 周知のMicrosoft Windows(登録商標)が搭載されたコンピュータ等において実現され、当業者には周知の機能といえる、「所望の画像の右クリックからの印刷機能」にも見られるように、「画面に表示されている複数の画像の中から所望の画像を選択して印刷できるようにする機能」は、複数の画像を表示する機能を有する多くの装置において望まれ、ごく普通に実現されている機能である。そして、引用発明に係る画像表示装置においても、そのような機能が望まれるであろうことは容易に想定され、そのような機能を実現できない理由はないから、引用発明に係る画像表示装置においても、上記周知の「画面に表示された複数の画像の中から所望の画像を選択して印刷できる」機能を設けることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、そのことは、引用発明を「前記表示手段に表示されている複数の画像のうちのユーザにより選択された画像に対応する画像データに基づく印刷を印刷装置に実行させる印刷制御手段」を備えるものとすることが当業者にとって容易であったことを意味している。 (2)本願発明の効果について 本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用発明から容易に想到し得た構成のものが奏するであろうと当業者が予測する範囲内のものであり、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るようなものではない。 (3)まとめ したがって、本願発明は、引用発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-02-27 |
結審通知日 | 2015-03-03 |
審決日 | 2015-03-20 |
出願番号 | 特願2012-127132(P2012-127132) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 緑川 隆 |
特許庁審判長 |
乾 雅浩 |
特許庁審判官 |
小曳 満昭 白石 圭吾 |
発明の名称 | 表示装置、制御方法、およびプログラム |
代理人 | 阿部 琢磨 |
代理人 | 黒岩 創吾 |