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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L |
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管理番号 | 1300867 |
審判番号 | 不服2013-17945 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-17 |
確定日 | 2015-05-11 |
事件の表示 | 特願2008-546448号「細胞の酸化的損傷に関連した病変を治療するためのDHA、EPAまたはDHA由来のEPAの使用」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 6月28日国際公開、WO2007/071733、平成21年 6月25日国内公表、特表2009-523414号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2006年12月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2005年12月21日、2006年9月25日、2006年9月25日、スペイン)を国際出願日とする出願であって、平成23年11月10日付けの拒絶理由通知に対して、平成24年5月15日に誤訳訂正書及び補正書が提出され、平成24年9月10日付けの最後の拒絶理由通知に対して、平成25年3月14日に意見書が提出され、その後、平成25年5月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成25年9月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成25年9月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定 1 補正の却下の決定の結論 平成25年9月17日付けの手続補正を却下する。 2 理由 (1)補正の内容 平成25年9月17日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項16である、 「グリセリドに組込まれた、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)またはDHA由来のEPAの、運動を受ける個人の運動性能の向上剤としての非治療的使用であって、 グリセリドに組込まれたDHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、酵素的に得られ、かつ 前記DHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、総脂肪酸に対して40-100重量%であるか、または、前記DHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、グリセリドのsn-2位置に組込まれている、使用。」を、 「グリセリドに組込まれた、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)またはDHA由来のEPAの、運動を受ける個人の運動性能の向上剤としての非治療的使用であって、 グリセリドに組込まれたDHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、酵素的に得られ、かつ 前記DHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、総脂肪酸に対して40-100重量%である、使用。」に補正することを含むものである。 (2)補正の適否 上記補正は、補正前において二者択一的に記載された事項のうちの一方である「または、前記DHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、グリセリドのsn-2位置に組込まれている」という発明特定事項を削除するものであって、該補正は、願書に最初に添付した明細書の記載からみて新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものであり、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項16に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (3)独立特許要件の検討 ア 刊行物1に記載された事項 原査定で引用文献16として引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である「特開平11-239465号公報」(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審にて付与したものである。以下、同様である。 (刊1-1)「【特許請求の範囲】 【請求項1】n-3系高度不飽和脂肪酸を含有し、最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高める食品。 【請求項2】n-3系高度不飽和脂肪酸が、n-3高度不飽和脂肪酸または/およびその誘導体である請求項1の健常人が運動能力を高める食品。 【請求項3】n-3系高度不飽和脂肪酸が、エイコサペンタエン酸およびまたはドコサヘキサエン酸である請求項1または2の健常人が運動能力を高める食品。 【請求項4】n-3系高度不飽和脂肪酸が、天然のトリグリセライドの形態である請求項1、2または3の健常人が運動能力を高める食品。 【請求項5】n-3系高度不飽和脂肪酸が、魚油である請求項4の運動時の危険因子除去能を有する組成物。」 (刊1-2)「【0001】 【産業の属する技術分野】本発明は、スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動能力を高める食品に関する。また、本発明は、有酸素能力を高め、長距離走の競技力向上の補助的な手段として有効である運動能力向上栄養食品に関する。」 (刊1-3)「【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、持久力の向上を目指す人などの健常人のための運動能力を高める食品を提供することにある。また、本発明の目的は、有酸素能力を高め、長距離走の競技力向上の補助的な手段として有効である運動能力向上栄養食品を提供することにある。」 (刊1-4)「【0011】本発明は、n-3系高度不飽和脂肪酸を含有し、最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高める食品を要旨としている。上記のn-3系高度不飽和脂肪酸が、n-3高度不飽和脂肪酸または/およびその誘導体であり、該n-3高度不飽和脂肪酸は、好ましくはエイコサペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸であり、したがって本発明は、n-3高度不飽和脂肪酸、好ましくはエイコサペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸、または/およびその誘導体を含有し、最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高める食品を要旨としている。上記のn-3系高度不飽和脂肪酸の好ましい形態は、天然のトリグリセライドの形態、好ましくは魚油である。本発明の食品は、液状または固形であり、いずれの場合もカプセルに入っている形態であることができる。」 (刊1-5)「【0014】これらの公知精製方法を駆使することにより魚油を無味無臭まで精製し、さらに魚油からコレステロールを実質的に除去する。本発明の実施例においては魚油をコレステロール0.1%以下、EPA,DHA高含有量の無味無臭の魚油に調製して使用する。本発明の実施例において使用する無味無臭の魚油に含まれるEPA,DHA等の脂肪酸はトリグリセリドの形態で存在している。EPA,DHAの含有量は、例えば、EPA18%、DHA8?12%のもの、EPA28%、DHA12%のもの、EPA5?8%、DHA22%のもののように、使用用途等によって任意に変化させることができる。いずれのものもコレステロールの含有量は0.1%以下である。」 (刊1-6)「【0024】実施例2 《運動時の血液レオロジーの変化に対する作用》 1.服用量・使用製剤 1)EPAとして1.6g/日を目途に摂取する。 2)EPA28%,DHA12%含有精製魚油カプセル300mg×18粒/日を朝晩食直後9粒ずつ服用する。 2.被験者数 1)1群6名×2群〔EPA投与群(Fish)、EPA非投与群(non-fish)〕 3.試験方法 1)表6に示すスケジュールで高地トレーニングに入る10週間前より高地トレーニング終了時までEPA投与群は精製魚油カプセルを18粒/日摂取する。 2)各群とも、投与開始時、高地トレーニング開始時、高地トレーニング終了時に次項に述べる項目につき測定する。 【0025】 【表6】 【0026】4.測定項目 1)生化学的項目 測定項目 (a)脂肪酸組成(血漿、赤血球膜リン脂質) (b)赤血球変形能 (c)降伏値 (d)アミノ酸組成 2)生理学的項目(運動能力) (1)測定項目 (a)最大酸素摂取量 (b)MSS(Maximal Steady State)測定:EPA投与・非投与群における持久性の変化及び改善を検討。各トレーニングの前後に安静時の血液を採取し、上述した項目について分析を行う。各トレーニングの前後に2種類のスピードでの走行後、血中乳酸濃度を測定し、4mmol/lに相当する走行スピードを求める(MSS)。このMSSを指標に持久性の改善を検討する。 【0027】《結果》図3?図8および表7?表8に示すように、魚油摂取群、非摂取群共にヘマトクリット値には変化が認められなかったが、魚油摂取群で赤血球変形能の有意な上昇が認められ、魚油非摂取群に認められた全血粘度の上昇は魚油摂取群では認められなかった。」 (刊1-7)「【0030】 【発明の効果】健常人(スポーツ愛好家、スポーツをしたい人、持久力の向上を目指す人など)のための運動能力を高める食品を提供することができる。スポーツ選手のための有酸素能力を高め、長距離走の競技力向上の補助的な手段として有効である運動能力向上栄養食品を提供することができる。」 イ 刊行物1に記載された発明 上記刊行物1の摘示(刊1-1)において 請求項4は請求項3を、請求項3は請求項1を引用しているから、これらを整理すると、請求項4は、 「天然のトリグリセライドの形態である、エイコサペンタエン酸およびまたはドコサヘキサエン酸を含有し、最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有することを特徴とする健常人が運動能力を高める食品。」となる。 そして、同摘示(刊1-6)から、使用製剤として「EPA28%,DHA12%含有精製魚油カプセル」を服用するものであるから、これらの事項を、上記整理した「請求項4」に加味して、総合すると、刊行物1には、 「天然のトリグリセライドの形態である、エイコサペンタエン酸(EPA)28%,ドコサヘキサエン酸(DHA)12%含有精製魚油カプセルの服用であって、最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有する健常人が運動能力を高める食品の服用。」(以下「引用発明1」という。)という発明が記載されているといえる。 ウ 対比 (ア)引用発明1に係る「天然のトリグリセライドの形態である、エイコサペンタエン酸(EPA)28%,ドコサヘキサエン酸(DHA)12%含有精製魚油カプセル」はエイコサペンタエン酸(EPA)を28%,ドコサヘキサエン酸(DHA)を12%含有する「天然のトリグリセライド」であることは明らかである。 そして、トリグリセライドに組み込まれた脂肪酸として、エイコサペンタエン酸(EPA)が「28%」及びドコサヘキサエン酸(DHA)が「12%」含有されるのであるから、DHAとEPAは、総脂肪酸に対して、40%(=28%+12%)含有しているといえる。 しかるに、本願補正発明に係る「グリセリド」は、本願の発明の詳細な説明の、 「【0037】 本発明において、「グリセリドに組込まれたドコサヘキサエン酸」とは、3個の位置の少なくとも1個がドコサヘキサエン酸でエステル化されかつ、必要に応じて残りの位置の少なくとも1個が短鎖、中鎖または長鎖脂肪酸およびリン酸から選択される1個の酸で更にエステル化されているモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質を意味するものと考えられる。好ましくは、上記グリセロールはトリグリセリドである。」との記載に照らし、「トリグリセリド」の場合がある。 したがって、引用発明1に係る「天然のトリグリセライドの形態である、エイコサペンタエン酸(EPA)28%,ドコサヘキサエン酸(DHA)12%含有精製魚油カプセル」は、本願補正発明の「グリセリドに組込まれた、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)」及び「前記DHA、EPAが、総脂肪酸に対して40-100重量%である」に相当する。 (イ)本願補正発明に係る「運動を受ける個人の運動性能の向上剤」に関し、本願の発明の詳細な説明には、 「【0076】 運動能力 運動能力(sports performance)を評価するには、その運動能力の向上を評価することができる幾つかのパラメーターがある。 【0077】 有酸素運動を行う運動選手では、VO2_(max)は競技シーズン中十分にトレーニングを積んだ運動選手ではほとんど増加しないので、UV2(無酸素性閾値)における最大酸素消費率%VO_(2max)が増加するときには、能力の増加が考えられる。閾値におけるVO_(2max)の比率がほとんど変化しないことは、性能増加のデータと直接関係している。 【0078】 本発明者らは、基礎三角活動試験(basal triangular effort trials)をDHAを4ヶ月間投与した後に行ったものと比較したとき、換気閾値2における酸素消費量(VO_(2))は絶対値(p<0.019)および相対値(p<0.036)のいずれでも統計学的に有意に増加することを示した。このパラメーターの増加は、自転車競技選手(p<0.047)および非自転車競技選手の両方について示されているが、後者の差は統計学的に有意ではない(図24)。」との記載があり、運動性能は、UV2(無酸素性閾値)における最大酸素消費率%VO_(2max)が増加するとき、向上しているといえることが記載されている。 そして、引用発明1に係る「無気的閾値」は、上記本願の発明の詳細な説明の「UV2(無酸素性閾値)」に相当するから、引用発明1の「最大酸素摂取量及び無気的閾値を少なくとも3%向上する機能を有する健常人が運動能力を高める食品」は、本願補正発明の「運動を受ける個人の運動性能の向上剤」に相当する。 また、本願の発明の詳細な説明の、 「【0100】 従って、本発明のもう一つの態様は、食料品(例えば、ヨーグルト、ミルクなどの乳製品)にDHAのような天然の酸化防止剤を強化する目的で食品産業で用いることができるDHAを含んでなる医薬組成物、または運動の前、中および後のそのあらゆる特徴における飲料、エネルギー供給バー(energy-giving bar)、疲労回復性バー(ergogenical bars)、(例えば、カプセル、錠剤、丸薬、凍結乾燥形態、または投与に適当な任意の手段の形態での)栄養補給物およびポリビタミン製剤、疲労回復促進剤(ergogenical aids)、皮膚吸収用ナノカプセルを有する織物および任意の他の適当な投与手段を提供するための固形物および製剤を含んでなる群から選択される適当な投与形態に組込まれたものに関する。」との記載に照らして、「向上剤」は「食品」の一形態であるといえるから、両者において相違するところはないといえる。 (ウ)引用発明1の「服用」は、「食品」を摂取する使用の態様であるから、本願補正発明の「使用」に相当する。 (エ)本願補正発明の「非治療的使用」は、健常者である「運動を受ける個人」に対するものであるところ、引用発明1の「健常人が運動能力を高める食品の服用」は、本願補正発明の「非治療的使用」に相当する。 エ 一致点 したがって、本願補正発明と引用発明1とは、 「グリセリドに組込まれた、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)の、運動を受ける個人の運動性能の向上剤としての非治療的使用であって、 前記DHA、EPAが、総脂肪酸に対して40重量%である、使用。」で一致する。 オ 相違点 そして、本願補正発明では、「グリセリドに組込まれたDHA、EPAが、酵素的に得られ」ているのに対し、引用発明1ではそれが明らかでない点で相違する。(以下、「相違点(A)」という。) カ 判断 (ア)相違点(A)について 引用発明1に係る「エイコサペンタエン酸(EPA)28%,ドコサヘキサエン酸(DHA)12%含有精製魚油である、天然のトリグリセライド」において、「精製魚油」は、その字句どおり魚から調製された天然のトリグリセライドであるところ、これは、魚という動物体内で生合成されたものであるから、「酵素的」に作られたことは、技術常識上明らかである。 そして、魚油のDHA含量を酵素的に向上させることは、当技術分野では、周知の技術である(例えば、「日本農芸化学会誌,1995年,Vol.69, No.6,pp.719-724」には、「魚油のPUFA含量向上化」として、「魚油のDHA含量の濃縮法としては、有機溶媒分別、低温溶媒分別(winterization)などの物理的方法が知られているが、これらの方法ではDHA含量は約30%程度までであり、これ以上の濃縮は困難である.そこで、温和な条件で作用する酵素法が試みられている。」(723頁右欄7行?11行)との記載参照。)ことを踏まえると、引用発明1の魚油において、グリセリドに組込まれたDHA、EPAを酵素的に得られたものとすることは、当業者であれば直ちに想到し得ることである。 (イ)本願補正発明の効果について 本願補正発明に係る効果は、引用発明1及び周知技術から予測されるところを超えて優れているとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたといえる。 キ まとめ 以上のとおり、本願補正発明は、本願優先件主張日前日本国内又は外国において頒布された刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができるものではない。 したがって、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成25年9月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項16に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成24年5月15日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項16に記載された事項により特定されるとおりのものである(「第2 平成25年9月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 理由」の「(1)補正の内容」の記載参照。)。 2 原査定の理由 拒絶査定における拒絶理由(平成24年9月10日付けの「理由」)の概要は、本願発明は、本願優先権主張日前に頒布された引用刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができるものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3 引用刊行物に記載された事項及び記載された発明 上記拒絶理由で引用された上記刊行物16である「特開平11-239465号公報」に記載された事項及び記載された発明は上記の「第2 2 (3) ア 刊行物1に記載された事項」及び「イ 刊行物1に記載された発明」に記載されたとおりである。 4 判断 本願発明は、本願補正発明において「または、前記DHA、EPA、またはDHA由来のEPAが、グリセリドのsn-2位置に組込まれている」との事項を追加してDHA、EPA、またはDHA由来のEPAの選択肢を増やし、二者択一としたものである。 そうすると、二者択一の選択肢を有する本願発明から、単に一方の選択肢を削除したものに相当する本願補正発明が、「第2 平成25年9月17日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「2 理由」の「(3)独立特許要件の検討」の「カ 判断」に記載したとおり、引用発明1及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明1及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできないものであるから、本願は、その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-11-26 |
結審通知日 | 2014-11-28 |
審決日 | 2014-12-19 |
出願番号 | 特願2008-546448(P2008-546448) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 平塚 政宏 |
特許庁審判長 |
千壽 哲郎 |
特許庁審判官 |
森林 克郎 佐々木 正章 |
発明の名称 | 細胞の酸化的損傷に関連した病変を治療するためのDHA、EPAまたはDHA由来のEPAの使用 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 横田 修孝 |
代理人 | 勝沼 宏仁 |