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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N |
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管理番号 | 1301187 |
審判番号 | 不服2012-24986 |
総通号数 | 187 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-17 |
確定日 | 2015-05-20 |
事件の表示 | 特願2008-554361「改良されたラベル処理装置及びそれに関連する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 8月16日国際公開、WO2007/092587、平成21年 7月16日国内公表、特表2009-526232〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成19年2月8日(パリ条約による優先権主張平成18年2月8日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成23年11月4日付けで拒絶理由が通知され、平成24年3月7日付けで意見書が提出されたが、同年8月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月17日に拒絶査定不服審判が請求され、それと同時に手続補正がなされたものである。 その後、当審において、平成25年6月18日付けで前置報告書の内容が審尋され、これに対し同年10月25日付けで回答書が提出され、平成26年2月7日付けで拒絶理由が通知され、同年5月12日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年7月22日付けで拒絶理由が通知され、同年12月1日付けで意見書が提出されるとともに手続補正及び誤訳訂正がなされたものである。 第2 当審の拒絶理由通知 当審における平成26年2月7日付けの拒絶理由通知の概略は、以下のとおりである。 1.本願は、特許請求の範囲の記載が以下の理由で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 (1)?(6)(省略) (7)請求項1,11の記載では,「生体試料を収容しているかを検出する」ことと,「プリントするための方法を決定する」こととの関連が明確でない。 (8)請求項1,11の「プリントするための方法」が,どのような概念を含み得るのか明確でない。 (9)?(10)(省略) よって、請求項1?20に係る発明は明確でない。 2.本願は、特許請求の範囲の記載が以下の理由で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (1)?(3)(省略) (4)請求項1,11の記載では,「生体試料を収容しているかを検出する」ことと,「プリントするための方法を決定する」こととの関連が特定されておらず,関連がないものとすると,発明の詳細な説明と矛盾する。 (5)請求項1及び11の「前記情報をプリントするための方法を決定する」について,発明の詳細な説明のどの記載が対応するのか不明である。 この点,段落【0012】の「ラベルを貼るか否かの決定」及び「どのように容器10にラベルを貼るか決定」の,「ラベルを貼る」ことが「前記情報をプリントするための方法を決定する」ことになるのか否か不明である。 また,段落【0012】の「装置20は、識別マークが容器10と関連しているかを認識するために、容器10をリード又はスキャンしてもよく、その結果、容器10に予め貼られたラベルに直接に、あるいは、容器10自体に直接に、あるいは、選択的には、ラベル処理装置20により容器10に貼られたラベル30に間接的にプリントすることのいずれかにより、どの情報が当該容器10にプリントされるべきかどうかを補助可能な容器10に関する情報を特定することができる。」との記載のうち,どの部分が「前記情報をプリントするための方法を決定する」ことに対応するのか不明である。 (6)(省略) よって、請求項1?20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 3.(省略) 第3 検討・判断 1 請求項1の記載 本願の請求項1の記載は、平成26年12月1日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(下線は補正個所を示す。)。 「生体試料を保存するための少なくとも一の容器を保持するように構成されたホルダーと、 前記容器または前記生体試料の少なくとも一つと関連する情報と、前記情報をプリントするための少なくとも一の指令と、前記少なくとも一の指令と関連するデータとを受け取るように構成されたレシーバーと、 前記情報をプリントするための前記少なくとも一の指令に従って前記情報をプリントするように構成されたプリンタと、 前記容器が前記生体試料を収容しているかを検出するように構成されている検出器と、 前記検出器による検出結果の後で、前記情報をプリントするための方法を決定するように構成されている処理装置と、 を備える生体試料を保存するための少なくとも一の容器に情報を提供するためのシステム。」 2.特許法第36条第6項2号に関する検討・判断 平成26年2月7日付けの拒絶理由通知において、請求項1の記載では「生体試料を収容しているかを検出する」ことと「プリントするための方法を決定する」こととの関連が明確でないこと、及び、請求項1の「プリントするための方法」がどのような概念を含み得るのか明確でないことを示した。 これに対し、同年5月12日付けの手続補正により「前記検出器の検出結果に基づいて、前記情報をプリントするための方法を決定する」(下線は補正個所を示す。)として、「プリントするための方法」が「検出器の検出結果に基づ」くものとする補正がなされ、同日付けの意見書において、「プリントするための方法」は、例えば、明細書の段落【0012】の「容器10にラベルを貼るか否か」、「どのように容器10にラベルを貼るか」、「どの情報が当該容器10にプリントされるべきかどうか」、「容器10に予め貼られたラベルに直接にプリントする、あるいは、容器10自体に直接に、あるいは、ラベル処理装置20により容器10に貼られたラベル30に間接的にプリントするか」などが含まれる旨の主張がなされた。すなわち、「生体試料を収容しているかを検出する」ことと「プリントするための方法を決定する」こととの関連を補正により明確化し、「プリントするための方法」の含み得る概念について釈明がなされた。 しかしながら、同年7月22日付けの拒絶理由通知に対する同年12月1日付けの補正により「前記検出器による検出結果の後で、前記情報をプリントするための方法を決定する」(下線は補正個所を示す。)とされ、「検出器の(による)検出結果」が、「プリントするための方法」に何ら関連しないものとなったので、再び、それらの関連が不明確になったものといわざるを得ない。 このことについては、同年12月1日付けの意見書の2頁の(3.1.1)において「本願発明は、容器が生体試料を収容しているかに関係なく、情報をプリントするための方法を決定すること、を明白な要件としています。したがって、すべての標本採取容器について『プリントするための方法』を決定することになりますから、生体試料を収容している容器についてプリントするための方法を決定することに加えて、生体試料を収容していない容器についてもプリントするための方法を決定します。」と主張していることから、請求人も同年12月1日付け補正の請求項1においては、「生体試料を収容しているかを検出する」ことと「プリントするための方法を決定する」こととに関連がないことを認識しているといえる。 そして、生体試料の保存容器に情報をプリントする際の当業者の技術常識を参酌しても、「前記検出器による検出結果の後で、前記情報をプリントするための方法を決定する」という記載では、「プリントするための方法を決定する」ことに関連しない「検出器による検出」が何のためになされるのか理解することができず、本願発明を技術的なものとして理解することができないというべきである。 したがって、請求項1に係る発明は明確でない。 よって、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3.特許法第36条6項1号に関する検討・判断 平成26年2月7日付けの拒絶理由通知で、請求項1の記載では,「生体試料を収容しているかを検出する」ことと,「プリントするための方法を決定する」こととの関連が特定されておらず,関連がないものとすると,発明の詳細な説明と矛盾すること、及び、請求項1の「前記情報をプリントするための方法を決定する」について,発明の詳細な説明のどの記載が対応するのか不明であることを示した。 これに対し、同年5月12日付けの手続補正により「前記検出器の検出結果に基づいて、前記情報をプリントするための方法を決定する」(下線は補正個所を示す。)として、「プリントするための方法」が「検出器の検出結果に基づ」くものとする補正がなされ、同日付けの意見書において、「プリントするための方法」に対応する記載は、明細書の段落【0012】の「容器10にラベルを貼るか否か」、「どのように容器10にラベルを貼るか」、「どの情報が当該容器10にプリントされるべきかどうか」、「容器10に予め貼られたラベルに直接にプリントする、あるいは、容器10自体に直接に、あるいは、ラベル処理装置20により容器10に貼られたラベル30に間接的にプリントするか」であるとの主張がなされた。すなわち、「生体試料を収容しているかを検出する」ことと「プリントするための方法を決定する」こととの関連を特定し、「前記情報をプリントするための方法を決定する」について,発明の詳細な説明における対応個所を釈明した。 しかしながら、同年7月22日付けの拒絶理由通知に対する同年12月1日付けの補正により「前記検出器による検出結果の後で、前記情報をプリントするための方法を決定する」(下線は補正個所を示す。)とされ、「検出器の(による)検出結果」が、「プリントするための方法」に何ら関連しないものとなった。 このことについては、同年12月1日付けの意見書の2頁の(3.1.1)において「本願発明は、容器が生体試料を収容しているかに関係なく、情報をプリントするための方法を決定すること、を明白な要件としています。したがって、すべての標本採取容器について『プリントするための方法』を決定することになりますから、生体試料を収容している容器についてプリントするための方法を決定することに加えて、生体試料を収容していない容器についてもプリントするための方法を決定します。」と主張していることから、請求人も同年12月1日付け補正の請求項1においては、「生体試料を収容しているかを検出する」ことと「プリントするための方法を決定する」こととに関連がないことを認識しているといえる。 そして、「検出器の(による)検出結果」と「プリントするための方法」とが関連しないことは、誤訳訂正前の発明の詳細な説明の「【0007】…本システムと方法は、容器が生体試料を収容しているかを検出するように構成された検出器と、情報をプリントするための方法を決定するように構成されたと処理装置とを含む。この実施形態において、前記決定は、少なくとも一部において、容器が生体試料を収容しているかに基づく。」との記載と矛盾し、また、誤訳訂正後の発明の詳細な説明の「【0007】…本システムと方法は、容器が生体試料を収容しているかを検出するように構成された検出器と、情報をプリントするための方法を決定するように構成されたプロセッサとを含む。この実施形態において、前記決定は、容器が生体試料を収容 しているかに少なくとも部分的に基づく。」との記載とも矛盾する。 したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない発明を含む。 よって、本願は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2014-12-17 |
結審通知日 | 2014-12-24 |
審決日 | 2015-01-07 |
出願番号 | 特願2008-554361(P2008-554361) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(G01N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 野村 伸雄 |
特許庁審判長 |
神 悦彦 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 森林 克郎 |
発明の名称 | 改良されたラベル処理装置及びそれに関連する方法 |
復代理人 | 伊藤 勝久 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |
復代理人 | 佐藤 久容 |