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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B01J
管理番号 1301823
審判番号 不服2014-20932  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-16 
確定日 2015-06-05 
事件の表示 特願2014- 36728「化学反応装置」拒絶査定不服審判事件〔、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は、2014年2月27日を出願日とする特許出願であって、平成26年5月2日付けで拒絶理由が通知され、同年7月7日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年8月6日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月16日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1?6に係る発明は、平成26年7月7日付け提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1?6に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明6」という。なお、まとめて、「本願発明」ということもある。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備え、
前記リアクターの上方側は、前記内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する、化学反応装置。

【請求項2】
前記リアクターの上方側は、前記フロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する、請求項1記載の化学反応装置。

【請求項3】
前記未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度は、30?75度の範囲内である、請求項1または請求項2記載の化学反応装置。

【請求項4】
前記未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度は、略45度である、請求項3記載の化学反応装置。

【請求項5】
液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備え、
前記未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度は、30?75度の範囲内であり、
前記リアクターの上方側は、前記内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有しており、
前記マイクロ波は、前記フロー方向に直交する方向における液面の略中央の位置に照射される、化学反応装置。

【請求項6】
前記未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度は、略45度である、請求項5記載の化学反応装置。」

第3 原査定の理由の概要

原審における拒絶の理由の概要は、本願発明1?4は、下記の引用文献3、1、2または4、1、2に記載された発明ならびに周知事項に基いて、本願発明5、6は、下記の引用文献3または4に記載された発明並びに周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献3.特許第5213199号公報
引用文献4.国際公開第2013/069779号
引用文献1.特開2007-307440号公報
引用文献2.特開平2-66497号公報

なお、周知事項として次の引用文献を引用している。

引用文献6.特開2002-61847号公報

第4 当審の判断

1 引用文献に記載された事項

平成26年8月6日付け拒絶査定において引用された引用文献3、4、1、2、6には次の事項が記載されている。(※注:下線は当審において付記したものである。以下同じ。)

[引用文献3(特許第5213199号公報)]

3a 「【0014】
図1は、本実施の形態によるマイクロ波照射システム100の構成を示す図である。本実施の形態によるマイクロ波照射システム100は、情報処理装置1と、マイクロ波照射装置2とを備える。・・・マイクロ波照射装置2は、内容物にマイクロ波を照射するものである。その照射の目的は、例えば、内容物の加熱であってもよく、または、その他の反応であってもよい。マイクロ波照射装置2は、例えば、回分式(バッチ式)のものであってもよく、または、連続式のものであってもよい。ここで、連続式のマイクロ波照射装置2には、内容物がコンベアによって搬送されるコンベア式のものも含まれると考えてもよい。本実施の形態では、マイクロ波照射装置2が、連続式のものである場合について主に説明する。
【0015】
図1において、マイクロ波照射装置2は、マイクロ波発生器31と、導波管32と、パワーモニタ33と、リアクター34と、蒸気誘導管51と、凝縮容器52と、液面センサ53と、蒸発量取得部54とを備える。
【0016】
マイクロ波発生器31は、マイクロ波を発生する。本実施の形態によるマイクロ波照射装置2は、1個のマイクロ波発生器31を備えていてもよく、あるいは、2個以上のマイクロ波発生器31を備えていてもよい。
・・・
【0017】
導波管32は、マイクロ波発生器31の発生したマイクロ波を、リアクター34に伝送する。なお、導波管32は、マイクロ波発生器31が発生するマイクロ波の周波数に応じた規格のものを使用することが好適である。」

3b 「【0019】
リアクター34は、内容物40が、上方に未充填空間35を有した状態で水平方向に流れる横型の連続式(フロー式)の反応器である。このリアクター34において内容物40にマイクロ波が照射されるため、このリアクター34が、マイクロ波の照射領域となる。その内容物40は、例えば、原料のみであってもよく、または、原料と触媒との混合物であってもよい。なお、リアクター34におけるマイクロ波の照射によって化学反応が起こる場合には、原料から生成物が生成されるため、リアクター34の内容物40には生成物が含まれていると考えてもよい。すなわち、その内容物40は、原料及び/または生成物であってもよい。また、リアクター34を流通する内容物40は、リアクター34内部において流動性を有することが好適であるため、固体(例えば、粉体や粒状体等)以外のものであることが好適である。したがって、内容物40は、液状のものであってもよい。その液状の内容物40は、例えば、水や油、水溶液、コロイド溶液等のように、流動性の高いものであってもよく、あるいは、スラリーや懸濁液のように、流動性の低いものであってもよい。リアクター34の内壁は、マイクロ波を反射する物質で構成されていることが好適である。マイクロ波を反射する物質としては、例えば、金属がある。内容物40に触媒が含まれる場合に、その触媒は、固体触媒(不均一系触媒)であってもよく、または、液状の触媒(均一系触媒)であってもよい。その固体触媒は、例えば、マイクロ波吸収性もしくはマイクロ波感受性を有してもよく、または、そうでなくてもよい。固体触媒がマイクロ波吸収性やマイクロ波感受性を有する場合には、リアクター34の内部においてマイクロ波を照射した際に、固体触媒がマイクロ波によって加熱されることになり、その固体触媒近傍での加熱が促進されることになる。」

3c 「【0021】
リアクター34の内部は、仕切り板36によって3個の室に仕切られている。そして、上流側(図1の左側)の室から下流側(図1の右側)の室に、内容物40が流れることになる。その複数の室は、直列に連続した室である。前述のように、リアクター34の内部では、上方に未充填空間35が存在する。その未充填空間35に対して、導波管32を介してマイクロ波が照射されることになる。なお、図1では、リアクター34の未充填空間35に対してマイクロ波が照射される場合について示しているが、そうでなくてもよい。リアクター34の内部に未充填空間35が存在しない場合、すなわち、リアクター34の内部に内容物40が充満している場合には、マイクロ波は、その内容物40に対して直接、照射されてもよい。また、各導波管32が接続されるリアクター34の位置は問わない。例えば、導波管32が、各室の中央付近の位置に設けられてもよく、仕切り板36の位置に設けられてもよく、あるいは、その他の位置であってもよい。なお、未充填空間35が複数の室で共有されている場合には、その共有されている未充填空間35に伝送されたマイクロ波は、その未充填空間35を共有している複数の室の内容物40に対して照射されることになる。仕切り板36は、マイクロ波透過性のものであってもよく、マイクロ波吸収性のものであってもよく、あるいは、マイクロ波を反射するものであってもよい。マイクロ波を透過する材料としては、例えば、テフロン(登録商標)や、石英ガラス、セラミック、窒化珪素アルミナ等がある。また、マイクロ波を吸収する材料としては、例えば、フラーレンを除くカーボン類等がある。また、マイクロ波を反射する材料としては、例えば、金属がある。各仕切り板36には、内容物40が流通する流路が存在する。その仕切り板36の流路は、例えば、仕切り板36の上方において内容物40がオーバーフローする流路であってもよく、あるいは、仕切り板36の隙間において内容物40が流れる流路であってもよい。後者の隙間の流路の場合には、例えば、仕切り板36とリアクター34の内壁との間に隙間の流路が存在してもよく、または、仕切り板36自体に隙間の流路が存在してもよい。」

3d 「【0026】
ここで、マイクロ波照射装置2の動作について簡単に説明する。原料等の内容物40はリアクター34に流入すると、順次、各室を移動しながらマイクロ波が照射される。そして、適宜、マイクロ波の照射に応じた反応が起こり、反応後の生成物を含む内容物40がリアクター34から流出する。なお、リアクター34内においては、図示しない撹拌手段による撹拌が行われることにより、マイクロ波が内容物40に均等に照射されることが好適である。また、化学反応以外の目的で、マイクロ波の照射が行われてもよい。例えば、マイクロ波の照射に応じた加熱によって、熱溶融性の接着剤を溶かしてもよく、ウェットな照射対象物を乾燥させてもよく、蒸留を行ってもよく、あるいは、その他の処理を行ってもよい。」

3e 「【0074】
また、本実施の形態では、上述したように、マイクロ波の照射領域の形状や方式は問わない。例えば、マイクロ波照射装置2は、図6A?図6Cで示されるマイクロ波の照射領域であるリアクター34を有していてもよい。各リアクター34は、流通式であり、マイクロ波の照射対象物の流入位置と流出位置とが図中の矢印で示されている。なお、図6A,図6Bのリアクター34は横方向の流通式であり、図6Cのリアクター34は縦方向の流通式である。このように、マイクロ波照射装置2が連続式のものである場合に、マイクロ波の照射対象物の流れの方向は、横方向であってもよく、縦方向であってもよく、または、その他の方向であってもよい。また、図中の太い矢印のようにマイクロ波を照射してもよい。
・・・
【0077】
また、上述したように、マイクロ波照射装置2がマイクロ波を照射する対象物は、固体であってもよく、液体であってもよく、気体であってもよく、または、それらの任意の2以上のものの混合物であってもよい。また、マイクロ波の照射対象物が固体や液体である場合に、その固体や液体に直接的にマイクロ波を照射してもよく、または、上述した未充填空間35のような空間を介して間接的にマイクロ波を照射してもよい。」

3f 「
【図1】



3g 「
【図6B】



[引用文献4(国際公開第2013/069779号)]

4a 「請求の範囲
[請求項1]
内部が仕切り板によって複数の室に仕切られており、液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する1以上の導波管と、を備え、
前記リアクターは、前記内容物の量の変化に応じて液面の高さが変化しても、当該液面の面積が不変である形状を有する、化学反応装置。」

4b 「[0019]
リアクター13は、液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式の反応器である。その内容物は、例えば、原料と触媒との混合物である。
・・・
[0020]
マイクロ波発生器14は、マイクロ波を発生する。本実施の形態による化学反応装置1は、1個のマイクロ波発生器14を備えていてもよく、あるいは、2個以上のマイクロ波発生器14を備えていてもよい。そのマイクロ波の周波数は限定されるものではないが、例えば、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、24GHzであってもよく、913MHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であってもよい。
[0021]
1以上の導波管15は、マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、リアクター13の未充填空間に伝送する。導波管15は、図1で示されるように、マイクロ波発生器14の個数と同じ個数だけ存在してもよい。また、導波管15は、分岐を有し、未充填空間の2以上の位置にマイクロ波を伝送してもよい。なお、導波管15は、マイクロ波発生器14が発生するマイクロ波の周波数に応じた規格のものを使用することが好適である。」

4c 「[0026]
図2は、本実施の形態によるリアクター13の内部構造の一例を示す図である。図2において、リアクター13は、内部が仕切り板21によって複数の室31,32,33,34に仕切られている。その複数の室31,32,33,34は、直列に連続した室である。前述のように、リアクター13の内部では、上方に未充填空間22が存在する。その未充填空間22に対して、導波管15を介して、マイクロ波発生器14で発生されたマイクロ波が照射されることになる。なお、図2では、リアクター13内部に単一の未充填空間が存在する場合、すなわち、すべての室31?34において未充填空間が共有されている場合について示しているが、そうでなくてもよい。すなわち、未充填空間は、すべての室のうち、少なくとも一部の2以上の室において共有されていてもよく、あるいは、すべての室において共有されていなくてもよい(この場合には、各仕切り板21によって未充填空間が分断されていることになる)。各導波管15は、図2で示されるように、各室32,33,34の中央付近の位置に設けられてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。前者の場合には、例えば、一の導波管15によって未充填空間22に伝送されたマイクロ波が、その下方に存在する室に主に照射される。なお、マイクロ波は未充填空間を伝わるため、例えば、室32の位置の導波管15によって伝送されたマイクロ波が、未充填空間を介して室31や室33の内容物にも照射されることになる。なお、導波管15を仕切り板21の位置、すなわち、仕切り板21の上方の位置に設けてもよい。そのようにすることで、一の導波管15によって未充填空間22に伝送されたマイクロ波が、その導波管15に対応する位置の仕切り板21で区切られる2個の室に主に照射されることになる。なお、未充填空間が複数の室で共有されている場合には、その共有されている未充填空間に伝送されたマイクロ波は、その未充填空間を共有している複数の室の内容物20に対して照射されることになる。仕切り板21は、マイクロ波透過性のものであってもよく、マイクロ波吸収性のものであってもよく、あるいは、マイクロ波を反射するものであってもよい。マイクロ波を透過する材料としては、例えば、テフロン(登録商標)や、石英ガラス、セラミック、窒化珪素アルミナ等がある。したがって、マイクロ波透過性の仕切り板21は、そのようなマイクロ波を透過する材料で構成されたものであってもよい。また、マイクロ波を吸収する材料としては、例えば、フラーレンを除くカーボン類等がある。したがって、マイクロ波吸収性の仕切り板21は、そのようなマイクロ波を吸収する材料で構成されたものであってもよい。また、マイクロ波を反射する材料としては、例えば、金属がある。したがって、マイクロ波を透過しない仕切り板21は、そのようなマイクロ波を反射する材料で構成されたものであってもよい。また、仕切り板21は、マイクロ波透過性の材料、マイクロ波吸収性の材料、マイクロ波反射性の材料のうち、任意の2以上の材料の組み合わせによって構成されてもよい。」

4d 「[0036]
また、リアクター13は、例えば、図5Bで示されるように、容器部13bの上端から開口が小さくなるように上方に延びる環状部13cをさらに備え、リアクター13の上面板13aが、その環状部13cの上部開口に対して開閉可能に設けられていてもよい。具体的には、上面板13aは、リアクター13の長さ方向のヒンジを中心として、環状部13cに対して回動可能に設けられていてもよい。その上部開口が上面板13aによって閉じられた場合には、上面板13aと環状部13cとの隙間からマイクロ波が漏れないようになっていることが好適である。そのため、例えば、上部開口と上面板13aとは同じ形状(例えば、矩形等)をしており、上面板13aで上部開口が閉じられた場合に、隙間が存在しないようになっていてもよい。なお、リアクター13の上面板13aが、開閉可能である場合に、導波管15は、上面板13aを介して未充填空間22にマイクロ波を伝送してもよく、環状部13cを介して未充填空間22にマイクロ波を伝送してもよく、あるいは、リアクター13の側面を介して未充填空間22にマイクロ波を伝送してもよい。」

4e 「
[図2]



4f 「
[図5B]



[引用文献1(特開2007-307440号公報)]

1a 「【技術分野】
【0001】
本発明は、化学反応を促進するためのマイクロ波照射部を有した化学反応装置に関するものである。」

1b 「【0018】
図1は第1実施形態に係る化学反応装置10の説明図である。図示のように原料液A14と原料液B16は、それぞれ原料液Aタンク18と原料液Bタンク20に貯留している。先ず、原料液供給ライン12において、原料液A14と原料液B16は、原料液A供給ポンプ22と原料液B供給ポンプ24によって、原料液A供給用配管26と原料液B供給用配管28を介して、マイクロミキサ30に移送される。マイクロミキサ30内では、原料液は管径がマイクロオーダの微細流路に導入され、原料液同士を混合するための微細流路の接点で分子レベルの完全混合に近い状態が作り出される。マイクロミキサ30で混合された混合液は、原料液供給用配管32を介し、反応槽34に送られる。
【0019】
反応槽34は外側にジャケットを備えた槽であり、原料液A14と原料液B16とが混合された混合液36の温度を精密に制御するための冷却用のブライン38を外側のジャケットに保持できる。ブライン38は、ブライン槽40に貯められており、クーラ42で所定の温度に冷却されている。ブライン槽40のブライン38は、ブライン供給ポンプ44で反応槽34のジャケット部に送られ、ブライン用配管46を介して、ブライン槽40に戻り循環している。反応槽34に送られた混合液36は、攪拌翼48を備えた攪拌機50で混合され、槽内の温度分布を少なくする。この時、反応に原料液A14と原料液B16以外の固体触媒を要する場合は、混合液36に固体触媒が投入され攪拌される。
【0020】
また、化学反応装置10には、マイクロ波照射装置52が設けられている。反応槽34には、上部にマイクロ波照射装置52の導波管54が接続されており、導波管54のもう一端にはマイクロ波発生器56が設置されている。マイクロ波発生器56で電気エネルギーから変換されたマイクロ波が循環中の混合液36に照射される。」

1c 「【0029】
また、図7は、第1実施形態に係る化学反応装置10の別形態の説明図である。投入された混合液が反応槽34で反応し、反応後の液(製品)を連続的に製品抜出ポンプ80で製品タンク82に移送することが可能となっている。」

1d 「
【図1】



1e 「
【図7】



[引用文献2(特開平2-66497号公報)]

2a 「特許請求の範囲
(1)容器内に被処理物を入れ、該容器の外部からマイクロ波を照射して前記被処理物を加熱するマイクロ波加熱容器において、
前記容器を、被処理物を入れる窒化ケイ素製皿体と、該窒化ケイ素製皿体を入れるステンレス製枠体との2重構造としたことを特徴とするマイクロ波加熱容器。」

2b 「(産業上の利用分野)
本発明は、マイクロ波加熱によって例えば硝酸ウラニル溶液等を加熱、脱硝処理する装置に関し、更に詳しくは該加熱装置に使用される加熱容器の構造に関する。」

2c 「第2図は、本発明に係る加熱容器を備えたマイクロ波加熱脱硝装置の一例を示す概略図である。
符号1はマイクロ波発信器を示しており、マイクロ波発信器1には導波管2の始端が接続され、導波管2の終端はオーブン3に接続されている。
加熱オーブン3は、次のように構成されている。すなわち、加熱オーブン3は、断熱材から成るケーシング4と、該ケーシング4の中に回転可能に配置されたターンテーブル5と、ターンテーブル5に回転軸6を介して接続されている回転駆動部7と、ターンテーブル5の上に載せられる加熱容器8と、該加熱容器8内に被処理物を供給するようにケーシング4に設けられた被処理物供給口9と、ケーシング4に設けられた排気管10などから構成されている。」

2d 「
第2図



[引用文献6(特開2002-61847号公報)]

6a 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁波を発生するマグネトロンと、
前記マグネトロンから発生した電磁波を案内するように電子レンジの側壁に装着されたマイクロウェーブガイドと、
該マイクロウェーブガイドから案内された電磁波を円偏波状に放射するように前記電子レンジの側壁に切削形成された一対の開口部と、
六面体以上の多面体の形状に形成され、該多面体をなす一つ以上の側壁が、該側壁の後方隅部を中心として前方側が所定の中心角度(θ1)だけ内側の方に移行して設けられた調理室と、を備えて構成されることを特徴とする電子レンジの均一加熱構造。
・・・
【請求項8】 前記調理室の各側壁中の何れか一つ以上の側壁が調理室の内部の調理対象物の中心方向側に傾斜されて湾曲された曲面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジの均一加熱構造。」

6b 「【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の電子レンジの調理室構造においては、マイクロウェーブが調理室内部の調理対象物に不均一に照射されて、調理性能が低下するという不都合な点があった。そこで、本発明の目的は、マグネトロンから発生されるマイクロウェーブを調理室内部の調理対象物に均一に照射して均一な調理を行い得る電子レンジの均一加熱構造を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、本発明に係る電子レンジの均一加熱構造においては、電磁波を発生するマグネトロン40と、このマグネトロンから発生された電磁波を案内するように、電子レンジの側壁に装着されたマイクロウェーブガイド50と、このマイクロウェーブガイドから案内された電磁波を円偏波状に放射するように電子レンジの側壁に切削形成された一対の開口部60と、六面体以上の多面体形状に形成された調理室であって、この多面体をなす側壁(81?86)のうちの一つ以上の側壁が、この側壁の後方隅部を中心としてその前方側が所定の中心角度(θ1)だけ内側の方に移行して設けられた調理室80と、を備えて構成される。」

6c 「【0011】又、本発明の第3実施形態として、図4及び図5に示したように、調理室80の各側壁中、任意の一つ以上の側壁の隅部を円弧状の曲面に湾曲して形成し、マイクロウェーブガイド50が装着される側壁82と対向する側壁83の上下両方を部分的に調理室80の内部の調理物の中心方向に所定角度(θ2)だけ傾斜して形成し、その他は第2実施形態と同様に構成することもできる。」

6d 「【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電子レンジの均一加熱構造においては、調理対象物が収納される調理室の側壁を調理対象物の方向に傾斜させて形成し、マイクロウェーブを調理室の内部に案内するマイクロウェーブガイド及び開口部をそれぞれ所定の角度だけドア側に傾斜して構成するため、マイクロウェーブガイド及び開口部を経て調理室の内部に放射されるマイクロウェーブの分布が従来よりも均一化されて、調理対象物の加熱が均一に行われ、よって、電子レンジの調理性能及び信頼性を向上させ得るという効果がある。」

6e 「
【図1】



6f 「
【図4】



6g 「
【図5】



2 引用文献3、4に記載された発明

(1) 引用文献3に記載された発明

上記「1」において摘示された引用文献3の3a?3eの下線部の記載事項、3fの図1及び3gの図6Bの視認事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献3には、次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されている。

[引用発明3]

「液状の内容物40が、上方に未充填空間35を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター34と、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器31と、
前記マイクロ波発生器31の発生したマイクロ波を、前記リアクター34の未充填空間35に伝送する導波管32と、を備え、
前記リアクター34の上方側は、前記内容物40のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する、
マイクロ波照射装置。」

(2) 引用文献4に記載された発明

上記「1」において摘示された引用文献4の4a?4dの下線部の記載事項及び4eの図2、4fの図5Bの視認事項を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献4には、次の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されている。

[引用発明4]

「液状の内容物が、上方に未充填空間22を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター13と、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器14と、
前記マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、前記リアクター13の未充填空間22に伝送する導波管15と、を備え、
前記リアクター13の上方側は、前記液状の内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する、
化学反応装置。」

3 対比・判断

(1) 本願発明1についての検討

ア 引用発明3を主引用発明とした場合について

(ア) 本願発明1と引用発明3とを対比する。

(イ) 引用発明3の「液状の内容物40」、「未充填空間35」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター34」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器31」、「前記マイクロ波発生器31の発生したマイクロ波を、前記リアクター34の未充填空間35に伝送する導波管32」は、それぞれ本願発明1の「液状の内容物」、「未充填空間」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器」、「前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管」に相当する。
そして、引用文献3の3bの「リアクター34におけるマイクロ波の照射によって化学反応が起こる場合には、原料から生成物が生成される」との記載によれば、引用発明3の「マイクロ波照射装置」は、該リアクター34内で化学反応を起こすものであるから、本願発明1の「化学反応装置」に相当する。

(ウ) そうすると、両者は「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備える、
化学反応装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]

リアクターの上方側が、本願発明1は「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」のに対して、引用発明3は、「内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する」ものの、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものであるか不明な点。

(エ) 相違点1についての検討

上記相違点1について検討する。

引用発明3は、内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有するものであるが、内容物のフロー方向に対しては、引用文献3の図6B(3g参照)には、前記アーチ形状のものが同一の高さで続く構造のものが開示されているのみで、内容物のフロー方向に対して湾曲形状のものが記載されているとはいえない。また、引用文献3には、リアクターの上方側が「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」ことについては記載も示唆もされていない。
これに対して、本願発明1の化学反応装置は、リアクターの上方側が、「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」ことによって、「マイクロ波がリアクター内部において、より均等に照射されるようにすることができる。」(【0006】)、という効果を奏するものである。すなわち、本願明細書に記載されたシミュレーション結果によると、「【0043】
シミュレーション2
このシミュレーションでは、リアクター13の長さ方向においてリアクターの上方側が湾曲形状を有している場合と、そうでない場合とを比較した。図7Aは、リアクター13の上方側が長さ方向において湾曲形状を有している場合のシミュレーション結果であり、図7Bは、そうでない場合、すなわち、リアクターの上方側が長さ方向において湾曲形状を有しておらず、フラットである場合のシミュレーション結果である。なお、両方の場合において、長さ方向と直交する方向については、リアクターの上方側の形状がフラットであるとした。すなわち、リアクターの断面形状が図5で示されるものとした。また、図7A,図7Bの図中の矢印によって、内容物のフロー方向を示している。したがって、図7A,図7Bでは、リアクターを図1や図2と同じ方向から見ていることになる。また、図7A,図7Bの両方において、リアクターの内部はマイクロ波を透過しない仕切り板によって7個の室に分けられている。そして、その両方において、左から1番目の室と、左から4番目の室との上方にそれぞれ、導波管が接続されているものとしている。図7Aでは、その導波管15の接続されている位置の室におけるマイクロ波の強度が最も大きくなっているが、それ以外の室にも均等にマイクロ波が照射されている。一方、図7Bでは、導波管の接続されている位置の室と関係なく、左から1番目と、左から3番目の室におけるマイクロ波の強度が大きくなっており、さらに右から1番目の室には全くマイクロ波が入っていない。そのように、長さ方向におけるリアクターの上方側の形状が湾曲形状である場合には、各室により均等にマイクロ波が照射され、マイクロ波の集中も比較的少ない。一方、長さ方向におけるリアクターの上方側の形状がフラット形状である場合には、マイクロ波が集中することになり、均等な照射を行うことができていない。したがって、リアクター13の上方側を、長さ方向に対して湾曲形状を有するようにすることは、マイクロ波の集中を低減し、マイクロ波がより均等に照射されるようにするために有効であることが分かる。 」、「
【図7A】

」、「
【図7B】

」とあり、リアクターの上方側の形状が長さ方向に対して(内容物のフロー方向に対して)フラット形状である場合に対して、本願発明1であるリアクターの上方側の形状が長さ方向に対して(内容物のフロー方向に対して)湾曲形状の場合は、「均等にマイクロ波が照射され、マイクロ波の集中も比較的少ない。」、また、「マイクロ波の集中を低減し、マイクロ波がより均等に照射されるようにするために有効である」という顕著な効果を有するものであるから、リアクターの上方側の形状が湾曲形状であることに技術的意義を有するものである。そして、引用文献3には、引用発明3により、内容物のフロー方向に対して、マイクロ波による均等な照射が行われることも記載されていない。
したがって、相違点1は実質的なものであって、当業者が容易になし得るものとはいえない。

また、引用文献1、2、6も、「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」において、リアクターの上方側が「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」ことを開示するものではないから、「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」において、リアクターの上方側が「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」ことは、引用文献1、2、6に記載された発明から導き出されることとも認められない。

そうすると、相違点1は実質的なものであり、相違点1に係る本願発明1の構成の点は、引用文献3、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

(オ) 小括

よって、本願発明1は、引用文献3、1、2、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 引用発明4を主引用発明とした場合について

(ア) 本願発明1と引用発明4を対比する。

(イ) 引用発明4の「液状の内容物」、「未充填空間22」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター13」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器14」、「前記マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、前記リアクター13の未充填空間22に伝送する導波管15」、「化学反応装置」は、それぞれ本願発明1の「液状の内容物」、「未充填空間」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器」、「前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管」、「化学反応装置」に相当する。

(ウ) そうすると、両者は「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備える、
化学反応装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1’]

リアクターの上方側が、本願発明1は「内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有する」のに対して、引用発明4は、「内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する」ものの、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものであるか不明な点。

(エ) 相違点1’についての検討

上記相違点1’について検討すると、上記相違点1’は、上記3(1)アで検討した相違点1と同じであり、本願発明1は、上記の発明特定事項を有することにより顕著な効果を有しており、リアクターの上方側の形状が湾曲形状であることに技術的意義を有するものである。

他方、引用発明4は、引用文献4の4eの図2、4fの図5Bの視認事項からみて、リアクターの上方側が内容物のフロー方向に対して「フラット形状」であるといえ、その場合、上記本願明細書にシミュレーション2として記載されるように、「マイクロ波が集中することになり、均等な照射を行うことができていない」こととなり、これからしても、引用文献4には、内容物のフロー方向に対してマイクロ波による均等な照射が行われていることについて何ら記載はない。

また、引用文献1、2、6も、上記3(1)アで述べたとおりである。

そうすると、相違点1’は実質的なものであるから、相違点1’に係る本願発明1の構成の点は、引用文献4、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

(オ) 小括

よって、本願発明1は、引用文献4、1、2、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 引用発明3を主引用発明とし、上記3(1)アにおいて、さらに、引用発明4を組み合わせる場合について

引用発明4には、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものが記載されていないから、引用発明3に引用発明4を組み合わせても容易になし得るとはいえない。
よって、本願発明1は、引用文献3、4、1、2、6に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 引用発明4を主引用発明とし、上記3(1)イにおいて、さらに、引用発明3を組み合わせる場合について

引用発明3には、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものが記載されていないから、引用発明4に引用発明3を組み合わせても容易になし得るとはいえない。
よって、本願発明1は、引用文献4、3、1、2、6に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(2) 本願発明2?4についての検討

本願発明2?4は、本願発明1を直接または間接的に引用する発明であり、本願発明1の発明特定事項を全て含むものであるから、引用発明3を主引用発明とする場合(3(1)ア、ウ)においても、相違点1は実質的なものであるから、相違点1に係る本願発明2?4の構成の点は、引用文献3、4、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。
また、引用発明4を主引用発明とする場合(3(1)イ、エ)においても、相違点1’は実質的なものであるから、相違点1’に係る本願発明2?4の構成の点は、引用文献4、3、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

(3) 本願発明5についての検討

ア 引用発明3を主引用発明とした場合について

(ア) 本願発明5と引用発明3とを対比する。

(イ) 引用発明3の「液状の内容物40」、「未充填空間35」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター34」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器31」、「前記マイクロ波発生器31の発生したマイクロ波を、前記リアクター34の未充填空間35に伝送する導波管32」は、それぞれ本願発明5の「液状の内容物」、「未充填空間」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器」、「前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管」に相当し、また、引用発明3の「マイクロ波照射装置」は、上記3(1)ア(イ)で検討したとおり、本願発明5の「化学反応装置」を含むものと認められる。
さらに、引用文献3の3gの図6Bの視認事項によれば、リアクター34は円筒形状の容器を横型に配したものであることがわかり、当該リアクター34の上方側が、内容物のフロー方向に直交する方向に対して本願発明5のように「アーチ形状」を有しているものと認められる。

(ウ) そうすると、両者は「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備え、
前記リアクターの上方側は、前記内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する、
化学反応装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点2]

未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、本願発明5は「30?75度の範囲内」であるのに対して、引用発明3は、斯かる事項を発明特定事項としない点。

[相違点3]

マイクロ波が照射される位置について、本願発明5は「前記フロー方向に直交する方向における液面の略中央」であるのに対して、引用発明3は、斯かる事項を発明特定事項としない点。

(エ) 相違点2についての検討

上記相違点2について検討する。

本願発明5の化学反応装置は、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、「30?75度の範囲内」であることによって、「マイクロ波を内容物により均等に照射することができるようになる。」(【0008】)、という効果を奏するものであり、また、本願明細書に記載されたシミュレーション結果によると、「【0042】
シミュレーション1
このシミュレーションでは、未充填空間に入射されるマイクロ波と、内容物の液面とのなす角度θを15度から90度まで変化させた。図6A?図6Fは、それぞれθ=15°、30°、45°、60°、75°、90°に対応するシミュレーション結果である。なお、各シミュレーション結果において、リアクターの上方側の形状は、長さ方向においても、長さ方向に直交する方向においてもフラットであるとした。すなわち、リアクターの断面形状を図5で示されるものとした。また、図6A?図6Fのそれぞれにおいて、内容物の液面位置が矢印で示されている。また、図6A?図6Fのそれぞれにおいて、リアクターの長さ方向は、図中の左右方向である。したがって、図6A?図6Fでは、リアクターを図1や図2と同じ方向から見ていることになる。図6Aで示されるθ=15°の場合には、マイクロ波の多くが液面で反射し、液中に浸透していない。また、図6Aでは、略中央付近に上下に延びるマイクロ波の弱い領域が存在し、その部分にはマイクロ波が適切に照射されていない。また、図6Fで示されるθ=90°の場合には、マイクロ波が液中にも浸透しているが、その液中におけるマイクロ波のムラが大きく、マイクロ波が集中している箇所と、そうでない箇所とが存在する。また、図6Aの場合と同様に、図6Fにおいても、略中央付近に上下に延びるマイクロ波の弱い領域が存在する。図6B?図6Eのそれぞれは、θ=30°、45°、60°、75°に対応し、液中においてマイクロ波の強度分布が比較的均等であることが分かる。したがって、マイクロ波を照射する角度としては、θ=30?75度の範囲が好適であることが分かる。特に、図6Cで示されるθ=45°の場合には、液中におけるマイクロ波の強度分布が均等であり、さらにリアクターの上方におけるマイクロ波の集中も存在していない。したがって、θ=45°付近でマイクロ波を照射することがさらに好適であることが分かる。そのため、以下のシミュレーション2、3では、θ=45°とした。なお、マイクロ波の照射方向は、そのマイクロ波を伝送する導波管の長さ方向であると考えてもよい。」、「
【図6A】 【図6B】

」、「
【図6C】 【図6D】

」、「
【図6E】 【図6F】

」、とあり、θ=15°やθ=90°である場合に対して、本願発明であるθ=30?75度の場合は、「液中においてマイクロ波の強度分布が比較的均等である」という顕著な効果を有しており、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、「30?75度の範囲内」であることに技術的意義を有するものである。

他方、引用文献3は、未充填空間に入射されるマイクロ波と前記内容物の液面とのなす角度について特に言及しているわけでなく、その示唆も見当たらない。

また、引用文献1、2、6も、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について開示するものではないから、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、「30?75度の範囲内」とすることは、引用文献1、2、6に記載された発明から導き出されることとも認められない。

そして、本願発明5は、上記相違点2に係る発明特定事項により、上記のとおりの効果を奏するものである。

そうすると、相違点2に係る本願発明5の構成の点は、引用文献3、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

(オ) 小括

よって、上記相違点3を検討するまでもなく、本願発明5は、引用文献3、1、2、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 引用発明4を主引用発明とした場合について

(ア) 本願発明5と引用発明4とを対比する。

(イ) 引用発明4の「液状の内容物」、「未充填空間22」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター13」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器14」、「前記マイクロ波発生器14の発生したマイクロ波を、前記リアクター13の未充填空間22に伝送する導波管15」、「化学反応装置」は、それぞれ本願発明1の「液状の内容物」、「未充填空間」、「水平方向に流れる横型のフロー式のリアクター」、「マイクロ波を発生するマイクロ波発生器」、「前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管」、「化学反応装置」に相当する。
さらに、引用文献4の4eの図5Bの視認事項によれば、管状部13cが備えられたリアクター13であることがわかり、当該リアクター13の管状部13cが、内容物のフロー方向に直交する方向に対して本願発明5のように「アーチ形状」を有しているものと認められる。

(ウ) そうすると、両者は「液状の内容物が、上方に未充填空間を有した状態で水平方向に流れる横型のフロー式のリアクターと、
マイクロ波を発生するマイクロ波発生器と、
前記マイクロ波発生器の発生したマイクロ波を、前記リアクターの未充填空間に伝送する導波管と、を備え、
前記リアクターの上方側は、前記内容物のフロー方向に直交する方向に対してアーチ形状を有する、
化学反応装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点2’]

未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、本願発明5は「30?75度の範囲内」であるのに対して、引用発明4は、斯かる事項を発明特定事項としない点。

[相違点3’]

マイクロ波が照射される位置について、本願発明5は「前記フロー方向に直交する方向における液面の略中央」であるのに対して、引用発明4は、斯かる事項を発明特定事項としない点。

(エ) 相違点2’についての検討

上記相違点2’について検討すると、上記相違点2’は、上記3(3)アで検討した相違点2と同じであり、本願発明5は、上記のとおり顕著な効果を有しており、「30?75度の範囲内」であることに技術的意義を有するものである。

他方、引用文献4についても、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について特に言及しているわけでなく、その示唆も見当たらない。

また、引用文献1、2、6も、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について開示するものではないから、未充填空間に入射されるマイクロ波と、前記内容物の液面とのなす角度について、「30?75度の範囲内」とすることは、引用文献1、2、6に記載された発明から導き出されることとも認められない。

そして、本願発明5は、上記相違点2’に係る発明特定事項により、上記のとおりの効果を奏するものである。

そうすると、相違点2’に係る本願発明5の構成の点は、引用文献4、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

(オ) 小括

よって、上記相違点3’を検討するまでもなく、本願発明5は、引用文献3、1、2、6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ 引用発明3を主引用発明とし、上記3(3)アにおいて、さらに、引用発明4を組み合わせる場合について

引用発明4には、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものが記載されていないから、引用発明3に引用発明4を組み合わせても容易になし得るとはいえない。
よって、本願発明5は、引用文献3、4、1、2、6に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ 引用発明4を主引用発明とし、上記3(3)イにおいて、さらに、引用発明3を組み合わせる場合について

引用発明3には、内容物のフロー方向に対して湾曲形状を有するものが記載されていないから、引用発明4に引用発明3を組み合わせても容易になし得るとはいえない。
よって、本願発明5は、引用文献4、3、1、2、6に記載された事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(4) 本願発明6についての検討

本願発明6は、本願発明5を引用する発明であり、本願発明5の発明特定事項を全て含むものであるから、引用発明3を主引用発明とする場合(3(3)ア、ウ)においても、相違点2は実質的なものであるから、相違点2に係る本願発明6の構成の点は、引用文献3、4、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。
また、引用発明4を主引用発明とする場合(3(3)イ、エ)においても、相違点2’は実質的なものであるから、相違点2’に係る本願発明6の構成の点は、引用文献4、3、1、2、6に記載された発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

第5 むすび

以上のとおりであるから、現査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-05-26 
出願番号 特願2014-36728(P2014-36728)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B01J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原 賢一  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 國島 明弘
山田 靖
登録日 2015-06-19 
登録番号 特許第5763234号(P5763234)
発明の名称 化学反応装置  
代理人 谷川 英和  
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