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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61M
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する A61M
管理番号 1301829
審判番号 訂正2015-390042  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2015-04-24 
確定日 2015-06-04 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5628669号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5628669号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5628669号(以下「本件特許」という)に係る発明は、2008(平成20)年6月2日を国際出願日(パリ条約による優先権主張2007年6月1日、アメリカ合衆国)として特許出願(特願2010-510561号)したものであって、平成26年10月10日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成27年4月24日に本件訂正審判が請求されたものである。

第2 本件訂正審判における請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第5628669号の明細書及び特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおりに訂正することを求めるものであって、具体的には、以下の訂正事項1ないし訂正事項44のようにすること(以下これらをまとめて単に「本件訂正」ということがある)を求めるものである。
なお、下線部は訂正箇所を示すものであって請求人が付したものである。
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲及び明細書において、「補充」とあるのを全て「リクルートメント」に訂正する。
すなわち、特許請求の範囲の請求項4の2行目及び4行目、請求項5の8行目、請求項7の4行目、請求項15の8行目、請求項17の4行目、請求項20の5行目、並びに明細書段落【0002】2行目、【0004】4行目及び5行目、【0006】5行目、【0007】4行目及び5行目、【0013】4行目、【0014】3行目及び6行目、【0017】5行目、【0026】1行目、3行目、4行目2ヶ所、5行目及び6行目、【0028】1行目、【0048】3行目及び6行目、【0058】5行目、7行目、8行目及び12行目、【0059】1行目、【0060】5行目、【0067】3行目、【0072】(項目4)2行目及び4行目、(項目5)8行目、(項目7)4行目、(項目15)8行目、(項目17)4行目、(項目20)5行目、【0087】3行目、【0089】4行目、6行目及び7行目、【0090】1行目、5行目及び9行目、【0092】5?6行目、【0098】2行目、【0101】6行目、【0102】5行目、【0103】1行目、6行目及び9行目2ヶ所、【0104】5行目及び6行目、【0105】1行目、【0107】1行目、3行目及び6行目、【0111】9行目、【0112】1行目、【0128】5行目、に「補充」とあるのを「リクルートメント」に訂正する。

(2)訂正事項2
明細書において「脱補充」とあるのを「ディリクルートメント」に訂正する。
すなわち、明細書段落【0014】4行目、【0026】5行目、【0048】7行目、【0101】1行目、【0102】2行目、【0103】7行目、【0104】8行目、【0107】1行目、4行目及び7行目に「脱補充」とあるのを「ディリクルートメント」に訂正する。

(3)訂正事項3
明細書第25頁の21行目の【図面の簡単な説明】という見出し、及びそのための具体的内容である段落【0073】内の記載を全て削除する。
すなわち、【図面の簡単な説明】という見出し、及びその段落【0073】内の記載である「以下で請求されるような本発明の範囲を限定することなく、ここで図表および図面を参照すると、図面、図表、および図にわたる類似数字は、同一の、対応する、または同等の要素、方法、構成要素、特徴、およびシステムを指す。
【図1】図1は、本発明による人工呼吸器およびシステムを示す。
【図2】図2は、図1の人工呼吸器およびシステムの動作の概略図を示す。
・・・(中略)・・・
【図20】図20は、圧力P(高)の連続低減およびT(高)の略同時増加による換気離脱を図示する、一式の気道内圧対時間のトレース図である。」を全て削除する。

(4)訂正事項4
明細書中、要素に係る記載の直後に付記された、図を参照する数字または英文字を全て削除する。
すなわち、次の明細書各段落の各数字、記号を削除する。
【0074】2行目の10、
【0075】1行目のP、2行目の10、3行目の10、3?4行目の14、4行目の1
6、5行目3か所の12、6行目の14、
【0076】2行目の22、3行目2ヶ所の20、4行目2ヶ所の28及び20、5行目の28、6行目の28、
【0077】1行目の20、4行目の24、5行目の24、
【0078】1行目の12、1?2行目の40、2行目のP及び40、3行目の42及び44、4行目の46、5行目の50、52及び30、7行目22、8行目の20、
【0079】1行目の46及び52、5行目の10、
【0080】4行目の70、5行目の80、5?6行目の90、7行目の95
【0082】1行目の54及びP、2行目の56、4行目の58、7行目の60、8行目の62、
【0083】3行目の64、5行目の42及び44、6行目の66、
【0084】2行目の100及び200、3行目の250、3?4行目の20、4行目の30及び10、7行目の26、8行目の28及び10、9行目の120、11行目それぞれ2ヶ所の110及び120、12行目100及び130、13行目10及び30、13行目150、
【0085】1行目の100、2行目の150、3行目の150及びP、5行目の150及びP、6行目のP、
【0086】5行目の150及びP、
【0087】1行目の150、2行目の30、3行目の300、400、500、4行目の2ヶ所の200、300、400、4?5行目の500、10行目の56及び58、
【0088】1行目の30及び300、2行目の300、4行目の360、5行目の30、6行目の600、7行目の600及びP、8行目の600、
【0089】1行目の300及び30、1?2行目の380、2行目の390及び150、4行目の300及び400、6行目の400、6?7行目の300、7行目の30及び400、
【0090】1行目の400、2行目の420、430及び450、4行目のP、460及び470、5行目の480、310及び400、6行目の310及び300、8行目の30、9行目の180、11行目の30、12行目180、13行目500、14行目の30、
【0091】2行目の30及び500、3行目の500及び510、4行目の150、110及び120、5行目の570、6行目の570、7行目の530、540、370及び390、8行目の504、
【0092】1行目のP、3行目の506、530及び370、4行目の520、5行目の506及び560、6行目の400、7行目の310及び550、8行目の2か所の590、9行目のP及び30、11行目の180、
【0093】1行目の30及び300、2行目の500及び600、4行目の330、310、510及び570、5行目の580及びP、6行目の610及び630、7行目の620及び30、8行目の10、9行目の10、
【0094】1行目の30及びP、2行目の700、3行目の700、4行目の610、5行目の700及び710、8行目の30、9行目の2か所の710、10行目の30及び600、11行目の180及び30、
【0095】1行目の710及びP、2行目の10、3行目の700、4行目の720及び10、5行目の720、730、710及びP、7行目のP及び180、8行目の30及び10、
【0096】1行目の30、2行目の800、3行目の10及びP、4?5行目の710、5行目の800、6行目の860、820、830、840及び850、
【0097】1行目の10、2行目の150、3行目の150、4行目の1050、8行目の105、8?9行目の1050、9行目のP、
【0098】2行目の300、400及び500、3行目のP及び1050、4行目の1050、
【0099】5行目の1050、6行目の1100、1110及び1120、8行目の1050及びP、
【0100】1行目の1130、2?3行目の1110、4行目の1110、5行目の1120、7行目の1130、
【0101】2行目の1050及び150、
【0102】1行目の1050及び150、
【0103】1行目の400、2?3行目の1200、3行目の10、4行目の1200、5行目の30、6行目の1200及び400、7行目の1200、8行目の10及び1200、9行目の400、10行目の1200
【0104】1行目の1200、3行目の1200、5行目の1200及び30、6行目の400及び180、7行目の1200、9行目のP、
【0105】1行目の400及び1200、3行目の30及び180、
【0106】1行目の1200、2行目の1200、3行目の1210及び1250、4行目の1220、4?5行目の1200、5行目の1250及び1220、
【0107】1行目の1220、
【0108】1行目の10、2行目の1340、3行目の1340、5行目の1340、5?6行目の30、6行目の500、7行目の600、
【0109】1行目のP、1?2行目の1340、3?4行目の1340、4行目の68、
【0110】1行目の1360、2行目の1370及び1380、3行目の500及び600、4行目の570及び580、5行目のP、
【0111】2?3行目の700、4行目のP及び20、
を全て削除する。

(5)訂正事項5
明細書段落【0023】1行目及び3行目の「Bower」を「Brower」に訂正する。

(6)訂正事項6
明細書段落【0074】1行目、「ここで種々の図表および説明図を参照すると」を、「ここで以下の記載を参照すると」に訂正する。

(7)訂正事項7
明細書段落【0074】3?5行目、「かつ本明細書の書面による説明、請求項、および図的解説の全体を通して例示される、種々の特徴、構成要素、修正、および変化例の全てとの互換性を検討することを理解すべきである。」を、「、および図的解説の」を削除して「かつ本明細書の書面による説明、請求項の全体を通して例示される、種々の特徴、構成要素、修正、および変化例の全てとの互換性を検討することを理解すべきである。」に訂正する。

(8)訂正事項8
明細書段落【0075】1?3行目、「この誘導概念を考慮して、ここで図1を参照すると、換気療法を受けている患者Pと連通している、人工呼吸器および人工呼吸器システム10の1つの可能な実施形態が図示されている。」を「この誘導概念を考慮した、換気療法を受けている患者と連通している、人工呼吸器および人工呼吸器システムが説明される。」に訂正する。

(9)訂正事項9
明細書段落【0076】6行目、「かつ図1に示されたキーボード入力デバイス28」を「かつ図1に示された」を削除して「キーボード入力デバイス」に訂正する。

(10)訂正事項10
明細書段落【0082】1行目、「引き続き図1を参照すると、」を「引き続きこの実施例を参照すると、」に訂正する。

(11)訂正事項11
明細書段落【0084】1行目、「ここで、図2も参照すると、人工呼吸器はまた、」を「人工呼吸器はまた、」に訂正する。

(12)訂正事項12
明細書段落【0084】6?8行目、「ここで、図2、3、および4も参照して、予備初期化ルーチンを説明する。図4では、臨床医がディスプレイ26または入力デバイス28に好ましい設定を入力してもよいことが分かる。」を「予備初期化ルーチンを説明する。この実施態様では、臨床医がディスプレイまたは入力デバイスに好ましい設定を入力してもよいことが分かる。」に訂正する。

(13)訂正事項13
明細書段落【0085】1?2行目、「ここで、図3aおよび3bも具体的に参照すると、初期設定モジュールが、最適呼気終末肺容量またはOEELVモードまたは評価ルーチンを含むことが分かる。」を「ここで、初期設定モジュールは、最適呼気終末肺容量またはOEELVモードまたは評価ルーチンを含む。」に訂正する。

(14)訂正事項14
明細書段落【0087】8?9行目、「標的または目標が維持されることを確実にするように(図4)、」を「標的または目標が維持されることを確実にするように、」に補正する。

(15)訂正事項15
明細書段落【0088】1?2行目、「次に、コマンドモジュール30は、酸素供給モード300に制御を渡し、これは、具体的には図4および5でさらに詳細に説明される。」を「次に、コマンドモジュールは、酸素供給モードに制御を渡す。」に訂正する。

(16)訂正事項16
明細書段落【0088】4?5行目、「再度、SpO2が参照される。図5の360を参照されたい。」を「再度、SpO2が参照される。」に訂正する。

(17)訂正事項17
明細書段落【0090】1?2行目、「ここで、図6も参照すると、補充モード400は、図6でさらに詳細に描かれるように、異なった状況420、430、450でP(高)状態を再評価する。」を「リクルートメントモードは、異なった状況でP(高)状態を再評価する。」に訂正する。

(18)訂正事項18
明細書段落【0091】1?3行目、「引き続き前述の図表を参照し、ここで図7も参照すると、コマンダまたはコマンドモジュール30が、換気モード500を起動して、実際の、または接近の限度外etCO2状態を是正する。」を「引き続き前述に関係して、コマンダまたはコマンドモジュールが、換気モードを起動して、実際の、または接近の限度外etCO2状態を是正する。」に訂正する。

(19)訂正事項19
明細書段落【0091】6行目、「背反応」を「肺反応」に訂正する。

(20)訂正事項20
明細書段落【0093】1?3行目、「ここで、コマンダ30が、酸素供給モード300をもう一度通過するために、換気モード500から制御を呼び戻し、コマンダが初期離脱モード600を起動するために、パラメータが有利に評価されたという仮説的提案とともに、図8も注目される。」を「ここで、コマンダが、酸素供給モードをもう一度通過するために、換気モードから制御を呼び戻し、コマンダが初期離脱モードを起動するために、パラメータが有利に評価されたという仮説的提案による一つの実施態様が注目される。」に訂正する。

(21)訂正事項21
明細書中段落【0094】1行目、「ここで、図9も参照すると、当業者であれば、」を「当業者であれば、」に訂正する。

(22)訂正事項22
明細書段落【0096】1行目、「図に詳細に図示されるように、コマンダまたはコマンドモジュール30は、」を「コマンダまたはコマンドモジュールは、」に訂正する。

(23)訂正事項23
明細書段落【0097】4?5行目、「引き続き、種々の図表および特に図3aおよび3bを参照し、ここで図11も参照すると、当業者であれば、」を「種々の実施形態からは、当業者であれば、」に訂正する。

(24)訂正事項24
明細書段落【0097】7?8行目、「OEELVまたは最適呼気終末肺容量が送達されることを思いだすことができるであろう。」を「OEELVまたは最適呼気終末肺容量が到達されることを思いだすことができるであろう。」に訂正する。

(25)訂正事項25
明細書段落【0098】1行目、「導出されたOEELVは、病状(例えば、図3aおよび3b参照)、」を「導出されたOEELVは、病状、」に訂正する。

(26)訂正事項26
明細書段落【0099】4?5行目、「限定の目的ではなく、例およびさらなる例示の目的で、図11を再度見ると、好ましいOEELVモード1050は、」を「限定の目的ではなく、例およびさらなる例示の目的で、好ましいOEELVモードは、」に訂正する。

(27)訂正事項27
明細書段落【0100】1?2行目、「図11の分析は、外挿相1130が、時間の関数として残留容量および圧力を計算するために使用されてもよいことを、当業者に明示するはずである。」を「当業者は、外挿相が、時間の関数として残留容量および圧力を計算するために使用されてもよいことを、理解するはずである。」に訂正する。

(28)訂正事項28
明細書中、段落【0100】2?3行目、「図11のPEFR1100は、」を「PEFRは、」に訂正する。

(29)訂正事項29
明細書段落【0101】1行目、「本明細書の他の部分で説明されるように、および、引き続き図11に注目すると、OEELVモード」を「本明細書の他の部分で説明されるように、OEELVモード」に訂正する。

(30)訂正事項30
明細書段落【0103】1?3行目、「本発明はまた、本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、図6の補充モード400の側面をさらに増大させることができる、最適吸気終末肺容量またはOEILVモード1200を検討する。」を「本発明はまた、本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、リクルートメントモードの側面をさらに増大させることができる、最適吸気終末肺容量またはOEILVモードを検討する。」に訂正する。

(31)訂正事項31
明細書段落【0106】1?2行目、「任意的に好ましいOEILVモード1200のさらなる側面では、および図12も参照すると、OEILVモード1200は、」を「任意的に好ましいOEILVモードのさらなる側面では、OEILVモードは、」に訂正する。

(32)訂正事項32
明細書段落【0107】2?3行目、「当業者であれば、図11および12から入手可能な情報の組み合わせ、および本明細書の付随論議が、補充が達成されたか、」を「当業者であれば、本明細書の付随論議が、リクルートメントが達成されたか、」に訂正する。

(33)訂正事項33
明細書段落【0108】1?3行目、「本発明の人工呼吸器10のモードおよび操作方法の実施形態のうちのいずれかでは、図13で図式的に描かれる任意的に好ましい自発モード1340を使用して、呼吸の自発性をさらに評価することができる。」を「本発明の人工呼吸器のモードおよび操作方法の実施形態のうちのいずれかでは、任意的に好ましい自発モードを使用して、呼吸の自発性をさらに評価することができる。」に訂正する。

(34)訂正事項34
明細書段落【0110】1行目、「再度、図13を参照すると、そのようなデータ点は、」を「そのようなデータ点は、」に訂正する。

(35)訂正事項35
明細書段落【0110】3?4行目、「換気および初期離脱モード500、600中に発生する自発呼吸評価570、580(図7、8)のうちのいずれか、」を「換気および初期離脱モード中に発生する自発呼吸評価のうちのいずれか、」に訂正する。

(36)訂正事項36
明細書段落【0111】1行目、「引き続き、種々の図表および先行の論議を参照すると、当業者であれば、」を「引き続き、種々の実施形態を参照すると、当業者であれば、」に訂正する。

(37)訂正事項37
明細書段落【0116】1?2行目、「いったんP(高)、P(低)、T(高)、およびT(低)の初期値が確立されると、換気は、概して図14に図示されるような反復APRVモードサイクルで継続する。」を「いったんP(高)、P(低)、T(高)、およびT(低)の初期値が確立されると、換気は反復APRVモードサイクルで継続する。」に訂正する。

(38)訂正事項38
明細書段落【0118】5?6行目、「解放相T(低)を終結させるように作動されるべきである。例を図17に図示する。その例では、T(低)は、」を「解放相T(低)を終結させるように作動されるべきである。その例では、T(低)は、」に訂正する。


(39)訂正事項39
明細書段落【0120】4?5行目、「図19に図示されるように、正常な呼気流は、解放相の開始からその終結までを通して、略単調に下降し、」を「正常な呼気流は、解放相の開始からその終結までを通して、略単調に下降し、」に訂正する。

(40)訂正事項40
明細書段落【0121】1?3行目、「図18は、顕著な変曲点を伴うガス流パターンを図示する。呼気流センサによって提供される流量データの分析に基づいて、人工呼吸器の制御ユニットは、P(低)/T(低)サイクル中の基準点を判定するようにプログラムされる。」を「顕著な変曲点を伴うガス流パターンを解析する。呼気流センサによって提供される流量データの分析に基づいて、人工呼吸器の制御ユニットは、P(低)/T(低)サイクル中の基準点を判定するようにプログラムされる。」に訂正する。

(41)訂正事項41
明細書段落【0129】1?2行目、「結果として、肺の圧力対容量曲線は、図16に図示されるように、その吸気部からその呼気部へと次第に変移する。」を「結果として、肺の圧力対容量曲線は、その吸気部からその呼気部へと次第に変移する。」に訂正する。

(42)訂正事項42
明細書段落【0129】2?3行目、「前述の図表を参照して理解することができるように、離脱は、2段階で実行されてもよく、その第1段階は、第2段階よりも漸進的である。」を「離脱は、2段階で実行されてもよく、その第1段階は、第2段階よりも漸進的である。」に訂正する。

(43)訂正事項43
明細書段落【0004】2?3行目、「APRVは、事前設定したCPAPレベルからの断続的解放相を伴う持続的気道陽圧(CPAP)の形態である。APRVと同様に、」とあるのを、「APRVは、事前設定したCPAPレベルからの断続的解放相を伴う持続的気道陽圧(CPAP)の一形態である。APRVも同様に、」に訂正する。

(44)訂正事項44
明細書段落【0105】1行目、「補充モードの脱補充相では、」を「リクルートメントモードの非リクルートメント相では、」に訂正する。

第3 当審の判断

1 訂正の目的の適否、新規事項の有無について

(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
明細書及び特許請求の範囲に記載の「補充」なる表現は、本件特許に係る国際出願における「recruitment」に対応する表現であるところ、本件特許の属する呼吸器の技術分野では、請求人が本件審判請求書に添付した「急性肺障害モデルにおける肺胞リクルートメント/ディリクルートメント(開放/虚脱)動態の複合的解析」(鵜澤吉宏著)にもあるように、「リクルートメント」と表現するのが一般的である。したがって、訂正事項1は、「補充」を当業者により理解しやすい表現であるところの「リクルートメント」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
上記訂正事項1については、明細書段落【0004】の「CPAPレベルは、低容量肺損傷を防止または制限するように、肺補充を最適化する。」、及び段落【0014】の「持続的膨張は、増加した肺補充(増加した機能的肺単位および増加した反跳圧)および呼気部に沿った換気(低減したPEEPおよび呼気流抵抗)をもたらし、呼気流予備能を改善させる。」等の記載から当業者には「補充」は「リクルートメント」を意味することは明らかであるから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「特許明細書等」ということがある)に記載した事項の範囲内において行うものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的
明細書及び特許請求の範囲に記載の「脱補充」なる表現は、本件特許に係る国際出願における「derecruitment」に対応する表現であるところ、本件特許の属する呼吸器の技術分野では、上記(1)において指摘した「急性肺障害モデルにおける肺胞リクルートメント/ディリクルートメント(開放/虚脱)動態の複合的解析」にもあるように、「ディリクルートメント」と表現するのが一般的である。したがって、訂正事項2は、「脱補充」を当業者により理解しやすい表現であるところの「ディリクルートメント」に訂正するものであるから、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
上記訂正事項2については、明細書段落【0014】の「より低いPEEPレベルは、部分的な補充を試みるよりもむしろ脱補充を防止するためにPEEPが利用されると生じる。」、段落【0026】の「肺補充を最適化することにより、1回換気量の補充/脱補充および呼気終末における周期的な気道閉鎖を防止する。」、及び段落【0048】の「CO2換気を管理するように、最適酸素飽和度を確保するように、および必要な時に肺胞補充を実行および最大化し、かつ脱補充を防止するように」等の記載から、当業者には「脱補充」は「ディリクルートメント」を意味することは明らかであるから、当該訂正事項2は特許明細書等の範囲内において行うものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
本件特許の願書には図面が添付されていないところ、明細書の【図面の簡単な説明】という見出し、及びその段落【0073】内の記載(図表および図面に関する一般的な導入記載及び各図の説明)があると不明瞭であるので、訂正事項3はこれらを削除するものである。したがって、訂正事項3は特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、特許明細書等に記載した事項の範囲内において行うものであることも明らかである。

(4)訂正事項4
上記(3)にて指摘したように本件特許の願書には図面が添付されていないところ、訂正事項4は、明細書中に図面における要素の数字ないし記号が存在すると不明瞭であるので、これらを削除するものである。したがって、訂正事項4は特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、特許明細書等に記載した事項の範囲内において行うものであることも明らかである。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的
訂正事項5は、明細書段落【0023】における「StewartおよびBowerによる後続研究」という記載(下線は当審で付した)を、本件特許が属する呼吸器の分野において本来存在している「StewartおよびBrowerによる後続研究」とスペルミスを訂正するものであるから、特許法第126条第1項第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項5は、上記のとおり単なるスペルミスを訂正するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という)に記載された事項の範囲内で行われたものといえる。

(6)訂正事項6,7及び36
上記(3)にて指摘したように本件特許の願書には図面が添付されていないところ、訂正事項6,7及び36は、明細書中の図を参照する旨の記載から、図を参照することなく明細書の記載で説明する表現に訂正するものである。したがって、訂正事項6,7及び36は特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
また、特許明細書等に記載した事項の範囲内において行うものであることも明らかである。

(7)訂正事項8?18,20?23,25?35及び37?42
ア 訂正の目的
上記(3)にて指摘したように本件特許の願書には図面が添付されていないところ、訂正事項8は、明細書中の「この誘導概念を考慮して、ここで図1を参照すると、換気療法を受けている患者Pと連通している、人工呼吸器および人工呼吸器システム10の1つの可能な実施形態が図示されている。」という図の存在を前提とする不明瞭な記載から、図を参照することなく明細書の記載で説明する表現に訂正するものである。そして訂正事項9?18,20?23,25?35及び37?42についても同様である。
したがって、訂正事項8?18,20?23,25?35及び37?42は、いずれも、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
上記訂正事項8?18,20?23,25?35及び37?42は、いずれも図を参照することなく、技術常識を踏まえつつ明細書の他の記載により説明するように表現振りを変えるものであるから、特許明細書等の範囲内において行うものといえる。

(8)訂正事項19
訂正事項19は、明細書段落【0091】の「臨床医110または自動設定120から取得された・・・呼吸自発性が設定速度以下にとどまっている場合570、背反応をさらに最適化するために」なる記載(下線は当審で付した)において、「背反応」という用語は「肺反応」という用語の明らかな誤記であるから、これを訂正しようとするものである。
したがって、訂正事項19は、特許法第126条第1項第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものに該当し、当初明細書等に記載された事項の範囲内で行われたものである。

(9)訂正事項24
訂正事項24は、明細書段落【0097】の「OEELVまたは最適呼気終末肺容量が送達されることを思いだすことができるであろう。」という記載(下線は当審で付した)において、最適呼気終末肺容量等が「送達される」なる用語の用法は明らかな誤記であるから、これを「到達される」という用語に改めるものである。
したがって、訂正事項24は、特許法第126条第1項第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものに該当し、当初明細書等に記載された事項の範囲内で行われたものである。

(10)訂正事項43
訂正事項43は、明細書段落【0004】の「APRVは、事前設定したCPAPレベルからの断続的解放相を伴う持続的気道陽圧(CPAP)の形態である。APRVと同様に、」との記載について、APRVとCPAPとの関係が不明瞭であったものから、APRVがCPAPの一形態であると関係を明瞭化したものであり、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許明細書等に記載した事項の範囲内において行うものである。

(11)訂正事項44
明細書段落【0105】の「補充モード400の脱補充相では、OEILVモード1200はまた、活動中である時に、好ましくは、P(高)、T(高)、または両方を断続的に調整してもよく。」という記載(下線は当審で付した)において、リクルートメントモードは、ディリクルートメント(すなわち肺胞の虚脱)を改善するためのモードであることを踏まえれば、リクルートメントモードが、肺胞を虚脱させることに相当するディリクルートメント相を持つことは考え難く、かかる記載では不明瞭である。
当該記載を合理的に解釈すれば、リクルートメントモードの中での非リクルートメント相を言及したものに過ぎないものと考えられるから、訂正事項44は、これを「リクルートメントモードの非リクルートメント相では、」と明瞭化しようとするものである。
したがって、訂正事項44は、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許明細書等に記載した事項の範囲内において行うものである。

2 特許請求の範囲の拡張、又は変更の有無について
上記訂正事項1ないし44は、いずれも、実質上特許請求の範囲を拡張、又は変更するものではないことは明らかであり、特許法第126条第6項の規定に適合する。

第4 むすび
したがって、本件訂正は、特許法第126条第1項第2号又は第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
換気のための人口呼吸器の装置およびシステム
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する優先権主張)
本願は、共有かつ同時係属の米国仮特許出願第60/924,835号(2007年6月2日出願)の優先日の利益を主張し、この出願は単独かつ共通の発明者であるNader Maher HABASHI名義で、名称「VENTILATOR APPARATUS AND SYSTEM FOR VENTILATION」で出願され、その全体が本明細書において十分に説明されるが如く参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヒトの患者の肺換気に関する。より具体的には、本発明は、改良された人工呼吸器、ならびに肺換気の介入と開始、酸素供給、リクルートメント、換気、初期離脱、気道圧解放換気離脱、持続的気道陽圧離脱および持続的かつ周期的な人工呼吸器の管理と制御の改良された操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
本発明の発明者は、以前、他の発明の中で特許文献1および特許文献2、特許文献3、ならびに特許文献4において開示およびクレームされた動作の人工呼吸器のシステムおよび方法を発明し、これらのすべてはその全体が本明細書において十分に説明されるが如く参考として援用される。
【0004】
気道圧解放換気(APRV)は、肺を保護する人工呼吸器の方策としての利点を提供すると考えられる換気の様態である。APRVは、事前設定したCPAPレベルからの断続的解放相を伴う持続的気道陽圧(CPAP)の一形態である。APRVも同様に、略一定の気道内圧の維持は、吸気終末/圧力および肺リクルートメントを最適化することを可能にする。CPAPレベルは、低容量肺損傷を防止または制限するように、肺リクルートメントを最適化する。加えて、CPAPレベルは、過度の膨張および高容量肺損傷を防止または制限するように、事前設定した圧力制限を提供する。
【0005】
CPAPレベルからの断続的解放は、肺胞換気量を増大させる。断続的なCPAP解放は、気道内圧を低下させることによって換気を達成する。対照的に、従来の換気は、1回換気量のための気道内圧を上昇させる。換気のための気道内圧を上昇させることにより、全肺気量(TLC)に向かって肺容量を増加させ、気道内圧-容量曲線(P-V曲線)の上変曲点に接近するか、またはそれを超える。P-V曲線は、呼気または呼息部と反対である、吸気または吸息部といった、上下の変曲点によって接合される2つの部分を含む。P-V曲線の上変曲より下に換気を制限することは、肺保護方策の目標の1つである。
【0006】
続いて、1回換気量の低減は過度の膨張の可能性を制限するために必要である。1回換気量の低減は、肺胞低換気および上昇した二酸化炭素濃度を生じる。1回換気量の低減による低減した肺胞換気量は、呼吸頻度を増加させて高炭酸症の悪影響を回避する方策に繋がっている。しかしながら、増加した呼吸頻度は、増加した肺損傷と関連付けられる。加えて、呼吸頻度の増加は、吸気時間を減少させ、リクルートメントの可能性を低下させる。さらに、呼吸頻度を増加させると、頻度依存性が増加し、P-V曲線の呼気部上で換気を行なう可能性が減少する。
【0007】
APRV中に、換気が圧力-容量曲線の呼気部上で発生する。結果として生じた呼気1回換気量は、肺容量を減少させ、上変曲点より上側に吸気終末圧を上昇させる必要性を排除する。したがって、1回換気量の低減は不必要である。CPAレベルは、過度の膨張の可能性を増加させることなくリクルートメントを最適化する目的で設定することができる。結果として、より完全なリクルートメントにもかかわらず、吸気終末圧を制限することができる一方で、換気を維持することができる。
【0008】
APRVは、呼吸不全の患者に人工呼吸器支援を提供するために開発された。APRVの臨床用途は、従来の従量式および従圧式換気と比較して、減少した気道内圧、減少した死腔換気、およびより低い肺内短絡と関連付けられる。APRVは、肺単位の過剰な膨張を制限し、それにより、肺負担の形態である、人工呼吸器誘発肺損傷(VILI)の可能性を減少させる。加えて、APRVは、分時換気量要件を低減し、自発呼吸努力を可能にし、心拍出量を改善する。
【0009】
APRVは、肺胞換気量を増大させ、最大気道内圧を低下させる、陽圧換気の形態である。APRVについての既報のデータは、実証および臨床研究中に、従来の従量式および従圧式換気と比べて、約30?40パーセントの気道内圧の低減を実証している。そのような気道内圧の低減は、VILIの危険性を低減する場合がある。APRVは、換気対かん流の比(VA/Q)の一致を向上させ、従来の換気と比較して短絡率を低減する。多重不活性ガス希釈および排出技法(MIGET)を利用して行なわれた研究は、より少ない短絡率および死腔換気を実証している。そのような研究は、APRVが従来の陽圧換気よりも均一な吸気ガスの分布および少ない死腔換気と関連付けられることを示唆している。
【0010】
APRVは、鎮静薬、変力薬、および神経筋遮断薬の低減および排除と関連する。APRVはまた、改善した血行動態とも関連付けられている。APRVの10年間の再検討では、Calziaが有害な血行動態効果がないことを報告した。いくつかの研究は、改善した心拍出量、血圧、および酸素送達を実証している。血行動態が損なわれ、機械的に換気された患者における、薬理または輸液療法の代替案としてのAPRVの検討が、いくつかの症例報告で推奨されている。
【0011】
APRVは、人工呼吸器サイクル中のいかなる時でも無制限の呼吸努力を可能にする、換気の自発的様態である。急性肺損傷/急性呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS)での自発呼吸は、改善した換気およびかん流、減少した死腔換気、および改善した心拍出量および酸素送達と関連付けられている。ALI/ARDSは、呼吸弾性率および抵抗の顕著な増加によって特徴付けられる病的状態である。
【0012】
しかしながら、ほとんどのALI/ARDS患者は、呼気流制限を示す。呼気流制限は、動的過膨張および内因性呼気終末陽圧(PEEP)の発生をもたらす。加えて、ARDS患者は、気管内チューブおよびPEEPの外部印加を含む、外部人工呼吸器弁調節およびガス流路回路から、増加した流動抵抗を体験する。
【0013】
いくつかの機構が、ALI/ARDSにおいて呼気流制限を誘発することができる。ALI/ARDSでは、機能的予備能(FRC)および呼気流予備能の両方が低減される。肺浮腫の発生および重畳圧力は、増加した気道閉鎖容量および捕集容量をもたらす。加えて、低減した数の機能的肺単位(リクルートメントされていない肺単位または肺胞、および増進した気道閉鎖)は、呼気流予備能をさらに減少させる。低容量換気は、わずかな気道閉鎖およびガス捕集を促進する。加えて、増加したPEEPのレベルは、呼気流抵抗を増加させる。下流抵抗に加えて、最大呼気流は、肺容量に依存する。肺膨張で保存される弾性反跳圧は、受動肺収縮率を決定する。
【0014】
APRV呼気流は、開放呼吸システムの利用および低(0?5cmH2O)呼気終末圧の使用によって増進される。P-V曲線の呼気部上の換気は、より低いPEEPレベルを可能にして、気道閉鎖を防止する。より低いPEEPレベルは、部分的なリクルートメントを試みるよりもむしろディリクルートメントを防止するためにPEEPが利用されると生じる。PEEPレベルを増加させることにより、呼気抵抗が増加し、逆に、より低いPEEPは呼気抵抗を低減し、それにより、呼気流速を加速する。持続的膨張は、増加した肺リクルートメント(増加した機能的肺単位および増加した反跳圧)および呼気部に沿った換気(低減したPEEPおよび呼気流抵抗)をもたらし、呼気流予備能を改善させる。
【0015】
加えて、持続的高肺容量からの解放は、貯蔵エネルギーおよび反跳可能性を増加させ、呼気流速をさらに加速する。低容量換気と違って、高肺容量からの解放は、気道内径を増加させ、下流抵抗を低減する。流量容量曲線の変曲点への呼気終末肺容量(EELV)の維持および開放型システムの使用は、回路流動抵抗の低減を可能にする。EELVは、解放時間を制限することによって維持され、時間流量曲線の変曲点に漸増される。
【0016】
低減した呼気終末圧のレベルは、換気がP-V曲線の呼気部上で発生した時に必要とされる。ALI/ARDSでは、増加した毛細管透過性が肺浮腫をもたらす。血管内腔からの浸出が蓄積し、換気肺領域への重畳圧力が増加し、空隙を圧縮する。換気空隙が崩壊し、圧縮無気肺が重度のVA/Qの不一致および短絡をもたらす。正常な肺に存在する、局所肺圧差勾配は、ALI/ARDSの浮腫相中に強調される。患者は、典型的には仰臥位であり、次第に背側および頭側へ方向付けられる力は、換気肺領域中の胸腔内圧を増加させる。換気は、換気領域を包囲する胸腔内圧が経肺胞圧差を低下させるにつれて、減少する。制御された換気中の完全換気支援は、換気無気肺の形成を促進し、VA/Qの不一致および肺内短絡を増加させる。気道内圧を増加させると、換気経肺圧差を再確立することができるが、非換気肺単位の過度の膨張の危険性がある。
【0017】
代替として、自発呼吸は、APRVと同様に、気道内圧を増加させることなく換気経肺圧差を増加させることができる。APRVは、機械的人口呼吸器サイクルの任意の相の間に、無制限の自発呼吸を可能にする。既述のように、自発呼吸は、胸腔内圧を低下させ、それにより、付加的な気道内圧なしで換気経肺圧力勾配を増加させることができる。換気経肺圧力勾配を増加させることにより、リクルートメントが向上し、VA/Qの不一致および短絡が減少する。
【0018】
圧補助換気(PSV)多重不活性ガス希釈技法と比較して、APRVは、自発呼吸、ならびに、向上したVA/Qの一致、肺内短絡、および死腔を提供する。加えて、自発呼吸によるAPRVは、心拍出量を増加させた。しかしながら、圧補助換気中の自発呼吸は、換気肺単位における向上したV/Qの一致と関連付けられた。PSVは、同じ分時換気量に一致するために圧補助レベル(気道内圧)の有意な増加を必要とした。
【0019】
従来の肺保護方策は、鎮静薬および神経筋遮断薬(NMBA)の増加した使用と関連付けられる。鎮静剤およびNMBAの増加した使用は、患者が機械的換気を受け続けなければならない時間(「換気日数」)を増加させ、合併症を増加させる場合がある。NMBAは、遷延性麻痺および院内肺炎の可能性と関連付けられる。APRVは、無制限の自発呼吸を可能にする、CPAPの形態である。
【0020】
鎮静作用および神経筋遮断薬(NMBA)の減少した使用量が、APRVとともに報告されている。いくつかの施設では、APRVは、NMBAの使用をほぼ排除し、薬剤費の有意な削減をもたらしている。薬剤費の削減に加えて、NMBAの排除は、遷延性麻痺等の関連合併症の可能性を低減すると考えられ、機械的換気からの離脱を促進する場合がある。
【0021】
機械的換気が、依然として急性呼吸不全の主力管理のままである。しかしながら、近年の研究は、機械的換気が、急性肺損傷(ALI)の危険性を生じさせる、持続させる、または増加させる場合があると示唆している。人工呼吸器誘発肺損傷(VILI)は、機械的換気および急性肺損傷と関連付けられる肺負担不全の形態である。動物のデータは、VILIによる肺負担不全が、高または低容量換気をもたらす場合があると示唆している。高容量負担不全は、空隙の過度の膨張に起因する、一種の伸展損傷である。対照的に、機械的換気による1回換気サイクル中の反復気道閉鎖による剪断力負担は、低容量肺損傷をもたらす。
【0022】
当初、肺保護方策は、過剰な膨張およびVILIを制限するように、低い1回換気量の換気に焦点を当てた。Amatoは、1995年および1998年に、呼吸器系の圧力-容量(P-V)曲線に基づいた肺保護方策を利用した。低い1回換気量(6ml/kg)は、P-V曲線の上下の変曲点の間に換気を限定した。呼気終末肺容量は、PEEPレベルを下変曲点より上側の2cmH_(2)Oに設定することによって維持された。Amatoは、改善した生存および増加した人口呼吸器を用いない日数を実証した。
【0023】
しかしながら、StewartおよびBowerによる後続研究は、低い1回換気量の換気方策を使用して、改善した生存および増加した人口呼吸器を用いない日数を実証することができなかった。StewartおよびBowerと違って、Amatoは、1回換気量の低減に加えて、上昇した呼気終末圧を利用した。これらの研究の間のそのような重要な違いが、人工呼吸器関連肺損傷(VALI)を制限する、低い1回換気量の換気の有効性に関する結論を制限した。
【0024】
大規模無作為ARDSNet試験の最近の完了は、従来の1回換気量の換気(12ml/kg)と対比して、低い1回換気量の換気(6ml/kg)を利用して、改善した生存および人口呼吸器を用いない日数を実証した。低い1回換気量群(6ml/kg)および従来の1回換気量群(12ml/kg)は、同一のPEEP/FiO2尺度を利用したが、PEEPレベルは、低い1回換気量群で有意に高かった。研究の酸素供給目標を満たすために、より高いPEEPレベルが、低い1回換気量群で必要とされた。従来の1回換気量群(12ml/kg)と比べて、低い1回換気量群(6ml/kg)の改善した生存にもかかわらず、生存はAmatoの研究でさらに高かった。ARDSNet試験はまた、気圧外傷の発生率の違いを実証することもできなかった。低い1回換気量群における、より高いPEEP要件およびより高い呼吸頻度による有意な内因性PEEPの可能性が、生存に対する上昇した呼気終末圧の潜在的寄与をあいまいにしたのかもしれない。上昇した呼気終末圧の問題に対処するために、さらなる研究が検討される。
【0025】
従来の技術では、準静的吸気の圧力対容量(P-V)曲線の利用が、機械的換気を実行するように人工呼吸器を制御する基準として提唱されてきた。吸気P-V曲線の形状は、S字状であり、3つのセグメントを有するものとして表される。曲線は、低膨張圧では上向きの凹状部を、より高い膨張圧では下向きの凹状部を形成する。下凹状部と上凹状部との間には、曲線の「直線」部分がある。曲線の直線部分への急速な遷移をもたらす圧力点は、「下変曲点」と称されている。
【0026】
下変曲点は、無気肺の肺胞単位のリクルートメントを表すと考えられる。下変曲点より上側のP-V曲線の増加する勾配は、肺胞の柔軟性を反映する。変曲点より上側で、空隙の大部分は、開放または「リクルートメント」される。2cmH2Oを加えた吸気P-V曲線の下変曲点を利用することが、肺胞リクルートメントを最適化するために提案されている。肺リクルートメントを最適化することにより、1回換気量のリクルートメント/ディリクルートメントおよび呼気終末における周期的な気道閉鎖を防止する。最終的に、肺リクルートメントを最適化することにより、剪断力の生成および低容量肺損傷が潜在的に低減し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】米国特許第7,246,618号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0072901号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/174884号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0111078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
VILIおよび他の異常の可能性を最小化する、リクルートメントを改善および維持する方法に関して、当業者の知識の増加にもかかわらず、従来技術のシステム、デバイス、および方法は、依然として、最良の実践プロトコルとともに使用するために操作および採用しにくいままである。多くの制約によるものであるが、集中治療呼吸技術分野で実践する当業者によって訴えられる、しばしば挙げられる課題は、最良の実践APRV技法を適用するために、より自動的でより正確な手段が必要とされるということである。
【0029】
より具体的には、長年必要とされてきたものは、臨床医が所望のAPRVアプローチを容易に構成および再構成して、各患者の個別提示に対応することを可能にする、改良型デバイスおよび動作モードである。好ましくは、そのような改良型APRVデバイスおよび使用方法は、特定の患者の必要性を満たすように迅速に微調整することができる、好適なAPRVパラメータの総合始点を、臨床医に与える能力を確立する。
【0030】
より好ましくは、そのような改良型方法および人工呼吸器デバイスはまた、初期APRVパラメータへの患者反応を監視する際に臨床医によって使用される、リアルタイム患者状態情報を収集すること、および、改良型方法またはデバイスが、臨床的に好ましい動作およびプロトコル制約内で自動的に再構成されることを可能にする、より自動的なフィードバックループを生成することができる。さらに好ましくは、手動で調整されなければならない、現代の機器および方法で現在可能である、種々のAPRVパラメータのより正確かつより細かい調整も可能にする、新しい方法およびアプローチが必要とされる。そのような手動調整はしばしば、不正確な調整、または、現在利用可能な機器の制約または限定機能により、十分な精度で行なうことができない調整に起因する、不利な患者反応をもたらす。
【0031】
最も好ましくは、必要とされるものは、予想外に変化する患者の状態に適応するために、種々のP-V曲線および関連パラメータの調整を行なう際にさらに優れた融通性、より高い精度、およびより迅速な臨床反応時間を可能にする新しい特徴および動作モードを組み込む、新しい改良型の人工呼吸器である。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の原理による、新規の人工呼吸器の実施形態により、多くのこれまで満たされていなかった必要性が満たされ、従来技術の問題が解決される。そのような特徴および能力は、好ましくは、または任意的に、いくつかある要素の中で特に、例示および例の目的であるが、限定の目的ではなく、改良され、かつ多くの従来の試行で可能であったよりも正確な換気能力を含んでもよい。
【0033】
本発明の1つの好ましい構成では、臨床医の指導の下で患者の呼吸機能を補助するための人工呼吸器または人工呼吸器システムは、人工呼吸器内および/または人工呼吸器外の電気またはデータ回路あるいはデータネットワークと電気的に連通している、コンピュータ化された操作コントローラまたは制御モジュールあるいは計算デバイスを有する、人工呼吸器を検討する。コントローラはまた、好ましくは、ディスプレイも含み、それは、タッチスクリーン能力の有無にかかわらず、ディスプレイにデータ入力または受信デバイスを組み込む、アプリケーション特有のカスタマイズされたディスプレイを含む、タッチスクリーンディスプレイまたは任意の他の好適なディスプレイとなり得る。
【0034】
コントローラまたは計算デバイスはまた、好ましくは、ハードディスクドライブ、可撤性ドライブ、および任意の所望の形の記憶デバイスを含むことができる、メモリまたは記憶能力も含む。入力デバイスも望ましく、数ある中でも、キーボード、マウスポインタ、データ入力タブレット、音声作動式入力デバイス、および電子メディア読取デバイスを含むことができる。
【0035】
付加的に検討された入力デバイスは、ネットワーク形成、データ転送、データ収集、ならびに、電子インピーダンス断層撮影デバイス、超音波機器、コンピュータ化された、およびコンピュータ支援の断層撮影デバイス、デジタル出力蛍光透視鏡、X線機器、磁気共鳴画像診断および分光機器、低侵襲手術用および気管支鏡検査用可視化デバイス、および同様な能力がある機器からの通信の監視等のデータ監視のための、有線および無線通信構成要素を含む。
【0036】
本発明の人工呼吸器はまた、好ましくは、ガス供給ポンプおよび/または加圧ガス源も含む。ガスポンプまたは源は、パイプ、管、ホース、または他の種類の導管のガス回路またはネットワークを通して、患者に陽圧ガスを供給する。ガスネットワークまたは回路はまた、少なくとも1つの弁、より好ましくは、複数の弁と、供給および排気ポートとを含んでもよい。より好ましくは、作動のために、コントローラまたは計算デバイスと電子的に連通し得る、多数の弁が組み込まれてもよい。
【0037】
そのような弁は、典型的には、供給および排気ポートと一致して含むことができ、本明細書の他の部分で論議される種々の種類のセンサと協働して動作可能となり得る。一方向の流体流動を可能にするが、反対方向の流体流動を防止する、しばしば逆止め弁と呼ばれるものである。そのような逆止め弁は、予想外の、および/または望ましくない圧力または圧力衝撃から種々の構成要素および患者を保護するように、ガス回路またはネットワークに含まれてもよい。このようにして、患者、ポンプまたは加圧ガス源、センサ、および他の機器に保護を提供することができる。
【0038】
本発明の他の好ましくは任意的な実施形態は、換気および陰圧の印加の制御を対象とし、検討されたガス供給ポンプまたは加圧ガス源もまた、好ましくは、単独で、または本明細書の他の部分で説明される他の特徴のいずれかと組み合わせて、陰圧胸部または全身シリンダとの使用に適合すると検討される、陰圧または真空能力を組み込んでもよく、それはまた、換気および呼吸技術分野の当業者によって、単相、二相、または多相性の人口肺または胸甲人工呼吸器と呼ばれることもある。
【0039】
より好ましくは、本発明に従って実践される人工呼吸器はまた、好ましくは、安静時の変曲点での供給ガス、吸気ガス、呼気ガスの圧力、および多くの異なる種類の動的患者気道内圧をサンプリングおよび判定するために、単独で、または組み合わせて使用することができる、任意の数の任意的な検出器、センサ、または検出デバイスを含む。他の有用なセンサは、周知のカプノメータ(二酸化炭素濃度を検出するためのもの)または赤外パルス酸素濃度計(酸素濃度を検出するためのもの)の場合には、体外に位置付けることができる、周辺、中心、および気道ガス濃度センサを含むことができる。
【0040】
これらの種類のデバイスは、指、つま先、または耳たぶ等の先端に取り付けることができ、それは、二酸化炭素(SpO2)および酸素(SpO2)の周辺濃度または飽和をサンプリング、監視、および検出することを非常に便利にする。他の検討された換気用途については、中心線カテーテルまたは他の技法が、動脈のO2およびCO2ガス濃度(PaO2、PaCO2)の監視を可能にすることができ、それは、本明細書の他の部分で説明される、ある換気の動作モードまたはプロトコルでは、臨床値を有することができる。本発明の目的で、そのような圧力およびガス濃度センサは、より好ましくは、以下でさらに詳細に説明されるように、リアルタイムおよび/または近リアルタイムデータを監視することができるように、人工呼吸器の検討されたコントローラまたは計算デバイスと電子的に通信するように構成される。
【0041】
本発明の人工呼吸器はまた、無線で、または有線接続上で、データネットワークと、データ回路と、および/または直接的に、コントローラまたは制御モジュールあるいは計算デバイスと通信するように適合されてもよい、任意の数の等しく好適な流体流速センサを組み込むことも検討する。そのような流速監視デバイスは、供給、吸気、呼気されるガスの総量、ならびに、そのようなものが発生する、または発生した速度を監視するために、ガスネットワークまたは回路の中の複数の場所で採用することができる。この情報により、新規の人口呼吸器が、患者の標的呼吸器系の適正な換気をより良好に制御および確保することができるように、圧力を、ガスの全体積または体積あるいは質量流量と比較することができる。
【0042】
加えて、そのような制御は、加圧ガスが患者に供給される精度を向上させることができ、許容プロトコル限界内のガス流速を監視し、保つことによって、肺損傷の危険性を低下させることができる。任意の数の可能な好ましい構成では、換気手技の制御を最大化して、その状況下で可能な限り最良のプロトコル実行を確実にするよう、いずれか1つまたは任意の数の換気関連パラメータを同時に監視するセンサ配列として、センサを配設することができる。本発明の多くの好ましくは任意的な構成では、既述のセンサのうちのいずれかは、ガスネットワークまたは回路の中の場所でもとりわけ、ガス供給および/または排気ポートに近接して、および/または周囲に位置付けられてもよい。
【0043】
コマンドモジュール、コマンドルーチン、アルゴリズム、コマンダ、ファームウェア、またはプログラムは、好ましくは、コントローラまたは計算デバイスのメモリまたは記憶構成要素に常駐してもよい。コマンドモジュールは、好ましくは、センサを制御するように、供給ポンプを制御するように、他のデバイスから通信または画像または情報を受信するように、検討された入力デバイスのうちのいずれかを介して臨床医等から入力を受信するように、および、プロンプトを提示する、および/または換気過程に関する重要な情報を表示するようディスプレイを操作するように、動作可能である。コマンドモジュールは、任意的に、好ましくは、他のデバイス、他の無線または有線ネットワーク、同時視認のためのディスプレイ、および所望に応じた他の遠隔デバイスおよび場所に、種々の人工呼吸器情報を伝達するように構成されてもよい。
【0044】
好ましくは、制御モジュールは、調整可能におよび/または可変的にポンプまたは圧力源を作動させて、それにより供給される容量および/または圧力を変動させてもよい。さらに、制御モジュールまたはコマンドルーチンは、さらに好ましくは、患者に換気を行なう際に利用可能な圧力、体積流量、およびガス供給サイクル時間のさらに厳密な制御のために、単独で、またはポンプの制御と組み合わせて、複数の弁のうちのいずれかを自動的に、手動で、または他の方法で操作するように修正されてもよい。より好ましくは、制御モジュールまたはコマンドルーチンは、好ましくは、弁のそのような制御を、検討されたセンサのうちのいずれかからの情報のサンプリングまたは受信と協調させ、ガス回路またはネットワークの中のどこかで、または換気を受けている患者に関して、1つ以上の圧力測定値、ガス濃度、および/または容積または質量流量をサンプリングするのに増加した精度を確立するように適合されてもよい。
【0045】
本発明はまた、任意の数の従来認められている、試験中、および実験的な換気モードとの動作適合性も検討する。より好ましくは、本発明の動作能力は、多くのこれまでは利用不可能であったハイブリッドモードを可能にし、新規の人工呼吸器は、患者の進行または困難に応じて、その動作モードを自動的に変更する。例えば、人工呼吸器は、強制呼吸モードで換気を開始するように、および、以前に重度の鎮静状態であり呼吸ができなかった患者が、突然、自発的に呼吸しようとし始めたことを示す場合がある、いくつかある反応の中で特に、種々の患者の圧力、容積、およびガス濃度反応を監視するように、構成することができる。
【0046】
そのような検出時に、独立して呼吸しようとする患者の試行と協働するよう、本発明の換気は、完全支援強制呼吸モードから、より少ない程度の呼吸支援を有する種々のモードまでを含む、多くの動作モード間で自動的に切り替わる。加えて、患者が再発して自発呼吸試行を中断した場合、人工呼吸器は完全な強制呼吸モードに戻る。そのような能力を有効にするために、本発明の新しい人工呼吸器は、好ましくは、種々の自動かつ再構成可能なモードを伴って事前構成される。完全に自動化された動作モードを選択するのに臨床医を補助する、または部分的または完全にカスタマイズ可能な動作モードを有効にする目的で、本発明の任意的に好ましい構成は、臨床医が任意の特に所望の自動動作モードを選択することを可能にする。
【0047】
加えて、臨床医はまた、自動動作モードを選択し、次いで、所望のパラメータのみを修正してもよい。さらに、臨床医は、完全自動モードを無視してもよく、かつ、好ましい設定を入力して、任意の考えられる換気プロトコルまたは動作モードの目的に好適な完全にカスタマイズされた動作モードを選択してもよい。1つの特定の有用な構成では、人工呼吸器は、コントローラまたは制御モジュールあるいは計算デバイスを組み込んで、限定の目的ではなく例の目的で、初期設定モジュール、調整および維持モジュール、および離脱モジュールを含む、3つの主要動作モジュールを有してもよい。
【0048】
順に、初期設定モジュールは、いくつかある要素の中で特に、いくつかの主要患者パラメータを監視して呼気終末肺容量(OEELV)を確認し、周期的に計算する、最適OEELV評価モードを含む。調整および維持モジュールは、酸素供給、リクルートメント、および換気の動作モードおよびプロトコルを含み、それらは、これらの換気動作モードの主要側面を厳密かつ積極的に監視および保護するようにしっかりと制約される。CO2換気を管理するように、最適酸素飽和度を確保するように、および必要な時に肺胞リクルートメントを実行および最大化し、かつディリクルートメントを防止するように、非常に漸進的で極めて正確な変化を可能にする、正確な有界監視パラダイムを使用して、このことが達成される。いずれかのパラメータが予想外または非制御のヒステリシスを受けた場合、介入を可能にするように警報イベントが誘起される。
【0049】
離脱モジュールは、必要に応じて完全支援へ迅速に戻される低減した人工呼吸器支援への患者反応を評価するように、密接な監視およびわずかでゆっくりした変化を可能にする、初期離脱プロトコルを含む。肯定的な患者反応により、初期離脱プロトコルは、さらなる離脱のために、後続の低支援換気プロトコルへの完全な人工呼吸器の再構成を可能にする。また、離脱モジュールには、気道圧解放換気またはAPRVプロトコルモードが含まれ、患者が制御および一貫性を獲得するにつれて、支援を離脱させることができるように、自発的患者呼吸が密接に監視される。継続的な改善とともに、制御は、持続的気道陽圧またはCPAPプロトコルモードに渡され、それは、最大CPAP支援モードまで循環し、次いで、抜管圧に到達するまで最小支援モードまで徐々に低減され、その後、患者は人工呼吸器から完全に離脱される。
【0050】
これらの種々の使用モードを達成する目的で、本発明の人工呼吸器の好ましい、または任意的な変化例のうちのいずれかは、その種々の動作モードで人口呼吸器がどのように動作するかを制御することができる、いくつかのパラメータを伴って事前定義されてもよく、または、それらを受信および収集してもよい。コントローラまたは計算デバイスは、記憶したパラメータにアクセスしてもよく、有線または無線通信を介して遠隔デバイスから新しいパラメータを取得してもよく、既述のタッチスクリーンディスプレイまたは他の入力デバイスのうちのいずれかを介してユーザ入力を受け入れてもよい。どのような動作設定またはパラメータ源であっても、情報は、典型的には、コントローラまたは計算デバイスのメモリまたは記憶装置に記憶される、データベースまたは配列に記憶される。1つの任意的に好ましい実施形態では、これらのパラメータは、コントローラメモリまたは記憶装置に常駐してもよい、1つ以上の初期化パラメータデータベースにアクセス可能に記憶される。
【0051】
これらの初期化パラメータは、アクセスし、任意の他のデバイスに表示または伝達することができる。単独で、またはこのデータベースと組み合わせて、パラメータの付加的な部分は、特定の種類の症候性患者または疾患によく適した、最適な人工呼吸器設定を表すように事前定義することができる、1つ以上のモデル患者データ配列または要素等の配列でまとめられてもよい。
【0052】
限定の目的ではなく例示の目的で、そのようなデータ配列または初期化パラメータデータベースは、いくつかあるパラメータおよび情報の中で特に、呼気終末陽圧またはPEEP、標的周辺O2濃度またはSpO2量、呼気終末CO2またはetCO2量、吸気O2の分率またはFiO2量、強制または陽圧補助呼吸中の最大吸気圧を定義する高圧またはP(高)、呼気中に使用される最小圧力を定義することができ、ゼロまたは非ゼロになり得る、低圧またはP(低)を含んでもよい。他のパラメータは、吸気の期間を表す高時間またはT(高)、および呼気ガスが吐き出されるわずかな期間を表すことができる低時間またはT(低)を含むことができる。
【0053】
また、任意的に、任意の量となり得る所定または既定の圧力変化増分または圧力増分P(inc)、時間増分T(inc)を含むことが好ましくてもよく、それらについては、必要に応じて、および、より自動的な動作モードで臨床的介入が不必要であってもよいように使用することができる、複数の異なる事前設定増分があり得る。また、強制呼吸の1つ以上の1回換気量や呼吸頻度を記憶すること、1つ以上の圧力-容量曲線の勾配を確立して記憶すること、および、患者が自発的に呼吸しようとしていることを示してもよい、圧力降下を人口呼吸が検出することを可能にする、1つ以上の誘起圧力を確立することが、時には望ましいことも分かっている。
【0054】
さらに任意的に好ましい変化例では、人工呼吸器はまた、コマンドモジュールが、入力デバイスを介してユーザまたは臨床医からそのような初期化設定を受信することができるように、構成されてもよい。そのような設定は、本明細書の他の部分で説明される設定、または、人工呼吸器の使用を改善することができる、任意の他の場合によっては望ましいパラメータを含むことができる。いったん任意の好ましい設定および/またはパラメータがコントローラおよび/またはコマンドルーチンに入力されると、供給ポンプを作動させて、選択された自動プログラムまたは設定あるいは手動で入力されたパラメータおよび設定の制約内で、換気を開始することができる。
【0055】
動作中、コマンドモジュールまたはルーチンは、配列中のセンサのうちのいずれかまたは全てをサンプリングし、ポーリングし、あるいは、それらと通信して、患者の実データを測定する。一連のそのようなセンサ測定値は、患者反応や人口呼吸器性能を監視するため、ならびに患者状況および状態に応じて人口呼吸器性能を適合させるために、そのようなデータ要素の配列全体を使用することができるように、サンプリングされてもよい。無制限の例の目的で、集めることができるセンサデータは、任意的に、患者SpO2分圧(PP)または量、患者etCO2Pまたは量、最大呼気流量(PEFR)、呼気終末肺容量(EELV)、および自発頻度または機械呼吸頻度を含んでもよい。
【0056】
いったん測定またはサンプリングされると、実際の患者データ配列要素は、人工呼吸器性能および患者反応を確認するように、コマンドモジュールによって、記憶したデータのうちのいずれかと比較することができる。さらなる例として、そのような実データは、1つのモデル患者データ配列と比較されてもよい。このようにして、患者が換気に有利に反応しているかどうかを判定することができる。別の例では、患者が換気によく反応している場合、患者のSpO2およびetCO2と同等のモデル患者データセットとの比較が容認可能となる。容認可能であれば、制御ルーチンは、真に設定することができるSpO2目標値およびetCO2目標値等の、フラグまたはブール値を計算または生成することができ、全て順調であると実際の患者測定値が示すことを意味する。容認可能でなければ、警報状態を生成することによって、制御ルーチンがその挙動を修正するか、または臨床的介入を求めることを可能にするように、偽フラグを生成することができる。加えて、制御ルーチンは、換気の吸気および呼気相のある時点中に、圧力センサおよび流量センサにポーリングして最適呼気終末肺容量(OEELV)を確認することができ、それは、患者反応および人工呼吸器性能を識別する臨床的に関連するフィードバックを提供することができる。
【0057】
さらに他の任意的に好ましい構成では、人工呼吸器は、不利な患者反応に応じて、その挙動を修正するように構成されてもよい。さらなる例として、SpO2が不利であり、SpO2目標値が偽であって、それが望ましくない酸素供給を示すと仮定されたい。本明細書の他の部分でさらに詳細に論議されるように、コマンドモジュールは、好ましくは、所望のSpO2レベルを達成するように、増加または修正した換気が保証されることを決定することができる。そのためには、コマンドモジュールは、ポンプの動作、弁の機能、およびおそらく、加圧ガス供給中の供給酸素の濃度を調整し、それにより、圧力増分だけP(高)を増加させてもよく、時間増分だけT(高)を増加させてもよい。代替案では、代わりに、FiO2量を増加または減少させるように、人工呼吸器の種々の動作パラメータを修正することのみが好ましくてもよい。
【0058】
より好ましくは、患者が順調に反応しており、人工呼吸器支援からの離脱を穏やかに開始することが保証されている状況では、コマンドモジュールは、代わりに、真となる初期離脱値等のフラグまたはブール定数を設定することができ、それは、離脱を開始してもよい人工呼吸器の他のモジュールに通知する働きをすることができる。逆に、患者が、非かん流肺死腔を含む場合がある困難を体験している場合、肺胞組織のリクルートメントを助長するように人工呼吸器の挙動を修正することが有利であってもよい。ある状況では、介入を求める警報信号を生成することが賢明であってもよい。他のあまり困難ではない状況では、リクルートメント過程が賢明であると制御ルーチンモジュールに通知するように、リクルートメントフラグまたはブール値を設定することが望ましくてもよい。この状況では、制御ルーチンは、1つ以上のP(inc)だけP(高)を増加させるステップ、1つ以上のT(inc)だけT(高)を増加させるステップ、および/または1つ以上のT(inc)だけT(低)を増加させるステップを含むことができる、リクルートメントに好適な動作を確立するように、ポンプおよび弁動作を修正することができる。
【0059】
リクルートメントが示されない場合がある、他の状況では、肺の酸素供給を増加させることが望ましくてもよい。その場合、コントローラまたは計算デバイスは、人工呼吸器の動作に調整を行なってもよく、それにより、酸素供給フラグまたはブール値が真に設定され、それは、センサにポーリングして最大呼気流量を想定することができ、次いで、適切な時間調整が行なわれてもよいように、またはT(低)がT(inc)だけ減少させられてもよいように、ガス流の減速角度を計算することができる、酸素供給モジュールを起動することができる。
【0060】
さらに他の等しく有用な動作モードでは、人工呼吸器は、肺胞換気アプローチを起動することができ、コマンドモジュールは、自発頻度を機械呼吸頻度と比較し、P(高)やT(高)を確認し、分時換気量(MV)値を計算し、供給ポンプおよび弁を調整して各T(inc)およびP(inc)だけT(高)およびP(高)を増加させる。同様に、分時換気量およびリクルートメントモジュールが起動されてもよく、現在使用中のP(高)およびT(高)の関数としてMVが計算され、P(高)およびT(高)に調整が行なわれる。
【0061】
より好都合な患者反応のシナリオでは、初期離脱モジュールが利用されてもよく、コマンドモジュールまたはコマンドルーチンは、機械呼吸頻度および自発呼吸頻度をサンプリングして、ある速度で自発呼吸が発生していることを確認する。この速度を所定の速度と比較すると、初期離脱プロトコルを採用できるかどうかの分かりやすい兆候が生じる。そうであれば、コマンドルーチンは、無呼吸および多呼吸について検査を行なうことができる。いずれの状態も示されなければ、人工呼吸器を、挿管された患者がより自発的に呼吸しやすくなる、APRVモード等のより好適なモードに切り替えることができる。
【0062】
初期人工呼吸器離脱を体験している患者が改善し続けるにつれて、人工呼吸器の別のモードは、離脱プロトコルを有効にし、P(高)が減少させられる一方でT(高)が増加させられている間に、自発呼吸および血液ガスレベルは監視され続ける。このようにして、患者は自発呼吸を続けるよう勧められる。
【0063】
改善が高まるにつれて、さらなる離脱が保証される。この場合、人工呼吸器は、別のモードで動作し、監視されている実際の患者データと比較して、離脱失敗基準を検討することができる。一式の好適な既定の離脱失敗基準では、FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧(P0.1)が、患者の実際の値と比較される。患者がこれらの基準を満たすことができない場合、離脱は一時的に中断され、さらなる呼吸支援が患者に与えられる。離脱失敗において、制御ルーチンは、P(高)を増加させ、T(高)を減少させる。逆に、離脱失敗基準が患者の実際の値によって満たされた場合、コマンドモジュールは、周期的離脱プロトコルを繰り返し開始し、P(高)は、減少させられる。気道閉塞圧P0.1は、P0.1で測定され、経時的に動向化される。モジュールは、自発呼吸中の呼吸作業を評価するために使用される。好ましい実施形態では、これは、本明細書の他の部分で他のモジュールに関連して説明されるように、離脱の影響および結果として生じた呼吸作業を評価するために使用される。
【0064】
さらなる例示目的で、患者が改善し続けると仮定すると、コマンドモジュールは、人工呼吸器の動作を再度変更し、持続的気道陽圧(CPAP)閾値に到達するまでP(高)を監視し、それがCPAPモードへの人工呼吸器の動作の別の変換を可能にする。このモードは、患者にとってさらにいっそう快適であり、人工呼吸器への依存を低減する。さらなる改善が発現されるにつれて、コマンドモジュールは、抜管閾値圧力に到達するまでCPAP圧力を徐々に低減し始める。また、任意的に、CPAPおよび他の動作モード中に、人工呼吸器の使用に関与する管類のガスネットワークまたは回路を通して呼吸する時に遭遇する摩擦損失を克服するほどに人工呼吸器支援を強化する、自動管補正圧力またはATC圧量を、コントローラが組み込むことを可能にすることが、好ましくてもよい。
【0065】
動作中、本発明の実施形態のうちのいずれか、ならびにその修正、変化例、および代替的配設を使用して、人工呼吸器の種々の使用方法が可能である。本明細書の他の部分で説明される、本発明の人工呼吸器の物理的構成のうちのいずれかを使用して、1つの使用方法は、入力デバイスを介して、(i)自動初期化設定、および(ii)(a)呼吸終末陽圧量、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧(P0.1)のうちの少なくとも1つを含む既定の離脱失敗基準、のうちの少なくとも1つを含む、設定を入力するステップを伴う。
【0066】
次に、コマンドルーチンは、入力デバイスを介して臨床医から設定を受信し、供給ポンプを作動させるようにコントローラに命令する。このことは、患者への呼吸補助を開始し、それにより、ガス回路は、FiO2量、高圧および低圧、ならびに高時間および低時間のうちの1つずつを使用して、患者と通信する。患者の実データ配列要素は、複数のセンサと通信するためにコマンドルーチンを使用することによって測定される。(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの測定値が得られる。
【0067】
コマンドルーチンは、患者の実データ配列を、設定のうちの少なくとも1つと比較して、SpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量のうちの少なくとも1つを計算し、それらの値は、患者が最初に離脱されるべきか、リクルートメントおよび増加した酸素供給を受けるべきか、または不変状態の換気で維持されるべきかを判定するために使用される。
【0068】
患者が改善しつつある場合、患者の実データ配列要素のうちの少なくとも1つを測定し、かつ既定の離脱失敗基準と比較してフラグまたはブール離脱値を真に設定するステップが保証される(患者が離脱試験に不合格ではなかったことを意味する)。合格した場合、1つ以上の圧力増分だけP(高)を減少させるように供給ポンプおよび複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することによって、周期的離脱が開始される。
【0069】
また、さらに人工呼吸器支援を減少させるために、T(高)は、徐々に増加させられ、P(高)は、CPAP閾値に到達するまで徐々に減少させられ、その後、人工呼吸器は、CPAPモードに切り替えられ、その場合、CPAP圧力は、抜管閾値圧力に到達するまで減少させられてもよく、その後、患者は人口呼吸器から外されてもよい。
【0070】
他の任意的に好ましい新規の実施形態では、監視デバイス、センサ、コンピュータ、または計算デバイスのうちのいずれかが、無線で、またはワイヤで、他の構成要素のうちのいずれかと接続されてもよい。検討された構成要素のうちのいずれかもまた、ネットワーク上で、電話線、送電線、導体、またはケーブルを通して、および/またはインターネット上で、他の構成要素のうちのいずれかと連通していてもよい。本発明の他の代替的に好ましい構成では、常駐ソフトウェアプログラムは、無制限の例の目的で、多数の特徴を有してもよい。
【0071】
より好ましくは、そのような常駐ソフトウェアプログラムおよび/またはプログラムは、周期的に、所定の警報イベントまたは状態等の、ある所定または既定の状態が発生した時に、および/または、異常な、予想外の、または予期された電力測定値が発生した、および/または検出された時に、テキスト、音声、ファクス、および/またはEメールメッセージによって、検討された情報のうちのいずれかが伝達されることを可能にしてもよい。
【0072】
種々の好ましく任意的な実施形態のこれらの変化例、修正、および改変は、単独で、または相互に組み合わせて、かつ、当技術分野で既知であり、本明細書でも検討および説明される特徴および要素とともに、使用されてもよく、それらは、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、当業者によってより良く理解することができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
臨床医の指導の下で患者の呼吸機能を補助するための人工呼吸器システムであって、
データ回路および複数の弁と供給ポートと排気ポートとを有するガス回路と連通して、加圧ガスを該患者に連通している、供給ポンプおよび制御モジュールであって、該制御モジュールは、該データ回路と連通しているディスプレイと入力デバイスとメモリとを含む、供給ポンプおよび制御モジュールと、
該データ回路と連通しているセンサ配列であって、該排気ポートおよび供給ポートのうちの少なくとも1つと連通している、少なくとも1つのパルス酸素濃度計と、少なくとも1つのカプノメータと、少なくとも1つの圧力センサと、少なくとも1つの流量計とを含む、センサ配列と、
該メモリに常駐するコマンドモジュールであって、該供給ポンプおよび該複数の弁を調整可能に作動させて、ガス回路において少なくとも1つの圧力、体積、及び流量を確立することを該制御モジュールに命令するように動作可能である、コマンドモジュールと、
該メモリに常駐する少なくとも1つの初期化パラメータデータベースであって、該ディスプレイと連通可能であり、かつ、(a)呼気終末陽圧、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含む少なくとも1つのモデル患者データ配列要素を記憶する、初期化パラメータデータベースと、
を備え、
該コマンドモジュールは、該センサ配列要素と連通して、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該コマンドモジュールは、該患者の実データ配列を該少なくとも1つのモデル患者データ配列と比較し、該供給ポンプを調整して、該少なくとも1つのモデル患者データ配列であるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量の少なくとも一つを達成する、人工呼吸器システム。
(項目2)
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、高圧を確認し、
該高圧が高圧閾値以上であるときに、該コマンドモジュールはFiO2値を判定し、(a)該FiO2値がFiO2閾値以上であるときに、前記制御モジュールが、圧力増分だけ前記高圧を増加させるように、および時間増分だけ前記高時間を増加させるように、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整し、および(b)該FiO2値が該FiO2閾値未満であるときに、該制御モジュールが、該FiO2量を増加させるように、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目3)
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値以上である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、FiO2値を確認し、
(a)該FiO2値がFiO2閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して該FiO2量を減少させることを前記制御モンジュールに命令し、および(b)該FiO2値が該FiO2閾値未満であるときに、該コマンドモジュールは初期離脱値を真値を示すように設定する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目4)
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、リクルートメント値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該リクルートメント値が、(i)真値を示すときに、前記制御モジュールは臨床医警報信号を生成し、(ii)偽値を示すときに、該制御モジュールは、(a)圧力増分だけ前記高圧を増加させ、(b)時間増分だけ前記高時間を増加させ、および(c)別の時間増分だけ前記低時間を調整するために、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目5)
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、最適呼気終末肺容量値を計算し、
該最適呼気終末肺容量値が、(a)最適呼気終末肺容量閾値以上である場合に、該コマンドモジュールは、酸素供給値を真値を示すように設定し、(b)最適呼気終末肺容量閾値未満である場合に、該コマンドモジュールは、(i)該センサ配列にポーリングして、前記最大呼気流量を測定し、ガス流の打切りを測定し、かつガス流の減速角度を計算して前記時間増分のうちの1つを選択し、(ii)リクルートメント値を真値を示すように設定し、および(iii)前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該選択した時間増分を適用することによって前記低時間を減少させることを前記制御モジュールに命令する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目6)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間および該高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目7)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度以上であり、前記高時間値が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定するように、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)高圧閾値未満であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整するために該制御モジュールに命令する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目8)
前記制御モジュールは、前記患者etCO2量が前記etCO2目標値以上であると検出し、前記コマンドモジュールは、自発呼吸頻度を確認するようにサンプリングし、
(a)該自発呼吸頻度が、自発呼吸頻度閾値未満であるときに、該コマンドモジュールは、多呼吸値を確認し、該多呼吸目標値が真値を示す場合に、該コマンドモジュールは、換気値を真値を示すように設定することが可能であり、
(b)該自発呼吸頻度が、自発呼吸頻度閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、無呼吸値を確認し、(i)該無呼吸値が、真値を示すときに、該コマンドモジュールが換気値を真値を示すように設定することを可能にし、(ii)該無呼吸値が、偽値を示すときに、該コマンドモジュールは、気道圧解放換気離脱値を真値を示すように設定することが可能である、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目9)
前記制御モジュールは、前記患者etCO2量が前記etCO2目標値以上であると検出し、前記コマンドモジュールは、前記高圧をサンプリングし、高圧値を設定し、前記自発呼吸頻度をサンプリングし、
該コマンドモジュールが、該自発頻度が自発頻度閾値以上であり、かつ、該高圧値が高圧閾値以上であると検出する場合に、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力増分だけ該高圧を減少させるため、および時間増分だけ前記高時間を増加させることを該制御モジュールに命令することによって離脱を開始させる、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目10)
FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する、既定の離脱失敗基準をさらに含む、前記少なくとも1つのモデル患者データ配列をさらに備え、
前記コマンドモジュールは、前記データ回路と連通して、前記センサ配列をサンプリングし、前記患者の実データ配列要素のうちの少なくとも1つを測定し、該要素を該既定の離脱失敗基準と比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれであるかを示すかを判定し、
該コマンドモジュールが、(a)該離脱失敗値が該真値を示すときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力増分だけ前記高圧を減少させること、および時間増分だけ前記高時間を増加させることを前記制御モジュールに命令し、(b)該離脱失敗値が該偽値を示すときに、該コマンドモジュールは、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力および時間増分だけ該高圧および高時間を減少させることを該制御モジュールに命令することによって、周期的離脱を繰り返し開始する、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目11)
前記コマンドモジュールが別の周期的離脱を開始するたびに、該コマンドモジュールは、持続的気道陽圧閾値に到達するまで前記高圧を確認して、該コマンドモジュールが持続的気道陽圧値を真値を示すように設定することを可能にする、項目10に記載の人工呼吸器システム。
(項目12)
既定の持続的気道陽圧と、FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準とをさらに含む、前記少なくとも1つのモデル患者データ配列をさらに備え、
前記コマンドモジュールは、前記データ回路と連通して、前記センサ配列をサンプリングし、該患者の実データ配列要素のうちの少なくとも1つを測定し、該要素を該既定の離脱失敗基準と比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該コマンドモジュールが、(a)該離脱失敗値が該真値を示すと判定するときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して該持続的気道陽圧を増加させることを該制御モジュールに命令し、(b)該離脱失敗値が該偽値を示すと判定するときに、該コマンドモジュールは、抜管閾値圧力に到達するまで該持続的気道陽圧を周期的に減少させる、項目1に記載の人工呼吸器システム。
(項目13)
前記高圧が、(a)高圧閾値未満であるときに、前記コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該高圧に基づいて前記持続的気道陽圧を調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、気道圧解放換気離脱を調整することを該制御モジュールに命令する、項目12に記載の人工呼吸器システム。
(項目14)
肺窮迫症を示す患者を支援する際に臨床医によって使用するための人工呼吸器であって、
データネットワークと電気的にともに連通しているディスプレイと入力デバイスとメモリとを含むコントローラであって、少なくとも2つの弁と、該患者と連通している供給ポートおよび排気ポートとを含む、ガスネットワークと流体連通している加圧ガス源を組み込む、コントローラと、
該データネットワークと連通している複数のセンサであって、該排気ポートおよび供給ポートのうちの少なくとも1つと連通している少なくとも1つの酸素飽和度センサと、少なくとも1つのカプノメータと少なくとも1つの圧力計と少なくとも1つのガス流量計とを含む、複数のセンサと、
該メモリに常駐するコマンドルーチンであって、該加圧ガス源および該弁のうちの少なくとも1つを調整可能に作動させて、該ガスネットワークにおいて少なくとも1つの圧力、体積及び流量を確立するために、該コントローラを駆動するように動作する、コマンドルーチンと、を備え、
該コマンドルーチンは、該臨床医が(i)自動初期化設定、ならびに(ii)(a)呼気終末陽圧量、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含むメモリに記憶されるパラメータの少なくとも1つ、つまり(i)並びに(ii)、のうちの少なくとも1つを該入力デバイスを介して設定入力するために、該ディスプレイにプロンプトを表示し、
該コマンドルーチンは、該複数のセンサと連通して、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該コマンドルーチンは、該患者の実データ配列を該設定のうちの少なくとも1つと比較し、該設定のうちの少なくとも1つであるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量のうちの少なくとも1つを計算する、人工呼吸器。
(項目15)
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドルーチンは、前記複数のセンサと連通し、前記患者の実データ配列を確認して、最適呼気終末肺容量値を計算し、
該最適呼気終末肺容量値が、(a)最適呼気終末肺容量閾値以上である場合に、該コマンドルーチンは、酸素供給値を真値を示すように設定し、(b)最適呼気終末肺容量閾値未満である場合に、該コマンドルーチンは、(i)該複数のセンサにポーリングして、前記最大呼気流量を測定し、ガス流の打切りを測定し、かつガス流の減速角度を計算して前記時間増分のうちの1つを選択し、(ii)リクルートメント値を真値を示すように設定し、および(iii)前記加圧ガス源および前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該選択した時間増分を適用することによって前記低時間を減少させることを前記コントローラに命令する、項目14に記載の人工呼吸器。
(項目16)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、前記高時間および前記高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、項目14に記載の人工呼吸器。
(項目17)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度以上であり、前記高時間が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定すること、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値未満であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、項目14に記載の人工呼吸器。
(項目18)
臨床医に呼吸窮迫症を示す患者に換気を行なうための手段であって、
患者に加圧ガスを連通するため、および該患者からガスを排出するための手段と、
情報を表示するための手段、該臨床医から入力を受信するための手段、および情報を記憶するための手段を含む、供給手段を制御するための手段と、
該供給手段によって該患者に連通される該ガスの物理的状態を検出するための複数の手段であって、(a)圧力を検出するための少なくとも1つの手段、(b)体積流量を検出するための少なくとも1つの手段、(c)酸素の濃度を検出するための少なくとも1つの手段、および(d)二酸化炭素の濃度を検出するための少なくとも1つの手段とを含む、複数の手段と、
可変加圧体積流量によって該加圧ガスを調整可能に連通するため、および該ガスの該物理的状態を検出するために、前記制御するための手段に指示するための手段であって、該指示手段は該情報を記憶するための手段に存在する、手段とを備え、
該表示するための手段は、該臨床医に対して、(i)自動初期化設定、ならびに(ii)(a)呼気終末陽圧量、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含む該記憶するための手段内に保持されたパラメータの少なく一つ、つまり(i)ならびに(ii)のうちの少なくとも1つを設定入力する手段を含み、
該指示するための手段は、該臨床医から該設定を受信し、該供給するための手段を作動させて、該FiO2量、該高圧と低圧、該高時間と低時間によって特徴付けられる物理的状態を有する患者への該加圧ガス供給を連通することを該制御するための手段に命令し、
該指示するための手段は、該複数の検出するための手段のうちの1つと連通し、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該制御するための手段は、該患者の実データ配列を該設定のうちの少なくとも1つと比較し、該設定のうちの少なくとも1つであるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量のうちの少なくとも1つを計算する、換気を行なうための手段。
(項目19)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間および該高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、項目18に記載の換気を行なうための手段。
(項目20)
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が受信された機械呼吸頻度以上であり、前記高時間が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定すること、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値未満であると判定されたときに、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、項目18に記載の換気を行なうための手段。
(項目21)
(i)自動初期化設定、ならびに(ii)FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準をさらに含む少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記命令するための手段は、前記検出するための手段と連通し、実際の値を測定して、該既定の離脱失敗基準のうちの少なくとも1つと比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該命令するための手段が、(a)該離脱失敗値が真値を示すと判定するときに、該命令するための手段は、前記供給するための手段を調整して、圧力増分だけ前記高圧を増加させるため、および時間増分だけ前記高時間を減少させるために、前記制御するための手段に指示し、(b)該離脱失敗値が偽値を示すと判定するときに、該命令するための手段は、該供給するための手段を調整して圧力増分だけ該高圧を減少させることを該制御するための手段に命令することによって、周期的離脱を繰り返し開始する、項目18に記載の換気を行なうための手段。
(項目22)
前記命令するための手段が別の周期的離脱を開始するたびに、該命令するための手段は、前記高圧を確認し、持続的気道陽圧閾値が検出されるまで前記サイクルを継続して、該命令するための手段が持続的気道陽圧値を真値を示すように設定することを可能にする、項目21に記載の換気を行なうための手段。
(項目23)
(i)自動初期化設定、ならびに(ii)FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準をさらに含む少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記命令するための手段は、前記検出するための手段と連通し、実際の値を測定して、該既定の離脱失敗基準のうちの少なくとも1つと比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該命令するための手段が、(a)該離脱失敗値が真値を示すと判定する場合に、該命令するための手段は、前記供給するための手段を調整して前記持続的気道陽圧を増加させることを前記制御するための手段に指示し、(b)該離脱失敗値が偽値を示すと判定する場合に、該命令するための手段は、抜管閾値圧力に到達するまで該持続的気道陽圧を周期的に減少させる、項目18に記載の換気を行なうための手段。
【0073】
【発明を実施するための形態】
【0074】
ここで以下の記載を参照すると、当業者であれば、本発明の人工呼吸器および人工呼吸器システムおよび操作方法の好ましい、任意的な、修正された、および代替的な実施形態は、当業者の知識の範囲内であり、かつ本明細書による説明、請求項の全体を通して例示される、種々の特徴、構成要素、修正、および変化例の全てとの互換性を検討することを理解すべきである。
【0075】
この誘導概念を考慮した、換気療法を受けている患者と連通している、人工呼吸器および人工呼吸器システムが説明される。人工呼吸器または人工呼吸器システムはまた、好ましくは、陽圧ポートと、任意的に、陰圧ポートとを有する、ガス供給ポンプおよび/または加圧ガス源も含む。ガスポンプまたは源は、陽圧ガスを供給し、また、人工肺または同様の治療法等の非侵襲性陰圧付加のために、陰圧または真空を供給することもできる。本発明の原則によれば、多種多様な市販の人工呼吸器が修正されてもよく、1つのそのようなデバイスは、Draeger Medical,Inc.(Telford,Pennsylvania,USAおよびLubeck,Germany)から入手可能な、モデルEvitaXLと呼ばれるものを含む。
【0076】
人工呼吸器はまた、好ましくは、人工呼吸器内および/または人工呼吸器外の電気またはデータ回路あるいはデータネットワークと電気的に連通している、コントローラまたは制御モジュールあるいは計算デバイスも含む。コントローラはまた、好ましくは、ディスプレイも含む。ディスプレイは、コントローラから一方向性信号を受信する従来のデバイスであってもよいが、また、入力デバイスとして使用することができ、キーボード入力デバイスと同様の内蔵キーボードまたはキーパッド等のデータ入力能力も有してもよい、タッチスクリーンディスプレイ等の、任意の数の場合によっては好ましい双方向性デバイスであってもよい。
【0077】
コントローラまたは計算デバイスはまた、好ましくは、フラッシュドライブ、光学媒体、ハードディスクドライブ、固体ディスクドライブ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性メモリ、可撤性記憶デバイス、遠隔インターネットベース記憶デバイス、ネットワークアプライアンス型デバイス、および同等物を含むことができる、メモリまたは記憶能力を含む。
【0078】
典型的には、供給ポンプまたは加圧ガス源は、管のガス回路またはネットワークを通して、患者に陽圧または陰圧を伝達する。ガスネットワークまたは回路はまた、吸気または供給ポートと、呼気または排気ポートとを含んでもよい。通常は、いくつかの弁も、流量を制御および計測するように含まれ、好ましくは、供給弁と、センサ弁と、排気弁とを含み、その全ては、コマンドモジュールが、換気を開始および停止するよう、および操作中に患者への圧力および流速を制御するよう、弁を自動的に制御および操作してもよいように、データネットワークを介してコントローラと連通する可能性が高い。
【0079】
供給および排気弁はまた、短期間にわたって周期的に閉鎖して、圧力センサが種々の静圧測定値を取得することを可能にするように動作可能であってもよい。加えて、センサ弁は、閉鎖して種々のセンサを圧力回路過渡現象から保護するために、また、強制呼吸支持から増大的支持モードに動作モードを変更することによって、人工呼吸器が患者の改善または再発に自動的に反応しているかもしれない時等に、誤った測定値を防止するように、動作可能であってもよい。
【0080】
本明細書の他の部分で説明される、検討された入力デバイスに加えて、肺容量、死腔率、および同等物等の、定量的肺機能情報を伝達するように、本発明の人工呼吸器の動作に組み込むことができる、ある画像診断デバイスがあってもよい。付加的かつ考えられる有用なデバイスはまた、無制限の例の目的で、電子インピーダンス断層撮影デバイス、超音波機器、コンピュータ化された、およびコンピュータ支援の断層撮影デバイス、および、種々の定量的または主観的肺機能画像を可能にしてもよい、他の種類のドップラ像センサを含んでもよい。
【0081】
種々の種類の任意的に好ましい検出器、センサ、または検出デバイスにもまた、本発明の目的で、体積および質量流量、ならびに、供給ガス、吸気ガス、および呼気ガスの圧力の正確な制御および分析を可能にする有用性があってもよく、それは順に、本明細書の他の部分でさらに詳細に論議されるように、種々の他の静的および動的肺機能パラメータの計算を可能にする。
【0082】
引き続きこの実施例を参照すると、一群のセンサを、人工呼吸器および患者に近接して配列することができる。パルス酸素濃度計またはO2飽和度センサが、周辺または静脈O2含有量SpO2を確認するために周辺で使用されてもよく、カプノグラフィセンサまたはカプノメータまたはCO2センサが、呼気終末または周辺CO2飽和度(etCO2、SpCO2)を判定するために使用されてもよい。長期仰臥位換気を伴う、ある用途については、いくつかあるパラメータの中で特に、動脈血ガス濃度を監視することも所望されてもよい。これらの場合において、PaO2センサおよび/またはPaCO2センサを使用して、肺動脈O2およびCO2レベルを評価するために、中心線カテーテル等の侵襲的方法を使用することができる。
【0083】
また、任意的に、患者反応を継続的に評価することができるように、種々の気道内圧、体積流量、および質量流量を監視することも好ましい。気道内圧を監視する目的で、気道内圧センサまたは圧力計を、ガスネットワークまたは回路に沿ったいくつかの場所に配置することができ、より好ましくは、患者の挿管部位において、供給および排気ポートに近接して位置付けられる。吸気および呼気ガスの体積流量の監視を可能にするように、気道流量センサを同様に位置付けることができる。ある用途では、付加的な容量肺患者機能源ならびに自発呼吸のために消費される患者作業源となり得る、肺の呼吸サイクル中の胸部の動きの監視を可能にするために、胸部に載置したひずみゲージを採用することが望ましいことが分かっている。
【0084】
人工呼吸器はまた、限定の目的ではなく例示の目的で、初期設定モジュールまたはプロトコル、調整および維持モジュール、および離脱モジュールを含む、3つの主要動作モジュールを含むように、制御モジュールおよび/またはコマンドモジュールも組み込む。最初の人工呼吸器の起動中に、臨床医の入力に基づいて、または所定の一式のパラメータにアクセスすることによって、いくつかの初期パラメータが設定される。ここで、予備初期化ルーチンを説明する。この実施態様では、臨床医がディスプレイまたは入力デバイスに好ましい設定を入力してもよいことが分かる。代替案では、人工呼吸器を動作のために準備させるために、任意の数の可能な所定の自動設定が、全体的または部分的に定義またはカスタマイズされるように、アクセスされ、使用されてもよい。いったん臨床医または自動設定が選択されると、設定は、初期設定モジュールの動作中に種々の他の初期化パラメータに投入される。人工呼吸器の動作が開始すると、コマンドモジュールは、OEELVモードまたは評価ルーチンを起動する。
【0085】
ここで、初期設定モジュールは、最適呼気終末肺容量またはOEELVモードまたは評価ルーチンを含む。OEELVモードは、周期的に、および要求に応じて、肺の閉塞性、および患者の低換気、公称、または過炭酸性状態の関数として、換気範囲を判定する。評価の一部として、OEELVモードは、計算的に確認されたOEELVが患者の条件状態に適切な範囲であるかどうかを判定する。無制限の例として、患者に閉塞性肺があり、高範囲の低換気を経験している場合、適切な、または所望のOEELVは、約30%から40%までの範囲となるべきである。
【0086】
計算的に確認されたOEELVがこの範囲より高い場合、T(低)パラメータは、0.5秒だけ増加させられる。逆に、計算的に確認されたOEELVが30%から40%までの所望の範囲より低い場合、T(低)パラメータは、適切なOEELV範囲を達成する目的で低下させられる。このようにして、新規のOEELVモードまたは評価プロトコルは、実際のOEELVモードの極微調整を達成して、換気された患者Pの肺反応の最適な状態調節を刺激することができる。すなわち、T(低)の0.5秒の調整は、疾患の様相に最も適したOEELVのゆっくりとした漸進的な最適化を可能にする。本発明の種々の側面の例示および詳説の目的ではあるが、0.5秒の量または他の時間量が説明されている。しかしながら、この側面で、本発明の原則はまた、時間のさらに漸進的な変化にも好適であり、ミリ秒、ならびに、より小さい、およびより大きい桁を含むことができる。
【0087】
いったんT(低)が設定されると、OEELVモードは、一定の期間にわたって制御を放棄し、再度、コマンドモジュールは、制御を再開して、次に、酸素供給モード、リクルートメントモード、および換気モードを含む、調整および維持モジュールを起動する。モジュールおよびその構成要素モードは、患者の生理的換気および肺反応プロファイルの主要側面を厳密に監視および保護して、最低限の肺損傷の危険性とともに、最大化された回復および離脱を可能にするように構成される、プロトコルを含む。換気確保過程中、少なくとも約95%のSpO2およびわずか約34?45mmHgのetCO2の標的または目標が維持されることを確実にするように、患者のSpO2およびetCO2は、各SpO2およびetCO2センサを介して継続的に監視される。
【0088】
次に、コマンドモジュールは、酸素供給モードに制御を渡す。酸素供給モードが短期間に制御を引き受けると、別名FiO_(2)パラメータと呼ばれる、部分的吸気O2での必要に応じて、調整が達成されてもよいように、再度、SpO2が参照される。いったんFiO2に調整が行なわれると、コマンドモジュールは、酸素供給モードと協働して、P(高)圧力調整を行なわなければならないか、または初期離脱モードを起動するかどうかを評価する。患者が順調に反応している場合、ならびに、FiO2およびSpO2量が好適である場合、制御は、初期離脱モードに移譲され、これは、本明細書の他の部分でさらに詳細に説明される。
【0089】
代替案では、酸素供給モードおよびコマンドモジュールは、P(高)状態を評価する。P(高)が調整された場合、前述の最適OEELVモードを支援するように、OEELVモードのもう1つの反復が行なわれる。再度、制御が酸素供給モードに戻ると、リクルートメントモードが保証されているか、またはP(高)を再び調整しなければならないかどうかを判定するために、再度、P(高)が評価される。さらなる例示の目的で、リクルートメントモードが示されていると仮定すると、酸素供給モードは、コマンドモジュールに制御を譲り渡し、それがリクルートメントモードを起動する。
【0090】
リクルートメントモードは、異なった状況でP(高)状態を再評価する。P(高)が管理不能となる状況では、即座の介入を達成するように警報信号が発信される。そうでなければ、P(高)は、患者Pの肺の状態調節を改善するように調整され、再度、SpO2が反復して再検査される一方で、リクルートモードは、SpO2値が酸素供給モードの必要性を示すまで、可能な限り肺表面を増加させ、死腔を低減し、肺胞単位を再膨張させようとする試行を続ける。他の同時実行モードからの情報のフィードバックは、コマンドモジュールによって、フィードバックループ1を介して周期的にサンプリングされてもよく、それは、必要に応じてリクルートメントを中断し、制御を譲渡するか、または患者の生理機能によって必要とされた時に、より重要なモードを起動することができる。例えば、コマンドモジュールが、所望の限度に接近するか、または超えるか、増加したetCO_(2)値を表すか、フィードバックループからの受信情報を検出した場合、換気モードを起動することができるように、コマンドモジュールによって制御を無効にすることができる。
【0091】
引き続き前述に関係してコマンダまたはコマンドモジュールが、換気モードを起動して、実際の、または接近の限度外etCO_(2)状態を是正する。換気モードは、呼気終末CO2レベルを再評価し、OEELV状態を再評価し、次いで、臨床医または自動設定から取得された設定速度または呼吸頻度値に対して、患者呼吸自発性を評価する。呼吸自発性が設定速度以下にとどまっている場合、肺反応をさらに最適化するために必要に応じて、T(高)を調整するために、肺胞換気サブモードが達成される。
【0092】
しかしながら、患者が肺の反応性を回復し、呼吸自発性が、無制限の例の目的で、設定速度を超えた15回の自発呼吸の速度まで、設定速度を超えて改善すると、肺胞換気サブモードが達成され、それにより、T(高)、P(高)が別々に調整され、次いで、P(高)の低い方の値については組み合わせて調整される。P(高)の高い方の値については、分時換気量サブモードが、Vtを評価して、リクルートメントモードが保証されているかどうかを判定する。そうでなければ、再度、SpO2が検証され、T(高)が調整され、設定速度または呼吸頻度、および評価ワークシートで定義された実際の患者の速度の関数である、多呼吸評価に対して、患者が検査される。他のモードと同様に、コマンダまたはコマンドモジュールは、一連の継続的に監視された変数にわたって最適な肺反応パラメータを維持するよう、制御を即座に獲得することができるように、フィードバックループに関して入ってくる情報についてポーリングし続ける。
【0093】
ここで、コマンダが、酸素供給モードをもう一度通過するために、換気モードから制御を呼び戻し、コマンダが初期離脱モードを起動するために、パラメータが有利に評価されたという仮説的提案による1つの実施態様が注目される。他のモードと同様に、FiO_(2)、SpO_(2)、etCO_(2)、呼吸自発性、および起こり得る多呼吸が再評価される。患者が順調に反応すると仮定すると、P(高)が評価され、保証された場合、呼吸の自発性が無呼吸パラメータに対して比較される。次いで、コマンドモジュールが、強制呼吸制御モードから離れて人工呼吸器を再構成し、補助呼吸モードを起動すると、顕著に改善している患者は、本発明の人工呼吸器のまさしく新規の側面のうちの1つを体験する。
【0094】
当業者であれば、コマンダが、回復期の肺の患者にとってさらにいっそう快適となり得る、気道陽圧解放換気またはAPRVモードを起動することを理解するであろう。ここでも、APRVモードは、患者の肺の状態調節を再検証し、P(高)を検査する。しかしながら、他のモードとは違って、APRVモードは、本明細書では離脱失敗基準と呼ばれる、新しいパラメータ評価を制定する。これらの基準は、より厳密な一連の危機的な肺の生理状態に対して、患者を評価して、換気動作モードの実質的にあまり漸進的ではない変化の追加負担に、被験者が耐えられることを確実にする。コマンドモジュールが動作の強制呼吸モードを中断する前に、患者は基準に合格しなければならない。患者が離脱基準に不合格である場合、コマンドモジュールは、初期離脱モードを再起動し、または、フィードバックループがコマンダにより緊急の要件を警告する場合は、別のモードに再起動する。
【0095】
しかしながら、離脱失敗基準が満たされたと仮定すると、患者は、人工呼吸器およびシステムによって誘発されている圧力-容量勾配プロファイルのより大きな変化に耐えることができると見なされる。したがって、APRVモードは、付加的な調整を達成して、人工呼吸器の強制呼吸様相への患者の依存を離脱させる、または低減する。この離脱過程および再評価は、患者がよく耐えるならば、P(高)がわずか20センチメートル水柱の圧力以下になるまで、反復し続ける。この時点で、患者は順調に回復しており、フィードバックループとは対照的に、重要な兆候がなく、再度、コマンドモジュールは、人工呼吸器の動作プロファイルを完全に再構成する。
【0096】
コマンダまたはコマンドモジュールは、最大CPAP補助モードで持続的気道またはCPAPモードを起動し、それは、人工呼吸器への依存から患者を外す過程を加速する。しかしながら、依然として、患者は、許容肺反応限度からの甚だしい、かつ望ましくない逸脱について、離脱失敗基準に対して評価され続ける。患者の回復が加速するにつれて、CPAPモードは、抜管圧力に到達するまで、補助を減少させる。その後、臨床医が介入し、離脱した患者から抜管する。
【0097】
本発明の人工呼吸器の実施形態のうちのいずれかへの多くの可能な修正の中でも、1つの特に有用な変化例は、OEELVモードの改良として組み込むことができる、またはOEELVモードとともに動作および協動することが可能な独立モードとして含まれてもよい、修正OEELVモードを含む。種々の実施形態からは、当業者であれば、本明細書の他の部分で説明されるように、P(低)/T(低)サイクル中に入手された要素および基準点情報を使用することによって、OEELVが到達されることを思い出すことができるであろう。提案され、任意的に好ましいOEELVモードは、理想的には、換気療法の持続時間にわたって機能し、治療上の患者のEELVまたは呼気終末肺容量を継続的に最適化するように動作可能である。
【0098】
導出されたOEELVは、病状、ならびに、酸素供給モード、リクルートメントモード、および換気モードへの患者の肺の反応性の関数である。病状を訴える患者では、OEELVモードは、T(低)期間を調整することによってEELVを最適化する。好ましくは、OEELVモードはまた、確証および誤差検出のために、多重サンプリング、平均化、および種々の統計的方法を経時的に使用することによって、入手した情報を確証する。
【0099】
OEELVの調整は、P(低)/T(低)サイクル中に入手された要素ならびに流量および時間の基準点に基づく。P(低)/T(低)サイクルによって確立される、流動時間域内の流量および時間の基準点は、P(低)/T(低)サイクル中に肺容量で発生する変化を測定および計算するために使用されてもよい。限定の目的ではなく、例およびさらなる例示の目的で、好ましいOEELVモードは、最大呼気流量(PEFR)、減衰相、および打切り相を測定して、ガス流の減速角度(ADEC)およびガス流の終結を計算し、最適T(低)調整を決定する。それにより、OEELVモードは、患者の最適な実際のOEELVをより正確かつより反応可能に確立し、維持する、これまでは利用不可能であった動的調整を可能にする。
【0100】
当業者は、外挿相が、時間の関数として残留容量および圧力を計算するために使用されてもよいことを、理解するはずである。PEFRは、機械呼吸後の胸部の弛緩および反跳によって明らかになる、急速な減圧を表す。減衰相は、減衰エネルギー駆動およびガス流に対する下流抵抗を表す。流動終結相または打切り相は、疾患過程、またはユーザあるいは臨床医によって入力されたパラメータ設定のいずれかの関数として、流動を判定することができる場所または領域を確立する。外挿相は、圧力、容量、および時間を判定および計算するために、図式的および/または代数的に使用することができる。
【0101】
本明細書の他の部分で説明されるように、OEELVモードならびにOEELVモードは、両方とも、最大呼気流およびガス流の打切りを測定し、次いで、理想的なOEELV値を確立するために順に使用されるADECまたは減速角度を計算するために、この情報を使用することが思い出される。このアプローチにより、打切り点の変化が減速角度を変化させることが観察されるべきである。結果として生じる角度があまり急ではなくなると、結果として生じる観察は、リクルートメントが発生したということである。逆に、角度がさらに急になると、ディリクルートメントが示される。
【0102】
したがって、OEELVモードは、P(高)、P(低)、T(高)、またはT(低)のうちの少なくとも1つの調整を示唆する。ディリクルートメントが検出された場合、P(高)またはT(高)のいずれかが増加させられるべきであり、またはT(低)が減少させられるべきであり、またはそれらのなんらかの組み合わせが達成されるべきである。一方で、このようにしてリクルートメントが検出された場合、P(高)が減少させられるべきであり、T(高)またはT(低)が増加させられるべきであり、またはそれらのなんらかの組み合わせが達成されるべきである。
【0103】
本発明はまた、本発明の実施形態のうちのいずれかにおいて、リクルートメントモードの側面をさらに増大させることができる、最適吸気終末肺容量またはOEILVモードを検討する。革新的な人工呼吸器および換気システムの実施形態のうちのいずれかに対する、この代替変化例では、OEILVモードは、任意的に、または好ましくは、必要に応じてコマンドモジュールによって起動される。より好ましくは、OEILVモードは、リクルートメントモードによって起動される。さらに好ましくは、OEILBモードが、理想的には、ディリクルートメントについて評価し、機械または人工呼吸器の呼吸中に動作中または使用中であるため、OEILVモードは、実際のリクルートメント相または吸気加圧外の任意の瞬間に、リクルートメントモードによって起動される。最も好ましくは、OEILVモードは、既存のセンサデータを監視して、換気のP(高)/T(高)サイクル中の流量および時間の変化を識別する。
【0104】
起動されると、OEILVモードは、機械呼吸中に経時的に活動中であり、P(高)/T(高)サイクルまでの流動時間経過の記録された基準点を入手する。OELIVモードは、P(高)/T(高)サイクル中の流量および時間の座標格子の変化を識別するために、この入手したデータを使用する。そのような変化が実際に識別された場合、OEILVは、好ましくは、リクルートメントを開始するように、コマンダ、リクルートメントモード、および/またはフィードバックループ上に、メッセージを伝達してもよい。さらに好ましくは、OEILVモードはまた、実際の、または見込まれるディリクルートメントをさらに最小化するように、および/または、換気療法の肺の状態および/または患者の反応および状態調節を改善するように、P(高)および/またはT(高)の手動または自動調整を示唆および/または達成してもよい。
【0105】
リクルートメントモードの非リクルートメント相では、OEILVモードはまた、活動中である時に、好ましくは、P(高)、T(高)、または両方を断続的に調整してもよく、および/または、コマンダ、フィードバックループ、および/または推奨された調整の他のモードに通知してもよく、および/または、保証されていれば臨床的介入を求めるよう、手動または自動的に臨床医に伝達してもよい。P(高)、T(高)、または両方における、これらの調整は、時折、断続的に、および/または周期的に適用されてもよく、手動で、通知メッセージを通して、または自動化を通して、達成されてもよい。
【0106】
任意的に好ましいOEILVモードのさらなる側面では、OEILVモードは、好ましくは、機械呼吸の開始中に発生する抵抗要素、機械呼吸サイクルの変曲または中間点と相関する変曲点、および機械呼吸後の弛緩に対応する弾性要素組み込んでもよい。OEILVモードが、抵抗-弾性遷移点を測定して、弾性の勾配が変化するかどうかを判定することに留意することが重要である。
【0107】
言い換えれば、弾性要素がディリクルートメントにおいてより急になり、リクルートメントにおいてあまり急ではなくなるかどうかを、問い合せが知ろうとする。当業者であれば、本明細書の付随論議が、リクルートメントが達成されたか、またはディリクルートメントが発生したかどうかをより正確に識別する、これまでは利用不可能であった手段を可能にすることを理解できるようになるであろう。ここで利用可能となり、本発明の原理による、種々のモードは、多くの考えられる換気療法プロトコル中のリクルートメントおよびディリクルートメントをより良好に管理および緩和するための、より正確でより自動的なシステムを可能にする。
【0108】
本発明の人工呼吸器のモードおよび操作方法の実施形態のうちのいずれかでは、任意的に好ましい自発モードを使用して、呼吸の自発性をさらに評価することができる。この自発モードはさらに、本発明の人工呼吸器の他のモード、モジュール、およびルーチンのうちのいずれかによって起動されてもよい。たとえそうであっても、この自発モードは、任意的に、コマンドモジュール単独を介して、および/または、換気モードによって、および/または初期離脱モードによって起動されている際に、特別な有用性を見出してもよい。
【0109】
患者の単位時間当たりの実際の自発呼吸を比較することに加えて、このモードはまた、好ましくは、自発呼吸の性質を評価および分析して、別名「呼吸の仕事」とも呼ばれる、呼吸努力を同定および定量化してもよい。より好ましくは、自発モードは、呼吸仕事に対する離脱の影響を評価する。ひずみゲージのうちの1つ以上等の、本明細書の他の部分で説明されるセンサのうちのいずれかを、動きおよび固体状態を感知および記録するように、患者の胸部に、弾性的に、またはしっかりと付加することができ、または、呼吸に消費される実際の仕事を計算するために使用することができる、付加的なデータ点を獲得するために、同様の能力がある加速度計も使用することができる。
【0110】
そのようなデータ点は、自発呼吸開始相、自発ピーク相最大、および自発終結相に対して相関させることができる。さらに好ましくは、そのようなデータは、換気および初期離脱モード中に発生する自発呼吸評価のうちのいずれか、ならびに任意の他の好適な時間の間に提示することができる。患者の肺の状態調節および反応のこのような付加的な兆候は、患者の真の心肺生理機能をさらに明らかにすることができ、それは、患者抵抗または他の問題により、患者が換気療法から時期尚早に外されるという危険性を低下させることができる。
【0111】
引き続き、種々の実施の形態および先行の論議を参照すると、当業者であれば、ある望ましい状況について、本発明はまた、初期酸素供給および換気設定に基づくAPRVモードで患者の換気を開始するステップも検討することを理解することができるであろう。次いで、患者は、低侵襲プロファイルで換気療法を開始しながら、人工呼吸器の強制呼吸能力の安全性を有することができる。呼気(P(低))中のARPV気道内圧は、呼気ガス流速の急速な加速を可能にするために、換気の全体を通して実質的にゼロである。典型的には、吸気ガス中の酸素の分率(FiO_(2))は、最初は、約0.5から1.0まで(すなわち、約50%から100%まで)に設定される。吸気(P(高))中に達成される最高気道内圧は、空隙閉鎖力を克服し、肺容量のリクルートメントを開始するのに十分高くなければならない。P(高)は、約35cmH_(2)Oの初期値で好適に初期化されてもよい。
【0112】
代替として、P(高)は、肺損傷の重症度および種類、またはリクルートメント圧力要件のいずれかに基づいて、確立されてもよい。後者の方法は、吸気ガス中に存在する酸素の分圧に対する、患者の血液中の酸素の分圧に対する比(すなわち、PaO_(2)/FiO_(2)であるが、一般的にはP/Fと略される)。200mmHg未満である場合に好ましい。このP/F比は好ましくは継続的に監視される。
【0113】
肺損傷の重症度および種類が約350mmHgより大きいP/Fによって特徴付けられる場合、約20cmH2Oから28cmH2Oまでの範囲内のP(高)の初期値が、好ましくは確立される。一方で、P/F比が約350mmHg未満であれば、P(高)は、好ましくは、約28cmH2Oから35cmH2Oまでの範囲内で初期化される。
【0114】
患者の初期損傷が非肺疾患であり、および/または、肺損傷が間接的性質である場合に起こり得るように、P/F比が約200mmHg以下である状況では、本発明は、約35mmHgから40mmHgまでの値であるが、好ましくは、はっきりと40mmHgを上回らない、P(高)の確立を検討する。P(高)が最初に約35cmH2Oの初期値で確立される場合、いったんP/Fが約250mmHgを超えると、P(高)は、そのような値から低減される。換気の開始もまた、吸気および呼気の時間(持続時間)設定の確立を必要とする。
【0115】
最初に、陽圧相の持続時間(T(高))は、測定したPaCO2が約60mmHgを上回らない限り、約5.0から約6.0秒までの範囲内の値で確立される。その場合、T(高)は、より好ましくは、約4.0から5.0秒までの範囲内のより低い初期値に設定される。人工呼吸器解放相の持続時間(T(低))は、0.5から0.8秒までの範囲内の値で好適に初期化されてもよく、約0.7秒が好ましい初期値である。
【0116】
いったんP(高)、P(低)、T(高)、およびT(低)の初期値が確立されると、換気は、反復APRVモードサイクルで継続する。本発明による換気の管理中に、これらのパラメータのうちの1つ以上の初期値は、先行の説明に関連して説明されているように、測定したパラメータに従って再評価され、修正される。
【0117】
本発明による換気の管理では、主な目標は、約50mmHg以下のレベルで、換気された患者の血液中の二酸化炭素濃度(PaCO2)を維持することである。その目的のために、動脈PaCO2は、継続的に監視されるか、または臨床的に示されるように測定され、人工呼吸器は、以下のように換気を調整するように制御される。換気が開始された後の任意のときに、しかし好ましくは、その直後、または高炭酸症(約50mmHgを上回るPaCO2)の兆候があれば早急に、T(低)の設定は、任意的にあるが、好ましくは、点検され、必要であれば再調整される。
【0118】
本発明によれば、最適呼気終末肺容量は、呼気ガス流に基づいてT(低)を終結させることによる、呼気または解放相の持続時間の漸増によって維持される。そうするために、呼気ガスの流量が、人工呼吸器によって測定され、人工呼吸器のコントローラが解放相の終結を開始する時間に関して点検される。呼気排気弁は、呼気ガスの流量がその絶対最大呼気流量(PEFR)の約25%から50%まで減少した時に、解放相T(低)を終結させるように作動されるべきである。その例では、T(低)は、呼気ガス流量が40%PEFRに減少すると、解放相を終結させるように呼気排気弁を制御することによって終結する。
【0119】
低炭酸症(約50mmHg未満のPaCO2)が存在するとPaCO2の監視が示した場合、P(高)を実質的に不変状態に維持しながら、T(高)は、約0.5秒だけ増加させられる。PaCO2の後続の測定によって示されるように、患者が依然として低炭酸症のままである場合、酸素供給が十分であり、離脱が以下でさらに説明される基準に基づいて禁忌ではない限り、説明される方式での離脱が開始されてもよい。
【0120】
しかし、高炭酸症患者は離脱されない。高炭酸症の場合、本発明は、換気パラメータに有意なさらなる調整を行なう前に、呼気流パターンの評価を検討する。この評価は、呼気流対時間のトレース図の自動分析を実行する、人工呼吸器の制御ユニット内に記憶されたソフトウェアプログラムによって容易に実行することができる。正常な呼気流は、解放相の開始からその終結までを通して、略単調に下降し、時期尚早にまたは突然には減退しない流動によって特徴付けられる。対照的に、制限流は、解放相の開始から、ゼロまたは比較的小さい値まで急速に下降する。閉塞流は、持続時間がさらに延長される傾向があり、それを超えて流速がその初期速度から顕著に減退する、変曲点によって特徴付けられる。
【0121】
顕著な変曲点を伴うガス流パターンを解析する。呼気流センサによって提供される流量データの分析に基づいて、人工呼吸器の制御ユニットは、P(低)/T(低)サイクル中の基準点を判定するようにプログラムされる。P(低)/T(低)サイクルによって生成または確立される、流動時間域内の流動および時間の基準点は、P(低)/T(低)サイクル中に肺容量において発生する変化を測定および計算するために使用されてもよい。閉塞または制限流が存在すると判定された場合、本発明は、換気パラメータに任意の他の有意な調整を行なう前に、T(低)を調整するステップを検討する。このことは、2つの代替的方法のうちのいずれか一方に従って行なうことができる。
【0122】
1つの方法は、流動が閉塞性であるか、または制限的であるかに従って、T(低)を既定値に調整するが、流動が正常であれば、T(低)がその前値にとどまることを可能にすることである。制限流の場合、T(低)は、約0.7秒未満に調整されるべきである。一方、閉塞流は、より長い持続時間、好ましくは、約0.7秒を上回るT(低)を要求し、1.0?1.2秒が典型的である。
【0123】
高炭酸症患者の鎮静状態のレベルを早急に評価することが任意的であるが、賢明である。患者の鎮静状態は、患者のSASスコアを判定する従来の臨床技法等の、任意の好適な技法によって評価することができる。SASスコア(約2を上回るSASスコア)または別の方法に基づいて、患者が過度に鎮静状態であると思われる場合は、鎮静状態の低減が検討され、適切であれば開始されるべきである。その後、T(高)が約0.5秒だけ増加させられ、同時に、P(高)が約2cmH2O増加させられるべきである。これらの調整が患者に効くために十分な時間を許容した後、PaCO2が再評価されるべきである。患者が高炭酸症のままである場合、再度、T(高)が約0.5秒だけ増加させられ、同時に、P(高)が約2cmH2O増加させられるべきである。次いで、PaCO2が再評価され、患者がもはや高炭酸症ではなくなるまで、T(高)の約0.5秒およびP(高)の約2cmH2Oの同時増加が繰り返されるべきである。しかしながら、T(高)の全持続時間は、最大約15秒を超えて増加させられるべきではない。
【0124】
本発明による酸素供給の管理は、少なくとも約80mmHg値で、換気された患者の動脈血中の酸素濃度(PaO2)を維持し、少なくとも95%で飽和度(SaO2)を維持する目的で、実行される。好ましくは、PaO2の変動は、約55mmHgから80mmHgの標的範囲内で保たれる。(SpO2に関して表される、標的範囲は、約0.88から0.95であるが、PaO2およびSpO2データが両方とも利用可能である場合、PaO2が優先する。)酸素供給および飽和度の両方が指定された目標を満たすという判定に対応して、約35のP(高)および約0.5のFiO2で、約95%の血中酸素飽和度(SaO2)を維持する目的で、人工呼吸器は、約30分から1時間毎に約0.5だけ、吸気ガス中の酸素の分率(FiO2)を次第に減少させるように制御される。後者の目的を満たすと、前述の換気目標(すなわち、約50mmHg未満のPaCO2)が満たされ、離脱が禁忌ではない限り、説明される方式での離脱が開始されてもよい。
【0125】
しかしながら、少なくとも約80mmHgのPaO2および少なくとも約95%の動脈血酸素飽和度(SaO2)の酸素供給の目標が、両方とも、その当時のFiO2で維持できない場合、FiO2は減少させられない。その代わり、P(高)が約40cmH2Oまで増加させられ、略同時に、T(高)が約0.5秒だけ増加させられる。
【0126】
そのような作用が、少なくとも、約80mmHgのPaO2および約95%のSaO2の目標まで、酸素供給および飽和度を上昇させない場合、P(高)は、最大約45cmH_(2)Oまで増加させられ、T(高)は、次第に約0.5秒から1.0秒だけさらに増加させられる。次いで、酸素供給および飽和度が再評価され、それらが依然として目標を下回る場合、FiO2は、最初に1.0未満であれば、任意的に、約1.0まで増加させられてもよい。酸素および飽和度は、再評価され続け、T(高)は、規定の酸素および飽和度の目標が満たされるまで、約0.5から1.0秒の増分で逐次的に上昇させられる。
【0127】
いったんこれらの酸素供給および飽和度の目標が満たされると、離脱の開始を検討することができるレベルに向かってFiO2およびP(高)を次第に減少させながら、これらのゴールを維持するように、換気が制御される。より具体的には、少なくとも約95%で酸素飽和度を維持しながら、P(高)が、1時間あたり約1cmH2Oだけ減少させられる一方で、FiO2は、約30分毎に約0.05だけ減少させられる。
【0128】
本発明による離脱は、特に禁忌ではない限り、上記で説明される酸素供給および換気の目標が満たされた後に開始してもよい。つまり、約35cmH2OのP(高)で、PaCO2が依然として約50mmHgを下回るままであり、SaO2が依然として少なくとも約95%を下回るままであり、FiO2が、以前に高かった場合は、約0.5以下のレベルに引き下げられている時である。本発明による離脱中に、T(高)がリクルートメントを持続するように制御される一方で、P(高)は、気道内圧を徐々に低減するように低減される。P(高)の一連の連続増分低減を実行する一方で、略同時に、漸進的な肺の応力緩和を誘発するよう、T(高)の一連の連続増分増加を実行することによって、このことが達成される。
【0129】
結果として、肺の圧力対容量曲線は、その吸気部からその呼気部へと次第に変移する。離脱は、2段階で実行されてもよく、その第1段階は、第2段階よりも漸進的である。第1段階中に、P(高)は、1時間毎に約2cmH2Oだけ低減される。P(高)の各低減と略同時に、T(高)は、全持続時間が約15秒のT(高)まで、しかしそれを超えずに、約0.5から1.0秒だけ増加させられる。
【0130】
P(高)がこのように低減されるにつれて、吸気ガス中の酸素の分率(FiO2)もまた、P(高)に従って徐々に低減される。離脱の第1段階中に、このFiO2の漸進的な引き下げが徐々に実行される。P(高)が約24cmH2Oまで低減され、FiO2が約0.4まで引き下げられており、患者が少なくとも約95%の血中酸素飽和度(SaO2)を維持している時に、離脱は、より積極的な第2段階へと進んでもよい。「略同時に」という用語は、変化が正確に同時に発生することを必ず必要するように限定して解釈されるべきではない。むしろ、該用語は、同時に発生する事象だけでなく、説明される利点または効果を達成するのに時間的に十分近い、任意の事象も包含するように、広義に解釈されるものである。
【0131】
継続的な離脱中に、P(高)の連続低減およびT(高)の略同時増加、同時低減は、1時間毎に約1回継続する。しかしながら、第2段階中に、P(高)の低減は、約4cmH2Oの増分で起こり、T(高)の増加は、約2.0秒ずつである。P(高)の低減が継続するにつれて、FiO2のさらなる引き下げが実施される。いったんFiO2が約0.3まで引き下げられると、気道内圧は、その時までの換気モードが、APRVから略持続的気道陽圧/自動管補正モード(CPAP/ATC)に遷移されるように、低減される。
【0132】
いったん患者が、約0.5以下のFiO2とともに約5cmH2OでCPAPに耐えていると、好ましくは、少なくとも約2時間以上にわたって、補助のない呼吸を維持する患者の能力が評価される。そのような評価の基準は、a)少なくとも約0.90のSpO2および/または少なくとも約60mmHgのPaO2、b)理想体重につき少なくとも約4ml/kgの1回換気量、c)1分につき約35回の呼吸を有意に上回らない呼吸数、およびd)呼吸窮迫症の欠如を含み、そのような窮迫症は、i)午前6時の心拍数の120%を上回る心拍数(しかし、そのような心拍数を超えた約5分未満は容認可能と見なされてもよい)、ii)呼吸を補助する副筋の顕著な使用、iii)胸部-腹部奇異、iv)発汗、および/またはv)顕著な自覚的呼吸困難のうちのいずれか2つ以上の存在によって示される。
【0133】
呼吸窮迫症の兆候がある場合、約10cmH2Oの気道内圧でCPAPが再開され、必要に応じて、監視および再評価が実行されるべきである。しかしながら、上記の基準a)からd)が全て満たされた場合、患者は、フェイスマスクによる抜管、鼻カニューレ酸素または室内空気、T字管呼吸、気管切開マスク呼吸、または約5cmH2Oでの高流量CPAP等によって、実質的に補助のない呼吸に遷移されてもよい。
【0134】
開始、管理、および離脱を含む、換気の全ての段階中に、患者は、少なくとも約2時間毎に、および必要であれば、より頻繁に、再評価されるべきである。本発明による換気の制御が管理する、血液ガス測定値(PaO2およびSaO2およびPaCO2)は、2時間毎以上に頻繁に監視されるべきであるが、全てのパラメータの略連続の監視が理想的と見なされる。
【0135】
離脱の直前および間に、少なくとも1つの特別な評価が、毎日、好ましくは、午前6時の間に行なわれるべきである。そうすることが可能でなければ、多くても約4時間の遅延が許容され得る。a)初期換気設定が確立または最初に変更されてから、少なくとも約12時間が経過している、b)患者が神経筋遮断薬を受容しておらず、神経筋遮断薬が体内にない、およびc)昇圧剤(「腎臓」投与量のドーパミン以外)なしで、収縮期血圧が少なくとも約90mmHgである場合を除いて、離脱は、開始またはさらに継続されるべきではない。
【0136】
これらの基準が全て満たされた場合、約5分間にわたって、約5cmH2Oおよび約0.5のFiO2におけるCPAPモードで、患者に換気を行なうことによって、試験が行なわれるべきである。5分間の期間中に、患者の呼吸数が1分につき約35回の呼吸(bpm)を超えない場合、上記で説明されるような離脱が進行してもよい。しかしながら、5分間の期間中に、呼吸数が約35bpmを超えた場合、そのような多呼吸が不安神経症と関連付けられるかどうか判定するべきである。そのようであれば、不安神経症の適切な治療を投与し、約4時間以内に試験を繰り返す。多呼吸が不安神経症と関連付けられると思われない場合は、試験前に実施されたパラメータ設定で換気の管理を再開し、上記で説明されるように換気の管理を再開する。上記で説明されるような離脱を開始することができるまで、少なくとも毎日再評価する。
【0137】
(産業上の利用可能性)
本発明の実施形態は、人工呼吸器および人工呼吸器システムの使用ならびにそれらの操作方法を伴う、多くの呼吸補助用途での使用に好適である。本発明の人工呼吸器およびシステムならびに操作方法の種々の構成および能力は、ほぼあらゆる考えられる呼吸補助用途および/または要件に適応するように修正することができる。本明細書で説明される、新規の人工呼吸器、システム、ならびに使用および操作方法の特徴および構成要素の配設、能力、および適合性は、任意の特定の救急および/または日常的診療、および/または病院、介護、または在宅介護の用途または状況に適するために、必要に応じて、本発明の原則に従って容易に修正することができる。加えて、そのような本発明の人工呼吸器、システム、および方法は、陽圧または陰圧呼吸補助デバイスを含むがそれらに限定されない、ほぼ全ての種類の換気機器との使用に好適である。
【0138】
そのような修正および代替的配設が、本明細書で説明および検討される、本発明の改良型人工呼吸器、呼吸補助システム、操作方法とともに使用しやすい、多種多様の可能な用途との適合性を確立するように、さらに好まれる、および/または、任意的に所望されてもよい。したがって、本発明のわずかなそのような実施形態、代替案、変化例、および修正のみが説明されているとしても、そのような付加的な修正および変化例、およびそれらの同等物の実践は、以下の請求項で定義されるような本発明の精神および範囲内であることを理解されたい。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床医の指導の下で患者の呼吸機能を補助するための人工呼吸器システムであって、
データ回路および複数の弁と供給ポートと排気ポートとを有するガス回路と連通して、加圧ガスを該患者に連通している、供給ポンプおよび制御モジュールであって、該制御モジュールは、該データ回路と連通しているディスプレイと入力デバイスとメモリとを含む、供給ポンプおよび制御モジュールと、
該データ回路と連通しているセンサ配列であって、該排気ポートおよび供給ポートのうちの少なくとも1つと連通している、少なくとも1つのパルス酸素濃度計と、少なくとも1つのカプノメータと、少なくとも1つの圧力センサと、少なくとも1つの流量計とを含む、センサ配列と、
該メモリに常駐するコマンドモジュールであって、該供給ポンプおよび該複数の弁を調整可能に作動させて、ガス回路において少なくとも1つの圧力、体積、及び流量を確立することを該制御モジュールに命令するように動作可能である、コマンドモジュールと、
該メモリに常駐する少なくとも1つの初期化パラメータデータベースであって、該ディスプレイと連通可能であり、かつ(a)呼気終末陽圧、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含む少なくとも1つのモデル患者データ配列要素を記憶する、初期化パラメータデータベースと、
を備え、
該コマンドモジュールは、該センサ配列要素と連通して、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該コマンドモジュールは、該患者の実データ配列を該少なくとも1つのモデル患者データ配列と比較し、該供給ポンプを調整して、該少なくとも1つのモデル患者データ配列であるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量の少なくとも一つを達成する、人工呼吸器システム。
【請求項2】
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、高圧を確認し、
該高圧が高圧閾値以上であるときに、該コマンドモジュールはFiO2値を判定し、(a)該FiO2値がFiO2閾値以上であるときに、前記制御モジュールが、圧力増分だけ前記高圧を増加させるように、および時間増分だけ前記高時間を増加させるように、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整し、および(b)該FiO2値が該FiO2閾値未満であるときに、該制御モジュールが、該FiO2量を増加させるように、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項3】
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値以上である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、FiO2値を確認し、(a)該FiO2値がFiO2閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して該FiO2量を減少させることを前記制御モンジュールに命令し、および(b)該FiO2値が該FiO2閾値未満であるときに、該コマンドモジュールは初期離脱値を真値を示すように設定する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項4】
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、リクルートメント値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該リクルートメント値が、(i)真値を示すときに、前記制御モジュールは臨床医警報信号を生成し、(ii)偽値を示すときに、該制御モジュールは、(a)圧力増分だけ前記高圧を増加させ、(b)時間増分だけ前記高時間を増加させ、および(c)別の時間増分だけ前記低時間を調整するために、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項5】
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドモジュールは、前記センサ配列と連通し、前記患者の実データ配列を確認して、最適呼気終末肺容量値を計算し、
該最適呼気終末肺容量値が、(a)最適呼気終末肺容量閾値以上である場合に、該コマンドモジュールは、酸素供給値を真値を示すように設定し、(b)最適呼気終末肺容量閾値未満である場合に、該コマンドモジュールは、(i)該センサ配列にポーリングして、前記最大呼気流量を測定し、ガス流の打切りを測定し、かつガス流の減速角度を計算して前記時間増分のうちの1つを選択し、(ii)リクルートメント値を真値を示すように設定し、および(iii)前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該選択した時間増分を適用することによって前記低時間を減少させることを前記制御モジュールに命令する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項6】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間および該高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項7】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度以上であり、前記高時間値が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定するように、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)高圧閾値未満であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整するために該制御モジュールに命令する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記患者etCO2量が前記etCO2目標値以上であると検出し、前記コマンドモジュールは、自発呼吸頻度を確認するようにサンプリングし、
(a)該自発呼吸頻度が、自発呼吸頻度閾値未満であるときに、該コマンドモジュールは、多呼吸値を確認し、該多呼吸目標値が真値を示す場合に、該コマンドモジュールは、換気値を真値を示すように設定することが可能であり、
(b)該自発呼吸頻度が、自発呼吸頻度閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、無呼吸値を確認し、(i)該無呼吸値が、真値を示すときに、該コマンドモジュールが換気値を真値を示すように設定することを可能にし、(ii)該無呼吸値が、偽値を示すときに、該コマンドモジュールは、気道圧解放換気離脱値を真値を示すように設定することが可能である、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項9】
前記制御モジュールは、前記患者etCO2量が前記etCO2目標値以上であると検出し、前記コマンドモジュールは、前記高圧をサンプリングし、高圧値を設定し、前記自発呼吸頻度をサンプリングし、
該コマンドモジュールが、該自発頻度が自発頻度閾値以上であり、かつ、該高圧値が高圧閾値以上であると検出する場合に、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力増分だけ該高圧を減少させるため、および時間増分だけ前記高時間を増加させることを該制御モジュールに命令することによって離脱を開始させる、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項10】
FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する、既定の離脱失敗基準をさらに含む、前記少なくとも1つのモデル患者データ配列をさらに備え、
前記コマンドモジュールは、前記データ回路と連通して、前記センサ配列をサンプリングし、前記患者の実データ配列要素のうちの少なくとも1つを測定し、該要素を該既定の離脱失敗基準と比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれであるかを示すかを判定し、
該コマンドモジュールが、(a)該離脱失敗値が該真値を示すときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力増分だけ前記高圧を減少させること、および時間増分だけ前記高時間を増加させることを前記制御モジュールに命令し、(b)該離脱失敗値が該偽値を示すときに、該コマンドモジュールは、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、圧力および時間増分だけ該高圧および高時間を減少させることを該制御モジュールに命令することによって、周期的離脱を繰り返し開始する、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項11】
前記コマンドモジュールが別の周期的離脱を開始するたびに、該コマンドモジュールは、持続的気道陽圧閾値に到達するまで前記高圧を確認して、該コマンドモジュールが持続的気道陽圧値を真値を示すように設定することを可能にする、請求項10に記載の人工呼吸器システム。
【請求項12】
既定の持続的気道陽圧と、FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準とをさらに含む、前記少なくとも1つのモデル患者データ配列をさらに備え、
前記コマンドモジュールは、前記データ回路と連通して、前記センサ配列をサンプリングし、該患者の実データ配列要素のうちの少なくとも1つを測定し、該要素を該既定の離脱失敗基準と比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該コマンドモジュールが、(a)該離脱失敗値が該真値を示すと判定するときに、該コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して該持続的気道陽圧を増加させることを該制御モジュールに命令し、(b)該離脱失敗値が該偽値を示すと判定するときに、該コマンドモジュールは、抜管閾値圧力に到達するまで該持続的気道陽圧を周期的に減少させる、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項13】
前記高圧が、(a)高圧閾値未満であるときに、前記コマンドモジュールは、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該高圧に基づいて前記持続的気道陽圧を調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であるときに、該コマンドモジュールは、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、気道圧解放換気離脱を調整することを該制御モジュールに命令する、請求項12に記載の人工呼吸器システム。
【請求項14】
肺窮迫症を示す患者を支援する際に臨床医によって使用するための人工呼吸器であって、
データネットワークと電気的にともに連通しているディスプレイと入力デバイスとメモリとを含むコントローラであって、少なくとも2つの弁と、該患者と連通している供給ポートおよび排気ポートとを含む、ガスネットワークと流体連通している加圧ガス源を組み込む、コントローラと、
該データネットワークと連通している複数のセンサであって、該排気ポートおよび供給ポートのうちの少なくとも1つと連通している少なくとも1つの酸素飽和度センサと、少なくとも1つのカプノメータと少なくとも1つの圧力計と少なくとも1つのガス流量計とを含む、複数のセンサと、
該メモリに常駐するコマンドルーチンであって、該加圧ガス源および該弁のうちの少なくとも1つを調整可能に作動させて、該ガスネットワークにおいて少なくとも1つの圧力、体積及び流量を確立するために、該コントローラを駆動するように動作する、コマンドルーチンと、を備え、
該コマンドルーチンは、該臨床医が(i)自動初期化設定、ならびに(ii)(a)呼気終末陽圧量、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含むメモリに記憶されるパラメータ、のうちの1つを該入力デバイスを介して設定入力するために、該ディスプレイにプロンプトを表示し、
該コマンドルーチンは、該複数のセンサと連通して、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該コマンドルーチンは、該患者の実データ配列を該設定のうちの少なくとも1つと比較し、該設定のうちの少なくとも1つであるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量のうちの少なくとも1つを計算する、人工呼吸器。
【請求項15】
前記患者SpO2量が前記SpO2目標値未満である場合に、前記コマンドルーチンは、前記複数のセンサと連通し、前記患者の実データ配列を確認して、最適呼気終末肺容量値を計算し、
該最適呼気終末肺容量値が、(a)最適呼気終末肺容量閾値以上である場合に、該コマンドルーチンは、酸素供給値を真値を示すように設定し、(b)最適呼気終末肺容量閾値未満である場合に、該コマンドルーチンは、(i)該複数のセンサにポーリングして、前記最大呼気流量を測定し、ガス流の打切りを測定し、かつガス流の減速角度を計算して前記時間増分のうちの1つを選択し、(ii)リクルートメント値を真値を示すように設定し、および(iii)前記加圧ガス源および前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整して、該選択した時間増分を適用することによって前記低時間を減少させることを前記コントローラに命令する、請求項14に記載の人工呼吸器。
【請求項16】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、前記高時間および前記高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、請求項14に記載の人工呼吸器。
【請求項17】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度以上であり、前記高時間が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定すること、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値未満であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、請求項14に記載の人工呼吸器。
【請求項18】
臨床医に呼吸窮迫症を示す患者に換気を行なうための手段であって、
患者に加圧ガスを連通するため、および該患者からガスを排出するための手段と、
情報を表示するための手段、該臨床医から入力を受信するための手段、および情報を記憶するための手段を含む、供給手段を制御するための手段と、
該供給手段によって該患者に連通される該ガスの物理的状態を検出するための複数の手段であって、(a)圧力を検出するための少なくとも1つの手段、(b)体積流量を検出するための少なくとも1つの手段、(c)酸素の濃度を検出するための少なくとも1つの手段、および(d)二酸化炭素の濃度を検出するための少なくとも1つの手段とを含む、複数の手段と、
可変加圧体積流量によって該加圧ガスを調整可能に連通するため、および該ガスの該物理的状態を検出するために、前記制御するための手段に指示するための手段であって、該指示手段は該情報を記憶するための手段に存在する、手段と
を備え、
該表示するための手段は、該臨床医に対して、(i)自動初期化設定、ならびに(ii)(a)呼気終末陽圧量、(b)SpO2量、(c)etCO2量、(d)FiO2量、(e)高圧、(f)低圧、(g)高時間、(h)低時間、(i)圧力増分、(j)時間増分、(k)1回換気量、(l)機械呼吸頻度、(m)圧力-容量勾配、(n)誘起圧力、および(o)閉塞圧を含む該記憶するための手段内に保持されたパラメータの少なく一つ、のうちの少なくとも1つを設定入力させる手段を含み、
該指示するための手段は、該臨床医から該設定を受信し、該供給するための手段を作動させて、該FiO2量、該高圧と低圧、該高時間と低時間によって特徴付けられる物理的状態を有する患者への該加圧ガス供給を連通することを該制御するための手段に命令し、
該指示するための手段は、該複数の検出するための手段のうちの1つと連通し、(i)患者SpO2量、(ii)患者etCO2量、(iii)最大呼気流量、(iv)呼気終末肺容量、および(v)自発呼吸頻度のうちの少なくとも1つの患者の実データ配列要素を測定し、
該制御するための手段は、該患者の実データ配列を該設定のうちの少なくとも1つと比較し、該設定のうちの少なくとも1つであるSpO2目標値、etCO2目標値、および最適呼気終末肺容量のうちの少なくとも1つを計算する、換気を行なうための手段。
【請求項19】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が機械呼吸頻度未満であり、前記高時間が高時間閾値未満である場合に、前記高圧が判定され、
該高圧が、(a)高圧閾値未満であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間および該高圧のうちの少なくとも1つを増加させることによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値以上であると判定された場合に、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ、該高時間のうちの少なくとも1つを増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、請求項18に記載の換気を行なうための手段。
【請求項20】
前記患者etCO2量が前記etCO2目標値未満であり、前記自発呼吸頻度が受信された機械呼吸頻度以上であり、前記高時間が高時間閾値以上である場合に、前記高圧が判定され、
前記高圧が、(a)高圧閾値以上であると判定された場合に、前記コマンドモジュールは、リクルートメント値を真値を示すように設定すること、および少なくとも1つのそれぞれの時間増分だけ該高時間を変更することによって、前記供給ポンプおよび前記複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを前記制御モジュールに命令し、(b)該高圧閾値未満であると判定されたときに、該コマンドモジュールは、少なくとも1つのそれぞれの時間増分および圧力増分だけ、該高時間を減少させ、該高圧を増加させることによって、該供給ポンプおよび該複数の弁のうちの少なくとも1つを調整することを該制御モジュールに命令する、請求項18に記載の換気を行なうための手段。
【請求項21】
(i)自動初期化設定、ならびに(ii)FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準をさらに含む少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記命令するための手段は、前記検出するための手段と連通し、実際の値を測定して、該既定の離脱失敗基準のうちの少なくとも1つと比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該命令するための手段が、(a)該離脱失敗値が真値を示すと判定するときに、該命令するための手段は、前記供給するための手段を調整して、圧力増分だけ前記高圧を増加させるため、および時間増分だけ前記高時間を減少させるために、前記制御するための手段に指示し、(b)該離脱失敗値が偽値を示すと判定するときに、該命令するための手段は、該供給するための手段を調整して圧力増分だけ該高圧を減少させることを該制御するための手段に命令することによって、周期的離脱を繰り返し開始する、請求項18に記載の換気を行なうための手段。
【請求項22】
前記命令するための手段が別の周期的離脱を開始するたびに、該命令するための手段は、前記高圧を確認し、持続的気道陽圧閾値が検出されるまで前記サイクルを継続して、該命令するための手段が持続的気道陽圧値を真値を示すように設定することを可能にする、請求項21に記載の換気を行なうための手段。
【請求項23】
(i)自動初期化設定、ならびに(ii)FiO2閾値、SpO2閾値、自発的1回換気量、分時換気量、および気道閉塞圧を確立する既定の離脱失敗基準をさらに含む少なくとも1つのパラメータのうちの少なくとも1つをさらに備え、
前記命令するための手段は、前記検出するための手段と連通し、実際の値を測定して、該既定の離脱失敗基準のうちの少なくとも1つと比較して離脱失敗値が真値または偽値のいずれを示すかを判定し、
該命令するための手段が、(a)該離脱失敗値が真値を示すと判定する場合に、該命令するための手段は、前記供給するための手段を調整して前記持続的気道陽圧を増加させることを前記制御するための手段に指示し、(b)該離脱失敗値が偽値を示すと判定する場合に、該命令するための手段は、抜管閾値圧力に到達するまで該持続的気道陽圧を周期的に減少させる、請求項18に記載の換気を行なうための手段。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-05-26 
出願番号 特願2010-510561(P2010-510561)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (A61M)
P 1 41・ 853- Y (A61M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金丸 治之佐々木 一浩  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 竹下 和志
長屋 陽二郎
登録日 2014-10-10 
登録番号 特許第5628669号(P5628669)
発明の名称 換気のための人口呼吸器の装置およびシステム  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 佐藤 嘉明  

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