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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1301861
審判番号 不服2014-7682  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-24 
確定日 2015-06-10 
事件の表示 特願2009-280955「情報処理装置、Webサーバ、それらの制御方法、及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月23日出願公開、特開2011-123677〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【第1】経緯
本願は,平成21年12月10日の出願(特願2009-280955号)であって,手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成24年12月10日
拒絶理由通知 :平成25年 8月14日(起案日)
意見書 :平成25年10月17日
手続補正 :平成25年10月17日
拒絶理由通知 :平成25年10月31日(起案日)
意見書 :平成25年12月24日
手続補正 :平成25年12月24日
拒絶査定 :平成26年 1月20日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年 4月24日

査定
原審での査定の理由は,平成25年8月14付け拒絶理由通知書に記載した理由3とするものであり,概略,以下のとおりである。

〈査定の理由の概略〉
本願の請求項1?3,5?8,10?18に係る発明は,下記の刊行物1に記載された発明,及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
記(刊行物一覧)
刊行物1:特開2008-3833号公報

【第2】本願発明
本願の請求項1?18に係る各発明は,出願当初の特許請求の範囲,明細書及び図面の記載,及び,平成24年12月10日付け,平成25年10月17日付け,平成25年12月24日付けの各手続補正書の記載からみて,それぞれ,平成25年12月24日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?18に記載した事項により特定されるとおりのものと認められるところ,そのうち,請求項1,3に係る発明(以下,それぞれ,「本願発明1」,「本願発明3」という。)は,下記のとおりのものである。

記(本願発明1)
【請求項1】
Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,前記スクリプトを識別するためのIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うことを特徴とする情報処理装置。

記(本願発明3)
【請求項3】
Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,当該発生したイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて,前記第2の要求を行うことを特徴とする情報処理装置。

【第3】当審の判断

[1]刊行物1に記載された発明(以下,「引用発明」という。)

(1)引用刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願前に頒布された刊行物である,特開2008-3833号公報(以下,「刊行物1」という。)には,図面とともに,以下の事項(下線は,注目箇所を示すために当審で施したものである。)が記載されている。

〈技術分野,背景技術〉
【0001】
本発明は,Webページの取得に係る処理負荷を軽減すると共に,ローカルなIPアドレスを用いたネットワークにおいてもWebサービスへの処理要求を可能とする表示画面を提供する画像処理装置,情報処理装置,サーバ装置,表示制御システム,及び表示制御方法を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,プリンタ,コピー,ファクシミリ,スキャナなどの各装置の機能を1つの筐体内に収納した画像処理装置が一般的に知られている。このような複合型の画像処理装置は,1つの筐体内に表示部,印刷部および撮像部などを設けるとともに,プリンタ,コピーおよびファクシミリ装置にそれぞれ対応する3種類のアプリケーションを設け,アプリケーションの切り替えによって,当該装置をプリンタ,コピー,スキャナまたはファクシミリ装置として動作させるものである(例えば,特許文献1)。
【0003】
このような画像処理装置の操作パネルにWebブラウザが用いられるようになってきた。すなわち,画像処理装置に実装されているWebブラウザが取得したWebページが表示画面として表示される。

〈実施の形態〉
〈システム構成,コピー処理概要〉
【0029】
図1は,本発明の一実施例に係るシステム構成例を示す図である。図1に示すシステム1では,画像処理装置1と,サーバ装置2と,PC(Personal Computer)7とがLAN(Local Area Network)等のネットワーク3(有線又は無線の別は問わない。)によって相互に接続されている。システム1では,複数の画像処理装置1と複数のPC7とが接続されていてもよい。
【0030】
画像処理装置1は,自身のハードウェアを制御してコピーを行う処理をWebサービスとして提供する(以下,コピーWebサービスという)。また,画像処理装置1は,操作パネルを備え,操作パネルを介してユーザからの入力を受け付け,ユーザに対して情報の提供を行う。画像処理装置1は,プリンタ,コピー,ファクシミリ及びスキャナ等の複数の機能を一台の筐体によって実現する電子機器であってもよい。
【0031】
サーバ装置2は,画像処理装置1の操作パネルに表示させる画面の表示制御を行う機能(プログラム)が実装されたコンピュータである。
【0032】
先ず,ユーザが画像処理装置1の操作パネルを操作して画像処理装置1でコピーする場合について説明する。
【0033】
画像処理装置1でユーザがメニュー画面からコピーボタンを押すと,画像処理装置1からサーバ装置2へとコピーボタンが押下されたことが通知され,画面フロー制御付きの画面HTML(HyperText Markup Language)データがサーバ装置2から画像処理装置1へと送信される(ステップS11)。この画面HTMLデータには,画像処理装置1のコピーWebサービスが指定されている。画像処理装置1は,この画面HTMLデータを受信後,この画面HTMLデータを用いて自身で画面制御を行い操作パネルへ適宜画面を表示する。
【0034】
画像処理装置1は,コピーのスタートボタンがユーザによって押下されると,画面HTMLデータに設定されているコピーWebサービスを内部的に呼び出して,コピー処理を開始する(ステップS12)。

《画像処理装置の構成》
【0038】
図2は,本発明の一実施例に係る画像処理装置の構成図である。画像処理装置1は,ハードウェア資源10,起動部20,ソフトウェア群30を含むように構成されている。
【0039】
ハードウェア資源10は,操作パネル,プロッタ,スキャナ等のデバイス(ハードウェアリソース)を含む。ソフトウェア群30は,UNIX(登録商標)などのOS上で実行されているアプリケーション40とプラットフォーム50とを含む。起動部20は画像処理装置1の電源投入時に最初に実行され,アプリケーション40やプラットフォーム50をOS上に起動するものである。
【0040】
アプリケーション40は,コピーアプリ,FAXアプリ,Webサービス実行アプリ等,画像処理装置1の各機能を制御し,また,画像処理装置1の各機能をWebサービスとして提供するための各種のアプリケーションを含む。プラットフォーム50は,コントロールサービス51,SRM(システムリソースマネージャ)52,ハンドラ層53を含む。プラットフォーム50は,API(アプリケーションプログラムインターフェース)54を含むように構成されている。

〈システムの機能構成〉
【0045】
図4は,本発明の一実施例に係るシステムにおける機能構成例を示す図である。図4において,画像処理装置1は,プログラムがCPUによって処理されることにより実現される機能として,ネットワークI/F101,Webブラウザ102,Webサービスサーバ103,コピーWebサービス(WSF:Web Service Function)113等を有し,ハードウェアとして操作パネル121,プロッタ124,スキャナ125等とを有する。
【0046】
ネットワークI/F101は,例えば,TCP/IPによる通信制御をサーバ装置2又はPC7との間で行う。
【0047】
Webブラウザ102は,Webサービスクライアント10a,HTML解析部10b,スクリプト実行部10c,表示管理部10d等を有する。
【0048】
Webサービスクライアント10aは,画面HTMLデータをサーバ装置2から取得する。HTML解析部10bは,画面HTMLデータに含まれる画面形式を示す情報(以下,画面形式情報という)を解析して,表示管理部10dは,操作パネル121にWebページとして表示させる。スクリプト実行部10cは,画面HTMLデータに埋め込まれているスクリプトで記述された画面フロー制御を実行して,操作パネル121に表示するWebページの画面フローを制御する。スクリプトは,例えば,Java(登録商標)Scriptである。
【0049】
Webサービスサーバ103は,画像処理装置1におけるソフトウェアの機能を,ネットワーク3を介してPC7などの外部機器から利用可能なWebサービスとして提供する。すなわち,Webサービスサーバ103は,SOAP(Simple Object Access Protocol)に基づく遠隔呼び出し(SOAPリクエスト)を受信すると,SOAPリクエストにおいて要求されている処理を対応する機能に実行させる。Webサービスサーバ103は,実行結果をこの機能から受け取ると,要求元の外部機器にSOAPレスポンスとして送信する。
【0050】
また,Webサービスサーバ103は,Webブラウザ102が内部的に発行したSOAPリクエストに対しても同様にSOAPレスポンスを送信する。この場合,SOAPリクエスト及びSOAPレスポンスは,ネットワークI/F101を介して送受信される。
【0051】
コピーWebサービス(WSF)113は,スキャナ125を制御して原稿を読み取り,プロッタ124を制御して用紙に原稿をコピーする。
【0052】
サーバ装置2は,Webアプリケーション200,ネットワークI/F210等を有する。これらは,例えば,CD-ROM等の記録媒体250からインストールされたプログラムがサーバ装置2の非図示のCPUによって処理されることにより機能する。但し,プログラムは,ネットワーク3を介してダウンロードされてもよい。
【0053】
ネットワークI/F210は,画像処理装置1又はPC7との間で,例えばTCP/IPによる通信制御を実現する。
【0054】
Webアプリケーション200は,画面フロー制御部201,画面構築部202,Webサーバ203,スクリプト生成部230等を含む。
【0055】
画面フロー制御部201は,画像処理装置1の操作パネル121に表示する画面の画面遷移を制御する。画面構築部202は,画面フロー制御部201の一部の機能として,画像処理装置1の操作パネル121の表示画面の構築(生成)を行う。上述したように,操作パネル121には,Webブラウザ102によってWebページが表示される。したがって,画面構築部202は,WebページをHTMLで生成し,生成したWebページの画面フローを制御するためのスクリプトも生成する。
【0056】
Webサーバ203は,HTTPリクエストを待ち受けているデーモンプロセスである。Webサーバ203は,画像処理装置1のWebブラウザ102からのHTTPリクエストを受信し,このHTTPリクエストに応じた処理を画面フロー制御部201,スクリプト生成部230等に実行させ,その処理結果として画像処理装置1に送信する画面HTMLデータをWebブラウザ102にHTTPレスポンスとして返信する。
【0057】
ネットワークI/F701は,画像処理装置1又はサーバ装置2との間で,例えばTCP/IPによる通信制御を実現する。
【0058】
Webブラウザ702は,Webサービスクライアント70a,HTML解析部70b,スクリプト実行部70c,表示管理部70d等を含む。
【0059】
Webサービスクライアント70aは,画面HTMLデータをサーバ装置2から取得する。HTML解析部70bは,画面HTMLデータに含まれる画面形式情報を解析して,表示管理部10dは,表示ユニット721にWebページとして表示させる。スクリプト実行部10cは,画面HTMLデータにスクリプトで記述された画面フロー制御を実行して,表示ユニット721に表示するWebページの画面フローを制御する。

〈ユーザが画像処理装置1を操作してコピーを行う場合の処理シーケンス(図5,図6?図13)

《画面HTMLデータに含まれるスクリプトによって制御される画面フロー》
【0060】
画面HTMLデータに含まれるスクリプトによって制御される画面フローの例について図5で説明する。図5は,スクリプトによる画面フロー例を示す図である。図5中,メニュー画面301,コピー設定画面302,コピー中画面303,エラー画面303e,コピー完了画面304は,Webページとしての表示画面である。
【0061】
図5において,ユーザが所定のメニュー画面301からコピーボタン31を押下すると,スクリプトによってコピー設定画面302が表示される。ユーザがコピー設定を行ってstartボタン32fを押下すると,スクリプトによってコピー中画面303が表示される。
【0062】
コピー中に紙詰まりエラーが発生すると,スクリプトによってエラー画面303eが表示される。エラー画面303eには,例えば,「紙詰まりです。本体カバーを開けて用紙を取り除いてください。」などのメッセージが表示される。エラーが解消されると,スクリプトによってコピー中画面303が再度表示される。
【0063】
その後,コピー完了通知に応じて,スクリプトによってコピー完了画面304が表示される。ユーザが,メニューボタン34を押下すると,スクリプトによってメニュー画面301が再度表示される。
【0064】
以下,ユーザが画像処理装置1を操作してコピーを行う場合について図6から図13で説明する。先ず,コピーが正常に処理される場合の基本系の処理シーケンスについて図6及び図7で説明する。図6及び図7は,基本系の処理シーケンスを示す図である。図6と図7とによって一連の処理シーケンスが図示される。

《コピーが正常に処理される場合の基本系の処理シーケンス(図6,図7)》
【0065】
図6において,画像処理装置1のWebブラウザ102が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301から(ステップS100),ユーザ5がコピーボタンを押下すると(ステップS101),Webブラウザ102は,コピーボタンが押下されたことを通知するコピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信する(ステップS102)。
・・・(中略)・・・
【0069】
画面フロー制御がコピーを開始させてからコピー中画面303を表示するようにスクリプトで記述されている場合,Webブラウザ102は,先ず,SOAP(Simple Object Access Protocol)によるコピー開始要求をコピーWebサービス113へと内部的に送信する(ステップS108)。
【0070】
コピー開始要求を送信すべき宛先は,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに記述されており,例えば,内部のコピーWebサービスを指定するような「http://localhost/ws/copyservice」である。コピーWebサービス113は,スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始して,コピー開始要求に対する応答をWebブラウザ102へ送信する(ステップS109)。
【0071】
コピーWebサービス113からコピー開始要求に対する応答を受信すると,Webブラウザ102は,コピージョブの状態を取得するためにSOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS110)。
【0072】
コピーWebサービス113からステップS110でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS111),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する(ステップS112)。
【0073】
図7において,Webブラウザ102は,所定時間経過後に再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS113)。
【0074】
コピーWebサービス113からステップS113でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS114),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する(ステップS115)。
【0075】
Webブラウザ102は,更に所定時間経過後に再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS116)。
【0076】
コピーWebサービス113からステップS116でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS117),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する。このように,Webブラウザ102は,所定時間間隔で,コピーWebサービス113からコピージョブの状態を取得する。
【0077】
そして,コピーWebサービス113でのコピーが終了した後に(ステップS401),Webブラウザ102がSOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信すると(ステップS402),コピーWebサービス113からコピー完了を示す応答を受信する(ステップS403)。
【0078】
コピー完了に応じて,Webブラウザ102は,コピー完了を示す画面を要求するためにコピー完了画面要求をサーバ装置2へ送信する(ステップS404)。サーバ装置2は,コピー完了画面要求に応じて,コピー完了画面のHTMLデータを応答として画像処理装置1へ送信する(ステップS405)。
【0079】
Webブラウザ102は,サーバ装置2から受信したコピー完了画面を操作パネル121に表示する(ステップS406)。

《コピー中にエラーが発生した場合(図8,図9)》
【0080】
次に,コピー中にエラーが発生した場合について図8及び図9で説明する。図8及び図9は,コピー中にエラーが発生した場合の処理シーケンスを示す図である。図8と図9とによって一連の処理シーケンスが図示される。
【0081】
図8において,画像処理装置1のWebブラウザ102が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301から(ステップS200),ユーザ5がコピーボタンを押下すると(ステップS201),Webブラウザ102は,コピーボタンが押下されたことを通知するコピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信する(ステップS202)。
【0082】
サーバ装置2では,Webアプリケーション200が,コピーボタン押下通知に応じて,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを画像処理装置へ送信する(ステップS203)。
【0083】
画像処理装置1のWebブラウザ102は,サーバ装置2から取得した画面フロー制御が埋め込まれている画面HTMLデータを解析し(ステップS204),画面HTMLデータに含まれるコピー設定画面302の記述に従ってコピー設定画面302を操作パネル121に表示する(ステップS205)。
【0084】
ユーザ5が操作パネル121に表示されたコピー設定画面302にコピー条件を設定し(ステップS206),コピースタートボタンを押下する(ステップS207)。
【0085】
画面フロー制御がコピー中画面303を表示させてからコピーを開始するようにスクリプトで記述されている場合,Webブラウザ102は,先ず,コピー中画面を表示して(ステップS208),SOAPによるコピー開始要求をコピーWebサービス113へと内部的に送信する(ステップS209)。
【0086】
コピーWebサービス113は,スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始して,コピー開始要求に対する応答をWebブラウザ102へ送信する(ステップS210)。
【0087】
コピーWebサービス113からコピー開始要求に対する応答を受信すると,Webブラウザ102は,コピージョブの状態を取得するためにSOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS211)。
【0088】
Webブラウザ102は,コピーWebサービス113からステップS110でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信する(ステップS212)。その後,画像処理装置1で紙詰まりの発生によって(ステップS213),コピーWebサービス113によるコピーが中断される(ステップS214)。
【0089】
Webブラウザ102は,ステップS211のコピージョブ状態取得要求から所定時間経過後に再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS215)。
【0090】
コピーWebサービス113からステップS215でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS216),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,紙詰まりが示される場合,画面HTMLデータに含まれるエラー画面303eの記述に従ってエラー画面303eを操作パネル121に表示する(ステップS217)。
【0091】
エラー画面303eには,例えば,「紙詰まりです。本体カバーを開けて用紙を取り除いてください。」などのメッセージが表示される。このエラー画面303eによって,ユーザが画像処理装置1の紙詰まりを解除する(ステップS218)。
【0092】
図9において,紙詰まりが解除されたことが検知されると,コピーWebサービス113は,コピーを再開する(ステップS219)。
【0093】
コピーの再開の後,Webブラウザ102が,再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信し(ステップS220),コピーWebサービス113からステップS220でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS221),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する(ステップS222)。
【0094】
Webブラウザ102は,更に所定時間経過後に再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS223)。
【0095】
コピーWebサービス113からステップS223でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS224),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する。このように,Webブラウザ102は,所定時間間隔で,コピーWebサービス113からコピージョブの状態を取得する。
【0096】
コピー終了(ステップS401)後のステップS402からS406による処理シーケンスは,図7の同一ステップ番号による処理シーケンスと同様であるので説明を省略する。

〈エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置2から動的に取得する場合(図10,図11)〉
【0097】
次に,エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置2から動的に取得する場合について図10及び図11で説明する。図10及び図11は,エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置から動的に取得する場合の処理シーケンスを示す図である。図10と図11とによって一連の処理シーケンスが図示される。図10及び図11中,図8及び図9と同一処理のステップには同一ステップ番号を付し,その説明を省略する。
【0098】
図10において,ステップS200からS216までは,図8の処理シーケンスと同様であり,ステップS216にてコピーWebサービス113から紙詰まりを示す応答を受信すると,画像処理装置1のWebブラウザ102は,スクリプトで記述される画面フロー制御に従って,エラー画面を取得するために,エラー種別として紙詰まりを示すエラー画面取得要求をサーバ装置2に送信する(ステップS237)。
【0099】
エラー画面取得要求に応じて,サーバ装置2は,紙詰まり用のエラー画面303eのHTMLデータを応答として画像処理装置1へ送信する(ステップS238)。Webブラウザ102は,エラー画面303eを操作パネル121に表示する(ステップS239)。
図11において,エラー画面303eによって,ユーザが画像処理装置1の紙詰まりを解除する(ステップS240)。
【0100】
図11において,紙詰まりが解除されたことが検知されると,コピーWebサービス113は,コピーを再開する(ステップS241)。
【0101】
コピーの再開の後,Webブラウザ102が,再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信し(ステップS242),コピーWebサービス113からステップS241でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS243),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する(ステップS244)。
【0102】
Webブラウザ102は,更に所定時間経過後に再度,SOAPによるコピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信する(ステップS245)。
【0103】
コピーWebサービス113からステップS245でのコピージョブ状態取得要求に対する応答を受信すると(ステップS246),Webブラウザ102は,応答の内容を解析し,コピー実行中が示される場合,画面HTMLデータに含まれるコピー中画面303の記述に従ってコピー中画面303を操作パネル121に表示する。このように,Webブラウザ102は,所定時間間隔で,コピーWebサービス113からコピージョブの状態を取得する。
【0104】
コピー終了(ステップS401)後のステップS402からS406による処理シーケンスは,図7の同一ステップ番号による処理シーケンスと同様であるので説明を省略する。

〈画面HTMLデータ(図14から図24)〉
【0117】
次に,サーバ装置2から画像処理装置1へ送信される画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータの例について図14から図24で説明する。
【0118】
先ず,図6及び図7で説明した基本系の処理シーケンス及び図8及び図9で説明したコピー中にエラーが発生した場合の処理シーケンスにて送信される画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータについて図14から図16で説明する。図14,図15及び図16は,画面HTMLデータの第一の例を示す図である。図14から図16で一連の画面HTMLデータの第一の例を示す。
【0119】
画面HTMLデータ500において,図14を参照すると,記述501が,画面フロー制御を記述するスクリプトの開始を示し,記述509が,そのスクリプトの終了を示している。
【0120】
記述502は,コピー設定画面302,コピー中画面303,エラー画面303eの3つの画面を切り替えるためのswitch_page関数の処理を記述している。
【0121】
記述503は,SOAPによるコピー開始要求を生成する際に参照されるコピーWebサービス113のURLであり,例えば,そのURLは,「http://localhost/ws/copyservice」のように指定され,「endpoint」で参照される。
・・・(中略)・・・
【0128】
記述511から記述519までに切り換えて表示される画面のHTMLが記述される。先ず,記述511によってコピー設定画面302が表示されることが記述されている。
・・・(中略)・・・
【0131】
次に,図10及び図11で説明したコピー中に発生したエラーのエラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置から動的に取得する場合の処理シーケンスにて送信される画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータについて図17から図20で説明する。図17,図18及び図19は,画面HTMLデータの第二の例を示す図である。図17から図19で一連の画面HTMLデータの第二の例を示す。図17から図19中,図14から図16と同様の記述には同一符号を付し,その説明を省略する。
【0132】
図18において,記述536は,コピーWebサービス113に対してコピーを開始させ,定期的にポーリングでコピージョブの状態を取得するためのstart_copy関数の処理を記述している。
【0133】
記述506bにおいて,コピージョブの状態が紙詰まりである場合,エラー画面eをサーバ装置2から取得して,switch_page関数をコールしてエラー画面303eに切り替える(記述536m)。例えば,「http://server.address/copy/error_kamizumari」をアクセスすることによって取得したエラー画面303eの記述例は,例えば,図20のような記述538である。
【0134】
従って,図19において,画面HTMLデータの第一の例には含まれていた記述514は,実際には削除され画面HTMLデータの第二の例には含まれない。ここでは,理解しやすくするために,記述514を消し線で示している。

〈画面HTMLデータを段階的にサーバ装置2から取得する場合〉
【0135】
更に,図12及び図13で説明した画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを段階的にサーバ装置2から取得する場合の処理シーケンスにて画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータについて図21から図24で説明する。
【0136】
図21及び図22は,最初の画面HTMLデータの例を示す図である。図21及び図22中,図14から図19と同様の記述には同一符号を付し,その説明を省略する。
【0137】
図21において,最初の画面HTMLデータ541は,画面フロー制御のスクリプトに,画面HTMLデータ500には含まれる画面を切り替えるためのswitch_page関数の処理を記述した記述502と,コピージョブの状態を取得するためのinvoke_ws_copy_job_state関数の処理を記述505とを含まない。
【0138】
記述546-1は,図15の画面HTMLデータ500の記述506のうち記述506bを含まず,invoke_ws_copy関数をコールしてジョブIDを取得し(記述506a),ブラウザ画面を自動更新してコピー中画面を表示するための処理を記述している。
【0139】
図22において,記述551から記述559までにコピー設定画面302の表示形式が記述される。
【0140】
図23及び図24は,次の画面HTMLデータの例を示す図である。図23及び図24中,図14から図20と同様の記述には同一符号を付し,その説明を省略する。
【0141】
図23において,次の画面HTMLデータ542は,画面フロー制御のスクリプトに,最初の画面HTMLデータ541に含まれていなかった画面を切り替えるためのswitch_page関数の処理を記述した記述502と,コピージョブの状態を取得するためのinvoke_ws_copy_job_state関数の処理を記述505とを含み,SOAPによるコピー開始要求をコピーWebサービス113へ送信するための記述504を含まない。
【0142】
記述546-2は,定期的にポーリングでコピージョブの状態を取得するためのstart_copy関数の処理を記述している。
【0143】
図24において,記述561から記述569までに切り換えて表示される画面のHTMLが記述される。

〈Webブラウザでの処理〉
【0144】
次に,コピー設定画面302において,ユーザがstartボタン32fを押下したときのWebブラウザ102が行う処理について図25で説明する。PC7のWebブラウザ702においても同様の処理が行われる。
【0145】
図25は,Webブラウザでの処理を説明するためのフローチャート図である。図25において,Webブラウザ102は,ユーザ5がコピーボタンを押下して,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータをサーバ装置2から受信すると,コピー開始処理を実行する(ステップS30)。
【0146】
ステップS30でのコピー開始処理において,Webブラウザ102は,コピー設定画面302を表示して,ユーザ5が設定したコピー条件からコピーパラメータを取得する(ステップS32)。
【0147】
そして,コピーWebサービス113へコピー開始要求を行うために,コピーパラメータを含むコピー開始要求のSOAPメッセージを生成して(ステップS34),そのSOAPメッセージをコピーWebサービス113へ送信する(ステップS36)。
【0148】
次に,コピーWebサービス113に対してコピージョブ状態取得処理を実行する(ステップS40)。
【0149】
ステップS40でのコピージョブ状態取得処理において,Webブラウザ102は,コピージョブの状態の取得要求のSOAPメッセージを生成して(ステップS42),そのSOAPメッセージをコピーWebサービス113へ送信する(ステップS44)。
【0150】
Webブラウザ102は,コピーWebサービス113からコピージョブ状態を受信すると,コピージョブ状態がコピー中,コピー完了,又は紙詰まりを示すかを判断する(ステップS50)。
【0151】
コピージョブ状態がコピー中を示す場合,Webブラウザ102は,コピー中画面303に切り替えて(ステップS51),ステップS40へ戻り上述同様の処理を繰り返す。コピージョブ状態がコピー完了を示す場合,Webブラウザ102は,サーバ装置2からURLを指定して次の画面に遷移する(ステップS52)。コピージョブ状態が紙詰まりを示す場合,Webブラウザ102は,紙詰まりであることを表示するエラー画面303eに切り替えて(ステップS53),ステップS40へ戻り上述同様の処理を繰り返す。
【0152】
サーバ装置2は,画像処理装置1とPC7とから送信されるコピーボタン押下通知を解析して,画面HTMLデータに埋め込む画面フロー制御のendpoint(記述503)を変更する必要がある。

(2)引用発明(刊行物1に記載された発明)の認定

ア 刊行物1概要,引用発明の対象
実施形態について,図1,【0029】?【0037】には,そのシステム構成とコピー処理の概要が,図2,【0038】?【0044】には,画像処理装置の構成が,図4,【0045】?【0059】には,当該画像処理装置を含むシステムの機能構成が説明されており,これらによれば,
「画像処理装置1」として,「プリンタ,コピー,ファクシミリ及びスキャナ等の複数の機能を一台の筐体によって実現する」図1にその外観が示される「電子機器」であって,LAN(Local Area Network)等のネットワーク3によって,図1にその外観が示される「サーバ装置2」に接続されているものを認めることができる(段落【0029】【0030】)。
(→引用発明のp,r)
「画像処理装置1」は,「プログラムがCPUによって処理されることにより実現される機能として,ネットワークI/F101,Webブラウザ102,Webサービスサーバ103」,「スキャナ125を制御して原稿を読み取り,プロッタ124を制御して用紙に原稿をコピーする」機能を有する「コピーWebサービス(WSF:Web Service Function)113等を有し,ハードウェアとして操作パネル121,プロッタ124,スキャナ125等とを有する。」(【0045】【0051】) (→引用発明のr)
上記「サーバ装置2」は,図1,図4,【0031】【0052】?【0054】【0056】によれば,「画像処理装置1の操作パネルに表示させる画面の表示制御を行う機能(プログラム)が実装された」図1にその外観が示されるコンピュータであって,「画面フロー制御部201,画面構築部202,Webサーバ203,スクリプト生成部230等を含む」「Webアプリケーション200」,「ネットワークI/F210」等を有するものであって,
(→引用発明のq)
「Webサーバ203は,画像処理装置1のWebブラウザ102からのHTTPリクエストを受信し,このHTTPリクエストに応じた処理を画面フロー制御部201,スクリプト生成部230等に実行させ,その処理結果として画像処理装置1に送信する画面HTMLデータをWebブラウザ102にHTTPレスポンスとして返信する」ものである。

図5?図13及びその説明箇所である【0060】?【0116】には,「画面HTMLデータに含まれるスクリプトによって制御される画面フロー」,及び,「ユーザが画像処理装置1を操作してコピーを行う場合」の処理シーケンスが示されると共に,その際の「サーバ装置2から画像処理装置1へ送信される画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータ」が,図14?図24,【0117】?【0143】に示され,
その際の「画像処理装置1」が備える「Webブラウザでの処理フロー」が,図25及び【0144】?【0152】に示されている。

上記「ユーザが画像処理装置1を操作してコピーを行う場合」の処理シーケンスは,「画像処理装置1」と「サーバ装置2」とで行われる一連の処理であるが,このうち,「画像処理装置1」側で行われる各処理ステップに着目すると共に,本願発明1,3が装置発明であることに鑑み,これらと対比する引用発明として,装置発明たる「画像処理装置1」として,引用発明を認定する。

イ 「ユーザが画像処理装置1を操作してコピーを行う場合」の処理シーケンスにおいて,画像処理装置1のWEBブラウザ102が行う処理の概要は,図25,【0144】?【0152】によれば,次のようである。
画像処理装置1のWebブラウザ102は,ユーザ5がコピーボタンを押下して,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータをサーバ装置2から受信すると,コピー開始処理(コピー設定画面302を表示して,ユーザ5が設定したコピー条件からコピーパラメータを取得し,SOAPメッセージを生成して,そのSOAPメッセージを画像処理装置1内部のコピーWebサービス113へ送信する)を実行し(ステプS30),次に,コピーWebサービス113に対してコピージョブ状態取得処理し(ステップS40),コピージョブ状態がコピー中,コピー完了,又は紙詰まりを示すかを判断し(ステップS50),
(a)コピージョブ状態がコピー中を示す場合,Webブラウザ102は,コピー中画面303に切り替え(ステップS51),ステップS40へ戻り,
(b)コピージョブ状態がコピー完了を示す場合,Webブラウザ102は,サーバ装置2からURLを指定して次の画面に遷移し(ステップS52),
(c)コピージョブ状態が紙詰まりを示す場合,Webブラウザ102は,紙詰まりであることを表示するエラー画面303eに切り替えて(ステップS53),ステップS40へ戻る。

これらの処理ステップの詳細については,
(1)「コピーが正常に処理される場合の基本系の処理シーケンス」が図6?図7,【0065】?【0079】に,
(2)上記(1)の基本系の処理シーケンスをベースとした「コピー中にエラーが発生した場合」の処理シーケンスが図8?図9,【0080】?【0096】に,
(3)上記(2)をベースとした「エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置2から動的に取得する場合」の処理シーケンスが図10?図11,【0097】?【0104】)に示されており,エラー発生時の処理として,この(3)の場合の処理に着目し,この場合の処理を中心に据えて検討する。検討に際しては,この(3)の場合の処理と同じ処理については,上記(1)(2)の場合の処理の説明も適宜参照する。
(4)更に,「画面HTMLデータを段階的にサーバ装置2から取得する場合」の処理シーケンスが,図12?図13,【0105】?【0116】に示されている。
また,「サーバ装置2から画像処理装置1へ送信される画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータ」については,(1)(2)の場合のものは図14?図16,【0117】?【0130】に,(3)の場合のものは図17?図20,【0131】?【0134】に,(4)の場合のものは図21?図24,【0135】?【0143】に示されている。

ウ 以下,上記(3)「エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置2から動的に取得する場合」における「画像処理装置1」側(特に,Webブラウザ102)で行われる各処理についてみてみる。
図10,図11に示される(3)の場合の処理のうち,図10のステップS200からS216までは,(2)の場合の処理を示す図8の処理シーケンスと同じである(【0098】)。また,(2)の場合の図8のステップS200?S207は,(1)の場合のステップS100?S107(図6)と同じである。

ウ-1 まず,図8,【0081】,図10によれば,
画像処理装置1のWebブラウザ102は,自身(Webブラウザ102)が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301からユーザ5がコピーボタンを押下すると,コピーボタンが押下されたことを通知するコピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信する(ステップS202)。 (→引用発明のs)

ウ-2 図8,【0082】【0083】,図10によれば,
画像処理装置1のWebブラウザ102は,上記コピーボタン押下通知を受信したサーバ装置2(サーバ装置のWebアプリケーション200)からの,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを受信し解析して,当該画面HTMLデータに含まれるコピー設定画面302の記述に従ってコピー設定画面302を操作パネル121に表示する(ステップS204)。
(→引用発明のt)
ウ-3 図8,【0084】?【0086】,図10によれば,
ユーザ5が画像処理装置1の操作パネル121に表示されたコピー設定画面302にコピー条件を設定し,コピースタートボタンを押下する(ステップS206,S207)と,(画面フロー制御がコピー中画面303を表示させてからコピーを開始するようにスクリプトで記述されている場合,)
画像処理装置1のWebブラウザ102は,先ず,コピー中画面を表示して(ステップS208),SOAPによるコピー開始要求をコピーWebサービス113へと内部的に送信し(ステップS209),
画像処理装置1のコピーWebサービス113は,スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始して,コピー開始要求に対する応答をWebブラウザ102へ送信する(ステップS210)。
このとき,【0070】によれば,Webブラウザ102がコピー開始要求を送信すべき宛先は,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに記述されている,内部のコピーWebサービスを指定するような「http://localhost/ws/copyservice」(図14,図17の記述503)で与えられるものである。
また,上記コピー中画面の表示も,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに従って行われるものである(【0061】,【0072】,【0093】)。
すなわち,画像処理装置1のWebブラウザ102は,ユーザ5が画像処理装置1の操作パネル121に表示されたコピー設定画面302にコピー条件を設定しコピースタートボタンを押下すると,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに従ってコピー中画面を表示すると共にコピーWebサービス113を宛先として指定してコピー開始要求を送信し, (→引用発明のu)
画像処理装置1のコピーWebサービス113は,Webブラウザ102から,当該コピー開始要求を受信して,スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始する。
(→引用発明のv)
ウ-4 図8,【0087】?【0089】,図10,図11,【0097】?【0100】,【0133】,図17?図20によれば,
画像処理装置1のWebブラウザ102は,画像処理装置1内部のコピーWebサービス113からコピー開始要求に対する応答を受信するとコピージョブ状態取得要求を画像処理装置1内部のコピーWebサービス113へ送信し(ステップS211),コピーWebサービス113からコピージョブ状態取得要求に対するコピー実行中との応答を受信する(ステップS212,図8,図10)。
その後,画像処理装置1で紙詰まりの発生によって(ステップS213),コピーWebサービス113によるコピーが中断される(ステップS214)。
画像処理装置1のWebブラウザ102は,ステップS211のコピージョブ状態取得要求から所定時間経過後に再度,コピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信し(ステップS215),コピーWebサービス113からコピージョブ状態取得要求に対する紙詰まりとの応答を受信する(ステップS216,図8,図10)。このステップS216までの処理は上記(2)の場合と同様であるが,(3)の場合は,エラー種別に対応するエラー画面をサーバ装置2から取得する(段落【0097】)。
画像処理装置1のWebブラウザ102は,上記紙詰まりとの応答を受信すると,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトの記述536m「http://server.address/copy/error_kamizumari」(【0133】,図18))に従って,「エラー種別として紙詰まりを示すエラー画面取得要求をサーバ装置2に送信」して(ステップS237),これに対する「応答として」,サーバ装置2から,紙詰まり用のエラー画面303eのHTMLデータを受信し(ステップS238)て,「エラー画面303eを操作パネル121に表示する」(ステップS239)。
このとき,以下に示すように,サーバ装置2から取得する紙詰まり用のエラー画面303eのHTMLデータは,ブロックの表示情報であり,上記「コピー中画面」は,「Copying・・・」を表示するものでり,当該「コピー中画面」から「紙詰まりです。本体カバーを開けて用紙を取り除いてください。」を表示するエラー画面303eに切り替えて操作パネル121に表示されるように遷移するものである。 (→引用発明のw)

「切り替えて」表示されることは,(図5,【0120】,【0128】,【0143】)から明らかであり,ブロックの表示情報であることは,以下のことによる。
すなわち,
コピー中の画面には,上記ウ-2でサーバ装置2から取得した画面HTMLデータ中の図19に示される記述513
「〈div class="page" id="now_copying"〉
〈p〉Copying・・・〈/p〉
〈div〉」
中のブロック範囲を意味する〈div〉で囲まれたブロックの(パラグラフ〈p〉の部分)「Copying・・・」が表示される。
ステップS238でサーバ装置2から取得したエラー画面303eは,サーバ装置2の上記「http://server.address/copy/error_kamizumari」の記述538であって,図20に示される
「〈div class="page" id="error_kamizumari"〉
〈p〉紙詰まりです。本体カバーを開けて用紙を取り除いてください。〈/p〉
〈div〉」であり,
エラー画面303eには,ブロック範囲を意味する〈div〉で囲まれたブロック部分の(パラグラフ〈p〉の部分)「紙詰まりです。本体カバーを開けて用紙を取り除いてください。」が表示される。
上記記述538は,ブロックの表示情報である。

そして,紙詰まりが解除されたことが検知されると,コピーWebサービス113は,コピーを再開する(ステップS241)。(→引用発明のx)

エ 引用発明
以上のことを総合勘案すれば,引用発明(刊行物1記載された発明)として,下記の発明を認めることができる(次項での対比の便宜上,構成要素毎にp?uの符号を付した。)。

記(引用発明)
p LAN(Local Area Network)等のネットワーク3によって,サーバ装置2に接続されている画像処理装置1であって,
q サーバ装置2は,画像処理装置1の操作パネルに表示させる画面の表示制御を行う機能(プログラム)が実装された図1にその外観が示されるコンピュータであって,画面フロー制御部201,画面構築部202,Webサーバ203,スクリプト生成部230等を含むWebアプリケーション200,ネットワークI/F210等を有するものであり,
r 画像処理装置1は,プリンタ,コピー,ファクシミリ及びスキャナ等の複数の機能を一台の筐体によって実現する図1にその外観が示される電子機器であって,プログラムがCPUによって処理されることにより実現される機能として,ネットワークI/F101,Webブラウザ102,Webサービスサーバ103,スキャナ125を制御して原稿を読み取り,プロッタ124を制御して用紙に原稿をコピーする機能を有するコピーWebサービス(WSF:Web Service Function)113等を有し,ハードウェアとして操作パネル121,プロッタ124,スキャナ125等とを有し,
s 画像処理装置1のWebブラウザ102は,自身(Webブラウザ102)が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301からユーザ5がコピーボタンを押下すると,コピーボタンが押下されたことを通知するコピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信するものであり,
t 画像処理装置1のWebブラウザ102は,上記コピーボタン押下通知を受信したサーバ装置2からの,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを受信し解析して,当該画面HTMLデータに含まれるコピー設定画面302の記述に従ってコピー設定画面302を操作パネル121に表示するものであり,
u 画像処理装置1のWebブラウザ102は,ユーザ5が画像処理装置1の操作パネル121に表示されたコピー設定画面302にコピー条件を設定しコピースタートボタンを押下すると,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに従ってコピー中画面を表示すると共にコピーWebサービス113を宛先として指定してコピー開始要求を送信するものであり,
v 画像処理装置1のコピーWebサービス113は,Webブラウザ102から,当該コピー開始要求を受信して,スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始するものであり,
w 画像処理装置1のWebブラウザ102は,画像処理装置1内部のコピーWebサービス113からコピー開始要求に対する応答を受信するとコピージョブ状態取得要求を画像処理装置1内部のコピーWebサービス113へ送信し,コピーWebサービス113からコピージョブ状態取得要求に対するコピー実行中との応答を受信し,
その後,上記コピージョブ状態取得要求から所定時間経過後に再度,コピージョブ状態取得要求をコピーWebサービス113へ送信し,コピーWebサービス113から紙詰まりを示す応答を受信すると,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトの記述536m「http://server.address/copy/error_kamizumari」に従って,エラー種別として紙詰まりを示すエラー画面取得要求をサーバ装置2に送信して,これに対する応答として,サーバ装置2から,紙詰まり用のエラー画面303eのHTMLデータ(ブロック表示情報)を受信して,「Copying・・・」を表示する上記コピー中画面から,「紙詰まりです。本体カバーを開けて要旨を取り除いてください。」を表示するエラー画面303eに切り替えて操作パネル121に表示するものであり,
x そして,画像処理装置1のコピーWebサービス113は,紙詰まりが解除されたことが検知されると,コピーを再開するものである,
画像処理装置1。

[2]本願発明3について

(1)本願発明3(構成要件の分説)

本願発明3は,以下のように要件A,B,C1,C2,D1,D2に分説することができる。
本願発明3(分説)
A Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
B 前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
C1 前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
D1 前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
C2 前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
D2 前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,当該発生したイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて,前記第2の要求を行うこと
A を特徴とする情報処理装置。

(2)本願発明3と引用発明との対比(対応関係)

本願発明3の各構成要件について,引用発明と対比する。

ア 要件A「Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,」「を特徴とする情報処理装置」について

ア-1 本願発明3の「Webサーバ」とは,図1,明細書の「(Webサーバ120のハードウェア構成)
Webサーバ120は,CPU301,RAM302,ROM303,入力装置304,ネットワークI/F305,HDD306,表示装置307,ポインティングデバイス308を備え,それぞれがシステムバス310を介して互いに通信可能に接続される。」(段落【0030】),「(Webサーバ120のソフトウエア構成(図4))
Webサーバ120は,Webアプリケーション501及びHTTP通信部504を備える。Webアプリケーション501は,プレゼンテーション部502及びロジック部503を備える。これらのソフトウエアは,Webサーバ120のHDD306に格納され,CPU301により実行される。」(段落【0037】)に照らせば,
ソフトウエアとしてWebアプリケーション501を備えるコンピュータを含んでいうものと解されるところ,
引用発明の「サーバ装置2」も,qで「画像処理装置1の操作パネルに表示させる画面の表示制御を行う機能(プログラム)が実装された図1にその外観が示されるコンピュータであって,画面フロー制御部201,画面構築部202,Webサーバ203,スクリプト生成部230等を含むWebアプリケーション200,ネットワークI/F210等を有するもの」であるから,
本願発明3でいう「Webサーバ」といい得るものである。

ア-2 引用発明の「画像処理装置1」は,「情報処理装置」といい得るものであり,rで「Webブラウザ102」を有するとするものであるから,「Webブラウザを備えた情報処理装置」といい得るものである。
そして,引用発明の「画像処理装置1のWebブラウザ102」は,sで「サーバ装置2からの,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを受信し解析して,当該画面HTMLデータに含まれるコピー設定画面302の記述に従ってコピー設定画面302を操作パネル121に表示する」とするものであって,その「コピー設定画面302」は,「サーバ装置2(本願発明3の「Webサーバ」)から提供される操作画面」といい得るものである。
そうすると,引用発明の「画像処理装置1」も,「Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置」といえ,要件Aにおいて,本願発明3と引用発明とは相違しない。

イ 要件B「前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,(を備え)」について

引用発明の「画像処理装置1のWebブラウザ102」は,sで「自身(Webブラウザ102)が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301からユーザ5がコピーボタンを押下すると,コピーボタンが押下されたことを通知するコピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信」し,tで「上記コピーボタン押下通知を受信したサーバ装置2からの,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを受信し解析」するものであるところ,
その「自身(Webブラウザ102)が初期状態として操作パネル121に表示してあるメニュー画面301」は,要件Bの「前記Webブラウザに表示された操作画面」といえ,
その「メニュー画面301からユーザ5がコピーボタンを押下する」ことは,「メニュー画面を介して」ユーザが「コピーせよ」という「指示内容」を指示することといえ,
その「コピーボタン押下通知をサーバ装置2へ送信する」ことは,
サーバ装置2(本願発明3の「前記Webサーバ」)からのデータ(「画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータ」)を要求することといえるから,本願発明3でいう「前記Webサーバに第1の要求を行う」ことに相当するということができ,
そうすると,引用発明の「画像処理装置1」が備える「Webブラウザ102」は,本願発明3の要件Bの「前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う」手段としても機能するものである。
すなわち,要件Bにおいても,本願発明3と引用発明とは相違しない。

ウ 要件C1,C2,D1,D2について

ウ-1 本願発明3の「画像処理」,「画像処理を実行するときに発生し得るイベント」の解釈
引用発明との対比の前に,本願発明3の「画像処理」,「画像処理を実行するときに発生し得るイベント」について検討する。
本願発明3の「画像処理」とは,要件C1,C2からすれば,
(i)応答データに含まれるスクリプトに従って実行される処理であって, (ii)当該応答データが,その処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含むようにされた処理であること
は明らかであるところ,
明細書には,上記(i)(ii)を満たしかつ画像処理」といい得る処理,及び,当該処理を実行するときに発生し得るイベントとして,スキャンジョブとスキャンジョブ実行中のスキャナの紙詰まりエラーが記載されている{段落【0021】,【0036】,【0047】?【0057】,【0076】等。特に,「原稿は原稿フィーダにセットされ,ユーザが操作部111から読み取り開始を指示すると,制御部200からスキャナ部112に原稿読み取り指示が与えられる。スキャナ部112は,この指示を受信すると原稿フィーダから原稿を1枚ずつフィードして,原稿の読み取り動作を行う。」(段落【0021】),「 ”EventHandler”タグ901は,スクリプト実行中のイベントに対する処理について記載したものである。」(【0047】),「ジョブ管理部404は,スクリプト実行部403からの指示内容に基づいて,ジョブ情報を管理し,順次ジョブの実行をジョブ実行部405に指示する。ジョブ実行部405は,ジョブ設定に基づいて処理を実行するモジュールである。例えば,ジョブがスキャンジョブであれば,スキャナ部112を操作して紙原稿を読み取り,HDD204に画像データを保存する。送信ジョブであれば,ネットワークI/F206を操作してHDD204内の画像データを送信するというジョブを実行する。」(【0036】),「つまり,タグ901は,ジョブスクリプトでスキャン(Scan)を実行中にスキャナの紙詰まりエラー(ScannerJam)が発生した場合に,”http://www.xxx.com/scripterror.htm?id=0123&jobType=Scan&errorEvent=ScannerJam”といったURLを生成し,Webブラウザ402から通信を行うことを意味する。」(【0049】)}こと,
【請求項4】の「前記発生したイベントはエラーであって,前記イベントの名称は発生したエラーが紙詰まりであることを示すことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。」,
【請求項5】の「前記実行手段が実行する画像処理は,原稿上の画像を読み取って画像データを生成する処理であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。」
に照らせば,
本願発明3でいう「画像処理」・「画像処理を実行するときに発生し得るイベント」とは,それぞれ,「画像入力処理であって,紙のフィード操作を含むスキャンジョブ」・「当該スキャンジョブ実行中に発生する紙詰まりエラー」を含んでいうものと解される。

もっとも,請求項3には,スキャン(画像の読み取り)処理であるとか,画像入力処理であるとかを限定する記載は無いことからすれば,本願発明3でいう「画像処理」とは,同じく「紙詰まり」が発生し得る「紙のフィード操作を含む画像出力処理」もを含むと解するのが相当といえ,「画像処理を実行するときに発生し得るイベント」とは,「当該画像出力処理の実行中に発生する紙詰まりエラー」をも含むものと解される。

そうすると,本願発明3でいう「画像処理」とは,「紙のフィード操作を含む,画像入力処理又は画像出力処理」を含んでいう画像処理と解され,
本願発明3でいう「画像処理を実行するときに発生し得るイベント」とは,「そのような画像処理を実行するときに発生する紙詰まりエラー」も含むものと解される。

ウ-2 要件C1「前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,(を備え)」について

引用発明の「画像処理装置1のWebブラウザ102」は,tで「上記コピーボタン押下通知を受信したサーバ装置2からの,画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータを受信し解析」するものであるところ, その「画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータ」は,本願発明3の要件C1の「前記第1の要求に対する応答データ」・「当該受信した応答データ」といえ,これをサーバ装置2(本願発明3でいう「前記Webサーバ」)から受信しているから,
引用発明の「画像処理装置1」も,要件C1の「前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信」する手段を有しているということができる。

引用発明の「画像処理装置1」が,tで「前記第1の要求に対する応答データ(「画面フロー制御を埋め込んだ画面HTMLデータ」)を前記Webサーバから受信」しているといえることは上記ウ-1のとおりであり,
続いて,uで「サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトに従ってコピー中画面を表示すると共にコピーWebサービス113を宛先として指定してコピー開始要求を送信」し,vで「画像処理装置1のコピーWebサービス113」が(Webブラウザ102から,当該コピー開始要求を受信して)「スキャナ125及びプロッタ124を制御して,ユーザ5が設定した原稿のコピーを開始する」ものであるから,
引用発明の「画像処理装置1」も,「サーバ装置2から取得した画面HTMLデータに埋め込まれている画面フロー制御のスクリプト」(これが本願発明3の「当該受信した応答データに含まれるスクリプト」といえることは明らかである。)に従って「スキャナ125及びプロッタ124」を制御して「原稿のコピー」を実行している,ということができ,
その「コピー」は,当然に,原稿上の画像を読み取って紙出力する処理,すなわち,「画像入力処理及び画像出力処理を含む処理」といえることは明らかであるし,wでコピー実行中に紙詰まりエラーが想定されていることから「紙のフィード操作を含む画像出力処理」をしていることも明らかである。
そうすると,引用発明の「画像処理装置1」も,「当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って」,「画像入力処理」すると共に「紙のフィード操作を含む画像出力処理」を実行する実行手段を備えているということができる。

以上のことからすれば,引用発明の「画像処理装置1」も,「前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理(紙のフィード操作を含む,画像入力処理又は画像出力処理を実行する実行手段」を備えているといえ,したがって,要件C1において,本願発明3と相違しない。

ウ-3 要件C2「前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,」,
要件D1「前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,」について

引用発明の「画像処理装置1」は,コピー開始後,wで,その「Webブラウザ102」が「コピーWebサービス113から紙詰まりを示す応答を受信すると,サーバ装置2から取得した画面HTMLデータ(これが,本願発明3の要件C2の「前記Webサーバからの応答データ」に相当することは上記のとおりである)に埋め込まれている画面フロー制御のスクリプトの記述536m「http://server.address/copy/error_kamizumari」に従って,エラー種別として紙詰まりを示すエラー画面取得要求をサーバ装置2に送信」するものであるところ,
その「画面HTMLデータ」に埋め込まれている「スクリプトの記述536m「http://server.address/copy/error_kamizumari」は,「前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURL」といえ,
また,「当該記述536mに従って,エラー種別として紙詰まりを示すエラー画面取得要求をサーバ装置2に送信」することは,「前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う」ことということができる。
以上によれば,引用発明も,「前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含」んでいるといえ,
また,引用発明の「画像処理装置1」は,「前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段」を備えているといえ,
したがって,要件C2及び要件D1において,本願発明3と相違しない。

ウ-4 要件D2「前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,当該発生したイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて,前記第2の要求を行うこと」
上記ウ-3で検討した「第2の要求手段」は,引用発明のwから,「前記イベントの発生に応じて」「前記第2の要求を行う」ものといえる。
したがって,引用発明は,要件D2のうちの「前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,前記第2の要求を行うこと」という事項を備えている。

(3)一致点,相違点
以上の対比結果によれば,本願発明3と引用発明との一致点,相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]
A Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
B 前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
C1 前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
D1 前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
C2 前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
D2’前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,前記第2の要求を行うこと
A を特徴とする情報処理装置。


[相違点]
上記D2’の「前記第2の要求を行うこと」が,
本願発明3では,「当該発生したイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて,前記第2の要求を行うこと」であるのに対して,
引用発明では,そうではない点。

(4)相違点等の判断

ア [相違点の克服]
引用発明を出発点とし,
引用発明の,「前記第2の要求を行うこと」を,「当該発生したイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて,前記第2の要求を行うこと」とすること(以下,[相違点の克服]という。)で,上記[相違点]は克服され,本願発明に到達する。

イ 相違点についての判断([相違点の克服]の容易想到性判断)

《常套技術》
一般に,Webブラウザ(を備えるクライアント)の要求に応じてWebサーバから自身(Webブラウザ)に提供される画面表示情報が動的に異なるようにするために,Webブラウザが,URLの末尾に?から始まるクエリ文字列を(問い合わせ情報,引数として)付加したものを用いて,Webサーバーにクエリ文字列に対応した表示情報を要求することは,当業者に周知慣用の常套技術である。
{これには,例えば,以下のものが参照される。
(1)小泉修,「図解でわかる Web技術のすべて」,株式会社日本実業出版発行,2001年4月20日,第4刷発行,p.52-p.57,p.144-p.147
(2)田口景介,“第16回 ASP.NETにおけるページの遷移 (1/4) 連載 プログラミングASP.NET ?ASP.NETによるWebアプリケーション実践開発講座”,2003年04月05日,[平成27年3月17日検索],インターネット<URL:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0304/05/news003.html>
(3)特開2004-303218号公報(請求項1,9,【0063】?【0069】等参照。)
(4)特開2009-86805号公報(段落【0064】?【0067】等参照)
(5)特開2007-72959号公報(要約等参照。)
(6)特開平10-307795号公報(【0057】?【0061】等参照。)}

《判断》
引用発明において,(第2の要求手段が)前記イベントの発生に応じて第2の要求を行うのは,サーバ装置2(「前記Webサーバ」)から提供されるエラー画面303eのHTMLデータ(ブロック表示情報)を,当該発生したイベントに対応する(エラー画面の)表示情報とするためである。
そして,刊行物1には,エラーイベントとして,コピー実行中の「紙詰まりエラー」しか記載していないものの,「エラー種別」としていて「エラー」にも「種別」があることが示唆されていることや,コピー実行中のエラーとして,他に,「用紙なしエラー」や「トナーなしエラー」もごく普通に想定されることから,刊行物に接した当業者は,異なる複数種のエラーについても,エラーの種別に対応したエラー画面の表示情報がサーバ装置2から提供されるようにすることをごく普通に想定する。
これは,エラー種別に応じてサーバ装置2(Webサーバ)から自身(Webブラウザ)に提供される表示情報を動的に異なるようにすることであるところ,
そのためには,発生したエラー種別に応じて異なるエラーイベントが識別できるように,エラー名称部分が異なるURLを用いて対応する異なる表示情報をサーバ装置2に対して要求することもできるが,上記周知慣用の常套技術からすれば,これに替えて,当業者は,発生したエラー種別に応じて異なるエラーイベントが識別できるエラーイベントの名称をクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて対応する異なる表示情報をサーバ装置2に対して要求することもごく普通に想到する,というべきである。
すなわち,引用発明を出発点として上記[相違点の克服]をすることは,当業者が容易に想到し得ることである。

(5)まとめ(相違点等の判断 -本願発明3-)
以上,引用発明を出発点として,上記[相違点の克服]をすることで,本願発明3の構成に達するところ,同克服は,刊行物1及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
効果についてみても,上記[相違点の克服]に伴って予測し得ない格別顕著なものがあるとも認められない。

[3]本願発明1について

(1)本願発明1(構成要件の分説)
本願発明1は,以下のように要件A,B,C1,C2,D1,D3に分説することができ,前述した本願発明3の要件D2が要件D3に置き換わったものであり,他は本願発明3と同じである。

本願発明1(分説)
A Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
B 前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
C1 前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
D1 前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
C2 前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
D3 前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,前記スクリプトを識別するためのIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うこと
A を特徴とする情報処理装置。

(2)一致点,相違点
前記[2](2)でした本願発明3と引用発明の対比結果を踏まえれば,本願発明1と引用発明との一致点,相違点は次のとおりであることが認められる。

[一致点]
A Webサーバから提供される操作画面を表示するWebブラウザを備えた情報処理装置であって,
B 前記Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザにより指示された指示内容に従って前記Webサーバに第1の要求を行う第1の要求手段と,
C1 前記第1の要求に対する応答データを前記Webサーバから受信し,当該受信した応答データに含まれるスクリプトに従って画像処理を実行する実行手段と,
D1 前記Webサーバからの応答データに基づいて,前記Webサーバに第2の要求を行う第2の要求手段と,を備え,
C2 前記Webサーバからの応答データは,前記実行手段が画像処理を実行するときに発生し得るイベントに対応付けられたURLを含み,
D3’前記第2の要求手段は,前記イベントの発生に応じて,前記第2の要求を行うこと
A を特徴とする情報処理装置。

[相違点]
上記D3’の「前記第2の要求を行うこと」が,
本願発明1では,「前記スクリプトを識別するためのIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うこと」であるのに対して,
引用発明では,そうではない点。

(3)相違点等の判断

ア [相違点の克服]
引用発明の,「前記第2の要求を行うこと」を,「前記スクリプトを識別するためのIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うこと」とすること(以下,[相違点の克服]という。)で,上記[相違点]は克服され,本願発明に到達する。

イ 相違点についての判断([相違点の克服]の容易想到性判断)

《本願発明1の「スクリプトを識別するためのID」》
上記要件D3の「前記スクリプトを識別するためのID」とは,
明細書の記載「そして,Webアプリケーション501のプレゼンテーション部502が,S3のリクエストに応じて,処理中画面のHTMLデータを生成する。また,ロジック部503がS3のPOSTコマンドに含まれる設定情報に基づいて,MFPでの処理実行のためのスクリプトデータを生成する。ロジック部503は,スクリプト生成の際に,スクリプトを識別するためのセッションid(識別データ)を生成する。なお,MFPにスクリプト処理を依頼した後に通信が切れた場合を想定して,セッションidの保持時間(タイムアウト時間)を設定する。」(段落【0045】)に照らせば,
「webサーバが生成したセッションid」を含んでいうものであることは明らかである。

《常套技術》
Webサーバーが,一連のHTTP通信の最初に,セッションIDと呼ばれる識別子をWebクライアントに対して発行し,続くHTTP通信の際にセッションIDをWebクライアントから受け取ることにより,複数のHTTP通信が一連のものであることをWebサーバが認識できるようにしすること,および,セッションIDのやり取りをクエリ文字を用いて行うことは,当業者に周知慣用の常套技術である。
{これには,例えば,以下のものが参照される。
(1)特開2008-90653号公報(段落【0002】?【0005】等参照。)
(2)国際公開第2006/092840号明細書(段落【0036】,【0052】?【0053】等参照。)
(3)野宗貴文,“セッション管理はなぜ必要なのですか?”,2001年2月2日,[平成27年3月29日検索],インターネット<URL:http://www.atmarkit.co.jp/fjava/javafaq/session/session01.html>

《判断》
引用発明においても,セキュリティや効率性等の観点から,サーバ装置2とLANで接続された特定の1の画像処理装置1間のHTTP通信を一連のものとして管理して処理することができるように,これらの間でセッションIDのやり取りをすることは普通に想定されるところであり,その際,上記常套技術からすれば,刊行物1に接した当業者は,引用発明においても,「前記第2の要求を行うこと」を,「セッションIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うこと」とすることを容易に想到する,というべきである。
そして,そのことは,上記《本願発明1の「スクリプトを識別するためのID」》の欄で言及した事項を踏まえると,引用発明において,「前記第2の要求を行うこと」を,「前記スクリプトを識別するためのIDをクエリ文字列として前記URLに付加したものを用いて前記第2の要求を行うこと」とすることが,当業者にとって容易であったことを意味する。
よって,引用発明を出発点として上記[相違点の克服]をすることは,当業者が容易に想到し得ることである。

(4)まとめ(相違点等の判断-本願発明1-)

以上,引用発明を出発点として,上記[相違点の克服]をすることで,本願発明1の構成に達するところ,同克服は,刊行物1及び周知技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。
効果についてみても,上記[相違点の克服]に伴って予測し得ない格別顕著なものがあるとも認められない。

【第4】むすび

以上のとおり,本願の請求項1及び請求項3に係る発明は,上記刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それ故,本願の他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-07 
結審通知日 2015-04-10 
審決日 2015-04-21 
出願番号 特願2009-280955(P2009-280955)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 林 毅  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 和田 志郎
白石 圭吾
発明の名称 情報処理装置、Webサーバ、それらの制御方法、及びプログラム  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 下山 治  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  

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