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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C25D
管理番号 1302419
審判番号 不服2013-22630  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-19 
確定日 2015-06-24 
事件の表示 特願2009- 7288「多層3次元構造を製造するための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 5月14日出願公開、特開2009-102743〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、1998年4月3日(パリ優先権主張 1997年4月4日 米国(US))を国際出願日とする特願平10-542917号の一部を平成13年5月11日に新たな特許出願とした特願2001-142210号(以下、「原出願」という。)について、その一部をさらに平成21年1月16日に新たな特許出願としたものであって、平成23年5月25日付けの拒絶理由に対して、同年11月29日付けで意見書が提出され、平成24年8月23日付けの拒絶理由に対して、同年10月10日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成25年7月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正書が提出され、前置審査における平成26年3月31日付けの拒絶理由に対して、請求人からは何ら応答がなされなかったものである。

第2 平成25年11月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1 補正の内容
本件補正は、請求項17ないし24を削除(以下、「補正事項1」という。)するとともに、補正前の明細書段落【0094】の「入力装置616は、ユーザー入力(例えばキーボード、マウスなど)のエントリのためのを入力メディアを含む。」を、「入力装置616は、ユーザー入力(例えばキーボード、マウスなど)のエントリのための入力メディアを含む。」と補正(以下、「補正事項2」という。)し、補正前の明細書段落【0103】の「もしそうならば、プロセッサ612は、・・・(中略)・・・電気めっき装置を駆動するプロセッサ612は、基板にマスクを接触するように電気めっき装置を駆動し、上記した処理を、Pが層M上の金属の数に等しくなるまで繰り返す。」を「もしそうならば、プロセッサ612は、・・・(中略)・・・電気めっき装置を駆動する。プロセッサ612は、基板にマスクを接触するように電気めっき装置を駆動し、上記した処理を、Pが層M上の金属の数に等しくなるまで繰り返す。」と補正(以下、「補正事項3」という。)し、補正前の段落【0112】の「基板状に選択的に堆積される。」を「基板上に選択的に堆積される。」と補正(以下、「補正事項4」という。)するものである。

2 補正の適否
(1) 補正事項1について
補正事項1は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。また、同法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

(2) 補正事項2ないし4について
補正事項2ないし4は、特許法第17条の2第5項第3号の誤記の訂正を目的とするものに該当する。また、同法第17条の2第3項に違反するところはない。

(3) むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。
したがって、本件補正は適法になされたものである。

第3 分割要件の適否
前置審査における拒絶理由では、本願の出願日を現実に出願された日と判断しているので、本願が適法に分割されたものであるかを検討する。

1 前置審査における拒絶理由において、審査官は、「請求項9に記載された、『(i)3次元構造を作図するデータを処理して、前記構造のサイズを計ること』は、特願2001-142210号の願書に最初に添付した明細書に記載されていない。」と判断している。
他方、請求人は、請求項9に記載されている「(i)3次元構造を作図するデータを処理して、前記構造のサイズを計ること」(以下、「発明特定事項1」という。)が、原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「原出願明細書等」という。)に記載されていることについて、平成23年11月29日付け意見書において、「(i)3次元構造を作図するデータを処理して、前記構造のサイズを計ること、
段落『0014』の『本発明の他の特徴は、3次元オブジェクトの横断面ジオメトリの、計算、記憶、および回復(retrieval)にある。これは、そのジオメトリを反映するパターン化されたマスクの生成および電気めっき方法の使用のために用いられる。本発明のデータおよび制御プロセスは、汎用コンピューティングシステムにおいて、実行されるソフトウェアアプリケーションプログラムによって具現化され得る。』の記載、段落『0095』の記載中特に『プロセッサ612は、ブロック625に示すように、例えば、3次元ジオメトリのスケーリング、層厚さ、マスクの寸法、コピーおよびスペースの数、およびマスク最小化のための許容範囲を含む各マスクジオメトリに関連した入力を読み取る。』の記載および図29中のブロック625の『3次元ジオメトリのスケーリング、層厚さ、マスクディメンジョン、コピーおよびスペースの数、マスク最小化のための許容範囲など』の記載等に基づくものである。」と主張している。

2 そこで検討するに、原出願明細書等の段落【0014】、【0095】及び図29に記載された事項のうち、請求人が根拠とした上記記載には、三次元構造を作図するデータを処理して、前記構造のサイズを記憶すること、又は、読み取ることは記載されているといえるものの、前記構造のサイズを計ることは、記載も示唆もされていない。また、上記発明特定事項1は、上記記載から自明であるともいえない。
そして、原出願明細書等のその余の記載を見ても、上記発明特定事項1については何ら記載も示唆もされていないし、上記発明特定事項1は、原出願明細書等のその余の記載から自明であるともいえない。

3 したがって、上記発明特定事項1は、原出願明細書等に記載された事項の範囲内であるとはいえないから、本願は、適法に分割されたものではない。
よって、本願の出願日は、現実の出願日(平成21年1月16日)である。

第3 本願発明
本願発明は、平成25年11月19日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
多層3次元構造を製造するための方法において、この方法は、
(i)3次元構造を作図するデータを処理し、前記構造の多くのコピーを望ましい間隔で作ること、
(ii)第1層を形成すること、これは、下記の(a)から(c)を含む:
(a)基板に接触して、複数の3次元構造の断面の形成に関連した堆積パターンを表す複数の開口を有する第1マスクを用意する、
(b)前記第1のマスクを用いて第1材料を前記第1材料の源から前記基板上に堆積して、第1層の一部を形成する、
(c)前記第1マスクを前記基板から除去する、および
(iii)先に形成された層に隣接し、且つ、接着するように追加の層を形成し、複数の3次元構造を形成することを含む。」

第4 刊行物の記載事項
平成26年3月31日付け拒絶理由において引用され、本願出願前に日本国内において頒布された、特願2001-142210号(特開2001-355095号)の平成17年8月4日に発行された、出願公開後における補正の掲載(以下、「刊行物1」という。)には、以下の記載がある。
「【請求項13】
多層3次元構造を製造するための方法において、この方法は、 (i)3次元構造を作図するデータを処理し、前記構造の多くのコピーを望ましい間隔で作ること、 (ii)第1層を形成すること、これは、下記の(a)から(c)を含む: (a)基板に接触して、複数の3次元構造の断面の形成に関連した堆積パターンを表す複数の開口を有する第1マスクを用意する、 (b)前記第1のマスクを用いて第1材料を前記第1材料の源から前記基板上に堆積して、第1層の一部を形成する、 (c)前記第1マスクを前記基板から除去する、および (iii)先に形成された層に隣接し、且つ、接着するように追加の層を形成し、複数の3次元構造を形成することを含む。」

第5 当審の判断
1 引用発明
上記第4の記載事項から、刊行物1には、「多層3次元構造を製造するための方法において、この方法は、
(i)3次元構造を作図するデータを処理し、前記構造の多くのコピーを望ましい間隔で作ること、
(ii)第1層を形成すること、これは、下記の(a)から(c)を含む:
(a)基板に接触して、複数の3次元構造の断面の形成に関連した堆積パターンを表す複数の開口を有する第1マスクを用意する、
(b)前記第1のマスクを用いて第1材料を前記第1材料の源から前記基板上に堆積して、第1層の一部を形成する、
(c)前記第1マスクを前記基板から除去する、
および
(iii)先に形成された層に隣接し、且つ、接着するように追加の層を形成し、複数の3次元構造を形成することを含む。」との発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

2 対比・判断
本願発明1と引用発明とを対比すると、両者は、「多層3次元構造を製造するための方法において、この方法は、
(i)3次元構造を作図するデータを処理し、前記構造の多くのコピーを望ましい間隔で作ること、
(ii)第1層を形成すること、これは、下記の(a)から(c)を含む:
(a)基板に接触して、複数の3次元構造の断面の形成に関連した堆積パターンを表す複数の開口を有する第1マスクを用意する、
(b)前記第1のマスクを用いて第1材料を前記第1材料の源から前記基板上に堆積して、第1層の一部を形成する、
(c)前記第1マスクを前記基板から除去する、
および
(iii)先に形成された層に隣接し、且つ、接着するように追加の層を形成し、複数の3次元構造を形成することを含む。」点で一致し、何ら相違するところはない。
したがって、本願発明1は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について判断するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-01-22 
結審通知日 2015-01-27 
審決日 2015-02-09 
出願番号 特願2009-7288(P2009-7288)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (C25D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀧口 博史  
特許庁審判長 木村 孔一
特許庁審判官 河本 充雄
松嶋 秀忠
発明の名称 多層3次元構造を製造するための方法  
代理人 特許業務法人ゆうあい特許事務所  

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