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審決分類 審判 査定不服 特37 条出願の単一性( 平成16 年1 月1 日から) 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1302644
審判番号 不服2013-21674  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-11-05 
確定日 2015-07-01 
事件の表示 特願2011-88104「プリント基板」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月28日出願公開、特開2012-124452〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
この出願は、平成23年4月12日(パリ条約による優先権主張2010年12月6日、韓国)の出願であって、平成25年6月28日に拒絶査定がされ(発送日:同年7月2日)、これに対して、同年11月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされ、その後、当審において、平成26年8月5日付けで拒絶理由が通知され(発送日:同年8月12日)、同年12月3日に意見書が提出されたものである。
そして、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成25年11月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、
一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含み、
前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層を含み、
前記トレンチは、第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた第2溝部から構成されることを特徴とするプリント基板。」

第2 刊行物及び引用発明
1 刊行物1
これに対して、当審において通知した拒絶理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である、特開2007-109755号公報(以下「刊行物1」という。)には、「配線回路基板およびその製造方法」に関して、図面と共に、次の事項が記載されている(下線は当審で付したものである。以下同じ。)。

(1)「【0001】
本発明は、配線回路基板およびその製造方法に関する。」

(2)「【0048】
図1(d)にパターニングされたベース絶縁層1が示されている。・・(略)・・。それにより、図1(d)に示すようにベース絶縁層1の上面には溝部D1,D2が形成される。本実施の形態では、溝部D1,D2は矩形の断面形状を有する。これらの溝部D1,D2の幅は、3?5μmであることが好ましい。また、溝部D1,D2の深さは、3?6μmであることが好ましい。
【0049】
次に、図2(e)に示すように、露出した金属補強板10の上面、ベース絶縁層1の上面、ベース絶縁層1の側面および溝部D1,D2の内表面を覆うように金属薄膜層2を形成する。この金属薄膜層2の形成は、例えば蒸着法、スパッタリング法または無電解めっき等により行う。
【0050】
そして、金属薄膜層2の上面に、例えば感光性樹脂等からなるめっきレジスト層3を形成する。そして、めっきレジスト層3を所定のパターンに露光処理および現像処理する。これにより、図2(f)に示すように、所定のパターンを有するめっきレジスト層3が金属薄膜層2上に形成される。・・(略)・・。
【0051】
続いて、図2(g)に示すように、電解めっき法により、露出した金属薄膜層2上に金属めっき層4を形成する。金属めっき層4としては、例えば、ニッケル、銅、金またははんだが用いられる。
【0052】
図3(h)に示すように、めっきレジスト層3を除去する。また、図3(i)に示すように、めっきレジスト層3の形成領域における金属薄膜層2を除去する。これにより、金属薄膜層2および金属めっき層4からなる導体パターン20a,20bが形成される。・・(略)・・。
【0053】(略)
【0054】
なお、これら導体パターン20a,20bは、ともに溝部D1,D2上に形成されるので、それぞれの溝部D1,D2と嵌合する突条部を有する。
【0055】
最後に、図3(j)に示すように、ベース絶縁層1および導体パターン20a,20bの上面にカバー絶縁層5を形成する。・・(略)・・。
【0056】
これにより、本実施の形態に係る配線回路基板100が完成する。」

(3)「【0077】
ベース絶縁層1上には、先端部に形成されるジンバル15から後端部に形成される端子部30へと延びるように導体パターン20が形成されている。図4では、配線として4本の導体パターン20a,20b,20c,20dが示されている。
【0078】
図5には、図4の回路付サスペンション基板100a,100b,200のZ部の拡大断面図が示されている。
【0079】
図5(a)に実施例1の回路付サスペンション基板100aが示され、図5(b)に実施例2の回路付サスペンション基板100bが示され、図5(c)に比較例1の回路付サスペンション基板200が示されている。
【0080】
[実施例1]
実施例1の回路付サスペンション基板100aの作製時においては、上記実施の形態と同様にベース絶縁層1のパターニングを行い、セミアディティブ法により導体パターン20a、20bを形成した。以下、詳細を説明する。
【0081】
初めに、金属補強板10として厚み25μmのステンレス基板を用意した。そして、ベース絶縁層1として厚み10μmのポジ型の感光性ポリイミド樹脂を金属補強板10上に形成した。
【0082】
そこで、導体パターン20a,20bの形成領域における略中央部(幅方向)に、それぞれ1つの溝部D1,D2が形成されるように、ベース絶縁層1の露光、現像および硬化処理を行った。なお、ここで用いたフォトマスクは、図1(c)のフォトマスクPMと同じである。
【0083】(略)
【0084】(略)
【0085】
これにより、ベース絶縁層1上に幅da,dbが4μm、深さが4μmの溝部D1,D2が形成された。
【0086】
次に、ベース絶縁層1の上面側に連続スパッタリングによりクロムおよび銅からなる金属薄膜層2を形成した。ここで、金属薄膜層2の厚みは100nmであった。
【0087】
続いて、金属薄膜層2の上面側に、感光性樹脂からなるめっきレジスト層3を形成した。そこで、めっきレジスト層3を所定のパターンで露光処理および現像処理する。これにより、所定のパターンを有するめっきレジスト層3が金属薄膜層2上に形成された。
【0088】
次に、露出した金属薄膜層2上に厚み10μmの銅からなる金属めっき層4を形成した。そして、めっきレジスト層3を除去するとともに、めっきレジスト層3の形成領域における金属薄膜層2を除去した。
【0089】
これにより、ベース絶縁層1上に金属薄膜層2および金属めっき層4からなる導体パターン20a,20bが形成された。
【0090】
これらの導体パターン20a,20bは、厚みha,hbがともに10μmで、幅wa,wbがともに20μmであった。また、互いの間隔cl1が20μmであった。
【0091】
最後に、ベース絶縁層1および導体パターン20a,20bの上面側に、感光性ポリイミドを用いて、厚み4μmのカバー絶縁層5を形成した。これにより、実施例1の配線回路基板10が完成した。」

(4)「【0098】
このような結果から、ベース絶縁層1上の導体パターン20a,20bの形成領域に溝部D1,D2を形成することにより、ベース絶縁層1と導体パターン20a,20bとの間で十分な密着力が得られることが明らかとなった。」

(5)上記(2)の「図4では、配線として4本の導体パターン20a,20b,20c,20dが示されている」(段落【0077】)との記載からみて、導体パターン20aは配線であるといえる。

(6)上記(2)の「これにより、ベース絶縁層1上に金属薄膜層2および金属めっき層4からなる導体パターン20a,20bが形成された」(段落【0089】)との記載及び図5(a)からみて、該金属薄膜層2上に形成された導体パターン20aは、その一端部(図5aにおける下方端部)は溝部D1が対向し、その他端部(図5aにおける上方端部)はベース絶縁層1から突出するといえる。

これらの記載事項、認定事項、及び図面の図示内容を総合し、本願発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「溝部D1が形成されたベース絶縁層1と、
一端部は前記溝部D1に対向し、他端部は前記ベース絶縁層1から突出するように前記溝部D1に形成された配線としての導体パターン20aとを含み、
前記ベース絶縁層1と前記導体パターン20aとの間に金属薄膜層2を含む回路付きサスペンション基板100a。」

2 刊行物2
また、当審において通知した拒絶理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である、実願昭56-164155号(実開昭58-68057号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という。)には、「プリント配線板」に関して、図面と共に、次の事項が記載されている。

(1)第2ページ2?9行
「本考案は上記欠点を改良するもので、積層板1の電気回路部に凹部2を設け、該凹部2内に更に微細な凹部3を多数配設し凹部全体に導電性材料4を充填したプリント配線板5であるため電気回路(導電性物質)と積層板間の密着性が著るしく向上し従来のように脱落、別離する危険性が全くなく極めて信頼性の高いプリント配線板を提供することができたものである。」

(2)第3ページ15行?第4頁5行
「厚さ1mmの紙基材エポキシ樹脂積層板1の上面に・・(略)・・巾1mm深さ0.1mmの凹部2の内部に更に微細な凹部3を多数配設した凹部を有する電気回路部を設けた。次に該凹部2及び3に銀系導電性塗料4をシルクスクリーン印刷しプリント配線板5を得たが導電性材料が凹部2及び3に充填されているので電気回路と積層板間の密着性は非常によく本考案の優れていることを確認した。」

(3)図面には、微細な凹部3は、凹部2の底面に配設されることが示されている。

これらの記載事項及び図面の図示内容からみて、刊行物2には、次の事項(以下「刊行物2に記載された事項」という。)が記載されている。」

「プリント配線板5において、導電性塗料4が充填される樹脂積層板1の凹部2の底面に微細な凹部3を多数配設すること。」

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
後者の「溝部D1」は前者の「トレンチ」に相当し、以下同様に、
「ベース絶縁層1」は「絶縁層」に、
「配線としての導体パターン20a」は「回路パターン」に、
「回路付きサスペンション基板100a」は「プリント基板」にそれぞれ相当する。
また、刊行物1の「溝部D1,D2は矩形の断面形状を有する。」(前記「第2」の「1(2)」の段落【0048】)との記載及び図1(d)、並びに「陰刻」が「文字または絵画をくぼませて彫り込むこと。[広辞苑第六版]」との意味であることからみて、引用発明の「溝部D1」は「陰刻状に形成された」といえる。

さらに、刊行物1の「ベース絶縁層1上に幅da,dbが4μm、深さが4μmの溝部D1,D2が形成された。次に、ベース絶縁層1の上面側に・・(略)・・金属薄膜層2を形成した。ここで、金属薄膜層2の厚みは100nmであった。」(前記「第2」の「1(3)」の段落【0085】及び【0086】)との記載からみて、引用発明の溝部D1の深さ(4μm)に比べて該溝部D1の内表面(底面及び内側面)に形成される金属薄膜層2の厚さ(100nm=0.1μm)は、はるかに小さいといえる。
また、刊行物1の「これら導体パターン20a,20bは、ともに溝部D1,D2上に形成されるので、それぞれの溝部D1,D2と嵌合する突条部を有する。」(前記「第2」の「1(2)」の段落【0054】)との記載からみて、引用発明の導体パターン20aの一端部に形成された突条部は溝部D1に嵌合するといえる。
そうすると、引用発明において、溝部D1の内表面に金属薄膜層2が形成されても、導体パターン20aの一端部に設けられた突条部は、溝部D1に嵌合されるといえる。
したがって、引用発明の「一端部は前記溝部D1に対向し」は本願発明の「一端部は前記トレンチに埋め込まれ」に相当する。

加えて、刊行物1の「電解めっき法により、露出した金属薄膜層2上に金属めっき層4を形成する。」(前記「第2」の「1(2)」の段落【0051】)との記載からみて、引用発明の「金属薄膜層2」は本願発明の「シード層」に相当する。

したがって両者は、
「トレンチが陰刻状に形成された絶縁層と、
一端部は前記トレンチに埋め込まれ、他端部は前記絶縁層から突出するように前記トレンチに形成された回路パターンとを含み、
前記絶縁層と前記回路パターンとの間にシード層を含むプリント基板。」
で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明では、トレンチは、「第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた第2溝部から構成される」のに対し、
引用発明では、溝部D1は、かかる構成を備えていない点。

第4 当審の判断
上記相違点について検討する。
刊行物1の「これら導体パターン20a,20bは、ともに溝部D1,D2上に形成されるので、それぞれの溝部D1,D2と嵌合する突条部を有する。」(前記「第2」の「1(2)」の段落【0054】)との記載、及び「ベース絶縁層1上の導体パターン20a,20bの形成領域に溝部D1,D2を形成することにより、ベース絶縁層1と導体パターン20a,20bとの間で十分な密着力が得られることが明らかとなった。」(前記「第2」の「1(3)」の段落【0098】)との記載からみて、引用発明は、導体パターン20aの一端部に形成された突条部が溝部D1とを嵌合することで、導体パターン20aとベース絶縁層1との密着力を高めるものである。
また、刊行物2の「厚さ1mmの紙基材エポキシ樹脂積層板1の上面に・・(略)・・巾1mm深さ0.1mmの凹部2の内部に更に微細な凹部3を多数配設した凹部を有する電気回路部を設けた。次に該凹部2及び3に銀系導電性塗料4をシルクスクリーン印刷しプリント配線板5を得たが導電性材料が凹部2及び3に充填されているので電気回路と積層板間の密着性は非常によく本考案の優れていることを確認した。」(前記「第2」の「2(2)」)との記載、及び前記「第2」の「2(3)」で示した事項からみて、刊行物2に記載された事項は、樹脂積層板1と導電性塗料4とを、凹部2の底部に多数配設された微細な凹部3を介して係合させることで両者の密着性を高めるものである。
そうすると、引用発明及び刊行物2に記載された事項は、絶縁層と回路パターンとの密着力を高めるものである点で共通するから、引用発明に刊行物2に記載された事項を適用する動機付けがあるといえる。
そうしてみると、引用発明の溝部D1を、上記相違点のように「第1溝部、および前記第1溝部の底面に少なくとも2つ連続的に設けられた第2溝部から構成される」ようにすることは、刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明及び刊行物2に記載された事項から、当業者が容易に予測できる範囲内のものであって、格別なものではない。

したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-01-29 
結審通知日 2015-02-03 
審決日 2015-02-16 
出願番号 特願2011-88104(P2011-88104)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
P 1 8・ 65- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉澤 秀明  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 中川 隆司
稲葉 大紀
発明の名称 プリント基板  
代理人 渡邉 一平  
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