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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E02D
管理番号 1302662
審判番号 不服2014-4900  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-13 
確定日 2015-07-01 
事件の表示 特願2008-208872「コーナ部のベタ基礎型枠」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 2月25日出願公開、特開2010- 43487〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,平成20年8月14日の出願であって、平成25年12月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年3月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成25年3月26日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)
「コーナ部近傍の墨打盤にコーナ部位の型枠板を支持できる水平支持板、この水平支持板の一端部に設けられた外型枠板を支持する外型枠用ホルダー、前記水平支持板の他端部に直角に曲げることができるヒンジ部を介して回動可能に設けられた垂直支持板、この垂直支持板の先端部に設けられた内型枠板を支持する内型枠用ホルダーとからなる少なくとも一対以上の支持金具と、この少なくとも一対以上の支持金具の外型枠用ホルダーにコーナ部が一方の外型枠板の端部と他方の外型枠板の端部の側面とを当接させ、外周部を引張り強さが80kg以上で、幅寸法が25mm以上の接着テープで固定した外型枠と、前記少なくとも一対以上の支持金具の内型枠用ホルダーにコーナ部が一方の内型枠板の端部と他方の内型枠板の端部の側面とを当接させ、前記外型枠用ホルダー側に引張り強さが80kg以上で、幅寸法が25mm以上の接着テープで固定した内型枠とを用いたことを特徴とするコーナ部のベタ基礎型枠。」


3 引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である、特開2002-201650号公報(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付与した。以下同様。)
(1)「【請求項1】 布部を成型しようする部位の地業に配置あるいは固定状態で配置される水平支持板、この水平支持板の一端部に取付けられた一方の当て板の下端部を地業に接地した状態で支持あるいは回動可能で、立ち上げ状態で前記地業の上部に形成する底盤の高さとなる垂直支持板を介して取付けられた一方の当て板の下端部を支持する一方の当て板ホルダーおよび前記水平支持板の他端部に回動可能で、立ち上げ状態で前記地業の上部に形成する底盤の高さとなる垂直支持板を介して取付けられた他方の当て板の下端部を支持する他方の当て板ホルダーとからなる少なくとも2個以上の当て板保持具と、この少なくとも2個以上の当て板保持具の一方の当て板ホルダーおよび他方の当て板ホルダーに下端部がそれぞれ固定状態で支持された、同じ巾寸法で上部が同じ高さとなる一対の当て板と、この一対の当て板を成型しようとする布部の巾寸法に保持する保持部材とを備えることを特徴とするベタ基礎型枠。」

(2)「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物の基礎である地業の上部に底盤と布部を成型する場合に使用することができるベタ基礎型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建物の基礎を成型する場合、地業に木製、金属製の型枠を用いて底盤形成型枠を形成し、該型枠内にコンクリートを打ち込み、養生した後、成型された底盤の布部形成部位に木製、金属製の型枠を用いて布部形成型枠を形成し、該型枠内にコンクリートを打ち込み、布部を成型している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の建物の基礎の成型方法では、建築基準法上での型枠の存置期間が、普通のコンクリートで摂氏15度以上では3日以上の養生期間を設けるようになっているため、底盤形成用のコンクリート打ち込みと、布部形成用のコンクリート打ち込みによる2回のコンクリートの養生期間が必要となり、基礎の成型に長期間かかりコスト高になるとともに、底盤と布部との接続部はコンクリートの打ち継ぎができるため、構造的な欠陥部となりやすいという欠点があった。
【0004】本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、底盤形成用のコンクリートと布部形成用のコンクリートの養生を同時に行なうことができるとともに、底盤と布部との接続部は底盤形成用のコンクリートが完全に硬化する前に、布部形成用のコンクリートを打ち込むことにより、コンクリートの打ち継ぎが生じない、成型することができるベタ基礎型枠を提供することを目的としている。」

(3)「【0008】図1ないし図12に示す本発明の第1の実施の形態において、1は建物の基礎を成型する場合に使用される本発明のベタ基礎型枠で、このベタ基礎型枠1は外回り用のベタ基礎型枠2と間仕切り用のベタ基礎型枠3とで構成されている。
【0009】前記外回り用のベタ基礎型枠2は図2、図6ないし図9に示すように、布部を成型しようとする部位の地業4に配置あるいは固定状態で配置される少なくとも2個以上、本発明の実施の形態では2個の金属材製の当て板保持具5、5と、この当て板保持具5、5に下端部が固定状態で支持される一対の当て板6、7と、この一対の当て板6、7を成型しようとする布部の巾寸法に保持する保持部材8とで構成されている。
【0010】前記当て板保持具5、5は成型しようとする布部の巾寸法とほぼ同じ巾寸法に形成された、両側部が直角に折り曲げられた中央部にピン挿入孔が形成された水平支持板10と、この水平支持板10の一端部に回動可能に取付けられた、前記一方の当て板6の下端部を地業4に接地した状態で支持するコ字状の一方の当て板ホルダー11と、前記水平支持板10の他端部に薄肉等にした曲げ部12を介して、ほぼ90゜回動可能で、立ち上げ状態で前記地業4の上部に形成する底盤13の高さとなる両側部が直角に折り曲げられた垂直支持板14と、この垂直支持板14の上端部に一体あるいは溶接等によって固定的に取付けられた、前記他方の当て板7の下端部を支持するコ字状の他方の当て板ホルダー15とで構成されている。」

(4)「【0012】前記保持部材8は前記一対の当て板6、7の両側寄りのほぼ中央部に形成されたボルト挿入孔16、16、16、16に挿入されるボルト17、17と、このボルト17、17が挿入され、前記一対の当て板6、7間の寸法を保持する間隔保持管18、18と、前記ボルト17、17の両端部が挿入される横バー支持凹部19、19、19、19が形成された横バー支持体20、20、20、20と、この横バー支持体20、20、20、20の横バー支持凹部19、19、19、19に支持される横バー21、21と、前記間隔保持管18、18、一対の当て板6、7、横バー支持体20、20、20、20との間に隙間が生じないように前記ボルト17、17の両端部に螺合された大きな座金付きナット22、22、22、22と、前記一対の当て板6、7の上端部に直接あるいはトッププレート23、23を介して所定間隔で係止される両端部にコ字状の一対の当て板6、7の上端部を係止する係止部24、24中央部にボルト挿入孔25を有する複数個の巾止めプレート26とで構成されている。」

(5)「【0015】上記構成のベタ基礎型枠1の外回り用のベタ基礎型枠2と間仕切り用のベタ基礎型枠3は図6、図10に示すように、一対の当て板6、7に2個の当て板保持具5、5を取付けて平板状に配置した状態と、一対の当て板7、7に2個の間仕切り用の当て板保持具27、27を取付けて平板状に配置した状態で現場へ輸送し、現場で外回り用のベタ基礎型枠2の主要部を地業4に外回りの布部を形成する部位に墨出しを行なつた墨出しラインに沿って直列状態で配置し、所々の当て板保持具5の水平支持板10を釘やビス28等によって地業4に固定する。また、間仕切り用のベタ基礎型枠3の主要部を地業4に間仕切りの布部を形成する部位に墨出しを行なつた墨出しラインに沿って直列状態で配置し、所々の間仕切り用の当て板保持具27の水平支持板10を釘やビス28等によって地業4に固定する。このように外回り用のベタ基礎型枠2の主要部と間仕切り用のベタ基礎型枠3の主要部を配置した後、鉄筋29を配置した後、外回り用のベタ基礎型枠2の一対の当て板6、7を、一方の当て板ホルダー11、11と垂直支持板14、14をほぼ90゜回動させて立ち上げ、保持部材8を取付けて一対の当て板6、7の立ち上げ状態を保持させる。また、間仕切り用のベタ基礎型枠3の一対の当て板7、7を、一対の垂直支持板14、14をほぼ90゜回動させて立ち上げ、保持部材8を取付けて一対の当て板7、7の立ち上げ状態を保持させる。
【0016】このようにして組み立てられたベタ基礎型枠1は、底盤13となる部位の一端部より順次1周するようにコンクリート30を打ち込み、底盤13部位にコンクリートの打ち込みが完了した後に、最初にコンクリートを打ち込んだ部位の外回り用のベタ基礎型枠2や間仕切り用のベタ基礎型枠3内に順次コンクリートを打ち込む。
【0017】コンクリートの打ち込み後、養生期間を経て、保持部材8、一対の当て板6、7、7、7を除去することにより、底盤13、外回り用の布部31、間仕切り用の布部32からなるベタ基礎33が出来上がる。・・・
【0018】なお、本発明の実施の形態では、外回り用のベタ基礎型枠2の主要部と間仕切り用のベタ基礎型枠3の主要部を図6、図10に示すようにあらかじめ工場で一対の当て板6、7、7、7を当て板保持具5、5や間仕切り用の当て板保持具27、27に取付けたものを用いるものに付いて説明したが、本発明はこれに限らず、使用する現場まで、一対の当て板6、7、7、7と当て板保持具5、5や間仕切り用の当て板保持具27、27とを別々にして輸送して、現場で組み付けて使用したり、・・・しても良い。」

(6)上記記載事項(3)及び(5)を参照して特に図1,2をみると、外回り用のベタ基礎型枠2は、布部を成型しようするコーナ部近傍の地業4にも配置されていて、コーナ部位の外回り用のベタ基礎型枠2の外側に位置する一方の当て板6、6はコーナ部において、一方の当て板6、6の端部同士が当接し、外回り用のベタ基礎型枠2の内側に位置する他方の当て板7、7はコーナ部において、他方の当て板7、7の端部同士が当接していることが明らかである。

これら記載事項及び図面の記載から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「建物の基礎である地業の上部に底盤と布部を成型する場合に使用することができる外回り用のベタ基礎型枠であって、コーナ部近傍の地業にも配置されるものでもあり、
ベタ基礎型枠2は、布部を成型しようとする部位の地業4に配置あるいは固定状態で配置される少なくとも2個以上の当て板保持具5、5と、この当て板保持具5、5に下端部が固定状態で支持される外側と内側の一対の当て板6、7と、この外側と内側の一対の当て板6、7を成型しようとする布部の巾寸法に保持する保持部材8とで構成され、
前記当て板保持具5、5は、水平支持板10と、この水平支持板10の一端部に回動可能に取付けられた、前記外側の一方の当て板6の下端部を地業4に接地した状態で支持するコ字状の一方の当て板ホルダー11と、前記水平支持板10の他端部に曲げ部12を介して、ほぼ90゜回動可能で、立ち上げ状態の垂直支持板14と、この垂直支持板14の上端部に固定的に取付けられた、前記内側の他方の当て板7の下端部を支持するコ字状の他方の当て板ホルダー15とで構成され、
外側の一方の当て板6、6はコーナ部において、一方の当て板6、6の端部同士が当接し、内側の他方の当て板7、7はコーナ部において、他方の当て板7、7の端部同士が端部同士が当接する、外回り用のベタ基礎型枠。」

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「布部を成型しようする部位の地業4」、「外側と内側の一対の当て板6、7」、「水平支持板10」、「外側の一方の当て板6」、「一方の当て板ホルダー11」、「曲げ部12」、「垂直支持板14」、「内側の他方の当て板7」、「他方の当て板ホルダー15」及び「板保持具5」は、それぞれ本願発明の「墨打盤」、「型枠板」、「水平支持板」、「外型枠板」、「外型枠用ホルダー」、「ヒンジ部」、「垂直支持板」、「内型枠板」、「内型枠用ホルダー」及び「支持金具」に相当する。
引用発明の「外側の一方の当て板6」が連続したものが、本願発明の「外型枠」に相当し、同じく「内側の他方の当て板7」が連続したものが、「内型枠」に相当する。
引用発明の「コーナ部近傍の地業にも配置される」「外回り用のベタ基礎型枠」は、本願発明の「コーナ部のベタ基礎型枠」に相当する。

イ 引用発明において、「水平支持板10の一端部に」「外側の一方の当て板6の下端部を地業4に接地した状態で支持するコ字状の一方の当て板ホルダー11」が取付けられ、「他端部に」「垂直支持板14と、」「この垂直支持板14の上端部に」「内側の他方の当て板7の下端部を支持するコ字状の他方の当て板ホルダー15」が取付けられているので、引用発明の「水平支持板10」は、「外側と内側の一対の当て板6、7」つまり、本願発明の「型枠板」を支持しているといえる。

ウ 引用発明の「この水平支持板10の一端部に回動可能に取付けられた、前記外側の一方の当て板6の下端部を地業4に接地した状態で支持するコ字状の一方の当て板ホルダー11」は、本願発明の「この水平支持板の一端部に設けられた外型枠板を支持する外型枠用ホルダー」に相当し、同じく「この水平支持板10の他端部に曲げ部12を介して、ほぼ90゜回動可能で、立ち上げ状態の垂直支持板14」は「水平支持板の他端部に直角に曲げることができるヒンジ部を介して回動可能に設けられた垂直支持板」に、「この垂直支持板14の上端部に固定的に取付けられた、前記内側の他方の当て板7の下端部を支持するコ字状の他方の当て板ホルダー15」は「この垂直支持板の先端部に設けられた内型枠板を支持する内型枠用ホルダー」に、それぞれ相当する。

エ 引用発明の「少なくとも2個以上の当て板保持具5、5」「に下端部が固定状態で支持される外側と内側の一対の当て板6、7」であって、「外側の一方の当て板6、6はコーナ部において、一方の当て板6、6の端部同士が当接する」ことと、本願発明の「この少なくとも一対以上の支持金具の外型枠ホルダーにコーナ部が一方の外型枠板の端部と他方の外型枠板の端部の側面とを当接させ」ることとは、「この少なくとも一対以上の支持金具の外型枠ホルダーにコーナ部が一方の外型枠板の端部と他方の外型枠板の端部とを当接させ」ることで共通している。
引用発明の「少なくとも2個以上の当て板保持具5、5」「に下端部が固定状態で支持される外側と内側の一対の当て板6、7」であって、「内側の他方の当て板7、7はコーナ部において、他方の当て板7、7の端部同士が当接する」ことと、本願発明の「少なくとも一対以上の支持金具の内型枠ホルダーにコーナ部が一方の内型枠板の端部と他方の内型枠板の端部の側面とを当接させ」ることとは、「少なくとも一対以上の支持金具の内型枠ホルダーにコーナ部が一方の内型枠板の端部と他方の内型枠板の端部とを当接させ」ることで共通する。

オ したがって、両者は、次の点で一致している。
(一致点)
「コーナ部近傍の墨打盤にコーナ部位の型枠板を支持できる水平支持板、この水平支持板の一端部に設けられた外型枠板を支持する外型枠用ホルダー、前記水平支持板の他端部に直角に曲げることができるヒンジ部を介して回動可能に設けられた垂直支持板、この垂直支持板の先端部に設けられた内型枠板を支持する内型枠用ホルダーとからなる少なくとも一対以上の支持金具と、この少なくとも一対以上の支持金具の外型枠ホルダーにコーナ部が一方の外型枠板の端部と他方の外型枠板の端部とを当接させた外型枠と、少なくとも一対以上の支持金具の内型枠ホルダーにコーナ部が一方の内型枠板の端部と他方の内型枠板の端部とを当接させた内型枠とを用いたコーナ部のベタ基礎型枠。」

そして、次の各点で相違している。
(相違点1)
コーナ部において、一方の外型枠板の端部と他方の外型枠板の端部とを当接させ、一方の内型枠板の端部と他方の内型枠板の端部とを当接させるのに際し、本願発明は、一方の端部と他方の端部の側面とを当接させるのに対し、引用発明は、一方の端部と他方の端部の側面とを当接させるかどうか不明な点。
(相違点2)
本願発明は、外型枠の外周部及び内型枠の外型枠用ホルダー側を引張り強さが80kg以上で、幅寸法が25mm以上の接着テープで固定したのに対し、
引用発明では、そのようにされていない点。

5 判断
(1)相違点1について
一般的に、コーナ部の基礎型枠を、一方の型枠板の端部と他方の型枠板の端部の側面とを当接させて用いることは、従来より広く知られた周知技術であり(拒絶の理由で引用された特開平10-37210号公報の【図4】や、その他特開平5-230837号公報の【図1】及び【図4】、実公昭43-31309号公報の第3図等を参照。)、引用発明においても、コーナ部の外型枠及び内型枠を、一方の型枠板の端部と他方の型枠板の端部の側面とを当接させて用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
一般的に、コーナ部を含む基礎型枠板の設置に際し、隣り合う型枠板を接着テープで連結することは、従来より周知技術であり(必要なら、特開2003-105777号公報の【0022】や、特開平3-72118号公報の3頁9?10行を参照。)、引用発明においても、コーナ部の内型枠板及び外型枠板の連結に該周知技術を採用することは、当業者が容易に想到し得ることであり、その際、接着テープをコーナ部における突き当て部の外側、つまり外型枠の外周部及び内型枠の外型枠用ホルダー側に用いることは、当業者が容易に行い得ることであり、また、引張り強さが80kg以上で、幅寸法が25mm以上の接着テープを用いることは、作業の容易性やコンクリート圧を考慮して、適宜決定されることにすぎない。
なお、引用発明では、一対の当て板6、7を成型しようとする布部の巾寸法に保持する保持部材8を用いており、また、本願発明においても、「コンクリートを打ち込む場合、コーナ部の基礎型枠1には従来行なっている中間ピース19や横バー20等を取付ける。」(明細書の段落【0014】を参照。)とあるように、一般的に型枠板の固定には、上記保持部材や中間ピースと横バー等が主体として用いられることから、さらにその上、コーナ部に用いられた市販の接着テープには、型枠板の固定に関して強度的に特別な意味を持つものではない。しかも引張り強度や幅寸法を大きくすることで、型枠板の固定をより強固にできることは、当業者に当然知られた事項であり、「引張り強さが80kg以上で、幅寸法が25mm以上」と限定することによる顕著な効果は本願明細書中に記載もないことから、当該数値に限定することに、特段臨界的な意義があるとは認められない。

そして、本願発明全体の効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができない。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-08 
結審通知日 2015-04-14 
審決日 2015-05-07 
出願番号 特願2008-208872(P2008-208872)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E02D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石村 恵美子  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 門 良成
住田 秀弘
発明の名称 コーナ部のベタ基礎型枠  
代理人 三浦 光康  

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