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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1302671
審判番号 不服2014-8705  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-12 
確定日 2015-06-29 
事件の表示 特願2011-199018「液晶シャッタを備える電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日出願公開、特開2013- 61436〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年9月13日の出願であって、平成25年9月25日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年3月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年5月12日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の根拠となった拒絶の理由
平成25年9月25日付けで通知した拒絶の理由のうち、原査定の根拠となった拒絶理由は、次の(理由1)及び(理由4)である。
1 (理由1)
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


発明の詳細な説明には、フル・フラット・デザインの液晶ディスプレイにおいて、縁枠の背後にカメラ・モジュールを配置する場合において、カメラ・モジュールを使用しないときに開口を閉じ、かつ開口と縁枠との色彩上の一体感を醸し出すためには、開口に黒の機械的なシャッタを設ける方法があるところ、機械的なシャッタは開閉動作を電気的に制御する場合に信頼性を維持することが困難であったり、スペース上の制約があったり、およびコスト増の要因になったりするなどの問題がある、という課題(段落【0006】?【0008】等参照。)を解決するために、縁枠において透過率の高い部分であるシャッタ開口を設け、当該シャッタ開口の裏に液晶シャッタを配し、液晶シャッタの裏にカメラ・モジュールを配置したことが記載されている(段落【0022】?【0036】等参照。)。
一方、請求項1?8、15?18、20には、カメラ・モジュールに関する特定がされていないから、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段を反映するものとはいえず、請求項1?8、15?18、20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えることとなる。
よって、請求項1?8、15?18、20に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。

2 (理由4)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1、2
・理由3、4
・引用文献1
備考
引用文献1(特に、段落【0018】?【0044】を参照。)には、表示領域20pと撮像領域20hとを有するアクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネル20と、撮像領域20hの裏側に配置されたカメラ60と、を有し、カメラ60が像を撮像する期間にのみ、撮像領域20hが光を透過するよう液晶パネル20を制御する、電子機器が記載されている。

・請求項4
・理由4
・引用文献1
備考
撮像領域20hにおける駆動電極の構成を、表示領域20pと同様のものとすることは、当業者が適宜採用し得ることである。

・請求項3
・理由4
・引用文献1、2
備考
撮像領域20hは画素単位で駆動する必要がないことから、例えば引用文献2(段落【0060】等参照。)に開示されているような周知のセグメント方式を採用することは、当業者が適宜なし得る設計変更の範囲内のことである。

引 用 文 献 等 一 覧
1.特開2010-015015号公報
2.特開2006-220786号公報

第3 理由4について
1 本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年11月30日付けの手続補正書により補正された本願の請求項1に記載された、次のとおりのものと認める。
「ノーマリ・ホワイト・モードで動作するアクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネルと、
ノーマリ・ブラック・モードで動作する液晶シャッタと、
前記液晶シャッタの裏側に配置されたカメラ・モジュールと、
前記液晶シャッタのパネル透過率を制御する制御部と
を有する電子機器。」

2 引用例の記載事項
上記(理由4)において引用文献1として引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2010-15015号公報(以下「引用例」という。)には、以下の(1)ないし(4)の記載がある。
(1) 「【請求項1】
表示領域を有する表示パネルと、
前記表示パネルの背面側に配置され、光源および前記光源からの光を前記表示パネルに向けて出射するとともに前記表示領域と平面的に重なる位置に少なくとも1つ以上の孔が設けられた導光板を有する照明装置と
前記孔内に配置されており前記表示領域に表示される像を前記表示パネルを介して撮像する撮像素子と、を備えてなることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
少なくとも前記撮像素子が前記像を撮像する期間において、前記表示パネルの前記撮像素子に対応する領域が光を透過するよう構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。」

(2) 「【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶装置100の斜視図である。第1実施形態に係る液晶装置100は、画面を見ている観察者の顔をカメラで撮影して当該画面に映し出す装置である。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態に係る液晶装置100は、主に、液晶パネル20と、液晶パネル20には画像を表示する表示領域20pがあり、この液晶パネルの裏面に配置された照明装置50と、カメラ60と、より構成される。
【0020】
照明装置50は、液晶パネル20の背面側に設けられ、光源からの光を、導光板を通して光Lbとして液晶パネル20に出射する。照明装置50の導光板には、貫通孔51hが設けられ、当該貫通孔51hには、液晶パネル20の表示領域20pへ向けてカメラ60が設けられる。
【0021】
観察者Ovsは、液晶パネル20の画面に対し正面を向いている。液晶パネル20において、カメラ60の位置に対応する領域(以下、「撮像領域」)20hは、外部からの光Laが透過する透過モードに設定されているため、カメラ60は、液晶パネル60を挟んで反対側にいる観察者Ovsを撮影することができる。カメラ60により撮影された観察者Ovsの画像は、図1に示すように、液晶パネル20の表示領域20pに表示される。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る液晶装置100の断面図である。
【0023】
図2に示すように、液晶パネル20は、基板1、2がシール材3を介して貼り合わされてなる構造を有し、基板1、2の間には、液晶4が封入されてなる。基板1の内面上には、表示領域20pにおける1ドットのサブ画素SG毎に画素電極5が形成されており、基板2の内面上には、カラーフィルタたるRGBの各色の着色層6及び対向電極7が形成されている。RGBの各色の着色層6は、画素電極5に対応する位置に形成され、対向電極7は、基板2の全面に形成されている。
【0024】
液晶パネル20の背面側には、照明装置50が設置される。照明装置50は、液晶パネル20に光を透過することにより照明する。なお、液晶パネル20と照明装置50の間には、下偏光板12b、拡散板13、プリズムシート14が配置される。また、液晶パネル20の観察者Ovs側には、上偏光板12aが配置される。」

(3) 「【0032】
次に液晶パネル20の駆動回路の構成について述べる。図4は、液晶装置100における液晶パネル20の平面図である。図2に示した液晶装置100における液晶パネル20は、図4に示す液晶パネル20の平面図の切断線A-A´に沿った断面図であり、駆動回路の図示を省略した図である。なお、図4では、紙面縦方向(列方向)をY方向と、また、紙面横方向(行方向)をX方向と規定する。
【0033】
基板1の内面上には、複数の走査線24、複数のデータ線25がマトリクス状に配置されており、各走査線24と各データ線25の交点にはTFT素子(Thin film Diode)などのスイッチング素子26が設けられている。複数の走査線24及び複数のデータ線25により仕切られた各領域が1つのサブ画素SGを構成している。サブ画素SG毎に画素電極5が設けられ、当該画素電極5はスイッチング素子26と電気的に接続されている。」

(4) 「【0039】
次に、第1実施形態に係る液晶装置100の制御方法について、図5を用いて説明する。図5は、液晶装置100の制御方法を示すブロック図である。
【0040】
制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)などにより構成され、液晶パネル20だけでなく、カメラ60や記憶部42とも接続されている。
【0041】
記憶部42には、液晶パネル20における撮像領域20hの位置や範囲を示す情報(撮像領域情報)が記録されている。制御部40は、撮像領域情報に基づいて、液晶パネル20における撮像領域20hを求め、当該撮像領域20hを、外部からの光が透過する透過モードに設定する。これにより、カメラ60は、液晶パネル60を挟んで反対側にいる観察者Ovsを撮影することが可能となる。ここで、透過モードとは、液晶パネル20における撮像領域20hの透過率を、カメラ60が観察者Ovsを撮影可能な程度に設定することである。即ち、少なくともカメラ60が像(ここでは観察者Ovs)を撮像する期間において、撮像領域20hが光を透過するよう構成すれば、カメラ60に入射する被写体からの光が液晶パネルによって減衰することを防止できる。例えば、液晶パネル20をノーマリホワイトに設定し、撮像領域20hにおいて電圧を無印加としたり、ノーマリブラックに設定し電圧を印加状態にしたりすればよい。カメラ60が像を撮像する期間にのみ撮像領域20hが光を透過するよう液晶パネル20を制御してもよいし、或いは、液晶パネル20をノーマリホワイトとし、撮像領域20hに電極を設けない等して恒常的に当該領域が光を透過するよう構成してもよい。」

(5) 上記(2)で言及されている図1及び図2は、次のものである。


3 引用発明の認定
(1) 上記2(1)の、請求項1を引用する請求項2を、請求項1を引用しない形式で表せば、次のとおりである。
「表示領域を有する表示パネルと、前記表示パネルの背面側に配置され、光源および前記光源からの光を前記表示パネルに向けて出射するとともに前記表示領域と平面的に重なる位置に少なくとも1つ以上の孔が設けられた導光板を有する照明装置と、前記孔内に配置されており前記表示領域に表示される像を前記表示パネルを介して撮像する撮像素子と、を備え、
少なくとも前記撮像素子が前記像を撮像する期間において、前記表示パネルの前記撮像素子に対応する領域が光を透過するよう構成されてなる、電気光学装置。」

(2) 上記2の(2)ないし(4)に記載された「第1実施形態」は、上記(1)の電気光学装置の実施例に相当する。
上記(1)の電気光学装置の「表示パネル」及び「撮像素子」は、それぞれ、「第1実施形態」の「液晶パネル20」及び「カメラ60」に対応する。

(3) 上記2(3)によれば、上記「液晶パネル20」は、アクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネルといえる。

(4) 上記2(2)の【0021】の記載によれば、「液晶パネル20において、カメラ60の位置に対応する領域」である「撮像領域20h」は、「外部からの光Laが透過する透過モードに設定されているため、カメラ60は、液晶パネル60を挟んで反対側にいる観察者Ovsを撮影することができる。」ものであり、上記2(4)の【0041】の記載によれば、上記「透過モード」とは、「液晶パネル20における撮像領域20hの透過率を、カメラ60が観察者Ovsを撮影可能な程度に設定すること」であって、「少なくともカメラ60が像(ここでは観察者Ovs)を撮像する期間において、撮像領域20hが光を透過するよう構成す」ることができるものであるから、上記(1)の電気光学装置の「『撮像素子が像を撮像する期間において、光を透過するよう構成されてなる』『表示パネルの前記撮像素子に対応する領域』」に対応する。
また、上記2(2)の【0021】の「カメラ60により撮影された観察者Ovsの画像は、図1に示すように、液晶パネル20の表示領域20pに表示される。」との記載によれば、上記「カメラ60」は、撮影した画像を液晶パネル20の表示領域20pに表示するから、上記(1)の電気光学装置の「撮像素子」と同じく、「表示領域に表示される像を表示パネルを介して撮像する」ものである。

(5) 上記2(4)の「【0041】・・・少なくともカメラ60が像(ここでは観察者Ovs)を撮像する期間において、撮像領域20hが光を透過するよう構成すれば、カメラ60に入射する被写体からの光が液晶パネルによって減衰することを防止できる。例えば、液晶パネル20をノーマリホワイトに設定し、撮像領域20hにおいて電圧を無印加としたり、ノーマリブラックに設定し電圧を印加状態にしたりすればよい。」との記載によれば、撮像領域20hは、ノーマリブラックに設定し、カメラ60が像を撮像する期間において電圧を印加して光を透過するよう構成してもよい。

(6) 上記2(3)の【0041】の「制御部40は、撮像領域情報に基づいて、液晶パネル20における撮像領域20hを求め、当該撮像領域20hを、外部からの光が透過する透過モードに設定する。」及び「透過モードとは、液晶パネル20における撮像領域20hの透過率を、カメラ60が観察者Ovsを撮影可能な程度に設定することである。」との記載によれば、「制御部40」は、撮像領域20hの透過率を制御するものである。

(7) 上記(1)ないし(6)によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「表示領域を有するアクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面側に配置され、光源および前記光源からの光を前記液晶パネルに向けて出射するとともに前記表示領域と平面的に重なる位置に少なくとも1つ以上の孔が設けられた導光板を有する照明装置と、
前記孔内に配置されており前記表示領域に表示される像を前記液晶パネルを介して撮像するカメラと、
制御部と、を備え、
前記液晶パネルの前記カメラに対応する領域である撮像領域は、ノーマリブラックに設定されており、前記カメラが前記像を撮像する期間において、電圧を印加されて光を透過し、
前記制御部は、前記撮像領域の透過率を制御する、
電気光学装置。」

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1) 引用発明の「表示領域を有するアクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネル」は、本願発明の「アクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネル」に相当し、以下同様に、
「『ノーマリブラックに設定されており、カメラが像を撮像する期間において、電圧を印加されて光を透過する』『液晶パネルの前記カメラに対応する領域である撮像領域』」は、「ノーマリ・ブラック・モードで動作する液晶シャッタ」に、
「『液晶パネルの背面側に配置され』た『照明装置』が有する『導光板』の『孔内』に『配置され』た『カメラ』」は、「液晶シャッタの裏側に配置されたカメラ・モジュール」に、
「『撮像領域の透過率を制御する』『制御部』」は、「液晶シャッタのパネル透過率を制御する制御部」に、
「電気光学装置」は、「電子機器」に、それぞれ、相当する。

(2) そうすると、本願発明と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。
<一致点>
「アクティブ・マトリクス駆動方式の液晶パネルと、
ノーマリ・ブラック・モードで動作する液晶シャッタと、
前記液晶シャッタの裏側に配置されたカメラ・モジュールと、
前記液晶シャッタのパネル透過率を制御する制御部と
を有する電子機器。」

<相違点>
本願発明は、「液晶パネル」が「ノーマリ・ホワイト・モードで動作する」と特定されているのに対して、引用発明は、該特定を有しない点。

5 当審の判断
上記相違点について検討する。
(1) 引用発明の「液晶パネル」において、少なくとも撮像領域以外の領域は、カメラで撮影した画像を表示すればよいのであって、該領域を、表示駆動しない状態で白い画面(ノーマリ・ホワイト)とするか黒い画面(ノーマリ・ブラック)にするかの何れかであって、適宜選択できる設計事項である。

(2) また、引用発明の「液晶パネル」は、アクティブ・マトリクス駆動方式であって、個々の画素を個別に電圧を印加して透過率を変えられるところ、上記2(4)には、「【0041】記憶部42には、液晶パネル20における撮像領域20hの位置や範囲を示す情報(撮像領域情報)が記録されている。制御部40は、撮像領域情報に基づいて、液晶パネル20における撮像領域20hを求め、当該撮像領域20hを、外部からの光が透過する透過モードに設定する。」とあって、撮像領域の位置や範囲を示す撮像領域情報を記憶部42に記録しておき、制御部40は、撮像領域情報に基づいた制御ができることからして、撮像領域をノーマリ・ブラック、撮像領域以外の領域をノーマリ・ホワイトとなるように、制御部を動作させることに、格別の技術的困難性は認められない。

(3) してみると、引用発明において、本願発明の上記相違点に係る構成を備えることは、当業者が適宜なし得たことと認められる。
また、該構成を備えることによる効果は、当業者が予想し得るものにすぎない。
よって、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。

(4) なお、上記2(4)の【0041】の「液晶パネル20をノーマリホワイトに設定し、撮像領域20hにおいて電圧を無印加としたり、ノーマリブラックに設定し電圧を印加状態にしたりすればよい。」との記載は、「液晶パネル20(の撮像領域20h以外の領域)をノーマリホワイトに設定し、撮像領域をノーマリブラックに設定してもよい。」ことを意味すると解することができる。
したがって、引用例には、撮像領域がノーマリブラックである引用発明において、液晶パネル20(の撮像領域20h以外の領域)をノーマリホワイトに設定した発明、すなわち、引用発明が本願発明の上記相違点に係る構成を備えた発明が記載されているといえる。
よって、本願発明は、該発明と同一、すなわち、引用例に記載された発明ともいえる。

第5 理由1について
本願発明は、平成25年11月30日付けの手続補正書による請求項1の補正により、液晶シャッタの裏側に配置されたカメラ・モジュールを有するものとなった。
しかしながら、原査定の(理由1)で検討したとおり、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明は、「フル・フラット・デザインの液晶ディスプレイにおいて、縁枠の背後にカメラ・モジュールを配置する場合、縁枠との色彩上の一体感が損なわれてしまったり、また、カメラ・モジュールを使用しないときに開口を閉じ、かつ開口と縁枠との色彩上の一体感を醸し出すためには、開口に黒の機械的なシャッタを設ける方法があるところ、機械的なシャッタは開閉動作を電気的に制御する場合に信頼性を維持することが困難であったり、スペース上の制約があったり、およびコスト増の要因になったりするなどの問題がある、という課題」を解決するために「縁枠において透過率の高い部分であるシャッタ開口を設け、当該シャッタ開口の裏に液晶シャッタを配し、液晶シャッタの裏にカメラ・モジュールを配置した」との構成を備えたものであるところ、本願発明は、「液晶シャッター」に関して、「ノーマリ・ブラック・モードで動作する」と特定されているのみであって、液晶ディスプレイの縁枠にシャッタ開口を設け、該シャッタ開口の裏に液晶シャッタを配するものとはなっていない。
よって、本願発明は、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっている。

第5 結言
上記第3のとおり、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、上記第4のとおり、本願発明は、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することとなっているから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-01-21 
結審通知日 2015-01-27 
審決日 2015-02-09 
出願番号 特願2011-199018(P2011-199018)
審決分類 P 1 8・ 537- Z (G02F)
P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 右田 昌士清水 督史  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 江成 克己
藤本 義仁
発明の名称 液晶シャッタを備える電子機器  
復代理人 渡部 弘道  
代理人 袴田 眞志  

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