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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1302687
審判番号 不服2014-11800  
総通号数 188 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-20 
確定日 2015-07-02 
事件の表示 特願2010-210189「コンテンツ作成装置およびコンテンツ作成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月29日出願公開、特開2012- 64166〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年9月17日の出願であって、平成25年12月10日付けの拒絶理由通知に対して、平成26年2月14日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同年3月17日付けで拒絶査定がなされたところ、同年6月20日に審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成26年6月20日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成26年6月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容について
平成26年6月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、平成26年2月14日付けの手続補正書による補正前の請求項1?10は、補正後の請求項1?10のとおりに補正された。
このうち、補正前の請求項1に係る発明は、補正後の請求項1に係る発明に対応するものと認められるところ、補正前の請求項1および補正後の請求項1はそれぞれ以下のとおりである。(なお、下線は、補正の箇所を示すものとして審判請求人が付加したものである。)

<補正前>
「所定グループ内に配信されるコンテンツを作成するコンテンツ作成装置であって、
コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して前記素材データを順位付けする素材評価部と、
前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定するコンテンツ編集部とを備え、
前記記事配置に基づくコンテンツを作成することを特徴とするコンテンツ作成装置。」

<補正後>
「所定グループ内に配信されるコンテンツを作成するコンテンツ作成装置であって、
コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して前記素材データを順位付けする素材評価部と、
前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し、前記記事配置に基づくコンテンツを作成するコンテンツ編集部とを備え、
前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新することを特徴とするコンテンツ作成装置。」

2.補正の目的について
補正後の請求項1は、補正前の請求項1に次の補正がなされたものである。

(a)補正前の「前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定するコンテンツ編集部」および「前記記事配置に基づくコンテンツを作成することを特徴とする」を、補正後の「前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し、前記記事配置に基づくコンテンツを作成するコンテンツ編集部」とする補正。

補正事項(a)について検討すると、補正後の「前記記事配置に基づくコンテンツを作成するコンテンツ編集部」は、補正前の「前記記事配置に基づくコンテンツを作成すること」が「コンテンツ編集部」にて行われることに限定するものである。

(b)補正後の「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新することを特徴とする」とする補正。

補正事項(b)は、補正前の請求項1に、新たに「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新すること」を追加するものである。このような補正は、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。
したがって、上記補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された「特許請求の範囲の減縮(第三十6条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」を目的とするものではない。
また、上記補正は、同項第1号に規定される請求項の削除、同項第3号に規定される誤記の訂正、同項第4号に規定される明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでもない。

(c)小括
以上のとおり、補正後の請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反する。

次に、仮に、補正後の請求項1に係る本件補正が、特許法第17条の2第5項各号に規定される補正の目的に該当するとして、以下に検討する。

3.新規事項の追加について
(a)上記「2.(b)」の補正について、願書に最初に添附した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるか否かについて以下に検討する。

請求人は、平成26年6月20日付けの審判請求書の中で、上記「2.(b)」の補正について、
「(C)補正について
審判請求人は、本審判請求書と同時に提出する手続補正書で特許請求の範囲を補正した。補正後の請求項1、10は、願書に最初に添付した明細書(以下、「当初明細書」と呼称する。)の段落[0079]の記載に基づいている。 」
と主張している。
この点について検討すると、願書に最初に添付した明細書の段落【0079】には、
「図10は、ユーザ端末に表示されるGUIイメージの例を示す図である。コンテンツ表示195上で、記事195aにタッチがあると、その記事の拡大版196が表示される。GUI上では各記事に対してインスタントメッセージ交換システムへの投稿ボタン196aおよび、「いいね!」ボタン196bを付与し、ユーザの反応を収集することを可能にできる。投稿ボタン196aが押下されたときには、画面197が表示され、反応をキーボード192で入力できる。「いいね!」ボタン196bが押されたら、画面198上に「いいね!」と評価したユーザの一覧が表示される。さらに、更新された記事が存在する場合に、動的に更新する機能を具備してもよいし、「保存」ボタンを表示し、ユーザがスクラップブック用に保存したい記事を選択できるようにしてもよい。保存したい記事の指定は、反応管理部160により受け付けられ、次のコンテンツ作成時に反映されるようにしてもよい。」
と記載されている。(なお、下線は、当審において付与した。以下、同じ。)。
上記記載には、「更新された記事が存在する場合に、動的に更新する機能を具備してよい」との記載があるものの、その更新について、なにを更新するのか、具体的な記載が無い。
また、「更新する機能」について、「更新された記事が存在する場合に」、更新された記事の内容を「動的に更新する」等、様々な「更新する機能」が考えられ、上記段落【0079】の記載のみで、上記「2.(b)」の補正で記載された、「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新すること」が記載されているとは、技術常識を参酌しても、認められない。
加えて、他に「更新すること」について、願書に最初に添附した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていない。

(b)小括
したがって、補正後の請求項1に係る本件補正は、特許法第17の2第3項に規定する要件を満たしていない。

仮に、補正後の請求項1に係る本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的するものである場合に、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるか、すなわち、本件補正が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすか否かについて検討する。

4.サポート要件について
上記「3.」で検討したように、本件補正発明の「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新すること」は、出願当初の明細書に記載されていない。
また、補正により、発明の詳細な説明に、本件補正発明に関する事項が加わった事実もないから、本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものであるとは、認められない。

そうすると、補正後の特許請求の範囲は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.進歩性について
本件補正発明は、手続補正書によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、上記[理由]1.の<補正後>に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(1)各引用例について
(1-1)引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用されたYoichi Yamashita,噂のiPadアプリ「Flipboard」登場、Twitterストリームなどを雑誌形式に,[online],株式会社マイナビ,2010年 7月22日,[2013年12月9日検索],URL,http://news.mynavi.jp/news/2010/07/22/036/index.html (以下,「引用例1」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。(以下「引用例1記載事項」という。)

(ア)「TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなどをアグリゲートし、雑誌のようなレイアウトにまとめて表示する。」(3段落目)
(イ)「FlipboardはTwitterで頻繁にインタラクトしている人を優先するなど情報を分析しながら雑誌化するという。」(4段落目)

(1-2)引用例1記載の発明について
上記(ア)(イ)の記載及び関連する図面を参照すると、次のことがいえる。

(a)上記(ア)の記載から、引用例1記載の発明は、TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなどを集め、雑誌のようなレイアウトにまとめて表示している。
(b)上記(イ)の記載から、引用例1記載の発明は、FlipboardはTwitterで頻繁に影響し合っている人を優先するなど情報を分析しながら雑誌化している。

上記(a)(b)の事項を踏まえると、引用例1には、実質的に次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認められる。

TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなどを集め、Twitterで頻繁に影響し合っている人を優先するなど情報を分析しながら、雑誌のようなレイアウトにまとめて表示する、Flipboard。

(1-3)引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-181966号公報(以下,「引用例2」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(ウ)「【0029】
図1は、本実施形態の携帯電話機100および情報配信サーバ200を備えたレコメンド情報配信システムのシステム構成を示すシステム構成図である。携帯電話機100からの要求に応じて情報配信サーバ200は、予め記憶されているレコメンド情報となるコンテンツを、携帯電話機100に配信する。配信されるレコメンド情報は、携帯電話機100のユーザのアクセス履歴に基づいて編集されたものであり、ユーザにとって必要と思われる情報である。なお、この情報配信サーバ200は、携帯電話機100からのアクセス要求に応じて、他のコンテンツプロバイダからコンテンツを取得し、取得したコンテンツを配信するものであり、アクセス履歴はこのときに収集される。また、携帯電話機100がアクセス履歴を送信し、それを取得するように構成されてもよい。」

上記(ウ)の事項を踏まえると、引用例2には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例2の記載事項>
他のコンテンツプロバイダからコンテンツを取得し、ユーザのアクセス履歴に基づいて編集されたレコメンド情報を、ユーザの携帯電話機に配信する情報配信サーバ。

(1-4)引用例3について
原査定の拒絶査定の際に、周知技術として引用された特開2008-171085号公報(以下,「引用例3」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(エ)「【0253】
なお、記事データ40には、新聞社が設定した記事51?57の優先度を指定する優先度指定情報が含まれており、紙面コンテンツデータ合成部214は、この優先度指定情報と、紙面テンプレートデータ32の画面レイアウト記述にあるマスクレイアウト記述とに基づいて、記事51?57のレイアウトを決定する。例えば、記事データ40において最高の優先度が指定されている記事51は、優先順位1位を示すマスクID「mask1」が設定されているマスクレイアウト記述に指定された領域にレイアウトし、また、記事データ40において2番目の優先度が指定されている記事52は、優先順位2位を示すマスクID「mask2」が設定されているマスクレイアウト記述に指定された領域にレイアウトする。」

(オ)「【0269】
図23に示した紙面コンテンツ生成サーバ200は、ユーザの属性に応じて紙面コンテンツデータ10における優先順位の設定を異ならせることができるよう、ユーザの各種属性を蓄積するユーザデータ蓄積部202dを含んでいる。ユーザデータ蓄積部204に蓄積されるユーザ情報としては、当該ユーザが有料ユーザであるか無料ユーザであるかの別や、ユーザの居住地域・職業・年齢・性別などが挙げられる。紙面コンテンツデータ合成部214は、このユーザデータ202dに蓄積されたユーザの属性を参照して、紙面コンテンツデータ10における優先順位を設定することができる。」

上記(エ)(オ)の事項を踏まえると、引用例3には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例3の記載事項>
ユーザの属性を参照して、紙面コンテンツデータの優先順位を設定し、設定された優先順位に基づいてレイアウトを決定する。

(1-5)引用例4について
小林仁,“ソーシャルマガジン”アプリ「Flipboard」でiPadの神髄を垣間見る,[online],アイティメディア株式会社,2010年 8月20日,[2015年4月16日検索],URL,http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1008/20/news027.html(以下,「引用例4」という。)には、図面とともに、以下のことが記載されている。

(カ)「Flipboardを一言でいうと、TwitterやFacebookなどのSNSにポストされたリンクやツイート、写真を自動的に抽出し、それらの情報を雑誌風に見せるコンテンツアグリゲーター型の“ソーシャルマガジン”アプリである。」(2段落目)
(キ)「1ページ目は最新の更新情報(おおよそ1時間以内?)が記事として表示され、ページをめくるごとに時間をさかのぼっていく仕組みだ。」(6段落目)

上記(カ)(キ)の事項を踏まえると、引用例4には、次の事項が記載されているといえる。

<引用例4の記載事項>
Flipboardは、1ページ目は最新の更新情報(おおよそ1時間以内?)が記事として表示され、ページをめくるごとに時間をさかのぼっていく仕組みをとっている。

(2)対比
本件補正発明と引用例1発明とを対比する。
(ア)本願発明の詳細な説明に
「【0027】
ユーザデータベース111は、ユーザ端末200で入力されたユーザアカウントに基づいて得られた、Twitter(登録商標)に代表されるインスタントメッセージ交換システムにおけるそのユーザのフォロワー、フォロー先のユーザアカウント名およびアカウント画像を格納する。なお、フォロワーとはユーザの投稿を選択的に閲覧できるように登録した人を指し、フォロー先とは、選択的に閲覧できるように登録した投稿の投稿者を指す。このようにして、ユーザデータベース111は、ユーザ端末によって入力されたユーザアカウント、パスワード、サムネイルが格納される。また、インスタントメッセージ交換システムのコミュニティ内のユーザアカウントを格納する。
【0028】
素材抽出部112は、ユーザアカウントを利用して、記事素材となる情報を収集し、各データベースに格納する。素材抽出部112で対象とする情報は事前に設定したカテゴリに分類される。たとえば、以下のようなカテゴリを想定している。
【0029】
(1)ユーザ由来の近況情報
既に作成されたブログや日記、インスタントメッセージ交換システムのコミュニティによって作成された近況情報を取得し、データベースに格納した情報を対象とすることができる。
【0030】
(2)ユーザのコミュニティ情報
ユーザデータベース111に格納されているインスタントメッセージ交換システムのコミュニティ情報を対象とすることができる。すなわちコミュニティ情報に基づいてユーザのタイムラインおよび投稿日付等のメタ情報を取得しデータベースに格納したものを利用できる。情報の取得には、APIを利用できる。
【0031】
(3)新着ニュース記事
RSSやAPIを利用して取得した新着時事ニュースを対象とすることができる。素材抽出部112として、手動で設定可能にしたRSSやAPIを利用してもよい。
【0032】
素材抽出部112は、得られたタイムライン情報の内容からリンクの有無を判断する。リンクが有ると判断されたインスタントメッセージに対し、リンク先の情報を取得する。取得した情報が写真であった場合には、画像有のラベルを付与し、リンク先に画像がない場合には画像無のラベルを付与する。このような素材データ抽出処理の詳細については後述する。なお、素材抽出部112が、リンク内容の判別を行う際に、インスタントメッセージ数や、時間にてフィルタリングを適用可能にしてもよい。
【0033】
素材データベース120は、ユーザが提供した素材データを格納する。素材データベース120は、上記のように取得された情報ごとに記事素材ID、取得日付・時刻を付与する。その際にコンテンツを文章と画像とに分離して格納できる。また、素材データベース120は、近況情報、インスタントメッセージサービスのコミュニティ情報、新着ニュースなどの素材抽出部112によって得られた記事素材を格納する。なお、データベースには、主となる情報とともに記事発生日時および提供元のアカウントやURL情報等を同時に格納することができる。」
と記載されているように、引用例1発明の「素材データ」は、Twitterに代表されるインスタントメッセージ交換システムの投稿(タイムライン情報)や該投稿にリンクされた情報であると認められる。
そうすると、引用例1発明の「TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなど」は、本件補正発明の「素材データ」に相当する。
また、引用例1発明は、「TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなど」を雑誌のようなレイアウトまとめているから、雑誌のようなレイアウトにまとめられた「TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなど」は、本件補正発明の「コンテンツ記事」に相当する。
(イ)引用例1発明は、「TwitterやFacebookからユーザーが受け取っているツィート、リンク先の記事や写真、ステータスアップデートなど」を雑誌のようなレイアウトにまとめて表示しているから、該「雑誌のようなレイアウトにまとめ」られたものは、本件補正発明の「コンテンツ」に相当する。
また、本件補正発明は、「コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して前記素材データを順位付けする素材評価分」の順位付けに基づいて、素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し、記事配置に基づくコンテンツを作成しているのに対して、引用例1発明も、Twitterで頻繁に影響し合っている人を優先するなど情報を分析しながら、雑誌のようなレイアウトにまとめて表示していることから、「素材データを順位付けする」との記載は無いものの、「ユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して」いることにはかわりなく、それに対応する「評価部」を有していると認められる。
そして、引用例1発明は、「順位付けに基づ」くとの記載は無いものの、コンテンツ記事を雑誌のようなレイアウトにまとめて表示するためには、「前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し、前記記事配置に基づくコンテンツを作成するコンテンツ編集部」と同様の手段を備えていると認められる。
(ウ)引用例1発明は、コンテンツを所定グループに配信するとの記載は無いものの、「コンテンツ」を作成していることにはかわりないから、コンテンツを作成する「コンテンツ作成装置」を備えていると認められる。

(2-2)以上(ア)?(ウ)のことから、本件補正発明と引用例1発明とは、以下の点で一致し、また、相違する。

[一致点]
コンテンツを作成するコンテンツ作成装置であって、
ユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価する素材評価部と、
前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し、前記記事配置に基づくコンテンツを作成するコンテンツ編集部とを備える
コンテンツ作成装置。

[相違点1]
本件補正発明は「所定グループ内に配信されるコンテンツを作成するコンテンツ作成装置」であるのに対して、引用例1発明は、「コンテンツ」が「所定グループ内に配信される」ものではない点。

[相違点2]
本件補正発明は「素材評価部」が、「コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して前記素材データを順位付けする」のに対して、引用例1発明は「コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価」するものの、順位付けするものではない点。

[相違点3]
本件補正発明は「前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定し」ているのに対して、引用例1発明は、コンテンツ内の記事配置について「前記順位付けに基づ」くものではない点。

[相違点4]
本件補正発明は、「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新」しているのに対して、引用例1発明は上記更新をしていない点。

(2-3)当審の判断

上記各相違点について検討する。

(ア)[相違点1]について
引用例2に記載されているように、情報配信サーバが、他のコンテンツプロバイダからコンテンツを取得し、ユーザのアクセス履歴に基づいて編集されたレコメンド情報を、ユーザの携帯電話機に配信する技術は公知である。
また、情報配信サーバから配信されるレコメンド情報は、そのレコメンド情報を希望するユーザに配信されることは明らかであるから、レコメンド情報を希望するユーザにより構成されるグループ、即ち、所定のグループ内に配信されるものであると認められる。
引用例1発明では、「コンテンツ」が「所定グループ内に配信される」か否かが不明であるが、上記のように、情報提供を行う際に、サーバにて情報の収集、整理を行い、整理した結果を所定のグループ内に配信することは公知で有り、情報を収集し、収集した情報を整理し、整理した情報を提供するものにおいて格別困難ではない。
したがって、引用例1発明において、引用例2に記載されているように、素材評価部およびコンテンツ編集部をサーバ側に設け、クライアント側である、所定グループ内に配信するように行うことは、当業者が適宜為し得る事項である。

(イ)[相違点2]および[相違点3]について
引用例3に記載されているように、ユーザの属性を参照して、紙面コンテンツデータの優先順位を設定し、設定された優先順位に基づいてレイアウトを決定することは、公知である。
引用例1発明でも、前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定する際に、何らかの規則を用いて配置を決定する必要があることは明らかであるから、ユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価する素材評価部の評価に基づいて配置を決定することに格別の困難性は認められない。
そして、評価の際に、引用例3に記載されているように、順位付けを行うとし、その順位に基づいてコンテンツ内の記事配置を決定することは、当業者が適宜為し得る事項である。

(ウ)[相違点4]について
引用例4に記載されているように、Flipboardは、1ページ目は最新の更新情報(おおよそ1時間以内?)が記事として表示され、ページをめくるごとに時間をさかのぼっていく仕組みをとることは、公知の事項である。
そして、引用例1発明も、Flipboardに関する発明であるから、引用例1発明において、最新の更新情報を1ページ目に表示する等、素材データの更新に応じて、動的に素材データの記事配置を更新することは、当業者が適宜為し得る事項の範囲内である。
そうすると、引用例1発明に、引用例3に記載された公知技術を適用した際に、「前記素材評価部およびコンテンツ編集部は、コンテンツ記事の素材データの更新に応じて、動的に前記素材データの順位付けおよび前記コンテンツ内の記事配置を更新する」ようにすることは、当業者が適宜為し得る事項である。

そして、本件補正発明の作用効果も、引用例1発明および公知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。

よって、本件補正発明は、引用例1発明および公知の技術に基づいて当業者が容易に発明することが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定のより特許出願の際独立して特許を受けることが出来ないものである。

6.むすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、仮に、本件補正発明が、特許法第17条の2第5項に掲げるいずれかの目的とするものであるとしても、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
さらに、仮に、本件補正発明が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 補正却下の決定を踏まえた検討

(1)本願発明
平成26年6月20日付の手続補正書は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、同年2月14日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明」という。)

「所定グループ内に配信されるコンテンツを作成するコンテンツ作成装置であって、
コンテンツ配信先のユーザに対するコンテンツ記事の素材データの関連性を評価して前記素材データを順位付けする素材評価部と、
前記順位付けに基づいて前記素材データに対応するコンテンツ記事の前記コンテンツ内の記事配置を決定するコンテンツ編集部とを備え、
前記記事配置に基づくコンテンツを作成することを特徴とするコンテンツ作成装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1および2、並びに、原査定の拒絶査定の際に周知技術として引用された引用例3には、上記「第2 [理由]5.(1)」に記載したとおりの事項が記載されている。

(3)対比・判断
本願発明は、上記「第2 [理由]」で検討した本件補正発明から、上記「第2 [理由]2.」に記載した補正事項(a)に係る限定を省き、補正事項(b)に係る事項を除いたものである。

そうすると、本願発明の構成を要件を全て含み、更に他の要件を付加したものに相当する本件補正発明が前記「第2 [理由]5.」に記載したとおり、引用例1発明および公知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および公知の技術(引用例4を除く。)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用例1発明および公知の技術(引用例4を除く。)から当業者が予測できる範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および公知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることが出来たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-23 
結審通知日 2015-05-07 
審決日 2015-05-19 
出願番号 特願2010-210189(P2010-210189)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 唐橋 拓史松田 直也  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 小田 浩
緑川 隆
発明の名称 コンテンツ作成装置およびコンテンツ作成方法  
代理人 福地 武雄  

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