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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1303519 |
審判番号 | 不服2014-12539 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-30 |
確定日 | 2015-07-23 |
事件の表示 | 特願2011-251482「通信端末、検索サーバ及び通信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月15日出願公開、特開2012- 55013〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.経緯 1.手続 本件出願は、平成21年5月27日(優先権主張 平成20年5月28日、日本、平成20年8月28日、日本)を国際出願日とする出願である特願2009-537436号の一部を平成23年11月17日に新たな特許出願としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成25年 5月30日(起案日) 手続補正 :平成25年 7月26日 拒絶理由通知《最後》 :平成25年 8月16日(起案日) 手続補正 :平成25年10月16日 補正却下 :平成26年 3月25日(起案日) 拒絶査定 :平成26年 3月25日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成26年 6月30日 手続補正 :平成26年 6月30日 前置審査報告 :平成26年 7月24日(起案日) 2.査定 原査定の理由は、概略、以下のとおりである。 この出願の請求項1ないし3に係る発明(平成25年7月26日付け手続き補正後)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 刊行物:特開2005-159743号公報 第2.平成26年6月30日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年6月30日付けの手続補正(以下「本件補正」という)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正は、請求項1に係る次の補正事項を含むものである(アンダーラインは補正箇所)。 (補正前の請求項1) 「表示部と、 前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含む検索データを送信する送信部と、 前記送信した検索データに基づいたデータを受信する受信部と、 前記受信したデータを前記表示部に表示させる制御部と、 を備える通信端末。」 とあるのを、 (補正後の請求項1) 「表示部と、 前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含み、前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データを送信する送信部と、 前記送信した検索データに基づいたデータを受信する受信部と、 前記受信したデータを前記表示部に表示させる制御部と、 を備える通信端末。」 と補正する。 2.補正の適否 上記補正事項は、「送信部」が送信する検索データの内容を限定するものといえるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、上記1.の(補正後の請求項1)に記載した事項により特定される次のとおりのものである。 (本願補正発明) 表示部と、 前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含み、前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データを送信する送信部と、 前記送信した検索データに基づいたデータを受信する受信部と、 前記受信したデータを前記表示部に表示させる制御部と、 を備える通信端末。 (2)刊行物の記載事項 ア.原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-159743号公報(以下「刊行物1」という)には、「映像表示装置、映像表示プログラム、情報配信装置および情報配信システム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【0027】 図1は、本発明の実施の形態の1つにおける情報通信システムの概略を示す図である。図1を参照して、情報通信システム1は、配信センターに設置された情報配信装置200と、映像表示装置100とを含む。配信センターは、テレビジョン放送を行っておりデジタル放送波で映像信号10を送信する。ここでは、映像信号10をデジタル放送波で送信する例を示すが、映像信号10がアナログ信号の場合にはアナログ放送波で送信される。 【0028】 また、ここでは、配信センターが映像信号10を送信する例を示すが、配信センターとは別の場所で、別の事業体が映像信号10を送信するようにしてもよい。すなわち、情報配信装置200の管理者と映像信号10を送信する者とは、事業主体として同一である必要はなく、事業遂行にまったく関連がなくてもよい。 【0029】 映像表示装置100は、映像を表示するための映像出力部115を有する。映像表示装置100は、テレビジョン放送の映像信号10を再生可能なパーソナルコンピュータである。映像表示装置100は、それに備えられたマウスなどの入力デバイスの操作により、映像出力部115に表示されたポインタ106が位置する画面位置を指定することが可能である。入力デバイスにより、映像出力部115に表示された画面の画面位置が指定されると、画面位置を示す座標が座標情報として映像表示装置100に入力される。 【0030】 情報配信装置200は、データベースを有する。このデータベースは、映像信号に含まれるプログラム名、フレーム番号および画面の座標情報と、配信情報とを関連付けて記憶する。このデータベースは、情報配信装置200の管理者が作成するもので、映像信号に関連付けて予め作成されて記憶される。 【0031】 情報配信装置200と映像表示装置100とは、双方向通信可能な通信網20で接続されている。通信網20は、WAN(Wide Area Network)であり、たとえば加入電話回線等を用いたADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、光ファイバケーブルを用いたFTTH(Fiber To The Home)、ケーブルテレビ用の伝送媒体等で接続可能である。通信網20は有線であっても無線であってもよい。 【0032】 本実施の形態における情報通信システムにおける配信情報の送信について、その一例を説明する。配信センターから映像信号10が送信されると、映像表示装置100でその映像信号10が受信されて、映像出力部115に映像信号10を再生した映像が表示される。図1では、女性が左手に電話機121を持って話している映像のフレームが表示されている状態を示している。映像表示装置100に表示されている映像は、映像信号に含まれるプログラム名で特定される。映像表示装置100のユーザが入力デバイスを操作してポインタ106を電話機121が表示されている位置に合せて指示(クリック)すると、その時映像出力部115に表示されているフレームと、そのフレームの画面位置とが、フレーム番号と座標情報で特定される。座標情報は、画面の位置を特定するための位置情報である。 【0033】 映像表示装置100では、プログラム名21Aと、フレーム番号21Bと、位置情報21Cとを、通信網20を介して情報配信装置200に送信する。すると、情報配信装置200では、映像表示装置100から受信したプログラム名21Aと、フレーム番号21Bと、位置情報21Cとを検索要素として、予め準備されているデータベースを検索して、検索要素に一致する配信情報を抽出する。そして、抽出した配信情報を通信網20を介して映像表示装置100に送信する。 【0034】 ここでは、データベースにプログラム名21Aと、フレーム番号21Bと、位置情報21Cに関連する配信情報22が「XXX社製携帯電話、機種名:J-5032SH」としてデータベースに登録されているとする。映像表示装置100では、そのような配信情報22を受信すると、配信情報22を映像出力部115に表示されている映像に重畳して表示する。これにより、放送局から送信される映像信号を再生して表示した映像と、情報配信装置200から受信した配信情報とが同時に表示される。しかも、配信情報は現在表示されている映像に関連する情報なので、ユーザは映像に加えてそれとは別の情報を取得することができる。 【0035】 図2は、本実施の形態における映像表示装置と情報配信装置の機能を説明するための機能ブロック図である。図2を参照して、映像表示装置100は外部記憶装置117と接続されていおり、情報配信装置200は外部記憶装置215と接続されている。映像表示装置100は、外部記憶装置117でCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)119に記録された映像表示プログラムを読取り、映像表示装置100が備える中央演算装置(Central Processing Unit)で映像表示プログラムを実行する。情報配信装置200は、外部記憶装置215でCD-ROM217に記録された情報配信プログラムを読取り、情報配信装置200える中央演算装置で情報配信プログラムを実行する。 【0036】 映像表示装置100は、デジタル放送波からデジタルビデオ信号を取出して出力するTVチューナ101と、デジタルビデオ信号をアナログのビデオ信号に変換するビデオデコーダ109と、ユーザの操作を入力するための入力デバイス107と、デジタルビデオ信号を解析してプログラム名、フレーム番号を取得するフレーム解析部105と、映像表示装置100を通信網20に接続するための通信インタフェース103と、通信インタフェースにより受信された配信情報を記憶するための記憶部113と、ビデオ信号と配信情報とを合成するスケーラ111と、スケーラ111が出力する合成映像を表示するための映像出力部115とを含む。」 イ.特開平9-9289号公報(原査定の平成26年3月25日付け補正却下の決定で提示済み、以下「刊行物2」という)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述の如くのビデオプリンタ付画像表示装置における、紙面へのプリントがなされるべき画像をあらわす映像信号の1フレーム期間分の取出しは、例えば、ビデオプリンタ付画像表示装置の使用者により、装置に供給される映像信号に基づいて連続して表示される動画が所望の場面となったことが認識されて行われるものとされるので、使用者により取出しが意図された映像信号の1フレーム期間分と実際に取り出される映像信号の1フレーム期間分とが、相違することになってしまう虞がある。即ち、装置に供給される映像信号に基づいて連続して表示される動画を見ていた使用者が所望の場面となったことを認識した時点から、使用者によりプリント画像選択部が操作されて、その操作に応じた動作が装置により行われ、映像信号の1フレーム期間分が取り出されてメモリ手段に格納されるまでに、不可避的な遅れ時間が生じることになり、それによって、実際に取り出される映像信号の1フレーム期間分が、使用者により取出しが意図された映像信号の1フレーム期間分より後に到来するものとなってしまう事態がまねかれる虞がある。」 「【0026】従って、メモリ部24において、実質的に、フレーム選択部28の操作がなされたときフレームメモリ領域MXに格納されつつあった映像信号SVの1フレーム期間分に続いて順次到来する映像信号SVの4フレーム期間分までが、フレームメモリ領域MXに続く4個のフレームメモリ領域に夫々格納されることになり、さらに、その後に順次到来する映像信号SVの各フレーム期間分についての格納が停止されることになる。例えば、図3(tは時間をあらわす)に示される如く、メモリ部24において映像信号SVのフレーム期間分n+5がフレームメモリ領域MFに格納されつつある時点txにおいて、フレーム選択部28の操作がなされたとすると、映像信号SVのフレーム期間分n+5に続いて順次到来する映像信号SVのフレーム期間n+6,n+7,n+8及びn+9までが、メモリ部24におけるフレームメモリ領域MFに続くフレームメモリ領域MG,MH,及びMI、さらには、元に戻ってフレームメモリ領域MAに夫々格納され、映像信号SVにおけるフレーム期間n+10以降の各フレーム期間については格納が停止される。 【0027】その結果、メモリ部24におけるフレームメモリ領域MA?MIには、フレーム選択部28の操作がなされたときフレームメモリ領域MXに格納されつつあった1フレーム期間分のディジタル輝度信号DY,ディジタル赤色色差信号D(R-Y)及びディジタル青色色差信号D(B-Y)の組と、それ以前に格納された4組の1フレーム期間分のディジタル輝度信号DY,ディジタル赤色色差信号D(R-Y)及びディジタル青色色差信号D(B-Y)の組、及び、その後に格納された4組の1フレーム期間分のディジタル輝度信号DY,ディジタル赤色色差信号D(R-Y)及びディジタル青色色差信号D(B-Y)の組との、合計9組の1フレーム期間分のディジタル輝度信号DY,ディジタル赤色色差信号D(R-Y)及びディジタル青色色差信号D(B-Y)の組が格納されていることになる。従って、実質的には、例えば、図3に示される如く、映像信号SVのフレーム期間分n+1?n+9が、メモリ部24におけるフレームメモリ領域MB?MI及びMAに夫々格納されていることになる。」 「【0035】信号選択部15の出力端側に導出された赤色原色信号R’,緑色原色信号G’及び青色原色信号B’は、カラーCRT16に供給され、それにより、カラーCRT16の表示面部に、D/A変換部31,32及び33から順次得られる9組の1フレーム期間分の輝度信号Y’,赤色色差信号(R-Y)’及び青色色差信号(B-Y)’の組の夫々があらわす画像の全部、従って、映像信号SVにおける選択された9フレーム期間分の夫々があらわすカラー画像の全部が、各々が9個に区分された画面画像の一つを成す静止画とされて同時に表示される。このような、カラーCRT16の表示面部における9個に区分された画面画像の同時表示は、例えば、図4に示される如くに、実質的にメモリ部24から読み出された映像信号SVにおけるフレーム期間分n+1?n+9の各々があらわすカラー画像が、横方向及び縦方向に3個ずつ配された9個の区分された画面画像(n+1)?(n+9)を形成するようにして行われる。 【0036】このようなもとで、制御ユニット部20に接続されたプリント画像選択部29の操作がなされるとき、プリント画像選択部29からプリント画像選択指令信号CPが制御ユニット部20に供給される。斯かる際におけるプリント画像選択部29の操作は、例えば、カラーCRT16における表示面部に9個に区分された画面画像として表示される、映像信号SVにおける選択された9フレーム期間分の夫々があらわすカラー画像を見ていた装置の使用者が、9個に区分された画面画像のうちの一つが所望の画像であることを認識して、その画面画像に対応する映像信号SVにおける特定フレーム期間分を、それがあらわす画像についてのプリントに供されるものとして選択すべく行うものとされる。そして、プリント画像選択部29から送出されるプリント画像選択指令信号CPは、9個に区分された画面画像のうちの使用者によって所望のものとして認識されたものをプリント画像としてあらわす内容を有するものとされる。」 ウ.特開2007-243630号公報(以下「刊行物3」という)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。 「【0006】 しかしながら、デジタル画像データやデジタル音響データを再生可能な再生装置ではコンパクトディスクやフラッシュメモリ等のランダムアクセス可能な記録媒体にデジタル画像データを記録した記記録媒体をアクセス可能な再生装置では、停止ボタンの押し下げによるトリガを検出するとその時点に読み取ったデータの再生画像を静止表示し、その時点以後の画像データを読み取らないようにしてコマを停止させることができるが、人間が視覚的にサーチ箇所を感知してから停止ボタンを押すまでには個人差はあるものの若干の時間がかかるため、ユーザが発見したサーチ箇所のコマと停止ボタンの押し下げによりトリガが検出された時点のコマに時間的なズレが生じるため、動画再生時に早送りや巻き戻しを行っているときに表示される画像を見ていてサーチ箇所が見つかったときそのコマで停止させようとしても通り過ぎてしまって所望のコマで停止できないので再生を開始する場合にはユーザは手動でコマ送り/コマ戻し操作を行わなければならないという課題があった。また、再生装置が、早送りボタン若しくは巻き戻しボタンが押されている間は動画を再生・表示し、ボタンから指を離すと停止トリガが出力されるように構成されている場合にも人間が視覚的にサーチ箇所を感知してからボタンから指を離すまでには若干の時間がかかるため、同様の課題があった。」 「【0010】 上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、動画を記録保存する動画記録手段と、動画記録手段に記録されている動画を再生する画像再生手段と、動画の早送り指示を行う早送り指示手段と、早送り中の動画の停止指示を行う停止指示手段と、早送り指示により画像再生手段に早送り再生動作を行なわせ、早送り停止指示により早送り再生動作を停止させる早送り動作制御手段と、早送り停止後に、画像再生手段に通常再生を行わせる際に停止位置より所定フレーム分遡ったフレームから再生を開始させる再生開始位置制御手段と、を備えたことを特徴とする再生装置を提供する。 これにより、動画の早送り時に停止させてから通常再生を行う際に、ユーザが再生を開始したいと思ったフレームに近いところから再生を開始することができる。」 「【0049】 図3は本発明に係わる早送り/巻き戻し後の動画再生開始位置制御の基本原理の説明図である。動画の早送りを行いながらユーザがあるコマ画像(フレーム画像)41をサーチしていたところ、図3(a)に示すように時間t1に動画表示されたコマ画像41を見つけて(認識して)直ちに停止ボタンを押したとする。この場合、ユーザの認識時間と停止指示操作時間の差によってユーザが画像41を画面上で認識した時間と停止指示が出された時間t2の間に△tのずれが生じるため、動画が停止した時点ではコマ画像41はKコマだけ進み過ぎてしまい、画面にはKコマ後のコマ画像42が静止表示される結果となる。そこで、再生開始時に再生開始位置をKコマ分遡らせるようにしてユーザが認識したコマ画像41に近いコマから再生を開始するようにする。このようにすることにより、動画を早送りしても従来のようにユーザが開始したいと思うコマから再生を行うために何度も戻し/送り操作を行わなくても簡単に開始したいと思うコマ若しくはそのコマに近いコマから動画の再生を開始することができる。」 (3)引用発明 刊行物1に記載される発明(以下「引用発明」という)を、以下に認定する。 a.映像表示装置 刊行物1の段落【0027】?【0036】の記載によれば、刊行物1には「映像表示装置」に関する発明が記載されている。 b.映像出力部 刊行物1の段落【0029】,【0032】,【0036】の記載によると、刊行物1記載の「映像表示装置」は、「映像を表示するための映像出力部」を有する。 c.通信インタフェース 刊行物1の段落【0029】,【0032】,【0033】,【0036】の記載によると、刊行物1記載の「映像表示装置」は、「ユーザが入力デバイスを操作して、映像出力部に表示された映像の位置(例えば、電話機が表示されている位置)を指示(クリック)すると、その時映像出力部に表示されているプログラム名21A、フレーム番号21B、位置情報21Cが、検索要素として通信網を介して情報配信装置に送信する」機能を有しており、その送信は「通信インタフェース」を介して行われる。 すなわち、「映像表示装置」は、「ユーザが映像出力部に表示された映像の位置を指示すると、位置指示時に映像出力部に表示されているフレーム番号を含む検索要素を送信する通信インタフェース」を有する。 また、段落【0033】,【0034】,【0036】の記載によれば、「情報配信装置は、予め準備されているデータベースを検索して、検索要素に一致する配信情報を抽出し、抽出した配信情報を通信網を介して映像表示装置に送信する」ものであり、この配信情報は「映像表示装置」が送信した検索要素に基づく情報であり、「映像表示装置」は「通信インタフェース」を介してその配信情報を受信するものといえる。 すなわち、「映像表示装置」が有する「通信インタフェース」は、「送信した検索要素に基づく配信情報を受信する」ものといえる。 d.表示制御手段 刊行物1の段落【0034】の記載によれば、刊行物1記載の「映像表示装置」は「配信情報を受信すると、配信情報を映像出力部に表示されている映像に重畳して表示する」機能を有しており、その機能を実現する表示制御手段を有しているものといえる。 e.まとめ 以上aないしdの記載事項をまとめると、刊行物1には、下記の発明が開示されているといえる。 (引用発明) 映像を表示するための映像出力部と、 ユーザが映像出力部に表示された映像の位置を指示すると、位置指示時に映像出力部に表示されているフレーム番号を含む検索要素を送信し、送信した検索要素に基づく配信情報を受信する通信インタフェース103と、 配信情報を受信すると、配信情報を映像出力部に表示されている映像に重畳して表示する表示制御手段と、 を備える映像表示装置。 (4)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 a.本願補正発明の「表示部」と、引用発明の「映像出力部」の対比 引用発明の映像出力部は、映像を表示するものであるから本願補正発明の「表示部」に対応するものである。 b.本願補正発明の「送信部」と、引用発明の「通信インタフェース」の対比 引用発明の「通信インタフェース」は送信と受信の機能を有しており、そのうちの送信の機能は「ユーザが映像出力部に表示された映像の位置を指示すると、位置指示時に映像出力部に表示されているフレーム番号を含む検索要素を送信」するというものである。 引用発明の「ユーザが映像出力部に表示された映像の位置を指示する」ことは、映像の位置が指示されたことが認識されたことといえるから、本願補正発明の「前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合」といえる。また、引用発明の「検索要素」は、情報を検索するためのデータであるから、本願補正発明の「検索データ」に相当する。 ここで、本願補正発明の「指示タイミング情報」を確認すると、本願明細書の段落【0025】には「この指示タイミング情報とは、例えばデジタル放送の放送時刻や記憶メディア等に記憶された映像データの再生時間といった、映像データに関する所定のタイムスタンプ情報であり、映像データのどのフレームをユーザが指示しているのかを判断する基準となるものである。」との記載があり、「指示タイミング情報」は、映像データのフレームに関する情報である。 したがって、引用発明の「フレーム番号」は、本願補正発明の「指示タイミング情報」に相当するものといえる。 そして、引用発明の「位置指示時に映像出力部に表示されているフレーム番号」は、「指示した時点の指示タイミング情報」である。 以上のことを総合すると、引用発明の「通信インタフェース」は「前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、検索データを送信する送信部」というものである点で、本願補正発明と共通するものである。 ただし、送信部が送信する「検索データ」が、本願補正発明は「前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含み、前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データ」であるのに対し、引用発明は「指示した時点の指示タイミング情報を含む検索データ」である点において、両者は相違する。 c.本願補正発明の「受信部」と、引用発明の「通信インタフェース」の対比 引用発明の「通信インタフェース」は、「送信した検索要素に基づく配信情報を受信する」という受信の機能を有している。 上記bにおいて検討したように、引用発明の「検索要素」は本願補正発明の「検索データ」に相当し、その検索データに基づく配信情報は、「検索データに基づいたデータ」といえる。 そうすると、引用発明の「通信インタフェース」は、本願補正発明の「前記送信した検索データに基づいたデータを受信する受信部」と相違しない。 d.本願補正発明の制御部と、引用発明の表示制御部の対比 引用発明の「表示制御部」は「配信情報を受信すると、配信情報を映像出力部に表示されている映像に重畳して表示する」ものであり、上記cにおいて検討したように。引用発明の「配信情報」は、「受信した検索データに基づいたデータ」であるから、本願補正発明の「受信したデータ」に相当する。 そして、引用発明の「表示制御部」は、その配信情報(受信したデータ)を映像出力部(表示部)に表示するものであるから、本願補正発明の「前記受信したデータを前記表示部に表示させる制御部」と相違しない。 e.本願補正発明の「通信端末と、引用発明の「映像表示装置」の対比 引用発明の「映像表示装置」は、検索要素を送信し、検索要素に基づいた配信情報を受信する装置であり、通信を行う端末といえることから、本願補正発明の「通信端末」に対応するものである。 (5)一致点・相違点 上記(4)のaないしeの対比結果をまとめると、本願補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。 [一致点] 表示部と、 前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、検索データを送信する送信部と、 前記送信した検索データに基づいたデータを受信する受信部と、 前記受信したデータを前記表示部に表示させる制御部と、 を備える通信端末。 [相違点] 送信部が送信する「検索データ」が、本願補正発明は「前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含み、前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データ」であるのに対し、引用発明は「指示した時点の指示タイミング情報を含む検索データ」である点。 (6)相違点の判断 上記刊行物2には、ビデオプリンタ付き映像信号処理装置において、使用者が所望の場面となったことを認識した時点でプリント画像選択部が操作された時に、実際に取り出される映像信号が、使用者により取出しが意図された映像信号より後に到来するものとなってしまうという問題点に鑑み(段落【0005】)、フレーム選択部の操作がなされた時に、映像信号の前後9フレーム期間分の画像を表示し、そのうちの一つを所望の画像として選択する(段落【0026】,【0027】,【0035】,【0036】)技術が開示されている。 また、上記刊行物3には、再生装置において、人間が視覚的にサーチ箇所を感知してから停止ボタンを押すまでには若干の時間がかかるため、サーチ箇所が見つかったときそのコマで停止させようとしても通り過ぎてしまって所望のコマで停止できないという問題点に鑑み(段落【0006】)、動画の早送り再生中に、時間t1に動画表示されたコマ画像41を見つけて(認識して)直ちに停止ボタンを押した場合、ユーザの認識時間と停止指示操作時間の差によってユーザが画像41を画面上で認識した時間と停止指示が出された時間t2の間に△tのずれが生じるため、動画が停止した時点ではコマ画像41はKコマだけ進み過ぎてしまい、画面にはKコマ後のコマ画像42が静止表示される結果となるので、再生開始時に再生開始位置をKコマ分遡らせるようにしてユーザが認識したコマ画像41に近いコマから再生を開始する(段落【0010】,【0049】)技術が開示されている。 このように映像信号処理装置などにおいて、映像中の所定のフレームに対してユーザが指示を行う場合、ユーザが認識した指示タイミングの反応時間の遅れに伴うタイミング(フレーム)のずれ(遅れ)を考慮して、ユーザの指示時より前のタイミングのフレームを用いることやユーザの指示時より前の時間のタイミング情報を用いてユーザの反応時間の遅れを調整することはごく普通に行われていることである。 そうすると、引用発明において、送信部が、前記表示部に表示された映像への指示を認識した場合に、「指示した時点の指示タイミング情報を含む検索データ」を送信していたものを、ユーザの反応時間の遅れに伴うタイミングのずれ(遅れ)を考慮して、「前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含む検索データ」とすることは当業者が容易に想到し得ることといえる。 そして、その際に、反応時間の遅れのみを考慮して、「前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データ」とすることも適宜になし得る設計的事項である。 したがって、引用発明において、送信部が送信する「検索データ」を、本願補正発明のように、「前記指示時より前の時間を示す指示タイミング情報を含み、前記指示時より後の時間を示す指示タイミング情報を含まない検索データ」とすることは当業者が容易に想到し得ることといえる。 (7)効果について 本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。 (8)まとめ 以上のように、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明、および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 平成26年6月30日付けの手続補正は上記の通り却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成25年7月26日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、前記第2.1.の(補正前の請求項1)に記載した事項により特定されるとおりのものである。 2.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1、及び、その記載事項は、前記第2.2.(2)に記載したとおりである。 3.対比・判断 本願発明は、前記第2.2.で摘示した本願補正発明に追加された限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が前記第2.2.に記載したとおり、刊行物1に記載された発明、および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明、および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明、および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-19 |
結審通知日 | 2015-05-26 |
審決日 | 2015-06-09 |
出願番号 | 特願2011-251482(P2011-251482) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 村山 絢子、岩井 健二 |
特許庁審判長 |
藤井 浩 |
特許庁審判官 |
清水 正一 渡辺 努 |
発明の名称 | 通信端末、検索サーバ及び通信システム |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 大倉 昭人 |