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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1303860
審判番号 不服2014-14658  
総通号数 189 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-25 
確定日 2015-08-03 
事件の表示 特願2012-101679「画像処理装置及びその制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月23日出願公開、特開2012-161094〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 経緯
1 経緯
本件出願は、平成13年3月29日(優先権主張平成12年3月29日、平成12年4月11日、平成12年4月19日)に出願した特願2001-97033号の一部を平成22年10月12日に新たな特許出願とした特願2010-230092号の一部を、更に平成23年10月31日に新たに特許出願した特願2011-239477号の一部を、更に平成24年4月26日に新たに特許出願したものであって、平成24年5月28日付けで手続補正がなされ、平成25年7月25日付けで拒絶理由の通知がなされ、これに対し、平成25年9月27日付けで手続補正がなされたが、平成26年4月22日付け(発送日同年4月25日)で拒絶査定がなされた。
本件は、上記拒絶査定を不服として平成26年7月25日付けで請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされた。

2 査定の概要
原査定の理由は、概略、次のとおりである。

[査定の理由]
請求項1?9に係る発明は、下記の刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開平5-219290号公報
引用文献2:特開2000-36885号公報
引用文献3:特開平10-155052号公報
引用文献4:特開平11-177614号公報

第2 補正却下の決定
平成26年7月25日付けの手続補正について次のとおり決定する。

[補正却下の決定の結論]
平成26年7月25日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成26年7月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてする補正である。

補正前の請求項1?9
「 【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶手段と、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段と、
前記履歴画面を介して特定される前記画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記再送信指示が受信された場合に、送信宛先を変更することがユーザにより指示されていれば、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、送信宛先を変更することが前記ユーザにより指示されていなければ、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記送信履歴は、更に、画像データの送信結果、前記画像データを送信する送信ジョブのID、送信ページ数、通信モード、部門ID、又はFコードを指定して送信した場合にはそのFコードが含まれることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、Webブラウザがインストールされているコンピュータと通信することが可能であり、
前記生成手段により生成された履歴画面のデータをWebページとして前記コンピュータに送信するWebページ送信手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記生成手段により生成され表示された履歴画面を介して特定される前記画像データを再送信するための再送信指示をHTTPコマンドとして受信し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信されたHTTPコマンドに基づいて、前記画像データを送信するよう前記送信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受信手段により受信されたHTTPコマンドは、宛先の変更指示を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像データに基づいて画像を印刷する印刷手段を更に有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
ユーザからの操作を受け付ける操作部を更に有し、
前記制御手段は、更に、前記操作部からの操作に応じて前記画像データを再送信することが可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理システムで実行される制御方法であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取ステップと、
前記読取ステップで生成された画像データを指定された送信宛先に送信する送信ステップと、
少なくとも前記送信ステップにより正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶ステップと、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成された履歴画面を表示するステップと、
前記表示ステップで表示された履歴画面を介して特定される前記画像データを送信するための再送信指示を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記再送信指示が受信された場合に、送信宛先を変更することがユーザにより指示されていれば、前記送信履歴とともに記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、送信宛先を変更することが前記ユーザにより指示されていなければ、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
原稿を読み取って画像データを生成することを指示するステップと、
前記生成された画像データを指定された送信宛先に送信することを指示するステップと、
少なくとも前記生成された画像データを指定された送信宛先に正常に送信された場合に当該画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶するステップと、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成するステップと、
前記履歴画面を介して特定される前記画像データを再送信するための再送信指示を受信するステップと、
前記再送信指示が受信された場合に、送信宛先を変更することがユーザにより指示されていれば、前記送信履歴とともに記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、送信宛先を変更することが前記ユーザにより指示されていなければ、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信することを指示するステップと
を実行させるためのプログラム。」

を、次のとおり補正後の請求項1?9に補正するものである。

「 【請求項1】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶手段と、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段と、
前記履歴画面から選択される送信履歴とともに記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段と、
前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、前記受信手段によって、前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記送信履歴は、更に、画像データの送信結果、前記画像データを送信する送信ジョブのID、送信ページ数、通信モード、部門ID、又はFコードを指定して送信した場合にはそのFコードが含まれることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、Webブラウザがインストールされているコンピュータと通信することが可能であり、
前記生成手段により生成された履歴画面のデータをWebページとして前記コンピュータに送信するWebページ送信手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記生成手段により生成され表示された履歴画面を介して特定される前記画像データを再送信するための再送信指示をHTTPコマンドとして受信し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信されたHTTPコマンドに基づいて、前記画像データを送信するよう前記送信手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記受信手段により受信されたHTTPコマンドは、宛先の変更指示を含むことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像データに基づいて画像を印刷する印刷手段を更に有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
ユーザからの操作を受け付ける操作部を更に有し、
前記制御手段は、更に、前記操作部からの操作に応じて前記画像データを再送信することが可能であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理システムで実行される制御方法であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取ステップと、
前記読取ステップで生成された画像データを指定された送信宛先に送信する送信ステップと、
少なくとも前記送信ステップにより正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶ステップと、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成ステップと、
前記生成ステップで生成された履歴画面を表示する表示ステップと、
前記表示ステップで表示された履歴画面から選択される送信履歴とともに記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、前記受信ステップによって、前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶ステップで記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信ステップによる送信を制御する制御ステップと
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
原稿を読み取って画像データを生成することを指示するステップと、
前記生成された画像データを指定された送信宛先に送信することを指示するステップと、
少なくとも前記生成された画像データを指定された送信宛先に正常に送信された場合に当該画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶ステップと、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成するステップと、
前記履歴画面から選択される送信履歴とともに記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、前記受信ステップによって、前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに前記再送信指示が受信された場合には、
前記送信履歴とともに前記記憶ステップで記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信することを指示するステップと
を実行させるためのプログラム。」

2 補正の適合性
(1)補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
特に、以下で検討する請求項1に係る補正について、詳細すると、当該補正は、「前記履歴画面を介して特定される前記画像データ」を「前記履歴画面から選択される送信履歴とともに記憶した画像データ」に限定し、さらに
「前記受信手段によって前記再送信指示が受信された場合に、送信宛先を変更することがユーザにより指示されていれば、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、送信宛先を変更することが前記ユーザにより指示されていなければ、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段」を
「前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、前記受信手段によって、前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段」
に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。

(2)独立特許要件
上記のとおり本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的としているので、本件補正後における発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを、以下に検討する。

(3)補正後発明
補正後の請求項1?9に係る発明のうち請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「補正後発明」という。)。

「(A)原稿を読み取る読取手段と、
(B)前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
(C)少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶手段と、
(D)前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段と、
(E)前記履歴画面から選択される送信履歴とともに記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段と、
(F)前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、前記受信手段によって、前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段と
(G)を有することを特徴とする画像処理装置。」

((A)?(G)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」等という。)

(4)刊行物の記載及び刊行物に記載された発明
ア 刊行物1
(ア)刊行物1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-155052号公報(上記引用文献3、以下「刊行物1」という。)には、「マルチファンクションシステム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチファンクションシステムに関し、詳細には、ファクシミリ装置に接続されたコンピュータからファクシミリ装置の通信管理情報を参照して各種動作処理を行うマルチファンクションシステムに関する。」

「【0029】図1において、マルチファンクションシステム1は、ファクシミリ装置10とパーソナルコンピュータ(コンピュータ)30とを備えており、ファクシミリ装置10とパーソナルコンピュータ30とは、ケーブル40、例えば、セントロニクスのパラレルケーブルにより接続されている。
【0030】ファクシミリ装置10は、システム制御部11、メモリ12、操作表示部13、スキャナ14、プロッタ15、データ記憶メモリ16、画像メモリ17、符号化・復号化部18、通信制御部19、網制御部20及びホストI/F部21等を備えており、上記各部は、バス22により接続されている。
【0031】メモリ12には、ファクシミリ装置10の基本処理プログラムが格納されているとともに、後述するパーソナルコンピュータ30との間でデータやコマンドの授受を行ってパーソナルコンピュータ30からの動作命令に応じて各種動作処理を行うマルチファンクション制御処理プログラム及び基本処理プログラムとマルチファンクション制御処理プログラムを実行するのに必要な各種データやシステムデータ等が格納されている。
【0032】システム制御部(制御手段)11は、メモリ12内のプログラムに基づいてファクシミリ装置10の各部を制御し、ファクシミリ装置10としての送信動作や受信動作等の各種基本動作処理を実行するとともに、マルチファンクション制御処理プログラムに基づいてパーソナルコンピュータ30との間でデータ(特に、通信管理情報)やコマンドの授受を行って、パーソナルコンピュータ30からの動作命令に応じて、各種動作処理を行う。
【0033】操作表示部13は、テンキー、スタートキー、ストップキー及びその他の機能を利用するためのファンクションキー及びワンタッチキーや短縮キー等の各種操作キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)を備えており、操作表示部13は、各操作キーにより各種命令が入力され、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容やファクシミリ装置10からオペレータに通知する各種情報が表示される。
【0034】スキャナ14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、読取対象の複数枚の原稿のセットされるADF(自動原稿送り装置)を備えている。ADFは、セットされた原稿を1枚ずつスキャナ14の読取部に送給する。スキャナ14は、ADFから搬送されてきた原稿を走査して、原稿の画像データを所定の解像度で読み取る。
【0035】スキャナ14の読み取った画像データは、システム制御部11の制御下で符号化・復号化部18で符号化されて画像メモリ17に一時蓄積され、あるいは、プロッタ15に転送されてプロッタ15で記録紙に記録出力される。
【0036】プロッタ15は、例えば、サーマル素子を利用したサーマル記録装置あるいは電子写真式記録装置等が使用され、プロッタ15は、受信画像データやスキャナ14で読み取った画像データを記録紙に記録出力する。
【0037】データ記憶メモリ(通信管理情報記憶手段)16は、RAM(Random Access Memory)等で形成され、送信結果、受信結果、待機ファイルの送信結果等の各種通信管理情報やその他の必要なデータが格納されている。この通信管理情報は、例えば、ファイルナンバー、通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号、通信時間、交信ページ、交信モード、状態及びイメージファイルの状態等からなる。
【0038】画像メモリ(ファイル記憶手段)17は、例えば、大容量のハードディスク装置、あるいは、RAM等で構成され、主に画像データを蓄積する。画像メモリ17には、送信用の画像データ、受信した画像データ及び送信待機の画像データ等を送信ファイル、受信ファイル及び待機ファイル等の通信ファイルとして蓄積するとともに、これらの通信ファイルを管理するのに必要なファイル管理情報を記憶し、システム制御部11の制御下で書き込み及び読み取りが行われる。
【0039】符号化・復号化部18は、画像データの画像メモリ17への蓄積の効率化及び伝送時間の短縮化を図るためのものであり、所定の符号化方式に従って画像データを符号化し、また、符号化された画像データを復号化する。
【0040】通信制御部19は、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ制御信号を交換し、ファクシミリ通信手順を実行する。
【0041】網制御部20には、回線、例えば、公衆電話回線あるいは専用回線が接続され、網制御部20は、回線からの発呼に対して自動着呼し、また、回線への自動発呼処理を行う。また、網制御部20は、モデムを内蔵しており、モデムは、送信信号の変調及び受信信号の復調を行う。
【0042】ホストI/F部20には、ケーブル40を介してパーソナルコンピュータ30が接続され、各種データ、特に、通信管理情報、画像データ及びコマンドの授受を行う。ホストI/F部20としては、例えば、パラレルポートが使用され、このパラレルポートのホストI/F部20へのアクセスは、セントロニクス規格(IEEE P1284参照)が適用される。なお、ホストI/F部20としては、上記セントロニクスのパラレルポートに限るものではなく、例えば、SCSI-2、SCSI-3等を用いてもよく、これらを用いると、データの送受を高速で行うことができる。
【0043】パーソナルコンピュータ30は、パーソナルコンピュータ本体31、ディスプレイ(表示手段)32、キーボード33及びマウス34等を備えており、パーソナルコンピュータ本体31には、通信管理情報アプリケーションソフト(通信管理ソフト)がインストールされている。この通信管理情報アプリケーションソフトは、ファクシミリ装置10からデータ記憶メモリ16内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイ32に表示し、当該ディスプレイ32に表示した通信管理情報に基づいて、キーボード33やマウス34からの選択・命令操作に応じて、必要なコマンドやデータをファクシミリ装置10に出力する。すなわち、パーソナルコンピュータ30は、通信管理情報アプリケーションソフトが立ち上がっている状態で、図2の上部に示すようなComm Logのタイトル表示34aをディスプレイ32に行い、このタイトル表示部分がマウスでクリックあるいはダブルクリックされると、通信管理情報アプリケーションソフトが稼動状態となり、図2の下部に示すような内容表示を行う。なお、図2の下部には、Transmission(送信ログ表示)がマウスでクリックされた場合の送信ログ表示の状態を示しており、通信管理情報アプリケーションソフトは、その画面表示内容として、図2の下部に示すように、「Transmission」、「Receive」、「Stanby」及び「Help」の各メニューからなるメニュー欄34b、送信、受信等の各種通信管理情報を表示する管理情報表示欄34c、管理情報表示欄34cに表示されている通信ファイルのうち選択された通信ファイルのファイルナンバー、通信日時、処理結果等の通信管理項目を表示する通信管理項目表示欄34d、管理情報表示欄34cに表示されている通信ファイルのうち選択された通信ファイルの画像データの内容を表示するデータ表示欄34e及び管理情報表示欄34cに表示された通信管理情報や選択された通信ファイルの処理内容を選択するための各種処理内容表示欄34f、34g、34h、34i等を有している。上記キーボード33及びマウス34は、動作指示手段として機能している。
【0044】そして、パーソナルコンピュータ30は、各種ログの選択と当該ログに対応する通信ファイルの選択及び動作処理内容の選択操作が行われると、ファクシミリ装置10との間でデータ及びコマンドの授受を行って、ファクシミリ装置10に通信管理情報の要求、通信ファイルの要求、送信命令、更新命令、削除命令及び再送信命令等の各種動作命令や当該各種動作命令と当該動作命令に対応する通信ファイルの選択を通信管理情報に基づいて操作可能とする画面表示等の各種動作処理を行う。図2では、ハッチングの入っている欄が選択されている状態を示している。
【0045】なお、図2において、メニュー欄34bの「Transmission」は、送信ログ表示項目を示しており、パーソナルコンピュータ30は、この「Transmission」がクリックされると、ファクシミリ装置10に送信ログが選択された旨の送信ログ選択情報(送信ログ要求コマンド)を通知する。ファクシミリ装置10は、送信ログ選択情報がパーソナルコンピュータ30から送信されてくると、システム制御部11がメモリ12内のマルチファンクション制御処理プログラムに基づいてデータ記憶メモリ16の通信管理情報の中から送信に関する通信管理情報(送信ログ情報)を検索して、パーソナルコンピュータ30に送信する。パーソナルコンピュータ30は、ファクシミリ装置10から送信に関する通信管理情報を受け取ると、図2に示すように、送信ファイルの通信管理情報及び選択されている送信ファイルの画像データを必要に応じてディスプレイ32に表示出力する。・・・」

「【0046】また、図2の通信管理項目表示欄34dの「File No. 」は、管理情報表示欄34cに表示される通信ファイルのファイル番号を示しており、上述のように、この通信ファイルの通信管理情報は、ファクシミリ装置10のデータ記憶メモリ16に、画像データは、画像メモリ17に、それぞれ格納されている。このファイル番号の通信ファイルが選択された状態で、削除や再送信が指示されると、パーソナルコンピュータ30は、このファイル番号と削除や再送信等の動作命令をファクシミリ装置10に通知する。通信管理項目表示欄34dの「Date」は、通信の開始日付を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信開始日付である。通信管理項目表示欄34dの「Time」は、通信の開始時間を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信開始時間である。通信管理項目表示欄34dの「Address」は、通信の相手先の名称を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信相手先名称である。通信管理項目表示欄34dの「Fax No. 」は、通信の相手先のファクシミリ番号(電話番号)を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信相手先のファクシミリ番号である。通信管理項目表示欄34dの「CommTM」は、通信の時間を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信に要した時間(通信時間)である。通信管理項目表示欄34dの「Page」は、通信ファイルのページを示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信ページである。通信管理項目表示欄34dの「Mode」は、通信のモードを示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの通信モードで、例えば、#は、BATCHを、Cは、CONFIDENTIALを、Sは、TRANSFERを、Pは、POLINGを、Mは、MEMORYを、Lは、SEND LATERを、@は、FORWARDINGを、Eは、ECMを、Sは、STANDARDを、Dは、DETAILを、Fは、FINEを、>は、REDUCATIONを、それぞれ示している。通信管理項目表示欄34dの「Status」は、通信ファイルの状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの状態で、例えば、OKは、通信が正常完了したことを、Eは、ERROR(通信に失敗したこと)を、Sは、STANBY(待機状態)を、それぞれ示している。通信管理項目表示欄34dの「Image」は、イメージファイルの有無状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルが画像メモリ17に有るか否かを示し、通信ファイルの画像データが画像メモリ17に有ると、ファイル名が表示される。」

「【0049】図2の処理内容表示欄34hの「Resend」は、再送信処理を示すものであり、パーソナルコンピュータ30は、処理内容表示欄34hの「Resend」がクリックされると、選択されているファイルナンバーと再送信命令(再送信コマンド)をファクシミリ装置10に通知する。ファクシミリ装置10は、ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリ16から該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリ17の当該ファイルナンバーの画像データを再送信し、再送信の結果をパーソナルコンピュータ30に通知する。」

「【図2】



(イ)刊行物1に記載された発明
刊行物1には、「ファクシミリ装置に接続されたコンピュータからファクシミリ装置の通信管理情報を参照して各種動作処理を行うマルチファンクションシステム」が記載されており、そのうちのファクシミリ装置を刊行物1に記載された発明として認定する。
ファクシミリ装置は、「システム制御部11、メモリ12、・・・、スキャナ14、・・・、データ記憶メモリ16、画像メモリ17、・・・、通信制御部19、網制御部20及びホストI/F部21等を備えて」(段落【0030】)いる。
「スキャナ14」は、『原稿を読み取る読取手段』といえる。
「システム制御部・・・11は、メモリ12内のプログラムに基づいてファクシミリ装置10の各部を制御し、ファクシミリ装置10としての送信動作・・・等の各種基本動作処理を実行する」(段落【0032】)から、ファクシミリ装置は『前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段』を有しているといえる。
「データ記憶メモリ・・・16は、・・・送信結果等の各種通信管理情報・・・が格納されている。この通信管理情報は、例えば、ファイルナンバー、通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号、通信時間、・・・状態及びイメージファイルの状態等からなる」(段落【0037】)。ここで、「状態」は、段落【0046】に「通信管理項目表示欄34dの「Status」は、通信ファイルの状態を示しており、ファクシミリ装置10のシステム制御部11が管理している当該通信ファイルの状態で、例えば、OKは、通信が正常完了したことを、Eは、ERROR(通信に失敗したこと)を、Sは、STANBY(待機状態)を、それぞれ示している」と記載されていることから、「正常完了」や「ERROR」を示すものである。
したがって、ファクシミリ装置は、『少なくともファイルナンバ-、前記送信手段により正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報を記憶するデータ記憶メモリ』を有している。
また、ファクシミリ装置は、『画像データを蓄積する画像メモリ』(段落【0038】)を有している。
ファクシミリ装置は、「ケーブル40を介してパーソナルコンピュータ30が接続され」(段落【0042】)、パーソナルコンピュータは、「ファクシミリ装置10からデータ記憶メモリ16内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイ32に表示し、当該ディスプレイ32に表示した通信管理情報に基づいて、キーボード33やマウス34からの選択・命令操作に応じて、必要なコマンドやデータをファクシミリ装置10に出力する」(段落【0043】)。そして、「このファイル番号の通信ファイルが選択された状態で、・・・再送信が指示されると、パーソナルコンピュータ30は、このファイル番号と・・・再送信・・・の動作命令をファクシミリ装置10に通知する」(段落【0046】)。ここで、「このファイル番号の通信ファイルの選択」は、ディスプレイ32に表示した通信管理情報に基づいており、通信ファイルには画像データのファイル名がある(段落【0048】)。そして、「ファクシミリ装置10は、ファイルナンバーと再送信命令を受け取る」(段落【0049】)から、ファクシミリ装置は、『ファイルナンバーと再送信命令を受信する受信手段』があることは明らかである。また、この「ファイルナンバーと再送信命令」は、『ファクシミリ装置からデータ記憶メモリ内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示した通信管理情報に基づいて、キーボードやマウスからの選択・命令操作に応じて』『パーソナルコンピュータから』出力されるものである。
ファクシミリ装置は、『ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信』(段落【0049】)する制御手段を有することは明らかである。

以上より、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。

「原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
少なくともファイルナンバー、前記送信手段により正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報を記憶するデータ記憶メモリと、
画像データを蓄積する画像メモリと、
ファクシミリ装置からデータ記憶メモリ内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示した通信管理情報に基づいて、キーボードやマウスからの選択・命令操作に応じて、ファイルナンバーと再送信命令を出力するパーソナルコンピュータから、ファイルナンバーと再送信命令を受信する受信手段と、
ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信する制御手段と
を有することを特徴とするファクシミリ装置。」

イ 刊行物2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された特開2000-36885号公報(上記引用文献2、以下「刊行物2」という。)には、「ネットワークファクシミリ装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つ以上のワークステーション装置が接続されたローカルエリアネットワークに接続されるとともに、公衆網を介し、ファクシミリ装置との間で所定のファクシミリ伝送手順を用いてファクシミリデータをやりとりするネットワークファクシミリ装置に関する。」

「【0030】また、本実施例では、ユーザにより操作表示部7が操作され、画情報送信が指令されると、そのときにセットされた送信原稿をスキャナ5で読み取り、それによって得た画像データを符号化複号化部8で符号化圧縮し、それによって得た画情報を画像蓄積装置9に蓄積し、指定された宛先へ発呼して、蓄積した送信画情報を送信する。
【0031】そして、その画情報送信について、図3(a)に示すような履歴情報を作成する。また、蓄積した画情報を管理するために、同図(b)に示すような蓄積管理情報を作成して保存する。
【0032】履歴情報は、ワークステーション装置WS(WS1?WSn)から履歴情報を取り出す際に参照される送信履歴用パスワード、送信日時、送信時の伝送モード、宛先の電話番号をあらわす宛先番号、その送信動作の結果をあらわす送信結果、および、送信する画情報のファイル番号をあらわす送信画情報ファイル番号からなる。」

「【0064】・・・ワークステーション装置WSでは、ネットワークファクシミリ装置FXから1つ以上の送信履歴情報を受信し(処理604)、その受信した1つ以上の送信履歴情報の内容を一覧表示して(処理605)、ユーザに対して、宛先を変更するか否かを問い合わせて、それぞれの送信履歴情報に関して宛先を変更操作させる宛先変更操作処理(処理606)を実行する。
【0065】これにより、ユーザが1つ以上の送信履歴情報について、宛先を変更した場合には(判断607の結果がYES)、その宛先が変更されたそれぞれの送信履歴情報について、その送信履歴情報に記憶されていた送信画情報ファイル番号と、変更された宛先の内容を指定した状態で、ネットワークファクシミリ装置FXへ送信要求を発行する(処理608)。
【0066】これにより、ネットワークファクシミリ装置FXは、ワークステーション装置WSから通知された送信画情報ファイル番号の蓄積画情報を、指定された送信宛先へ送信する送信動作を行う。」

(5)対比
ア 補正後発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)構成要件A
構成要件Aと刊行物1発明における「原稿を読み取る読取手段」とを対比する。補正後発明と刊行物1発明とは、「原稿を読み取る読取手段」を有する点で一致する。

(イ)構成要件B
構成要件Bと刊行物1発明における「前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段」とを対比する。補正後発明と刊行物1発明とは、「前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段」を有する点で一致する。

(ウ)構成要件C
構成要件Cと刊行物1発明における「少なくともファイルナンバー、前記送信手段により正常に送信された画像データの通信開始日、通信開始時間、相手先名称、ファクシミリ番号を含む通信管理情報を記憶するデータ記憶メモリ」、「画像データを蓄積する画像メモリ」とを対比する。
「画像データの通信開始日、通信開始時間」は、補正後発明の「画像データの送信日時」に相当し、「相手先名称、ファクシミリ番号」は、補正後発明の「送信宛先」に相当し、「通信管理情報」は、補正後発明の「送信履歴」に相当する。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を記憶する記憶手段」を有する点で共通する。
しかしながら、「送信履歴を記憶する記憶手段」が、補正後発明においては、「前記画像データとともに」送信履歴を記憶するのに対し、刊行物1発明においては、送信履歴を記録する記憶手段と別の記憶手段に画像データを記憶する点で相違する。

(エ)構成要件D
構成要件Dと刊行物1発明における「ファクシミリ装置からデータ記憶メモリ内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイに表示し」とを対比する。
刊行物1発明においては、パーソナルコンピュータが「ファクシミリ装置からデータ記憶メモリ内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイに表示」するから、パーソナルコンピュータが送信履歴を表示するための履歴画面を生成しており、ファクシミリ装置は、「前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段」を有していない。
したがって、補正後発明は「前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段」を有しているのに対し、刊行物1発明は当該生成手段を有していない点で相違する。

(オ)構成要件E
構成要件Eと刊行物1発明における「ファクシミリ装置からデータ記憶メモリ内の通信管理情報を受け取って、ディスプレイに表示し、当該ディスプレイに表示した通信管理情報に基づいて、キーボードやマウスからの選択・命令操作に応じて、ファイルナンバーと再送信命令を出力するパーソナルコンピュータから、ファイルナンバーと再送信命令を受信する受信手段」とを対比する。
刊行物1発明において、「ファイルナンバーと再送信命令」は、「ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信する」のであるから、「記憶した画像データの再送信指示」をいえる。
そして、「当該ディスプレイに表示した通信管理情報に基づいて、キーボードやマウスからの選択・命令操作に応じて、ファイルナンバーと再送信命令を出力する」から、「履歴情報から選択される」といえる。
したがって、補正後発明と刊行物1発明とは、「履歴情報から選択される記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段」を有する点で共通する。
しかしながら、上記(ウ)のとおり、補正後発明が「送信履歴が画像データとともに記憶されている」ことに伴い、「画像データ」が「送信履歴とともに記憶した」ものでない点で、刊行物1発明は補正後発明と相違する。
また、上記(エ)のとおり、刊行物1発明は、「前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段」を有していないことに伴い、「履歴画面」が「前記履歴画面」でない点で、刊行物1発明は補正後発明と相違する。

(カ)構成要件F
刊行物1発明における「ファイルナンバーと再送信命令を受け取ると、当該指定されたファイルナンバーに基づいてデータ記憶メモリから該当する通信管理情報を検索して、検索した通信管理情報に基づいて画像メモリの当該ファイルナンバーの画像データを再送信する制御手段」は、「前記受信手段によって、前記再送信指示が受信された場合には、記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段」として、補正後発明と共通する。
しかしながら、刊行物1発明における「制御手段」は、「前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信」するものではなく、「前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに」前記再送信指示が受信されるものでもない点で、補正後発明と相違する。また、「記憶された画像データ」が、「前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された」ものでない相違は、上記(ウ)と同様である。

(キ)構成要件G
刊行物1発明の「ファクシミリ装置」は、補正後発明の「画像処理装置」に相当する。

イ 一致点、相違点
以上より、補正後発明と刊行物1発明の一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を記憶する記憶手段と、
履歴画面から選択される記憶した画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段と、
前記受信手段によって、前記再送信指示が受信された場合には、記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。

(相違点1)
「送信履歴を記憶する記憶手段」が、補正後発明においては、「前記画像データとともに」送信履歴を記憶するのに対し、刊行物1発明においては、送信履歴を記録する記憶手段と別の記憶手段に画像データを記憶する点で相違し、
それに伴い、「受信手段」及び「制御手段」における「画像データ」が、補正後発明においては、「送信履歴とともに記憶した」ものであるのに対し、刊行物1発明においてはそうではない点

(相違点2)
補正後発明は、「前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段」を有しているのに対し、刊行物1発明は、当該生成手段を有しておらず、
それに伴い、「受信手段」における「履歴画面」が、補正後発明においては、「前記履歴画面」であるのに対し、刊行物1発明においてはそうではない点

(相違点3)
「制御手段」が、補正後発明においては、「前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信」するものであり、「前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに」前記再送信指示が受信された場合があるのに対し、刊行物1発明においてはそうではない点

(6)相違点の判断
ア 相違点1について
刊行物1発明におけて、送信履歴である「通信管理情報」と送信用の「画像データ」とは密接に関連するデータであるから、これらを同じ記憶手段に記憶するようにすることは当業者が容易に着想することであり、刊行物1発明において、データ蓄積メモリと画像メモリとを1つのメモリで構成することは当業者が容易に想到し得ることである。
このように構成することにより、「送信履歴」は画像データとともに記憶することとなり、「画像データ」は送信履歴とともに記憶したものとなる。

イ 相違点2について
刊行物1発明は、パーソナルコンピュータにおいて履歴画面を表示するものであり、履歴画面は画像処理装置から送信される履歴情報からパーソナルコンピュータで作成されるものである。
ここで、パーソナルコンピュータに接続される機器のデータを、パーソナルコンピュータにおいて表示する際に、当該機器からデータをもらって表示用の画面をパーソナルコンピュータが作成することや、当該機器から表示用の画面をもらってパーソナルコンピュータで表示することは普通に行われているから、刊行物1発明の画像処理装置において履歴画面を作成するようにすることは、当業者が容易に着想することであり、刊行物1発明において、「前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段」を有するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
このように構成することにより、「履歴画面」は、当該生成手段で生成することになり、「受信手段」における「履歴画面」は、「前記履歴画面」となる。

ウ 相違点3について
ユーザにより宛先を変更して画像データを再送信することは、上記刊行物2に記載されている。
刊行物1の技術も刊行物2の技術も共に、画像処理装置を外部装置から制御する技術であるから、刊行物1発明に刊行物2の技術を適用することは当業者が容易に着想することであって、刊行物1発明に刊行物2の技術を適用することにより、刊行物1発明において、宛先の変更が必要な場合に、ユーザにより宛先を変更して再送信するようにすることは当業者が容易に想到し得ることである。
したがって、刊行物1発明において「前記受信手段によって、ユーザにより指示された送信宛先の変更指示とともに前記再送信指示が受信された場合には、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信」するようにすることは、当業者が容易に想到し得ることであり、このようにすることにより、刊行物1発明における宛先の変更が必要ない場合の再送指示は、「前記ユーザによる送信宛先の変更指示なしに」するものとなる。

エ そして、補正後発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

オ したがって、補正後発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反している。

3 まとめ
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成26年7月25日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?9に係る発明は、平成25年9月27日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(この発明を以下「本願発明」という。)。

「原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により原稿を読み取って得られた画像データを指定された送信宛先に送信する送信手段と、
少なくとも前記送信手段により正常に送信された画像データの送信日時及び前記送信宛先を含む送信履歴を前記画像データとともに記憶する記憶手段と、
前記送信履歴を表示するための履歴画面を生成する生成手段と、
前記履歴画面を介して特定される前記画像データを送信するための再送信指示を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記再送信指示が受信された場合に、送信宛先を変更することがユーザにより指示されていれば、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記ユーザの指示に従って変更された後の送信宛先に送信し、送信宛先を変更することが前記ユーザにより指示されていなければ、前記送信履歴とともに前記記憶手段に記憶された画像データを、前記送信履歴に含まれる送信宛先と同じ送信宛先に送信するよう前記送信手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。」

2 判断
補正後発明は、本願発明をさらに限定したものと認められ、補正後発明が刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて容易に発明できたものであることは、上記第2のとおりであるから、同じ理由で、本願発明は刊行物1及び刊行物2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものと認められる。

3 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1及び刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、請求項2?9に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-05 
結審通知日 2015-06-08 
審決日 2015-06-19 
出願番号 特願2012-101679(P2012-101679)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮島 潤  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 渡邊 聡
小池 正彦
発明の名称 画像処理装置及びその制御方法  
代理人 下山 治  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康弘  
代理人 大塚 康徳  
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