ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1303886 |
審判番号 | 不服2014-10842 |
総通号数 | 189 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-06-09 |
確定日 | 2015-08-06 |
事件の表示 | 特願2010- 12623「投影制御装置及び投影制御方法、並びに投影制御用コンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月 4日出願公開、特開2011-150609〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成22年1月22日の出願であって、平成26年3月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。 第2.補正却下の決定 [結論] 平成26年6月9日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願発明と補正後の発明 平成26年6月9日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された 「【請求項1】 プロジェクタに画像を投影させる投影制御装置において、 前記プロジェクタによって投影される第1の画像に向けられる指示を検出する検出部と、 前記指示に基づいて前記第1の画像に含まれる第1のオブジェクトを抽出する抽出部と、 前記第1の画像の前記第1のオブジェクトの色が変更された第2の画像を前記プロジェクタに投影させる投影部と を備える投影制御装置。」 という発明(以下、「本願発明」という。)を 「【請求項1】 プロジェクタに画像を投影させる投影制御装置において、 前記プロジェクタによって投影される第1の画像に向けられる指示を検出する検出部と、 前記指示に基づいて前記第1の画像に含まれる第1のオブジェクトを抽出する抽出部と、 前記第1の画像に新たな指標を加えずに前記第1の画像の前記第1のオブジェクト自体の色を変更し、当該変更した画像を第2の画像として前記プロジェクタに投影させる投影部と、 を備える投影制御装置。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正する補正事項を含むものである。(下線は補正事項を示している。) 2.補正の適否 (1)補正の目的要件 本件補正は、本願発明の特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記第1の画像の前記第1のオブジェクトの色が変更された第2の画像を」を、「前記第1の画像に新たな指標を加えずに前記第1の画像の前記第1のオブジェクト自体の色を変更し、当該変更した画像を第2の画像として」として、「第2の画像」に関して「第1の画像に新たな指標を加えずに」と限定したものであるから、特許請求の範囲を減縮するものである。 そして、上記補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項(新規事項)及び特許法第17条の2第5項(補正の目的)の規定に適合している。 また、特許法17条の2第4項(シフト補正)に違反するものでもない。 (2)独立特許要件 本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下検討する。 ア.補正後の発明 上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で、「補正後の発明」として認定したとおりのものである。 イ.引用発明 原査定の拒絶の理由において引用された、特開2008-27080号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、このプロジェクタによってスクリーンに投影された画像に対しポインタを照射するレーザポインタと、このレーザポインタによってポインタが照射された前記スクリーン上の投影画像を撮影するカメラとを有するプレゼンテーションシステムであって、 前記プロジェクタによりスクリーンに投影する画像を記憶する画像記憶手段と、 前記カメラにより撮影された投影画像から当該画像上での前記ポインタの照射位置を検出するポインタ位置検出手段と、 このポインタ位置検出手段により検出された前記投影画像上でのポインタの照射位置に応じて当該画像内の目標部分を抽出する目標抽出手段と、 この目標抽出手段により抽出された目標部分に対応するところの前記画像記憶手段により記憶されたプロジェクタによりスクリーンに投影する画像内の位置に対して予め設定された強調画像を合成する強調画像合成手段と、 を備えたことを特徴とするプレゼンテーションシステム。」(1頁2?15行) (イ)「【技術分野】 【0001】 本発明は、例えばプロジェクタによる投影画像にレーザポインタを照射指示してプレゼンテーションを行うためのプレゼンテーションシステムに関する。」(2頁8?11行) (ウ)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ところで、プレゼンテーションを実際に行う場面において、発表者がその内容を強調するためにレーザポインタで指し示すところは、ほとんどがプレゼン画像における文字や文章の部分である。しかしながら、レーザポインタで文字や文章を指し示すと、手ぶれの影響によって、思い通りの位置を正確に指し示すことが難しい問題がある。」(2頁37?42行) (エ)「【0023】 図1は、本発明の実施形態に係るプレゼンテーションシステム10の構成を示すブロック図である。 【0024】 このプレゼンテーションシステム10は、プレゼンテーション用画像データの出力元になるノート型パーソナルコンピュータ(ノートPC)11を備える。ノートPC11から出力されたプレゼンテーション用画像データはプロジェクタ13によって光学画像Gに変換されスクリーン12上に投影表示される。 【0025】 またこのプレゼンテーションシステム10は、前記スクリーン12上にその投影範囲14として投影表示された画像(G)を撮影するためのCCDカメラ部15を前記ノートPC11に接続して備える。そして、このプレゼンテーションシステム10のノートPC11は、ユーザ操作に応じてプレゼンテーション用画像データをプロジェクタ13に出力して単に投影表示させるだけでなく、前記カメラ部15により一定フレームレート(例えば、30フレーム/秒)で撮影された投影範囲14の画像(G)に基づき当該投影範囲14上でのレーザポインタ17による照射位置Pを解析検出し、このポインタ照射位置Pに基づいたプレゼンテーション用画像データ内の適切な部分にアンダーライン(QB:図5参照)や囲みライン(QC:図17参照)などの強調画像を合成して投影表示させるためのプレゼンテーション制御プログラム(22P)を記憶する。」(6頁11?29行) (オ)「【0030】 図2は、前記プレゼンテーションシステム10の電子回路の構成を示すブロック図である。 【0031】 プレゼンテーションシステム10の電子回路は、メインコントローラ(CPU)21によって回路各部の動作が制御されるもので、その制御プログラムはメモリ部22内のROMに予め記憶される。メモリ部22内のROMに予め記憶される制御プログラムとしては、このプレゼンテーションシステム10の全体の動作を司るメイン処理プログラムを主体として、プレゼンテーション制御プログラム(22P)などが記憶される。なお、メモリ部22には、前記プレゼンテーション制御プログラム(22P)に従った作業用のデータを記憶するためのRAMも備えられる。 【0032】 メインコントローラ(CPU)21には、前記メモリ部22をはじめ、カメラ部15、ユーザI/F部20、表示部24が接続される他に、プロジェクタ13との間での入出力制御を行うためのプロジェクタI/F部23が接続される。」(6頁49行?7頁13行) (カ)「【0035】 メモリ部22には、プレゼンテーション制御プログラムを格納するプログラムメモリ22Pをはじめ、プレゼンテーション画像メモリ22a、ビデオ画像(ラスタ画像)メモリ22b、コピー画像(マスク画像生成)メモリ22c、撮影画像メモリ22d、撮影画像(スクリーン)メモリ22e、ポインタ検出座標メモリ22f、ビデオ画像上ポインタ座標メモリ22gが備えられると共に、その他の作業用データを記憶するためのワークメモリ22hなどが備えられる。 【0036】 プレゼンテーション画像メモリ22aには、プロジェクタ13へ出力してスクリーン12へ投影すべきプレゼンテーション用の画像データ(G)が記憶される。 【0037】 ビデオ画像(ラスタ画像)メモリ22bには、前記プレゼンテーション画像メモリ22aに記憶されたプレゼンテーション用の画像データ(G)をプロジェクタ13へ出力するに際し、当該画像データ(G)がラスタ画像に展開されて記憶される。」(7頁22?35行) (キ)「【0043】 図5は、前記プレゼンテーションシステム10でスクリーン12上の投影画像(G)に対しポインタ照射した場合の当該画像(G)に対する強調画像(QB)の合成投影表示状態を示す図である。 【0044】 すなわち、例えば図5(A)に示すように、スクリーン12に投影表示されているプレゼン画像上で指し示したい目標のテキスト部分Oへ向けてレーザポインタ17を照射する。この際のポインタ照射位置Pは、通常手ぶれの影響によって目標テキスト部分Oに正確に合わすことが難しく、当該目標テキスト部分Oから若干離間した位置となるのが普通である。 【0045】 このような場合に、本実施形態のプレゼンテーションシステム10では、前記図4(A)?図4(D)で示したように、カメラ部15から一定フレームレートで撮影転送される撮像範囲16の撮影画像データ(22d)からスクリーン12に対応した投影画像データ(22e)を解析抽出し、ポインタ照射位置Pの投影画像データ(22e)上での座標P(X,Y)→ビデオ画像(プレゼン画像)(22b)上での座標P(X′,Y′)を検出する。 【0046】 一方で、ビデオ画像(プレゼン画像)(22b)のコピー画像(22c)に基づきそのテキスト部分やイメージ部分をマスクにしたマスク画像を生成し(図12参照)、前記検出されたビデオ画像(プレゼン画像)(22b)上でのポインタ座標P(X′,Y′)から一定範囲内に存在するマスク領域をレーザポインタ17による本来の目標部分Oとして判断し、当該目標部分Oのマスク領域に合わせた強調画像(この場合にはアンダーライン画像QB)を前記ビデオ画像(プレゼン画像)(22b)に合成してプロジェクタ13へ出力することで、図5(B)に示すように、本来の目標テキスト部分O「・来期の目標」にぴったり合わせたアンダーライン画像QBを表示するものである(図13参照)。」(8頁13?38行) (ク)「【0099】 さらに、前記図4、図5、図13?図18で示したアンダーライン処理やこのアンダーライン処理に基づく変形例では、投影表示中のプレゼンテーション画像(22b)におけるポインタ照射位置Pと当該プレゼンテーション画像(22b)に対応したマスク画像(22c)におけるマスク領域/空白領域との関係に基づき設定された目標部分の領域に対して、アンダーライン画像QBや囲みライン画像QC、あるいはマーカ画像QM1やQM2を合成して表示させる構成としたが、例えば図19に示すように、ポインタ照射位置Pに応じて設定された目標部分の領域のみ除いて反転表示を行うことで、レーザポインタ17により指示目標とする部分を明確に表示する構成としてもよい。」(14頁7?15行) 上記引用例の記載及び図面並びにこの分野の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。 a.上記(ア)の記載によれば、プロジェクタ、レーザポインタ、カメラを有するプレゼンテーションシステムは、画像記憶手段、ポインタ位置検出手段、目標抽出手段、強調画像合成手段を備えるものである。 一方、上記(エ)の段落【0023】の記載によれば、図1は、プレゼンテーションシステムの実施形態に係る構成を示すブロック図であり、そして、図1の記載によれば、プレゼンテーションシステム10は、プロジェクタ13、レーザポインタ17、カメラ15、ノートPC11から構成されており、さらに、図2の記載によれば、ノートPC11はメモリブロック22、メインコントローラ21、ディスプレイブロック24、ユーザI/Fブロック20、プロジェクタI/Fブロック23から構成されている そして、上記(オ)の段落【0031】の記載によれば、メインコントローラ(CPU)21が、メモリ部22に記憶される、プレゼンテーションシステムの全体の動作を司るメイン処理プログラム、プレゼンテーション制御プログラムなどによって、プレゼンテーションシステムの制御を行うものであり、さらに、上記(エ)の段落【0025】、及び上記(キ)の段落【0046】の記載によれば、プレゼンテーション制御プログラムは、カメラ部15により一定フレームレート(例えば、30フレーム/秒)で撮影された投影範囲14の画像(G)に基づき当該投影範囲14上でのレーザポインタ17による照射位置Pを解析検出し、このポインタ照射位置Pに基づいたプレゼンテーション用画像データ内の目標部分にアンダーライン(QB:図5参照)や囲みライン(QC:図17参照)などの強調画像を合成して投影表示させるものであり、また、目標部分は、テキスト部分やイメージ部分をマスクにしたマスク画像を生成し(図12参照)、前記検出されたビデオ画像(プレゼン画像)(22b)上でのポインタ座標P(X′,Y′)から一定範囲内に存在するマスク領域をレーザポインタ17による本来の目標部分Oとして判断している。 また、上記(カ)の記載によれば、メモリ部22に、プロジェクタ13へ出力してスクリーン12へ投影すべきプレゼンテーション用の画像データ(G)が記憶されている。 してみれば、これらの記載から、プレゼンテーションシステムのノートPCが、プレゼンテーションシステムの上記画像記憶手段、上記ポイント位置検出手段、上記目標抽出手段、上記強調画像合成手段を、有することが記載されていると認められる。 さらに、上記(ク)には、上記強調画像合成手段に代え、目標抽出手段により抽出された目標部分の領域のみ除いて反転表示を行うことで指示目標を明確に表示できることが記載されており、引用例には、目標抽出手段により抽出された目標部分の領域を除いて反転表示を行い目標部分を明確に表示する手段が記載されているといえる。 したがって、引用例には、スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、このプロジェクタによってスクリーンに投影された画像に対しポインタを照射するレーザポインタと、このレーザポインタによってポインタが照射された前記スクリーン上の投影画像を撮影するカメラとを有するプレゼンテーションシステムにおけるノートPCであって、 前記プロジェクタによりスクリーンに投影する画像を記憶する画像記憶手段と、前記カメラにより撮影された投影画像から当該画像上でのレーザポインタの照射位置を検出するポインタ位置検出手段と、このポインタ位置検出手段により検出された前記投影画像上でのポインタの照射位置に応じて当該画像内の目標部分を抽出する目標抽出手段と、該目標抽出手段により抽出された目標部分の領域を除いて反転表示を行う手段を備える、ノートPCが記載されているといえる。 b.上記(エ)の段落【0024】の記載によれば、ノートPC11から出力されたプレゼンテーション用画像データはプロジェクタ13によって光学画像Gに変換されスクリーン12上に投影表示されている。 したがって、引用例には、プロジェクタによって光学画像Gに変換されスクリーン上に投影表示される画像を出力するノートPCが記載されているといえる。 したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。 「スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、このプロジェクタによってスクリーンに投影された画像に対しポインタを照射するレーザポインタと、このレーザポインタによってポインタが照射された前記スクリーン上の投影画像を撮影するカメラとを有するプレゼンテーションシステムにおけるノートPCであって、 プロジェクタによって光学画像Gに変換されスクリーン上に投影表示される画像を出力するノートPCにおいて、 前記プロジェクタによりスクリーンに投影する画像を記憶する画像記憶手段と、 前記カメラにより撮影された投影画像から当該画像上での前記ポインタの照射位置を検出するポインタ位置検出手段と、 このポインタ位置検出手段により検出された前記投影画像上での前記ポインタの照射位置に応じて当該画像内の目標部分を抽出する目標抽出手段と、 該目標抽出手段により抽出された目標部分の領域を除いて反転表示を行い目標部分を明確に表示する手段を備える、 ノートPC。」 ウ.対比・判断 補正後の発明と引用発明とを対比する。 a)引用発明の「ノートPC」は、補正後の発明の「投影制御装置」に相当する。 b)引用発明の「ポインタ位置検出手段」は、「投影画像上でのポインタの照射位置を検出する」ものであり、当該「投影画像」、「ポインタの照射位置」、及び「ポインタ位置検出手段」は、それぞれ補正後の発明の「プロジェクタによって投影される第1の画像」、「第1の画像に向けられる指示」、及び「検出部」に相当する。 c)引用発明の「目標抽出手段」は、「投影画像上のポインタの照射位置に応じて投影画像内の目標部分を抽出する」ものであり、そして、通常、ポインタの照射位置の目標部分は、投影されている画像の一部であるテキスト部分やイメージ部分であるから、引用発明の「当該画像内の目標部分」、及び「目標抽出手段」は、それぞれ補正後の発明の「第1のオブジェクト」、及び「抽出部」に相当する。 d)引用発明の「反転表示を行う手段」は、目標部分に新たな指標を加えるものではないことは明らかであり、「目標部分を明確に表示する」ことは、「目標部分」を強調するものであり、一方、補正後の発明においても「第1のオブジェクト自体の色を変更」することは、【0100】に「・・・、本発明に係る投影制御装置及び投影方法、並びに投影制御用コンピュータプログラムは、プロジェクタ等の画像投影手段によって投影された画像内に存在する所定のオブジェクトを、ポインタ等の指示によって強調させて表示させることに有用である。」と記載されるように、強調するためである、さらに、「反転表示を行う」ことは「投影画像」とは異なる「目標部分の領域を除いて反転表示を行」った画像をプロジェクタに投影させることにほかならないので、引用発明の「反転表示を行う手段」と、補正後の発明の「前記第1の画像に新たな指標を加えずに前記第1の画像の前記第1のオブジェクト自体の色を変更し、当該変更した画像を第2の画像として前記プロジェクタに投影させる投影部」は、「前記第1の画像に新たな指標を加えずに前記第1の画像の前記第1のオブジェクトを強調し、当該強調した画像を第2の画像として前記プロジェクタに投影させる手段」で共通する。 したがって、補正後の発明と引用発明とを対比すると、両者は、以下の点で一致し、また、相違している。 (一致点) 「プロジェクタに画像を投影させる投影制御装置において、 前記プロジェクタによって投影される第1の画像に向けられる指示を検出する検出部と、 前記指示に基づいて前記第1の画像に含まれる第1のオブジェクトを抽出する抽出部と、 前記第1の画像に新たな指標を加えずに前記第1の画像の前記第1のオブジェクトを強調し、当該強調した画像を第2の画像として前記プロジェクタに投影させる手段と、 を備える投影制御装置。」 (相違点) 投影させる手段の強調が、補正後の発明では、第1のオブジェクト自体の色を変更するのに対して、引用発明では、目標部分の領域を除いて反転表示する点。 以下、上記相違点について検討する。 引用例の段落【0007】に記載される引用発明が解決しようとする課題に照らせば、引用発明においては、指し示したい文字や文章を正確に指し示せれば、指し示した文字や文章に対して具体的にどのように強調表示を行ってもよいことは明らかである。 そして、強調表示として、オブジェクトの色を変更して表示することは、周知の技術(例えば、拒絶査定で引用した特開2003-288246号公報(特に、段落【0021】等参照)、特開2000-242643号公報(特に、段落【0035】等参照)等参照。)である。 してみれば、引用発明における「強調」を、「目標部分の領域を除いて反転表示する」に代え、目標部分の色を変更することは、当業者が容易になし得ることである。そして、そのようにすることは、引用発明において、相違点に係る補正後の発明の構成を採用することにほかならない。 そして、補正後の発明の効果も、引用発明から想到される構成から当業者が予想できる範囲のものである。 3.結語 以上のとおり、本件補正は、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである 第3.本願発明について 1.本願発明 平成26年6月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。 2.引用発明 引用発明等は、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「イ.引用発明」の項で「引用発明として」認定したとおりである。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用発明を対比するに、本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が、上記「第2.補正却下の決定」の項中の「2.補正の適否」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の「ウ.対比・判断」の項で検討したとおり 、上記引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明することができたものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-05-29 |
結審通知日 | 2015-06-02 |
審決日 | 2015-06-23 |
出願番号 | 特願2010-12623(P2010-12623) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岩橋 龍太郎 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
白石 圭吾 山澤 宏 |
発明の名称 | 投影制御装置及び投影制御方法、並びに投影制御用コンピュータプログラム |
代理人 | 酒井 宏明 |