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審決分類 審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1304575
審判番号 不服2014-10234  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-16 
確定日 2015-08-17 
事件の表示 特願2011-290580「再生医療技術の収集・実施の管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 6月27日出願公開、特開2013-127762〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 結論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由
第1 手続の経緯
本願は、平成23年12月19日の出願であって、平成25年8月7日付けの拒絶理由通知に対して何ら応答もなく、平成26年2月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成26年5月16日に拒絶査定不服の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成26年5月16日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年5月16日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により補正された特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及することを目的とし、運営者は、再生医療の技術を収集・供与・治療し、かつ、これらに起因する費用の明確化に関する情報を入力・送受信・表示する機能を有する開発者・実施者等の事業者及び患者等の端末装置と、これらの情報を受容・登録・格納・表示し、かつ、それぞれの端末装置に送信する機能を有する管理センターの中央演算装置において、インターネットを介して、開発者及び実施者を募集し、開発者及び実施者の事業者と業務連携契約を締結させ、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結させ、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与し、また、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせ、更に、これらに起因する費用を明確化するために、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応することを特徴とする再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項2】
運営者は、患者等の事故・発病・老化による将来の再生医療を準備し、再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図るために、実施者の端末装置と管理センターの中央演算装置において、インターネットを介し、幹細胞の採取及び保管をする預託(バンキング)に関する業務連携契約を実施者と締結し、将来の患者等を募集して、将来の患者等を実施者に紹介して幹細胞の預託を受けさせ、かつ、これに起因する費用を明確化することを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項3】
運営者は、観光旅行と再生医療を兼ね合わせた旅行随伴医療(メディカル・ツーリズム)によって再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図るために、旅行者及び実施者の端末装置と管理センターの中央演算装置において、インターネットを介して、旅行随伴医療に関する業務連携契約を旅行社及び実施者と締結し、患者等の募集を通して、患者等を旅行社及び実施者に紹介して旅行随伴医療を受けさせ、かつ、これに起因する費用を明確化することを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項4】
運営者は、再生医療の治療費の支払を容易にするために、銀行の融資又は保険を適用し、再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図るために、銀行又は保険会社の端末装置と管理センターの中央演算装置において、インターネットを介して、業務連携契約を銀行又は保険会社と締結し、患者等の募集を通して、患者等を銀行又は保険会社に紹介して銀行の融資又は保険の適用を受けさせ、かつ、これに起因する費用を明確化することを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項5】
運営者は、企業の協賛金を集めて患者等の治療費にあて、治療費の社会的な支援を通して、再生医療を支援し、再生医療の普及を図るために、企業の端末装置と管理センターの中央演算装置において、協賛契約を多数の企業と締結し、企業の募集を通して、企業の協賛金を集め、また、これに関する協賛金を明確化することを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。」

(2)補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及するために、運営者は、開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理するために、管理センタ-を設置し、また、事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する機能を有する端末装置、かつ、これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し、また、事業者及び患者等の端末装置と管理センターの中央演算装置において、再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報の送受信・表示等は、インターネットを通して行われ、また、管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し、事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応することを特徴とする再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項2】
運営者は、管理センターを通して、幹細胞の採取及び保管をする預託(バンキング)に関する業務連携契約を実施者と締結し、患者等の事故・発病・老化による将来の再生医療に準備するために、将来の患者等を募集して、将来の患者等を実施者に紹介して幹細胞の預託を受けさせる過程、これに起因する費用を明確にする過程を管理し、再生医療の実施を支援ことによって、再生医療の普及を図ることを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項3】
運営者は、管理センターを通して、観光旅行と再生治療を兼ね合わせた旅行随伴医療(メディカル・ツーリズム)に関する業務連携契約を旅行社及び実施者と締結し、患者等の募集を通して、患者等を旅行社及び実施者に紹介して旅行随伴医療を受けさせる過程を管理し、かつ、これに起因する費用を明確にすることによって、再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図ることを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項4】
運営者は、管理センターを通して、再生医療の治療費の支払を容易にするために、銀行の融資又は保険の適用に関する業務連携契約を銀行又は保険会社と締結し、患者等の募集を通して、患者等を銀行又は保険会社に紹介して銀行の融資又は保険の適用を受けさせる過程、かつ、これに起因する費用を明確にする過程を管理することによって、再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図ることを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。
【請求項5】
運営者は、管理センターを通して、再生医療の治療費の支払に困窮する患者等を救済するために、治療費の社会的な支援に関する協賛契約を多数の企業と締結し、企業の募集を通して、企業の協賛金を集め患者等の治療費にあてる過程、また、これに関する協賛金を明確にする過程を管理することによって、再生医療の実施を支援し、再生医療の普及を図ることを特徴とする請求項1項の再生医療技術の収集及び実施の管理システム。」

2 補正の適否について
(1)「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものか否について
補正前の請求項1において、「管理センターの中央演算装置」は、「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し」ているのに対して、補正後の請求項1の「管理センターの中央演算装置」は、そのような「手段等を具備」することが特定されていないから、本件補正は、「管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し」との発明特定事項を削除する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。
そして、補正事項1は、補正前の請求項1の「管理センターの中央演算装置」に係る発明特定事項を削除することによって、「管理センターの中央演算装置」の概念を拡張し、その結果、特許請求の範囲を拡張するものである。
してみれば、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではない。

(2)「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものか否かについて
審判請求人は審判請求書(第2頁第6行乃至7行)において、
「3.本願発明が特許されるべき理由
拒絶理由の趣旨に従って、本願発明を補正する。」
と記載しているので、補正事項1が、拒絶理由の(理由1)(特許法第29条第1項柱書違反)に対応してなされた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものであるかについて検討する。

平成25年8月7日付けの拒絶理由通知には、(理由1)について次のとおり記載されている。
『(理由1)この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。



審査基準では、請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば、ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しないとしている。
ここで請求項1-5の記載を見ると、当該記載が特定しようとしているものは、端末や中央処理装置、インターネットなどを用する記載こそされているものの、その記載を全体として見ると、運営者が管理センターを設置して開発者、実施者、患者に対して募集を行い、再生医療の技術に関する情報の共有や費用に関する情報の共有などを行うという社会的な仕組み(いわゆる、社会システム)を特定するものである(当該請求項の記載が、いわゆる社会システムを特定する物であることは、当該請求項の記載の大部分が契約の締結や治療の実施、募集、紹介など、人が行っている業務の記載から構成されることからも明らかである)。そして、このような社会システムそのものは記に照らしてみると自然法則を利用するものであるとは認められない。してみると、当該請求項に記載された事項に基づいて把握されるものは、全体として自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められず、特許法第2条に定義される発明に該当しない。
なお、請求項1-5の記載がいわゆるソフトウエア関連発明を特定しようとするものであると仮定した場合についても以下に言及する。
審査基準では、発明の実施にソフトウエアを必要とするソフトウエア関連発明においては、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合、すなわち、ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって、使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されている場合、当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるとしている。
ここで請求項1-5の記載を見ると、当該請求項には端末というコンピュータやインターネットなどは記載されてはいるが、これらは単に開発者、実施者、患者などの当事者が情報のやりとりをするための(いわば、電話や手紙などと同じような)単なる情報交換のための道具として利用している程度の記載がされているにとどまっており、これらのやりとりを技術的にどのように実現したのかについてなにも特定されていない(通信手段や記憶手段などの各手段についても一応記載はされているが、これらは単に名称として登場するにとどまっており、これら手段が具体的な技術的手段として特定されているわけではない。また、単に情報を記憶手段に蓄積したり、送信手段で送信したりすることを特定したとしても、それは当該ハードウエア資源が当然に有する機能を利用する程度のことを特定するにとどまるものであり、上述したような「使用目的に応じた特有の情報処理」を特定しているとは言えない)。また、その他の記載を見てもコンピュータが備えるハードウエア資源に関する記載もされておらず、各々のコンピュータや機能手段についてコンピュータが備えるハードウエア資源をどのように具体的に用いたソフトウエアによる情報処理により実現されているのかが記載されていない。つまり、当該請求項には「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの」が記載されていない。してみると、当該請求項に記載された事項に基づいて把握されるものは、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められず、やはり特許法第2条に定義される発明に該当していない。』

上記によれば、拒絶理由通知の(理由1)においては、『請求項1-5の記載を見ると、当該記載が特定しようとしているものは、端末や中央処理装置、インターネットなどを用する記載こそされているものの、その記載を全体として見ると、運営者が管理センターを設置して開発者、実施者、患者に対して募集を行い、再生医療の技術に関する情報の共有や費用に関する情報の共有などを行うという社会的な仕組み(いわゆる、社会システム)を特定するものである・・・(中 略)・・・してみると、当該請求項に記載された事項に基づいて把握されるものは、全体として自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められず、特許法第2条に定義される発明に該当しない。』こと、また、請求項1-5の記載がいわゆるソフトウエア関連発明を特定しようとするものであると仮定した場合について、『請求項1-5の記載を見ると、・・・(中 略)・・・当該請求項には「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているもの」が記載されていない。してみると、当該請求項に記載された事項に基づいて把握されるものは、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められず、やはり特許法第2条に定義される発明に該当していない。』ことが指摘されていたのであって、「管理センターの中央演算装置」が「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し」ていることにいて、不明りょうである等の指摘をしたものではない。
また、補正事項1によって、「管理センターの中央演算装置」の構成が明りょうにされたものとも認められない。
してみれば、補正事項1が、「拒絶理由通知に係る拒絶理由に示す事項」について、「明りょうでない記載の釈明」を目的としてなされたものであるということはできない。

したがって、補正事項1は特許法第17条の2第5項第4号に規定される「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」を目的とするものではない。

(3)また、補正事項1は、特許法第17条の2第5項第1号に規定される「請求項の削除」、及び同項第3号に規定される「誤記の訂正」のいずれを目的とするものとも認められない。

(4)以上のことから、補正事項1を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
平成26年5月16日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及するために、運営者は、開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理するために、管理センタ-を設置し、また、事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する機能を有する端末装置、かつ、これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し、また、事業者及び患者等の端末装置と管理センターの中央演算装置において、再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報の送受信・表示等は、インターネットを通して行われ、また、管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し、事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応することを特徴とする再生医療技術の収集及び実施の管理システム。」

第4 原査定の拒絶理由の概要
平成25年8月7日付けの拒絶理由通知の(理由1)の概要は、以下のとおりである。
『(理由1)この出願の下記の請求項に係る発明は、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができない。


・・・(後 略)・・・ 』

第5 当審の判断
(1)特許法第2条第1項には、「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものをいう。」と規定され、同法第29条第1項柱書には、「産業上利用することができる発明をしたものは、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。
したがって、請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは、その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。
また、『審査基準 第II部 第1章 1.1発明に該当しないものの類型 (4)自然法則を利用していないもの』には、
『請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば,経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば,ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しない。逆に、発明を特定するための事項に自然法則を利用していない部分があっても、請求項に係る発明が全体として自然法則を利用していると判断されるときは、その発明は、自然法則を利用したものとなる。以上のように、どのような場合に、全体として自然法則を利用したものとなるかは、技術の特性を考慮して判断する。
(留意事項)
ビジネスを行う方法やゲームを行う方法に関連する発明は、物品、器具、装置、システムなどを利用している部分があっても、全体として自然法則を利用しない場合があるので、慎重に検討する必要がある。なお、ビジネスを行う方法やゲームを行う方法という観点ではなく,ビジネス用コンピュータ・ソフトウエアやゲーム用コンピュータ・ソフトウエアという観点から発明すれば,「発明」に該当する可能性がある。(コンピュータ・ソフトウエア関連発明における判断については,「第VII部 第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明」2.2参照)』
と記載されている。

(2)そこで、本願発明が特許法第2条第1項で規定する「発明」に該当するものであるのか、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのかについて検討する。

本願発明の記載事項を便宜的に、以下のとおりに分けて検討する。

(a)「医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及するために、運営者は、開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理するために、管理センタ-を設置し、」

(b)「また、事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する機能を有する端末装置、かつ、これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置をもって構成し、」

(c)「また、事業者及び患者等の端末装置と管理センターの中央演算装置において、再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報の送受信・表示等は、インターネットを通して行われ、」

(d)「また、管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し、事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応する」

(e)「ことを特徴とする再生医療技術の収集及び実施の管理システム。」

(2-1)記載事項(a)について
本願が解決しようとする課題は、明細書の【0018】段落に「そうすると、再生医療の最新技術に関する情報を病院等が知り、かつ、これを実施し、また、この技術を有する病院等の存在に関する情報を患者等も知り、かつ、その治療を受けることが必要である。患者等、特に、福島原発による放射能被爆者や難病患者にとっては、再生医療の技術は緊急かつ重要な課題である。」と記載されているように、再生医療の最新技術に関する情報を病院等が知り、かつ、これを実施し、また、この技術を有する病院等の存在に関する情報を患者等が知り、かつ、その治療を受けることである。
しかし、「再生医療の最新技術に関する情報を病院等が知り、かつ、これを実施し、また、この技術を有する病院等の存在に関する情報を患者等も知り、かつ、その治療を受ける」との課題は、「病院等」や「患者等」に属する「人間」の「精神活動」によって解決されるものであって、自然法則を利用して解決されるものではない。

そこで、上記記載事項(a)について検討すると、上記記載事項(a)のうち、「医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及するために、」の記載事項は、本願発明の目的を特定するものであって、何ら自然法則を利用しているものではない。
また、「運営者」が「開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程」は、「運営者」が「契約の締結」や「募集」を行うことや、「技術を収集する」こと、および、「技術を開発者から実施者に供与する」ことを示すものである。そして、「契約の締結」「募集」「技術を収集する」こと「供与する」ことは、人為的な取り決め事項であって、何ら自然法則を利用しているものではない。
また、「運営者」が「患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程」は、「運営者」が「患者等」や「実施者」に働きかけることであり、人為的な取り決め事項であって、何ら自然法則を利用しているものではない。
さらに、「運営者」が「これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理するために、管理センタ-を設置」することも、「運営者」が行う行為であって、何ら自然法則を利用しているものではない。
してみれば、上記記載事項(a)は、自然法則を利用したものではない。

(2-2)記載事項(b)および(e)について
上記記載事項(b)および(e)は、本願発明の「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」を、「・・・端末装置、・・・中央演算装置をもって構成」することを特定し、かつ、「端末装置」が「事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する機能を有する」ことと、「中央演算装置」が「これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能を有する」ことを特定するものである。
ここで、「端末装置」や「中央演算装置」は、一応ハードウエア装置であるコンピュータ装置であると認められ、これらの装置自体は、自然法則を利用したものであるということはできるが、「端末装置」の機能をみると、「事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する」というものであるから、「端末装置」は、(「人」や「組織」である)事業者や患者等が、(「人」や「組織」である)「管理センター」と情報伝達を行うための道具として利用されているにすぎないものである。
また、「中央演算装置」の機能も、「これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する」というものであるから、「中央演算装置」は、(「人」や「組織」である)管理センターと、(「人」や「組織」である)事業者や患者等との間での情報伝達のための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-3)記載事項(c)について
上記記載事項(c)は、「事業者及び患者等の端末装置と管理センターの中央演算装置において、・・・情報の送受信・表示等は、インターネットを通して行われ」ることを特定するとともに、当該送受信・表示される情報が「再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報」であることを特定するものである。
ここで、「端末装置」と「中央演算装置」との間における「情報の送受信・表示等」が「インターネット」というコンピュータネットワークを「通して行われ」る点も、(「人」や「組織」である)管理センターと、(「人」や「組織」である)事業者や患者等との間での情報伝達のための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-4)記載事項(d)について
上記記載事項(d)は、「管理センターの中央演算装置」が「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備」することを特定しているが、「中央演算装置」が具備する「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等」は、その機能や内容について具体的な特定はなく、単にコンピュータ装置が通常有する機能を列挙している程度のものと認められる。
してみれば、「管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し」との記載は、「中央演算装置」がコンピュータ装置であることを特定しているにすぎないものである。
また、「事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応する」の記載における、「端末装置」や「インターネット」は、「再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報」を(「人」や「組織」である)事業者や患者等から(「人」や「組織」である)管理センターへ「送信」するための道具として利用されているにすぎないものである。

(2-5)記載事項(b)?(e)について
上記(2-2)乃至(2-4)のことから,上記記載事項(b)?(e)は,その一部に「端末装置」「中央演算装置」「インターネット」のような「コンピュータ」及び「コンピュータネットワーク」という装置(ハードウエア)を利用した構成が記載されてはいるものの、これらの「コンピュータ」や「コンピュータネットワーク」は、(「人」や「組織」である)管理センターが、(「人」や「組織」である)事業者や患者等と情報伝達を行うための道具として利用されているにすぎないものであり、「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」の「運営者」が「開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理する」ことは、「運営者」が「管理センター」で行うコンピュータを情報伝達の道具として使用した業務を特定するものでしかなく、上記記載事項(b)?(e)は全体として自然法則を利用しているとはいえない。

(2-6)小括
以上(2-1)乃至(2-5)のことから、本願発明は、全体としてみても、(「人」や「組織」である)管理センターと(「人」や「組織」である)事業者や患者等が、「端末装置」「中央演算装置」「インターネット」のような「コンピュータ」及び「コンピュータネットワーク」を単なる情報伝達の道具として使用して、(「人」や「組織」である)管理センターが「開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理する」という「社会的な仕組み(社会システム)」を人為的に取決めたものである。

したがって、本願発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるとはいえないものである。

(3)コンピュータ・ソフトウェア関連発明としての判断について
(3-1)本願発明は、上記のように、コンピュータを使用した「システム」であると一応認められるので、コンピュータ・ソフトウェア関連発明としても検討する。

コンピュータ・ソフトウエア関連発明については、審査基準の『第VII部 第1章 コンピュータ・ソフトウエア関連発明 2.2「発明」であること』に、以下のように記載されている。
『2.2.1 基本的な考え方
ソフトウエア関連発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」となる基本的考え方は以下のとおり。
(1)「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合,当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。(「3. 事例」の事例2-1?2-5 参照)
(説明)
「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」とは,ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより,ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法が構築されることをいう。
そして,上記使用目的に応じた特有の情報処理装置(機械)又はその動作方法は「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということができるから,「ソフトウエアによる情報処理が,ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」場合には,当該ソフトウエアは「自然法則を利用した技術的思想の創作」である。』

(3-2)そこで、本願発明が、上記ソフトウエア関連発明として「自然法則を利用した技術的思想の創作」となるか、すなわち「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものであるかを検討する。

ア 本願発明の上記記載事項(a)は、「医学研究所・医療メ-カ-等の開発者から再生医療の技術を収集して病院・クリニック等の実施者に供与し、かつ、この再生医療の技術を有する実施者に、成人病・難病等を始め疾病者、身体障害者、放射能被爆者、老化、シミ・シワ、肥満等の身体劣化の者に限らず、病気のペットを含めた患者等を治療・矯正させ、ヒト・ペットの健康や美容を回復・維持し、再生医療を啓発及び普及するために、運営者は、開発者及び実施者を募集し、事業者の開発者及び実施者と業務連携契約を締結し、かつ、患者等を募集し、患者等や実施者と医療連携契約を締結することによって、開発者を募集して再生医療の技術を収集すると共に、実施者を募集して再生医療の技術を開発者から実施者に供与する過程、患者等を募集して患者等を実施者に紹介して再生医療の治療を受けさせる過程、これらの過程に起因する費用を明確にする過程を管理するために、管理センタ-を設置し、」というものであり、ここにはコンピュータ及びその情報処理に関する記載は全く無いから、上記記載事項(a)は、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

イ 本願発明の上記記載事項(b)の「事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する機能を有する端末装置」は、「端末装置」(コンピュータ)の機能が、「事業者及び患者等が再生医療の技術を収集・供与・治療する過程及びこれらに起因する費用を明確にする過程に関する情報について、これらの情報を事業者及び患者等が入力・送受信・表示する」ものであると特定しているだけであり、情報を「入力・送受信・表示する機能」は、「端末装置」(コンピュータ)であれば普通に有している機能であって、「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」の動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

ウ 本願発明の上記記載事項(b)の「これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能を有する中央演算装置」は、「中央演算装置」(コンピュータ)の機能が、「これらの情報を管理センターが受容・登録・格納・表示し、かつ、事業者及び患者等の端末装置に送信する機能」であると特定しているだけであり、情報を「受容・登録・格納・表示し、かつ、」「送信する機能」は、「中央演算装置」(コンピュータ)であれば普通に有している機能であって、「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」の動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

エ 本願発明の上記記載(c)の「事業者及び患者等の端末装置と管理センターの中央演算装置において、再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報の送受信・表示等は、インターネットを通して行われ」は、単に伝達される情報が「再生医療の収集及び供与、実施者の再生医療の治療、これらに起因する費用に関する情報」であることや、これらの情報が表示されることを特定したにすぎないし、「端末装置」と「中央演算装置」の間の通信が「インターネット」という通信媒体を介して実行されることを特定しているだけで、「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」の動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものではないから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

オ 本願発明の上記記載(d)の「管理センターの中央演算装置は、通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等を具備し」は、「中央演算装置」が具備する機能手段を特定しているものの、それらが実行する具体的な情報処理については何も記載されておらず、また、「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」の動作に関連した特有の情報処理を具体的に記載したものでもないことから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではない。

カ 本願発明の上記記載(d)の「管理センターの中央演算装置は、」「事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応する」は、「中央演算装置」の機能について記載しているものの、「中央演算装置」の「通信手段・記憶手段・管理手段・検索手段・蓄積手段等」の各手段がそれぞれどのような情報処理を行うのかについては具体的に何も特定されていないことから、「事業者及び患者等の端末装置からインターネットを介して送信される、再生医療技術の収集・供与・治療及び費用に関する情報に対応する」との記載のみで、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

キ 本願発明の上記記載(e)の「再生医療技術の収集及び実施の管理システム」は、システムが実行する業務の概略を特定しているだけであり、何らの情報処理も記載されていないことから、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」といえるものではない。

(3-3)小括
以上のとおりであるから、本願発明がコンピュータ・ソフトウェア関連発明であるとしても、「ソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ものではないから、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえないものである。

(4)まとめ
上記(2)及び(3)で述べたとおり、本願発明は自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず、特許法第2条でいう「発明」に該当しないものである。
よって、本願発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。

第6 むすび
上記「第5」で述べたとおり、本願発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず、特許法第2条でいう「発明」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-05 
結審通知日 2015-06-16 
審決日 2015-06-29 
出願番号 特願2011-290580(P2011-290580)
審決分類 P 1 8・ 1- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮地 匡人唐橋 拓史  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 小田 浩
緑川 隆
発明の名称 再生医療技術の収集・実施の管理システム  
代理人 小島 庸和  

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