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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2010800088 審決 特許
無効2011800071 審決 特許
無効2012800042 審決 特許
無効2010800164 審決 特許
無効2012800032 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部無効 2項進歩性  A61K
管理番号 1304888
審判番号 無効2014-800135  
総通号数 190 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-10-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-08-25 
確定日 2015-08-31 
事件の表示 上記当事者間の特許第5339723号発明「経口投与用組成物のマーキング方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5339723号に係る特許出願は,平成18年5月24日(優先権主張 平成17年5月26日)を国際出願日とする国際特許出願であって,平成25年8月16日に特許権の設定の登録がされたものであり,その後の手続の経緯の概要は以下のとおりである。

平成26年 8月25日 特許無効審判請求(請求人)
同年11月17日 答弁書提出(被請求人)
同年12月22日付け 審理事項通知書(当審)
平成27年 1月14日 口頭審理陳述要領書提出(請求人)
同年 同月 同日 口頭審理陳述要領書提出(被請求人)
同年 同月28日 第1回口頭審理
同年 2月10日 上申書提出(請求人)
同年 2月24日付け 補正許否の決定(当審)

第2 本件発明
本件特許第5339723号の請求項1?22に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下,「本件特許発明1?22」という。)である。

「【請求項1】
経口投与用組成物へのマーキング方法であって、
変色誘起酸化物を経口投与用組成物に分散させる工程と、
前記変色誘起酸化物の粒子を凝集させて変色させるように、波長が200nm?1100nmであり、平均出力が0.1W?50Wであるレーザー光を、前記経口投与用組成物の表面に走査させる工程と、
を含み、
前記変色誘起酸化物が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄及び三二酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記走査工程が、80mm/sec?8000mm/secで実行される、マーキング方法。
【請求項2】
前記走査工程が、単位面積当たりのエネルギーが、390?21000mJ/cm^(2)で実行される、請求項1に記載のマーキング方法。
【請求項3】
前記レーザー光が、固体レーザーの波長、前記固体レーザーからの第二高調波の波長、第三高調波の波長及び第四高調波の波長から選択される少なくとも1種の光である、請求項1又は2に記載のマーキング方法。
【請求項4】
前記走査工程においてガルバノミラーを用いる、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のマーキング方法。
【請求項5】
前記経口投与用組成物が、10?500Nの硬度を有する、請求項1ないし4のうち何れか一項の記載のマーキング方法。
【請求項6】
前記経口投与用組成物が、成型物である、請求項1ないし5のうち何れか一項に記載のマーキング方法
【請求項7】
前記経口投与用組成物が、被覆層を有する、請求項1ないし5のうち何れか一項に記載のマーキング方法。
【請求項8】
前記被覆層を有する組成物が、フィルムコート錠である、請求項7に記載のマーキング方法。
【請求項9】
前記酸化チタンの配合量が、前記成型物又は前記被覆層100質量部に対して、0.01質量部?20質量部である、請求項6ないし8のうち何れか一項に記載のマーキング方法。
【請求項10】
前記黄色三二酸化鉄又は前記三二酸化鉄の配合量が、前記成型物又は前記被覆層100質量部に対して、0.001質量部?5質量部である、請求項6ないし8のうち何れか一項に記載のマーキング方法。
【請求項11】
マークを施された経口投与用組成物の製造方法であって、
変色誘起酸化物を経口投与用組成物に分散させる工程と、
前記経口投与用組成物の表面に、前記変色誘起酸化物の粒子を凝集させて変色させるように、波長が200nm?1100nmであり、平均出力が0.1W?50Wであるレーザー光を、前記経口投与用組成物の表面に走査させる工程と、
を含み、
前記変色誘起酸化物が、酸化チタン、黄色三二酸化鉄及び三二酸化鉄からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記走査工程が、80mm/sec?8000mm/secで実行される、製造方法。
【請求項12】
前記走査工程が、単位面積当たりのエネルギーが、390?21000mJ/cm^(2)で実行される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記レーザー光が、固体レーザーの波長、前記固体レーザーからの第二高調波の波長、第三高調波の波長及び第四高調波の波長から選択される少なくとも1種の光である、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記走査工程においてガルバノミラーを用いる、請求項11ないし13のうち何れか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記経口投与用組成物が、10?500Nの硬度を有する、請求項11ないし14のうち何れか一項の記載の製造方法。
【請求項16】
前記経口投与用組成物が、成型物である、請求項11ないし15のうち何れか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記経口投与用組成物が、被覆層を有する、請求項11ないし15のうち何れか一項に
記載の製造方法。
【請求項18】
前記被覆層を有する組成物が、フィルムコート錠である、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記酸化チタンの配合量が、前記成型物又は前記被覆層100質量部に対して、0.01質量部?20質量部である、請求項16ないし18のうち何れか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記黄色三二酸化鉄又は前記三二酸化鉄の配合量が、前記成型物又は前記被覆層100質量部に対して、0.001質量部?5質量部である、請求項16ないし18のうち何れか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
請求項11ないし20の何れか一項に記載の製造方法により製造された、マークが施された経口投与用組成物。
【請求項22】
前記経口投与用組成物が、錠剤又はカプセル剤である、請求項21に記載の経口投与用組成物。」

第3 請求人の主張の概要及び証拠方法
請求人は,「特許第5339723号の請求項1?22に係る発明についての特許を無効にする、との審決を求める。」とするところ,請求人の主張する特許を無効とする理由は,以下の無効理由1?4であり,証拠方法として,審判請求書とともに甲第1号証,甲第1-1号証,甲第2号証,甲第2-1号証,甲第3号証,甲第3-1号証,甲第4号証,甲第4-1号証,甲第5号証,甲第5-1号証,甲第6号証,甲第6-1号証,甲第7号証,甲第7-1号証,甲第8号証,甲第8-1号証を,口頭陳述要領書とともに甲第9?18号証を提出した(無効理由1?4は,当審からの審理事項通知書における審判請求書に記載の無効審判請求の根拠を特定することの要請に対して提出された口頭審理陳述要領書に記載されたものについて平成27年1月28日に行われた口頭審理で請求人が確認,その誤記を訂正し,調書に記載されたものである。)。
なお,第1回口頭審理において,被請求人は甲第1?18号証について枝番の付されたものを含め,すべて成立を認めている。

・無効理由1
本件特許の請求項1ないし3、7ないし13、17ないし22に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当する。

・無効理由2
本件特許の請求項1ないし3、7ないし13、17ないし22に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当する。

・無効理由3
本件特許の請求項4及び14に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明に,甲第2号証及び甲第4号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当する。

・無効理由4
本件特許の請求項5、6、15及び16に係る各発明は、甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証及び甲第7号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号の規定に該当する。

<証拠方法>
甲第1号証 :米国特許第6,836,284号明細書
甲第1-1号証:甲第1号証の日本語訳
甲第2号証 :米国特許第6,429,889号明細書
甲第2-1号証:甲第2号証の日本語訳
甲第3号証 :米国特許第4,468,551号明細書
甲第3-1号証:特開昭59-35893号公報(甲第3号証に係る出願を パリ条約による優先権の基礎とする日本出願の公開公報)
甲第4号証 :米国特許第5,719,372号明細書
甲第4-1号証:特開平8-141758号公報(甲第4号証に係る出願の パリ条約による優先権の基礎となった日本出願の公開公報 )
甲第5号証 :米国特許第5,155,324号明細書
甲第5-1号証:甲第5号証の抄訳
甲第6号証 :米国特許出願公開第2004/0253768号明細書
甲第6-1号証:特表2005-505145号公報(甲第6号証に係る国 際出願の国内公表公報)
甲第7号証 :米国特許第6,187,336号明細書
甲第7-1号証:特開平11-137208号公報(甲第7号証に係る出願 のパリ条約による優先権の基礎となった日本出願の公開公 報)
甲第8号証 :Kuhn,Kelin J.,「Laser engin eering」,Prentice Hall,199 8年,第14?15頁
甲第8-1号証:甲第8号証の日本語訳
甲第9号証 :特開昭63-255067号公報
甲第10号証 :米国特許第5,114,720号明細書
甲第11号証 :化学辞典,株式会社東京化学同人,1994年10月1日 第1版第1刷発行,第780頁(「走査」に関する頁)
甲第12号証 :JIS工業用語大辞典[第5版],財団法人日本規格協会 ,2001年3月30日第5版第1刷発行,第1256? 1259頁(「走査」に関する頁)
甲第13号証 :広辞苑[第4版],株式会社岩波書店,1991年11月 15日第4版第1刷発行,第1487頁(「走査」に関す る頁)
甲第14号証 :物理学辞典,株式会社培風館,1992年5月20日改訂 版発行,第1136頁(「走査」に関する頁)
甲第15号証 :特許技術用語集[第2版],日刊工業新聞社,2000年 8月28日第2版第1刷発行,第102頁(「走査」に関 する頁)
甲第16号証 :マグローヒル科学技術用語大辞典[第3版],株式会社日 刊工業新聞社,1996年9月30日第3版第1刷発行, 第831頁(「食刻」に関する頁)
甲第17号証 :JIS工業用語大辞典[第5版],財団法人日本規格協会 ,2001年3月30日第5版第1刷発行,第210頁( 「エッチング」に関する頁)
甲第18号証 :特許技術用語集[第2版]、日刊工業新聞社、2000年 8月28日第2版第1刷発行、第83頁(「食刻」に関す る頁)

なお,請求人が上申書において主張した,上申書における「6.上申の内容」の(2)?(4)に記載された事項(上申書3頁16行?10頁26行)及び(5)の「そしてすでに本件特許発明の・・・2?22にとっても、特徴的な事項を規定するに至っておらず、新規性進歩性もない。」の部分に記載された事項(上申書11頁7?16行),並びに同書に添付された甲第19号証及び甲第19-1号証により立証しようとする事実に基づく請求の理由の補正については補正許否の決定により許可されなかった。

第4 被請求人の主張及び証拠方法
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める。」とするとともに,答弁書とともに乙第1?5号証を提出して,請求人が主張する無効理由に対して反論している。
なお,第1回口頭審理において,請求人は乙第1?5号証の成立を認めている。

<証拠方法>
乙第1号証:工作機械シリーズ レーザ加工, 株式会社大河出版,平成2年 9月10日初版発行,83?90頁,
乙第2号証:レーザ加工の基礎工学 改定版 理論・シミュレーションによ る現象から応用まで,丸善出版株式会社,平成25年12月2 5日発行,552?553頁
乙第3号証:電学論E,平成13年,121巻5号,275?280頁
乙第4号証:甲第5号証の抄訳
乙第5号証:広辞苑 第5版,株式会社岩波書店,1998年11月11日 第5版第1刷発行,1308頁

第5 証拠方法に記載の事項
(1)甲第1号証及び甲第1-1号証
1a.「1.発明の分野
本発明は一般的に,物体にデジタルマイクロミラーデバイスによって画定されるパターンで非破壊的にパルス状のレーザマーキングをすることに関する。レーザエネルギーは,物体を損傷せずに,物体に含まれる放射感受性材料の色変化を誘起する。」(甲第1号証の第1列第10?15行(甲第1-1号証の第1頁第29?32行))

1b.「紫外線領域でのレーザマーキングは、典型的には光化学反応によって色変化を生じる。レーザとマークされる基板の間で何らかの種類のマスクを使用することは慣例となっている。マスクは基板上に作用するコヒーレントUV光のパターン,したがって基板に記録される画像を画定するように働く。または制御されたビームの偏向は1回に1ドットの画像を製造し,おおよそ従来のドットマトリックスプリンターに相当する。たとえばFaberらの米国特許第5,489,639号を参照のこと。」(甲第1号証の第1列第35?43行(甲第1-1号証の第1頁第49行?第2頁第4行))

1c.「従来のレーザマーキングシステムはマスク,線形マーキング,またはドットマトリックス方法を使用して望ましいマーキングパターンを生成する。線形マーキングおよびドットマトリクス方法はマークされる物体の移動とレーザビームの間に入念な調整を必要とする。」(甲第1号証の第2列第23?27行(甲第1-1号証の第2頁第32?35行))

1d.「デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)が良く知られている。典型的にはデジタルマイクロミラーデバイスはとても小さいミラーのアレイから成り(典型的には平方インチあたり数百万)、各ミラー要素の角度位置が、約10?20°だけ互いに角度を有して離れている少なくとも2つの位置の間で個々に制御可能である。・・・少なくとも1つの軸の周りのアレイにおけるミラー要素の個々に制御された傾斜は、反射鏡面から反射したエネルギーを所定のパターンに形成することを可能にする。」(甲第1号証の第2列第30?51行(甲第1-1号証の第2頁第36?48行))

1e.「この迂回する放射エネルギーは吸収されるか、目標とする基板から離れて反射するか、または放射エネルギーのランダムな反射が、意図する目標への反射鏡面から反射した意図する画像をぼやけさせないような他の場所へ導かれる必要がある。」(甲第1号証の第3列第5?9行(甲第1-1号証の第3頁第10?13行))

1f.「従来技術のこれらのおよび他の困難は本発明によって克服された。」(甲第1号証の第3列第35?36行(甲第1-1号証の第3頁第29行))

1g.「コヒーレントエネルギーのパルス状ビームはエネルギーが鏡面から反射する際、DMDの表面の個々のミラーの構造からパターンを派生する。」(甲第1号証の第3列第52?55行(甲第1-1号証の第3頁第38?40行))

1h.「図1は,好ましい実施形態の線図の斜視図であり,パルス状の紫外線レーザビームが拡大され,デジタルマイクロミラーデバイスから所定のパターンに反射され,凝集され,二酸化チタンを含む物体に投射される図である。
図2は,複数の個々のミラー要素を示すデジタルマイクロミラーデバイスの反射鏡面の線図の上面図であり,個々のミラー要素のいくつかは所定のパターンに配置され入射エネルギーを「E」の文字の形状に反射する図である。」(甲第1号証の第4列第65行?第5列第7行(甲第1-1号証の第4頁第35?40行))

1i.「コヒーレントUVエネルギーの拡大されたビームは,その境界が14および16で表されるが,デジタルマイクロミラーデバイス17の反射鏡面15に投射される。反射鏡面15内の個々の要素は入射するUVエネルギーの一部が所定のパターンで反射される(たとえば図2から図4を参照のこと)ように配置される。反射したパターンのビームの境界は18および20で表される。・・・コヒーレントUVエネルギーのパターンのある反射ビームは光学ビームコンデンサ22を通過し,物体26上の目標エリア24に集中する(特に図4を参照)。(甲第1号証の第5列第46?58行(甲第1-1号証の第5頁第14?21行))

1j.「典型的には物体26はパターン化された反射ビームに対して移動し、したがってレーザ13の各パルスは同一または異なる物体26に関して新たな目標エリア24に達する。好ましくは、物体26は1秒あたり50から100個以上の異なるマーキングを形成するのに十分に速い速度で一定の動きに保たれる。すなわち物体26の移動速度はレーザがパルス状になる速度でマーキングを形成するのに十分に速いことが好ましい。」(甲第1号証の第5列第61行?第6列第2行(甲第1-1号証の第5頁第23?27行))

1k.「物体26は、それぞれに1つのマークが付与された一連の別個の物体、またはそれぞれが自身の別個のマーキング領域にある一連の別個のマーキングが付与された連続した基板でも良い。好ましくは、全体のバーコード、言葉、デザイン等が1つのパルスによって形成され、したがってマーク要素の臨界の空間は、物体の移動とパルスのタイミングの間の密接な同期化ではなく、反射鏡面の個々のミラー要素の調整によって制御される。たとえば1つの個別の物体は、物体の異なるマーキング領域へのエネルギーのいくつかの異なるマーキングパルスによって付与された、いくつかの別個のマークを必要とする言葉、バーコードその他でマークされる。他の同じ別個の物体は、マーキングゾーンに運ばれ、同じパターンの画像またはマークが繰り返される。反射鏡面は調節され、物体は各パルスの間を移動し、物体上で互いに離れた望ましい一連のマークを提供する。または同じマークまたは一連のマークが、たとえばワイヤ、ホース等の1つの連続する物体の一連の異なるマーキングエリアにおいて何度も繰り返し可能である。」(甲第1号証の第6列第59行?第7列第12行(甲第1-1号証の第6頁第12?23行))

1l.「たとえばLambda Physik Inc.製造の、400Hzで動作し308ナノメートルの波長で100ミリジュールのレーザエネルギーを生成するLPX100iシリーズのXe:Clエキシマレーザは、上記に論じた実質的に増加したマーキング速度を容易に達成し得る。」(甲第1号証の第9列第30?35行(甲第1-1号証の第8頁第14?17行))

1m.「またはレーザは物体に対して移動可能であり、レーザが物体をマークするのに適切な位置にある時発射するか、またはレーザが発射される時両者が移動中となる。レーザビームは、望ましい場合、適切なレーザビーム搬送システムの使用によって、レーザを移動させずに移動可能である。」(甲第1号証の第10列第29?34行(甲第1-1号証の第9頁第1?4行。なお,「発射する」,「発射される」は,甲第1-1号証では「燃焼される」,「燃焼される」とされていたが,請求人が口頭陳述要領書に,前2者が適切と考える旨記載している。))

1n.「二酸化チタンまたは他の色素は、層の重量に基づき、約0.5から5重量パーセントの量でマークされる層に存在する必要がある。好ましくは、色素は約1から3重量パーセントの量で存在する。」(甲第1号証の第13列第34?38行(甲第1-1号証の第11頁第12?14行))

1o.「色素粒子は全てほぼ同じサイズであり、エネルギーを吸収する層に均一に分布されると仮定する。」(甲第1号証の第13列第64?66行(甲第1-1号証の第11頁第27?29行))

1p.「コヒーレントエネルギーの最適な波長は、二酸化チタンまたは他の色素がエネルギーを最も強く吸収する波長である。これは二酸化チタンでは約400ナノメートル以下である。一般的に、約380から190ナノメートルの範囲の紫外線を出すレーザが有用であり、二酸化チタンには約360から240ナノメートルのエネルギーを出すレーザが好ましい。」(甲第1号証の第14列第4?10行(甲第1-1号証の第11頁第31?35行))

1q.「二酸化チタンは、一般にアメリカ食品医薬局によって安全と見なされているため、一般に好ましい放射感受性マーキング材料である。製品におけるその存在および製造におけるその使用は安全性の懸念を提示しない。」(甲第1号証の第14列第11?15行(甲第1-1号証の第11頁第36行?第12頁第1行))

1r.「好ましくは、高い大量生産の必要性のため、レーザは少なくとも約10から約1000ヘルツ、好ましくは20から400ヘルツのパルス速度を有する必要がある。パルス速度はパルス継続時間から区別されるべきである。全ての所与のレーザの異なる特性が存在する。パルス速度は一般的に最大の生産率を規定する。パルス速度は、通常1秒あたりのイベントの数(ヘルツ)で記載される、1秒あたりに紫外線レーザが何回発射するかを示す。パルス継続時間は各パルスの間にどのくらいレーザが照射したかを示し、ナノ秒で記載される。その様な短いパルス継続時間では、レーザはほとんどの時間暗い(照射しない)。物体が1つのマーキング位置から次に移動するのはこれらの暗い時期の間であり、ミラー要素は放射のパターンを変化させるために調節される。」(甲第1号証の第16列第31?45行(甲第1-1号証の第14頁第8?16行。なお,摘示1mと同様,「発射する」は甲第1-1号証では「燃焼する」とされている。))

(2)甲第2号証及び甲第2-1号証
2a.「本明細書で使用される「消耗品」は、処方のおよび非処方の薬剤、および補助食品を含む、治療の目的で人間または非人間の生物によって経口または他の方法で消費されることを意図した物品である。その様な別個の消耗品の例は、ピル、タブレット、ゲルカプセル、溶解タブレット、トローチ等を含む。
本発明によると、個々の消耗品は放射エネルギーの使用によって、インクまたは他の外部のマーキング材料の堆積なしに且つ消耗品を物理的に劣化させることなくマークされる。」(甲第2号証の第3列第46?57行(甲第2-1号証の第3頁第29?34行))

2b.「本発明の方法は、レーザエネルギーに曝されると検知可能な色に変化する放射性感受性の第1の材料を選択する工程と、有効量の放射感受性をマークされる別個の消耗品の可視層に組み込む工程を含む。一般的に、必ずしも必要ではないが、放射感受性材料は物品の外側層にある。好ましくはその後別個の消耗品は移動中にされ、好ましくは検知場所が紫外線レーザエネルギーのソースに対して所定の場所またはマーキング領域に確立される。検知場所はマーキング領域の別個の物品の到着を検知し、レーザの発射を誘起する。」(甲第2号証の第4列第8?19行(甲第2-1号証の第3頁第44?49行。なお,摘示1m,1rと同様,「発射」は甲第2-1号証では「燃焼」とされている。))

(3)甲第3号証及び甲第3-1号証
パルスレーザのパラメータ等について記載されている。

(4)甲第4号証及び甲第4-1号証
4a.「

」(甲第4号証のFIG.5)

4b.「図1は、本実施例の構成を示す図であるが、本実施例のビームスキャン式レーザマーキング装置は、図5に示した従来のビームスキャン式レーザマーキング装置の構成とその大部分が同一であり・・・。」(甲第4-1号証の段落0020)

4c.「

」(甲第4-1号証の図1)

4d.「

」(甲第4-1号証の図5)

(5)甲第5号証,甲第5-1号証,甲第6号証及び甲第6-1号証
レーザの出力,走査速度等について記載されている。

(6)甲第7号証及び甲第7-1号証
7a.「近年、錠剤などの固形製剤の成形工程では、一般にロータリー式打錠機が使用されているが、この打錠機を用いる場合、半固形状態あるいは湿潤状態にある錠剤材料は供給材料の流動性不足や加圧時における材料の加圧部材への付着などの障害が発生する。」(甲第7号証の第1列第63行?第2列第2行(甲第7-1号証の段落0009))

7b.「本発明者らは、かかる従来技術の問題を解決すべく種々検討した結果、エリスリトールに薬物等を混合し、適度の水分を添加し練合した後、単発打錠機、成形機、押し出し成形機(エクストルーダー等)を用いて錠剤様の形に成形し、減圧乾燥機にて乾燥することにより得られる製剤は、口腔内において極めて短時間(約10秒前後)で溶解又は崩壊し、かつ十分な硬度を有することを見出し本発明を完成した。」(甲第7号証の第2列第15?26行(甲第7-1号証の段落0011))

7c.「本発明は、エリスリトールを含有してなる口腔内速溶性固形物であり、該固形物は内部が多孔性で表面が緻密で硬い構造(好ましくは、固形物の硬度が約3Kg以上である)を有し、かつ口腔内で短時間に溶解又は崩壊する性質を有することを特徴とする口腔内速溶性固形物である。また、本発明は、エリスリトールを含有してなる組成物に適度な水分が含まれるように調製し練合した後成形し減圧乾燥することを特徴とする口腔内速溶性固形物の製造方法である。」(甲第7号証の第2列第27?41行(甲第7-1号証の段落0012))

7d.「参考例1?参考例4及び実施例1で得られた錠剤を用い、錠剤の硬度、崩壊時間及び口溶け時間を測定し、その結果結果を表1に示した。なお、錠剤硬度の測定には木屋式錠剤硬度計を用い、崩壊時間の測定には日本薬局方崩壊試験器(試験液:水37℃)を使用し、各6回の測定を行った。さらに、口溶け時間は健康な成人男子(3人)の口腔内の唾液で錠剤が完全に溶解又は崩壊するまでの時間を測定した。」(甲第7号証の第6列第20?30行(甲第7-1号証の段落0028))

7e.「

」(甲第7号証の第6列TABLE 1)

7f.「

」(甲第7号証の第9列TABLE 7)

(7)甲第8号証及び甲第8-1号証
連続波レーザのパワー,パルスあたりのエネルギー、パルス繰り返し率の関係について記載されている。

(8)甲第9号証及び甲第10号証
ゼラチン被膜の厚さについて記載されている。

(8)甲第11号証
「走査[scanning] 線上をたどって調べる(データを取込む)ことを走査という.」(「走査」の項。なお,他にいくつか「走査」から始まる語の項が記載されている。)

(9)甲第12号証
「走査 そうさ scannning
画像をその画素の時系列に分解すること.」(「走査」の項。なお,他にも多数「走査」の項,「走査」から始まる語の項が記載されている。)

(10)甲第13号証
「そうさ【走査】(scanning)テレビジョンや写真電送の送信で、像を点の集合に分解してその明暗の度を順次に電流の強さに変えて送信する操作。・・・」(「走査」の項)

(11)甲第14号証
「走査[英 scan,・・・]二次元の画像情報を一次元の電気信号に変換する手段.・・・」(「走査」の項。なお,他にも「走査」から始まる語の項が記載されている。)

(12)甲第15号証
「走査〔そうさ〕scan 調べ走ること。画面を画素に分解すること。・・・」(「走査」の項)

(13)甲第16号証?甲第18号証
食刻,エッチングの意味が記載されている。

(14)乙第1号証
a1.「2(□中に2)レーザマーキングの方式
現在実用化されているマーキング方式を分類すると,図1のように2つに大別できる.1つは,あらかじめ製作しておいた文字や図形などのパターン(マスク)を,対象物表面に光学的に転写する「マスクマーキング」方式である.そしてもう1つの方法は,集光したレーザ光を直接対象物表面に走査(スキャン)させることで印字する方式である.これは,通常「スキャニングマーキング」と呼ばれている.」(乙第1号証の第83頁右欄第23行?第84頁右欄第6行)

a2.「

」(乙第1号証の第84頁図1)

a3.「(2)スキャニングマーキング方式の原理と実際
1(○中の1)原理……レーザ光を対象物表面上で2次元的に走査する方式としては,XY軸テーブルに載せてマーキングすることもできるが,処理速度や精度,操作性,簡便さといった点で,ガルバノメータ方式が圧倒的にすぐれている.・・・
図5のような光学系を用いてレーザ光を走査しながら印字する方式を,一般に「スキャニングマーキング」(または「ストロークマーキング」と呼んでいる.・・・
スキャニングマーキング方式にも,走査方法によって「イングレービング」方式と「ドットマトリクス」方式の2つがある.
・イングレービング方式
いわゆる“一筆書き”で書かれるレーザマーキングである.・・・高い尖頭値を持つレーザパルスで刻印されるドットは,互いにいくらか重なって(オーバーラップ)打たれるため,線として表現される.・・・
・ドットマトリクス方式
イングレービング方式がドットを重ねながら連続の線として刻印するのに対して,ドットマトリクス方式はドットを重ねるのではなく,文字や記号をたとえば5×9,9×17といったドットマトリクス上で表現するものである.
走査方法には2通りある.1行すべての文字に対してドットマトリクスの上部の行から順に下の行にマーキングしていく「ラスタスキャン」方式と,イングレービングマーキングと同様な走査方法である,1文字ごとにマーキングしていく「ベクトルスキャン」方式である.」(乙第1号証の第87頁中欄第10行?第89頁中欄第6行)

a4.「

」(乙第1号証の第87頁図5)

(15)乙第2号証
b1.「13.2 マーキングとその種類
13.2.1 方式による分類
レーザマーキングには,大別してマスク方式とスキャン方式がある.マスク方式はあらかじめ文字や図柄をエッチング(化学的な腐食加工)などで作製した金属マスクを用い,広げたレーザビームをマスクに通過させることで,マスク上の文字や図柄のパターンに沿ってレーザ(光)が平行に通過させる.・・・
一方,スキャン(走査)方式は,x軸とy軸に相当する動きを2個のガルバノミラーにもたせビームを走査(scanning)することで,平面上を高速で文字や図柄を描く方式である.」(乙第2号証の第552頁第5?20行)

(16)乙第3号証
c1.「デジタルマイクロミラーデバイスを用いた非走査型光造形」(乙第3号証の第275頁表題)

c2.「光造形法は複雑な3次元モデルを非切削で造形する技術である。・・・現在一般的な製造システムにおいては、レーザ走査による露光方法が使われているが、これらのシステムは複雑であり,かつランニングコストが高い。・・・一方デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)[2]を使用する新しい光造形システムは、紫外線の光源として超高圧水銀ランプを用いることができ、低コストの光造形システムを実現できる。[3]」(乙第3号証の第275頁左欄「1.はじめに」の欄)

第6 当審の判断
1.甲第1号証に記載された発明
甲第1号証に記載された発明は,物体にデジタルマイクロミラーデバイス(以下,「DMD」ともいう。)によって画定されるパターンで非破壊的にパルス状のレーザマーキングをすることに関する(摘示1a)ものであり,甲第1号証には,レーザエネルギーは,物体を損傷せずに,物体に含まれる放射感受性材料の色変化を誘起する(摘示1a)こと,二酸化チタンは、一般に好ましい放射感受性マーキング材料である旨(摘示1q),二酸化チタンまたは他の色素は、マークされる層に存在する必要がある旨(摘示1n),色素粒子は、エネルギーを吸収する層に均一に分布されると仮定する旨(摘示1o),一般的に、約380から190ナノメートルの範囲の紫外線を出すレーザが有用であり、二酸化チタンには約360から240ナノメートルのエネルギーを出すレーザが好ましい(摘示1p)こと,レーザを照射する(摘示1r)こと,たとえばLambda Physik Inc.製造の、400Hzで動作し308ナノメートルの波長で100ミリジュールのレーザエネルギーを生成するLPX100iシリーズのXe:Clエキシマレーザを用いる旨(摘示1l)が記載されている。
ここで,二酸化チタン又は他の色素等の色素粒子がエネルギーを吸収する層に均一に分布するためには,該色素粒子を前記物体に分散させる工程を経ることは明らかである。
そうしてみると,甲第1号証には,
「物体へのDMDによるマーキング方法であって,放射感受性材料を物体に分散させる工程と,前記放射感受性材料の粒子に色変化を誘起させるように,波長が約380から190ナノメートルであるレーザー光を前記物体に照射する工程と,を含み,前記放射感受性材料が,二酸化チタンである,マーキング方法。」の発明(以下,「甲第1号証発明1」という。)が記載されているものと認める。
また,物体へDMDによってマーキングすることによって,マーキングが施された物体が製造されるのであるから,甲第1号証には,
「DMDによるマークを施された物体の製造方法であって,放射感受性材料を物体に分散させる工程と,前記放射感受性材料の粒子を変色させるように,波長が約380から190ナノメートルであるレーザー光を前記物体に照射する工程と,を含み,前記放射感受性材料が,二酸化チタンである,製造方法。」の発明(以下,「甲第1号証発明2」という。)が記載されているものと認める。

2.無効理由1について
2-1.本件特許発明1について
ア)対比
本件特許発明1と甲第1号証発明1とを対比する。
甲第1号証発明1の放射感受性材料は,レーザーエネルギーによって色変化(すなわち変色)を誘起するものであり,二酸化チタンであって,二酸化チタンは酸化チタンであるから,本件特許発明1の「変色誘起酸化物」に相当する。また,レーザー光の波長について,甲第1号証発明1は約380から190ナノメートルであるが,二酸化チタンの場合には約360から240ナノメートルが好ましい旨が(摘示1p)記載されており,この範囲は,本件特許発明1の200nm?1100nmにその全てが包含されるものである。さらに,本件特許発明1において,レーザー光を経口投与用組成物に照射していることは明らかである。
したがって,本件特許発明1と甲第1号証発明1とは,
「物体へのマーキング方法であって、変色誘起酸化物を物体に分散させる工程と,前記変色誘起酸化物の粒子を変色させるように,波長が200nm?1100nmであるレーザー光を、前記物体に照射する工程と、を含み、前記変色誘起酸化物が、酸化チタンである,マーキング方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

<相違点1>
本件特許発明1が,物体を「経口投与用組成物」と特定しているのに対し,甲第1号証発明1ではかかる特定がされていない点

<相違点2>
本件特許発明1が,変色誘起酸化物の粒子を「凝集させて」変色させる旨特定しているのに対し,甲第1号証発明1では凝集させることが特定されていない点

<相違点3>
本件特許発明1が,レーザー光の「平均出力が0.1W?50Wである」と特定しているのに対し,甲第1号証発明1ではかかる特定がされていない点

<相違点4>
本件特許発明1が,レーザー光を照射する工程が,レーザー光を,(経口投与用組成物の)「表面に走査させる工程を含む」としているのに対し,甲第1号証発明1では,表面に走査させる工程を含むことが特定されていない点

<相違点5>
本件特許発明1が,「前記走査工程が、80mm/sec?8000mm/secで実行される」としているのに対し,甲第1号証発明1では,かかる特定がされていない点

<相違点6>
本件特許発明1が,マーキング方法に用いるデバイス(装置)を特定していないのに対し,甲第1号証発明1では,「DMDによる」とされている点
イ)判断
<相違点4>?<相違点6>について
相違点4は表面に走査させる工程を含むこと,相違点5は走査工程における走査の速度をそれぞれ特定するものであり,いずれも走査させることに関するものである。また,相違点6はマーキング方法に用いる装置に関するものである。そして,それらはいずれもマーキング方式に関する事項であるので,これらを併せて検討する。
甲第1号証には,レーザー光を「走査させる」との文言はない。
ここで,レーザーマーキングには,あらかじめ製作しておいた文字や図形などのパターン(マスク)を,対象物表面に光学的に転写するマスクマーキング方式と,集光したレーザー光を直接対象物表面に走査(スキャン)させることで印字する,あるいはx軸とy軸に相当する動きを2個のガルバノミラーにもたせビームを走査することで文字や図柄を描く方式であるスキャニングマーキング方式があることは,甲第1号証,乙第1号証,乙第2号証に記載(摘示1b,1c,a1?a4及びb1)のとおり周知である。また,スキャニングマーキング方式には,走査方法によって,「イングレービング」方式と「ドットマトリックス」方式があり,いずれの方式においてもドットとしてマーキングすること,すなわち,ドット毎にレーザー光が照射されることによってマーキングされることも周知の事項である(摘示a3)。
そこで,甲第1号証発明1のDMDによるマーキング方法が走査させる方式のマーキングであるか検討する。
甲第1号証には,DMDはよく知られているものであって,小さいミラーのアレイ(配列)から成り,各ミラー要素の角度位置が,約10?20°だけ互いに角度を有して離れている少なくとも2つの位置の間で個々に制御可能であること,少なくとも1つの軸の周りのアレイにおけるミラー要素の個々に制御された傾斜は、反射鏡面から反射したエネルギーを所定のパターンに形成することを可能にすることが記載されている(摘示1d)。また,甲第1号証には,DMDによるマーキングは,DMDによって画定されたパターンでマーキングするものであること,所定のパターンに配置されたミラーによって,所定のパターンを形成する旨が記載されており(摘示1a,1d,1e,1g?1j),乙第3号証には,「デジタルマイクロミラーデバイスを用いた非走査型光造形」(摘示c1),光造形について,現在一般的な製造システムにおいて使われるレーザ走査による露光方法においては,システムが複雑で,ランニングコストが高いこと,一方のDMDを使用するシステムは,低コストの光造形システムを実現できる(摘示c2)ことが記載されている。
これらの記載からみて,DMDによるレーザーマーキングは,予めミラーの各要素によって画定されたパターンにレーザー光を照射することによって対応するパターンを形成するものであり,予め画定されたパターンに基づいてマーキングするという点において,上記従来の2つのマーキング方式のうち,マスクマーキング方式と共通するものであって,予め画定されたパターンにレーザー光を照射するものではなく,集光したレーザー光をx軸,y軸方向に移動させることによって文字や図柄等のパターンを形成するものである,走査マーキング方式,すなわちスキャンニングマーキング方式とは明らかに異なる方式であるということができる。また,個々に制御された傾斜を有する複数のミラー要素によってパターンが形成されるDMDによるレーザーマーキングは,ドット毎にレーザー光が照射されることによってマーキングを施すスキャニングマーキングとはマーキングの方式が異なることも明らかである。
そうしてみると,甲第1号証発明1のDMDによるマーキング方法はスキャニングマーキング方式,すなわち,走査させることで,印字,描画をする方式であるとは技術常識を参酌してもいえないから,甲第1号証発明1が表面を走査させる工程を含むものとはいえない。また,甲第1号証発明1が表面を走査させる工程を含むといえない以上,走査の速度を有するものとはいえない。
したがって,本件特許発明1と甲第1号証発明1とは<相違点4>?<相違点6>において相違する。

ウ)請求人の主張について
請求人は,「走査」に関連して,口頭審理陳述要領書の
A)第7頁第11行?第10頁第13行において,「A)甲第1号証に走査する工程が記載されているといえる理由」として,本件特許発明1は物体とレーザー光の照射部との位置関係を変化させることを含むことを指摘し,甲第1号証の第6列第67行?第7列第4行(甲第1-1号証の第6頁第16?19行)及び甲第1号証の第5列第61?64行(甲第1-1号証の第5頁第22?24行)(それぞれ,摘示1j及び1kに含まれる部分)の記載を挙げ,これらの開示は、物体とレーザー光の照射部との位置関係を変化させることを含む又は変化させることを必要とすること,また,甲第1号証の第10列第29?34行(甲第1-1号証の第9頁第1?4行)(摘示1mに含まれる部分)の記載を挙げ,レーザー光の照射部を静止して物体を移動させることに限定されず,物体,レーザービームのいずれか又はその両者を移動させることが開示されることを指摘して,甲第1号証にはレーザー光を表面に走査させる工程が記載されている旨,甲第11号証?甲第15号証をみても,「走査」の意味は多種多様であり,「調べ走ること」,「画面を画素に分解すること」という認識が得られるに過ぎないこと,重要なのは,変色誘起酸化物が受けるレーザー照射エネルギーがどれくらいになるかという観点で走査速度が決まっていることであり,描写パターンの決め方として,マスクを通過させるか,DMDでパターン決めするか,あるいは1ドット1ドット描くか,というマーキング方式は本件特許発明1の「走査速度」を考慮する上で本質的な問題ではないこと,
B)第10頁第14行?第11頁第17行において,「B)物体を移動させることが走査するといえる理由」として,本件特許明細書の段落0024の冒頭に「レーザーを、経口投与用組成物の表面に照射する際のレーザーの走査方式としては、特に限定されるものではない」という記載があるとおり,本件特許発明1の記載は「走査」についてさらなる規定をしていないことを考慮すれば,本件特許発明1の構成要件の「走査」が、物体とレーザー光の照射部との位置関係を変化させることを含むので,このような構成要件は甲第1号証の第5列第61?64行(甲第1-1号証の第5頁第22?24行)(摘示1jに含まれる部分)の,物体26はパターン化された反射ビームに対して移動する旨の記載によって開示されていること,甲第1号証の第5列第61行?第6列第2行(甲第1-1号証の第5頁第22?27行)(摘示1j)の物体26を移動させる記載は,本件特許発明1の「走査」を開示すること,
C)第15頁第5行?第17頁第21行において,「(5)主張の補足および強調について」の「2)」?「4)」として,本件特許発明1の記載上では、「走査」は被請求人が答弁書で主張するような物体を静止してレーザー光の照射部を移動させる方式には限定されていないこと,本件特許明細書による個々のレーザーパルスによって施されるドットが複数集まることは、甲第1号証による個々のパルスによって施されるマーク(たとえば1つのマスクが1ドットを施す)が複数集まることと同じであること,甲第1号証は、物体(物体26)とレーザー光の照射部との位置関係を変化させることを必要とする,つまり甲第1号証は、本件特許発明1の「レーザー光を、前記経口投与用組成物の表面に走査させる工程と、を含み」を開示すること,甲第1号証の開示はレーザー光の照射部を静止して物体を移動させることに限らないものであり(摘示1m),本件特許発明1の「走査」について,物体を静止してレーザー光の照射部を移動させるという,限定解釈は成り立たず,仮に成り立つとしても、甲第1号証はレーザービームを移動させることも開示していること,本件特許明細書による複数のレーザーパルスが生成する複数のドットのマークは、甲第1号証において1マスクが1ドットを施す複数のレーザーパルスによって生成される複数のマークに同じであること,
を主張する。
A)及びB)について
上述のとおり,スキャニングマーキング方式にはいくつかの方式が存在するところ,本件特許発明1では,どのような方式で走査するかは特定されておらず,また,本件特許明細書の段落0020に「本発明に係るマーキング方法を実施する装置を図1に例示するが、これに限定されるものではない」と,段落0024に「レーザーを、経口投与用組成物の表面に照射する際のレーザーの走査方式としては、特に限定されるものではない」と記載されていることからみて,本件特許発明1は物体を移動させることに相当する方式(XYテーブル型スキャニング方式がこれにあたる)によるマーキング方法を含むものであり,甲第1号証にはレーザーが物体に対して相対的に移動可能であることが記載されている(摘示1m)ことは請求人の主張のとおりである。しかし,本件特許発明1が走査させる方式を特定しておらず,また,「走査」自体の意味は多種多様であるとしても,本技術分野において「走査させるマーキング方式」の意味は自明であり,そして,上で述べたとおり,そもそも甲第1号証に記載のDMDによるマーキングはスキャニングマーキング方式,すなわち走査させるマーキング方式であるといえないのであるから,甲第1号証に表面を走査させる工程及び走査の速度が記載されているとはいえず,請求人の主張は採用できない。
C)について
本件特許発明1において,物体を静止してレーザー光の照射部を移動させる方式には限定されていないこと,甲第1号証の開示はレーザー光の照射部を静止して物体を移動させることに限らず,レーザービームを移動させることも開示していることは請求人の主張のとおりであるが,そうであるからといって,甲第1号証に表面を走査させる工程が記載されているとはいえないことは上で述べたとおりである。
また,甲第1号証に記載のDMDは,個々に制御された傾斜を有する複数のミラー要素によってパターンが形成されるものであって,ドット毎にマーキングするものであるとはいえないから,本件特許明細書による個々のレーザーパルスによって施されるドットが複数集まることは、甲第1号証による個々のパルスによって施されるマーク(たとえば1つのマスクが1ドットを施す)が複数集まることと同じであるとはいえない。
よって,請求人のこの主張も採用できない。

エ)まとめ
以上のとおり,本件特許発明1は,<相違点4>?<相違点6>において甲第1号証発明1と相違するから,その他の相違点を検討するまでもなく,甲第1号証に記載された発明であるということはできない。
なお,甲第1号証のその他の記載,甲第3号証,甲第3-1号証,甲第5号証,甲第5-1号証,甲第6号証,甲第6-1号証,甲第8号証?甲第18号証の記載をみても,本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。

2-2.本件特許発明2?3,7?10について
本件特許発明2?3,7?10は,いずれも本件特許発明1を直接,間接的に引用するものであり,本件特許発明1で特定される事項を発明特定事項として有するものであるから,本件特許発明1と同様に甲第1号証に記載された発明であるということはできない。

2-3.本件特許発明11について
本件特許発明11と甲第1号証発明2を対比すると,上記2-1のア)で述べた点に鑑みれば,両者は
「マークを施された物体の製造方法であって、変色誘起酸化物を物体に分散させる工程と,前記変色誘起酸化物の粒子を変色させるように,波長が200nm?1100nmであるレーザー光を、前記物体に照射する工程と、を含み、前記変色誘起酸化物が、酸化チタンである,製造方法。」
である点で一致し,以下の点で相違する。

<相違点1’>
本件特許発明1が,物体を「経口投与用組成物」と特定しているのに対し,甲第1号証発明2ではかかる特定がされていない点

<相違点2’>
本件特許発明1が,変色誘起酸化物の粒子を「凝集させて」変色させる旨特定しているのに対し,甲第1号証発明2では凝集させることが特定されていない点

<相違点3’>
本件特許発明1が,レーザー光の「平均出力が0.1W?50Wである」と特定しているのに対し,甲第1号証発明2ではかかる特定がされていない点

<相違点4’>
本件特許発明1が,レーザー光を照射する工程が,レーザー光を,(経口投与用組成物の)「表面に走査させる工程を含む」としているのに対し,甲第1号証発明2では,表面に走査させる工程を含むことが特定されていない点

<相違点5’>
本件特許発明1が,「前記走査工程が、80mm/sec?8000mm/secで実行される」としているのに対し,甲第1号証発明2では,かかる特定がされていない点

<相違点6’>
本件特許発明1が,マークに用いるデバイス(装置)を特定していないのに対し,甲第1号証発明2では,「DMDによる」とされている点

そして,これら<相違点1’>?<相違点6’>は,上記2-1のア)で示した<相違点1>?<相違点6>にそれぞれ対応するものであり,<相違点4’>?<相違点6’>の判断については<相違点4>?<相違点6>について上記2-1のイ)で述べたのと同様である。
したがって,本件特許発明11は,<相違点4’>?<相違点6’>の点において甲第1号証発明2と相違するから,その他の点を検討するまでもなく,甲第1号証に記載された発明であるということはできない。

2-4.本件特許発明12?13,17?22について
本件特許発明12?13,17?22は,いずれも本件特許発明11を直接,間接的に引用するものであり,本件特許発明11で特定される事項を発明特定事項として有するものであるから,本件特許発明11と同様に甲第1号証に記載された発明であるということはできない。

2-5.小括
以上のとおりであるから,無効理由1によって本件特許発明1?3,7?13,17?22を無効とすることはできない。

3.無効理由2について
3-1.本件特許発明1について
上記2-1のア)で述べたとおり,本件特許発明1と甲第1号証発明1とは,上記<相違点1>?<相違点6>で相違する。

<相違点4>?<相違点6>について
甲第1号証発明1は,DMDによるマーキング方法についてのものである。また,甲第1号証には,「または制御されたビームの偏向は1回に1ドットの画像を製造し,おおよそ従来のドットマトリックスプリンターに相当する」旨(摘示1b),「従来のレーザマーキングシステムはマスク,線形マーキング,またはドットマトリックス方法を使用して望ましいマーキングパターンを生成する。線形マーキングおよびドットマトリクス方法はマークされる物体の移動とレーザビームの間に入念な調整を必要とする」旨(摘示1c)が記載され,ドットマトリックス方法を使用したレーザーマーキングが公知であったことを開示している。さらに,甲第1号証には,「従来の技術のこれらのおよび他の困難は本発明によって克服された」(摘示1f)との記載がある。
これらの記載から,甲第1号証発明1は,DMDを用いることにその特徴を有するものであり,それによって,従来技術の困難を克服したものであって,マスク,線形マーキング,ドットマトリックスの方法は問題点を有する従来技術として認識されているに過ぎないものであるから,甲第1号証の記載から,DMDによるマーキングを,敢えて問題点を有する線形マーキング,ドットマトリックス(走査させる工程を含むと認める)に変えようとする動機付けが存在するとはいえない。また,甲第2号証にはレーザーによるマーキングが記載されるに過ぎず(摘示2a,2b),甲第1号証発明1のDMDによるマーキングを表面を走査させる工程を含むマーキングに変更することを動機付ける記載はない。したがって,甲第1号証発明1のレーザー光を照射する工程において,表面を走査させる工程を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできない。そして,走査させる工程を採用することが容易であるということはできないから,走査の速度を本件特許発明1のとおりに特定することが容易であるということもできない。

したがって,<相違点4>?<相違点6>に係る事項を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできないから,他の相違点について検討するまでもなく,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
なお,甲第1号証及び甲第2号証のその他の記載,甲第3号証,甲第3-1号証,甲第5号証,甲第5-1号証,甲第6号証,甲第6-1号証,甲第8号証?甲第18号証の記載をみても,本件特許発明1が甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3-2.本件特許発明2?3,7?10について
本件特許発明2?3,7?10は,いずれも本件特許発明1を直接,間接的に引用するものであり,本件特許発明1で特定される事項を発明特定事項として有するものであるから,上記3-1で述べたとおり,本件特許発明1は,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上,本件特許発明2?3,7?10も,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3-3.本件特許発明11について
上記2-3で述べたとおり,本件特許発明11と甲第1号証発明2とは,上記<相違点1’>?<相違点6’>で相違するところ,<相違点1’>?<相違点6’>は上記<相違点1>?<相違点6>にそれぞれ対応するものであり,そして<相違点4’>?<相違点6’>の点については,上記3-1で<相違点4>?<相違点6>について述べたとおりであり,当業者が容易になし得たものであるということはできない。したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本件特許発明11は,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3-4.本件特許発明12?13,17?22について
本件特許発明12?13,17?22は,いずれも本件特許発明11を直接,間接的に引用するものであり,本件特許発明11で特定される事項を発明特定事項として有するものであるから,上記3-3で述べたとおり,本件特許発明11は,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない以上,本件特許発明12?13,17?22も,甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

3-5.小括
以上のとおりであるから,無効理由2によって本件特許発明1?3,7?13,17?22を無効とすることはできない。

4.無効理由3について
4-1.本件特許発明4について
本件特許発明4は,本件特許発明1?3を引用し,走査工程においてガルバノミラーを用いることを特定するものであるから,本件特許発明1と同様に(なお,本件特許発明2,3は本件特許発明1を引用するものである。),甲第1号証発明1とは少なくとも<相違点4>?<相違点6>において相違する。
甲第4号証及び甲第4-1号証には,ガルバノメータを有するビームスキャン式レーザマーキング装置等について記載されているが(摘示4a?4d),甲第4号証及び甲第4-1号証の記載を参酌しても,DMDによるマーキングを表面を走査させる工程を含むマーキングに変更することを動機付けられるものとはいえないから,上記3-1で述べたのと同様に,<相違点4>?<相違点6>に係る事項を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできない。
したがって,本件特許発明4は,甲第1号証に記載された発明に,甲第2号証及び甲第4号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4-2.本件特許発明14について
本件特許発明14は,本件特許発明11?13を引用し,走査工程においてガルバノミラーを用いることを特定するものであるから,本件特許発明11と同様に(なお,本件特許発明12,13は本件特許発明11を引用するものである。),甲第1号証発明2とは少なくとも<相違点4’>?<相違点6’>において相違する。
甲第4号証及び甲第4-1号証には,ガルバノメータを有するビームスキャン式レーザマーキング装置等について記載されているが(摘示4a?4d),甲第4号証及び甲第4-1号証の記載を参酌しても,DMDによるマーキングを表面を走査させる工程を含むマーキングに変更することを動機付けられるものとはいえないから,上記3-3で述べたのと同様に,<相違点4’>?<相違点6’>に係る事項を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできない。
したがって,本件特許発明14は,甲第1号証に記載された発明に,甲第2号証及び甲第4号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

4-3.小括
以上のとおりであるから,無効理由3によって本件特許発明4,14を無効とすることはできない。

5.無効理由4について
5-1.本件特許発明5及び6について
本件特許発明5は,本件特許発明1?4を引用し,経口投与用組成物の硬度を特定するものであり,本件特許発明6は,本件特許発明1?5を引用し,経口投与用組成物が成形物であることを特定するものであるから,本件特許発明1と同様に(なお,本件特許発明2?4は本件特許発明1を引用するものである。),甲第1号証発明1とは少なくとも<相違点4>?<相違点6>において相違する。
甲第7号証には,製剤の硬度及び固形製剤の成形工程について記載されているが(摘示7a?7d),甲第7号証の記載を参酌しても,DMDによるマーキングを表面を走査させる工程を含むマーキングに変更することを動機付けられるものとはいえないから,上記3-1で述べたのと同様に,<相違点4>?<相違点6>に係る事項を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできない。
したがって,本件特許発明5,6の各発明は,甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証及び甲第7号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

5-2.本件特許発明15及び16について
本件特許発明15は,本件特許発明11?14を引用し,経口投与用組成物の硬度を特定するものであり,本件特許発明6は,本件特許発明11?15を引用し,経口投与用組成物が成形物であることを特定するものであるから,本件特許発明11と同様に(なお,本件特許発明12?14は本件特許発明11を引用するものである。),甲第1号証発明2とは少なくとも<相違点4’>?<相違点6’>において相違する。
甲第7号証には,製剤の硬度及び固形製剤の成形工程について記載されているが(摘示7a?7d),甲第7号証の記載を参酌しても,DMDによるマーキングを表面を走査させる工程を含むマーキングに変更することを動機付けられるものとはいえないから,上記3-3で述べたのと同様に,<相違点4’>?<相違点6’>に係る事項を採用することは当業者が容易になし得たものであるということはできない。
したがって,本件特許発明15,16の各発明は,甲第1号証に記載された発明に、甲第2号証及び甲第7号証に記載された発明を組み合わせて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

5-5.小括
以上のとおりであるから,無効理由4によって本件特許発明5,6,15,16を無効とすることはできない。

第7 むすび
以上のとおりであるから,請求人の主張及び証拠方法によっては,本件特許を無効とすることはできない。
また,他に本件特許発明1?22を無効とすべき理由を発見しない。
審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-08 
結審通知日 2015-04-10 
審決日 2015-04-21 
出願番号 特願2007-517849(P2007-517849)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A61K)
P 1 113・ 113- Y (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小堀 麻子  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 冨永 保
新居田 知生
登録日 2013-08-16 
登録番号 特許第5339723号(P5339723)
発明の名称 経口投与用組成物のマーキング方法  
代理人 恩田 誠  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 内藤 和彦  
代理人 山田 拓  
代理人 稲葉 良幸  
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