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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61K
管理番号 1305246
審判番号 訂正2015-390063  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2015-06-16 
確定日 2015-08-27 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第5558242号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第5558242号に係る明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5558242号は、平成21年10月27日を出願日とする特願2009-246844号(優先権主張 平成20年12月3日)の一部を平成22年7月20日に新たな特許出願としたものであって、平成26年6月13日に設定登録され、平成27年6月16日に訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件審判の請求の趣旨は、特許第5558242号の明細書及び特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正事項は、次のとおりである。

訂正事項
本件特許の訂正前の明細書(以下、「訂正前明細書」という。)の段落0052における「製造原料としては、ケラチンを構成蛋白質として含む羊毛(メリノ種羊毛、リンカーン種羊毛等)、人毛、獣毛、羽毛、爪などが挙げられる。」を「製造原料としては、ケラチンを構成蛋白質として含む羊毛(メリノ種羊毛、リンカーン種羊毛等)、人毛、獣毛、爪などが挙げられる。」と訂正する。

第3 当審の判断

1 訂正の目的について
上記訂正事項は、訂正前明細書の段落0052の製造原料の記載について、「羽毛」を削除するものであり、そうすることによりケラチンを構成蛋白質として含む製造原料として使用できる物を明確にするものであるといえるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

2 新規事項の追加について
上記訂正事項は、択一的に記載された事項の一部を削除するものであるから、願書に添付した明細書等に記した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
したがって、特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

3 特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項は、上記1で述べたとおり、訂正前明細書の明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、上記2で述べたとおり、択一的に記載された事項の一部を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
毛髪処理剤
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪処理剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラッシング、ハンドドライヤー、熱アイロンなどによる物理的処理を毛髪に施すことで、毛髪表面のキューティクル層の剥離が起こり、手触りや艶の低下などを引き起こすことになる。また、ヘアカラー、パーマネントウェーブなどの化学的処理を毛髪に施した場合、毛髪内部のケラチン蛋白質の流出が起こり、毛髪弾性や毛髪強度が失われていくことが知られている。物理的処理や化学的処理で損傷した毛髪に対して、これまで様々な保護剤や補修剤による処理が行われてきた。
【0003】
かかる保護剤や補修剤に用いられている代表的な成分としては、天然物由来のケラチンを加水分解することによって得られる加水分解ケラチン及びその誘導体が挙げられる。この加水分解ケラチン及びその誘導体は、毛髪の損傷部位への吸着性やそれ自身の保湿性が高く、天然物由来で刺激も少なく安全性が高いという理由から毛髪保護及び補修を目的とする化粧料等に多く配合されてきた。
【0004】
しかしながら、加水分解したケラチンは、毛髪表面の手触り感や保湿感を改善し、毛髪強度を高めるといわれているものの、毛髪表面や毛髪内部に弱く吸着するだけなので、数回程度のシャンプーで簡単に剥離・流出するために、効果の持続性といった点でも不十分であった。
【0005】
そこで、かかる問題点を解消するために、例えば特許文献1には、毛髪に加水分解蛋白質を強固に吸着させることを期待して、加水分解蛋白質を塗布した毛髪を酸によって蛋白変性を起こさせ、毛髪に強制的に残存させる方法が提案されている。
【0006】
ところで、特許文献2では、水に不溶な蛋白質のジスルフィド結合をメルカプト基(-SH)に還元し、その一部又は全部をカルボキシメチルジスルフィド基とすることにより得られる可溶性蛋白質が開示され、これを化粧品に利用できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-300836号公報
【特許文献2】特開平07-126296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2記載の可溶性蛋白質を如何にして化粧品に利用するかは明らかではなく、特許文献2に開示されている可溶性蛋白質の毛髪補修効果を期待して、その水溶液で毛髪を処理しても、毛髪への可溶性蛋白質の固着量を多くすることができない。その固着量を多くすることができれば、特許文献2に開示されている可溶性蛋白質の毛髪処理剤への適用を容易化できる。
【0009】
そこで本発明の目的は、可溶性蛋白質などの特定の変性ペプチドを毛髪に十分に固着させることが可能な毛髪処理方法及び毛髪処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の変性ペプチドが配合された配合剤で毛髪を処理するに先立ち、カチオン性化合物を配合した配合剤を毛髪に接触させることで、変性ペプチドを毛髪に十分固着させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の毛髪処理方法は、
カチオン性化合物を配合した配合剤(A)を、毛髪に接触させるカチオン接触工程と、
前記カチオン接触工程の後に、下記式(1)で表される単位を有する基を側鎖基として備える変性ペプチドを配合した配合剤(B)を、毛髪に接触させるペプチド接触工程と、
を有することを特徴とするものである。
-S-S-(CH_(2))_(n)COO- (1)
(式(1)中、nは1又は2である。)
ここで、本発明における「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものであり、ケラチン蛋白質やコラーゲン蛋白質などの蛋白質もペプチドに該当する。
【0012】
本発明の毛髪処理方法では、カチオン接触工程で毛髪を処理することによって、変性ペプチドが毛髪に十分固着する。固着した変性ペプチドは、損傷した毛髪やコシのない毛髪に望まれる補強材となると期待される。その固着が生じるのは、毛髪のメルカプト基と変性ペプチドのジスルフィド基との交換反応が生じ、変性ペプチドと化学的に結合するからと考えられ、この変性ペプチドの化学的結合によりその固着が長期間持続すると見込まれる。なお、変性ペプチドは、メルカプト基が生じやすいエンドキューティクル及びその周辺で固着しやすい。
【0013】
前記式(1)で表される単位を有する基は、カルボキシメチルジスルフィド基、カルボキシメチルジスルフィド基の塩、カルボキシエチルジスルフィド基又はカルボキシエチルジスルフィド基の塩が好ましい。
【0014】
本発明の毛髪処理方法において、前記カチオン接触工程の前、及び/又は、前記カチオン接触工程と前記ペプチド接触工程との間に、還元剤で毛髪を処理する還元工程を有することが好ましい。ペプチド接触工程の処理を施す前に還元剤(還元性化合物)によって毛髪処理することで、変性ペプチドの固着量が多くなる。
【0015】
また、本発明の毛髪処理方法は、前記ペプチド接触工程の後、さらに酸化剤で毛髪を処理する酸化工程を有することが好ましい。ペプチド接触工程の後に酸化剤による酸化工程を加えることで、毛髪のメルカプト基と変性ペプチドとによるジスルフィド基の形成を促進できると考えられるからである。
【0016】
さらに、本発明の毛髪処理方法は、前記還元工程をカチオン接触工程の前に行い、前記カチオン接触工程と前記ペプチド接触工程との間に、毛髪を水洗する水洗工程を有することが好ましい。
【0017】
また、本発明の毛髪処理方法において用いられる前記カチオン性化合物としては、例えば、キトサン、塩化グリシジルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・グアーガム、ビニルピロリドン・アルキルジアルキルアミノ(メタ)アクリレート共重合体、アジピン酸・ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン共重合体、アミノエチルアクリレートホスフェート・(メタ)アクリレート共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、及びコカミドプロピルジメチルアンモニオヒドロキシプロピルオキシプロピルシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体酢酸塩よりなる群から選ばれた一種又は二種以上であることが挙げられる。
【0018】
また、本発明の毛髪処理方法において、前記変性ペプチドが、ケラチン蛋白質由来のものであることが好ましい。
【0019】
本発明の毛髪処理剤は、
少なくとも、カチオン性化合物を配合した配合剤(A)と、
下記式(1)で表される単位を有する基を側鎖基として備える変性ペプチドを配合した配合剤(B)と、
を組み合せたキットであることを特徴とするものである。
-S-S-(CH_(2))_(n)COO- (1)
(式(1)中、nは1又は2である。)
【0020】
また、上記本発明の毛髪処理剤は、前記式(1)で表される単位を有する基が、カルボキシメチルジスルフィド基、カルボキシメチルジスルフィド基の塩、カルボキシエチルジスルフィド基又はカルボキシエチルジスルフィド基の塩であることが好ましい。
【0021】
本発明の毛髪処理剤は、上記配合剤(A)と配合剤(B)とを組み合わせたキットに、さらに還元剤を組み合せたキットであることが好ましい。
【0022】
また、本発明の毛髪処理剤は、上記配合剤(A)と配合剤(B)とを組み合わせたキットに、さらに酸化剤を組み合せたキットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、変性ペプチドを毛髪に十分に固着させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例A4に従い処理した毛髪表面のSEM観察写真である。
【図2】実施例αに従い処理した毛髪表面のSEM観察写真である。
【図3】実施例A4に従い処理した後洗髪した毛髪表面のSEM観察写真である。
【図4】実施例Eに従い処理した後洗髪した毛髪表面のSEM観察写真である。
【図5】実施例βに従い処理した毛髪表面のSEM観察写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態につき具体的に説明する。
本発明の毛髪処理方法は、必須工程としてカチオン接触工程及びペプチド接触工程を有し、任意工程として還元工程、水洗工程及び酸化工程を有している。以下、これらの工程毎に説明する。
【0026】
<カチオン接触工程>
本発明の毛髪処理方法は、先ず、カチオン性化合物を配合した配合剤(A)を、毛髪に接触させるカチオン接触工程を有する。本発明において、「毛髪に接触」とは、配合剤(A)が毛髪に接触するものであれば限定されず、例えば、毛髪の配合剤(A)への浸漬、配合剤(A)の毛髪への塗布、配合剤(A)の毛髪への噴霧等が挙げられる。
【0027】
カチオン接触工程を設けることで、当該工程の後のペプチド接触工程で使用する配合剤(B)に配合した変性ペプチドを、毛髪に十分に固着させることが可能となる上に、毛髪の初期弾性率を向上させることが可能となる。そして、変性ペプチドを固着させた毛髪を洗ったとしても、その固着の持続期間が長くなる。
【0028】
また、上記配合剤(A)としては、カチオン性化合物が配合されていればよく、毛髪処理剤に通常配合される原料が適宜配合されてもよい。さらに、配合剤(A)の使用時の形態は、液状、ゲル状、クリーム状、泡状、霧状など、特に限定されない。
【0029】
配合剤(A)としては、毛髪処理の容易性の観点から、溶媒にカチオン性化合物を配合したものを使用する。この溶媒は毛髪処理剤として使用されるものであれば特に限定されず、水を通常使用する。
【0030】
上記カチオン性化合物は、単数又は複数のカチオン基をもつ分子である。カチオン性化合物は、毛髪処理剤に通常配合されるカチオン性ポリマー、カチオン界面活性剤などから選定されているとよく、水溶性のものが好適である。カチオン性ポリマーとしては、例えば、キトサン、カチオン化セルロース(例えば、塩化グリシジルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース)、塩化ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・グアーガムなどの多糖類;ビニルピロリドン・アルキルジアルキルアミノ(メタ)アクリレート共重合体、アジピン酸・ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン共重合体、アミノエチルアクリレートホスフェート・(メタ)アクリレート共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、コカミドプロピルジメチルアンモニオヒドロキシプロピルオキシプロピルシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体酢酸塩などのカチオン性共重合体;が挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩などのアミン塩;モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩;が挙げられる。
【0031】
また、本発明において、配合剤(A)中の上記カチオン性化合物の配合量は、特に限定されないが、極端に少ないと変性ペプチドの固着量が少なくなり、多いときには配合剤(A)が高価となるため、0.001?5質量%がよく、0.005?3質量%が好ましい。
【0032】
なお、このカチオン接触工程における接触時間としては、特に限定されないが、毛髪への配合剤(A)の適度な浸透を考慮して適宜選定される。また、接触温度としては、特に限定されないが、毛髪処理剤を塗布する通常の温度、例えば15?45℃であるとよい。
【0033】
<水洗工程>
さらに、本発明において、カチオン接触工程での処理で毛髪表面にカチオン性化合物が吸着することになり、この吸着量が過剰であると、後記ペプチド接触工程において変性ペプチドと毛髪との直接的接触が生じ難くなるおそれがある。そのため、水溶性の上記カチオン性化合物を配合した配合剤(A)によるカチオン接触工程の後、ペプチド接触工程の前に、毛髪を水洗する(水洗工程)ことが望ましい。
【0034】
<ペプチド接触工程>
本発明の毛髪処理方法は、カチオン接触工程による処理をした状態の毛髪に、下記式(1)で表される単位を有する基を側鎖基として備える変性ペプチドを配合した配合剤(B)を、接触させるペプチド接触工程を有する。接触方法は、例えば、毛髪の配合剤(B)への浸漬、配合剤(B)の毛髪への塗布、配合剤(B)の毛髪への噴霧等である。
-S-S-(CH_(2))_(n)COO- (1)
(式(1)中、nは1又は2である。)
【0035】
かかる配合剤(B)は、溶媒に変性ペプチドを配合したものであり、この溶媒には水を通常使用する。上記式(1)で表される変性ペプチドが配合されていれば、毛髪処理剤に通常配合される原料が適宜配合されてもよく、また、配合剤(B)の使用時の形態は、液状、ゲル状、クリーム状、泡状、霧状など、特に限定されない。
【0036】
上記変性ペプチドは、複数のアミノ酸のペプチド結合によって形成された主鎖と、この主鎖に結合する側鎖基を有する。なお、上記式(1)で表される単位は、解離(イオン化)してカルボキシラートアニオンとなった場合には、カルボキシラトアルキルジスルフィド基と称される。
【0037】
上記変性ペプチドの主鎖は、特に限定されない。この主鎖の例としては、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの主鎖と同じものが挙げられる。また、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの例としては、ケラチン、カゼインなどが挙げられる。ケラチンは、天然物由来のペプチドの中でもシステイン比率が高いものとして知られており、かつ、変性ペプチドが効率よく得られる原料となる。従って、変性ペプチドの主鎖はケラチンの主鎖と同じものが好適である。
【0038】
上記変性ペプチドの側鎖基は、上記式(1)で表される単位を有する基であり、この側鎖基において、ジスルフィド基は変性ペプチドの主鎖側に配置する。この側鎖基は、変性ペプチドに2以上存在することが好ましい。
【0039】
上記側鎖基が有する基(つまり、上記式(1)で表される単位を有する基)の化学構造として好適なものは、下記式(1-1A)で表されるカルボキシメチルジスルフィド基、下記式(1-1B)又は(1-1C)で表されるカルボキシメチルジスルフィド基の塩、下記式(1-2A)で表されるカルボキシエチルジスルフィド基、及び下記式(1-2B)又は(1-2C)で表されるカルボキシエチルジスルフィド基の塩から選択された一種又は二種以上である。
-S-S-CH_(2)COOH (1-1A)
-S-S-CH_(2)COOR^(1) (1-1B)
(R^(1)は、NH_(4)などのアンモニウムを表す。)
-S-S-CH_(2)COOM^(1) (1-1C)
(M^(1)は、Na、Kなどの金属原子を表す。)
-S-S-CH_(2)CH_(2)COOH (1-2A)
-S-S-CH_(2)CH_(2)COOR^(2) (1-2B)
(R^(2)は、NH_(4)などのアンモニウムを表す。)
-S-S-CH_(2)CH_(2)COOM^(2) (1-2C)
(M^(2)は、Na、Kなどの金属原子を表す。)
【0040】
上記側鎖基として好ましい基は、下記式(1-1a)、(1-1b)、(1-1c)、(1-2a)、(1-2b)、及び(1-2c)から選択された一種又は二種以上である(下記式におけるR^(1)、M^(1)、R^(2)、M^(2)は、上記と同じである。)。
-CH_(2)-S-S-CH_(2)COOH (1-1a)
-CH_(2)-S-S-CH_(2)COOR^(1) (1-1b)
-CH_(2)-S-S-CH_(2)COOM^(1) (1-1c)
-CH_(2)-S-S-CH_(2)CH_(2)COOH (1-2a)
-CH_(2)-S-S-CH_(2)CH_(2)COOR^(2) (1-2b)
-CH_(2)-S-S-CH_(2)CH_(2)COOM^(2) (1-2c)
【0041】
上記式(1)で表される単位を2以上有する変性ペプチドを配合した配合剤(B)で毛髪を処理すれば、毛髪を構成しているメルカプト基間が変性ペプチドを介して架橋されると考えられる。なお、変性ペプチドを配合した配合剤(B)での毛髪処理において、上記架橋反応以外に、変性ペプチドにおける1個の変性基のみが毛髪の-SHと反応することや、変性ペプチド同士の重合反応も考えられるが、これらの反応でも毛髪への固着を促進する効果があると推測される。以下、一対のメルカプト基間の変性ペプチドを介した架橋機構を詳説する。
【0042】
毛髪における一対のメルカプト基間の変性ペプチドを介した架橋機構を、2個の-CH_(2)-S-S-CH_(2)COOHを側鎖基として有する変性ペプチドを例にして表せば、次の通りである。
【0043】
【化1】

【0044】
また、毛髪における一対のメルカプト基間の変性ペプチドを介した架橋機構を、2個の-CH_(2)-S-S-CH_(2)CH_(2)COOHを側鎖基として有する変性ペプチドを例にして表せば、次の通りである。
【0045】
【化2】

【0046】
上記変性ペプチドの分子量は、特に限定されないが、63000以下(63kDa以下)であると良い。この分子量が63000以下であることの確認は、タカラバイオ社製「Protein Molecular Weight Marker(Low)」を基準物質とし、Sodium Dodecyl Sulfate-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)法により確認できる。
【0047】
上記変性ペプチドは、毛髪浸透性を有するものが好ましい。毛髪浸透性を有する変性ペプチドの分子量は、例えば10000以下である。この毛髪浸透性を有する変性ペプチドであれば、毛髪内部のメルカプト基同士を架橋できると考えられる。
【0048】
上記変性ペプチドの配合剤(B)への配合量は、特に限定されないが、極端に少ないと変性ペプチドの固着量が少なくなり、多いときには配合剤(B)が高価となるため、好ましくは0.1質量%?25質量%であり、より好ましくは1質量%?10質量%である。
【0049】
上記変性ペプチドを製造するための方法としては、例えば、以下に説明する製造方法(A)?(C)が挙げられる。
【0050】
[製造方法(A)]
製造方法(A)は、蛋白質のジスルフィド基をメルカプト基にする第一工程;及び、その第一工程で蛋白質分子に生じたメルカプト基と、メルカプトアルキルカルボン酸のメルカプト基及び/又はメルカプトアルキルカルボン酸塩のメルカプト基とで、上記式(1)で表される単位を形成させる第二工程を備える。この製造方法(A)は、分子量が40000から63000(40kDaから63kDa)である高分子量の水溶性変性ペプチドの製造に適するものである(以下、その「高分子量の水溶性変性ペプチド」を「変性ペプチドA」と称することがある。)。
【0051】
第一工程では、蛋白質を含む製造原料、水及び還元剤を混合することにより、蛋白質が有するジスルフィド基(-S-S-)を2つのメルカプト基(-SH HS-)に還元する。
【0052】
製造原料としては、ケラチンを構成蛋白質として含む羊毛(メリノ種羊毛、リンカーン種羊毛等)、人毛、獣毛、爪などが挙げられる。中でも、安価かつ安定的に入手するために、羊毛を原料とすることが好ましい。製造原料については、殺菌、脱脂、洗浄、切断、粉砕及び乾燥を適宜に組み合わせて、予め処理すると良い。
【0053】
水の量は、特に限定されないが、例えば、製造原料1質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であるとよい。水の量を上記範囲とすることにより、還元反応が良好に行われる。
【0054】
本第一工程における蛋白質の還元では、アルカリ性液中で、蛋白質におけるジスルフィド結合を一種又は二種以上の還元剤により還元することでメルカプト基を生成させる。
【0055】
このようなジスルフィド結合の還元における反応系をアルカリ性にするための化合物(アルカリ性化合物)は、水に添加することで、その水をアルカリ性にするものである。このアルカリ性化合物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が挙げられ、その他にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸や、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等も挙げられる。中でも、蛋白質の還元を安価かつ効率良く行う観点から、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。アルカリ性化合物は、一種又は二種以上が用いられる。
【0056】
前記アルカリ性化合物の混合量は、特に限定はされないが、還元反応系のpHを下記範囲に調整するよう配合するとよい。そのpHの下限としては、9が好ましく、10が特に好ましい。一方、pHの上限としては、13が良く、12が好ましく、11が特に好ましい。pHが上記の下限以上となるように調整することで、蛋白質の還元を効率良く行える。一方、pHが上記の上限以下となるように調整することで、蛋白質分子の主鎖切断を抑制できる。
【0057】
還元剤としては、メルカプトアルキルカルボン酸及び/又はその塩が用いられる。また、還元剤として、メルカプトアルキルカルボン酸及び/又はその塩に加え、他の任意の化合物を用いてもよい。そのような任意の還元剤の例としては、チオ乳酸及び/又はその塩、ジチオスレイトール、2-メルカプトエタノール、グルタチオン、チオ尿素等が挙げられる。これらの任意の還元剤は、一種又は二種以上のものを使用することができる。
【0058】
前記メルカプトアルキルカルボン酸及び/又はその塩は、第二工程において上記式(1)で表される単位を形成させる変性剤にもなる。このメルカプトアルキルカルボン酸及び/又はその塩としては、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、3-メルカプトプロピオン酸、及び3-メルカプトプロピオン酸塩からなる群より選択される一種又は二種以上が使用される。チオグリコール酸塩としては、例えば、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸リチウム、チオグリコール酸アンモニウムが挙げられる。中でも、カルボキシラトメチルジスルフィド基の形成を安価かつ効率良く行える点から、チオグリコール酸ナトリウム及びチオグリコール酸カリウムが好ましく、チオグリコール酸ナトリウムがより好ましい。また、3-メルカプトプロピオン酸塩としては、例えば、3-メルカプトプロピオン酸ナトリウム、3-メルカプトプロピオン酸カリウム、3-メルカプトプロピオン酸リチウム、3-メルカプトプロピオン酸アンモニウムが挙げられる。中でも、カルボキシラトエチルジスルフィド基の形成を効率良く行える面から、3-メルカプトプロピオン酸ナトリウム及び3-メルカプトプロピオン酸カリウムが好ましく、3-メルカプトプロピオン酸ナトリウムがより好ましい。
【0059】
前記メルカプトアルキルカルボン酸及びその塩の使用量としては、製造原料1gを基準として、0.0050モル以上0.02モル以下が好ましく、0.0075モル以上0.01モル以下が特に好ましい。また、その使用量は、製造原料、水及び還元剤の合計容量を基準として、0.10mol/L以上0.40mol/L以下が好ましく、0.15mol/L以上0.25mol/L以下が特に好ましい。かかるメルカプトアルキルカルボン酸及びその塩の使用量を上記範囲とすることにより、蛋白質の還元反応の進行が良好になる。
【0060】
第一工程における反応系の温度下限としては、20℃が好ましく、30℃がより好ましく、40℃がさらに好ましい。一方、温度上限としては、60℃が好ましい。上記温度下限より低いと、蛋白質のジスルフィド基をメルカプト基に変換するための還元の時間が長くなり、十分な還元を実行できない恐れがある。一方、上記温度上限を超えると、蛋白質分子の主鎖が切断されることがある。還元反応系の設定時間は、その温度が低いほど長時間に設定され、同温度が高いほど短時間に設定される。その設定時間としては、例えば、20分以上120分以下である。
【0061】
第二工程では、第一工程で得られた液に酸及び酸化剤を混合することにより、蛋白質に上記式(1)で表される単位を導入し、変性ペプチドを生成させる。なお、酸の混合は、酸化剤の混合前及び酸化剤の混合後のいずれであっても良い。
【0062】
酸は、第二工程における反応系のpHを低下させ、蛋白質に上記式(1)で表される単位を十分に導入させるために使用される。この酸は、一種又は二種以上のものが使用される。
【0063】
酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、コハク酸、酢酸等の有機酸;塩酸等の無機酸が挙げられる。酢酸を用いれば、変性ペプチドからの特異臭が問題になることがあるが、クエン酸等を用いれば、その特異臭を抑制することができる。
【0064】
酸の混合量としては、特に限定されないが、第二工程における反応系のpHを下記範囲に調整するよう配合するとよい。最終的なpHとしては、5以上9以下が好ましく、6以上8以下が特に好ましい。このようにケラチン混合液の最終的なpHを前記範囲に調整することで、蛋白質への上記式(1)で表される単位の導入を促進できると同時に、蛋白質のメルカプト基同士によるジスルフィド基生成を抑制できる。なお、反応系におけるpHが局所的に低下すると、蛋白質のメルカプト基同士がジスルフィド基になるおそれが大きくなるため、反応系に酸を徐々に混合することが好ましい。
【0065】
酸を混合するときの反応系における温度としては、10℃以上60℃以下が好ましく、20℃以上40℃以下が特に好ましい。この温度範囲に制御することで、副生成物であるシスチンモノオキシド等の生成を抑制できる。酸の混合が終了した後の放置時間は、例えば1?48時間である。この放置時間であれば、上記式(1)で表される単位の導入が十分となる。
【0066】
前記酸化剤は、蛋白質への上記式(1)で表される単位の導入を促進するために使用するものである。一種又は二種以上の酸化剤を使用すると良く、酸化剤の水溶液及び/又はガス状の酸化剤を使用すると良い。
【0067】
酸化剤としては、例えば、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素が挙げられる。また、ガス状の酸化剤としては、酸素などが挙げられる。ガス状酸化剤を使用するときには、バブリングにより蛋白質含有液に供給すると良い。
【0068】
非ガス状の酸化剤の使用量は、特に限定されないが、製造原料1gを基準として、0.001モル以上0.02モル以下が好ましく、酸化剤が混合される液の容量を基準として、0.02mol/L以上1mol/L以下が好ましい。酸化剤の使用量が上記上限よりも多いと、副生成物であるシスチンモノオキシド、シスチンジオキシド、システイン酸が生成するおそれがある。一方、酸化剤の使用量が上記下限よりも少ないと、上記式(1)で表される単位の導入が不十分となるおそれがある。非ガス状酸化剤の混合では、液中の酸化剤濃度が局所的に高くなることを避けるため、1mol/L以上5mol/L以下程度の酸化剤水溶液を、例えば30分から6時間かけて徐々に混合すると良い。
【0069】
酸化剤を混合する際の温度は、特に限定されないが、例えば第一工程での温度以下に設定される。
【0070】
第二工程を経ることで、蛋白質に上記式(1)で表される単位が導入される。例えば、製造原料として羊毛を使用し、還元剤としてチオグリコール酸を使用した場合、上記式(1)で表される単位の一種であるカルボキシメチルジスルフィド基が蛋白質分子に導入される機構は、次の通りである。
【0071】
【化3】

【0072】
また、製造原料として羊毛を使用し、還元剤として3-メルカプトプロピオン酸を使用した場合、上記式(1)で表される単位の一種であるカルボキシエチルジスルフィド基が蛋白質分子に導入される機構は、次の通りである。
【0073】
【化4】

【0074】
第二工程での処理により上記式(1)で表される単位が導入された蛋白質は、水に溶解する蛋白質と水に不溶の蛋白質とを含む。前者の水溶性蛋白質が変性ペプチドAであり、後者の不溶性蛋白質を除去する必要がある場合には、濾過、遠心分離、圧搾分離、沈降分離、浮上分離等の公知の固液分離手段を採用できる。変性ペプチドA水溶液については、必要に応じてイオン交換や電気透析等による脱塩等を行うと良い。また、固形状の変性ペプチドAを得たい場合には、(1)変性ペプチドA溶液の凍結乾燥、(2)変性ペプチドA溶液の噴霧乾燥、(3)塩酸等の酸を変性ペプチドA溶液に添加して、この溶液のpHを2.5から4.0程度に低下させることにより生じた変性ペプチドA沈殿物の回収などの方法を採用できる。回収した固形状の変性ペプチドAについては、水や酸性水溶液による洗浄、乾燥等を、必要に応じて行うと良い。
【0075】
[製造方法(B)]
製造方法(B)は、第一工程、第二工程、及び加水分解工程を備える。製造方法(B)における第一工程及び第二工程は、製造方法(A)における第一工程及び第二工程と同じである。加水分解工程を備える製造方法(B)は、分子量が40000以下(40kDa以下)の水溶性変性ペプチドの製造に適するものである(以下、「分子量40000以下の水溶性変性ペプチド」を「変性ペプチドB」と称することがある。)。
【0076】
加水分解工程では、第二工程での処理で得られた上記式(1)で表される単位が導入された蛋白質を、加水分解する。公知の加水分解方法としては、(b1)酵素による加水分解、(b2)酸による加水分解及び(b3)アルカリによる加水分解が挙げられる。加水分解方法(b3)では、蛋白質に導入した上記式(1)で表される単位のβ脱離反応が進行する恐れがあるので、加水分解方法(b1)?(b3)のうち、酵素又は酸による加水分解が特に好ましい。
【0077】
(b1)酵素による加水分解
酵素としては、例えば、ペプシン、プロテアーゼA、プロテアーゼBなどの酸性蛋白質分解酵素;パパイン、プロメライン、サーモライシン、プロナーゼ、トリプシン、キモトリプシンなどの中性蛋白質分解酵素等が挙げられる。また、市販されている蛋白質分解酵素としては、大和化学工業社製の「プロテライザーA」が酵素による加水分解において好適に使用される。加水分解時のpHは、酸性蛋白質分解酵素の場合には1以上3以下に調整すると良く、中性蛋白質分解酵素の場合には5以上9以下に調整するすると良い。加水分解時の反応温度は30℃以上60℃以下が良く、反応時間は10分以上24時間以内が良い。加水分解を停止させるには、温度を70℃以上にして酵素を失活させると良い。
【0078】
(b2)酸による加水分解
塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸;及び蟻酸、シュウ酸等の有機酸から適宜選択した酸を使用して、加水分解を行う。この加水分解の条件は、例えば、pH4以下、反応温度40℃以上100℃以下、反応時間2時間以上24時間以内である。
【0079】
(b3)アルカリによる加水分解
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等のアルカリを使用して、加水分解を行う。この加水分解の条件は、例えば、反応系の全質量に対して、アルカリ1質量%以上20質量%以下、反応温度15℃以上100℃以下、反応時間30分以上24時間以内である。
【0080】
加水分解工程での処理後、水溶性の蛋白質である変性ペプチドBと水に不溶の蛋白質を分離する必要があるときは、公知の固液分離手段で分離すると良い。また、固形状の変性ペプチドBを得たい場合には、(1)変性ペプチドB溶液の凍結乾燥、(2)変性ペプチドB溶液の噴霧乾燥などの方法を採用できる。回収した固形状の変性ペプチドBについては、水や酸性水溶液による洗浄、乾燥等を、必要に応じて行うと良い。
【0081】
[製造方法(C)]
製造方法(C)は、製造方法(A)と同様の第一工程及び第二工程で得られた水に不溶の蛋白質を、加水分解工程で処理する方法である。製造方法(C)における加水分解工程は、製造方法(B)における加水分解工程と同じである。また、固形状の変性ペプチドを得る手段は、製造方法(B)の手段を採用すると良い。
【0082】
製造方法(C)は、分子量が22000以下(22kDa以下)の水溶性変性ペプチドの製造に適するものである(以下、「分子量22000以下の水溶性変性ペプチド」を「変性ペプチドC」と称することがある。)。つまり、羊毛の構成蛋白質であるケラチンは、分子量45000から63000のミクロフィブリル及び分子量10000から22000のマトリックスを含んでおり、製造方法(C)における加水分解工程の主たる加水分解対象はミクロフィブリルよりも硫黄含量が多いマトリックス由来の蛋白質であるから、製造方法(C)は硫黄含量が多い変性ペプチドCの製造に適する。
【0083】
<還元工程>
本発明の効果をさらに向上させるためには、毛髪表面のメルカプト基を多く発生させることにより達成することできるが、その方法の一つとして、還元剤を用いてジスルフィド基を化学的に開裂させる方法が挙げられる。かかる観点から、本発明の毛髪処理方法は、還元剤で毛髪を処理する還元工程を有することが好ましい。この還元工程は、カチオン接触工程の前、及び/又は、カチオン接触工程とペプチド接触工程との間に行うことができ、毛髪への変性ペプチドの固着を効果的に行う点からはカチオン接触工程の前に行うのが特に好ましい。
【0084】
還元工程で使用できる還元剤としては、従来からパーマ剤の第1剤などで使用されている毛髪処理剤用の還元剤が用いられ、例えばアスコルビン酸、アスコルビン酸-2-リン酸、アスコルビン酸-2-グリコシド、アスコルビン酸燐酸パルミチン酸、アスコルビン酸パルミチン酸、アスコルビン酸ステアリン酸、トコフェリル燐酸塩、トコフェリルジメチルグリシン、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、システイン、グルタチオン、チオ乳酸、チオグリコール酸、還元型ペプチド、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、カロチン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、カロチノイド類、αリポ酸、コエンザイムQ10、コエンザイムA、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド類、カテキン類、ピクノジェノール、フラバンジェノール、還元性芳香族化合物類、タンニン、リグナン、サポニン、Fullelenes、水酸化Fullelenes、リンゴエキスやチョウジエキス及びこれらの誘導体、及びこれらのNa、Ca、K、Mg、Cl塩が挙げられる。本工程では、一種又は二種以上の還元剤を使用することができる。
【0085】
かかる還元剤は水に配合して使用することが通常であり、毛髪処理剤に通常配合される原料を適宜配合してもよい。還元剤の配合量としては、特に限定されるものではないが、従来からパーマ剤の第1剤として使用されている量がよく、例えば、0.5質量%?15質量%である。
【0086】
<酸化工程>
本発明の毛髪処理方法は、ペプチド接触工程の後、さらに酸化剤で毛髪を処理する酸化工程を有するものが好ましい。本発明の毛髪処理方法が還元工程を有しないときに、毛髪のメルカプト基と変性ペプチドとによるジスルフィド基形成の促進を目的として、酸化工程での毛髪処理を行ってもよい。また、本発明の毛髪処理方法が還元工程を有するときに、毛髪のメルカプト基と変性ペプチドとによるジスルフィド基形成、及び/又は、毛髪のメルカプト基同士によるジスルフィド基形成の促進を目的として、酸化工程での毛髪処理を行ってもよい。なお、本酸化工程を行なわない場合でも空気中の酸素によって酸化が行なわれていると考えられる。
【0087】
酸化工程で使用できる酸化剤としては、従来からパーマ剤の第2剤などで使用されている毛髪処理剤用の酸化剤があり、例えば、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムなどの臭素酸塩;過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウムなどの過ホウ酸塩;過酸化水素水等が挙げられる。本工程では、1種又は2種以上の酸化剤を使用することができ、毛髪の弾力性を良好にするには臭素酸塩を使用することが好ましい。
【0088】
かかる酸化剤は水に配合して使用することが通常であり、毛髪処理剤に通常配合される原料を適宜配合してもよい。酸化剤の配合量としては、特に限定されるものではないが、従来からパーマ剤の第2剤として使用されている量がよく、例えば、1質量%?20質量%である。
【0089】
本発明の毛髪処理剤は、少なくとも、カチオン性化合物を配合した配合剤(A)と、下記式(1)で表される単位を有する基を側鎖基として備える変性ペプチドを配合した配合剤(B)と、を組み合せたキットである。
-S-S-(CH_(2))_(n)COO- (1)
(式(1)中、nは1又は2である。)
【0090】
本発明の毛髪処理剤には、還元剤、酸化剤等を組み合せることもできる。ここで、配合剤(A)及び配合剤(B)は上記と同様のものであり、還元剤及び酸化剤は上記還元工程及び上記酸化工程で、それぞれ例示したものを使用できる。
【実施例】
【0091】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0092】
[実施例A1?A5、実施例B1?B5、実施例C1?C5、実施例D1?D5、実施例α]
<配合剤(A)>
配合剤(A)として、下記(1)?(4)を調製した。
(1)0.25質量%キトサン水溶液
キトサン(東京化成工業社製の試薬キトサン)を水に配合し、さらに酢酸を配合して、0.25質量%キトサン水溶液を調製した。
(2)0.25質量%カチオン化セルロース水溶液
カチオン化セルロース(ユニオンカーバイド社製「UCARE POLYMER JR-30M」、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース)を水に配合し、0.25質量%カチオン化セルロース水溶液を調製した。
(3)0.25質量%カチオン性共重合体水溶液
カチオン性共重合体(ナルコジャパン社製「MERQUAT 550」、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体)を水に配合し、0.25質量%カチオン性共重合体水溶液を調製した。
(4)0.25質量%カチオン界面活性剤水溶液
カチオン界面活性剤(東邦化学工業社製「カチナール STC-80」、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム)を水に配合し、0.25質量%カチオン界面活性剤水溶液を調製した。
【0093】
<配合剤(B)>
下記「(1)第一工程」、「(2)第二工程」、「(3)変性ペプチドの回収」、「(4)配合剤(B)の調製」の手順に従って、配合剤(B)を作製した。
【0094】
(1)第一工程
110gの羊毛、307gの30質量%チオグリコール酸水溶液、170mLの6mol/L水酸化ナトリウム水溶液、1000Lの水を配合し、さらに水を配合して全量を3Lとした。このときのpHは、11.2であった。配合した液を、30?31℃、24時間の条件で攪拌した。攪拌後のpHは、11.3であった。次に、更に水を配合して全量を4Lとし、30?31℃、24時間の条件で攪拌した。攪拌後のpHは、11.3であった。
【0095】
(2)第二工程
第一工程で得られた液に、500mLの10.6g/L臭素酸ナトリウム水溶液を添加した。添加後のpHは、12.7であった。次に、11.4mL/minの添加速度で、3.3Lの41g/L酢酸水溶液を添加した。2L添加時のpHは12.0、3L添加時のpHは10.5、3.3L添加時のpHは7.01であった。酢酸水溶液添加後にろ過処理を行い、ろ液を回収した。
【0096】
(3)変性ペプチドの回収
第二工程で得られたろ液に160mLの6mol/L塩酸水溶液を添加し、変性ペプチドの沈殿(固形状変性ペプチド)を生じさせた。塩酸水溶液添加後のpHは、3.8であった。固形状変性ペプチドを水洗し、回収した。
【0097】
(4)配合剤(B)の調製
固形状変性ペプチド14.4g、水、及びアンモニア水を配合して全量を200gとし、攪拌した。その後、不溶物を除去して得られた液(pH=10.73)に氷酢酸を添加し、pHを6.05に調整した。このpH調整した液を、配合剤(B)とした。
【0098】
<還元剤配合液>
還元剤配合液として、下記(1)及び(2)を調製した。
(1)チオグリコール酸ナトリウム(TG)の1.5質量%水溶液
30%TG水溶液(大阪佐々木化学社製)、水、及びアンモニア水を配合して、1.5質量%TG水溶液を調製した。当該液のpHは、9.2であった。
(2)システイン塩酸塩(CYS)の1.5質量%水溶液
L-CYS(一水和物)、水、及びアンモニア水を配合して、1.5質量%CYS水溶液を調製した。当該液のpHは、9.0であった。
【0099】
[毛髪処理方法]
下記毛髪試料を使用して、下記毛髪処理手順に従って毛髪処理を行った。
【0100】
<毛髪試料>
トレス(長さ20cm、約0.5gの軟細毛の毛束)を作製し、3質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄した。トレスを、十分にすすぎ、タオルドライした後に恒温恒湿室(恒温恒湿機の設定:温度25℃、湿度50%)にて3日間調湿し、これを毛髪試料とした。
【0101】
<毛髪処理手順>
各毛髪試料について、質量(処理前の質量)を測定し、下記条件の毛髪処理を行った後、毛髪試料を3質量%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液にて洗浄、水洗した。水洗後の毛髪試料をタオルドライし、次いで、ドライヤーによる温風にて乾燥させた。その後、恒温恒湿室(恒温恒湿機の設定:温度25℃、湿度50%)にて、毛髪試料を3日間調湿した。調湿後に毛髪試料の質量(処理後の質量)を測定した。
【0102】
[実施例A1、B1、C1、D1]
表1記載の配合剤(A)に毛髪試料を5分間浸漬し、水洗及びタオルドライを行った後、毛髪試料を上記配合剤(B)に5分間浸漬して毛髪処理を行った。
【0103】
[実施例A2、B2、C2、D2]
表1記載の配合剤(A)に毛髪試料を5分間浸漬し、水洗及びタオルドライを行った後、1.5質量%TG水溶液に5分間浸漬した。さらに、水洗及びタオルドライを行った後、毛髪試料を上記配合剤(B)に5分間浸漬して毛髪処理を行った。
【0104】
[実施例A3、B3、C3、D3]
「1.5質量%TG水溶液」を「1.5質量%CYS水溶液」に置き換えた以外は、上記実施例A2、B2、C2、D2と同様に毛髪処理を行った。
【0105】
[実施例A4、B4、C4、D4]
1.5質量%TG水溶液に毛髪試料を5分間浸漬し、水洗及びタオルドライを行った後、表1記載の配合剤(A)に5分間浸漬した。さらに、水洗及びタオルドライを行った後、毛髪試料を上記配合剤(B)に5分間浸漬して毛髪処理を行った。
【0106】
[実施例A5、B5、C5、D5]
「1.5質量%TG水溶液」を「1.5質量%CYS水溶液」に置き換えた以外は、上記実施例A4、B4、C4、D4と同様に毛髪処理を行った。
【0107】
[実施例α]
「配合剤(A)に5分間浸漬」を省略した以外は、上記実施例A1、B1、C1、D1と同様に毛髪処理を行った。
【0108】
【表1】

【0109】
(カチオン接触工程による効果の確認)
カチオン接触工程による効果について、実施例αの毛髪処理前後での質量変化率を0として、相対比較により評価した。結果を下記表2に示す。表2から、実施例A1、B1、C1、D1のいずれも、カチオン接触工程を欠く実施例αよりも、相対変化率が高い結果になった。すなわち、実施例αよりも他の実施例の方が毛髪への固着量が多い結果になった。なお、絶対変化率(%)及び相対変化率(%)は、下記式により求めた。
絶対変化率(%)=(処理後の質量-処理前の質量)/処理前の質量×100
相対変化率(%)=絶対変化率-実施例αの絶対変化率
【0110】
【表2】

【0111】
(還元工程を付加することによる効果の確認)
還元工程を付加することによる効果について、実施例A1とA2?A5、実施例B1とB2?B5、実施例C1とC2?C5、実施例D1と実施例D2?D5、の対比から、評価した。結果を表3に示す。表3から、還元工程を設けると相対変化率が更に高く(毛髪への固着量が多く)なっていることがわかる。
【0112】
【表3】

【0113】
(毛髪処理直後の毛髪表面の観察)
実施例A4及び実施例αにおける毛髪表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、3000倍率で観察した。図1は、実施例A4に従い処理した毛髪表面のSEM観察写真、図2は、実施例αに従い処理した毛髪表面のSEM観察写真である。実施例A4では、実施例αとは異なり、毛髪表面全体にわたり固着物があることを確認できる。
【0114】
(洗髪後の毛髪表面の観察)
シャンプー(ミルボン社製「ディーセス・アウフェ・ベーススムースS」)を使用して、実施例A4に従い処理した毛髪の洗髪と乾燥を30回行った。その後、毛髪表面をSEM観察した(3000倍率)。図3は、実施例A4に従い処理した後洗髪した毛髪表面のSEM観察写真であり、毛髪表面のキューティクル間付近に固着物が残存していることを確認できる。すなわち、30回の洗髪後も毛髪表面の固着物を確認でき、固着物の毛髪表面への固着強度が高いことが分かる。
【0115】
[実施例E、実施例β]
<配合剤(A)>
配合剤(A)として、カチオン性共重合体(ナルコジャパン社製「MERQUAT 550」、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体)の0.5質量%水溶液を調製した。
【0116】
<配合剤(B)>
実施例A1で使用した変性ペプチドの製造方法と同様の方法で固形状変性ペプチドを製造し、この変性ペプチドの2質量%水溶液を配合剤(B)とした。配合剤(B)のpHは、酢酸を使用して7とした。
【0117】
<還元剤配合液>
アンモニアでpHを9に調整した2質量%TG水溶液を、還元剤配合液とした。
【0118】
<酸化剤配合液>
酢酸でpHを6に調整した0.5質量%臭素酸ナトリウム水溶液を、酸化剤配合液とした。
【0119】
<毛髪処理手順>
[実施例E]
実施例A1と同様にして作製したトレスを、シャンプー(ミルボン社製「ディーセス・アウフェ・ベーススムースS」)で洗浄し、乾燥させた後、恒温恒湿室(恒温恒湿機の設定:温度25℃、湿度50%)にて一晩放置したトレスを毛髪試料とした。配合剤(A)、還元剤配合液、配合剤(B)、酸化剤配合液の順で、毛髪試料を各5分間浸漬した。各浸漬間では、指で毛髪試料の水分を切った。酸化剤配合液への浸漬後、毛髪試料を水洗し、乾燥した。
【0120】
[実施例β]
配合剤(A)への浸漬を省略した以外は、実施例Eと同様にして毛髪試料を処理した。
【0121】
(洗髪後の毛髪表面の観察)
シャンプー(ミルボン社製「ディーセス・アウフェ・ベーススムースS」)を使用し、実施例E又は実施例βに従い処理した毛髪の洗髪と乾燥を30回行った。その後、毛髪表面をSEM観察した(10000倍率)。図4は、実施例Eの処理後に洗髪した毛髪表面のSEM観察写真であり、毛髪のキューティクル表面に固着物が残存していることを確認できる。図5は、実施例βの処理後に洗髪した毛髪表面のSEM観察写真であり、毛髪表面の固着物を明確に確認できない。つまり、配合剤(A)を使用したカチオン接触工程を設けることで、固着物の毛髪表面における固着の持続期間が長くなったことが分かる。
【0122】
[実施例F1?F2、実施例G、実施例γ]
<配合剤(A)>
(1)キトサン(東京化成工業社製の試薬キトサン)、酢酸、水を配合して、pH5の0.1質量%キトサン水溶液を配合剤(A)として調製した。
(2)カチオン性共重合体(ナルコジャパン社製「MERQUAT 550」、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体)、水を配合して、0.5質量%カチオン性共重合体水溶液を配合剤(A)として調製した。
【0123】
<配合剤(B)>
実施例A1で使用した変性ペプチドと同様の方法で固形状変性ペプチドを製造し、この変性ペプチドの2質量%水溶液を配合剤(B)とした。配合剤(B)のpHは、酢酸を使用して7とした。
【0124】
<還元剤配合液>
アンモニアでpHを9に調整した2質量%TG水溶液を、還元剤配合液とした。
【0125】
<酸化剤配合液>
酢酸でpHを6に調整した0.5質量%臭素酸ナトリウム水溶液を、酸化剤配合液とした。
【0126】
<毛髪処理手順>
[実施例F1]
0.1質量%キトサン水溶液を配合剤(A)として使用し、実施例Eと同様にして毛髪試料を処理した。
【0127】
[実施例F2]
還元剤による処理を省略した以外は、実施例F1と同様にして毛髪試料を処理した。
【0128】
[実施例G]
0.5質量%カチオン性共重合体水溶液を配合剤(A)として使用し、実施例Eと同様にして毛髪試料を処理した。
【0129】
[実施例γ]
配合剤(A)による処理を省略した以外は、実施例F1と同様にして毛髪試料を処理した。
【0130】
(初期弾性率)
実施例F1?F2、実施例G、及び実施例γに従って処理した毛髪と、未処理毛髪について、単位断面積あたりの初期弾性率を測定し、その測定3回の平均値を算出した。初期弾性率の測定条件は、以下の通りとした。
前処理:温度25℃、湿度50%の恒温恒湿室内に、毛髪を24時間放置(水への浸漬)
測定機:オリエンテック社製「TENSILON UTM-II-20」
測定条件:25℃水中雰囲気、延伸速度2mm/分、引張り対象毛髪長20mm
【0131】
初期弾性率の平均値を、下記式に従い算出した相対値と共に表4に示す。表4における実施例F1?F2及び実施例Gと、実施例γとの対比により、配合剤(A)を使用したカチオン接触工程を設けることで、毛髪の初期弾性率がより向上したことを確認できる。
相対値(%)=毛髪の初期弾性率平均値/未処理毛髪の初期弾性率平均値×100
【0132】
【表4】

(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤が配合されていない毛髪処理剤であって、
下記式(1)で表される単位を有する基を側鎖基として備える変性ペプチドを配合した毛髪処理剤。
-S-S-(CH_(2))_(n)COO- (1)
(式(1)中、nは1又は2である。)
【請求項2】
前記式(1)で表される単位を有する基が、カルボキシメチルジスルフィド基、カルボキシメチルジスルフィド基の塩、カルボキシエチルジスルフィド基又はカルボキシエチルジスルフィド基の塩である請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
前記変性ペプチドを水に配合した請求項1又は請求項2に記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
前記変性ペプチドが水に溶解した請求項3に記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
酸性である請求項3又は請求項4に記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
前記水に溶解させる変性ペプチドが固形状であり、該固形状変性ペプチドをアルカリ性条件で水に溶解させ、その後、酸によりpHを低下させて得られた請求項4に記載の毛髪処理剤。
【請求項7】
前記変性ペプチドがケラチン蛋白質由来のものである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
【請求項8】
前記変性ペプチドが、
蛋白質におけるジスルフィド結合を、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、メルカプトプロピオン酸、及びメルカプトプロピオン酸塩から選択された1種又は2種以上の還元剤により還元することで、メルカプト基を生成させる第一工程と、
前記第一工程で得られた液に酸化剤を混合する第二工程と、
を有する方法により調製したものである請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の毛髪処理剤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2015-08-17 
出願番号 特願2010-163430(P2010-163430)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩見 篤史  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 関 美祝
小久保 勝伊
登録日 2014-06-13 
登録番号 特許第5558242号(P5558242)
発明の名称 毛髪処理剤  
代理人 天野 一規  
代理人 天野 一規  

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