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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1305334
審判番号 不服2014-9132  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-16 
確定日 2015-09-09 
事件の表示 特願2010- 9792「アプリケーションにおいてユーザ・インターフェース要素を示す方法」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 8月 5日出願公開、特開2010-170549〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成22年1月20日(パリ条約による優先権主張2009年1月26日、米国)の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、平成26年1月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】
ページ上に表示されたユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報の表示を要求するユーザ入力を受信するステップと、
前記ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報を判断するためにページを分析するステップと、
前記ユーザ・インターフェース要素と共に同時表示するように、複数の前記ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報の部分を出力するステップと、
を含む方法。」

ただし、上記請求項1中の「ページ」という語については、以下のように解する。
(1)本願の明細書を参酌すると、段落【0040】には、「ページ上に表示されたユーザ・インターフェース要素に加えて、方法400を用いて、表示することが可能な付加的な情報を有する全てのユーザ・インターフェース要素を表示することができる。ページは、ウェブページ、オペレーティング・システム・ウィンドウ、ディレクトリ・リスティング、フォルダ表示リスト等を含むことができる。」と記載されている。加えて、図5には「方法400」が示され、図3-4にはディスプレイ装置の画面表示例が示されている。
(2)以上のことを踏まえ、本審決においては、本願発明でいう「ページ」は、ウェブページの表示やコンピュータのウィンドウ表示を包含する「画面表示」を含む概念であると解する。


2.引用発明
原査定の拒絶の理由で引用した特開2007-065809号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
発明は、ヘルプガイダンスの表示機能に関する。この種の表示機能には、個人用だけでなく、業務用の受付装置やプリントキオスク装置も含む。
なお、この発明は、ヘルプガイダンス表示方法、ヘルプガイダンス表示装置、情報処理装置、プリントキオスク装置及びプログラムとしての側面を有する。
【背景技術】
【0002】
グラフィカル・ユーザー・インターフェース(以下「GUI」という。)は、画面上に表示された項目の選択や指定を通じて機器の動作を簡単に制御できるユーザー・インターフェースである。このため、多くの電子機器にGUIが採用されている。
ところで、昨今の電子機器には、多様な要望に応える工夫がされている。例えば、GUIを構成する機能ボタンや操作キーの数も増える傾向にある。
【0003】
これに伴い、今日の電子機器には、実に多様なヘルプガイダンス機能が搭載されている。例えば、ポインタ指示、ヘルプキー選択、ポップアップ表示、音声ガイダンス、適切なヘルプ情報を検索するためのボタン等が搭載されている。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、アプリケーションの違いによる操作方法の違いやヘルプ情報の多階層化等の影響で、昨今におけるヘルプガイダンス機能はますます複雑化する傾向にある。
これに伴い、操作キーとヘルプガイダンスとの対応関係も分かり難くなっている。
実際、事前にどのような種類の操作キーが存在するかを知らない利用者や探すべき操作キーがどこにあるか知らない利用者は、ヘルプガイダンス機能を十分に活用するのが難しい。」

「図13に、「プレビュー画面」の表示例を示す。なお、「プレビュー画面」にも、表示形式の変更用に表示形式変更キー73が配置される。
これら表示形式の違いによらず、「一覧表示画面」には、画面右上隅にヘルプキー75、画面右下隅にプリントキー77が表示される。
【0030】
ヘルプキー75は、画面上に表示された各種キーの機能を説明するヘルプガイダンスを利用者の望むタイミングで画面表示させるためのキーである。ヘルプガイダンスの表示例を図14に示す。なお、図14は、「プレビュー画面」の表示中にヘルプキー75が操作された場合の表示例である。
【0031】
各操作キーに対応するヘルプガイダンスは、半透過処理された「プレビュー画面」の手前側に重ねて表示される。この例の場合、各ヘルプガイダンスは、半透過処理された「プレビュー画面」の各操作キーとの対応関係が分かるように吹き出し形式にて表示される。すなわち、ヘルプガイダンスと各操作キーとを関連付ける吹き出し線を使用し、各操作キーの近傍位置にヘルプガイダンスを表示する。
【0032】
各操作キーのレイアウトやキートップの表記はそのままにヘルプガイダンスが表示されるので、操作に不慣れな利用者も、ヘルプガイダンスと操作キーとの対応関係を明確に確認することができる。
なお図14では、複数の操作キーに対応する複数のヘルプガイダンスが同時に一覧表示されている。
【0033】
1つの画面内の操作可能な複数の操作キーについて複数のヘルプガイダンスが同時に表示されることで、ヘルプキー75を複数回操作しなくても、一度に複数個の操作キーについての情報を確認することができる。
この形態例の場合、いずれかの操作キーが操作された時点で、直前の操作画面に戻るものとする。この機能の搭載により、利用者によるヘルプガイダンスの表示を解除する操作を実行する必要性を無くすことができる。
【0034】
以下、図14で例示したヘルプガイダンスについて説明する。
「Edit」キーに対応するヘルプガイダンスには、編集メニューの表示に用いる旨の説明文が記載される。
「+」キーに対応するヘルプガイダンスには、プリント枚数の増加に使用する旨の説明文が記載される。一方、「-」キーに対応するヘルプガイダンスには、プリント枚数の減少に使用する旨の説明文が記載される。
【0035】
「プリント」キー77に対応するヘルプガイダンスには、選択画像のプリント実行を指示する旨の説明文が記載される。なお、「プリント」キー77の操作によりオーダーも確定し、プリントに伴う精算処理も実行される。
また、「トップメニュー」キー55に対応するヘルプガイダンスには、トップメニューに戻る旨の説明文が記載される。
【0036】
また、左向きの三角マークに対応するヘルプガイダンスには、画面中央のプレビュー領域に前位置の画像を表示する旨の説明文が記載される。一方、右向きの三角マークに対応するヘルプガイダンスには、画面中央のプレビュー領域に後位置の画像を表示する旨の説明文が記載される。
【0037】
なお、操作画面には、これらの他にも例えばプリント動作を停止させる「ストップ」キー、プリント倍率を設定する「倍率設定」キー、画像の明度、色調、シャープネス等を調整する「画像編集」キー等の操作キー等が必要に応じて表示される。
図14では、これら操作キーについてのヘルプガイダンスは、表示空間の関係で表示されていないが、これらについても図14と同様に表示可能である。例えば、ヘルプキー75をもう一回操作すると、「ストップ」キーその他の操作キーについてヘルプガイダンスを一覧表示する。」

「【0047】
例えば「優先度の高い」操作キーとして、操作入力に必要な最低限の操作キーに対応するヘルプガイダンスを1つの画面上に同時に表示すれば、操作に不慣れな利用者でも最低限の操作を使いこなすことが可能になる。
【0048】
また例えば「使用頻度の高い」操作キーに対応するヘルプガイダンスを1つの画面上に同時に表示すれば、操作に不慣れな利用者でも操作画面の操作を一通り使いこなすことが可能になる。なお、「優先度の高い」操作キーと「使用頻度の高い」操作キーの多くは重複することが多いと考えられる。
【0049】
(d)前述の形態例では、同時に複数の操作キーについてヘルプガイダンスを1つの画面上に表示する場合について説明した。
しかし、操作画面上のポインタで個別に指定された操作キーに対応するヘルプガイダンスのみを画面上に表示させる手法を採用しても良い。」

「【0054】
(i)前述の形態例では、ヘルプガイダンス表示装置としてのプリントキオスク装置について説明したが、ヘルプガイダンスの表示機能を有する個人用の情報処理装置にも、業務用の情報処理装置にも適用できる。
例えば、業務用データ端末、POS端末、キャッシュディスペンサ、自動販売機、画像や音声の編集装置にも適用できる。」

そして、引用例の上記記載事項を、関連図面と技術常識に照らせば、以下のことがいえる。

(1)引用例の段落【0030】の「ヘルプキー75は、画面上に表示された各種キーの機能を説明するヘルプガイダンスを利用者の望むタイミングで画面表示させるためのキーである。ヘルプガイダンスの表示例を図14に示す。なお、図14は、「プレビュー画面」の表示中にヘルプキー75が操作された場合の表示例である。」という記載から明らかなように、引用例のプリントキオスク装置1はヘルプキー75の操作を受信するものであると認められる。

(2)引用例の段落【0037】の「なお、操作画面には、これらの他にも例えばプリント動作を停止させる「ストップ」キー、プリント倍率を設定する「倍率設定」キー、画像の明度、色調、シャープネス等を調整する「画像編集」キー等の操作キー等が必要に応じて表示される。図14では、これら操作キーについてのヘルプガイダンスは、表示空間の関係で表示されていないが、これらについても図14と同様に表示可能である。例えば、ヘルプキー75をもう一回操作すると、「ストップ」キーその他の操作キーについてヘルプガイダンスを一覧表示する。」という記載から、引用例は、複数存在する各操作キーに関連して存在する複数のヘルプガイダンスのうち、ある部分集合である複数のヘルプガイダンスの部分を表示する機能を有している。

以上を踏まえると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「画面表示上に表示された各操作キーと関連した複数のヘルプガイダンスの表示を要求する利用者のヘルプキーの操作を受信するステップと、
前記各操作キーと共に同時表示するように、複数の前記各操作キーと関連した複数の前記ヘルプガイダンスの部分を出力するステップと、
を含む方法。」


3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「画面表示」、「各操作キー」、「各操作キーと関連した複数のヘルプガイダンス」、「利用者のヘルプキーの操作」、「各操作キーと関連した複数のヘルプガイダンスの部分」は、それぞれ本願発明の「ページ」、「ユーザ・インターフェース要素」、「ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報」、「ユーザ入力」、「ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報の部分」に相当する。
よって、本願発明と引用発明の間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「ページ上に表示されたユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報の表示を要求するユーザ入力を受信するステップと、
前記ユーザ・インターフェース要素と共に同時表示するように、複数の前記ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報の部分を出力するステップと、
を含む方法。」である点。

(相違点)
本願発明は、「前記ユーザ・インターフェース要素と関連した複数の情報を判断するためにページを分析するステップ」を有しているのに対し、引用発明は、それに相当するステップを有していない点。


4.判断

(1)(相違点)について
以下の事情を総合すると、引用発明において、相違点に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことというべきである。

ア.引用発明を具現化する際に、どの「ユーザ・インターフェース要素」(各操作キー)に対してどのような「ユーザ・インターフェース要素と関連した情報」(ヘルプガイダンス)を表示するかを決定する必要があることは当然のことであり、引用例には、それを具体的にどのようにして決定するかについての記載はないが、引用発明において、それをどのようにして決定するようにするかは、当業者が適宜決定し得る事項である。
このことは、引用例の段落【0004】から理解される引用発明が解決しようとした課題に照らしても明らかである。

イ.また、引用例の段落【0054】の「前述の形態例では、ヘルプガイダンス表示装置としてのプリントキオスク装置について説明したが、ヘルプガイダンスの表示機能を有する個人用の情報処理装置にも、業務用の情報処理装置にも適用できる。」との記載から明らかなように、引用発明は、ヘルプガイダンスの表示機能を有する汎用的な情報処理装置における実施も想定されているものである。

ウ.一方、「ユーザ・インターフェース要素と共に『ユーザ・インターフェース要素と関連した情報』を同時表示するようにした情報処理装置において、どのユーザ・インターフェース要素に対してどのような『ユーザ・インターフェース要素と関連した情報』を表示するかを決定するためにページを分析する」という技術は、本願の出願前に周知である。この点は、特開2005-32041号公報(要約、段落【0005】、段落【0035】-【0061】及び図2-6参照)、特開2004-178512号公報(要約、段落【0004】-【0009】、段落【0021】-【0022】及び図1-2、段落【0031】-【0038】及び図4-7参照)、特開2007-87221号公報(段落【0025】-【0028】及び図5(a)、6(a)-(c)、段落【0037】-【0038】及び図7)等から明らかである。

エ.以上によれば、上記ア.で言及したように引用発明を具現化する際に当然に必要となる、「どのユーザ・インターフェース要素に対してどのような『ユーザ・インターフェース要素と関連した情報』を表示するかを決定する」という技術的事項を、上記ウ.で言及した周知技術により実現するようにすること、換言すれば、引用発明において上記ウ.で言及した周知技術を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。

オ.また、引用発明において、この周知技術を採用できない理由はない。

カ.以上のことは、引用発明において、相違点に係る本願発明の構成を採用することが、当業者にとって容易であったことを意味する。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用発明から当業者が容易に想到し得た構成のものが奏するであろうと当業者が予測し得る範囲を超えるものではなく、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-04-10 
結審通知日 2015-04-14 
審決日 2015-04-28 
出願番号 特願2010-9792(P2010-9792)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 桜井 茂行
和田 志郎
発明の名称 アプリケーションにおいてユーザ・インターフェース要素を示す方法  
代理人 太佐 種一  
代理人 上野 剛史  

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