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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1305396
審判番号 不服2014-2890  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-02-17 
確定日 2015-09-10 
事件の表示 特願2010- 62654「点検項目抽出方法および点検方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日出願公開、特開2011-197897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年3月18日を出願日とする出願であって、平成25年8月16日付けの拒絶理由通知に応答して、平成25年10月17日付けで意見書、手続補正書が提出されたが、平成25年12月11日付けで拒絶査定がなされた。これに対して、平成26年2月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
さらに、当審から平成27年3月18日付けで拒絶理由が通知され、平成27年5月18日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1にかかる発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年10月17日付けで提出された手続補正書の特許請求の範囲請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「【請求項1】
(a)複数の部品で構成された装置の各部品を記載した部品リストを作る部品リスト作成ステップと、
(b)前記部品リストに記載された各部品について、前記装置中で使用中に生じる部品劣化が確認される部品検査項目をその部品リストに追記する部品検査項目追記ステップと、
(c)前記装置が有する機能を発揮するためにその装置で生じる動作および/または状態を記載した動作状態リストを作る動作状態リスト作成ステップと、
(d)前記動作状態リストに記載された個々の動作および/または状態について、動作および/または状態の変化が確認される動作状態検査項目をその動作状態リストに追記する状態検査項目追記ステップと、
(e)前記部品リストの部品検査項目と前記動作状態リストの動作状態検査項目とについて、
前記装置中で現実に因果関係を持って対応しているものを確認し、対応が確認された項目の対応表を作る対応表作成ステップと、
(f)前記対応表中で複数の部品検査項目と対応している動作状態検査項目を探す検査項目探査ステップとを有することを特徴とする点検項目抽出方法。」((a)?(f)の記号は当審により付したものである。)

3.当審の拒絶理由について
(1)平成27年3月18日付けの拒絶理由通知において通知した特許法第29条第1項柱書に関する理由は以下のとおりである。
「1.この出願の下記の請求項に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。



・請求項1
・備考:「複数の部品で構成された装置の各部品を記載した部品リストを作る」ことは、部品リストの作成行為に技術的手段を使用していないから、この作成行為自体に技術的特徴は認められず、実質、部品リストに記載された情報の内容に特徴を有するのみである。この内容が技術的な内容であったとしても、自然法則を利用したものとは認められない。できあがった部品リストについても、装置と部品の関係を示した表に過ぎず、これも自然法則を利用したものとは認められない。また、作成された部品リストそのものも単なる対応表に過ぎず、自然法則を利用したものとは認められない。
「部品リストに記載された各部品について、前記装置中で使用中に生じる部品劣化が確認される部品検査項目をその部品リストに追記する」ことも、部品リストへの追記行為に技術的特徴はなく、実質、部品リストに記載された内容時特徴を有するのみであるから、自然法則を利用したものとは認められない。追記してできた表についても、自然法則を利用したものとは認められない。また、部品リストに、部品検査項目を追記したところで、単なる対応表の域を出ない。
「装置が有する機能を発揮するためにその装置で生じる動作および/または状態を記載した動作状態リストを作る」ことも、動作状態リストの作成行為に技術的特徴がなく、実質、動作状態リストに記載された情報に特徴を有するのみであるから、自然法則を利用したものとは認められない。できあがったリストについても、装置と動作の関係を示した表に過ぎず、これも自然法則を利用したものとは認められない。また、作成された動作状態リストそのものも単なる対応表に過ぎず、自然法則を利用したものとは認められない。
「動作状態リストに記載された個々の動作および/または状態について、動作および/または状態の変化が確認される動作状態検査項目をその動作状態リストに追記する」ことも、動作状態リストへの追記行為に技術的手段を使用していないから、追記行為に技術的特徴は認められず、実質、動作状態リストに記載された情報に特徴を有するのみであるから、自然法則を利用したものとは認められない。また、動作状態リストに動作状態検査項目を追記したところで、単なる対応表の域を出ない。
「部品リストの部品検査項目と前記動作状態リストの動作状態検査項目とについて、前記装置中で現実に因果関係を持って対応しているものを確認」することおよび「対応が確認された項目の対応表を作る」ことも、リストの確認行為や対応表の作成行為に技術的手段を使用していないから、これらの行為に技術的特徴は認められず、実質、各リストや対応表に記載されている内容に特徴を有するのみである。したがって、自然法則を利用したものとは認められない。また、対応が確認された項目の対応表そのものも単なる対応表に過ぎず、自然法則を利用したものとは認められない。
「対応表中で複数の部品検査項目と対応している動作状態検査項目を探す」ことも、動作状態検査項目を探す行為に技術的手段を使用していないから、この行為に技術的特徴は認められず、実質、対応表に記載された情報の内容に特徴を有するのみである。したがって、自然法則を利用したものとは認められない。
リスト、対応表における項目等の配置についても、何らかの問題を解決するために、特別な配置がされているとはいえないから、自然法則を利用したものとは認められない。
以上のことから、請求項1に記載された構成は、自然法則を利用したものとは認められない。」

4.理由1についての当審の判断
(1)特許法第2条第1項には、「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規定され、同法第29条第1項柱書には、「産業上利用することができる発明をしたものは、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」と規定されている。
したがって、請求項に係る発明が「自然法則を利用した技術的思想の創作」でないときは、その発明は特許法29条1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

(2)そこで、本願発明が特許法第2条第1項で規定する「発明」に該当するものであるのか、すなわち「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるのかについて検討する。
(2-1)事項(a)について
本願明細書には、事項(a)に関して、
「【0034】
まず、部品リスト作成ステップ(S11)では、装置の各部品を記載した部品リストを作る。
【0035】
図5は、第4工程装置の部品リストである。
【0036】
図5の部品リストには、部位「TM」で表される第4工程装置4を構成する各装置、各装置の要素機器、および要素部品が列挙されている。装置欄の「冷却ロール装置」、「冷却ロール装置1」、「冷却ロール装置2」、および「冷却ロール装置3」は、図4に示す冷却ロール42a?42dをそれぞれ表し、「ヒートロール装置1」、「ヒートロール装置2」、「ヒートロール装置3」、および「ヒートロール装置4」は、図4に示すヒートロール41a?41dをそれぞれ表している。なお、図5では、煩雑なリストによる分かり難さを避けるため、リストのうち、第4工程装置4の主要な機器であるヒートロール41a?41d、および冷却ロール42a?42dまで示されている。また、部品リストの要素機器欄には、装置の要素機器および要素部品が挙げられている。例えば、冷却ロール1の要素機器として伝導軸およびロータリージョイントが挙げられており、その要素部品としてベアリングが挙げられている。」と記載されている。
図5および上記記載事項をみると、部品リスト作成とは、装置に対応した要素部品の名称を表にまとめ上げることであり、表にまとめ上げる際に、何らかの機械的な処理を行っているわけではないことから、その作成に自然法則を利用しているとはいえない。また、部品リストそのものは、図10に記載された点検方法によれば、定期点検をする者が部品を点検する際に参照するリストの一部でしかないから、情報の内容にのみ特徴を有し、情報提示を主たる目的とするものであり、自然法則を利用したものではない。
したがって、これを表にまとめ上げたところで、自然法則を利用した処理にはならない。
(2-2)事項(b)について
本願明細書には、事項(b)に関して、
「【0037】
次に、部品検査項目追記ステップ(図3のS12)では、部品リストに記載された各部品について、装置10(図1、2)中で使用中に生じる部品劣化が確認される部品検査項目をその部品リストに追記する。
【0038】
図6は、図5に示す部品リストに、部品検査項目が追記されたリストである。
【0039】
部品検査項目追記ステップ(S12)では、図5に示す部品リストの要素部品のそれぞれについて、装置10(図1、2)中で使用中にどんな劣化が生じるか、劣化したらどんな症状が出るかを追記し、さらに、劣化の症状を示す具体的な変化現象を追記する。この変化現象は、対象の要素部品が装置中で担う機能に基づいて、装置中におけるその要素部品の箇所に現れる変化現象である。
【0040】
例えば、「冷却ロール装置1」のベアリングについて、使用中に疲労または磨耗といった劣化が生じ、その結果、症状として、異音の発生や振動の増大が生じ、また、回転不良となることが追記されている。またさらに、ベアリングの異音・振動の症状の具体的な変化現象として、冷却ロール1の異音・振動が挙げられている。また、冷却ロール装置1のベアリングは、第4工程装置の中で、ウエブにテンションを付与した状態で搬送する機能に関連する。この観点から、ベアリングの回転不良の症状の具体的な変化現象として、ウエブのテンション異常が挙げられている。このテンション異常は、このベアリングが備えられた冷却ロール装置1の箇所でのテンション異常である。従って、従来の検査方法では、図6に挙げられた現象を一つひとつ点検していくこととなり、点検項目が膨大となる。」と記載されている。
図6および上記記載事項をみると、部品検査項目の追加とは、図5の部品リストに対して部品検査項目の記載した表を結合することであり、追記(結合)する際に、何らかの機械的な処理を行っているわけではなく、単に、対応関係を付け加えるための表の結合であるから、自然法則を利用しているとはいえない。また、追記された部品検査項目そのものは、定期点検を行う者が参照するリストの一部でしかなく、情報の内容のみに特徴を有し、情報の提示を主たる目的とするものであって、自然法則を利用したものではなく、これらを表にまとめ上げても自然法則を利用したことにはならない。
(2-3)事項(c)について
本願明細書には、事項(c)に関して、
「【0042】
図7は、第4工程装置4の動作状態リストである。
【0043】
図7の動作状態リストの「動作」欄には、第4工程装置4の基本的な動作機能として、ウエブを均等に熱処理することが挙げられている。動作状態リストの「要求機能」欄には、そのために、装置10で生じる動作および/または状態として、ウエブ全体に亘り一定のウエブ張力(テンション)でウエブを搬送させることと、ウエブの滑らかな搬送が挙げられている。」と記載されている。
図7および上記記載事項をみると、動作状態リスト作成とは、ウエブの要求される機能、動作を表にまとめ上げることであり、表にまとめ上げる際に、何らかの機械的な処理を行っているわけではないことから、自然法則を利用しているとはいえない。また、要求機能、動作そのものは、単に、実現すべき機能、動作であり、機能、動作そのものは、ウエブを搬送する機械が自然法則を利用した動きに伴う結果であって、自然法則を利用したものとはいえない。
(2-4)事項(d)について
本願明細書には、事項(d)に関して
「【0044】
次に、状態検査項目追記ステップ(図3のS14)では、図7に示す動作状態リストに記載された個々の動作および/または状態について、動作および/または状態の変化が確認される動作状態検査項目を、動作状態リストに追記する。
【0045】
図8は、動作状態検査項目が追記された動作状態リストである。
【0046】
図8の動作状態リストには、「要求機能」欄に記載された、一定のウエブ張力について、ロールのテンションの検査が挙げられている。ここで、ロールのテンションとは、図4に示すテンションロール44a?44dに付与された力であり、例えばテンションロール44a?44dのうち一つのテンションロール44dの軸受に取り付けられたセンサによって測定されるものである。テンションロール44dに付与された力は、第4工程装置4を搬送されるウエブ全体に生じる張力の代表として、テンションロール44dにおけるウエブの張力を表している。
【0047】
また、五感診断は、視覚、聴覚、嗅覚、および触覚のいずれかまたは組合せを用いて診断する検査である。なお、ここで、五感診断は、人間の感覚器官を用いて判断するものに限られず、感覚器官に対応する人工のセンサを用いて検査するものも含まれる。」と記載されている。
図8および上記記載事項をみると、状態検査項目追記とは、要求された機能を実現できない場合に検査すべき項目を追記して表にまとめ上げることであり、表にまとめ上げる際に、何らかの機械的な処理を行っているわけではないことから、自然法則を利用しているとはいえない。また、状態検査項目を追記した動作状態リストそのものも、定期点検を行う者が参照する情報でしかなく、項目の内容自体は自然法則を利用しているとはいえないし、検査をセンサを使用して行ったとしても、そのセンサの出力を用いて動作状態検査項目をその動作状態リストに追記する機械的処理を行っているものでもないことから、自然法則を利用しているとはいえない。
(2-5)事項(e)について
本願明細書には、事項(e)に関して
「【0048】
次に、対応表作成ステップ(図3のS15)では、部品検査項目追記ステップ(S12)で追記した部品リストの部品検査項目と、状態検査項目追記ステップ(S14)で追記した動作状態リストの動作状態検査項目とについて、前記装置中で現実に因果関係を持って対応しているものを確認して対応表を作る。すなわち、部品検査項目にある各機能の不良が、動作状態リスト中の動作状態検査項目の各々に実際に影響を及ぼしているか否かを順に確認していく。
【0049】
因果関係を実際に確認する手法としては、例えば、部品点検項目で検出できる劣化を生じている部品を装着してみて、各状態検査項目での検出が可能か否か確かめるという手法が考えられる。
【0050】
図9は、図6に示す部品リストの部品検査項目と、図8に示す動作状態検査項目とについて、対応しているものに印を追記した対応リストである。具体的には、図9のうち、図6に対し動作状態検査項目欄として追記された部分が対応リストである。
【0051】
図9における対応リスト、すなわち動作状態検査項目欄の、1から7までの番号は、図8の動作状態リストにおける、動作状態検査項目の番号と同じである。
【0052】
例えば、「冷却ロール装置1」の「ベアリング」についての「疲労、磨耗」を検査する部品検査項目として、「冷却ロール1異音・振動」がある。「冷却ロール1」すなわち図4に示す冷却ロール42bの異音振動は、動作状態検査項目における冷却ロールの五感診断に影響を与える項目である。したがって、「冷却ロール装置1」の「ベアリング」についての「冷却ロール1異音・振動」に対応する動作状態検査項目欄では、対応する「2」の欄に印が付される。また、「冷却ロール装置1」の「ベアリング」についての「疲労、磨耗」を検査する別の部品検査項目として、回転不良によるウエブテンション異常がある。冷却ロール42bのベアリング異常により回転不良が起きると、冷却ロール42bで搬送されるウエブのその箇所でテンションに異常が生じる。そのような局所的なテンション異常が、テンションロール44a?44dを搬送されるウエブ全体に亘るテンションの代表箇所での検査値に影響することが確認された結果として、「冷却ロール装置1」の「ベアリング」についての「ウエブテンション異常」に対応する動作状態検査項目欄では、「1」の欄に印が付されている。
【0053】
このようにして、すべての要素部品について、動作状態検査項目に対する因果関係を確認する。」と記載されている。
事項(e)のうち、「部品リストの部品検査項目と前記動作状態リストの動作状態検査項目とについて、」「対応表を作る」ことは、図9に記載されているような表を作成することであり、表自体は、単なる対応表であり、表にまとめ上げる際に、何らかの機械的な処理を行っているわけではないことから、自然法則を利用しているとはいえない。
事項(e)のうち、「装置中で現実に因果関係を持って対応しているものを確認し、対応が確認された項目の対応表を作る」ことについて、段落番号0049に記載されているように、「部品点検項目で検出できる劣化を生じている部品を装着してみて、各状態検査項目での検出が可能か否か確かめるという手法」そのものは、自然法則を利用した確認であるかもしれないが、「対応が確認された項目の対応表を作る」といった場合、因果関係を確かめる手法と対応表を作る処理が連動しているわけでないし、また、因果関係を確かめる手法によって得られた結果は、単に、定期点検をする者に対して参照となる情報に過ぎず、結果自体は自然法則を利用したものではない。
さらに、段落番号0052に記載されているように、因果関係を確認した結果に基づいて、対応する動作状態検査項目に対して印を付すことについても、対応を調べることも印を付すことにも何らかの機械的処理がなされているわけではないから、自然法則を利用しているとはいえない。
(2-6)事項(f)について
本願明細書には、事項(f)に関して
「【0054】
次に、検査項目探査ステップ(図3のS16)では、対応表中で複数の部品検査項目と対応している動作状態検査項目を探す。検査項目探査ステップでは、動作状態検査項目のうち、対応している部品検査項目の数が、他の動作状態検査項目に対応している部品検査項目の数よりも多い動作状態検査項目を探す。例えば、図9に示す対応リスト、すなわち動作状態検査項目欄の1から7までの項目のうち、「1」のテンション異常は、対応している要素部品の数が15であり、「2」や「3」といった他の項目よりも対応している要素部品が多い。そこで、検査項目探査ステップでは、「1」の動作状態検査項目を選択する。図9に示すリストの例では、動作状態検査項目の「1」、すなわちテンションロール44a?44dのテンション異常を検査すると、この1つの項目の検査によって、リストに挙げられた要素部品のすべての劣化が網羅されることになる。なお、選択した動作状態検査項目への対応から漏れた要素部品があれば、さらに別の動作状態検査項目を選択する。リストに挙げられた動作状態検査項目をすべて選択しても対応から漏れて残った要素部品については、例外として、部品の状態を個別に検査するものとする。
【0055】
上述した点検項目抽出方法を、装置10(図1、2)のすべての工程装置について実施することで、装置10の動作状態検査項目が抽出される。」と記載されている。
上記記載において、検査項目探査ステップについては、「動作状態検査項目のうち、対応している部品検査項目の数が、他の動作状態検査項目に対応している部品検査項目の数よりも多い動作状態検査項目を探す」という記載に止まり、探査する場合に、何らかの機械的な処理が行われているとは記載されていないし、人為的な行為として、対応表から対象の項目を探すこと自体、自然法則を利用しているとはいえない。
(2-7)事項(a)?(f)の全体について
さらに、全体としてみても、部品リストの作成、部品リストへの部品検査項目の追記、動作状態リストの作成、動作状態リストへの動作検査項目の追記、部品検査項目と動作検査項目についての対応表の作成、部品検査項目と動作検査項目についての対応表において対応する部品検査項目に対して対応する動作検査項目を探すことは、これまでに検査を行った者の経験すなわち人的な取り決めに基づいて、検査項目を表に整理する手順を特定するものであり、人間の精神活動を表しているに過ぎない。また、作成された対応表そのものも点検における取り決め事項を記載した表に過ぎないから、自然法則を利用しているとはいえない。

(3)まとめ
上記(2)で述べたとおり、本願発明は、特許法第2条第1項で規定する「発明」に該当した自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず、特許法第2条でいう「発明」に該当しないものである。
よって、本願発明は特許法第29条第1項柱書きに規定する要件を満たしていない。

5.むすび
したがって、本願発明は、特許法第2条第1項で規定する「発明」に該当した自然法則を利用した技術的思想の創作であるとはいえず、特許法第2条でいう「発明」に該当しないものであるから、特許法第29条第1項柱書きの規定により特許を受けることができない。
当該請求項1が特許を受けることができないものであるから、本願は、その他の請求項について議論するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-07 
結審通知日 2015-07-14 
審決日 2015-07-27 
出願番号 特願2010-62654(P2010-62654)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (G06Q)
P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 緑川 隆
石川 正二
発明の名称 点検項目抽出方法および点検方法  
代理人 三上 結  
代理人 高松 猛  
代理人 尾澤 俊之  
代理人 長谷川 博道  
代理人 山田 正紀  

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