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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1305409
審判番号 不服2014-14860  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-30 
確定日 2015-09-10 
事件の表示 特願2009-285441「電動移動体、課税サーバ、駆動管理方法、プログラム、充電装置、及びホームバッテリ」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月30日出願公開、特開2011-128793〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成21年12月16日を出願日とする出願であって、平成24年5月18日付けで手続補正がなされ、平成25年9月24日付けで拒絶理由通知がなされ、平成25年11月25日付けで意見書が提出されたが、平成26年4月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成26年7月30日付けで拒絶査定不服審判請求がなされたものである。

2.本願発明について
平成24年5月18日付けの手続補正書による特許請求の範囲の請求項13(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「【請求項13】
電力を蓄えるためのバッテリを充電する際、充電量に応じた額の税を課す課税サーバに対して当該バッテリを搭載した電動移動体の識別情報及び前記バッテリに充電した充電量の情報を送信する情報送信機能と、
前記課税サーバから、前記情報送信機能により送信された前記電動移動体の識別情報及び前記充電量の情報に基づいて実行される課税処理の完了通知を受信する情報受信機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。」

3.当審の判断
(1)引用例
(1-1)原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開第2009/075313号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(a)「[0005]
ところで、道路の建設や維持管理など、車両走行に必要となる社会基盤(インフラストラクチャ)整備のための財源の1つに、道路の走行量に見合った走行エネルギに対して課せられる税金がある。このような税金の代表的なものとして、いわゆるガソリン税がある。ガソリン税は、ガソリン購入価格に含められており、ガソリン購入時に車両のユーザから徴収される。今後、プラグイン車両の普及に伴なって、ガソリン税に相当する税金を、プラグイン車両への供給電力に対しても課す必要があるが、その税金の算出方法および徴収方法については未だ十分に検討されていない。
[0006]
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の走行エネルギとして使用される電力に対する追加料金を精度よく算出することができる料金算出装置、料金算出方法、その料金算出方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体、車両の情報出力装置、情報出力方法を提供することである。」
(b)「[0034]
図1を参照して、本実施の形態に係るプラグイン車両100、電力供給装置200、およびこれらと通信可能な外部サーバ300について説明する。
[0035]
プラグイン車両100は、蓄電装置を搭載し、蓄電装置の電力を使用して走行する車両である。プラグイン車両100は、蓄電装置に対して外部から充電が可能な構成を有している。たとえば、プラグイン車両100は、電力供給装置200からの電力により充電を行なう。
[0036]
電力供給装置200は、家庭用の住宅20内に設けられ、電力会社の系統電源30から供給される電力を、住宅20内の種々の家電製品26に供給する。電力供給装置200には、車両に電力を供給するために用いられる充電ケーブル22が接続される。電力供給装置200は、電力供給を許可した登録車両(たとえばプラグイン車両100)に充電ケーブル22を経由して電力を供給する。充電ケーブル22のプラグイン車両100側の端部には、充電パドル24が設けられる。充電パドル24は、プラグイン車両100側のコネクタ124には接続可能であるが、家電製品26には接続できない形状となっている。なお、電力供給装置200は、家庭用の住宅20内に設けられることに限定されず、たとえば車両専用の電力ステーションに設けられるようにしてもよい。
[0037]
さらに、電力供給装置200は、プラグイン車両100と無線通信を行なうことが可能で、必要な情報を送受信する。なお、プラグイン車両100と電力供給装置200とが行なう通信は、無線通信に限定されず、たとえば、充電ケーブル22を利用した電力線通信であってもよい。」
(c)「[0040]
プラグイン車両100は、車輪108と、車輪108を駆動するモータ106と、モータ106に三相交流電力を与えるインバータ104と、モータ106に供給する電力を蓄電するメインバッテリ102と、プラグイン車両100の全体制御を行なうECU1000とを含む。プラグイン車両100は、電力のみを走行エネルギとする車両(以下、電気自動車とも記載する)であるが、電力に加えて電力以外のエネルギを走行エネルギとする車両(以下、ハイブリッド車両とも記載する)にも本発明を適用することができる。
[0041]
さらに、プラグイン車両100は、充電パドル24が接続されるコネクタ124と、コネクタ124に与えられた交流電力を直流電力に変換してメインバッテリ102に与える充電用AC/DC変換部110と、コネクタ124と充電用AC/DC変換部110とを接続するスイッチ122と、コネクタ124に充電パドル24が接続されたことを検出する接続検出部120とを含む。
[0042]
さらに、プラグイン車両100は、車両情報記憶部130と、走行情報検出部140と、入力部150と、表示部160と、通信アンテナ170とを含む。
[0043]
車両情報記憶部130には、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が予め記憶されるとともに、走行情報検出部140で検出された情報が記憶される。車両情報記憶部130は、ECU1000からの指令に基づいて、記憶された情報をECU1000に送信する。
[0044]
ここで、車両IDは、プラグイン車両100を他の車両と識別するための固有情報であって、たとえば、電力供給装置200で予め電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断する際に用いられる。以下の説明においては、プラグイン車両100の車両IDを「001」とし、他の登録車両であるハイブリッド車両(図示せず)の車両IDを「002」と例示して説明する。」
(d)「[0051]
電力供給装置200は、配電盤210と、充電ケーブル22と配電盤210との間に設けられたスイッチ212と、家電製品26のプラグが差し込まれるコンセント214と、監視ユニット220と、接続検出部230と、入力部240と、表示部250と、印字部260と、通信アンテナ270と、電力供給装置200の全体制御を行なうECU2000とを含む。
[0052]
配電盤210は、電力会社の系統電源30に接続され、系統電源30から供給される電力をコンセント214を経由して家電製品26に供給するとともに、充電ケーブル22を経由してプラグイン車両100に供給する。
[0053]
監視ユニット220は、配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などをそれぞれ検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信する。さらに監視ユニット220は、ECU2000からの指令信号に基づいて、配電盤210から供給される電力を制御する。
[0054]
接続検出部230は、プラグイン車両100のコネクタ124に充電パドル24が接続されたことを検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信する。
[0055]
入力部240は、電力供給装置200のユーザの要求などが入力される装置であり、入力結果を表わす信号をECU2000に送信する。
[0056]
表示部250は、ECU2000から送信される情報などを画像にして表示する。印字部260は、ECU2000から送信される情報などを紙などに印字してアウトプットする。
[0057]
通信アンテナ270は、プラグイン車両100および外部サーバ300と無線通信を行なう。通信アンテナ270は、プラグイン車両100および外部サーバ300から受信した情報をECU2000に送信する。また、通信アンテナ270は、ECU2000からの情報をプラグイン車両100および外部サーバ300に送信する。
[0058]
ECU2000は、コネクタ124に充電パドル24が接続された場合には、プラグイン車両100側から電力供給装置200側に充電要求があったものと認識し、スイッチ212を閉じるとともに、監視ユニット220に指令信号を送信して、配電盤210から充電ケーブル22への電力供給を開始させる。
[0059]
さらに、ECU2000は、入力部240に入力された電力供給装置200のユーザの要求や、通信アンテナ270を経由して受信されたプラグイン車両100のユーザの要求や外部サーバ300のユーザの要求により、プラグイン車両100あるいは外部サーバ300との情報通信を通信アンテナ270により行なう。」
(e)「[0060]
図3を参照して、本実施の形態に係る料金算出装置の機能ブロック図について説明する。図3に示すように、この料金算出装置は、基本使用料金算出部2010と、バッテリ充電電力量データ生成部2020と、追加料金算出部2030と、料金データ生成部2040とを含む。
[0061]
基本使用料金算出部2010は、監視ユニット220からの情報に基づいて、使用電力に対する基本使用料金を算出する。基本使用料金算出部2010は、電力の使用量と使用時刻とを考慮して、深夜電力料金と非深夜電力料金とを算出する。
[0062]
バッテリ充電電力量データ生成部2020は、監視ユニット220からの情報、接続検出部230からの信号、通信アンテナ270を経由して受信したプラグイン車両100の情報に基づいて、電力供給装置200からメインバッテリ102に供給された電力量(以下、バッテリ充電電力量とも記載する)のデータを生成し、追加料金算出部2030に送信する。バッテリ充電電力量データについては後に詳述する。
[0063]
追加料金算出部2030は、プラグイン車両100の情報とバッテリ充電電力量データとに基づいて、メインバッテリ102の充電に使用された電力に対する追加料金を算出する。追加料金は、電力の基本使用料金とは異なる料金であって、たとえば車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金(以下、走行電力税とも記載する)であり、車両走行用の道路整備などのインフラストラクチャ整備のための財源となるものである。なお、追加料金は、車両の利用者または所有者に対して第三者(自然人の他、国、企業などの法人も含む)から課せられる金であれば如何なるものであってもよい。この場合の第三者とは、エネルギを提供した者(電力会社等)以外の者も含み、また、課金は、エネルギの対価以外の課金も含む。この種の課金の目的としては、社会基盤の整備のための料金の他、発電所等からの二酸化炭素排出に対する料金、将来的な移動体の開発費用に対する課金なども含むが、その目的や用途はこの範囲に限定されない。
[0064]
料金データ生成部2040は、基本使用料金と追加料金とを合計した料金のデータ(以下、単に料金データとも記載する)を生成し、表示部250、通信アンテナ270、印字部260に送信する。この料金データは、電力供給装置200のユーザから電力会社へ支払われる料金を示すデータである。なお、電力供給装置200のユーザが電力会社へ支払った料金のうち、追加料金は、上述した走行電力税として、電力会社から国あるいは地方自治体に納められる。
[0065]
このような機能ブロックを有する本実施の形態に係る制御装置は、デジタル回路やアナログ回路の構成を主体としたハードウェアでも、ECU2000に含まれるCPU(Central Processing Unit)およびメモリとメモリから読み出されてCPUで実行されるプログラムとを主体としたソフトウェアでも実現することが可能である。一般的に、ハードウェアで実現した場合には動作速度の点で有利で、ソフトウェアで実現した場合には設計変更の点で有利であると言われている。以下においては、ソフトウェアとして制御装置を実現した場合を説明する。なお、このようなプログラムを記録した記録媒体についても本発明の一態様である。」
(f)「[0074]
図5を参照して、本実施の形態に係る料金算出装置であるECU2000が、バッテリ充電電力量データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
[0075]
S200にて、ECU2000は、接続検出部230からの信号に基づいて、充電パドル24がコネクタ124に接続されたか否かを判断する。充電パドル24がコネクタ124に接続されると(S200にてYES)、処理はS202に移される。そうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
[0076]
S202にて、ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの車両情報を受信したか否かを判断する。車両情報を受信すると(S202にてYES)、処理はS204に移される。そうでないと(S202にてNO)、処理はS202に戻され、車両情報を受信するまで待つ。
[0077]
S204にて、ECU2000は、車両情報に含まれる車両IDに基づいて、プラグイン車両100が電力供給装置200からの電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断する。登録車両であると(S204にてYES)、処理はS206に移される。そうでないと(S204にてNO)、この処理は終了する。
[0078]
S206にて、ECU2000は、通信アンテナ270を経由して充電許可をプラグイン車両100に送信する。
[0079]
S208にて、ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの電力供給開始要求を受信したか否かを判断する。電力供給開始要求を受信すると(S208にてYES)、処理はS210に移される。そうでないと(S208にてNO)、この処理はS208に戻され、電力供給開始要求を受信するまで待つ。
[0080]
S210にて、ECU2000は、プラグイン車両100への電力供給を開始する。S212にて、ECU2000は、使用電力量のモニタを開始する。
[0081]
S214にて、ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの電力供給終了要求を受信したか否かを判断する。電力供給終了要求を受信すると(S214にてYES)、処理はS216に移される。そうでないと(S214にてNO)、この処理はS214に戻され、電力供給終了要求が受信されるまで待つ。
[0082]
S216にて、ECU2000は、バッテリ充電電力量データを生成する。このバッテリ充電電力量データには、プラグイン車両100へ供給された充電電力量に加えて、充電年月日、充電開始時刻、充電終了時刻、プラグイン車両100から受信した車両情報、および車両情報に基づいて算出される課金ランクが含まれる。たとえば、課金ランクは、追加料金の減額対象あるいは増額対象となる車両情報(たとえば車両タイプ、車両サイズ、車両重量、走行履歴、消費電力量など)に応じて層別されて算出される。なお、課金ランクは、予め車両情報に含まれるようにしてもよい。
[0083]
S218にて、ECU2000は、バッテリ充電電力量データをECU2000の内部メモリ(図示せず)に記憶する。図6に、ECU2000の内部に記憶されているバッテリ充電電力量データの一例を示す。図6に示すように、ECU2000は、生成されたバッテリ充電電力量データに対してデータNO.を付与し、過去のデータとともに記憶する。なお、図6のデータNO.1からデータNO.3は、車両ID「002」(すなわちプラグイン車両100とは異なるハイブリッド車両)、車両タイプ「HV(ハイブリッド車両)」、課金ランク「B」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データである。図6のデータNO.4は、車両ID「001」(すなわちプラグイン車両100)、車両タイプ「EV(電気自動車)」、課金ランク「A」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データである。
[0084]
図7を参照して、本実施の形態に係る料金算出装置であるECU2000が、追加料金を算出して料金データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
[0085]
S250にて、ECU2000は、使用電力に対する料金算出が要求されたか否かを判断する。なお、この料金算出の要求は、プラグイン車両100のユーザ、電力供給装置200のユーザ、および外部サーバ300のユーザ(たとえば電力会社、国、地方自治体など)のいずれのユーザからの要求であってもよい。料金算出が要求されると(S250にてYES)、処理はS252に移される。そうでないと(S250にてNO)、この処理は終了する。
[0086]
S252にて、ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量を算出する。なお、総使用電力量とは、料金決済の対象月に系統電源30から電力供給装置200に供給された電力量の合計であり、家電製品26に供給された電力量とプラグイン車両100に供給された電力量との双方が含まれる。
[0087]
S254にて、ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量に対する基本使用料金を算出する。ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、非深夜帯(たとえば午前7時から午前0時までの時間帯)の電力使用料金と、非深夜帯よりも単価が安い深夜帯(たとえば午前0時から午前7時までの時間帯)の電力使用料金とを算出し、これらを合計した金額を、総使用電力量に対する基本使用料金として算出する。なお、基本使用料金の算出方法はこれに限定されない。
[0088]
S256にて、ECU2000は、バッテリ充電電力量データが内部メモリに記憶されているか否かを判断する。バッテリ充電電力量データが記憶されていると(S256にてYES)、処理はS258に移される。そうでないと(S256にてNO)、処理はS266に移される。
[0089]
S258にて、ECU2000は、バッテリ充電電力量データに基づいて、追加料金を算出する。たとえば、ECU2000は、各バッテリ充電電力量データの充電電力量を合計し、合計した電力量と単位エネルギあたりの追加料金との積を追加料金として算出する。なお、追加料金の算出方法はこれに限定されない。
[0090]
S260にて、ECU2000は、プラグイン車両100の車両情報に基づいて、追加料金を修正する。たとえば、ECU2000は、ハイブリッド車両と電気自動車との単位エネルギあたりの追加料金が異なる場合、各バッテリ充電電力量データの車両タイプに基づいて、車両タイプが「EV」の総充電電力量と車両タイプが「HV」の総充電電力量とを層別し、各充電電力量に応じて追加料金を修正する。なお、車両タイプ以外の車両情報(車両サイズ、車両重量、走行履歴、消費電力量など)が追加料金の減額対象あるいは増額対象であれば、課金ランクに基づいて追加料金を修正するようにしてもよい。たとえば、車両サイズが大きいほど、車両重量が重いほど、走行距離が長いほど、消費電力量が多いほど、追加料金を増額するように修正するようにしてもよい。
[0091]
S262にて、ECU2000は、基本使用料金と追加料金とを層別した料金データを生成する。図8に、ECU2000が生成する料金データの一例を示す。図8に示すように、ECU2000は、基本使用料金と追加料金とを区分(家庭用、バッテリ充電用、それらの合計)ごとに層別したデータを生成する。さらに、ECU2000は、追加料金の内訳として、バッテリ充電電力量データのデータNO.ごとに追加料金を層別したデータも生成する。また、参考として各料金に対応する使用電力量が生成されている。S264にて、ECU2000は、料金データを記憶する。
[0092]
S266にて、ECU2000は、表示要求があるか否かを判断する。表示要求があると(S266にてYES)、処理はS268に移される。そうでないと(S266にてNO)、処理はS270に移される。S268にて、ECU2000は、記憶された料金データの内容を表示部250に表示する。
[0093]
S270にて、ECU2000は、送信要求があるか否かを判断する。送信要求があると(S270にてYES)、処理はS272に移される。そうでないと(S270にてNO)、処理はS274に移される。S272にて、ECU2000は、記憶された料金データを送信要求元(プラグイン車両100あるいは外部サーバ300)に送信する。」
(h)「[0104]
なお、本実施の形態においては、料金算出装置が電力供給装置200の内部に設けられる場合について説明したが、料金算出装置の設置位置はこれに限定されない。たとえば、料金算出装置が住宅20内の電力供給装置200の外部に設けられてもよいし、プラグイン車両100の内部に設けられてもよいし、外部サーバ300や電力ステーションに設けられるようにしてもよい。なお、料金算出装置を電力ステーションに設ける場合には、家庭用電力と車両供給電力とを層別することなく、車両情報に基づいて追加料金を算出することができる。また、追加料金を算出する際の車両タイプ情報は、電力ステーションの担当者が入力部を介して入力した情報を用いるようにしてもよい。」

ここで、上記(a)-(h)の記載について検討する。
(あ)上記(a)によると引用例1は、
「ガソリン税に相当する税金を、プラグイン車両への供給電力に対しても課すために、車両の走行エネルギとして使用される電力に対する追加料金を精度よく算出することができる料金算出方法を実現させるプログラム」
について記載されたものである。
(い)上記(b)には、「プラグイン車両100」について、
「プラグイン車両100は、蓄電装置を搭載し、蓄電装置の電力を使用して走行する車両であり、プラグイン車両100は、蓄電装置に対して外部から充電が可能な構成を有しており、電力供給装置200からの電力により充電を行なうものである」
ことが、また、「電力供給装置200」について、
「電力供給装置200は、電力供給を許可した登録車両(たとえばプラグイン車両100)に充電ケーブル22を経由して電力を供給するものであり、プラグイン車両100と無線通信を行なうことが可能で、必要な情報を送受信する」
ことが記載されているといえる。
(う)上記(c)には、「プラグイン車両100」についてさらに、
「プラグイン車両100は、車両情報記憶部130と、走行情報検出部140と、入力部150と、表示部160と、通信アンテナ170とを含み、車両情報記憶部130には、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が予め記憶され、ここで、車両IDは、プラグイン車両100を他の車両と識別するための固有情報である」
ことが記載されている。
(え)上記(d)には、「電力供給装置200」についてさらに、
「電力供給装置200は、配電盤210と、充電ケーブル22と配電盤210との間に設けられたスイッチ212と、家電製品26のプラグが差し込まれるコンセント214と、監視ユニット220と、接続検出部230と、入力部240と、表示部250と、印字部260と、通信アンテナ270と、電力供給装置200の全体制御を行なうECU2000とを含むものであり、配電盤210は、電力会社の系統電源30に接続され、系統電源30から供給される電力をコンセント214を経由して家電製品26に供給するとともに、充電ケーブル22を経由してプラグイン車両100に供給し、監視ユニット220は、配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などをそれぞれ検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信し、通信アンテナ270は、プラグイン車両100および外部サーバ300と無線通信を行ない、プラグイン車両100および外部サーバ300から受信した情報をECU2000に送信し、また、ECU2000からの情報をプラグイン車両100および外部サーバ300に送信し、ECU2000は、コネクタ124に充電パドル24が接続された場合には、プラグイン車両100側から電力供給装置200側に充電要求があったものと認識し、スイッチ212を閉じるとともに、監視ユニット220に指令信号を送信して、配電盤210から充電ケーブル22への電力供給を開始させる」
ことが記載されている。
(お)上記(e)には、「料金算出装置」について、
「料金算出装置は、基本使用料金算出部2010と、バッテリ充電電力量データ生成部2020と、追加料金算出部2030と、料金データ生成部2040とを含み、
基本使用料金算出部2010は、監視ユニット220からの情報に基づいて、使用電力に対する基本使用料金を算出するものであり、
バッテリ充電電力量データ生成部2020は、監視ユニット220からの情報、接続検出部230からの信号、通信アンテナ270を経由して受信したプラグイン車両100の情報に基づいて、電力供給装置200からメインバッテリ102に供給された電力量(以下、バッテリ充電電力量とも記載する)のデータを生成し、追加料金算出部2030に送信するものであり、
追加料金算出部2030は、プラグイン車両100の情報とバッテリ充電電力量データとに基づいて、メインバッテリ102の充電に使用された電力に対する追加料金を算出するものであり、追加料金は、電力の基本使用料金とは異なる料金であって、たとえば車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金(以下、走行電力税とも記載する)であり、車両走行用の道路整備などのインフラストラクチャ整備のための財源となるものであり、
料金データ生成部2040は、基本使用料金と追加料金とを合計した料金のデータ(以下、単に料金データとも記載する)を生成し、表示部250、通信アンテナ270、印字部260に送信するものであり、この料金データは、電力供給装置200のユーザから電力会社へ支払われる料金を示すデータであり、電力供給装置200のユーザが電力会社へ支払った料金のうち、追加料金は、上述した走行電力税として、電力会社から国あるいは地方自治体に納められるものであり、
これらの機能ブロックを有する制御装置は、ECU2000に含まれるCPU(Central Processing Unit)およびメモリとメモリから読み出されてCPUで実行されるプログラムとを主体としたソフトウェアで実現することが可能である」
ことが記載されている。
(か)上記(f)には、「料金算出装置」である「ECU2000」が実行するプログラムの制御構造について、
「料金算出装置であるECU2000が、バッテリ充電電力量データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、接続検出部230からの信号に基づいて、充電パドル24がコネクタ124に接続されたか否かを判断し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの車両情報を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、車両情報に含まれる車両IDに基づいて、プラグイン車両100が電力供給装置200からの電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断し、
ECU2000は、プラグイン車両100への電力供給を開始し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの電力供給終了要求を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データを生成し、このバッテリ充電電力量データには、プラグイン車両100へ供給された充電電力量に加えて、充電年月日、充電開始時刻、充電終了時刻、プラグイン車両100から受信した車両情報、および車両情報に基づいて算出される課金ランクが含まれ、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データをECU2000の内部メモリ(図示せず)に記憶し、ECU2000の内部に記憶されているバッテリ充電電力量データの一例として、生成されたバッテリ充電電力量データに対してデータNO.を付与し、過去のデータとともに記憶し、データNO.1からデータNO.3は、車両ID「002」(すなわちプラグイン車両100とは異なるハイブリッド車両)、車両タイプ「HV(ハイブリッド車両)」、課金ランク「B」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり、データNO.4は、車両ID「001」(すなわちプラグイン車両100)、車両タイプ「EV(電気自動車)」、課金ランク「A」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データである」
ことが記載されており、また、
「料金算出装置であるECU2000が、追加料金を算出して料金データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、使用電力に対する料金算出が要求されたか否かを判断し、なお、この料金算出の要求は、プラグイン車両100のユーザ、電力供給装置200のユーザ、および外部サーバ300のユーザ(たとえば電力会社、国、地方自治体など)のいずれのユーザからの要求であってもよく、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量を算出し、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量に対する基本使用料金を算出し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データに基づいて、追加料金を算出し、たとえば、ECU2000は、各バッテリ充電電力量データの充電電力量を合計し、合計した電力量と単位エネルギあたりの追加料金との積を追加料金として算出し、
ECU2000は、基本使用料金と追加料金とを層別した料金データを生成して料金データを記憶し、
ECU2000は、送信要求があるか否かを判断し、送信要求があると記憶された料金データを送信要求元(プラグイン車両100あるいは外部サーバ300)に送信する」
ことが記載されており、特に「外部サーバ300」のユーザが「国、地方自治体」であることも示されている。
(き)上記(h)には、「料金算出装置」が「電力供給装置200」の内部だけでなく、「電力供給装置200」の外部にある「外部サーバ300」に設けられてもよいことが記載されている。
ここで、「料金算出装置」を「外部サーバ300」に設けた場合を検討する。
上記(お)及び(か)によれば、該「料金算出装置」は「基本使用料金算出部2010」、「バッテリ充電電力量データ生成部2020」、「追加料金算出部2030」、及び「料金データ生成部2040」から構成され、「電力供給装置200」内部の「ECU2000」の機能ブロックとして構成されており、また、「ECU2000」自体は「電力供給装置200」の全体を制御しており、当該「ECU2000」における上記「料金算出装置」に係る機能ブロックのみを「外部サーバ300」に移動させた場合には、該「料金算出装置」での処理に必要な情報については「外部サーバ300」に提供する必要があることは明らかである。
そして、該「料金算出装置」での処理に必要な情報は、当該処理の基となるデータを生成する「バッテリ充電電力量データ生成部2020」において必要な情報であり、上記(お)によれば「監視ユニット220からの情報」と「プラグイン車両100の情報」などであり、具体的には「監視ユニット220」からの「配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間など」、及び、「プラグイン車両100」からの「車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量など」の情報であって、前記「監視ユニット220」は、「電力供給装置200」の内部に設けられ、「配電盤210」と接続されて上記情報を「ECU2000」に送信するものであり、また、前記「プラグイン車両100」からの情報は、「電力供給装置200」の「充電パドル24」と「コネクタ124」が接続された際に、「通信アンテナ270」を介して「プラグイン車両100」から「電力供給装置200」が受信するものであるから、上記「料金算出装置」での処理に必要なこれらの情報は、「電力供給装置200」から「外部サーバ300」へ送信することになる。
また、上記「電力供給装置200」から「外部サーバ300」へ送信されるこれらの情報は、「プラグイン車両100」の「蓄電装置」への充電の際に発生し、また、上記(か)で示すように、「料金算出装置」が、これらの情報に基づいて「バッテリ充電電力量データ」を生成し、過去の「バッテリ充電電力量データ」も含めて「料金算出装置」で管理していることから、これらの情報は「プラグイン車両100」の「蓄電装置」を充電する際に、また、各充電毎に送信されるとするのが相当である。
以上のことから、ここには、
「料金算出装置を外部サーバ300に設けた場合には、ECU2000により、料金算出装置での処理に必要となる配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などの情報、及び、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が、プラグイン車両100の蓄電装置を充電する際に、また、各充電毎に電力供給装置200から外部サーバ300へ送信される」
ことが記載されているといえる。
(く)以上の(あ)乃至(き)によれば、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「ガソリン税に相当する税金を、プラグイン車両への供給電力に対しても課すために、車両の走行エネルギとして使用される電力に対する追加料金を精度よく算出することができる料金算出方法を実現させるプログラムであって、
プラグイン車両100は、蓄電装置を搭載し、蓄電装置の電力を使用して走行する車両であり、プラグイン車両100は、蓄電装置に対して外部から充電が可能な構成を有しており、電力供給装置200からの電力により充電を行なうものであり、
また、プラグイン車両100は、車両情報記憶部130と、走行情報検出部140と、入力部150と、表示部160と、通信アンテナ170とを含み、車両情報記憶部130には、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が予め記憶され、ここで、車両IDは、プラグイン車両100を他の車両と識別するための固有情報であり、
電力供給装置200は、電力供給を許可した登録車両(たとえばプラグイン車両100)に充電ケーブル22を経由して電力を供給するものであり、プラグイン車両100と無線通信を行なうことが可能で、必要な情報を送受信するものであり、
また、電力供給装置200は、配電盤210と、充電ケーブル22と配電盤210との間に設けられたスイッチ212と、家電製品26のプラグが差し込まれるコンセント214と、監視ユニット220と、接続検出部230と、入力部240と、表示部250と、印字部260と、通信アンテナ270と、電力供給装置200の全体制御を行なうECU2000とを含むものであり、配電盤210は、電力会社の系統電源30に接続され、系統電源30から供給される電力をコンセント214を経由して家電製品26に供給するとともに、充電ケーブル22を経由してプラグイン車両100に供給し、監視ユニット220は、配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などをそれぞれ検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信し、通信アンテナ270は、プラグイン車両100および外部サーバ300と無線通信を行ない、プラグイン車両100および外部サーバ300から受信した情報をECU2000に送信し、また、ECU2000からの情報をプラグイン車両100および外部サーバ300に送信し、ECU2000は、コネクタ124に充電パドル24が接続された場合には、プラグイン車両100側から電力供給装置200側に充電要求があったものと認識し、スイッチ212を閉じるとともに、監視ユニット220に指令信号を送信して、配電盤210から充電ケーブル22への電力供給を開始させるものであり、
料金算出装置は、基本使用料金算出部2010と、バッテリ充電電力量データ生成部2020と、追加料金算出部2030と、料金データ生成部2040とを含み、
基本使用料金算出部2010は、監視ユニット220からの情報に基づいて、使用電力に対する基本使用料金を算出するものであり、
バッテリ充電電力量データ生成部2020は、監視ユニット220からの情報、接続検出部230からの信号、通信アンテナ270を経由して受信したプラグイン車両100の情報に基づいて、電力供給装置200からメインバッテリ102に供給された電力量(以下、バッテリ充電電力量とも記載する)のデータを生成し、追加料金算出部2030に送信するものであり、
追加料金算出部2030は、プラグイン車両100の情報とバッテリ充電電力量データとに基づいて、メインバッテリ102の充電に使用された電力に対する追加料金を算出するものであり、追加料金は、電力の基本使用料金とは異なる料金であって、たとえば車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金(以下、走行電力税とも記載する)であり、車両走行用の道路整備などのインフラストラクチャ整備のための財源となるものであり、
料金データ生成部2040は、基本使用料金と追加料金とを合計した料金のデータ(以下、単に料金データとも記載する)を生成し、表示部250、通信アンテナ270、印字部260に送信するものであり、この料金データは、電力供給装置200のユーザから電力会社へ支払われる料金を示すデータであり、電力供給装置200のユーザが電力会社へ支払った料金のうち、追加料金は、上述した走行電力税として、電力会社から国あるいは地方自治体に納められるものであり、
これらの機能ブロックを有する制御装置は、ECU2000に含まれるCPU(Central Processing Unit)およびメモリとメモリから読み出されてCPUで実行されるプログラムとを主体としたソフトウェアで実現することが可能であり、
ここで、料金算出装置であるECU2000が、バッテリ充電電力量データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、接続検出部230からの信号に基づいて、充電パドル24がコネクタ124に接続されたか否かを判断し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの車両情報を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、車両情報に含まれる車両IDに基づいて、プラグイン車両100が電力供給装置200からの電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断し、
ECU2000は、プラグイン車両100への電力供給を開始し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの電力供給終了要求を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データを生成し、このバッテリ充電電力量データには、プラグイン車両100へ供給された充電電力量に加えて、充電年月日、充電開始時刻、充電終了時刻、プラグイン車両100から受信した車両情報、および車両情報に基づいて算出される課金ランクが含まれ、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データをECU2000の内部メモリ(図示せず)に記憶し、ECU2000の内部に記憶されているバッテリ充電電力量データの一例として、生成されたバッテリ充電電力量データに対してデータNO.を付与し、過去のデータとともに記憶し、データNO.1からデータNO.3は、車両ID「002」(すなわちプラグイン車両100とは異なるハイブリッド車両)、車両タイプ「HV(ハイブリッド車両)」、課金ランク「B」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり、データNO.4は、車両ID「001」(すなわちプラグイン車両100)、車両タイプ「EV(電気自動車)」、課金ランク「A」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり、
また、料金算出装置であるECU2000が、追加料金を算出して料金データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、使用電力に対する料金算出が要求されたか否かを判断し、なお、この料金算出の要求は、プラグイン車両100のユーザ、電力供給装置200のユーザ、および外部サーバ300のユーザ(たとえば電力会社、国、地方自治体など)のいずれのユーザからの要求であってもよく、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量を算出し、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量に対する基本使用料金を算出し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データに基づいて、追加料金を算出し、たとえば、ECU2000は、各バッテリ充電電力量データの充電電力量を合計し、合計した電力量と単位エネルギあたりの追加料金との積を追加料金として算出し、
ECU2000は、基本使用料金と追加料金とを層別した料金データを生成して料金データを記憶し、
ECU2000は、送信要求があるか否かを判断し、送信要求があると記憶された料金データを送信要求元(プラグイン車両100あるいは外部サーバ300)に送信するものであり、
さらに、料金算出装置を外部サーバ300に設けた場合には、ECU2000により、料金算出装置での処理に必要となる配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などの情報、及び、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が、プラグイン車両100の蓄電装置を充電する際に、また、各充電毎に電力供給装置200から外部サーバ300へ送信される、プログラム。」

(1-2)原査定の拒絶の理由に引用された、特開2009-254052号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は当審において付加したものである。)
(i)「【0029】
(動作)
図2は、本実施例の充電サービスシステム1により実現される主要処理の流れの一例である実施例を示すフローチャートである。以下、図2を参照しつつ説明を行う。
【0030】
図2においてステップS21で、電力線5が、車両2の充電装置201に接続される。
【0031】
ステップS22に進み、管理サーバ302は、PLC経由で利用者認識装置204に対して利用者の情報の入力要求を行う。入力された利用者の情報は、利用者認識装置204から電力線5を介し、充電サービスステーション3側の管理サーバ302に送信される。管理サーバ302は、課金/認証サーバ4に対して利用者認証要求を行う。利用者認証に失敗すると処理は終了する。一方、利用者認証が成功すると次のステップに進む。なお、課金/認証サーバ4においては予め利用者の認証に関する情報、決済口座、利用者の携帯情報のメールアドレス(詳しくは後述する)などが登録されている。
【0032】
ステップS23に進み、管理サーバ302は、課金/認証サーバ4で利用者認証が成功すると電源供給装置301に充電許可を行い、車両2への充電が開始される。
【0033】
ステップS24に進み、充電が完了すると、管理サーバ302は、充電量及び充電量に応じた充電料金を計算する。
【0034】
ステップS25に進み、管理サーバ302は、ステップS24で計算された充電料金(の金額)を課金/認証サーバ4に課金するよう課金要求を行う。
【0035】
ステップS26に進み、課金/認証サーバ4は課金を行う。充電量に応じて課金された充電料金は、利用者に対して一定期間毎(例えば、1ヶ月毎)に後払いにより決済される。管理サーバ302は、課金/認証サーバ4からの課金完了通知を受けて、車両2に電力伝5を介して課金完了通知、充電料金(課金金額)、充電量など充電に関する情報の通知を行う。車両2のカーナビ203は、表示部等にこれらの情報を表示(通知)する。」
上記(i)の記載から、引用例2には以下の技術(以下、「引用例2記載技術」という。)が記載されている。
「車両への充電料金を課金/認証サーバに課金するように課金要求を行った際に、該課金/認証サーバから課金完了通知を受ける技術」

(2)対比
そこで、本願発明と引用発明とを比較する。
(ア)引用発明の「プラグイン車両100は、蓄電装置を搭載し、蓄電装置の電力を使用して走行する車両であり、プラグイン車両100は、蓄電装置に対して外部から充電が可能な構成を有しており、電力供給装置200からの電力により充電を行なうものであり」との記載によれば、「プラグイン車両100」は、「蓄電装置を搭載し、蓄電装置の電力を使用して走行する車両」であって、この「蓄電装置」はいわゆる電力を蓄えるためのバッテリであり、当該バッテリの電力を使用して走行する車両であることから電動移動体といえるものである。
そうすると、引用発明の「プラグイン車両100」及び「蓄電装置」は、本願発明の「バッテリを搭載した電動移動体」及び「電力を蓄えるためのバッテリ」に相当する。
(イ)引用発明の「プラグイン車両100は、蓄電装置に対して外部から充電が可能な構成を有しており、電力供給装置200からの電力により充電を行なうものであり」及び「電力供給装置200は、電力供給を許可した登録車両(たとえばプラグイン車両100)に充電ケーブル22を経由して電力を供給するものであり、プラグイン車両100と無線通信を行なうことが可能で、必要な情報を送受信するものであり、また、電力供給装置200は、配電盤210と、充電ケーブル22と配電盤210との間に設けられたスイッチ212と、家電製品26のプラグが差し込まれるコンセント214と、監視ユニット220と、接続検出部230と、入力部240と、表示部250と、印字部260と、通信アンテナ270と、電力供給装置200の全体制御を行なうECU2000とを含むものであり、配電盤210は、電力会社の系統電源30に接続され、系統電源30から供給される電力をコンセント214を経由して家電製品26に供給するとともに、充電ケーブル22を経由してプラグイン車両100に供給し、監視ユニット220は、配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などをそれぞれ検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信し、通信アンテナ270は、プラグイン車両100および外部サーバ300と無線通信を行ない、プラグイン車両100および外部サーバ300から受信した情報をECU2000に送信し、また、ECU2000からの情報をプラグイン車両100および外部サーバ300に送信し、ECU2000は、コネクタ124に充電パドル24が接続された場合には、プラグイン車両100側から電力供給装置200側に充電要求があったものと認識し、スイッチ212を閉じるとともに、監視ユニット220に指令信号を送信して、配電盤210から充電ケーブル22への電力供給を開始させるものであり」との記載によれば、「電力供給装置200」は、「配電盤210」と「監視ユニット220」を備えており、該「配電盤210」は、「電力会社の系統電源30に接続され、系統電源30から供給される電力を」「充電ケーブル22を経由してプラグイン車両100に供給」することにより、「蓄電装置」の充電を行うものである。
また、前記「監視ユニット220」は、「配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などをそれぞれ検出し、検出結果を表わす信号をECU2000に送信」するものであり、要するに「プラグイン車両100」の「蓄電装置」へ充電した「電力の使用量」を検出して「ECU2000」に送信するものである。
そうすると、引用発明の「プラグイン車両100」の「蓄電装置」へ充電した「電力の使用量」は、本願発明の「前記バッテリに充電した充電量の情報」に相当するものである。
(ウ)引用発明の「ここで、料金算出装置であるECU2000が、バッテリ充電電力量データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、接続検出部230からの信号に基づいて、充電パドル24がコネクタ124に接続されたか否かを判断し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの車両情報を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、車両情報に含まれる車両IDに基づいて、プラグイン車両100が電力供給装置200からの電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断し、
ECU2000は、プラグイン車両100への電力供給を開始し、
ECU2000は、通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの電力供給終了要求を受信したか否かを判断し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データを生成し、このバッテリ充電電力量データには、プラグイン車両100へ供給された充電電力量に加えて、充電年月日、充電開始時刻、充電終了時刻、プラグイン車両100から受信した車両情報、および車両情報に基づいて算出される課金ランクが含まれ、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データをECU2000の内部メモリ(図示せず)に記憶し、ECU2000の内部に記憶されているバッテリ充電電力量データの一例として、生成されたバッテリ充電電力量データに対してデータNO.を付与し、過去のデータとともに記憶し、データNO.1からデータNO.3は、車両ID「002」(すなわちプラグイン車両100とは異なるハイブリッド車両)、車両タイプ「HV(ハイブリッド車両)」、課金ランク「B」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり、データNO.4は、車両ID「001」(すなわちプラグイン車両100)、車両タイプ「EV(電気自動車)」、課金ランク「A」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり」との記載によれば、「ECU2000」はプログラム制御により、「接続検出部230からの信号に基づいて、充電パドル24がコネクタ124に接続されたか否かを判断し」、「通信アンテナ270を経由してプラグイン車両100からの車両情報を受信したか否かを判断し」、「車両情報に含まれる車両IDに基づいて、プラグイン車両100が電力供給装置200からの電力供給が許可された登録車両であるか否かを判断し」、「プラグイン車両100への電力供給を開始」するものである。
なお、「プラグイン車両100」から受信される「車両情報に含まれる車両ID」は、「車両情報記憶部130には、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が予め記憶され、ここで、車両IDは、プラグイン車両100を他の車両と識別するための固有情報であり」との記載から、「プラグイン車両100を他の車両と識別するための固有情報」である。
また、上記「ECU2000は、バッテリ充電電力量データを生成し、このバッテリ充電電力量データには、プラグイン車両100へ供給された充電電力量に加えて、充電年月日、充電開始時刻、充電終了時刻、プラグイン車両100から受信した車両情報、および車両情報に基づいて算出される課金ランクが含まれ」、及び、上記「ECU2000は、バッテリ充電電力量データをECU2000の内部メモリ(図示せず)に記憶し、ECU2000の内部に記憶されているバッテリ充電電力量データの一例として、生成されたバッテリ充電電力量データに対してデータNO.を付与し、過去のデータとともに記憶し、データNO.1からデータNO.3は、車両ID「002」(すなわちプラグイン車両100とは異なるハイブリッド車両)、車両タイプ「HV(ハイブリッド車両)」、課金ランク「B」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり、データNO.4は、車両ID「001」(すなわちプラグイン車両100)、車両タイプ「EV(電気自動車)」、課金ランク「A」の車両に供給されたバッテリ充電電力量データであり」によれば、「バッテリ充電電力量データ」として、「車両ID」と「プラグイン車両100へ供給された充電電力量」を対応付けて記憶するものであり、この「車両ID」は充電対象である「プラグイン車両100」を「他の車両と識別するための固有情報」である。
そうすると、引用発明の充電対象である「蓄電装置」を搭載した「プラグイン車両100」の「車両ID」は、本願発明の「当該バッテリを搭載した電動移動体の識別情報」に相当するものである。
(エ)引用発明の「ガソリン税に相当する税金を、プラグイン車両への供給電力に対しても課すために、車両の走行エネルギとして使用される電力に対する追加料金を精度よく算出することができる料金算出方法を実現させるプログラムであって」との記載によれば、引用発明は、一般にガソリンを購入した際に課税されるガソリン税に相当する税金を、プラグイン車両への供給電力に対して課すものであり、車両の走行エネルギとして使用される電力に対する追加料金を精度よく算出するというものである。
また、引用発明の「料金算出装置は、基本使用料金算出部2010と、バッテリ充電電力量データ生成部2020と、追加料金算出部2030と、料金データ生成部2040とを含み」との記載、「追加料金算出部2030は、プラグイン車両100の情報とバッテリ充電電力量データとに基づいて、メインバッテリ102の充電に使用された電力に対する追加料金を算出するものであり、追加料金は、電力の基本使用料金とは異なる料金であって、たとえば車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金(以下、走行電力税とも記載する)であり、車両走行用の道路整備などのインフラストラクチャ整備のための財源となるものであり」との記載によれば、引用発明の「料金計算装置」における「追加料金算出部2030」が、「プラグイン車両100の情報とバッテリ充電電力量データとに基づいて、メインバッテリ102の充電に使用された電力に対する追加料金を算出する」ものであり、この「バッテリ充電電力量データ」には上記(ウ)で示したように「車両ID」と「プラグイン車両100へ供給された充電電力量」が含まれ、また、当該「追加料金」は上記ガソリン税に相当し、車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金である。
(オ)引用発明の「また、料金算出装置であるECU2000が、追加料金を算出して料金データを生成する際に実行するプログラムの制御構造について、
ECU2000は、使用電力に対する料金算出が要求されたか否かを判断し、なお、この料金算出の要求は、プラグイン車両100のユーザ、電力供給装置200のユーザ、および外部サーバ300のユーザ(たとえば電力会社、国、地方自治体など)のいずれのユーザからの要求であってもよく、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量を算出し、
ECU2000は、監視ユニット220からの情報に基づいて、総使用電力量に対する基本使用料金を算出し、
ECU2000は、バッテリ充電電力量データに基づいて、追加料金を算出し、たとえば、ECU2000は、各バッテリ充電電力量データの充電電力量を合計し、合計した電力量と単位エネルギあたりの追加料金との積を追加料金として算出し、
ECU2000は、基本使用料金と追加料金とを層別した料金データを生成して料金データを記憶し、
ECU2000は、送信要求があるか否かを判断し、送信要求があると記憶された料金データを送信要求元(プラグイン車両100あるいは外部サーバ300)に送信するものであり」との記載によれば、「外部サーバ300」のユーザとして「国、地方自治体」が含まれ、算出された「追加料金」、すなわちガソリン税に相当し、車両の走行エネルギとして電力を使用したユーザに課せられる税金を「国、地方自治体」をユーザとする「外部サーバ300」に送信しており、「国、地方自治体」はこの「追加料金」に基づいて「プラグイン車両100」のユーザに対する課税を行うことになるのは明らかであることから、当該「外部サーバ300」は課税のためのサーバ、すなわち課税サーバであるといえる。
そうすると、引用発明の「外部サーバ300」は、本願発明の「充電量に応じた額の税を課す課税サーバ」に相当する。
(カ)引用発明の「さらに、料金算出装置を外部サーバ300に設けた場合には、ECU2000により、料金算出装置での処理に必要となる配電盤210から家電製品26に供給される電力と、配電盤210から充電ケーブル22に供給される電力(すなわちプラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力)とを層別して、それらの電力の使用量、使用年月日、使用時刻、使用時間などの情報、及び、車両ID、車両タイプ、車両サイズ、車両重量などの情報が、プラグイン車両100の蓄電装置を充電する際に、また、各充電毎に電力供給装置200から外部サーバ300へ送信される」との記載によると、「料金計算装置」を「電力供給装置200」ではなく、「外部サーバ300」に設けることが示されており、その際には「ECU2000」のプログラム制御により「プラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力」についての「電力の使用量」と「車両ID」の情報を、「外部サーバ300」へ送信するものであることから、引用発明も「外部サーバ300」に対して、「車両ID」と「プラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力」についての「電力の使用量」の情報を送信する情報送信機能を備えているといえる。
なお、「プラグイン車両100のメインバッテリ102の充電電力」についての「電力の使用量」と「車両ID」は、「電力供給装置200」に接続し、「プラグイン車両100」の「蓄電装置」を充電する際に、また、各充電毎に送信される情報である。
そして、上記(ア)乃至(オ)についても考え合わせると、本願発明と引用発明とは、後記する点で相違するものの、
「電力を蓄えるためのバッテリを充電する際、充電量に応じた額の税を課す課税サーバに対して当該バッテリを搭載した電動移動体の識別情報及び前記バッテリに充電した充電量の情報を送信する情報送信機能」
を備える点で共通する。
(キ)以上(ア)乃至(カ)から、本願発明と引用発明は、
「電力を蓄えるためのバッテリを充電する際、充電量に応じた額の税を課す課税サーバに対して当該バッテリを搭載した電動移動体の識別情報及び前記バッテリに充電した充電量の情報を送信する情報送信機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
本願発明は「前記課税サーバから、前記情報送信機能により送信された前記電動移動体の識別情報及び前記充電量の情報に基づいて実行される課税処理の完了通知を受信する情報受信機能」を備えているのに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

(3)当審の判断
上記相違点の「前記課税サーバから、前記情報送信機能により送信された前記電動移動体の識別情報及び前記充電量の情報に基づいて実行される課税処理の完了通知」について、本願の明細書には例えば「【0108】課税サーバ20は、電動移動体50から充電量の情報m2、及び電子署名σ4を受信すると、電子署名σ4を用いて充電量の情報m2の正当性を検証する(S142)。例えば、課税サーバ20は、電動移動体50の公開鍵pk1を利用する署名検証アルゴリズムVerに自身が持つ充電開始許諾M2、充電量の情報m2、及び電子署名σ4を入力して署名検証を行う。充電開始許諾M2、充電量の情報m2、電子署名σ4が受理された場合、課税サーバ20は、識別情報IDev、管理番号M1、充電量の情報m2を関連付けて記録する(S144)。」、「【0109】次いで、課税サーバ20は、課税処理の完了を示す完了通知M3を生成する(S146)。この完了通知M3は、例えば、充電量の情報m2を含む電子文書である。次いで、課税サーバ20は、完了通知M3に基づく電子署名σ5を生成する(S148)。例えば、課税サーバ20は、自身の秘密鍵sktを利用する署名生成アルゴリズムSigに完了通知M3を入力して電子署名σ5を生成する。次いで、課税サーバ20は、完了通知M3、及び電子署名σ5を電動移動体50に送信する(S150)。」(なお、上記「識別情報IDev」は、「【0097】・・・この識別情報IDevは、個々の電動移動体50に固有のID情報である。そのため、課税サーバ20は、識別情報IDevに基づいて電動移動体50の所有者(課税対象)を特定することができる。」と記載されていることから、本願発明の「電動移動体の識別情報」を意味するものである。)と記載されており、ここでの「課税処理の完了」は、「電動移動体の識別情報」及び「充電量の情報」を関連付けて記録する処理の完了を意味するものであり、当該記録の完了を「完了通知」とするものである。
つまり、上記相違点に係る構成は、課税サーバから「電動移動体の識別情報」及び「充電量の情報」の記録完了の通知を受信する情報受信機能を備えるものも含まれる。
これに対し、引用発明でも「課税サーバ」である「外部サーバ300」の「料金算出装置」における「バッテリ充電電力量データ生成部2020」では、上記(ウ)で示したように「バッテリ充電電力量データ」として、「車両ID」と「プラグイン車両100へ供給された充電電力量」を対応付けて記憶していることから、当該処理も本願発明でいう「前記情報送信機能により送信された前記電動移動体の識別情報及び前記充電量の情報に基づいて実行される課税処理」に相当することは明らかである。
また、一般に、サーバに対して処理対象のデータを送信して処理依頼を行う場合に、サーバにおける処理が正常に完了したことをサーバから要求元に通知することは、通信技術における単なる周知技術であるし、また、上記引用例2記載技術で示すように課金処理の場合に「車両への充電料金を課金/認証サーバに課金するように課金要求を行った際に、該課金/認証サーバから課金完了通知を受ける技術」も知られている。
してみれば、引用発明においても「電力を蓄えるためのバッテリを充電する際、充電量に応じた額の税を課す課税サーバに対して当該バッテリを搭載した電動移動体の識別情報及び前記バッテリに充電した充電量の情報を送信」した際に、「課税サーバ」から「前記情報送信機能により送信された前記電動移動体の識別情報及び前記充電量の情報に基づいて実行される課税処理」が正常に完了したことを「完了通知」として受信する構成を付加することは、上記周知技術及び引用例2記載技術に基づいて当業者であれば容易に想到し得たことである。
そして、上記相違点を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2記載技術、及び周知技術の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、引用例2記載技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
そして、本願発明の作用効果も、引用発明、引用例2記載技術、及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

4.むすび
以上のとおり、請求項13に係る発明は、引用発明、引用例2記載技術、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-10 
結審通知日 2015-07-14 
審決日 2015-07-27 
出願番号 特願2009-285441(P2009-285441)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 小田 浩
金子 幸一
発明の名称 電動移動体、課税サーバ、駆動管理方法、プログラム、充電装置、及びホームバッテリ  
代理人 亀谷 美明  

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