• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 B24B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B24B
管理番号 1305421
審判番号 不服2015-264  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-06 
確定日 2015-09-28 
事件の表示 特願2011-191923「エアースピンドルユニットにおけるスピンドルのロック装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 52472、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、 平成23年9月2日に出願したものであって、平成26年6月24日付けで拒絶理由が通知され、同年8月20日付けで手続補正がなされたが、同年10月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年1月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年1月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という)の適否

1 補正後の発明

本件補正は、平成26年8月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1を、

「【請求項1】
先端に回転ブレード用の着脱部を設けたスピンドルと、
前記スピンドルをラジアルエアーベアリング及びスラストエアーベアリングを介して回転可能に支受させるスピンドルハウジングと、
前記スピンドルを回転駆動させるモータ部と、
前記スピンドルのロック及びロック解除機構とを備えたエアースピンドルユニットにおけるスピンドルのロック装置であって、
前記ロック及びロック解除機構は、
前記回転ブレード着脱部の近傍位置となる前記スピンドルハウジングの外周に形成した止着面と、
前記スピンドルハウジングの止着面に対して着脱可能に装着させる挟圧固定部を有するロック装置本体と、
前記回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のフランジ部材と、
前記フランジ部材の基部の外周に形成した止着面と、
前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材とを含み、
また、前記ロック装置本体と前記スピンドルハウジングとは、ロック装置本体の挟圧固定部をスピンドルハウジングの止着面に挟着させることにより、前記ロック装置本体をスピンドルハウジングに対して挟圧状に固定させることができるように設定し、
更に、前記ロック装置本体と前記スピンドルハウジングとを挟圧状に固定させたとき、前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを挟圧状に固定させることによって前記スピンドルを確実にロックすることができ、
前記スピンドルを回転させる場合には、前記ロック装置本体の挟圧固定部と前記スピンドルハウジングの止着面とを離脱させること、及び、前記ロック装置本体のロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを離脱させることによって、前記スピンドルのロック状態を確実に解除することができるように設定して構成したことを特徴とするエアースピンドルユニットにおけるスピンドルのロック装置。」

と補正するものである。(下線は補正箇所を示したものであり、請求人が付したもの)

2 補正の適否

本件補正は、補正前の請求項1に係る発明の特定事項である「ロック及びロック解除機構」について、「スピンドルを回転させる場合には、前記ロック装置本体の挟圧固定部と前記スピンドルハウジングの止着面とを離脱させること、及び、前記ロック装置本体のロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを離脱させることによって、前記スピンドルのロック状態を確実に解除する」等の構成の限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

3 引用刊行物及びその記載事項

(1)本件出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開2004-281700号公報(以下「刊行物1」という)には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は理解の便のため当審にて付与)。

(1-ア)
「【0022】
ブレード22は、例えば、リング形状を有する極数の切削砥石である。かかるブレード22は、例えば、フランジ21により両側より挟持された状態で、スピンドル24に軸設される。また、スピンドル24は、例えば、モータ(図示せず。)などの回転駆動力をブレード22に伝達するための回転軸であり、装着されたブレード22を例えば30000rpmで高速回転させることができる。」

(1-イ)
「【0025】
また、このような切削ユニット20においては、図2に示すように、例えば、スピンドルハウジング26の一側面にロック機構50が設けられている。かかるロック機構50は、本実施形態にかかる回転制限部として構成されており、スピンドル24をロックして、その回転を制限することができる。このロック機構50の詳細については後述する。」

(1-ウ)
「【0029】
以下に、かかるフランジ21を用いて、ブレード22をスピンドル24に装着する手順例について説明する。
【0030】
まず、ブレード22を第1フランジ21aに嵌め、次いで、第2フランジ21bを第1フランジ21aに嵌合させて、双方の間にブレード22を挟み込む。さらに、ナット40を第1フランジ21aのフランジ雄ねじ部21cに螺合して締め付けることにより、ブレード22は第1フランジ21aと第2フランジ21bによって挟持・固定される。
【0031】
次いで、ブレード22を挟持しているフランジ21(即ち、第1フランジ21a及び第2フランジ21b)の中心孔21dに、スピンドル24の先端部24bを挿通する。その後、例えば、ボルト27をスピンドル24の雌ねじ部24aに螺合して締め付ける。このボルト27の締め付け作業は、例えば、ボルト27の頭に形成された六角穴27aにトルクレンチ(図示せず。)などを挿入し、このトルクレンチをボルト27が螺入する方向に回転させることによって行われる。
【0032】
このボルト27の締結により、略テーパ形状の先端部24bがフランジ21の中心孔21dに十部に押入されて、双方が密接するので、フランジ21がスピンドル24に安定的に固定される。以上のようにして、フランジ21に挟持されたブレード22が、スピンドル24に軸着される。
【0033】
なお、上記のように、図3の例の切削ユニット20は、スピンドル24に形成された雌ネジ部24aに螺合するボルト27を用いて、ブレード22を挟持するフランジ21をスピンドル24に固定するボルトタイプの切削ユニットである。しかし、切削ユニット20は、かかる例に限定されず、例えば、スピンドル24に形成された雄ネジ部(図示せず。)に螺合するナット(図示せず。)を用いて、ブレード22を挟持するフランジ21をスピンドル24に固定するナットタイプの切削ユニットであってもよい。
【0034】
このようにスピンドル24に対して、装着されたブレード22を交換するときには、例えば、上記ナット40を弛緩して第1フランジ21aから螺脱した上で、第2フランジ21bを取り外してブレード22を交換した後、再度ナット40を螺合させて締結する必要がある。なお、このナット40の締結/弛緩作業は、例えば、後述するブレード脱着装置を用いて行われる。また、フランジ21ごとブレード22を交換するときには、例えば、上記ボルト27を弛緩させてスピンドル24の雌ねじ部24aから螺脱した上で、ブレード22及びフランジ21を交換した後、再度ボルト27を螺合させて締結する必要がある。
【0035】
しかし、このとき、スピンドル24が自由に回転したのでは、ナット40またはボルト27を好適に締結/弛緩できない。従って、スピンドル24を固定して回転不能とする必要がある。
【0036】
そこで、本実施形態では、例えば、切削ユニット20に、スピンドル24を必要に応じてロックするロック装置50が設けられている。これにより、上記のようなブレード22及び/又はフランジ21の脱着時におけるナット40またはボルト27の締結/弛緩作業などを、確実、迅速かつ容易に行うことができる。」

(1-エ)
「【0038】
図4に示すように、スピンドルハウジング26は、その内周面に、例えば2つのラジアルエアベアリング262a、262bと、例えば1つのスラストエアベアリング262c(以下では、これらをベアリング262と総称する場合もある。)を備える。」

(1-オ)
「【0048】
以上のような構成のロック装置50は、例えば、供給されたエアの布勢力を利用して、スピンドル24の係合孔58に対して係止部材52を挿入することにより、スピンドル24が回転しないようにロックすることができる。また、エアの供給が停止された場合には、バネ部材56の弾性力を利用して、係止部材52を係合孔58から抜脱することにより、スピンドル24のロックを解除することができる。即ち、ロック装置50は、エアの供給をON/OFFするだけで、係止部材52を係合孔58に対して挿抜して、スピンドル24のロック開閉を自動的に行うことができる。」

(1-カ)
「【0104】
また、上記実施形態にかかる回転制限部は、上記ロック装置50として構成されていたが、かかるロック装置50の例に限定されない。例えば、回転制限部は上記スピンドル24の回転を制限することができる構成であれば、多様に設計変更可能である。例えば、回転制限部は、上記係止部材52を手動で係合孔58に挿抜するようなロック装置として構成されもよい。また、回転制限部の設置位置は、上記のように切削ユニット20のスピンドルハウジング26に限定されず、ダイシング装置10内の任意の位置に設置されてもよい。」

(2)本件出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である実願昭48-141138号(実開昭50-85893号)のマイクロフィルム(以下「刊行物2」という)の明細書第1頁第14行?第15行、第3頁第11行?第4頁第10行には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は理解の便のため当審にて付与)。

(2-ア)
「本考案は、ディスクグラインダのといし取替治具に関するものである。」

(2?イ)
「といしを取替えるには第2図に示す如く本体(A)の頭部を後受板(4)の保持片(8)(8)’間に挿入して起立せしめ、同時にグラインダのといし受金(B)を前受板(3)で支承せしめ、係合、突起(6)をといし受金(B)の外周端部に設けられている掛止溝(B)’に係合させる。かくてグラインダ本体(A)は保持片(8)(8)’によりその回動を拘束されて後受板(4)上に保持される。またといし受金(B)は前受板(3)に回転することなく支えられる。そして、この状態でアレンレンチ(E)をもってといし押え金(D)を外せばよい。」

(2-ウ)
「以上の如く本考案は、安定した台板上に所要高さの脚を立設し、その脚上に、といし受金係止用の前受板と、グラインダ本体保持用の後受板とを所定間隔をおいて対向立設せしめたため、この治具にディスクグラインダ本体を挿し込むだけの簡単な操作で、従来の如く全て人手によることなくといし受金の回転を拘束でき、その結果といしの取替えは非常に円滑に行い得、作業性の向上に顕著である。」

(3)引用発明
ア 上記記載事項(1-ア)には、ブレードが回転することが記載されている。

イ 上記記載事項(1-ウ)には、スピンドル側のフランジからブレードを螺脱し、交換した後、ブレードを固定する際にスピンドルの回転を制限すること、フランジは回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のものであることが記載されている。

ウ 上記記載事項(1-エ)のように、スピンドルは、ラジアルエアベアリング及びスラストエアベアリングを介して回転可能に支受されているので、刊行物1には「エアースピンドルユニット」が示唆されている。

エ 上記記載事項(1-オ)のように、ロックを解除することが記載されていることから、刊行物1にはロック解除機構を有していること、ロックが解除されれば、スピンドルが回転可能になることが示唆されている。

オ 上記記載事項(1-カ)には、回転制限部の設置位置は、上記のように切削ユニット20のスピンドルハウジング26に限定されず、ダイシング装置10内の任意の位置に設置されてもよいことが記載されている。

カ そして、上記ア?オを総合すると、刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。

「先端に回転ブレード22用の着脱部を設けたスピンドル24と、スピンドルをラジアルエアベアリング262a、262b及びスラストエアベアリング262cを介して回転可能に支受させるスピンドルハウジング26と、スピンドルを回転駆動させるモータと、スピンドル24のロック装置及びロック解除機構とを備えたエアースピンドルユニットにおけるスピンドルのロック装置において、回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のものであるフランジからブレードを螺脱し、交換した後、ブレードを固定する際に、スピンドルの回転を制限する部材の位置を任意とすること」(以下「引用発明」という)

(4)刊行物2記載の事項
上記(2-ア)?(2?ウ)を総合すると、刊行物2には以下の発明が記載されていると認められる。
「安定した台板上に立設された脚上に、といし受金係止用の前受板と、グラインダ本体保持用の後受板とを所定間隔をおいて対向立設せしめ、前記係止は、前受板に設けた突起を、といし受金の外周端部に設けた掛止溝に係合させるものであり、前記保持は、グラインダ本体が保持片によりその回動を拘束されて後受板上に保持されるものであるといし取替治具」(以下「刊行物2記載の事項」という)

4 当審の判断
(1)対比

補正発明と引用発明とを比較する。

ア 引用発明の「先端に回転ブレード22用の着脱部を設けたスピンドル24」、「スピンドルを回転駆動させるモータ」、「回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のフランジ」及び「スピンドル24のロック装置及びロック解除機構」は、その機能からみて、それぞれ、補正発明の「先端に回転ブレード用の着脱部を設けたスピンドル」、「スピンドルを回転駆動させるモータ部」、「回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のフランジ部材」及び「スピンドルのロック及びロック解除機構」に相当する。

イ 引用発明の「ラジアルエアベアリング262a、262b」及び「スラストエアベアリング262c」は、それぞれ、補正発明の「ラジアルエアーベアリング」及び「スラストエアーベアリング」に相当するので、引用発明の「スピンドルをラジアルエアベアリング262a、262b及びスラストエアベアリング262cを介して回転可能に支受させるスピンドルハウジング26」は、補正発明の「スピンドルをラジアルエアーベアリング及びスラストエアーベアリングを介して回転可能に支受させるスピンドルハウジング」に相当する。

そうすると、両者は、

<一致点>

「先端に回転ブレード用の着脱部を設けたスピンドルと、
前記スピンドルをラジアルエアーベアリング及びスラストエアーベアリングを介して回転可能に支受させるスピンドルハウジングと、
前記スピンドルを回転駆動させるモータ部と、
前記回転ブレード着脱部に対して固着させる回転ブレード着脱用のフランジ部材と、
前記スピンドルのロック及びロック解除機構とを備えた装置。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>

「ロック及びロック解除機構」が、補正発明では「前記回転ブレード着脱部の近傍位置となる前記スピンドルハウジングの外周に形成した止着面と、
前記スピンドルハウジングの止着面に対して着脱可能に装着させる挟圧固定部を有するロック装置本体と、
前記フランジ部材の基部の外周に形成した止着面と、
前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材とを含み、
また、前記ロック装置本体と前記スピンドルハウジングとは、ロック装置本体の挟圧固定部をスピンドルハウジングの止着面に挟着させることにより、前記ロック装置本体をスピンドルハウジングに対して挟圧状に固定させることができるように設定し、
更に、前記ロック装置本体と前記スピンドルハウジングとを挟圧状に固定させたとき、前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを挟圧状に固定させることによって前記スピンドルを確実にロックすることができ、
前記スピンドルを回転させる場合には、前記ロック装置本体の挟圧固定部と前記スピンドルハウジングの止着面とを離脱させること、及び、前記ロック装置本体のロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを離脱させることによって、前記スピンドルのロック状態を確実に解除することができるように設定して構成した」のに対して、引用発明ではそのような構成ではない点。

(2)相違点について
ア 相違点の「前記回転ブレード着脱部の近傍位置となる前記スピンドルハウジングの外周に形成した止着面と、前記スピンドルハウジングの止着面に対して着脱可能に装着させる挟圧固定部を有するロック装置本体と、」及び「前記ロック装置本体と前記スピンドルハウジングとは、ロック装置本体の挟圧固定部をスピンドルハウジングの止着面に挟着させることにより、前記ロック装置本体をスピンドルハウジングに対して挟圧状に固定させることができる」という点については、スピンドルハウジングに止着面を設け、止着面に対してロック装置本体の挟圧固定部を挟着させることによりロックすることを意味している。
しかしながら、刊行物2に記載された事項では、グラインダ本体を後受板上に保持するものではあるものの、グラインダ本体に止着面を形成しておらず、また、後受板をグラインダ本体に対して挟圧状に固定するものではない。この点、刊行物2に記載された事項では、「グラインダ本体が保持片によりその回動を拘束されて後受板上に保持される」とされてはいるものの、後受板の機能、作用は非回転部分であるグラインダ本体の保持とされ(2-ウ参照)、回転部材であるといし受金の掛止溝と前受板の係合突起との係合によって回転部分の拘束(=ロック)がなされる(2-イ参照)と見られることから、脚上を介して、前受板による回転拘束の効果を受けるものに過ぎない。したがって、刊行物2では、後受板がロック装置のロックに寄与した構成を有しているとは認められない。

イ また、相違点の「前記フランジ部材の基部の外周に形成した止着面と、前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材とを含み、」及び「前記ロック装置本体に立設させたロックプレート部材と前記フランジ部材の基部の止着面とを挟圧状に固定させることによって前記スピンドルを確実にロックすることができ」るという点については、フランジ部材の外周に止着面を形成し、ロックプレート部材をそれに挟圧状に固定させることを意味している。
この点、刊行物2に記載された事項では、前受板に設けた突起を、といし受金の外周端部に設けた掛止溝に係合させることにより、といし受金を前受板でロックするものであり、補正発明の、フランジ部材の外周に止着面を形成することとロックを果たす点では共通するものの、機能を奏するために採用した態様の点では前受板はといし受金を挟圧状に固定するものではない。

また、拒絶査定時に周知の技術として引用された特開平1-315018号公報の第2頁左下欄第18行-右下欄第12行、第1図にも記載されているように、回転を制限するための部材の外周面に平面部を形成し、その平面部を挟持部材で挟持することは周知の技術事項ではある。
しかしながら、刊行物2記載の事項では、後受板はグラインダ本体を単に保持するものであり、回転の拘束は、治具中の「安定した台板」が固定端となり、「前受金」と協働して発揮に至ると見るべきであって、補正発明のロックは台板を用いることなく行われるのであるから、補正発明は、引用発明に刊行物2記載の事項を適用する際に単に上記周知の技術事項を適用したものであるということはできない。

以上より、補正発明は、引用発明、刊行物2記載の事項及び上記周知の技術事項から、当業者が容易に発明をすることができたものということができない。

5 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。

そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-08-31 
出願番号 特願2011-191923(P2011-191923)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B24B)
P 1 8・ 575- WY (B24B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 智樹  
特許庁審判長 栗田 雅弘
特許庁審判官 西村 泰英
齋藤 健児
発明の名称 エアースピンドルユニットにおけるスピンドルのロック装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ