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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C09D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C09D
管理番号 1305524
審判番号 不服2014-13283  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-08 
確定日 2015-09-07 
事件の表示 特願2010-154147「メタリック塗料組成物及び塗膜形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月26日出願公開、特開2012- 17364〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年7月6日の出願であって、平成26年1月6日付けの拒絶理由の通知に対して、同年3月17日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年4月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年7月8日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

2.本願発明の認定
平成26年7月8日付けの手続補正書は、特許請求の範囲において、補正前の請求項1を削除し、補正前の請求項2ないし6を、補正後の請求項1ないし5に繰り上げるものであるから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。
したがって、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成26年7月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
半透明な鱗片状基材を金属酸化物で被覆した鱗片状干渉顔料を2種類以上含有する塗料組成物であって、該鱗片状干渉顔料として、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料又は金属酸化物被覆マイカ顔料と、酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料とを含み、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料又は金属酸化物被覆マイカ顔料と、酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料との、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度の差Δhが90?180度の範囲内であるメタリック塗料組成物。」

3.引用例に記載の事項
(3-1)原査定の拒絶の理由において引用文献4として引用された特開2001-164190号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の記載がある。
(ア)
「【請求項1】(1)アルミニウムフレーク顔料、(2)金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料および/または金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、および(3)ビヒクルを含有し、前記(1)および(2)を、(1)/(2)=90/10?20/80(質量比)の比率で含有する光輝性塗料組成物。」

(イ)
「【0008】金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料
本発明の光輝性塗料組成物は、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料および/または金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料を含んでいる。まず金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料について説明する。金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナの粒子感を塗膜に付与するものである。上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、酸化アルミニウム(A1_(2)O_(3))をFe_(2)O_(3)、TiO_(2)、SnO_(2)、ZrO_(2)等の金属酸化物により被覆したもので、長径の平均粒度が3?60μm、好ましくは5?30μm、厚みが0.1?0.8μm、好ましくは0.2?0.4μmのものである。また、表面平滑性が高く、粒度分布がシャープなものは反射した光による散乱を少なくすることができるので好ましい。さらに、粒子径/厚みで表わされるアスペクト比が20以上の薄片状アルミナフレーク顔料の表面を金属酸化物で被覆した場合には、彩度の高い光輝感を呈する顔料となり、これを用いた塗膜は、ハイライトおよびシェードの位置からともに、従来のマイカ粉では得られなかった彩度の高く粒子の強い輝きを有する粒子感を呈し、新しい印象を表現できる。上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、被覆する金属酸化物の種類・量(被覆厚)を調整することで、所望の色相を得ることができる。このような金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料としては、例えば、メルク・ジャパン社より販売されている「SDA-SILVER WIII」(商品名)等のSDAシリーズが、挙げられる。」

(ウ)
「【0010】金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料
本発明の光輝性塗料組成物に含まれる金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料は、ガラスフレークの粒子感を付与するもので、この粒子感は、上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料のアルミナの粒子感に比べると、より一層輝度感が強い。上記金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料は、ガラスフレークの表面に酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物を被覆した光輝性顔料である。 ガラスフレーク顔料は、金属酸化物が被覆された状態での平均粒子径が、好ましくは10μm以上で、80μm未満、より好ましくは10?60μmである。平均粒子径が10μm未満では、干渉色効果を発現する光輝感を呈することができ難く、80μm以上では塗膜外観不良を生じる。厚みは、0.1?10μm、好ましくは0.1?5μmである。厚みが0.1μm未満では、塗料サーキュレーション時に、過大のシェアがかかり、上記光輝性顔料に変形・破壊が発生し経時的に塗料が変色する不具合が生じ、10μmを超えると塗膜外観が低下する恐れがある。上記金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料が発現する干渉色は、被覆する金属酸化物の量(被覆厚)を調整することで、変化させることができる。これを用いた塗膜は、上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と同様にハイライトおよびシェードの位置からともに、彩度の高く粒子の強い輝きを有する粒子感を呈し、新しい印象を表現できる。これらの金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料として、EXTERIORMEARLIN FIREMISTシリーズ(エンゲルハード社製)等が市販されている。」

(エ)
「【0012】含有比率
本発明の光輝性塗料組成物における(1)アルミニウムフレーク顔料および(2)金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料または金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料の含有比率は、(1)/(2)=90/10?20/80(質量比)である。好ましくは上記(1)/(2)=80/20?40/60(質量比)である。(1)/(2)が90/10を超えると((1)が多すぎると)、シェード部での粒子感のある意匠を呈することができず、20/80未満では((1)が少なすぎると)、塗膜の隠蔽性が不十分となる。なお金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とを併用した場合には、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料との質量比は、90/10?50/50が好ましく、より好ましくは90/10?60/40である。この範囲に設定することにより、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の金属的な粒子感と金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料のガラスの粒子感との相乗効果を得ることができる。」

(オ)
「【0036】実施例1?8、比較例1?3
基材の調製
ダル鋼板(長さ300mm、幅100mmおよび厚さ0.8mm)を燐酸亜鉛処理剤(「サーフダインSD2000」、日本ペイント社製)を使用して化成処理した後、カチオン電着塗料(「パワートップU-50」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付けた後、中塗塗料(「オルガS-90シーラーグレー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けて中塗塗膜を形成し、基材とした。
【0037】光輝性塗料組成物の調製
アクリル樹脂(スチレン/メチルメタクリレート/エチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合体、数平均分子量約20000、水酸基価45、酸価15、固形分50質量%)と、メラミン樹脂(「ユーバン20SE」、三井化学社製、固形分60質量%)とを80:20の固形分質量比で配合して得たビヒクルに対しアルミニウムフレーク顔料(「アルペーストMH-8801」、旭化成工業社製)、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料(「SDA SILVER WIII」、メルク社製)および金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料(「EXTERIOR MEARLIN FIREMIST」、エンゲルハード
社製)を、また必要により着色顔料を表1に示す種類および割合で配合した。次いで、有機溶剤(トルエン/キシレン/酢酸エチル/酢酸ブチルの質量比=70/15/10/5)とともに攪拌機により塗装適正粘度になるように攪拌混合し、光輝性塗料組成物を調製した。
【0038】光輝性塗膜の形成
基材の被塗面に、先に得た光輝性塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように塗装した。塗装は静電塗装機(「Auto REA」、ABBインダストリー社製)を用い、霧化圧2.8kg/cm^(2)で行った。塗装中のブースの雰囲気は温度25℃、湿度75%に保持した。塗装後3分間セッティングし、クリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmになるように塗装し、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付けた。得られた塗膜の隠蔽性および意匠性を下記評価方法で評価した。結果を表1に示す。使用したクリヤー塗料は、アクリル/メラミン樹脂系クリヤー塗料1(「スーパーラックO-130クリヤー」、日本ペイント社製)または、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するクリヤー塗料2(「マックフローO-520クリヤー」、日本ペイント社製)の2種類である。評価結果を表1に示す。
【0039】評価方法
隠蔽性:白黒隠蔽紙に膜厚を変えて塗装し焼き付け、目視で白黒境界が区別できなくなる乾燥膜厚(μm)で評価した。
意匠性:試験板を斜め(シェード部)から見たときの粒子感を目視で評価した。
5…金属酸化物被覆アルミナフレークと金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料の粒子感が複合されたより深みのある意匠が発現
4…金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料の粒子感があり、深みのある意匠が発現
3…金属酸化物被覆アルミナフレークの粒子感があり、深みのある意匠が発現
2…粒子感があるが、深みがあるとは認められない意匠が発現
1…上記粒子感が認められず、深みがあるとはいえない意匠が発現
【0040】
【表1】

【0041】表1の結果から明らかのように、本実施例1?8は、本発明の光輝性塗料組成物を用いた塗膜形成方法により塗膜を形成したもので、形成される塗膜は隠蔽性があり、シェード部でのアルミナフレークおよび/またはガラスフレークの粒子感のある意匠を呈し、深みのある色調を呈する光輝性塗膜を得ることができた。一方、比較例は、本発明の必須成分であるアルミニウムフレーク顔料を含んでいないため隠蔽性が得られず、意匠も目的の意匠を発現しない結果となった。」

(3-2)原査定の拒絶の理由において引用文献7として引用された特開2001-232285号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の記載がある。
(カ)
「【請求項1】ビヒクルと、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、着色マイカ顔料、干渉マイカ顔料、着色アルミニウム顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料および金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料から選ばれた少なくとも1種類の光輝性顔料とを含有する光輝性ベース塗料組成物であって、前記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料のマンセル表示系における色相H_(1)が、マンセル色相環100に対し前記光輝性顔料の色相H_(2)を0とし、左廻り+50、右廻り-50で表示した際に、+25?+50または-25?-50の色相範囲にある光輝性ベース塗料組成物を基材に塗装して光輝性ベース塗膜層を形成し、このベース塗膜層の上に、ビヒクルと、着色顔料とを含有するカラークリヤー塗料組成物であって、前記着色顔料のマンセル表示系における色相H_(3)が、マンセル色相環100に対し前記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相H_(1)を0とし、左廻り+50、右廻り-50で表示した際に、H_(1)-10≦H_(3)≦H_(1)+10の色相範囲にあるカラークリヤー塗料組成物を塗装してカラークリヤー塗膜層を形成することを特徴とする光輝性複層塗膜の形成方法。」

(キ)
「【0022】上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、被覆する金属酸化物の種類・被覆厚を調整することで、所望の色相を得ることができる。金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相H_(1)を、マンセル表示系における色相で、マンセル色相環100に対し併用する光輝性顔料の色相H_(2)を0とし、左廻り+50、右廻り-50で表示した際に+25?+50、または-25?-50、好ましくは+33?+50、または-33?-50の色相範囲に設定することにより、併用する光輝性顔料との相互の発色が生じ、3次元の立体的な光輝感を発現することが可能となる。この立体的な光輝感とは、本発明で使用する光輝性ベース塗料組成物から得られる塗膜において、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と光輝性顔料とのうち、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相が浮き上がったかのような立体感が視認される現象をいう。」

(ク)
「【0048】光輝性塗膜の形成
基材の被塗面に、先に得た光輝性ベース塗料組成物を乾燥膜厚が15μmになるように塗装した。塗装は静電塗装機(「Auto REA」、ABBインダストリー社製)を用い、霧化圧2.8kg/cm^(2)で行った。塗装中のブースの雰囲気は温度25℃、湿度75%に保持した。塗装後3分間セッティングし、カラークリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmになるように塗装し、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付けた。得られた塗膜のキラキラ感、および立体感を下記方法で評価した。結果を表1に示す。
【0049】評価方法
<キラキラ感>試験板をほぼ真正面(ハイライト部)から見たときの金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料粒子のキラキラした感じと見る角度を動かしたときのキラキラした粒子の連動した動きを目視で評価した。
3…キラキラした感じおよびキラキラした粒子の連動した動きが顕著にある
2…キラキラした感じおよびキラキラした粒子の連動した動きが少しある
1…キラキラした感じおよびキラキラした粒子の連動した動きがない
<立体感>塗膜形成後の塗膜中の金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と光輝性顔料のうち、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相が浮き上がったかのような立体感として視認される現象を目視で評価した。
3…立体感が顕著にある
2…立体感がある
1…立体感がない
【0050】

【0051】各顔料配合量は、塗料固形分100質量部に対する固形分質量部とした。
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の種類:
A1;ゴールド発色酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料「XirallicT60-20WIII Sunbeam Gold」(メルク社製)
A2;グリーン発色酸化チタン被覆アルミナフレーク顔料「XirallicT60-24WIII Stellar Green」(メルク社製)
B;レッド発色酸化鉄被覆アルミナフレーク顔料「Xirallic F60-51WIII Radiant Red」(メルク社製)
【0052】光輝性顔料の種類:
B;酸化チタン被覆ブルーマイカ顔料:「IRIODIN225WII」(メルク社製)
R1;酸化鉄被覆レッドマイカ顔料:「IRIODIN504WII」(メルク社製)
R2;着色(レッド)アルミニウムフレーク顔料:「フレンドカラーF500RE」(昭和アルミニウム社製)
G;酸化チタン被覆グリーンマイカ顔料:「IRIODIN235WII」(メルク社製)
【0053】着色顔料の種類:
A;(エロー色:イソインドリンエロー)
B;(グリーン色:フタロシアニングリーン)
C;(レッド色:ペリレンレッド)
ΔHaは、光輝性顔料の色相を基準とした金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相差。ΔHbは、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相を基準とした着色顔料の色相差。
【0054】
【発明の効果】本発明の光輝性複層塗膜の形成方法によって形成した塗装物は、光輝性ベース塗料中の金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と光輝性顔料との色相差を規定することによって、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料が有する多方面反射によるキラキラした光輝感に加えて、立体的な光輝感を発現させることが可能となった。そして、さらに、カラークリヤー塗料中の着色顔料と上記金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料との色相差を規定することによって、3次元的立体感を一層高めた塗膜を形成することができるようになった。なお、本発明により得られる塗膜は強靭であり、透明感のある立体感に優れた独特のキラキラ感を呈するため、自動車、二輪車等の乗物外板、容器外面、コイルコーティング、家電業界等の光輝性が要求される塗装物において好ましく使用される。」

(3-3)原査定の拒絶の理由において引用文献9として引用された特表2008-546880号公報(以下、「引用例3」という。)には、以下の記載がある。
(ケ)
「【請求項1】
<1μm、特に20nm?400nmの平均厚さを有する板状ガラス基材、及び
(a)高い屈折率を有する誘電体、特に金属酸化物、又は
(a)金属層、特に薄い半透明な金属層
を含む顔料。
【請求項2】
ガラス基材がECRガラスからなる、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
(b)低い屈折率の金属酸化物をさらに含み、屈折率の差が少なくとも0.1である、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
高い屈折率の金属酸化物が、TiO_(2)、ZrO_(2)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、ZnO又はこれらの酸化物の混合物又はチタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン又はこれらの化合物の混合物及び/又は混合相である、請求項3記載の顔料。
【請求項5】
低い屈折率の金属酸化物が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlOOH、B_(2)O_(3)又はそれらの混合物であり、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物がさらなる成分として含まれることができる、請求項1?4のいずれか1項記載の顔料。
【請求項6】
ガラスコアが、20?220nm、特に50?220nmの平均厚さを有する、請求項1?5いずれか1項記載の顔料。
【請求項7】
Al_(2)O_(3)/TiO_(2)もしくはMgO/TiO_(2)の混合層又は誘電層/金属層/誘電層を含む、請求項1、2又は6記載の顔料。
【請求項8】
ガラスフレークが、高い屈折率の金属酸化物、特にTiO_(2)の均質なコーティング及び大きな厚さ分布(ガラスフレークの大きなガウス厚さ分布)を有する、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項9】
ガラスフレークを、一つ以上の金属酸化物により、対応する水溶性金属化合物の加水分解による湿式法でコートし、そのようにして得られた顔料を分離し、乾燥し、場合によってはか焼することによる、あるいは
ガラスフレークを、金属化合物の存在で水性及び/又は有機溶媒含有媒体中に懸濁させ、還元剤の添加によって金属化合物をガラスフレークに付着させることによる、請求項1記載の干渉顔料を製造する方法。
【請求項10】
塗料、インクジェット印刷における、織物を浸染するための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラスのための釉薬を着色するための、請求項1?8のいずれか1項記載の顔料の使用。
【請求項11】
請求項1?8のいずれか1項記載の顔料で着色された塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミックス及びガラス。」

(コ)
「【0082】
本発明の顔料が干渉顔料(効果顔料)である場合、本発明の顔料は、ゴニオクロマチック(goniochromatic)であり、鮮やかで高彩度の(光沢のある)色を生じさせる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどとの組み合わせに非常に適し、透明顔料が効果顔料と類似した色を有することが可能になる。しかし、たとえばEP-A-388932又はEP-A-402943と同様に、透明顔料の色と効果顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組み合わせ効果が得られる。」

(サ)
「【0090】
有機材料を着色するためには、本発明の効果顔料を単独で使用してもよい。しかし、異なる色相又は色効果を達成するために、本発明の効果顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白、有色、黒又は効果顔料を高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料が本発明の効果顔料と混合して使用される場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて好ましくは0.1?10重量%である。本発明の効果顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られ、効果顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で20?340、特に150?210の色相差(△H^(*))を示す。」

(3-4)原査定の拒絶の理由において引用文献10として引用された国際公開第2008/135383号(以下、「引用例4」という。)には、以下の記載がある(引用例4の日本語訳を記載する。訳文は、対応日本国公報である特表2010-525125号公報によるものであり、引用例4の段落番号も併せて記載した。)。
(シ)第16頁第12?20行
「【0076】
本発明による顔料が、干渉顔料(効果顔料)である場合に、それらは、ゴニオクロマティックであってよく、かつ輝く、より高い飽和(光沢のある)色をもたらす。それらは、従って、通常の透明顔料、例えば有機顔料、例えばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノン等との組合せに、非常に特に好適であり、その際、透明顔料のために、効果顔料と同一の色を有することが可能である。しかしながら、透明顔料の色及び効果顔料の色が相補的である場合に、特に興味深い組合せの効果が、例えばEP-A-388 932号又はEP-A-402 943号に類似して得られる。」

(ス)第18頁第3?14行
「【0084】
有機材料の着色の目的のために、本発明による効果顔料が、単独で使用されてよい。しかしながら、種々の色相又は色彩効果を得るために、あらゆる所望の量の他の色付与成分、例えば白、有色の黒又は効果顔料を、高分子量の有機物質に、さらに本発明による効果顔料に添加することも可能である。着色された顔料が、本発明による効果顔料と混合して使用される場合に、その合計量は、高分子量の有機材料に対して、有利には0.1?10質量%である。特に高いゴニオクロミック性(goniochromicity)は、効果顔料を使用して製造された着色、及び10°の測定角度で、20?340、特に150?210の色相(ΔH^(*))における差を有する着色された顔料を使用して製造された着色で、本発明による効果顔料と、他の色の、特に補色の着色された顔料との好ましい組合せによって提供される。」

(3-5)本願出願前、審判請求人自身によって公知にされた特開平08-218009号公報(以下、「引用例5」という。)には、以下の記載がある。
(セ)
「【請求項1】 干渉色顔料を2種以上含有させてなる塗料であって、該干渉色顔料が、色相環を100分割し、右回り+50、左回り-50で表示したとき、その1つの干渉色顔料の色相を0にした場合、残りの干渉色顔料の少なくとも1種の色相が+40?+50および-40?-50の範囲内に含まれるものであることを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】 干渉色塗料およびクリヤ塗料を塗装してなる複層塗膜において、該干渉色塗料が、干渉色顔料を2種以上含有させてなる塗料であって、該干渉色顔料が、色相環を100分割し、右回り+50、左回り-50で表示したとき、その1つの干渉色顔料の色相を0にした場合、残りの干渉色顔料の少なくとも1種の色相が+40?+50および-40?-50の範囲内に含まれるものである塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜形成方法。」

(ソ)
「【0003】従来、かかる干渉顔料は塗料に1種もしくは2種以上併用して塗料に配合されていた。特に2種以上併用するケースでは、一般に反射色が同一もしくは近似色のものを選んで使用されていた。その理由として、干渉色顔料本来の効果を最大限に引き出せ彩度の高い色が設計できるということがあげられる。
【0004】しかしながら、同一もしくは近似色の干渉顔料を併用すると、角度による見え方の変化が大きすぎ、例えば正反射(ハイライト)部分に対して非正反射(シェイド)部分では補色がでる。また、得られる干渉色は粒子感が弱いなどの欠陥があった。」

(タ)
「【0014】本発明では干渉色顔料としてそれ自体既知のものが使用できる。例えば、雲母、雲母状酸化鉄またはグラファイトなどから選ばれたりん片状粒子の表面を、酸化チタン(TiO_(n) nは1?2の小数を含む実数である)またはFe_(2 )O_(3) などの金属酸化物で被覆したものがあげられる。このうち、酸化チタンで被覆したりん片状雲母粒子が好ましい。」

(チ)
「【0033】
【発明の効果】
1.本発明の塗料組成物において併用する干渉色顔料の組合せが上記要件のうち、特に補色もしくはそれに近いほど、ハイライト面での干渉効果がマイルドになる。すなわち、干渉色顔料特有の連続面での発色が減じ、粒子感のある干渉色として見える。
【0034】2.上記のように補色もしくはそれに近いほど、干渉色が各種混ざって見えるので、多色感効果が得られる。
【0035】3.2種以上の干渉色顔料を補色もしくはそれに近い組合せで併用することにより、干渉色顔料特有のカラーフロップが減じ、角度による見え方がマイルドになった。
【0036】4.上記効果は、酸化チタンで被覆したりん片状雲母粒子を使用すると顕著に得られる。」

(ツ)
「【0038】1)実施例1?2および比較例1?4
表2に示した成分を混合して第1発明に相当する塗料組成物(干渉色塗料)を調製した(第1発明相当)
【0039】
【表2】

【0040】表2において
アクリル樹脂溶液は水酸基含有アクリル樹脂の50%溶液。
【0041】メラミン樹脂溶液はブチル化メラミン樹脂の60%溶液。
【0042】カーボンブラックは、「カーボンブラックFW-200」商品名、デグサ社製。
【0043】フタロシアニンブルーは、「Paliogen Blue L-7080」商品名、BASF社製。実施例1および2の塗膜は光輝性粒子が複数の様々な発色を示すが、比較例のものはいずれも1つの干渉色しか示さない。
【0044】2)実施例3?4および比較例5?8
表2に示した塗料組成物(干渉色塗料)およびクリヤ塗料を表3に示した工程で塗装して複層塗膜を形成した(第2発明相当)。
【0045】
【表3】

【0046】クリヤ塗料としてアクリル樹脂/メラミン樹脂系有機溶剤塗料を使用し、上記塗料組成物の未硬化塗膜面(膜厚は硬化塗膜として25μ、以下同様)に、硬化塗膜として40μになるように塗装し、140℃で30分加熱して両塗膜を硬化させた。
【0047】得られた複層塗膜の意匠効果について観察したところ、実施例1および2の塗膜は光輝性粒子が複数の様々を発色し、多色性を示すが、比較例のものはいずれも1つの干渉色しか示さず、実施例に比べて意匠性が十分でなかった。」

(3-6)特開2009-069138号公報(以下、「引用例6」という。)には、以下の記載がある。
(テ)
「【0002】
自動車の塗装などに汎用されるメタリック塗装やパールカラー塗装(本発明ではこれらをまとめてメタリック塗装と表現し、その塗装により得られる塗膜をメタリック塗膜という)は、その塗膜(すなわちメタリック塗膜)内に光輝性顔料と呼ばれるアルミフレーク顔料やパールマイカフレーク顔料(以下ではこれらを単にフレーク状顔料という)を単一もしくは複数種含み、メタリック感やパール感を呈する。これらのメタリック塗膜ではフレーク状顔料の表面からの光の反射により金属光沢感を伴った独特の外観を示すが、その反射光を生じる直接の因子であるフレーク状顔料の塗膜内における配向性や分散性が塗膜外観に大きく影響する。そして、フレーク状顔料の分散性や配向性を支配する要因としては、塗料の設計(すなわち塗料の組成や粘度等)に起因する場合や塗料の保管状態、また塗装システムの形態などを種々挙げることができる。」

(ト)
「【0029】
一方、上記入射光軸3は、上記測定点2における法線8に対して40°以上50°以下の入射角(後述の受光角と区別するために入射角はマイナスの符号を付した数値で表現する場合がある)を有するようにして入射させることが好ましい(図1参照)。これは、法線に対して互いに対称な入射受光の関係となる正反射の幾何学条件のうち45°が最も目視と相関のある角度であるためである。
【0030】
さらに、上記入射光軸3は、上記測定点2における法線8に対して45°の入射角を有し、受光光軸4は、上記測定点2における法線8に対して0°より大きく45°以下の受光角を有するようにすることが好適である。これは、目視で評価する際の観察が主に鏡面反射(正反射)近傍のハイライトとよばれる領域での評価で行なわれることに対応するためである。受光角が0°未満となる場合(すなわち受光光軸が法線より入射光軸側に傾く場合)は、反射光が小さくなり過ぎそれから得られる情報も小さくなることから精度が悪くなる。受光角が45°を超えると上記のハイライト領域に準じた情報となるため0°から45°の範囲から測定値を得られればそれで充分であるので、一般的な測色機または反射強度測定ができる装置では受光角が45°を超えて測定する設計はあまり存在しない。上記受光角は、より好ましくは20°以上40°以下の範囲とすることが好適である。目視と良く対応している領域だからであり、目視で観察する場合もその範囲の外観に良く違いが認められるからである。」

(ナ)




4.引用例に記載の発明
(4-1)引用例1に記載の発明
(A)上記(ア)、(エ)及び(オ)の実施例1,4,7,8より、引用例1には、「(1)アルミニウムフレーク顔料、(2)金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料および金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、および(3)ビヒクルを含有する光輝性塗料組成物」が記載されているといえる。

(B)上記(イ)より、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、被覆する金属酸化物の種類・量(被覆厚)を調整することで、所望の色相を得ることができる」とともに、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料としては、例えば、メルク・ジャパン社より発売されている…SDAシリーズ」を用い得るところ、例えば、特開2000-313827号公報の【0022】によると、SDAシリーズにゴールド色(有彩色)のものもあることからして、引用例1には、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料として、有彩色の顔料を選択する」ことで所望の色相を得ることも記載されているといえる。
(なお、特開2000-313827号公報の【0022】には、「このような金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料としては、例えば、メルク・ジャパン社より販売されている、「SDA-GOLD W-3」(商品名)等のSDAシリーズが、挙げられる。」と記載されている。)

(C)上記(ウ)より、引用例1には、「ガラスフレーク顔料を被覆する金属酸化物として、酸化チタンを選択する」ことが記載されているといえる。

(D)上記(ウ)より、「金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料として、EXTERIORMEARLIN FIREMISTシリーズ(エンゲルハード社製)」を用い得るところ、当該シリーズに有彩色の顔料が含まれていることは明らかであるから(必要であれば、特開2001-232282号公報の【0040】参照。ここではグリーン色の顔料が用いられている。)、引用例1には、「金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料として有彩色の顔料を選択する」ことが記載されているといえる。

(E)上記(エ)及び(オ)の特に【0040】【表1】の実施例1、4、7、8より、引用例1には、「(2)として、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料および酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料を併用すること」が具体的に記載されているといえる。

(F)上記(B)、(D)より、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料として、有彩色の顔料を選択した実施形態について、有彩色の顔料同士の間には必ず何らかの色相角度の差Δh(例えば、塗膜に対して45度から照射した光を正反射に対して25度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度の差Δh)が存在するから、引用例1には、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料との、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光した時のL*C*h表色系における色相角度の差Δhが存在する」ことが記載されているといえる。

上記(ア)ないし(オ)の記載事項および上記(A)ないし(F)の検討事項より、引用例1には、
「(1)アルミニウムフレーク顔料、(2)金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料および酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料、および(3)ビヒクルを含有し、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料との、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光した時のL*C*h表色系における色相角度の差Δhが存在する光輝性塗料組成物。」(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

(4-2)引用例2に記載の発明
(G)上記(キ)、(ク)より、引用例2には、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相H_(1)を、マンセル表示計における色相で、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料を含む選択肢から選ばれた少なくとも1種の光輝性顔料の色相H_(2)を0とし、左廻り+50、右廻り-50で表示した際に+25?+50、または-25?-50の色相範囲に設定することにより、試験板をハイライト部から見たときのキラキラした感じと見る角度を動かした時のキラキラした粒子の連動した動きを顕著にする」ことが記載されているといえる。
そして、上記色相範囲は、色相環一周を100とした場合の数値であるところ、これを一周360度として算出し直すと、「+90?+180度、または-90?-180度」となることは明らかである。

上記(カ)ないし(ク)の記載事項および上記(G)の検討事項より、引用例2には、
「ビヒクルと、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料を含む選択肢から選ばれた少なくとも1種の光輝性顔料とを含有する光輝性ベース塗料組成物において、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相H_(1)を、マンセル表示計における色相で、光輝性顔料の色相H_(2)を0とした際に90?180度の色相範囲に設定することにより、試験板をハイライト部から見たときのキラキラした感じと見る角度を動かした時のキラキラした粒子の連動した動きを顕著にする塗料組成物。」(以下、「引用例2記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

(4-3)引用例3に記載の発明
(H)上記(ケ)より、引用例3には、「ガラスフレークがTiO_(2)の均質なコーティングを有する顔料で着色された塗料」が記載されているといえる。

(I)上記(コ)、(サ)より、引用例3には、「本発明の干渉顔料(効果顔料)と有色顔料とを混合して使用する場合、特に補色の有色顔料との組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られるとともに、このとき、効果顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で、特に150?210の色相差(ΔH^(*))を示す」ことが記載されているといえる。
そして、「150?210の色相差(ΔH^(*))」は、「180?210度」が「-180?-150度」とも表せるから、「±150?±180度の色相差(ΔH^(*))」となることは明らかである。

上記(ケ)ないし(サ)の記載事項および上記(H)、(I)の検討事項より、引用例3には、
「ガラスフレークがTiO_(2)の均質なコーティングを有する効果顔料と有色顔料で着色された塗料において、効果顔料を使用して得られる着色と、10度の計測角で、±150?±180度の色相差(ΔH^(*))を示す有色顔料を使用して得られる着色を組み合わせることで、高い角度依存呈色性が得られる塗料。」(以下、「引用例3記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

(4-4)引用例4に記載の発明
上記(シ)、(ス)の記載事項および上記(I)の検討事項より、引用例4には、
「効果顔料と着色された顔料とで製造される着色において、効果顔料を使用して得られる着色と、10度の計測角で、150?180度の色相(ΔH^(*))における差を示す、着色された顔料を使用して得られる着色を組み合わせることで、高いゴニオクロミック性を得られる顔料の組合せ。」(以下、「引用例4記載の発明」という。)が記載されているものと認められる。

(4-5)引用例5に記載の発明
(J)上記(セ)、(タ)及び(ツ)より、引用例5には、「鱗片状粒子の表面を酸化チタンなどの金属酸化物で被覆した干渉色顔料を2種以上含有させてなる塗料であって、該干渉色顔料が、色相環を100分割し、右回り+50、左回り-50で表示したとき、その1つの干渉色顔料の色相を0にした場合、残りの干渉色顔料の少なくとも1種の色相が+40?+50および-40?-50の範囲内に含まれる塗料組成物」が記載されているといえる。
そして、「+40?+50および-40?-50の範囲」は、色相環一周を100とした場合の数値を一周360度として算出し直すと、「+144?+180度および-144?-180度」となることは明らかである。

(K)上記(チ)より、引用例5には、上記組成物について、「1.粒子感のある干渉色として見える、2.多色感効果が得られる、3.角度による見え方がマイルドである、という効果が得られる」ことが記載されているといえる。

(L)上記(ソ)より、引用例5には、「干渉顔料を2種以上併用する場合に、同色もしくは近似色のものを選んだ場合、彩度を高くすることができるが、角度による見え方の変化が大きすぎ、また、得られる干渉色は粒子感が弱いなどの欠点がある」ことが記載されているといえる。

上記(セ)ないし(チ)の記載事項および上記(J)ないし(L)の検討事項より、引用例5には、
「鱗片状粒子の表面を酸化チタンなどの金属酸化物で被覆した干渉色顔料を2種以上含有させてなる塗料において、該干渉色顔料が、その1つの干渉色顔料の色相を0にした場合、残りの干渉色顔料の少なくとも1種の色相が144?180度の範囲内に含まれることで、粒子感のある干渉色、角度による見え方の変化がマイルド、という効果が得られる塗料組成物。」(以下、「引用例5記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(4-6)引用例6に記載の発明
(M)上記(テ)ないし(ナ)より、引用例6には「塗膜を目視で評価する際の観察が主に鏡面反射(正反射)近傍のハイライトとよばれる領域での評価で行われることに対応するため、塗膜を測色の際、入射光軸は測定点における法線に対して45°の入射角を有し、受光光軸は、上記測定点における法線に対して0°より大きく45°以下の受光角を有するようにすることが好適であり、上記受光角は、より好ましくは20°以上40°以下の範囲とすることが好適である」ことが記載されているということができる。
そして、入射角が法線に対して45°である場合に、受光角が法線に対して「20°以上40°以下の範囲」というのは、正反射光に対して、「5°以上25°以下の範囲」になることは明らかである。

上記(M)より、引用例6には、
「ハイライトとよばれる領域での塗膜の測色の際、入射光軸は測定点における法線に対して45°の入射角を有し、受光光軸は、上記入射光の正反射光に対して5°以上25°以下の範囲とすること。」が記載されていると認められる。

5.対比・判断
○引用例1記載の発明の「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料」、「酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料」は、上記(イ)、(ウ)より、アルミナ又はガラスのフレーク(鱗片状基材)の表面に金属酸化物を被覆した光輝性顔料であるところ、アルミナやガラスは(半)透明であり、そのような基材が金属酸化物で被覆された光輝性顔料は、干渉色を発することは、例えば、引用例1の【0002】に記載されている周知事項であるから、引用例1記載の発明の「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料」、「酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料」が「半透明な鱗片状基材を金属酸化物で被覆した鱗片状干渉顔料」であることは自明である(なお、本願明細書【0008】に、「アルミナフレークは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。」と記載されており、また、ガラスフレークは一般に透明と解されるので、本願発明において、透明と半透明は厳密に使い分けられておらず、要は、不透明でない、といった程度の意味合いで用いられているものと解される。)。
そして、引用例1記載の発明では、「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料」と「酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料」の2種類を用いていることから、引用例1記載の発明も、「鱗片状干渉顔料を2種類含有する塗料組成物」である。

○引用例1記載の発明の「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料」、「酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料」は、本願発明の「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料」、「酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料」に相当する。

上記より、本願発明と引用例1記載の発明とは、
「半透明な鱗片状基材を金属酸化物で被覆した鱗片状干渉顔料を2種類含有する塗料組成物であって、該鱗片状干渉顔料として、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料とを含み、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料との、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度の差Δhが存在するメタリック塗料組成物。」という点で一致し、以下の点で相違している。
<相違点>
「金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、酸化チタン被覆ガラスフレーク顔料との、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度の差Δh」につき、本願発明では、「90?180度の範囲内である」ことが特定されているのに対して、引用例1記載の発明では、具体的な範囲が特定されていない点。

上記<相違点>について検討する。
当該相違点に係る技術事項である、塗料組成物に配合する複数の顔料の色相角度差を90?180度の範囲内にすることは、上記引用例2ないし5記載の発明でも採用されている周知技術である(引用例2記載の発明では「ハイライト部から見たときのキラキラした感じと見る角度を動かした時のキラキラした粒子の連動した動きを顕著にする」ために、引用例3、4記載の発明では「高い角度依存呈色性(ゴニオクロミック性)を得る」ために、引用例5記載の発明では、「粒子感のある干渉色、角度による見え方の変化がマイルド、という効果を得る」ために、それぞれの発明で、複数の顔料の色相角度差を90?180度の範囲内に調整しているが、いずれもハイライト部からシェード部にかけて観察角度を変えた際の意匠性を良好にしようとしている点で共通している。)。つまり、複数の着色顔料を含有する塗料組成物において、顔料の色相角度の差Δhとして補色の組み合わせを選択することは、当業者にとって周知技術である。
そして、引用例1記載の発明を実施するに際し、意匠性の好適化という周知の課題に基づいて、周知技術(引用例2ないし5記載の発明)の適用を想到することは当業者にとって造作もないことである。

また、上記引用例1の(オ)の「意匠性:試験板を斜め(シェード部)から見た時の粒子感を目視で評価した。
5…金属酸化物被覆アルミナフレークと金属酸化物ガラスフレーク顔料の粒子感が複合されたより深みのある意匠が発現」との評価方法からして、引用例1記載の発明は、シェード部の位置からでも粒子感を呈し、より深みのある意匠を発現させることを作用効果とするものであるところ、上記(4-2)に示したとおり、引用例2記載の発明は、「ビヒクルと、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料と、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料を含む選択肢から選ばれた少なくとも1種の光輝性顔料とを含有する光輝性ベース塗料組成物において、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の色相H_(1)を、マンセル表示計における色相で、光輝性顔料の色相H_(2)を0とした際に90?180度の色相範囲に設定することにより、併用する光輝性顔料との相互の発色が生じ、試験板をハイライト部から見たときのキラキラした感じと見る角度を動かした時のキラキラした粒子の連動した動きを顕著にする塗料組成物。」であり、これは、ハイライト部からシェード部まで見る角度を動かしてもキラキラした粒子の連動した動きが続くことを示すものである、つまり、金属酸化物被覆アルミナフレークと金属酸化物ガラスフレーク顔料の色相角度差を90?180度の補色の関係に調整することで、シェード部においても粒子感を良好にし得ることは公知技術である。
よって、引用例1記載の発明で求められる作用効果と公知技術(引用例2記載の事項)が有する作用効果との間にシェード部における良好な粒子感を得るという点で関連性が存することが理解され、したがって、引用例1記載の発明及び公知技術(引用例2記載の事項)を組み合わせることに、技術分野の同一性の他、作用効果の同一性という動機付けの存在も肯定されるから、引用例1記載の発明に公知技術(引用例2記載の事項)を組み合わせることは、当業者が容易になし得ることである。

ここで、引用文献5の【0017】に「干渉色顔料の色相は、正反射方向での干渉による反射色に基づ」いて測定されると記載されているように、顔料の色相は一般に正反射光を用いてハイライト部での値が測定されるところ、本願発明では、「塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度」で測定していることから、これらの測定条件の異同による色相角度の測定対象の異同について確認する。
上記(4-6)より、「ハイライトとよばれる領域での測色の際、入射光軸は測定点における法線に対して45°の入射角を有し、受光光軸は、上記入射光の正反射光に対して5°以上25°以下の範囲とす」れば良いことが知られているから、本願発明で、「塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して25度からの反射光を受光」するとは、ハイライト部での測色をすることに他ならない。すなわち、本願発明でも、引用文献5記載の発明でも、ハイライト部における色相角度を測色対象としている点で相違するものでない。そして、通常、測色は、ハイライトで行うことが多いことからして、引用例2ないし4記載の発明でも、この点で相違するものとは解されない。

したがって、相違点に係る本願発明の発明特定事項を構成することは、引用例1記載の発明および上記周知技術(引用例2ないし5記載の発明)ないし公知技術(引用例2記載の事項)に基いて当業者であれば容易になし得ることである。

次に、本願発明の作用効果について検討する。
本願明細書の「本発明の目的は、全体に高彩度で、粒子感があり、深み感に優れる塗膜を形成可能なメタリック塗料組成物」(【0004】)の提供にあるところ、実施例では、「彩度(ハイライト?シェードにおける鮮やかさ)、粒子感(観測角度を変えるとキラキラと輝く効果)及び深み感(シェードにおける彩度の高さ)」(【0039】)の観点から評価を行っている。さらに、本願明細書【0002】に、「高彩度で粒子感がある塗色は、深み感に優れ」ることが記載されており、【0037】【表1】を参照すると、彩度・粒子感の評価がともに3以上であると、深み感も3以上となり、良好な塗膜が形成されることが見て取れる。
一方、本願明細書の実施例(比較例)を参照すると、比較例1、3におけるアルミニウム顔料とアルミナフレーク顔料の組合せでは、深み感がでないことが確認されており、比較例1のアルミニウム顔料とアルミナフレーク顔料の組合せでは色相角度差Δhが49度であり、また、比較例3で用いられているアルミニウム顔料は、無着色(無彩色)であり、色相hは値を有さないので、本願明細書で開示の比較例は全て色相角度差Δhが特定の範囲を満たさないものであり、この場合に、本願発明の作用効果が奏されないことが理解される。そして、比較例1、2の場合は、彩度は良好であることから、色相角度差Δhが所定の範囲に入らないと、粒子感がでず、その結果、深み感もでないことが理解される。
そして、この点に関し、引用例2には、補色関係の光輝性顔料を組み合わせて用いることで、「顔料粒子のキラキラした感じとキラキラした粒子の連動した動き」を向上させられることが記載されており、これは、本願明細書の実施例における「粒子感(観測角度を変えるとキラキラと輝く効果)」と同様の評価基準であるから、色相角度差Δhを調整することで粒子感が得られるという本願発明の上記の作用効果は、引用例2により、本願出願時既知であったことが理解される。(さらに必要であれば、上記(4-5)の引用例5記載の発明も参照されたい。色相差を補色関係とすることで、角度による見え方の変化をマイルドにして、連続面での発色を減じさせ、粒子感のある干渉色として見えるようにし得ることが、本願出願前に出願人自身によって公知とされている。)
よって、相違点に係る本願発明の発明特定事項を構成することで奏される効果は、当業者にとって予期し得ないものでない。

6.むすび
上記のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び周知技術(引用例2ないし5記載の発明)ないし公知技術(引用例2記載の事項)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
それゆえ、請求項2ないし5に係る発明について検討するまでもなく、本発明は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-30 
結審通知日 2015-07-01 
審決日 2015-07-28 
出願番号 特願2010-154147(P2010-154147)
審決分類 P 1 8・ 571- Z (C09D)
P 1 8・ 121- Z (C09D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 内藤 康彰  
特許庁審判長 豊永 茂弘
特許庁審判官 山田 靖
岩田 行剛
発明の名称 メタリック塗料組成物及び塗膜形成方法  
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