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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61K
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K
管理番号 1305939
審判番号 不服2014-8742  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-12 
確定日 2015-09-24 
事件の表示 特願2008-264445「コラーゲン産生促進剤並びにコラーゲン産生促進作用を有する化粧料及び美容用飲食品」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月22日出願公開、特開2010- 90088〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年10月10日に出願された特許出願であって、平成25年4月3日付けで拒絶理由が通知され、同年6月6日に意見書が提出され、平成26年2月7日付けで拒絶査定され、同年5月12日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりのものである。
「白鶴霊芝からの抽出物を含有することを特徴とする、コラーゲン産生促進作用を有する化粧料。」

第3 引用例及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願日前である平成9年6月3日に頒布された「特開平9-143025号公報」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(ア)
「【請求項1】 白鶴霊芝の水および/または有機溶媒抽出物を含有することを特徴とする化粧料。」

(イ)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は白鶴霊芝を用いて皮膚の老化・・・を防止する化粧料に関する。」

(ウ)
「【0005】本発明者等は、皮膚老化・・・を生じない化粧料素材につき鋭意研究を行った結果、白鶴霊芝の溶媒抽出物が優れた活性酸素消去能を有することを見出し、これを化粧料に用いればよいとの結論に達して本発明を完成させた。」

(エ)
「【0012】
・・・
抽出例1
乾燥白鶴霊芝・・・の葉および枝3gを100℃の熱水500mlに2分間浸漬し、・・・抽出液を得た。
【0013】抽出例2
乾燥白鶴霊芝の茎、枝および葉の混合物(全草)3gを水500mlに浸漬し、100℃に加熱して60分間保持した後濾過し・・・抽出液を得た。
【0014】抽出例3
乾燥白鶴霊芝の枝3gを水500mlに浸漬し、100℃に加熱して90分間保持した後濾過し・・・抽出液を得た。
【0015】抽出例4
抽出例1の抽出残渣を水500mlに浸漬し、100℃に加熱して60分間保持した後・・・抽出液を得た。
【0016】抽出例5
白鶴霊芝全草および根の乾燥混合物を、・・・各々ティーバックに入れ、熱湯600mlを注入して1分間振盪し、・・・抽出液を得た。
【0017】抽出例6
乾燥白鶴霊芝全草を粉砕機にかけて粉砕し、得られた粉砕物をアセトン、ベンゼン、1,3-ブチレングリコール、エタノール、エーテルに各々1.00g/50mlの割合で約24時間浸漬した。次いでこれらのものを各々濾過して・・・各溶媒抽出液を得た。」

(オ)
「【0030】実施例1 固形石鹸
下記処方例1の処方の石鹸用素材を充分混練りした後、口金を50℃に維持した押出成型機に入れて押出し、型打ち成型機にかけて固形石鹸を製造した。
処方例1(重量%、以下処方例は全て重量%で表示する)
セタノール 10.00
ジブチルヒドロキシトルエン 0.02
抽出例1の抽出液 20.00
着色料 微量
天然油脂石鹸ベース(牛脂40%、やし油20%、
NaOH30%、水分10%) 残量
この石鹸を3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善されてしっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0031】実施例2 固形石鹸
下記処方例2の処方の石鹸用素材を充分混練りした後、口金を45℃に維持した押出成型機に入れて押出し、型打ち成型機にかけて固形石鹸を製造した。
処方例2
N-ラウロイル-L-グルタミン酸モノナトリウム 64.00
N-オレオイル-L-グルタミン酸モノナトリウム 10.00
ミリスチルアルコール 5.00
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.00
エデト酸2ナトリウム 0.20
酸化チタン 0.10
抽出例1の抽出液の凍結乾燥末 0.10
精製水 残量
この石鹸を2か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善されてしっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0032】実施例3 クリーム
下記処方例3の処方のクリーム用素材を、加温溶解、撹拌乳化、冷却等常法により処理してクリームを製造した。
処方例3
モノステアリン酸グリセリン 5.00
ステアリン酸 5.00
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 2.00
ベヘニルアルコール 1.00
流動パラフィン 10.00
トリオクタン酸グリセリル 10.00
抽出例2の抽出液 0.01
1,3-ブチレングリコール 5.00
パラオキシ安息香酸エステル 0.20
エデト酸2ナトリウム 0.01
精製水 残量
このクリームを3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0033】実施例4 クリーム
抽出例2の抽出液0.01重量%の代わりに、抽出例2の抽出液の凍結乾燥末0.0001重量%を使用する他は、実施例3と同様に処理してクリームを製造した。このクリームを2か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0034】実施例5 ローション
下記処方例4の処方のローション用素材を、撹拌、溶解せしめる等常法により処理してローションを製造した。
処方例4
エタノール 15.00
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 8.00
1,3-ブチレングルコール 4.00
ヤシ油 1.00
クエン酸ナトリウム 0.30
クエン酸 0.10
パラオキシ安息香酸エステル 0.10
クエン酸ナトリウム 0.30
エデト酸2ナトリウム 0.01
抽出例3の抽出液 10.00
精製水 残量
このローションを1か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0035】実施例6 ローション
抽出例3の抽出液10.00重量%の代わりに、抽出例3の抽出液の凍結乾燥末0.10重量%を使用する他は、実施例5と同様に処理してローションを製造した。このローションを3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0036】実施例7 ムース
下記処方例5の処方のムース素材を撹拌溶解させた後、ジメチルエーテルおよび液化石油ガスを圧力充填し、噴射装置を取り付けた容器に密封しムースを製造した。
処方例5
N-メタクリロイルエチル-N,N-ジエチル
アンモニウム・α-N-メチルカルボキシベタ
イン・メタクリル酸ブチル共重合体(30%) 4.00
エタノール 13.00
ポリオキシエチレンセチルエーテル 3.00
エデト酸2ナトリウム 0.01
抽出例4の抽出液 5.00
精製液 残量
このムースを2か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0037】実施例8 ムース
抽出例4の抽出液5.00重量%の代わりに抽出例4の抽出液の凍結乾燥末0.05重量%を使用する他は、実施例7と同様に処理してムースを製造した。このムースを3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0038】実施例9 乳液
下記処方例6の処方の乳液用素材を、加温溶解、撹拌乳化、冷却等常法により処理して乳液を製造した。
処方例6
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 2.00
ステアリン酸 0.50
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.50
ベヘニルアルコール 0.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.00
トリオクタン酸グリセリル 4.00
アボガド油 4.00
抽出例5Aの抽出液 30.00
1,3-ブチレングリコール 5.00
パラオキシ安息香酸エステル 0.20
エデト酸2ナトリウム 0.01
キサンタンガム 0.14
グリセリン 0.50
精製水 残量
この乳液を2か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0039】実施例10 乳液
抽出例5Aの抽出液30.0重量%の代わりに抽出例5Aの抽出液の凍結乾燥末0.3重量%を使用する他は、実施例9と同様に処理して乳液を製造した。この乳液を3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0040】実施例11 乳液
下記処方例7の処方の乳液用素材を、加温溶解、撹拌乳化、冷却等常法により処理して乳液を製造した。
処方例7
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.00
ステアリン酸 0.50
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.50
ベヘニルアルコール 0.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.00
トリオクタン酸グリセリル 4.00
アボガド油 4.00
アスコルビン酸 0.10
抽出例5Bの抽出液 0.015
1,3-ブチレングリコール 5.00
パラオキシ安息香酸エステル 0.20
エデト酸2ナトリウム 0.01
キサンタンガム 0.14
精製水 残量
この乳液を3か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0041】実施例12 乳液
抽出例5Bの抽出液0.015重量%の代わりに、抽出例5Bの抽出液の凍結乾燥末0.0002重量%を使用する他は、実施例10と同様に処理して乳液を製造した。この乳液を1か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0042】実施例13 軟膏剤
乾燥白鶴霊芝の枝3gを用いる代わりに乾燥白鶴霊芝の根3gを用いる他は、抽出例3と同様に処理して抽出液を得た。この抽出液を用いる下記処方例8の処方の軟膏剤用素材を、加温溶解、撹拌乳化、冷却等常法により処理して軟膏剤を製造した。
処方例8
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 2.00
ステアリン酸 5.00
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.50
ベヘニルアルコール 1.00
親油型モノステアリン酸グリセリン 5.00
トリオクタン酸グリセリル 10.00
流動パラフィン 10.00
白鶴霊芝根抽出液 1.50
1,3-ブチレングリコール 5.00
パラオキシ安息香酸エステル 0.20
エデト酸2ナトリウム 0.01
プロピレングリコール 1.00
精製水 残量
この軟膏剤を1か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0043】実施例14 軟膏剤
白鶴霊芝根抽出液1.50重量%の代わりに、この白鶴霊芝根抽出液の凍結乾燥末10.00重量%を使用する他は、実施例13と同様に処理して軟膏剤を製造した。この軟膏剤を1か月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0044】実施例15 乳液
抽出例6の方法で得たエタノール抽出液を用い、下記処方例9の処方の乳液用素材を撹拌、混合して乳液を製造した。
処方例9
天然油脂(牛脂:やし油=7:3、水分15%) 8.00
エタノール 5.00
ベヘニルアルコール 0.50
クエン酸 0.10
クエン酸ナトリウム 0.20
抽出例6のエタノール抽出液 15.00
1,3-ブチレングリコール 4.00
パラオキシ安息香酸エステル 0.10
エデト酸2ナトリウム 0.01
精製水 残量
この乳液を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0045】実施例16 乳液
抽出例6のエタノール抽出液15.00重量%の代わりに、抽出例6のエタノール抽出液の凍結乾燥末0.15重量%を使用する他は、実施例15と同様に処理して乳液を製造した。この乳液を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
・・・
【0050】実施例21 固形石鹸
乾燥白鶴霊芝の葉および枝3gをエタノールに120分間浸漬し、得られた液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、得られた抽出液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0051】実施例22 固形石鹸
抽出例6の方法で得られたアセトン抽出液500mlをエバポレータ[(株)東京理化製N-N型、以下同じ]を用いて溶媒留去し、蒸留水500mlに定容して抽出水溶液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、この抽出水溶液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。 この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0052】実施例23 固形石鹸
実施例22の方法で得られた抽出水溶液500mlを凍結乾燥して微粉末を得た。抽出例1の抽出液凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる代わりにこのようにして得られた凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる他は実施例2と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0053】実施例24 ローション
白鶴霊芝全草2g、霊芝0.2gおよびドクダミ0.3gの乾燥混合物をエタノールに浸漬し、60分間保持した後濾過し、得られた液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例3の抽出液10重量%を用いる代わりに、このようにして得られた抽出液10重量%を用いる他は実施例5と同様に処理してローションを製造した。このローションを3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0054】実施例25 ローション
実施例24で得られた抽出液を凍結乾燥して微粉末を得た。抽出例3の抽出液凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる代わりに、このようにして得られた凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる他は、実施例6と同様に処理してローションを製造した。このローションを3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0055】実施例26 固形石鹸
乾燥白鶴霊芝の葉および枝3gを1,3-ブチレングリコールに120分間浸漬し、得られた液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、得られた抽出液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0056】実施例27 固形石鹸
抽出例6の方法で得られたエーテル抽出液500mlをエバポレータを用いて溶媒留去し、蒸留水500mlに定容して抽出水溶液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、抽出水溶液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0057】実施例28 固形石鹸
実施例27の方法で得られた抽出水溶液500mlを凍結乾燥して微粉末を得た。抽出例1の抽出液凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる代わりに、このようにして得られた凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる他は実施例2と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0058】実施例29 ローション
白鶴霊芝全草2g、霊芝0.5gおよびドクダミ0.5gの混合物を1,3-ブチレングリコールに浸漬し、60分間保持した後濾過し、得られた濾液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例3の抽出液10重量%を用いる代わりに、このようにして得られた抽出液10重量%を用いる他は実施例5と同様に処理してローションを製造した。このローションを3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0059】実施例30 ローション
実施例29で得られた抽出液を凍結乾燥して微粉末を得た。抽出例3の抽出液凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる代わりに、このようにして得られた凍結乾燥粉末0.1重量%を用いる他は、実施例6と同様に処理してローションを製造した。このローションを3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0060】実施例31 固形石鹸
乾燥白鶴霊芝の葉および枝3gをエタノール:水=1:1の混合物に60分間浸漬し、得られた液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、このようにして得られた抽出液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0061】実施例32 固形石鹸
抽出例6の方法で得られたベンゼン抽出液500mlをエバポレータで溶媒留去し、蒸留水で500mlに定容して抽出水溶液を得た。抽出例1の抽出液20重量%を用いる代わりに、このようにして得られた抽出水溶液20重量%を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0062】実施例33 固形石鹸
乾燥白鶴霊芝全草3gをエタノール:1,3-ブチレングリコール=3:1混合物に60分間浸漬し、得られた液を冷却後、500mlに定容して抽出液を得た。抽出例1の抽出液20重量を用いる代わりに、このようにして得られた抽出液20重量を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。
【0063】実施例34 固形石鹸
白鶴霊芝全草3g、霊芝0.15gおよびドクダミ0.15gの乾燥混合物をエタノール:水=1:1の混合物に60分間浸漬した後濾過し、得られた濾液を500mlに定容して抽出液を得た。抽出例1の抽出液20重量を用いる代わりに、このようにして得られた抽出液20重量を用いる他は実施例1と同様に処理して固形石鹸を製造した。この石鹸を3カ月間使用し続けたところ、肌荒れが改善され、しっとりとした潤いのある肌を保つことができた。」

(カ)
「【0064】
【発明の効果】本発明化粧料は、活性酸素消去能を有する白鶴霊芝・・・の溶媒抽出物を含有しているので、これを使用することにより皮膚の老化・・・を防止することができる。」

第4 引用例に記載された発明
引用例の上記摘示(ア)の記載からみて、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。
「白鶴霊芝の水および/または有機溶媒抽出物を含有することを特徴とする化粧料。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。

本願発明の「白鶴霊芝からの抽出物」は、本願明細書の「抽出に使用する溶媒としては水及び有機溶媒が挙げられ、これらを単独であるいは適当割合混合して用いる。」(【0017】)との記載を参酌すると、「白鶴霊芝の水および/または有機溶媒抽出物」と解することができるため、引用発明の「白鶴霊芝の水および/または有機溶媒抽出物」は、本願発明の「白鶴霊芝からの抽出物」に相当する。

以上のことから、両発明は、

「白鶴霊芝からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料。」で一致し、下記の点で一応相違する。

相違点:
白鶴霊芝からの抽出物を含有する化粧料が、本願発明では「コラーゲン産生促進作用を有する」ものであるのに対し、引用発明ではそのような特定がない点。

第6 判断
上記一応の相違点について判断する。
引用発明は、「白鶴霊芝からの抽出物」を化粧料、特に皮膚の老化を防止する化粧料に使用するものであって(上記摘示(イ)(ウ)(カ))、実施例として乾燥白鶴霊芝の熱水又は有機溶媒での抽出物を固形石鹸、クリーム、ローション、ムース、乳液、軟膏剤に使用した例が記載されており(上記摘示(エ)(オ))、いずれも「肌荒れが改善され、しっとりした潤いのある肌を保つことができた」ことが示されている。
一方、本願発明の「白鶴霊芝からの抽出物を含有することを特徴とする、コラーゲン産生促進作用を有する化粧料」は、「白鶴霊芝からの抽出物」が「コラーゲン産生促進作用」を有することを見いだしたことに基づく発明であるが(【0038】?【0046】)、本願明細書には、「コラーゲン産生促進作用を有する化粧料」とは「皮膚老化等を防止及び/又は改善する」(【0007】【0023】)ためのものとして記載されているだけで、実施例においても、乾燥した白鶴霊芝粉砕物の熱水、水又はエタノール水での抽出液(実施例1?9)を固形石鹸、クリーム、ローション、ムース、乳液、軟膏剤として使用した場合に、肌荒れを改善し、肌に張りを戻し、しっとりとした潤いのある肌にすることができることが定性的に示されているにすぎない(【0073】)。
なお、本願明細書では、インビトロにおけるコラーゲン産生促進作用は確認されているものの(【0038】?【0046】)、化粧料として使用した場合に同様のコラーゲン産生促進作用が得られることは確認していないので、上記「皮膚の老化等を防止及び/又は改善する」ことがコラーゲン産生促進作用によるものであることを客観的に確認することはできない。
そうすると、本願発明の化粧料と引用発明の化粧料とは、皮膚老化等を防止及び/又は改善するという化粧料としては何ら区別することができないものと解される。
確かに、引用例には、「白鶴霊芝からの抽出物」がコラーゲン産生促進作用を有することについては記載がないものの、その結果として得られる、皮膚老化等を防止及び/又は改善する、すなわち肌荒れを改善し、肌に張りを戻し、しっとりといた潤いのある肌にすることができる化粧料としての用途としては本願発明と引用発明とで相違するものではなく、そうすると、「コラーゲン産生促進作用」という「白鶴霊芝からの抽出物」の属性(皮膚老化防止のための作用機序)を見いだしことによって、化粧料としての新たな用途を提供したということはできない。
よって、上記一応の相違点は実質的な相違点ではない。

したがって、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。


第7 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項2に係る発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-15 
結審通知日 2015-07-21 
審決日 2015-08-10 
出願番号 特願2008-264445(P2008-264445)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61K)
P 1 8・ 113- Z (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 弘實 謙二  
特許庁審判長 松浦 新司
特許庁審判官 齊藤 光子
新居田 知生
発明の名称 コラーゲン産生促進剤並びにコラーゲン産生促進作用を有する化粧料及び美容用飲食品  
代理人 松尾 誠剛  

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