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審決分類 |
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06T 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T |
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管理番号 | 1306241 |
審判番号 | 不服2014-12609 |
総通号数 | 191 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2015-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-07-01 |
確定日 | 2015-10-08 |
事件の表示 | 特願2012-263444「画像処理装置および方法、情報処理装置および方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日出願公開、特開2013- 61974〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 経緯 1.手続 本願は、平成18年2月1日を出願日とする出願である特願2006-024185号の一部を平成24年11月30日に新たな特許出願(特願2012-263444号)としたものであって、手続の概要は以下のとおりである。 拒絶理由通知 :平成25年 9月27日(起案日) 手続補正 :平成25年12月 2日 拒絶理由通知(最後) :平成26年 1月 6日(起案日) 手続補正 :平成26年 2月25日 補正却下 :平成26年 3月26日(起案日) 拒絶査定 :平成26年 3月26日(起案日) 拒絶査定不服審判請求 :平成26年 7月 1日 手続補正 :平成26年 7月 1日 前置審査報告 :平成26年 9月11日(起案日) 2.査定 原査定の理由は、概略、次のとおりである。 この出願の請求項1ないし22に係る発明(平成25年12月2日付け手続き補正後)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1?3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2003-030243号公報 2.特開2002-366558号公報 3.特開2002-189724号公報 第2 補正却下の決定 平成26年7月1日付けの手続補正について次のとおり決定する。 [補正却下の決定の結論] 平成26年7月1日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成26年7月1日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の平成25年12月2日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項13に記載された、 「【請求項13】 外部機器から画像を取得する取得手段と、 前記画像を解析し、前記画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、 前記特徴抽出手段により前記画像から抽出された特徴に基づき、前記画像に関連付けられたメタデータを生成する生成手段と、 前記生成手段により生成されたメタデータを前記外部機器に送信する送信手段と を備え、 前記特徴抽出手段は、前記画像に含まれる顔の画像に関する顔情報である前記特徴を抽出し、 前記顔情報は、前記画像に含まれる顔の大きさおよび位置に関する情報を含み、 前記メタデータは、前記外部機器において、前記外部機器の使用者が前記メタデータに基づいて画像を検索することを可能とする構成である 画像処理装置。」 という発明(以下、「補正前の発明」という。)を、 「【請求項13】 外部機器から画像を取得する取得手段と、 前記画像を解析し、前記画像の特徴を抽出する特徴抽出手段と、 前記特徴抽出手段により前記画像から抽出された特徴に基づき、前記画像に関連付けられたメタデータを生成する生成手段と、 前記生成手段により生成されたメタデータを前記外部機器に送信する送信手段と を備え、 前記特徴抽出手段は、前記画像に含まれる顔の画像に関する顔情報である前記特徴を抽出し、 前記顔情報は、前記画像に含まれる顔の大きさおよび位置に関する情報を含み、 前記メタデータは、前記外部機器において、前記外部機器の使用者が前記メタデータに基づいて画像を検索することを可能とする構成であり、 前記送信手段は、複数の前記画像からそれぞれ生成された縮小画像の中から選択された縮小画像と、前記選択された縮小画像に対応する前記画像に関連付けられたメタデータとを送信する 画像処理装置。」 という発明(以下、「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。 2.補正の適否 上記本件補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであるかについて、検討する。 上記本件補正は、「画像処理装置」が画像を取得する取得先である「外部機器」に対して、補正前の発明では送信手段が「メタデータ」を送信するのに対して、補正後の発明では、前記送信手段が、選択された「縮小画像」と、対応する「メタデータ」を送信することを限定するものである。 一方、当初明細書等には、以下に示す各処理が記載されている。 (A) サーバ13のバックアップの処理 図9のフローチャートとともに、 段落【0115】に、「ステップS32において、サーバ13の送信制御部138-1および受信制御部138-1は、通信部79に、デジタルスチルカメラ11から本画像201および縮小画像202を取得させる。」、 段落【0143】に、「すなわち、ステップS37において、送信制御部138-1は、コンテンツデータベース111および類似特徴データベース112への記入の指令と共に、ステップS35において生成されたメタデータを、通信部79に、デジタルスチルカメラ11宛てに送信させる。」、 と記載されている。 (B) サーバ13の画像の取得の処理 図19のフローチャートとともに、 段落【0216】に、「ステップS61において、サーバ13の送信制御部138-2および受信制御部138-2は、ネットワーク14を介して、通信部80に、Webサーバ15-1から本画像201を取得させる。」、 段落【0226】に、「ステップS69において、送信制御部138-1は、通信部79に、デジタルスチルカメラ11宛てに選択された縮小画像202を送信させる。」、 段落【0227】に、「ステップS70において、送信制御部138-1は、ステップS37と同様の処理で、通信部79に、デジタルスチルカメラ11のコンテンツデータベース111および類似特徴データベース112に、送信された縮小画像202のメタデータであって、抽出された画像の特徴を含むメタデータを記入させる。」、 と記載されている。 まず、(A)について検討する。 (A)には、サーバ13のバックアップの処理として、サーバ13がデジタルスチルカメラ11から本画像と縮小画像を取得し、前記デジタルスチルカメラ11に対してメタデータを送信することが開示されていることから、(A)には、補正後の発明における、画像処理装置が「外部機器から画像を取得」すること、及び、「メタデータを前記外部装置に送信する」ことが開示されているといえる。 しかしながら、(A)には、サーバ13がデジタルスチルカメラ11に対して選択された縮小画像を送信することが開示されていないことから、補正後の発明における、メタデータを外部機器に送信する送信手段が、「選択された縮小画像と、前記選択された縮小画像に対応する前記画像に関連付けられたメタデータとを送信する」ことが開示されているとは認められない。 次に、(B)について検討する。 (B)には、サーバ13の画像の取得の処理として、サーバ13がWebサーバ15-1から本画像を取得し、デジタルスチルカメラ11に対して、選択された縮小画像と、前記選択された縮小画像に対応する画像のメタデータを送信することが開示されている。 ここで、補正後の発明における「外部機器」が、(B)における「Webサーバ15-1」であると仮定した場合、(B)には、補正後の発明における、「外部機器から画像を取得する」ことは開示されているものの、補正後の発明における、「前記外部機器に送信する送信手段」が、「選択された縮小画像と、前記選択された縮小画像に対応する前記画像に関連付けられたメタデータとを送信する」ことが開示されているとは認められない。 また、補正後の発明における「外部機器」が、(B)における「デジタルスチルカメラ11」であると仮定した場合、(B)には、補正後の発明における「外部機器から画像を取得する」ことが開示されているとは認められない。 また、他に当初明細書等に上記補正後の発明の構成の根拠となるような記載は見あたらず、更に、上記構成が当初明細書等の記載から自明な事項であるとも認められない。 したがって、上記補正は、当初明細書等に記載されていた事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第3項の規定(新規事項)に適合していない。 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成26年7月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は平成25年12月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項11に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 なお、本願発明の各構成の符号は便宜的に当審で付したものである。 (本願発明) 「A.情報処理装置が、 B.サーバにより、画像から抽出された特徴を受信し、 C.受信された前記特徴を記録し、 D.前記特徴に関係付けられた画像を検索し、 E.検索された画像を提示し、 F.前記特徴は、前記画像に含まれる顔の画像に関する顔情報であり、 G.前記顔情報は、前記画像に含まれる顔の大きさおよび位置に関する情報を含む H.情報処理方法。」 2.引用発明 2.1. 原審の拒絶理由に引用された、特開2003-30243号公報(以下、「引用例1」という。)には「画像配信システム及び情報処理装置及びそれらの方法」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数の画像から所望の画像を検索し、検索された画像を配信する画像配信システム及び該システムに適用される情報処理装置とそれらの方法に関する。」(第3頁第4欄第46?50行目) イ.「【0003】後者の検索方法において、データベースに対してある画像を提示し、その画像の特徴量を検索キーとして画像を検索する方法を特に類似画検索と呼ぶ。これは、画像処理について特別な知識を持たないユーザに対し、直感的に分かりやすい検索インターフェースを提供できるという利点がある。」(第4頁第5欄第10?15行目) ウ.「【0017】以上の様にして画像データを収集すると、ブローカ端末102は、ステップS202において検索用データベースを生成する。図4はブローカによって生成される検索用データベースファイルのデータ構成例を示す図である。ヘッダ領域401は当該検索用データファイルのファイル名や、登録されている画像データ数等を記録する。402は画像データであり、本例ではN個の画像データが格納される。なお、格納されている画像データは、本実施形態ではサムネイル画像である。 【0018】403は特徴量データであり、画像データ402として保持されたN個の画像の各特徴量を格納する。なお、本実施形態では、画像の特徴量として、画像データを所定数に分割し、各分割領域毎に赤(R)、青(B)、緑(G)の平均輝度値を算出して得られた値を用いる。例えば、画像を6個の矩形領域に分割し、各矩形領域のR、G、Bの平均輝度値を用いるものとすれば、各画像について18個の数値が取得され、これを特徴量とする。なお、このような特徴量は特開平2000-076275公報に開示されているので、ここでは詳細な説明を省略する。もちろん、類似画像検索に用いることのできる特徴量であれば他の方式で求められたものでもよいが、システム内では1つの手法に統一されている必要がある。」(第5頁第7欄第9?31行目) エ.「【0024】以上のようにして、ステップS201、S202によって検索用データベースが生成されると、次に、ステップS203において、ブローカは、その生成された検索用データベースを消費者に提供する。検索用データベースは、CD-ROMやDVD-ROM等のメディアに書き込んでユーザに提供してもよいし(図1の経路123)、あるいはネットワークを経由して配信されても構わない(図1の経路122)。 【0025】次に、ステップS204において、上記検索用データベースを取得したコンシューマは、提供された画像データについて類似画像検索を行い、所望の画像を決定する。もちろん、メタデータに記録した情報を用いたキーワード検索(以下、メタデータ検索という)等を行うようにしてもよい。所望の画像が決定されたならば、ステップS205において画像の取得を行うべくインターネット110上に画像の配信要求を発行する。 【0026】図6はステップS204に示した、ユーザによる所望画像の決定処理を説明するフローチャートである。この処理は、コンシューマ端末101において実行される。 【0027】まず、ステップS601において、ネットワーク経由で、或いは記憶媒体を介して取得した検索用データベースを読み取る。そして、ステップS602において、所望画像の決定方法として選択されている方法を判定する。検索処理が選択されていた場合は更にランダム表示、類似画像検索、メタデータ検索のいずれが指定されているかを判定し、指定された処理を用いて画像を検索する(ステップS603?S605)。そして、検索結果に従って予め決められた数(本例では64枚とする)の画像を、その類似度順に表示し(ステップS606)、ユーザに所望の画像を決定させる(ステップS609)。」(第5頁第8欄第18?49行目) 上記ア.?エ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、引用例1の記載について検討する。 (1-1) 上記ア.には、引用例1に係る発明が、複数の画像から所望の画像を検索することを含むシステムに適用される「情報処理装置」とその「方法」に関するものであることが記載されており、その実施の形態として、上記エ.の段落【0026】には、「コンシューマ端末」において「所望画像の決定処理」が実行されることが記載されている。 したがって、引用例1には、「コンシューマ端末」における「所望画像の決定処理方法」が記載されている。 (1-2) 上記エ.の段落【0024】、【0027】には、「コンシューマ端末」にネットワーク経由で検索用データベースが配信されることが記載されており、これは「コンシューマ端末」が検索用データベースを受信することであるといえる。 また、上記ウ.の段落【0017】には、「ブローカ端末」が前記検索用データベースを生成することが記載されており、段落【0018】、図4には、前記検索用データベースには「画像データ」から算出して得られた「特徴量」が格納されることが記載されていることから、「コンシューマ端末」が検索用データベースを受信することは、「コンシューマ端末」が「ブローカ端末」によって「画像データ」から算出された特徴量を受信することであるといえる。 したがって、引用例1には、「ブローカ端末により、画像データから算出された特徴量を受信」することが記載されている。 (1-3) 上記エ.の段落【0027】には、コンシューマ端末において、類似画像検索で画像を検索し、検索結果に従って画像を表示することが記載されている。 そして、上記イ.には類似画像検索とは、「特徴量を検索キーとして画像を検索」することであることが記載されている。 したがって、引用例1には、「特徴量を検索キーとして画像を検索し、検索結果に従って画像を表示する」ことが記載されている。 したがって、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が、開示されている。 なお、分説記号は当審にて付したものである。 (引用発明1) 「a.コンシューマ端末が、 b.ブローカ端末により、画像データから算出された特徴量を受信し、 c.特徴量を検索キーとして画像を検索し、 d.検索結果に従って画像を表示する、 e.所望画像の決定処理方法。」 2.2. 原審の拒絶理由に引用された、特開2002-189724号公報(以下、「引用例2」という。)には「画像データ検索装置」(発明の名称)として図面とともに以下の事項が記載されている。 オ.「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、多数の入力画像を蓄積する原画像データベース部と、多数の入力画像からそれぞれ抽出した各顔画像の特徴量を蓄積する顔画像特徴量データベース部とを備え、顔画像指定用検索キー部で指定した検索対象顔画像に対して顔画像特徴量データベース部から相関の高い顔画像を得て、相関の高い顔画像を含む画像を原画像データベース部から検索できるように構成した画像データ検索装置に関するものである。」(第2頁第1欄第31?39行目) カ.「【0035】次に、顔画像照合部70は、顔画像指定用検索キー設定部60で指定した矩形枠B内の検索対象顔画像に対して、顔画像特徴量データベース部50に蓄えられている各顔画像の特徴量への照合を行う。ここでは、顔画像特徴量データベース部50に蓄えられている顔画像の位置、顔画像の向き、顔画像の大きさ、顔画像特徴ベクトルなどの特徴量を参照して、顔画像指定用検索キー設定部60で指定した矩形枠B内の検索対象顔画像の特徴量に対して相関の高い顔画像を得ている。この際、顔画像指定用検索キー設定部60で原画像データベース20中から選んだ一つの画像を用いて検索対象顔画像を指定した場合には、原画像データベース20中から選んだ一つの画像は相関が一番高くなるので、この選んだ一つの画像に対しては照合をしないようにしている。 【0036】次に、検索結果表示部80では、検索対象顔画像に対して顔画像照合部70で得られた相関の高い顔画像を含む画像を原画像データベース部20から検索して、図5に示したように相関の高い順に複数表示している。勿論、顔画像照合部70で照合精度が高ければ、最も相関の高い顔画像を含む一つの画像のみを表示しても良い。 」(第5頁第7欄第5?25行目) 上記オ.、カ.の記載及び関連する図面並びにこの分野における技術常識を考慮して、引用例2の記載について検討する。 (2-1) 上記オ.より、引用例2には、画像データ検索装置について記載されている。 (2-2) 上記カ.には、画像データ検索装置における画像の検索に係る動作として、検索対象顔画像に対して、顔画像特徴量データベースに蓄えられている「特徴量」への照合を行う、すなわち顔画像特徴量データベースに蓄えられている「顔画像の位置」や「顔画像の大きさ」などの「特徴量」を参照し、検索対象顔画像の「特徴量」に対して相関の高い顔画像を得ること、そして、得られた相関の高い顔画像を含む画像を表示することが記載されている。 そして、画像データ検索装置における画像の検索に係る動作は、「画像検索方法」であるといえる。 したがって、引用例2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されている。 (引用発明2) 「検索対象顔画像に対して、顔画像の位置や顔画像の大きさなどの特徴量を照合して得られた、相関の高い顔画像を含む画像を検索して表示する、 画像検索方法。」 3.対比・判断 補正後の発明と引用発明1とを対比する (1) 本願発明の構成要件Aと引用発明1の構成要件aの対比 引用発明1における「コンシューマ端末」は、情報処理技術を用いた装置であることは明らかであることから、「情報処理装置」であるといえる。 したがって、引用発明1の構成要件a「コンシューマ端末」は、本願発明の構成要件A「情報処理装置」に相当する。 (2) 本願発明の構成要件Bと引用発明1の構成要件bの対比 引用発明1における「ブローカ端末」は、上記第3 2.1.(1-2)で検討したように、ネットワークを介してデータ(検索用データベース)を配信するものであることから、本願発明における「サーバ」に相当する。 また、引用発明1における「特徴量」とは、「特徴」の「量」であることから、「量」を含めた「特徴」を表しているといえ、本願発明の「特徴」も構成要件F.、G.で特定されるように顔の大きさという「量」を含むものであることから、引用発明1における「特徴量」は本願発明の「特徴」に相当する。 したがって、引用発明1における構成要件b「ブローカ端末により、画像データから算出された特徴量を受信」することは、本願発明の構成要件B「サーバにより、画像から抽出された特徴を受信」することに相当する。 (3) 本願発明の構成要件Cについて 「受信された前記特徴」に関し、本願発明においては「記録」するのに対して、引用発明1においてはそのような特定がない点で相違する。 (4) 本願発明の構成要件Dと引用発明1の構成要件cの対比 引用発明における「特徴量を検索キーとして画像を検索」することは、検索キーとして用いられた「特徴量」に関連する画像を検索することであるといえる。 また、上記(2)で検討したように、引用発明1における「特徴量」は本願発明の「特徴」に相当する。 したがって、引用発明1における構成要件c「特徴量を検索キーとして画像を検索」することは、本願の構成要件D「前記特徴に関係付けられた画像を検索」することに相当する。 (5) 本願発明の構成要件Eと引用発明1の構成要件dの対比 引用発明1の構成要件d「検索結果に従って画像を表示」することは、本願発明の構成要件E「検索された画像を提示」することに相当する。 (6) 本願発明の構成要件F、Gについて 「特徴」に関し、本願発明においては、「画像に含まれる顔の画像に関する顔情報」であって、前記「顔情報」は、「画像に含まれる顔の大きさおよび位置に関する情報を含む」のに対し、引用発明1においてはそのような特定がない点で相違する。 (7) 本願発明の構成要件Hと引用発明1の構成要件eの対比 上記(1)で検討したように、引用発明1における「コンシューマ端末」は、本願発明における「情報処理装置」に相当することから、上記(3)、(5)で検討した相違点を除き、引用発明1における「コンシューマ端末」が実行する「所望画像の決定処理方法」は、本願発明における「情報処理装置」が実行する「情報処理方法」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明1とは、以下の点で一致ないし相違している。 (一致点) 「情報処理装置が、 サーバにより、画像から抽出された特徴を受信し、 前記特徴に関係付けられた画像を検索し、 検索された画像を提示する、 情報処理方法。」 (相違点) (ア) 「受信された特徴」に関し、本願発明においては「記録」するのに対して、引用発明1においてはそのような特定がない点 (イ) 「特徴」に関し、本願発明においては、「画像に含まれる顔の画像に関する顔情報」であって、前記「顔情報」は、「画像に含まれる顔の大きさおよび位置に関する情報を含む」のに対し、引用発明1においてはそのような特定がない点 上記相違点について検討する。 (A) 相違点(ア)について 検索に用いる情報を受信して検索を行うに際し、受信した情報を記録した上で検索を行うようにすることは、周知慣用の技術に過ぎないことから、引用発明においても受信した特徴を記録した上で検索を行うようにすることは、当業者であれば容易に想到しうるものである。。 よって相違点(ア)は格別なものではない。 (B) 相違点(イ)について 第2 2.2.で検討したように、引用発明2には、 「検索対象顔画像に対して、顔画像の位置や顔画像の大きさなどの特徴量を照合して得られた、相関の高い顔画像を含む画像を検索して表示する、 画像検索方法。」 が記載されている。 また、一般に画像の検索に際して、人物を含む画像を検索の対象とすることは周知の技術に過ぎないことから、引用発明1においても、人物を含む画像を検索の対象とすることは当然に想起しうる事項である。そして、引用発明2に記載されているように、人物を含む画像を検索する際に用いる特徴量として、顔画像の位置や顔画像の大きさなどを用いることは、周知慣用の技術に過ぎないことから、引用発明1においても該周知技術を適用し、画像を検索する際に用いる特徴量として、顔画像の位置や顔画像の大きさを含めるようにすることは、当業者であれば容易に想到しうるものである。 よって、相違点(イ)も格別なものではない。 以上のとおり、各相違点は格別なものではない。 そして、本願発明に関する作用・効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-08-11 |
結審通知日 | 2015-08-13 |
審決日 | 2015-08-25 |
出願番号 | 特願2012-263444(P2012-263444) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06T)
P 1 8・ 561- Z (G06T) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岡本 俊威、村松 貴士 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
豊島 洋介 渡辺 努 |
発明の名称 | 画像処理装置および方法、情報処理装置および方法、並びにプログラム |
代理人 | 稲本 義雄 |
代理人 | 西川 孝 |