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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1306388
審判番号 不服2014-1854  
総通号数 191 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-15 
確定日 2015-05-25 
事件の表示 特願2011-146672「一体型囲碁盤」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月22日出願公開、特開2011-183227〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成20年7月3日に出願した特願2008-196969号の一部を平成23年6月14日に新たな特許出願としたものであって、平成25年4月18日付けで拒絶の理由が通知され、同年6月28日付けで意見書が提出されたところ、同年10月3日付けで拒絶査定がなされ、それに対して、平成26年1月14日付け(同年1月15日差出)で拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「碁盤を複数に等分化し、スライドして重ねる構造からなる一体型囲碁盤。」

3 刊行物
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された実願昭46-56497号(実開昭48-13181号)のマイクロフィルム(以下「刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1)「遊技板の板面をN個(Nは3または3より大なる正の整数とする)の区劃に分割しこれを蝶番、止め金具、折りたたみまたは分解可能の外枠、はめくみ、マグネット板のいづれか一つまたは複数の構成をもって連結固定させた囲碁将棋チェス、チェッカー等の遊技板。」(実用新案登録請求の範囲)(審決注:「区劃」は「区画」と同義であるから、以下「区画」と表記する。)

(2)「遊技板が大きくなると、使用しないとき格納収容する場合は場所的にかさばり困るので、これをN個(Nは3または3より大きい正の整数とする。)に分割し、蝶番や止め金具や折りたたみまたは分解可能の外枠やはめ組みやマグネット板のいづれか一つまたは複数の構成をもって連結固定されると便利である。」(第1頁第12?18行)

(3)「第1図は四分割遊技板1,2,3,4を蝶番5,6,7でとめて四つ重ねにたためる様にしたものである。」(第1頁第19?20行)

(4)「第9図は遊技板を43,44,45の部分に3分割しこれらを蝶番46,47で結合した図である。」(第5頁第1?2行)

(5)第9図は、次のものである。


(6)上記摘記事項(3)及び上記摘記事項(4)を踏まえれば、上記(5)の第9図から、3つに等分割した遊技板を蝶番でとめて三つ重ねにたためる構成が看取できる。

上記(1)ないし(6)の事項を総合すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物発明」という。)。

「遊技板の板面を3個の区画に等分割しこれを蝶番でとめて三つ重ねにたためる囲碁の遊技板。」

4 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。

(1)刊行物発明における「囲碁の遊技板」は、本願発明における「碁盤」又は「(一体型)囲碁盤」に相当する。

(2)刊行物発明における「囲碁の遊技板(碁盤)」の「板面」を「3個の区画に等分割」することは、本願発明における「碁盤を複数に等分化」することに相当する。

(3)刊行物発明における「三つ重ねにたためる(構造)」は、本願発明における「重ねる構造」に相当する。

(4)刊行物発明における「板面」を「蝶番でとめ」る「囲碁の遊技板(囲碁盤)」は、本願発明における「一体型囲碁盤」に相当する。

(5)したがって、本願発明と刊行物発明とは、
「碁盤を複数に等分化し、重ねる構造からなる一体型囲碁盤。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]:「碁盤」の「重ねる構造」に関して、
本願発明は、「スライドして」重ねるのに対し、
刊行物発明は、「三つ重ねにたためる(構造)」である点。

5 判断
(1)相違点について
ア 複数の部材からなる装置を不使用時にスライドして重ねることは、本願の原出願(特願2008-196969号)の出願日前において周知である(例.登録実用新案第3124854号公報(段落【0014】、【0025】、図2、図10)、特開2008-141615号公報(段落【0002】)参照)。

イ 刊行物発明は、「遊技板が大きくなると、使用しないとき格納収容する場合は場所的にかさばり困る」(上記3(2)参照)という課題を解決するためのものである。
当該課題を解決するために、刊行物発明は「板面」を「区画」に「分割」することを前提としており、その「区画」を接続する構成として、刊行物には「蝶番」の他にも「止め金具、折りたたみまたは分解可能の外枠、はめくみ、マグネット板」(上記3(1)参照)という複数の形態が例示されている。
そして、上記アの周知技術は不使用時に複数の部材をスライドして重ねるものであるから、当該周知技術を知り得た当業者が、刊行物発明における「使用しないとき…かさばり困る」という課題を解決するために、「区画」を接続する構成の一形態として当該周知技術を採用し、上記相違点に係る本願発明の構成となすことは容易になし得たことである。

(2)本願発明が奏する効果について
上記相違点によって本願発明が奏する効果は、当業者が刊行物発明及び周知技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が刊行物発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-03-10 
結審通知日 2015-03-17 
審決日 2015-03-30 
出願番号 特願2011-146672(P2011-146672)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡崎 彦哉  
特許庁審判長 杉浦 淳
特許庁審判官 瀬津 太朗
村松 貴士
発明の名称 一体型囲碁盤  

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