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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 E02B
管理番号 1306939
審判番号 不服2014-26856  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-31 
確定日 2015-10-19 
事件の表示 特願2013-232533「大地震による被害を小さくする方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月13日出願公開、特開2015- 68163〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成25年10月1日の出願であって、平成26年5月14日付けの拒絶理由通知に対し、平成26年6月23日(提出日、同年6月24日受付)に手続補正がなされ、平成26年9月11日付けの拒絶理由通知(最後)に対し、平成26年10月14日(提出日、同年10月15日受付)に手続補正がなされたが、平成26年12月3日付けで上記手続補正書でした補正の却下決定とともに、拒絶査定がなされ、これに対して平成27年1月5日に本件審判が請求されたものである。


2 原査定の理由
一方、原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

平成26年6月23日(提出日)付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。


(1)請求項1について
請求項1の記載における「堤防の最後部から70mの位置に、回転軸を付け、回転時、堤防が垂直になると伴に、堤防最後部だけは、屋根上をスライドし、所定の溝に、はまり固定され、三角形を作ることで、70m分の、つっかえ棒の役目をする、つっかえ板を作ることができ」る点、「陸上で使う時は、日蔭を防止するため、堤防を二重に重ね、上の堤防だけ、陸側に、仮りに、2mずらした状態で、2m四方の採光穴を、必要な数、開けておくと、回転した時は、2mずらして開けた穴が、前方向にずれて、穴は塞がれ、堤防の役目を果たすことができ」る点等は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているとは認められない。

(2)請求項2について
請求項2の記載における「家屋の1階と2階の壁の上部を、帯状の材料で回し、柱に吊り上げるようにして固定し、柱の最上部に、重り付きシートを巻いたものを固定し、火災発生時に、地震計と連動させ、又は、手動操作で、シートを降ろし、家全体を包み込むもので、柱に誘導管を付け、シートで編むように降ろ」す点、特に、火災発生時に、地震計と連動させる点、柱に誘導管を付ける点は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているとは認められない。

(3)請求項3について
請求項3における「柱を挟んだ一方の建物が、超高層建物の時は、・・・」以降の記載によって特定される構成は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているとは認められない。

(4)請求項4について
請求項4における「噴火する場所が、前もって判っていて、しかも、小さい時は、・・・」以降の記載によって特定される構成は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているとは認められない。


3 当審の判断
ア 請求人は、平成26年6月23日(提出日、同年6月24日受付)付けの手続補正(以下「本件手続補正」という。)で、請求項1を次のとおり補正した。
「堤防の発明は、落下式と回転式の2つがあり、落下式堤防とは、柱と横材で、補強壁を作り、最上部に、重り付きシートを巻いたものを固定し、自動や、手動による遠隔操作で、横材を編むように、誘導管によって落下させ、津波に対する堤防とするもので、強度を増すために、海側海底の硬い地盤から、斜め材で、柱や補強壁と固定し、補強壁自体も、海底に杭を打ち、この堤防の大きさや、設置する場所により、価値を高めるため、公営住宅観光宿泊施設、発電設備、漁礁、避難所、監視カメラを設けることができ、川の両岸の、従来の堤防の上に、落下式堤防を設置し、その上部を、直接、又は川の中に柱を建て、横材で、対岸の落下式堤防の上部と固定し、水圧に耐えられるよう補強すれば、大洪水や津波で逆流した時に、有効であるし、河沿いの柵の上に、上流からの水流が、柵とシートの間に入らないように、シートの上流側の端に、進入防護板と、シートを安定させるための外側の柵を、設置すれば、柵の高さまでの洪水や、津波での逆流にも耐えられる他、街中の、例えば、区画ごとに、高さ100m位のシートを降ろせば、延焼防止、台風、竜巻の暴風対策に使え、陸に上った津波を止めたり、山に設置することで、山火事の延焼防止、石油コンビナートを囲めば、海に流れ出た石油の拡散防止と延焼防止に使えるものであり又、沖合の海中や、海底部分に設置すれば、海中や、海底部分を流れてくる津波の力を、弱めることができるものであり、もう1つの堤防である、回転式堤防とは、大型船が通行できるように、仮りに海水面上、100mの高さの柱と横材で作った補強壁の屋根部分に板状の堤防を、海水面と平行に載せ、前側半分、仮りに120m分を、屋根より海上に、突き出るようにして載せ、後ろ側半分、110m分の後ろ部分を、ワイヤーなどで固定し津波発生時、自動や手動による遠隔操作で、固定を解除して、前部の重みで、回転させ、堤防とするものであるが、津波時の水位上昇による堤防破壊のおそれがある時は、堤防の最後部から70mの位置に、回転軸を付け、回転時、堤防が垂直になると伴に、堤防最後部だけは、屋根上をスライドし、所定の溝に、はまり固定され、三角形を作ることで、70m分の、つっかえ棒の役目をする、つっかえ板を作ることができ、場所と大きさを変えることで、海沿いの、従来のコンクリート堤防の上に設置すれば、景観を壊さずに、コンクリート堤防の補強ができるし、上陸した津波を止めるために、道路の上に設置することもでき、陸上で使う時は、日蔭を防止するため、堤防を二重に重ね、上の堤防だけ、陸側に、仮りに、2mずらした状態で、2m四方の採光穴を、必要な数、開けておくと、回転した時は、2mずらして開けた穴が、前方向にずれて、穴は塞がれ、堤防の役目を果たすことができ、付加価値としては、海側海底から斜め材で補強したり、監視カメラや漁礁、風力や潮力などの発電設備、公営住宅、屋根部分に、風力発電やワイヤーなどの管理室、避難所、観光宿泊施設、堤防上部には、ソーラーパネルを張り付けたものである。」

しかしながら、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「堤防の最後部から70mの位置に、回転軸を付け、回転時、堤防が垂直になると伴に、堤防最後部だけは、屋根上をスライドし、所定の溝に、はまり固定され、三角形を作ることで、70m分の、つっかえ棒の役目をする、つっかえ板を作ることができ」る点、「陸上で使う時は、日蔭を防止するため、堤防を二重に重ね、上の堤防だけ、陸側に、仮りに、2mずらした状態で、2m四方の採光穴を、必要な数、開けておくと、回転した時は、2mずらして開けた穴が、前方向にずれて、穴は塞がれ、堤防の役目を果たすことができ」る点に加え、「落下式堤防」において、「自動」で「重り付きシート」を落下させる点、「この堤防の大きさや、設置する場所により、価値を高めるため、公営住宅観光宿泊施設」「を設ける」点、「落下式堤防」を「川の両岸」に設置し、「その上部を、直接、又は川の中に柱を建て、横材で、対岸の落下式堤防の上部と固定し、水圧に耐えられるよう補強すれば、大洪水や津波で逆流した時に、有効であるし、河沿いの柵の上に、上流からの水流が、柵とシートの間に入らないように、シートの上流側の端に、進入防護板と、シートを安定させるための外側の柵を、設置すれば、柵の高さまでの洪水や、津波での逆流にも耐えられる」点、「台風、竜巻の暴風対策に使え、陸に上った津波を止めたり、山に設置することで、山火事の延焼防止、石油コンビナートを囲めば、海に流れ出た石油の拡散防止と延焼防止に使えるものであ」る点、「回転式堤防」において、「自動」で「固定を解除」する点、「場所と大きさを変えることで、海沿いの、従来のコンクリート堤防の上に設置すれば、景観を壊さずに、コンクリート堤防の補強ができるし、上陸した津波を止めるために、道路の上に設置することもでき」る点、「海側海底から斜め材で補強したり、監視カメラや漁礁」、「公営住宅」、「屋根部分に」、「避難所、観光宿泊施設」を配置する点を、記載した箇所は存在せず、また、当初明細書等の記載全体を参酌しても、上記した点が自明といえるものでもない。

イ したがって、本件手続補正で、請求項1を補正した事項は、当初明細書等に記載された事項でなく、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてした補正とは、認められないものである。


4 審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、請求書において以下のとおり主張している。

【2.拒絶査定の要点】
請求項2だけは、「請求項の削除や限定的減縮、誤記の訂正の何れを目的とするものではない」として、補正の却下、及び拒絶査定を受けた。
【3.立証の趣旨】
起案日、平成26年9月11日の拒絶理由、請求項2については、「家屋の1階と2階の壁の上部を?シートで編むように降ろ」す点、火災発生時に、地震計と連動させる点、柱に誘導管を付ける点の3点の指摘がなされていた。そして、この3点の部分は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されているとは認められない」、と書かれており、そうなると、請求項2のほとんどの部分が認められなくなり、意味が通じなくなる。そこで、自分は、審査官が、請求項2に関しては、最初から判かりやすく書き直させようとしていると考え、最初に添付した明細書に近い形で、書き直した。又、「特に」という言葉が使われていたので他にも、直すべき部分があると考えた。
【4.本願発明が特許されるべき理由】
審査官が書いている請求項2の拒絶理由の文章が、初めから「家屋の1階と2階の壁の上部を?シートで編むように降ろ」す、という記載の中で、「火災発生時に、地震計と連動させ」る点、「柱に誘導管を付け」る点の2点については、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面に記載されていると認められない」、という書き方であったならば、自分は請求項2を最初から書き直すことはなかった。
【5.むすび】
もし、請求理由4のような表現で書かれていたなら、請求項2は、「家の倒壊と延焼を防ぐ発明は、敷地の四隅や主要場所に、硬い地盤まで打ち込んで柱を建て、横材で結び、家屋の1階と2階の壁の上部を、帯状の材料で回し、柱に吊り上げるようにして固定し、柱の最上部に、重り付きシートを巻いたものを固定し、手動操作で、シートを降ろし、家全体を包み込めば、強度を増すことができるものである。」となり【0004】は、「第3の手段は、主に木造住宅の周りに柱を建て、横材でつなぎ、最上部に、巻いたシートを固定しておき、1階と2階の壁の上部を 帯状の材料で回し、1階と2階の屋根部分を、柱に吊り上げるような形で固定しておくことで、手動により、シートを落下させ、家全体を包み込み、倒壊と延焼から守る」となり、【0020】は、「第3の手段として、主に木造家屋の敷地の四隅や、主要場所に、柱を建て、横材で結び、最上部に、シートを巻いたものを固定させて、手動操作により、シートを降ろし、家全体を包み込むが、延焼を防ぐ目的を達成するため、倒壊を防ぐ必要があり、1階と2階の壁の上部を、厚さ10cm位の帯状の材料で回し、柱に吊り上げるようにして固定する。」と、なっていた。

イ 【2.拒絶査定の要点】について
審査官は、平成26年9月11日付けの拒絶理由通知(最後)において、請求項1ないし4についての補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないことを指摘していることから、請求項2だけではなく、請求項1ないし4全てが拒絶査定を受けている。

ウ 【4.本願発明が特許されるべき理由】、【5.むすび】について
仮に、審判請求人の主張するように、請求項2を「家の倒壊と延焼を防ぐ発明は、敷地の四隅や主要場所に、硬い地盤まで打ち込んで柱を建て、横材で結び、家屋の1階と2階の壁の上部を、帯状の材料で回し、柱に吊り上げるようにして固定し、柱の最上部に、重り付きシートを巻いたものを固定し、手動操作で、シートを降ろし、家全体を包み込めば、強度を増すことができるものである。」と補正したとしても、請求項1、3及び4については、補正しないのであるから、平成26年9月11日付けの拒絶理由通知(最後)において指摘した拒絶理由が解消しているわけではないが、請求項2を上記のように補正した場合について、一応検討しておく。
願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、「硬い地盤まで打ち込んで柱を建て」る点、「シート」が「重り付きシート」である点を、直接的に記載した箇所は存在せず、また、当初明細書等全体を見ても、上記した点が自明といえるものでもない。

よって、審判請求人の主張は採用できない。


5 むすび
本件手続補正による請求項1の補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、その余の補正事項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-03 
結審通知日 2015-08-11 
審決日 2015-08-26 
出願番号 特願2013-232533(P2013-232533)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (E02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 祐介西田 秀彦  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 門 良成
中田 誠
発明の名称 大地震による被害を小さくする方法  

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