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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B61B
管理番号 1307198
審判番号 不服2014-22066  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-30 
確定日 2015-10-29 
事件の表示 特願2010- 47296号「ホーム柵装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 9月15日出願公開、特開2011-178354号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成22年3月4日の出願であって、平成26年7月30日付け(発送日:同年8月5日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成26年10月30日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本件発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
(1)「【請求項1】
一対の扉体を支持して案内する2つのリニアレールと、
前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ前記リニアレールにより案内されるスライドブロックと、
前記各扉体を2つの駆動モータの駆動により進退動作させる2つの駆動ベルトと、を備え、
前記各リニアレールおよび前記各駆動ベルトは、前記ホーム柵本体内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており、
前記各スライドブロックは、前記各扉体が前記ホーム柵本体内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置され、
前記各駆動モータを含む駆動系は、前記ホーム柵本体のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置され、前記各駆動ベルトがかけられている、ホーム柵装置。」
とあったものを
(2)「【請求項1】
一対の扉体を支持して案内する2つのリニアレールと、
前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ前記リニアレールにより案内されるスライドブロックと、
前記各扉体を2つの駆動モータの駆動により進退動作させる2つの駆動ベルトと、を備え、
前記各リニアレールおよび前記各駆動ベルトは、前記ホーム柵本体内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており、
前記各スライドブロックは、前記各扉体が前記ホーム柵本体内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置され、
前記各駆動モータを含む駆動系は、前記2つのリニアレールの間に挟まれるように当該2つのリニアレールから離間して、前記ホーム柵本体の上下方向のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置され、前記各駆動ベルトがかけられ、前記各駆動モータは、前記ホーム柵本体の中央に異なる高さ位置となるように設置されている、ホーム柵装置。」
と補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付したものである。)

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「各駆動モータを含む駆動系」に関して、「前記2つのリニアレールの間に挟まれるように当該2つのリニアレールから離間して、」前記ホーム柵本体の「上下方向の」ほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置されることを限定するとともに、「各駆動モータ」に関して、「前記ホーム柵本体の中央に異なる高さ位置となるように設置されている」との限定を付加したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.刊行物の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-29410号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「扉装置」に関し、図面と共に、以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、戸袋の両端に設けた第1開口と第2開口のそれぞれから扉体が出入りする扉装置に関する。」

イ.「【0023】
第1駆動機構(220)としては、戸袋(111)の側に固定された第1固定部(221、223)と、第1移動部(225)と、第1移動部(225)を第1固定部(221、223)に対して直線的に相対移動させる第1移動機構(222、225)と、相対移動のための駆動力を発生する第1駆動部(224)とを有するものを用いるとよい。同様に、第2駆動機構(320)としては、戸袋(111)の側に固定された第2固定部(321、323)と、第2移動部(325)と、第2移動部(325)を第2固定部(321、323)に対して直線的に相対移動させる第2移動機構(322、325)と、相対移動のための駆動力を発生する第2駆動部(324)とを有するものを用いる。」(下線は当審で付与。以下同様。)

ウ.「【0030】片開き扉装置120は、片方にだけ開口を有する戸袋121と、先の開口を通じて出没する1枚の扉122と、この扉122を進退移動させるための図示省略した駆動機構とを備えている。両開き扉装置110は、両端に開口を有する戸袋111と、第1扉体200と、第2扉体300と、第1扉体200を進退移動させるための機構部を成す第1駆動機構220と、第2扉体300を進退移動させるための駆動部を成す第2駆動機構320とを備えている。」(下線は当審で付与。以下同様。)

エ.「【0032】図1は、両開き扉装置110の構成を概略図示したものである。また図7は、第1開口112側の戸袋端部を破断して戸袋111の内部を見た様子の概略図である。図示するように、戸袋111の一端に設けた第1開口112を通じて出没する第1扉体200は、所定の厚みを有する平板矩形状を成している。第1扉体200の後端部のうち、上端近傍の一部から、第1扉体200が戸袋111へ入る際の進行方向側(矢印201で示す方向)に向けて第1連結部210が突出している。
【0033】第1連結部210は、図6に示すように、第1扉体200の後端から第1扉体200と同一平面内で扉の没入時進行方向へ所定量だけ矩形状に突出した扉体突出部211と、この扉体突出部211に一端側を重ねてねじ止めされ、かつ他端側が扉体突出部211よりも扉の没入時進行方向へさらに突出した矩形平板状の連結ベース部212とから成る。
【0034】戸袋111のうち第1開口112を設けた端部と反対側の端部に設けた第2開口113を通じて出没する第2扉体300は、第1扉体200と同様に所定の厚みを有する平板矩形状を成している。第2扉体300の後端部のうち、下端近傍の一部からは、第2扉体300が戸袋111へ入る際の進行方向側(矢印202で示す方向)に向けて第2連結部310が突出している。
【0035】第2連結部310は、図6に示すように、第2扉体300の後端下部から第2扉体300と同一平面内で扉の没入時進行方向へ所定量だけ矩形状に突出した扉体突出部311と、扉体突出部311に一端側を重ねてねじ止めされ、かつ他端側が扉体突出部311よりも扉の没入時進行方向へさらに突出した矩形平板状の連結ベース部312とから成る。」

オ.「【0038】この上部フレーム221の上面には、開閉移動する第1扉体200を案内するための第1扉用ガイドレール231が取り付けてある。連結ベース部212には、第1扉用ガイドレール231に係合する被案内部としての第1扉用ガイドローラ232が取り付けてある。第1扉体200の荷重のほとんどは、第1扉用ガイドローラ232および第1扉用ガイドレール231を介して上部フレーム221で受ける構造になっている。」

カ.「【0041】上部フレーム221の下面の両端近傍には第1扉用固定部材223が取り付けてあり、第1駆動機構220を構成する第1扉用ボールねじ222の両端部が第1扉用固定部材223によって回動可能に支持されている。
【0042】第1扉用ボールねじ222は、第2開口113の側の基端部が電動モータからなる第1扉用駆動部224に所定の減速機構を介して接続されている。第1扉用駆動部224は第1扉用固定部材223に固定されている。第1連結部210の連結ベース部212には、第1扉用ボールねじ222に螺合されたナット部材を含む第1扉用移動部225が固定されている。第1扉用移動部225のナット部材は回動不能になっている。」

キ.「【0044】第1扉用ボールねじ222は、少なくとも第1扉体200を進退移動させるべき所定範囲に対応した長さ(第1扉体200の開閉行程距離以上の長さ)があり、第1扉体200の移動に従って第1扉用移動部225が進退移動する範囲をカバーする位置に配置されている。」

ク.「【0045】 戸袋111のうち第1扉体200および第2扉体300を挟んで反軌道側の内側下部には、第2連結部310に対応する高さで戸袋111のほぼ幅一杯に渡って水平に延設された下部フレーム321が設けてある。この下部フレーム321の下面には、開閉移動する第2扉体300を案内するための第2扉用ガイドレール331が取り付けてある。連結ベース部312には、第2扉用ガイドレール331に係合する被案内部としての第2扉用ガイドローラ332が取り付けてある。第2扉体300の荷重のほとんどは、第2扉用ガイドローラ332および第2扉用ガイドレール331を介して下部フレーム321で受ける構造になっている」

ケ.「【0047】下部フレーム321の上面には、その両端近傍に第2扉用固定部材323が取り付けてあり、第2駆動機構320を構成する第2扉用ボールねじ322の両端部が第2扉用固定部材323によって回動可能に支持されている。
【0048】第2扉用ボールねじ322は、第1開口112の側の基端部が、電動モータからなる第2扉用駆動部324に所定の減速機構を介して接続されている。第2扉用駆動部324は、第2扉用固定部材323に固定されている。第2連結部310の連結ベース部312には、第2扉用ボールねじ322に螺合されたナット部材を含む第2扉用移動部325が固定されている。第2扉用移動部325のナット部材は回動不能になっている。」

コ.「【0053】
停止位置では、第1連結部210の連結ベース部212の部分が相手方となる第2扉体300と同一平面上になく、側方(図の手前…反軌道側)になる。同様に第2連結部310の連結ベース部312の部分が相手方となる第1扉体200と同一平面上になく、側方(図の手前…反軌道側)になる。さらに、第2扉用L字型部材340の水平部340bが第1扉体200の上端よりも上方に位置し、第1扉用L字型部材240の水平部240bが第2扉体300の下端よりもさらに下側にあるので、これらが相手方の扉と衝突することはない。
【0054】したがって、第1扉体200の後端と第2扉体300側の扉体突出部311とが接触する直前または第2扉体300の後端と第1扉体200側の扉体突出部211とが接触する直前まで、第1扉体200と第2扉体300とを近づけることができる。また第1駆動機構220と第2駆動機構320を第1扉体200および第2扉体300の表裏面のうちいずれか一方の側に揃えて配置したので、第1駆動機構220と第2駆動機構320とを扉体の表面側と裏面側に分けて配置する場合に比べて、戸袋111の厚みを薄くすることができる。」

サ.「【0055】さらに第1駆動機構220および第2駆動機構320を第1扉体200や第2扉体300に対して軌道と反対側、すなわちプラットホームの内側寄りに配置したので、本装置の設置および保守点検作業を柵の内側(反軌道側)から行うことができ、作業の安全性を高めることができる。」

シ.「【0060】さらに実施の形態では、第1駆動機構220および第2駆動機構320をナット部とボールねじとから成るねじ送り機構で構成したが、たとえば、扉の移動行程距離にわたって架設した無端のベルトを駆動部によって周回させ、当該ベルトの所定箇所に移動部を取り付け、この移動部を各扉体の連結部に連結するような構成としてもよい。」

上記各記載事項及び各図面の図示内容から、以下のことが認定できる。

ス.記載事項オ.には「連結ベース部212には、第1扉用ガイドレール231に係合する被案内部としての第1扉用ガイドローラ232が取り付けてある」ことが、記載事項ク.には「連結ベース部312には、第2扉用ガイドレール331に係合する被案内部としての第2扉用ガイドローラ332が取り付けてある」ことが記載され、さらに、記載事項コ.(段落【0053】)の「停止位置では、第1連結部210の連結ベース部212の部分が相手方となる第2扉体300と同一平面上になく、側方(図の手前…反軌道側)になる。同様に第2連結部310の連結ベース部312の部分が相手方となる第1扉体200と同一平面上になく、側方(図の手前…反軌道側)になる」との記載並びに【図1】及び【図8】の図示内容から、両開き扉装置110は、第1扉体200及び第2扉体300が戸袋111の内部に収容されている状態で、第2扉体300の一側に位置し、第1扉用ガイドレール231に係合する被案内部としての第1扉用ガイドローラ232と、第1扉体200の一側に位置し、第2扉用ガイドレール331に係合する被案内部としての第2扉用ガイドローラ332とを備えることが理解できる。

セ.記載事項キ.の記載内容、並びに【図1】及び【図7】の配置関係から、第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331並びに第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322は、前記戸袋111内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されていることが理解できる。

ソ.記載事項エ.の段落【0033】によれば、第1連結部210は、扉体突出部211と連結ベース部212とから成るものであり、同段落【0035】によれば、第2連結部310は、扉体突出部311と連結ベース部312とから成るものであるところ、さらに【図6】ないし【図8】を参酌すると、第1連結部210及び第2連結部310は、第1扉体200及び第2扉体300が戸袋111内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置されていることが理解できる。

タ.【図1】の図示内容から、電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331の間に挟まれるように、戸袋111内で異なる高さ位置となるように設置され、各電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324は、前記戸袋111の異なる高さ位置となるように設置されていることが理解できる。

これら記載事項、図示内容及び各認定事項を総合し、本願補正発明の記載ぶりに倣って整理すると、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている。
「第1扉体200及び第2扉体300を支持して案内する第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331と、
前記第1扉体200及び第2扉体300が戸袋111の内部に収容されている状態で、第2扉体300の一側に位置し、第1扉用ガイドレール231に係合する被案内部としての第1扉用ガイドローラ232と、第1扉体200の一側に位置し、第2扉用ガイドレール331に係合する被案内部としての第2扉用ガイドローラ332と、
前記第1扉体200及び第2扉体300を電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324の駆動により進退移動させる第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322と、を備え、
前記第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331および前記第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322は、前記戸袋111内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており、
前記第1扉用ガイドローラ232及び第2扉用ガイドローラ332は第1連結部210及び第2連結部310の連結ベース212及び連結ベース312に取り付けられ、前記第1連結部210及び第2連結部310は、前記第1扉体200及び第2扉体300が前記戸袋111内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置され、
前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)は、前記第1扉用ガイドレール231が取り付けられている上部フレーム221の下面にある第1扉用固定部材223に固定され、前記電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、前記第2扉用ガイドレール331が取り付けられている下部フレーム321の上面にある第2扉用固定部材323に固定され、前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、前記第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331の間に挟まれるように前記戸袋111内で異なる高さ位置となるように設置され、前記第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322が接続され、前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324は、前記戸袋111の異なる高さ位置となるように設置されている、両開き扉装置110。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-334579号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「プラットホーム用可動柵」に関し、図面(特に【図4】 を参照。)と共に、以下の事項が記載されている。

チ.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駅のプラットホームに設置して、乗客の転落事故及び列車と乗客との接触事故を防止するプラットホーム用可動柵に関する。」

ツ.「【0020】左側の扉体12は、図4に示すように、本体部35と支持部36とから成っている。本体部35は、右側の扉体13の本体部18と同等の形状であり、扉体12が後退位置にあるときに戸袋11内に収容され、扉体12が前進位置にあるときにこの本体部35がプラットホーム6の乗降口8を閉じることができる。支持部36は、本体部35よりも小さく、正面形状が矩形の平らな板状体であり、本体部35の戸袋11の内側に向かう方の縁部(右側縁部)の上部と結合しており、この支持部36及びその近傍に2つのスライドブロック32、32が互いに所定の間隔を隔てて設けられている。図4に示すように、この2つのスライドブロック32を通る水平線の少し下がった位置に、本体部35の戸袋11から露出する露出部分の中央部37が位置している。
【0021】ここで、左右一対のリニアレール15と16は、図3及び図4に示すように、戸袋11内の同一垂直平面内に配置して設けてある。そして、左右一対の扉体12と13は、戸袋11の厚み方向にリニアレール15、16と間隔を隔てて、戸袋11内の同一垂直平面内に配置して設けてある。更に、左右一対のリニアレール15と16は、図4に示すように、上下方向に互いに間隔を隔てて設けてあり、戸袋11の中央部側に向かう夫々の後方側部が長さ方向にeの長さだけ互いに重なり合っている。また、支持部36と19は、上下方向に互いに間隔を隔ててeを少し超える長さだけ互いに重なり合っている。」

テ.上記記載事項ツ.(段落【0021】)の「支持部36と19は、上下方向に互いに間隔を隔ててeを少し超える長さだけ互いに重なり合っている。」との記載、及び【図4】を参酌すると、支持部36と19の各スライドブロック32は、各扉体12,13が戸袋11内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置されていることが看取できる。


3.対比
本願補正発明と刊行物発明とを対比すると、その意味、機能または構造からみて、
・後者の「第1扉体200及び第2扉体300」は前者の「一対の扉体」に、後者の「第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331」は前者の「2つのリニアレール」に相当する。

(ア)前者の「前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ・・・るスライドブロック」は、本願明細書の段落【0034】の記載内容によれば、「右側扉体3および左側扉体4がホーム柵本体2の内部に収容されている状態で、右側扉体3のスライドブロック25が左側扉体4の一側に位置するとともに、左側扉体4のスライドブロック25が右側扉体3の一側に位置する」ことを意味すると解され、また、後者の「戸袋111」は前者の「ホーム柵本体」に相当し、後者の「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」と前者の「スライドブロック」とは、「スライド部材」という点で共通しているから、
後者の「前記第1扉体200及び第2扉体300が戸袋111の内部に収容されている状態で、第2扉体300の一側に位置し、第1扉用ガイドレール231に係合する被案内部としての第1扉用ガイドローラ232と、第1扉体200の一側に位置し、第2扉用ガイドレール331に係合する被案内部としての第2扉用ガイドローラ332」と、
前者の「前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ前記リニアレールにより案内されるスライドブロック」とは、
「前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ前記リニアレールにより案内されるスライド部材」という限りにおいて共通でする。

(イ)後者の「電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324」は前者の「2つの駆動モータ」に相当し、後者の「第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」と前者の「2つの駆動ベルト」とは、「2つの駆動伝達手段」という限りにおいて共通するから、後者の「前記第1扉体200及び第2扉体300を電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324の駆動により進退移動させる第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」と前者の「前記各扉体を2つの駆動モータの駆動により進退動作させる2つの駆動ベルト」とは「前記各扉体を2つの駆動モータの駆動により進退動作させる2つの駆動伝達手段」という限りにおいて共通する。

(ウ)後者の「前記第1扉用ガイドレール231と第2扉用ガイドレール331及び前記第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322は、前記戸袋111内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており」と、
前者の「前記各リニアレールおよび前記各駆動ベルトは、前記ホーム柵本体内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており」とは、「前記各リニアレールおよび前記各駆動伝達手段は、前記ホーム柵本体内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており」という限りにおいて共通する。

(エ)後者の「電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)」は前者の「各駆動モータを含む駆動系」に相当する。
また、後者は「前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)は、前記第1扉用ガイドレール231が取り付けられている上部フレーム221の下面にある第1扉用固定部材223に固定され、前記電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、前記第2扉用ガイドレール331が取り付けられている下部フレーム321の上面にある第2扉用固定部材323に固定され」るものであるところ、前者の「上下方向のほぼ中央」は、その範囲が必ずしも明らかでなく上下方向のまんなかの位置あるいは中心の位置を含めた広範囲の領域と解釈できること、前者の「リニアレールから離間して」は、どの程度の離間であるかの限定がされていないこと、そして、【図1】に示された配置関係から、後者は、電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331から離間して、戸袋111の上下方向のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置されているといえる。
このことから、後者の「前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)は、前記第1扉用ガイドレール231が取り付けられている上部フレーム221の下面にある第1扉用固定部材223に固定され、前記電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、前記第2扉用ガイドレール331が取り付けられている下部フレーム321の上面にある第2扉用固定部材323に固定され、前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)は、前記第1扉用ガイドレール231及び第2扉用ガイドレール331の間に挟まれるように前記戸袋111内で異なる高さ位置となるように設置され」は、
前者の「前記各駆動モータを含む駆動系は、前記2つのリニアレールの間に挟まれるように当該2つのリニアレールから離間して、前記ホーム柵本体の上下方向のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置され」に相当する。

(オ)後者の「前記第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322が接続され」と前者の「前記各駆動ベルトがかけられ」とは、「前記各駆動伝達手段が接続され」という限りにおいて共通する。

(カ)後者の「前記電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324は、前記戸袋111の異なる高さ位置となるように設置されている」と前者の「前記各駆動モータは、前記ホーム柵本体の中央に異なる高さ位置となるように設置されている」とは、「前記各駆動モータは、前記ホーム柵本体の異なる高さ位置となるように設置されている」という限りにおいて共通する。

(キ)後者の「両開き扉装置110」は前者の「ホーム柵装置」に相当する。

そうすると、両者は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「一対の扉体を支持して案内する2つのリニアレールと、
前記各扉体のうちホーム柵本体内側の一側に取付けられ前記リニアレールにより案内されるスライド部材と、
前記各扉体を2つの駆動モータの駆動により進退動作させる2つの駆動伝達手段と、を備え、
前記各リニアレールおよび前記各駆動伝達手段は、前記ホーム柵本体内で一部が上下方向で重なり合うように異なる高さに設置されており、
前記各駆動モータを含む駆動系は、前記2つのリニアレールの間に挟まれるように当該2つのリニアレールから離間して、前記ホーム柵本体の上下方向のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置され、前記各駆動伝達手段が接続され、前記各駆動モータは、前記ホーム柵本体に異なる高さ位置となるように設置されている、ホーム柵装置。」

そして、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
「スライド部材」に関し、
本願補正発明は、「スライドブロック」であり、「前記各スライドブロックは、前記各扉体が前記ホーム柵本体内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置され」ているのに対し、
刊行物発明は、「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」であり、「前記第1扉用ガイドローラ232及び第2扉用ガイドローラ332は第1連結部210及び第2連結部310の連結ベース212及び連結ベース312に取り付けられ、前記第1連結部210及び第2連結部310は、前記第1扉体200及び第2扉体300が前記戸袋111内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置され」ているものであるが、「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」が上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置されているか明らかでない点。

[相違点2]
「各駆動モータを含む駆動系」に関し、
本願補正発明は、「2つの駆動伝達手段」として、「2つの駆動ベルト」を備え、「前記各駆動モータは、前記ホーム柵本体の中央に異なる高さ位置となるように設置されている」のに対し、
刊行物発明は、「2つの駆動伝達手段」として、「第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」を備え、「駆動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324は、前記戸袋111の異なる高さ位置となるように設置されている」ものであるが、前記戸袋111の中央とはいえない点。

4.判断
(1)[相違点1]について検討する。
刊行物2には、支持部36と19の各スライドブロック32を、各扉体12,13が戸袋11内に収容されている状態で、上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置することが記載されている。(以下、「刊行物2に記載されている事項」という。)
刊行物発明の「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」が取り付けられている第1連結部210及び第2連結部310が上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置されているものであるところ、「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」の取り付け位置は第1扉体及び第2扉体の重量等により、当業者が適宜設定し得ることであるから、刊行物2に記載されている支持部36と19の各スライドブロック32の配置関係に倣い、「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」を上下方向において少なくとも一部が重なり合うように配置することは当業者が容易に想到し得たことである。
またその際に、プラットホーム用の可動柵のスライド部材として、スライドブロックを用いることは、刊行物2のスライドブロック32にみられるように従来周知の技術であり、刊行物発明の「第1扉用ガイドローラ232」及び「第2扉用ガイドローラ332」をスライドブロックに変更することは当業者であれば適宜になし得ることである。

よって、刊行物発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)[相違点2]について検討する。
刊行物1の記載事項シ.(段落【0060】)に「第1駆動機構220および第2駆動機構320をナット部とボールねじとから成るねじ送り機構で構成したが、たとえば、扉の移動行程距離にわたって架設した無端のベルトを駆動部によって周回させ、当該ベルトの所定箇所に移動部を取り付け、この移動部を各扉体の連結部に連結するような構成としてもよい。」と記載されているように(以下、「刊行物1に記載されている事項という。)、刊行物発明の「第1駆動機構220および第2駆動機構320」を「第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」による機構から扉の移動行程距離にわたって架設した「無端のベルト」による機構に変更することは当業者が容易に想到し得たことである。
また、両扉型のプラットホーム用可動柵装置において、各扉を開閉するための機構である歯付きベルトを進退動作するための駆動モータを、前記戸袋の中央に異なる高さ位置となるように設置することは、従来周知の技術であり(一例として、特開2006-219038号公報の【図1】を参照。)、「第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」による機構から「無端のベルト」による機構に変更する際に、当該周知技術を参考にして、駆動モータからなる第1扉用駆動部224及び第2扉用駆動部324を、戸袋111の中央に異なる高さ位置となるように設置することは当業者が容易に想到し得たことである。

よって、刊行物発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)本願補正発明による効果も、刊行物発明、刊行物1及び2に記載されている事項及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

(4)審判請求人の主張
請求人は、審判請求書の3.(c) (イ) において「本願発明の場合、駆動モータを含む駆動系が、2つのリニアレールの間に挟まれるように当該2つのリニアレールから離間して、ホーム柵本体の上下方向のほぼ中央に異なる高さ位置となるように設置されるとともに、各駆動モータが、前記ホーム柵本体の中央に異なる高さ位置となるように設置されるので、駆動系、特にモータ周辺をホーム柵本体の中央に集中して配置することができるだけでなく、駆動系から独立させてリニアレールをホーム柵本体の上下端側に大きく離して配置することにもなる。これにより、駆動系の組み付けやメンテナンスが容易になり、2つのリニアレールを簡易に駆動系やガイドレールから十分離して配置でき扉体のガタツキを低減することにもなる。」旨主張している。
しかしながら、上記「3.(エ)」で述べたとおり、「上下方向のほぼ中央」は、まんなかの位置あるいは中心の位置を含む広範囲な領域と解釈できるから、刊行物発明の「電動モータからなる第1扉用駆動部224及び第1移動機構(222,225)、並びに電動モータからなる第2扉用駆動部324及び第2移動機構(322,325)」の配置と本願補正発明の「駆動モータを含む駆動系」の配置とは差異はない。また、「リニアレールから離間して」は、どの程度の「離間」であるかの限定がされていないから、同様に配置に差異がない。仮に、「離間して」を、刊行物発明のように上部・下部フレームや第1及び第2扉用固定部材を介して一連ではなく、駆動系とリニアレールとが独立した固定構造をしていると解釈し得たとしても、刊行物1に記載されている「第1及び第2扉用補助ガイドレール241,341」を本願補正発明の「2つのリニアレール」と相当関係にあるとみると独立した固定構造をとる「離間」となり、差異はないことになる。
そして、刊行物発明の「第1扉用ボールねじ222及び第2扉用ボールねじ322」に代えて、「無端ベルト」を採用する際に、周知技術の歯付きベルトを駆動する駆動モータの配置を含めて転用すれば、幅方向中央に駆動モータが配置されることになる。
効果の予測性についていえば、刊行物1の記載事項サ.に記載されているように、保守点検作業の容易性、安全性を考慮して、各機器の配置を設計するのが通常であるから、メンテナンスが容易となる効果も当業者が予測しうる程度のものである。
よって、請求人の主張は認められない。

したがって、本願補正発明は、刊行物発明、刊行物1及び2に記載されている事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成26年2月10日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記「第2.1.(1)」に記載したとおりである。

2.刊行物の記載事項
刊行物の記載事項は、前記「第2.2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、前記「第2.1.」に記載した限定事項を省くものである。そうすると、本願発明の発明特定事項を含み、さらに、前記「第2.1.(2)」の限定事項により減縮したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.3.及び4.」に記載したとおり、刊行物発明、刊行物1及び2に記載されている事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、刊行物発明、刊行物1及び2に記載されている事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、刊行物発明、刊行物1及び2に記載されている事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-25 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2015-09-14 
出願番号 特願2010-47296(P2010-47296)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B61B)
P 1 8・ 121- Z (B61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小岩 智明鈴木 敏史  
特許庁審判長 氏原 康宏
特許庁審判官 島田 信一
櫻田 正紀
発明の名称 ホーム柵装置  
代理人 福田 充広  
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