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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1307200
審判番号 不服2014-24237  
総通号数 192 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2015-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-28 
確定日 2015-10-29 
事件の表示 特願2010- 26563「グリーン発電装置、携帯機器、蓄電装置、及びグリーン電力情報の管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月25日出願公開、特開2011-164900〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成22年2月9日付で出願され、平成26年1月6日付けで拒絶理由通知がなされ,平成26年3月5日に手続補正がなされたが,平成26年8月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年11月28日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成27年2月13日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成26年11月28日の手続補正の補正却下の決定について

[補正却下の決定の結論]

平成26年11月28日の手続補正を却下する。

[理由]

1.手続補正の内容

平成26年11月28日の手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の請求項1、11、13、15は次のとおりに補正された(下線は,審判請求人が付与したものである。)。

「 【請求項1】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、 前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得し、取得した当該発電量情報の正当性を証明するとともに発電場所に関する情報を含む発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、を備える、グリーン発電装置。

「 【請求項11】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された発電量情報の正当性を証明するとともに発電場所に関する情報を含む発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、を有するグリーン発電装置から、前記グリーン発電部により発電された電力の供給を受けて充電されるバッテリと、
前記バッテリが前記グリーン発電部から電力の供給を受けて充電される際、前記発電証明書発行部により発行された発電証明書を取得する証明書取得部と、
前記バッテリの蓄電効率に基づいて前記発電証明書により証明される発電量情報を修正する発電量修正部と、
前記発電量修正部により修正された発電量情報の正当性を証明するための蓄電証明書を発行する蓄電証明書発行部と、
を備える、
蓄電装置。」

「 【請求項13】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、を有するグリーン発電装置から、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得された発電量情報の正当性を証明するとともに発電場所に関する情報を含む発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行ステップと、
を含む、
グリーン電力情報の管理方法。」

「 【請求項15】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された発電量情報の正当性を証明するとともに発電場所に関する情報を含む発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、を有するグリーン発電装置から、前記グリーン発電部により発電された電力の供給を受けてバッテリを充電する充電制御ステップと、
前記充電制御ステップにて前記グリーン発電部から電力の供給を受けた場合、前記発電証明書発行部により発行された発電証明書を取得する証明書取得ステップと、
前記バッテリの蓄電効率に基づいて前記発電証明書により証明される発電量情報を修正
する発電量修正ステップと、
前記発電量修正ステップにて修正された発電量情報の正当性を証明するための蓄電証明書を発行する蓄電証明書発行ステップと、
を含む、
グリーン電力情報の管理方法。」

一方、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1、11、13、15は次のとおりである。

「【請求項1】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、
前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得し、取得した当該発電量情報の正当性を証明するための発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、
を備える、グリーン発電装置。」

「【請求項11】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された発電量情報の正当性を証明するための発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、を有するグリーン発電装置から、前記グリーン発電部により発電された電力の供給を受けて充電されるバッテリと、
前記バッテリが前記グリーン発電部から電力の供給を受けて充電される際、前記発電証明書発行部により発行された発電証明書を取得する証明書取得部と、
前記バッテリの蓄電効率に基づいて前記発電証明書により証明される発電量情報を修正する発電量修正部と、
前記発電量修正部により修正された発電量情報の正当性を証明するための蓄電証明書を発行する蓄電証明書発行部と、
を備える、
蓄電装置。」

「 【請求項13】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、を有するグリーン発電装置から、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得された発電量情報の正当性を証明するための発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行ステップと、
を含む、
グリーン電力情報の管理方法。」

「 【請求項15】
再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部と、
前記グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部と、前記発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された発電量情報の正当性を証明するための発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する発電証明書発行部と、を有するグリーン発電装置から、前記グリーン発電部により発電された電力の供給を受けてバッテリを充電する充電制御ステップと、
前記充電制御ステップにて前記グリーン発電部から電力の供給を受けた場合、前記発電証明書発行部により発行された発電証明書を取得する証明書取得ステップと、
前記バッテリの蓄電効率に基づいて前記発電証明書により証明される発電量情報を修正する発電量修正ステップと、
前記発電量修正ステップにて修正された発電量情報の正当性を証明するための蓄電証明書を発行する蓄電証明書発行ステップと、
を含む、
グリーン電力情報の管理方法。」

2.本件補正の目的

本件補正は,請求項1、11、13、15において,「取得した当該発電量情報の正当性を証明する発電証明書」を「発電場所に関する情報を含むもの」に限定するものであり、請求項1、11、13、15に係る補正は,特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで,本件補正後の請求項13に係る発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際に独立して特許を受けることができるか,すなわち,請求項13に係る補正が,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定を満たすか否かについて検討する。

3.引用文献及び引用発明の認定

(1)原査定の拒絶の理由において引用された特表2003-521205号公報(以下,「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている。 (下線は当審において付与した)

「【0028】
風力タービン発電機3はこの目的のためにコンピュータ10に接続されており、コンピュータ10は風力タービンで発生した電気エネルギ量を表す電子形体の証明書を作成する。本実施の形態では、これらは電子形体すなわちコード状の証明書である。
【0029】
コードは、例えば電話ネットワークあるいはインターネットのような他の通信ネットワークにより形成されるネットワーク11に供給される。ドキュメントは通信ネットワーク11により測定・遮断装置9に供給される。」

してみると、引用文献1には以下の発明(以下、引用発明1という)が記載されているものと認める。

「風力タービン発電機に接続されているコンピュータによって、該風力タービン発電機で発生した電気エネルギ量を表す電子形体すなわちコード状の証明書を作成し、コードはネットワークに供給される、方法」

(2)原査定において周知例として引用された特開2000-11114号(以下、「周知文献1」という。)には,次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した)

「【0011】図5は、秘密鍵/公開鍵を用いた認証アルゴリズムを説明するための模式図である。以下、図3と図4の各ステップと対応付けて該認証アルゴリズムを説明する。商品タグ発行機102は、まず、(イ)証明書を生成し(図3のステップ301)、(ロ)証明書をハッシュすることによりダイジェストを作成し、(ハ)該ダイジェストメッセージを秘密鍵106で暗号化して電子署名を生成する(同ステップ302)。(ニ)証明書と電子署名を商品タグ101のメモリ内に書き込む(同ステップ303,304)。(ホ)商品タグ101から証明書と電子署名を読み出し(図4のステップ401?402)、証明書をハッシュして第1のダイジェストメッセージAを作成するとともに(同ステップ403)、(ヘ)電子署名を公開鍵108で復号化し第2のダイジェストメッセージBを作成し(同ステップ404)、(ト)該作成した第1のダイジェストメッセージAと第2のダイジェストメッセージBを比較し、その一致/不一致によって本物/偽物を判別する(同ステップ405?407)。」

(3)さらに、特開2006-33650号公報(以下、「周知文献2」という)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した)

(3-1)
「【0001】
本発明は、計測装置で計測した計測情報を計測情報利用者に送致する計測システムに係り、特に計測情報の真正を証明する機構に関する。
【0002】
各種計測器における計測情報の真正を証明する情報としては、計測対象となる環境情報(温度、湿度、気圧、排気ガス、振動、電気量など)や計測位置情報、計測時刻情報がある。・・・温度センサー、湿度センサー、振動センサー、電圧計、電流計、電力計など、各種の計測装置により環境情報を取得できる。・・・
【0005】
また、電子データの真正を証明する方式として、電子文書がある特定日時以前に存在していたことと、特定日時以降改ざんされていないことを証明するためのタイムスタンプというものを提供するサービスもある。タイムスタンプは、電子文書に対して第三者機関が正確な時刻とともにディジタル署名することで実現される。このサービスを提供する第三者機関を時刻認証機構などと呼ぶ。
【0006】
ディジタル署名は、ディジタル文書の正当性を保証するために付けられる暗号化された署名情報であり、公開鍵暗号方式の応用によって、文書の作成者を証明し、かつその文書が改ざんされていないことを保証する。署名者は自身の秘密鍵を用いて暗号化した署名を文書に付加して送る。受取人は、署名者の公開鍵を用いて署名を復号し、正しい内容かどうか確認する。第三者による偽造防止の他、署名者がその文書を作成したことの証明にも用いることができるのが特徴である。」

(3-2)「【0008】
従来の計測システムでは、・・・計測装置から取得された計測情報が真実その計測装置で計測された情報であることを後から証明する方法がない。」

(3-3)「【0014】
本発明は、前記の課題を解決するため・・・以下の計測システムを特徴とする。
【0015】
(1)計測装置で計測した計測情報を計測情報利用者に送致する計測システムにおいて、
前記計測装置は、計測対象から計測情報を得る計測器と、秘密鍵を使ってディジタル署名を得るディジタル署名作成モジュールとを一体に設け、前記ディジタル署名作成モジュールによって前記計測情報にディジタル署名を付加する構成とし、
計測情報を受け取った情報利用者側は、公開鍵を使用して前記ディジタル署名を検証することにより前記計測情報が確かに前記計測装置の提供したものであることの確認を得る手段を備えたことを特徴とする。」

(4)さらに、前置審査において周知例として引用された、特開2004-310469号公報(以下、「周知文献3」という)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した)

(4-1)「【0002】
【従来の技術】
従来、発電を行う場合の原料として、原料価格の安さから、石油・石炭が燃料として広く使われている。一方で、近年の環境貢献活動に対する注目度の向上に伴い、太陽光発電や、風力発電などに代表される燃料転換を源とするグリーンエネルギーの利用のみならず、二酸化炭素排出量の削減のための活動も、環境に対する配慮として企業イメージを左右するに至っている。」
(【0002】)

(4-2)「【0043】
以上を実現するため,燃料転換発電の付加価値を評価証明する証書発行事業者側装置14は,インターネット22に接続可能なコンピュータシステム14aを有している。コンピュータシステム14aは,図5に示すように,環境貢献証明システム10を構成するサーバ24として,このサーバ24上に,以下に示す機能を実現する。・・・
【0044】
すなわち,サーバ24は,インターネットなどの通信網を介して燃料交換発電事業者側装置12や電力需要者側装置16などと情報の送受信を行う送受信手段25と,環境貢献度認定者15から環境貢献度数を取得する貢献度数取得手段26と,貢献度取得手段26により取得した環境貢献度数を負荷価値として評価した環境貢献付加価値証明を,燃料転換により炭素排出量を減少させて発電を行う発電事業者12に対して発行する評価証明発行手段28を備えている。・・・
【0046】
さらに,評価証明発行手段28には,印刷機30に接続されており,環境貢献付加価値評価証明として印刷機30で証書を発行する。証書発行事業者側装置14が発行する証書(環境貢献証書)には,環境貢献度数に応じた付加価値(環境付加価値購入価格:炭素排出量の換算値あるいは補助金提供額)に加え,発電場所・発電事業者・発電期間・発電電力量などの電力に関する情報が明記される。・・・
【0047】
また,サーバ24には,外部記憶装置32が接続されている。この外部記憶装置32には,評価証明発行手段28による評価証明発行に応じて,発電事業者または事業補助金提供者を登録名義人とし,この登録名義人対応で前記環境貢献度を登録番号や証書記載事項とともに登録する証明原簿データベースが設けられている。
【0048】
この証明原簿データベースにより証書の管理が行われる。この管理はサーバ24で運営されるホームページや,他のプロバイダが設けた既存システム上の会員制インターネットホームページ等を介して行うことも可能である。証書の発行は,あらかじめ登録された環境貢献度認定者にあらかじめID 番号とパスワードを登録させ,環境貢献証書発行手続きはこの登録者以外がアクセスできないようにする。この管理サイトを開いた環境貢献度認定者15は事実に基づき必要事項を記入する。
【0049】
この管理サイトの管理者は,発行した環境貢献証書の管理を証書発行番号と証書被発行者,証書が発行対象とした発電施設,発電期間,発電量等の必要事項を電子システムにより管理し,発行された証書に誤りがないように管理する。・・・このシステムにより,証書被発行者は,所有権の移転に際し,当管理サイトにアクセスすることにより,その保有する証書の信憑性を第三者に示すことができる。
【0050】
このように,証明内容は電子データとして保管されているので,証明自体も前記のようにペーパーで発行する必要はなく,ICカードなどのような記録媒体を用いた電子証明として発行することができる。その場合,電子証明はインターネットを介して,電力需要者に対し発行することが可能となる。」

(5)加えて、平成26年1月6日付け拒絶理由通知において先行技術文献として示されており、出願当初の請求項に対しては拒絶の理由を構成するものではないとされた、特開2003-108655号公報(以下、「周知文献4」という)には、次の事項が記載されている。(下線は当審において付与した)

「【0087】[小口化グリーン電力証明書DB614のレコード構成例]図10に、小口化グリーン電力証明書DB614のレコード構成例を示す。小口化グリーン電力証明書DB614は、大口電力需要者102(図2参照)に発行されたグリーン電力証明書(小口化される前のグリーン電力証明書)ごとに一のレコードを有している。一のレコードは、契約開始年月フィールド1001、特定契約先発電所IDフィールド1002、名称フィールド1003、所在地フィールド1004、発電事業者名称フィールド1005、代表者名フィールド1006、所在地フィールド1007、連絡先TELフィールド1008、連絡先FAXフィールド1009、連絡先e-mailフィールド1010、契約量フィールド1011、証明書量フィールド1012、証明書分割先情報フィールド1013、最低量証明書単位分割先情報フィールド1014を有している。
【0088】契約開始年月フィールド1001は・・・特定契約先発電所IDフィールド1002は、当該グリーン電力証明書に対応する発電所を一意に特定する情報を格納する。・・・
【0089】契約量フィールド1011は・・・証明書量フィールド1012は、当該発電設備若しくは発電所が実際に発電した実績量を格納する。」


4.対比

本件補正発明と引用発明とを対比する。

(イ)グリーン発電に関して、本願明細書には
・「太陽光、風力、地熱等の再生可能エネルギーを利用した発電方式(以下、再生可能エネルギー発電方式)」(【0002】)、
・「再生可能エネルギー発電方式や低環境負荷発電方式の発電装置(以下、グリーン発電装置)」(【0004】)、
という記載があることから、風力発電を行う発電機は再生可能エネルギーを利用して発電するグリーン発電を行うものであり、引用発明1の「風力タービン発電機」は本件補正発明の「再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部」に相当する。

(ロ)引用発明1の「風力タービン発電機に接続されているコンピュータによって該風力タービン発電機で発生した電気エネルギ量を表す電子形体すなわちコード状の証明書を作成し、コードはネットワークに供給される」ことは、グリーン発電部からの発電量を表す情報を含む証明書を作成するという点で、本件補正発明の「前記情報取得ステップにて取得された発電量情報の正当性を証明するとともに発電場所に関する情報を含む発電証明書を発行する発電証明書発行ステップ」に対応する。
さらに、引用発明1の「電気エネルギ量」はグリーン発電部で発生した情報であるから、引用発明1は「グリーン発電情報の管理方法」に関するものであるといえる。

してみると,本件補正発明と引用発明1は,次の点で一致する。

(一致点)
「再生可能エネルギー又は低環境負荷の発電資源を利用して発電するグリーン発電部により発電された発電量を示す発電量情報についての発電証明書を発行する発電証明書発行ステップと、を備えるグリーン発電情報の管理方法」

一方、本件補正発明と引用発明は,次の点で相違する。

(相違点1)
発電量を測定することについて、本件補正発明はグリーン発電装置が「グリーン発電部により発電された発電量を測定する発電量測定部」を有し、該発電量測定部により測定された発電量を示す発電量情報を取得するステップを含むのに対して、
引用発明1では、コンピュータが電気エネルギ量を表す証明書を作成するために、「風力タービン発電機により発生した電気エネルギ量」を何らかの手段を用いて測定し、該測定した発電量を取得する必要があるものの、その具体的構成について明らかではない点。

(相違点2)
発電証明書について、本件補正発明は「発電場所に関する情報を含む」のに対して、「発電場所に関する情報」を含むものではない点。

(相違点3)
発電証明書発行ステップについて、本件補正発明は「取得した当該発電量情報の正当性を証明する発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する」のに対して、引用発明1の証明書は「発電量情報の正当性を証明」するかどうかは明らかではなく、「発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行する」ものではない点。

5.判断

(相違点1)について

引用発明1においてコンピュータが電気エネルギ量を表す証明書を作成するために、「風力タービン発電機により発生した電気エネルギ量」を何らかの手段を用いて測定し、該測定した発電量を取得する必要がある以上、そのような手段を用いて風力タービン発電機からの発電量を測定し、該手段で測定した発電量をコンピュータが取得する構成をとることは当業者が格別の創作力を要するものではなく、該手段を「発電量測定部」と称すること、風力タービン発電機と発電量測定部をあわせて「グリーン発電装置」と称すること、は当業者が適宜行うべき事項にすぎない。

(相違点2)について

周知文献3や周知文献4に示されるように、グリーンエネルギーによる発電に対して、発電量や発電場所に関する情報をグリーン電力の電子証明や証明書中に含めることはグリーン電力情報の管理における周知技術にすぎず、引用発明1において証明書を作成する場合にこのような情報を含めることは、当業者が適宜行うべき事項にすぎない。

(相違点3)について
周知文献1や周知文献2の(3-1)(3-3)に示されるように、証明書に対し暗号鍵を用いて署名を生成し、この署名を用いて証明書の本物/偽物を判別すること、ある情報に対し暗号鍵を用いて署名を付加してその情報が真正であることを証明する処理における真正であることを証明すべき情報の例として、計測装置によって計測された計測情報としての電気量があることは、ある情報が正しいものであることを証明することに関する周知技術にすぎない以上、引用発明1における証明書に対して当該周知技術を適用することで、発電量情報の正当性を証明する発電証明書を暗号化のための鍵を用いて発行することは当業者が格別の困難なくなしえたものである。

そして、上記相違点を勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

結局,本件補正発明は,引用発明1、及び周知文献1-4の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際に独立して特許を受けることができない。

6.補正却下の決定のむすび

よって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

平成26年11月28日付手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項13に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成26年3月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項13(前記第2の1.の本件補正前の特許請求の範囲の請求項13)に記載された事項により特定されるものである。

第4 引用文献および引用発明の認定

引用文献1、周知文献1-4の記載事項及び引用発明1の認定は,前記第2の3.に記載したとおりである。

第5 対比及び判断

本願発明は,本件補正発明から前記第2の2.に示した限定事項を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2に記載したとおり,引用発明1及び周知文献1-4の記載事項に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび

以上のとおり,本願発明は,引用発明1及び周知文献1-4の記載事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-27 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2015-09-14 
出願番号 特願2010-26563(P2010-26563)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大野 朋也  
特許庁審判長 金子 幸一
特許庁審判官 緑川 隆
川崎 優
発明の名称 グリーン発電装置、携帯機器、蓄電装置、及びグリーン電力情報の管理方法  
代理人 亀谷 美明  
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