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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01R
管理番号 1307882
審判番号 不服2014-5812  
総通号数 193 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-03-31 
確定日 2015-11-18 
事件の表示 特願2010-548212「インピーダンス制御電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 9月24日国際公開、WO2009/115922、平成23年 7月 7日国内公表、特表2011-519463〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年2月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2008年2月26日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成24年2月21日付けの拒絶理由通知に対して、同年6月28日に意見書及び手続補正書が提出され、さらに同年12月19日付けの拒絶理由通知に対して、平成25年5月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年11月25日付けで平成25年5月8日付けの手続補正が却下されると共に拒絶査定(発送日:同年12月3日)がされ、これに対し、平成26年3月31日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がされ、同年12月1日付けで当該手続補正が却下されると共に拒絶理由通知がなされ、これに対し、平成27年4月30日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 平成27年4月30日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成27年4月30日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)について
平成27年4月30日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。) は、補正前の特許請求の範囲の請求項1(平成24年6月28日付けの手続補正書)に記載された
「【請求項1】
コネクタであって、
シールドと、
該シールド内に部分的に位置決めされ、嵌合面を形成するようにシールド内に位置決めされた舌状部を有する絶縁性ハウジングと、
該絶縁性ハウジングによって支持された第1の信号端子、第2の信号端子及び第1の接地端子とを有し、
端子のうちの2本が、舌状部上において第1列に位置決めされ、端子のうちの1本が舌状部上において第2列に位置決めされ、各端子は、接点部分、テール部分及びそれらの間に延在する本体部分を有し、第1、第2及び第3の端子が三角端子配置で位置決めされ、該三角端子配置が接点部分からテール部分まで延在し、端子は、2列のテール部分を提供するようにコネクタ全体を通して別個の列に維持され、テール部分は、表面実装技術によって各列において0.4〔mm〕ピッチで回路基板に取付けられ、前記三角端子配置は、水平方向から垂直方向へ90度曲がって延在し、前記本体部分の一部は垂直方向に対して傾斜し、これにより、テール部分の2列は、本体部分の2列と実質的に同様の間隔を維持することができるコネクタ。」を、

補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
コネクタであって、
シールドと、
該シールド内に部分的に位置決めされ、嵌合面を形成するようにシールド内に位置決めされた舌状部を有する絶縁性ハウジングと、
該絶縁性ハウジングによって支持された第1の信号端子、第2の信号端子及び第1の接地端子とを有し、
端子のうちの2本が、舌状部上において第1列に位置決めされ、端子のうちの1本が舌状部上において第2列に位置決めされ、各端子は、接点部分、テール部分及びそれらの間に延在する本体部分を有し、第1列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むとともに、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含み、第2列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むが、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含んでおらず、第1列の端子の第2の部分は、第2列の端子の第2の部分よりも、前記嵌合面から離れており、第1、第2及び第3の端子が三角端子配置で位置決めされ、該三角端子配置が接点部分からテール部分まで延在し、端子は、2列のテール部分を提供するようにコネクタ全体を通して別個の列に維持され、テール部分は、表面実装技術によって各列において0.4〔mm〕ピッチで回路基板に取付けられ、前記三角端子配置は、水平方向から垂直方向へ90度曲がって延在するコネクタ。」
と補正することを含むものである。(下線は、請求人が補正箇所を示すために付したものである。)

上記本件補正は、(i)補正前の請求項1における「前記本体部分の一部は垂直方向に対して傾斜し、これにより、テール部分の2列は、本体部分の2列と実質的に同様の間隔を維持することができる」との記載を削除し、(ii)「第1列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むとともに、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含み、第2列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むが、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含んでおらず、第1列の端子の第2の部分は、第2列の端子の第2の部分よりも、前記嵌合面から離れて」いる点を限定し、表現を整理したものである。
なお、前記(i)の点については、平成24年12月19日付けの拒絶理由通知において、新たに追加された技術事項として指摘された事項を削除したものであり、前記(ii)の点については、補正前の請求項1に記載されている発明特定事項である「第1列の端子の本体部分」、「第2列の端子の本体部分」及び「『第1列の端子の第2の部分』と『第2列の端子の第2の部分』の位置関係」を限定したものである。
そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

2 刊行物とその記載事項
(1)刊行物1
当審の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された特開2002-334748号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「コネクタ」に関して、図面(特に、【図1】及び【図2】(b)を参照。)と共に、次の事項が記載されている。

ア 「【0015】レセプタクルコネクタ1は、図1(b)と図2に示されるように、複数本の信号コンタクトS、複数本のグラウンドコンタクトG、複数本の一般(低速)用コンタクトD、前記各信号コンタクトSと前記各グラウンドコンタクトGと前記各一般用コンタクトDを保持するインシュレータ2、及び、全体を囲むレセプタクルシェル3から構成される。一対の信号コンタクトSは、+信号コンタクトSと-信号コンタクトSである。
【0016】3種類のコンタクトは、図1(b)に示されるように、上段の列においては、右側からS,S,G,S,S,G,D,D,Dの順に配置され、下段の列においては、右側からG,S,S,G,S,S,D,Dの順に配置されている。上段の列において隣接するS,Sと下段の列におけるG、及び、上段の列におけるGと下段の列において隣接するS,Sは、それぞれ二等辺三角形の頂点に位置する。」
上記記載事項及び【図1】及び【図2】(b)から次の事項が理解できる。


上記「二等辺三角形の頂点」を形成するS,SとGの配置は、水平方向から垂直方向へ延在すること。

これらの記載事項、認定事項及び図面の図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「複数本の信号コンタクトS、複数本のグラウンドコンタクトG、複数本の一般(低速)用コンタクトD、前記各信号コンタクトSと前記各グラウンドコンタクトGと前記各一般用コンタクトDを保持するインシュレータ2、及び、全体を囲むレセプタクルシェル3から構成され、
上記3種類のコンタクトは、上段の列においては、右側からS,S,G,S,S,G,D,D,Dの順に配置され、下段の列においては、右側からG,S,S,G,S,S,D,Dの順に配置され、上段の列において隣接するS,Sと下段の列におけるG、及び、上段の列におけるGと下段の列において隣接するS,Sは、それぞれ二等辺三角形の頂点に位置し、当該二等辺三角形の頂点を形成するS,SとGの配置は、水平方向から垂直方向へ延在する、
コネクタ。」

(2)刊行物2
また、同じく引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された特開平8-213074号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「プリント回路板に表面取り付けする電気コネクタ」に関して、図面(特に、【図4】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。

イ 「【0022】図4ないし6は、小型又は準小型Dコネクタ76に使用したボートロック機構56を示している。コネクタ10(図1)及びコネクタ32(図2)と同様に、コネクタ76は、絶縁ハウジング78と、導電性シールド80とを備えている。この場合も、シールドは、前方嵌合シュラウド部分82と、ハウジング78の前面86に位置設定可能な垂直フランジ部分84とを備えている。
【0023】コネクタ76のハウジング78は、後部88と、プリント回路板96の上面94に取り付けられる取付面92を有するベース部分90とを備えている。ボードロック機構56は、ハウジングの後部88に取り付けられ、そして各ボードロックの取付穴70は、ハウジングの穴98と整列される。一対の導電性リベット、ボルト等を用いて、ボードロック機構56がハウジングの穴98を経てシールド80にコモン接続される。複数の端子100がハウジング内に取り付けられ、これらの端子の半田テイル102は、プリント回路板96の回路トレース106に半田付けによって接続されるフット部分104を有している。」

ウ 【図4】


(3)刊行物3
また、同じく引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された特開平6-176808号公報(以下、「刊行物3」という。)には、「プリント基板用の表面実装電気コネクタ」に関して、図面(特に、【図4】及び【図5】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。

エ 「【0020】図4および図5は、(最下列のめす端子20の1つに関連して)はんだ付け尾部20aがコネクタハウジング12の後面26に沿って下向きに曲がっており、それが遠端20cで終わり、遠端がプリント基板の回路と表面接続するためにハウジングの基板実装面とほぼ共平面を成すことを、最も明瞭に示している。図4および図5はまた、それぞれのめす端子の尾部16a、18a、および20aが、コネクタハウジング12のスロット42(図6)の内部に配置される状態も示している。」

オ 【図4】


(4)刊行物4
また、同じく引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された実願平3-68710号(実開平5-20269号)のCD-ROM(以下、「刊行物4」という。)には、「ICカードコネクタ」に関して、図面(特に、【図2】(b)及び【図4】を参照。)と共に、次の事項が記載されている。
カ 「【従来の技術】
従来のICカードコネクタをプリント基板上に実装した断面図を図4に示す。
この従来例は、部品が実装される側の面と反対側の面をキーボード面として利用することができるように、プリント基板5上に表面実装されるもので、プリント基板5には、フットパターン7が形成される。」

キ 【図4】


3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「レセプタクルシェル3」は前者の「シールド」に相当し、以下同様に、「インシュレータ2」は「シールド内に部分的に位置決めされ、嵌合面を形成するようにシールド内に位置決めされた舌状部を有する絶縁性ハウジング」に、「複数本の信号コンタクトS」は「絶縁性ハウジングによって支持された第1の信号端子、第2の信号端子」に、「グラウンドコンタクトG」は「絶縁性ハウジングによって支持された第1の接地端子」に、それぞれ相当する。
また、【図1】(b)の右端における上段の2つのS及び下段の1つのGをみると、後者の「上段の列においては、右側からS,S,G,S,S,G,D,D,Dの順に配置され、下段の列においては、右側からG,S,S,G,S,S,D,Dの順に配置され」ることは、前者の「端子のうちの2本が、舌状部上において第1列に位置決めされ、端子のうちの1本が舌状部上において第2列に位置決めされ」ることに一致すると解される。
そして、後者の「信号コンタクトS」及び「グラウンドコンタクトG」が接点部分、テール部分及びそれらの間に延在する本体部分を有していることは明らかであるし、当該本体部分は、【図2】(b)から、第1の部分及び第2の部分を含むと解される。
さらに、後者の「上段の列において隣接するS,Sと下段の列におけるG、及び、上段の列におけるGと下段の列において隣接するS,Sは、それぞれ二等辺三角形の頂点に位置し、当該二等辺三角形の頂点を形成するS,SとGの配置は、水平方向から垂直方向へ延在する、コネクタ」と前者の「第1、第2及び第3の端子が三角端子配置で位置決めされ、該三角端子配置が接点部分からテール部分まで延在し、端子は、2列のテール部分を提供するようにコネクタ全体を通して別個の列に維持され、テール部分は、表面実装技術によって各列において0.4〔mm〕ピッチで回路基板に取付けられ、前記三角端子配置は、水平方向から垂直方向へ90度曲がって延在するコネクタ」とは、「第1、第2及び第3の端子が三角端子配置で位置決めされ、該三角端子配置が接点部分からテール部分まで延在し、端子は、2列のテール部分を提供するようにコネクタ全体を通して別個の列に維持され、前記三角端子配置は、水平方向から垂直方向へ延在するコネクタ」という限りで一致する。

したがって、両者は、

「 コネクタであって、
シールドと、
該シールド内に部分的に位置決めされ、嵌合面を形成するようにシールド内に位置決めされた舌状部を有する絶縁性ハウジングと、
該絶縁性ハウジングによって支持された第1の信号端子、第2の信号端子及び第1の接地端子とを有し、
端子のうちの2本が、舌状部上において第1列に位置決めされ、端子のうちの1本が舌状部上において第2列に位置決めされ、各端子は、接点部分、テール部分及びそれらの間に延在する本体部分を有し、第1列及び第2列の端子の本体部分は、第1の部分及び第2の部分を含むとともに、第1、第2及び第3の端子が三角端子配置で位置決めされ、該三角端子配置が接点部分からテール部分まで延在し、端子は、2列のテール部分を提供するようにコネクタ全体を通して別個の列に維持され、前記三角端子配置は、水平方向から垂直方向へ延在するコネクタ。」
である点で一致し、次の点で相違する。

〔相違点〕
相違点1
本願補正発明では、「第1列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むとともに、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含み、第2列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むが、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含んでおらず、第1列の端子の第2の部分は、第2列の端子の第2の部分よりも、前記嵌合面から離れて」いるのに対して、引用発明では、そのようになっているか明らかでない点。

相違点2
本願補正発明では、テール部分は、「表面実装技術」によって回路基板に取付けられているのに対して、引用発明では、その構成を有しない点。

相違点3
テール部分が回路基板に取付けられるピッチについて、本願補正発明では、0.4〔mm〕ピッチであるのに対して、引用発明では、明らかでない点。

相違点4
本願補正発明では、三角端子配置が水平方向から垂直方向へ「90度曲がって」延在するのに対して、引用発明では、そのようになっているか明らかでない点。

4 当審の判断
そこで、相違点を検討する。
(1)相違点1について
引用発明においても、【図2】(b)から、信号コンタクトS及びグラウンドコンタクトGが実質的に直交する部分を含むと看取できるし、そうでないとしても、このような構成を採用することは、摘示事項ウ、オ、キから周知であって、当業者が普通に採用する設計事項にとどまる。
また、引用発明の技術分野において、端子が傾斜部分を含むこと及び含まないことは、摘示事項ウ、オ、キに示されるように、第1列の端子の第2の部分を第2列の端子の第2の部分よりも嵌合面から離すことは、刊行物1の【図2】(b)や摘示事項キに示されるように、当業者が適宜採用する設計事項にとどまる。
そうすると、引用発明において、相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
引用発明も表面実装技術を用い得るものであるし(刊行物1の段落【0048】)、引用発明の技術分野において、端子のテール部分を回路基板に取付ける際、表面実装技術を用いることは、摘示事項イ、ウ、エ、オ、カ、キから周知であって、当業者が適宜採用する設計事項にとどまる。
そうすると、引用発明において、テール部分を回路基板に取付ける際、表面実装技術を用いることは、当業者が容易になし得たことである。

(3)相違点3について
引用発明の技術分野において、端子のテール部分のピッチは、回路基板側の端子配置に合わせて決定されるものであって、その具体的な数値については、当業者が適宜定める設計的事項にとどまる。
そうすると、引用発明において、端子のテール部分のピッチを0.4mmとすることは、当業者が容易になし得たことである。

(4)相違点4について
引用発明においても、【図2】(b)から、二等辺三角形の頂点に位置する2つの信号コンタクトS及び1つのグラウンドコンタクトGの配置が水平方向から垂直方向へ90度曲がって延在すると看取できるし、そうでないとしても、このような構成を採用することは、摘示事項キから、当業者が適宜採用する設計事項にとどまる。
そうすると、相違点4は実質的な相違点ではないし、そうでないとしても、引用発明において、二等辺三角形の頂点に位置する2つの信号コンタクトS及び1つのグラウンドコンタクトGの配置が水平方向から垂直方向へ90度曲がって延在する構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(5)まとめ
上記(1)ないし(4)における検討結果からみて、引用発明において、刊行物2ないし刊行物4に記載された事項を適用して、各相違点に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(6)作用効果について
そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び刊行物2ないし4記載の事項から当業者が予測し得た程度のものである。

(7)小括
したがって、本願補正発明は、引用発明、刊行物2ないし4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし12に係る発明は、平成24年6月28日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、本願発明は、「前記第2[理由]1」に補正前の特許請求の範囲の請求項1として記載したとおりのものである。

2 刊行物とその記載事項
当審の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物1の記載事項及び引用発明並びに刊行物2ないし4の記載事項は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕1」で検討した本願補正発明において、「第1列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むとともに、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含み、第2列の端子の本体部分は、実質的に直交する第1の部分及び第2の部分を含むが、該第2の部分からテール部分にまで延在する傾斜部分を含んでおらず、第1列の端子の第2の部分は、第2列の端子の第2の部分よりも、前記嵌合面から離れて」いるとの限定を省き、かつ端子の「本体部分の一部は垂直方向に対して傾斜し、これにより、テール部分の2列は、本体部分の2列と実質的に同様の間隔を維持することができる」との限定を加えたものである。
そこで、上記後者の限定について検討するに、端子が設置される空間の広さが限られていること及び端子間の接触を回避する必要があることに鑑みれば、端子間の距離を一定に維持することは、技術常識であって、上記後者の限定に係る構成は、当業者が適宜採用する設計事項にとどまる。
そうすると、引用発明において、上記後者の限定に係る構成にすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕3及び4」に記載したとおり、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2ないし4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-06-19 
結審通知日 2015-06-23 
審決日 2015-07-06 
出願番号 特願2010-548212(P2010-548212)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01R)
P 1 8・ 575- WZ (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石川 貴志澤崎 雅彦  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 小柳 健悟
島田 信一
発明の名称 インピーダンス制御電気コネクタ  
代理人 青木 俊明  
代理人 川合 誠  

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