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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1308679
審判番号 不服2015-2037  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-02 
確定日 2016-01-07 
事件の表示 特願2012-152986「文書処理装置、文書処理方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月 6日出願公開、特開2012-238318、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年9月14日の出願である特願2001-280756号の一部を平成23年2月1日に新たな特許出願とした特願2011-20069号について、さらにその一部を平成24年7月6日に新たな特許出願としたものであって、平成26年10月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年2月2日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年2月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を受け付ける設定手段と、
文書データのプレビューを表示する場合に、原稿ページを表示する原稿表示機能と、印刷の際の原稿ページのレイアウトを表示する印刷表示機能と、原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段が受け付けたレイアウトを反映して表示する簡易表示機能と、を含む選択肢群の中から1つの選択肢の選択を受け付ける選択手段と、
前記選択手段により前記原稿表示機能の選択が受け付けられた場合、前記設定手段で受け付けた1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を反映せずに前記文書データのプレビューを表示し、前記選択手段により前記印刷表示機能の選択が受け付けられた場合、前記設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して前記文書データのプレビューを表示し、前記選択手段により前記簡易表示機能の選択が受け付けられた場合、原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して前記文書データのプレビューを表示する表示手段と、を有し、
前記表示手段は、前記設定手段で受け付けた1つのレイアウトの設定に対して、3通りの文書データのプレビューを表示可能であることを特徴とする文書処理装置。」
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
本件補正の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「レイアウトの設定」について、「設定手段で受け付けた1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置する」との限定を付加し、「文書データのプレビューを表示」について、「前記設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して」との限定を付加し、「表示手段」について、「前記設定手段で受け付けた1つのレイアウトの設定に対して、3通りの文書データのプレビューを表示可能である」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項

ア.原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-67347号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。なお、下線は、着目箇所を示すために当審で付したものである。
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,プリンタに印刷データを送信するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその制御方法およびプログラムを格納した記憶媒体に関するもので,特に印刷指示時に印刷データに基づくプレビューを印刷結果を踏まえて表示する情報処理装置および方法およびコンピュータ読み取り可能なプログラムが格納された記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステープル機能やパンチ穴をあけるなどのフィニッシング用のデバイス機能が付属した印刷装置が普及している。そのような印刷装置に対して、クライアントであるパーソナルコンピュータからの印刷指示に応じて、前記印刷装置のデバイス機能を使用した印刷が行える。
【0003】また、デバイス機能として、用紙の両側に印刷可能となる両面印刷機能をもった印刷装置の普及している。
【0004】また、クライアントのアプリケーションからの印刷指示時にプレビューを行うことによって、印刷データがどのように印刷出力されるのかを操作者に判断できるようになっているアプリケーションやプリンタドライバが近年存在している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ステープル、パンチ穴などに代表されるように、印刷装置であるデバイスがもつフィニッシング機能をプレビューするシステムは存在せず、より正確な出力をプレビューすることはできていなかった。このため、印刷プレビューを行った場合、操作者は印刷データの印刷位置を判断することができるが、デバイスがもつフィニッシング機能を利用した場合、そのフィニッシング機能によりどのような印刷出力の結果が得られるのか判断することができず、印刷データの配置位置にパンチ穴が開けられたり、操作者にとって所望としない印刷出力がなされることがあった。
【0006】また、上記のようなデバイス機能の利用において印刷結果に不具合が生じた場合、その不具合を印刷出力する前に知らせる方法は存在していなかった。
【0007】さらに、従来のプレビュー機能は、論理ページのプレビューであるため、両面印刷時には両面であるにもかかわらず、プレビューには両面印刷と無関係なプレビューが表示されたり、印刷用紙1ページに複数ページの描画データが縮小配置されるNup印刷をプリンタドライバで指定した時には、プレビューには論理ページのプレビューが表示され、実際に印刷用紙に出力される体裁が表示されないでいた。
【0008】本発明は上記従来技術に鑑みてなされたものであり、デバイスの機能と印刷設定をプレビューし、不具合のない印刷結果を提供することを目的とする。
【0009】また、両面印刷やNup印刷をプリンタドライバで指定いた時に、同時に表裏両面のプレビューを表示したり、物理ページの印刷プレビューを表示できる仕組みを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は次のような構成からなる。すなわち、アプリケーションから入力される文書データの印刷プレビューを表示制御する情報処理装置であって、前記文書データと、前記印刷装置のデバイス情報とに基づいて前記印刷装置のデバイス情報を考慮した描画データを生成するデータ生成手段と、前記生成された描画データに基づいて、表示手段に前記印刷装置のデバイス情報を考慮した前記文書データのプレビューを表示させるよう制御する表示制御手段とを備える。
・・・(中略)・・・
【発明の実施の形態】(第一実施例)以下、本発明を適用するのに好適である実施例について説明を行う。
・・・(中略)・・・
【0133】(第二実施例)本実施例においては、両面印刷可能デバイスに対して印刷を行う場合のプレビューシステムに関する処理を説明する。なお、第二実施例の構成は、第一実施例で説明したものと同様であるので、ハード、ソフトモジュール構成の説明を省略する。符号は第一実施例で用いたものを用いて説明を行う。
【0134】第一実施例の図12に示すとおり、印刷設定情報には両面印刷を行うかどうかの設定を含んでいる。
【0135】また、図17はプレビューア306が両面印刷を行う印刷データに対して、どのような表示を行うかを設定するためのダイアログの一例である。このダイアログは、プリンタドライバ202から設定可能でもよい。その場合は、設定内容が図12のような印刷設定の変数として格納されることになる。また、このダイアログは、プレビューア306から表示設定可能でもあり、プレビューを行う際に、プレビューア306が図12に示すダイアログを表示し、操作者に指定させることになる。本実施例においては、表示の設定はプレビューア306から行うことを想定して説明を行う。図18は、3ページからなる印刷ジョブにおいて、図17における設定に対応する表示を示した図である。
【0136】図18(a)は、図17における「全ページ表示」を選択した際の表示である。この場合、あたかも裏面が別の用紙のように表示されるが、全ページの表示が可能となる。この「全ページを表示」を選択した場合、他の選択肢はグレイアウトされ、選択されなくなる。
【0137】図18(b)は、図17における「表面のみ表示」を選択し、かつ「裏を透かしたプレビュー」を選択せず、「奇数ページを表面にする」を選択した際の表示である。
【0138】図18(c)は、図17における「表面のみ表示」を選択し、かつ「裏を透かしたプレビュー」および「奇数ページを表面にする」を選択しない場合の表示である。
【0139】図18(d)は、図17における「表面のみ表示」を選択し、かつ「裏を透かしたプレビュー」を選択し、「奇数ページを表面にする」を選択した際の表示である。
【0140】図18(e)は、図17における「表面のみ表示」を選択し、かつ「裏を透かしたプレビュー」を選択し、「奇数ページを表面にする」を選択しない場合の表示である。
【0141】ここで、図17の「表面のみ表示」を選択した場合は、「裏を透かしたプレビュー」「奇数ページを表面にする」が選択可能である。」

そして、上記記載を関連図面と技術常識に照らすとともに、下線部の記載に着目すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「アプリケーションから入力される文書データの印刷プレビューを表示制御する情報処理装置であって、
前記文書データと、前記印刷装置のデバイス情報とに基づいて前記印刷装置のデバイス情報を考慮した描画データを生成するデータ生成手段と、
前記生成された描画データに基づいて、表示手段に前記印刷装置のデバイス情報を考慮した前記文書データのプレビューを表示させるよう制御する表示制御手段と、
を備え、
両面印刷を行うかどうかの設定が可能であり、
プレビューアが両面印刷を行う印刷データに対して、どのような表示を行うかを設定するためのダイアログにおいて、「全ページ表示」が選択された際には、あたかも裏面が別の用紙のように表示し、「表面のみ表示」が選択され、かつ「裏を透かしたプレビュー」と「奇数ページを表面にする」が選択された際には、1枚の用紙上に、1ページ目の画像とともに2ページ目の画像を透かした表示をする情報処理装置。」

イ.原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-185606号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の記載がある。
「【請求項1】 電子的に保持された原稿文書を印刷し製本した場合の印刷結果をプレビューする印刷表示装置において、
前記原稿文書の構成情報を取得する原稿情報取得手段と、
前記原稿文書の各ページに対して、印刷に必要な印刷情報を指令する印刷情報指令手段と、
本のページめくり方向操作と、ページを閉じておくページ閉じ操作を指令するページ操作指令手段と、
前記原稿情報と前記印刷情報及び前記ページ閉じ操作とから前記本を閉じた状態の閉ページイメージを作成し、表示装置上に表示する閉ページイメージ作成表示手段と、
前記原稿情報と前記印刷情報とから前記本を開いた状態の開ページイメージを作成する開ページイメージ作成手段と、
前記ページめくり方向操作で指令された方向に、前記本を開いた状態の前記開ページイメージを前記表示装置上に表示する開ページイメージ表示手段と、
を有することを特徴とする印刷表示装置。
【請求項2】 前記閉ページイメージ作成表示手段と前記開ページイメージ表示手段とは、前記原稿文書のページ番号を前記原稿文書に印字される文字の向きと同じであるように前記閉ページイメージ、または前記開ページイメージ上に表示することを特徴とする請求項1記載の印刷表示装置。」

「【0015】図3は、製本する際の印刷プレビューするまでの本発明の処理手順全体を示すフローチャートである。
〔S1〕原稿情報取得手段により取得された原稿情報と、印刷情報指令手段で指令された印刷情報によって、閉ページイメージ作成表示手段は本を閉じた形状を表すブックアイコンを作成し表示する。
〔S2〕原稿情報取得手段により取得された原稿情報と、印刷情報指令手段で指令された印刷情報とから、開ページイメージ作成手段は本が開かれた状態である2ページ分のブックアイコンを作成する。
〔S3〕ページ操作指令手段によりオペレータが指令したページめくり方向に対し、開ページイメージ表示手段はページめくり方向に対応するブックアイコンを表示する。
【0016】図4は、閉ページイメージ作成表示手段で作成されたブックアイコンの表示例を示す。(A)、(B)及び(C)は表示画面11のページイメージ指令20上に表示されたブックアイコンの表示例である。
【0017】(A)では、原稿情報取得手段は、原稿の向きとして縦向きを取得し、印刷情報指令手段は、Nup指令として1upを指令する。よって、ブックアイコン26aの形状は図のようになる。ブックアイコン26a上の番号1は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。
【0018】(B)では、原稿情報取得手段は、原稿の向きとして横向きを取得し、印刷情報指令手段は、Nup指令として上から下へページ番号1、ページ番号2となるような順方向の2upを指令する。よって、ブックアイコン26bの形状は図のようになる。ブックアイコン26b上の番号1、2は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。
【0019】(C)では、原稿情報取得手段は、原稿の向きとして横向きを取得し、印刷情報指令手段は、Nup指令として下から上へページ番号1、ページ番号2となるような逆方向の2upを指令する。よって、ブックアイコン26cの形状は図のようになる。ブックアイコン26c上の番号1、2は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。
【0020】図5と図6は、開ページイメージ表示手段で表示されたブックアイコンの表示例を示す。図5と図6は共に、原稿情報取得手段により原稿の向きとして横向きが取得され、印刷情報指令手段によってNup指令として2upを指令させ、面指令として両面・長辺とじが指令されたとする。そして、ページイメージ20上に表示される。ここで、両面・長辺とじとは、用紙の長い辺でとじて、めくった際に各ページが同じ向きになるように裏面を印刷する設定の仕方である。
【0021】図5の(A)、(B)は閉じた本の状態から上下方向にページを開いた場合のブックアイコンの表示例である。(A)では、図4で説明したブックアイコン26bからページを上方向にめくった場合のブックアイコンである。ブックアイコン26d上の番号3、4、5と6は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。この場合の原稿ページ番号3、4が書かれているペ-ジは、裏面であるから文字が180度回転してることを表すため図のような表示となる。
【0022】(B)では、ブックアイコン26bからページを下方向にめくった場合のブックアイコンである。ブックアイコン26e上の番号3、4、5と6は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。この場合の原稿ページ番号3、4が書かれているペ-ジは、裏面であるから文字が180度回転してることを表すため図のような表示となる。
【0023】図6の(A)、(B)は閉じた本の状態から左右方向にページを開いた場合のブックアイコンの表示例である。(A)では、図4で説明したブックアイコン26bからページを左方向にめくった場合のブックアイコンである。ブックアイコン26f上の番号3、4、5と6は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。
【0024】(B)では、ブックアイコン26bからページを右方向にめくった場合のブックアイコンである。ブックアイコン26g上の番号3、4、5と6は原稿のページ番号を表し、番号の向きが実際に印字される文書の向きを表す。」

「【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、製本を前提にした各用紙上でのペ-ジレイアウトを印刷前に表示装置上に表示させることにした。これにより、設定する印刷属性が増えても実際の印刷結果を想像することが容易となる。また、印刷前に希望通りの結果が得られるかどうかの確認ができるので、ミスプリントを防止でき、作業効率が向上する。」

(2)対比
補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明でいう「両面印刷」のレイアウトは、「1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置する」レイアウトの一種といえるから、引用発明の「両面印刷を行うかどうかの設定」の機能をつかさどる部分は、補正発明の「1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を受け付ける設定手段」に相当する。

イ.引用発明の情報処理装置は、ダイアログにおいて「全ページ表示」が選択された際に、原稿ページの内容までを表示するものとは限らないものの、原稿ページを表示するものであるとはいえる。また、同情報処理装置は、上記ダイアログにおいて「表面のみ表示」が選択され、かつ「裏を透かしたプレビュー」と「奇数ページを表面にする」が選択された際には、「印刷の際の原稿ページのレイアウトを表示する」ものといえる。
したがって、引用発明の「全ページ表示」、「『表面のみ表示』かつ『裏を透かしたプレビュー』かつ『奇数ページを表面にする』」のそれぞれが選択される場合の機能は、補正発明の「原稿表示機能」、「印刷表示機能」に相当するものといえ、引用発明の「どのような表示を行うかを設定するためのダイアログにおいて、『全ページ表示』と、『「表面のみ表示」かつ「裏を透かしたプレビュー」かつ「奇数ページを表面にする」』とを選択する」機能をつかさどる部分と、補正発明の「選択手段」とは、「文書データのプレビューを表示する場合に、原稿ページを表示する原稿表示機能と、印刷の際の原稿ページのレイアウトを表示する印刷表示機能と、を含む選択肢群の中から1つの選択肢の選択を受け付ける選択手段」といい得る手段である点で共通する。

ウ.引用発明の「プレビューア」は、「表示手段」ともいい得るものであり、どのような表示を行うかを設定するためのダイアログにおいて、「全ページ表示」が選択された際には、あたかも裏面が別の用紙のように表示するものであるが、その場合に段落【0009】で言及されているNup印刷の設定を反映するか否かは特定されていない(刊行物1には、「全ページ表示」が選択された際にNup印刷の設定を反映するか否かについての記載がない。)。また、「両面印刷」という1つのレイアウトの設定に対して、「全ページ表示」を選択した場合のプレビュー、「表面のみ表示と、裏を透かしたプレビューと、奇数ページを表面にする」を選択した場合のプレビュー、「表面のみ表示と、裏を透かしたプレビュー」を選択し「奇数ページを表面にする」を選択しない場合のプレビュー、といった少なくとも3通りの文書データのプレビューを表示可能なものである。
このことと、上記ア.、イ.を踏まえると、引用発明の「プレビューア」と補正発明の「表示手段」は、「選択手段により原稿表示機能の選択が受け付けられた場合、文書データのプレビューを表示し、前記選択手段により前記印刷表示機能の選択が受け付けられた場合、設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して前記文書データのプレビューを表示する表示手段」である点、及び「設定手段で受け付けた1つのレイアウトの設定に対して、3通りの文書データのプレビューを表示可能」である点で共通する。

以上を踏まえると、補正発明と引用発明とは、以下の点で一致、ないし、相違しているといえる。
(一致点)
「1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を受け付ける設定手段と、
文書データのプレビューを表示する場合に、原稿ページを表示する原稿表示機能と、印刷の際の原稿ページのレイアウトを表示する印刷表示機能と、を含む選択肢群の中から1つの選択肢の選択を受け付ける選択手段と、
前記選択手段により前記原稿表示機能の選択が受け付けられた場合、前記文書データのプレビューを表示し、前記選択手段により前記印刷表示機能の選択が受け付けられた場合、前記設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して前記文書データのプレビューを表示する表示手段と、を有し、
前記表示手段は、前記設定手段で受け付けた1つのレイアウトの設定に対して、3通りの文書データのプレビューを表示可能であることを特徴とする文書処理装置。」である点。

(相違点1)
補正発明においては、「選択手段」が「原稿表示機能」と「印刷表示機能」のほかに「原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段が受け付けたレイアウトを反映して表示する簡易表示機能」をも選択可能なものであり、「表示手段」が「選択手段により前記簡易表示機能の選択が受け付けられた場合、原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段で受け付けたレイアウトの設定に基づいて1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置して前記文書データのプレビューを表示する」という機能(以下、「機能A」という。)をも有するのに対し、引用発明においては、「選択手段」は「原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段が受け付けたレイアウトを反映して表示する簡易表示機能」を選択可能なものではなく、「表示手段」は機能Aを有するものではない点。

(相違点2)
補正発明の「表示手段」は、選択手段により原稿表示機能の選択が受け付けられた場合に「設定手段で受け付けた1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を反映せずに文書データのプレビューを表示」するものであるのに対し、引用発明の「表示手段」は、選択手段により原稿表示機能の選択が受け付けられた場合に「設定手段で受け付けた1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定を反映せずに文書データのプレビューを表示」するものとは限らない点。

(3)判断
当審は、引用発明において相違点1、2に係る補正発明の構成を採用することは、刊行物2の存在を考慮しても当業者が容易に推考し得たこととはいえないと判断する。理由は次のとおりである。
ア.相違点1について
引用発明を、「原稿表示機能」に相当する機能と「印刷表示機能」に相当する機能に加えて「原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段が受け付けたレイアウトを反映して表示する簡易表示機能」に相当する機能をも選択可能なものとすることは、刊行物1の段落【0001】?【0009】の記載から把握される引用発明が解決しようとした課題の解決に結びつくものではない。
また、刊行物1には、ほかに、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することに対する動機付けとなり得る記載は見当たらない。
したがって、刊行物1の記載自体からは、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったとはいえない。
刊行物2には、印刷結果をプレビューする機能を有する情報処理装置といい得るものであって、補正発明の「原稿ページの内容を反映せずに前記設定手段が受け付けたレイアウトを反映して表示する簡易表示機能」に相当する機能を有するものが記載されているとはいえる。
しかしながら、刊行物2も、「原稿表示機能」に相当する機能と「印刷表示機能」に相当する機能を既に有する引用発明に、更なる機能として補正発明の「簡易表示機能」に相当する機能を設けることの有用性を示すものではないから、刊行物2も、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することに対する動機付けがあったことを示すものとはいえない。
ほかに、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。
よって、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することは、刊行物2の存在を考慮しても当業者が容易に推考し得たこととはいえない。

イ.相違点2について
刊行物1には、引用発明において相違点2に係る補正発明の構成を採用することに対する動機付けとなり得る記載は見当たらない。
むしろ、刊行物1の段落【0009】の記載を考慮すると、引用発明においては、選択手段により原稿表示機能に相当する「全ページ表示」の選択が受け付けられた場合の機能においても、「設定手段で受け付けた1枚の用紙上に複数の原稿ページを配置するレイアウトの設定」の一種といえるNup等の設定については、それを反映して文書データのプレビューを表示するものとするのが普通である。
ほかに、引用発明において相違点2に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。
よって、引用発明において相違点2に係る補正発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たこととはいえない。

以上によれば、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ほかに、補正発明を特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由は見当たらない。
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

3.むすび
本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、ほかに本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-12-16 
出願番号 特願2012-152986(P2012-152986)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 征矢 崇  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山澤 宏
小曳 満昭
発明の名称 文書処理装置、文書処理方法及びプログラム  
代理人 高柳 司郎  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 大塚 康弘  
代理人 木村 秀二  
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