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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1308738
審判番号 不服2014-15168  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-01 
確定日 2015-12-18 
事件の表示 特願2009-122681「撮像装置、露出調整方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年12月 2日出願公開、特開2010-271507〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成21年5月21日の出願であって、平成25年8月8日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成26年4月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月1日に審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成25年10月17日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりのものである。
「画像を撮像する撮像手段と、
この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを検出基準の異なる複数の検出方法により検出する検出手段と、
この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさの各々について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量をそれぞれ算出する算出手段と、
この算出手段により算出された複数の補正量のうち、何れか一を選択する選択手段と、
この選択手段により選択された補正量に基づいて、前記撮像手段による撮像の際の露出条件を設定する露出条件設定手段と、
前記選択手段により前回選択された補正量に基づいて、前記露出条件設定手段による今回の露出条件の設定と、前記撮像手段による今回の撮像と、前記検出手段による今回の明るさ検出と、前記算出手段による今回の補正量の算出と、前記選択手段による今回の補正量の選択とを行うように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。」

3 引用例
(1)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された特開2006-74144号公報(以下「引用例」という。)には、図とともに次の記載がある。

ア 「【特許請求の範囲】」、
「被写体を撮像する撮像手段を備えた撮像装置において、
前記撮像手段により撮像された被写体画像の輝度情報に対し、所定領域の画素の輝度情報に重み付けを行う重み付け手段と、
この重み付け手段によって所定領域の画素の輝度情報に重み付けが行われた輝度情報に基づき、前記撮像手段による被写体の撮像時の露出を制御する露出制御手段と、
前記撮像手段による被写体の正規の撮像の直前における前記露出制御手段の露出制御を伴う撮像動作により撮像された基準画像の輝度情報に基づき、当該基準画像における前記所定領域と前記所定領域以外の領域との間における明るさの差を示す関係情報を取得する関係情報取得手段と、
被写体の明るさに対応する適正露出を示す適正露出情報を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により前記基準画像が撮像されたときの被写体の明るさを取得する測光手段と、
この測光手段により取得された被写体の明るさに対応して前記記憶手段に記憶されている適正露出情報を、前記関係情報取得手段により取得された関係情報により示される明るさの差に応じて補正する補正手段と、
前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出に向けた露出制御を行わせる制御手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置。」(【請求項1】)、
「前記撮像手段により撮像された基準画像の輝度情報に基づき全画素の輝度分布を示すヒストグラム情報を生成する生成手段を備え、
前記記憶手段に被写体の明るさに対応して記憶されるとともに前記補正手段により関係情報を用いて補正される適正露出情報は、予め決められている目標輝度位置であり、
前記制御手段が前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し前記露出制御手段に行わせる露出制御は、前記基準画像の輝度情報に基づき前記生成手段により生成されたヒストグラム情報により示される輝度分布における高輝度側からの画素の累積数の全画素数に対する割合が所定の割合となる輝度位置を、前記補正手段による補正後の目標輝度位置に移動させるのに必要な量を補正量とする露出の補正制御である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。」(【請求項3】)、
「前記基準画像における所定の重要領域の輝度情報に基づき、当該重要領域に許容される露出上限を示す露出上限情報を取得する露出上限取得手段を備え、
前記制御手段は、前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記露出上限取得手段により取得された露出上限情報により示される露出上限を超えない範囲で、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出へ向けた露出制御を行わせる
ことを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の撮像装置。」(【請求項5】)

イ 「【技術分野】」、
「本発明は、例えばデジタルカメラに用いて好適な撮像装置及び露出制御方法に関するものである。」(段落【0001】)

ウ 「【背景技術】」、
「従来、銀塩カメラや、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置においては、被写体の明るさに適した露出を決定し、シャッタースピードや絞り等を制御する自動露出(AE)機能が設けられている。露出制御に際して被写体の明るさを計測する測光方式は、周知のように被写体の全体的な明るさを計測する平均測光や、中央部側に重み付けを行う中央重点測光、被写体の複数ヶ所に測光領域を設けるマルチ測光、被写体の特定部分のみの明るさを計測するスポット測光等がある。一般に、デジタルカメラにおいては、撮像した被写体画像を液晶モニタ等の電子ビューファインダに表示させているとき(モニタースルー時)には中央重点測光によって被写体の明るさ(輝度)が計測されている。」(段落【0002】)

エ 「【発明の効果】」、
「以上のように、本発明の撮像装置及び露出制御方法によれば、撮像される画像の所定領域(例えば中央部)により適した明るさを確保しつつ、撮像された画像が、被写体の所定領域が著しく明るい場合に、見た目よりも全体的に暗い画像となったり、被写体の所定領域が著しく暗い場合に、見た目よりも全体的に明るい画像となったりする事態を回避することができるようにした。よって、撮像される画像の所定領域により適した明るさを確保しつつ、全体の明るさを見た目により近い明るさに制御することが可能となる。」(段落【0020】)、
「さらに、本発明の撮像装置においては、被写体の所定領域とそれ以外の領域との間における明るさの差を容易かつ正確に判別し、それを正規の撮像時における制御目標となる適正露出に反映させることができるようにした。よって、露出の制御性を向上させることができ、全体の明るさを、より正確に見た目により近い明るさに制御することが可能となる。」(段落【0021】)

オ 【発明を実施するための最良の形態】、
「次に、上記構成からなるデジタルカメラの自動露出制御に関する動作について説明する。図3は、TFT液晶モニター9にスルー画像を表示する撮影モードが選択されることに伴い撮影待機状態となった後の動作を示すフローチャートである。」(段落【0028】)、
「撮影モードにおいてデジタルカメラは、図12を以て既説した中央重点測光による露出制御を行いながら、CCD3により被写体を逐次撮像するとともに、撮像した被写体画像(以下、単に撮像画像という。)をTFT液晶モニター9にスルー画像として表示している。そして、その間にハーフシャッターが押されると(ステップSA1でYES)、まず露光量の調整を行う(ステップSA2)。かかる調整はハーフシャッターが押される直前まで行っていた露出調整と同様であって、その時点で撮像した撮像画像Gの全領域100(図9参照)における重み付け後の各画素の平均輝度が、デジタルカメラの機種毎に予め設定されている装置に固有の基準輝度(YREF)となるように、絞り値、シャッタースピード、アナログ信号処理部7のAGCアンプのゲインによるISO感度を制御することにより行う。また、ここでの調整は、ハーフシャッターが押された時点で露出状態が未だ収束していない場合、例えば電源がオン操作された直後にハーフシャッターが押されたような場合を考慮して行うものである。なお、本実施の形態において、上記基準輝度(YREF)は撮像画像が18%の反射率のグレーとなる輝度とし、かつそれが8bit(「0」?「255」)による表現で「118」となるように規定している。」(段落【0029】)、
「そして、撮像画像Gにおける重み付け後の各画素の平均輝度が基準輝度となったら(ステップSA3でYES)、その状態の撮像画像を基準画像として以下の処理を行う。まず先に上記基準画像について説明する。図8(a)?(c)は、上記基準画像における全画素の輝度を8bitで表現したときの輝度分布を示すヒストグラムである。また、各図は、その時々の被写体における中央部と周辺部との明るさの違いによって生じる輝度分布傾向の違い、すなわち同図(a)は明るさが均一な場合、同図(b)は中央部が周辺部よりも明るい場合、同図(c)は中央部が周辺部よりも暗い場合を示したものである。」(段落【0030】)、
「基準画像において、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率が50%(累積数が全画素数の半分)となる輝度位置(以下、中央輝度位置という。)を求めると、図8(a)に示したように被写体の明るさが均一な場合には、上記基準輝度つまり中央重点測光による調整された平均輝度の「118」となる。なお、明るさが均一な場合、理論上の輝度分布は広がりのないものとなるが、実際には固定レンズ1等のシェーディング現象(光軸中心に対し周辺光量が低下する現象)によって図示したような分布となる傾向がある。また、図8(b)に示したように被写体の中央部が周辺部よりも明るい場合の中央輝度位置は平均輝度の「118」よりも低輝度側となり、図8(c)に示したように被写体の中央部が周辺部よりも暗い場合の中央輝度位置は平均輝度の「118」よりも高輝度側となる。」(段落【0031】)、
「そして、ステップSA4以降では、上述したような種々の輝度分布傾向を有する撮像画像を基準画像として以下の処理を行う。まず、撮像画像における重要領域(本発明の所定の領域)を設定する(ステップSA4)。この重要領域は、全画面領域100内で主たる被写体が存在すると想定される範囲であって、本実施の形態では、図10(a)?同図(c)に示した予め決められている第1?第3の注目領域100a?100cのうちからカメラの向きに応じたものが自動的に設定される。すなわち、カメラの向きが通常の場合には同図(a)の第1の注目領域100aが、右側が上となる縦向きの場合には同図(b)の第2の注目領域100bが、左側が上となる縦向きの場合には同図(c)の第3の注目領域100cがそれぞれ重要領域として設定される。なお、本実施の形態においてカメラの向きは画像認識技術による所定の方式によって判定するものとするが、傾斜センサ等を設けてハード的に検出するようにしてもよい。」(段落【0032】)、
「引き続き、基準画像において前記重要領域を構成する各画素の輝度データに基づき、重要領域における輝度分布を示すヒストグラムデータを生成し、それをDRAM13に格納する(ステップSA5)。次に、かかるヒストグラムに基づき重要領域における露出補正可能量(A)を取得する(ステップSA6)。図4は、その処理手順を示すフローチャートである。かかる処理では、まず前記ヒストグラムにおいて最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき(ステップSB1)、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに(ステップSB2)、算出結果が予め設定されている第1の規定比率となるまで処理を繰り返す(ステップSB3でNO)。ここで、第1の規定比率は、重要領域において白とびが生じても違和感がない(気にならない)と考えられる比率であって、本実施の形態では3%である。」(段落【0033】)、
「そして、算出した比率が第1の規定比率に達したら(ステップSB3でYES)、そのときの輝度を重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)とする(ステップSB4)。しかる後、図11の上半分に示したように、かかる最大輝度(Y1)の位置(最大輝度出現ポイント:図では「191」)を、予め設定されている輝度であって、見た目において白とびを感じさせないような許容最大輝度(Y1max)の位置(許容最大輝度ポイント:図では「247」)に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し(ステップSB5)、それを露出補正可能量(A)として一時記憶する(ステップSB6)。この露出補正可能量(A)が本発明の露出上限情報である。なお、露出補正可能量(A)の演算に際しては、撮像用のγカーブを考慮した演算を行う。」(段落【0034】)、
「引き続き、露出補正可能量Aを取得した後には図3のメインフローに戻り、前記基準画像Gの全領域100の全画素の輝度データに基づき、先に図8(a)?(c)で説明したヒストグラムのデータを生成し、それをDRAM13に格納に格納する(ステップSA7)。」(段落【0035】)、
「次に、被写体の各部における明るさの分布に応じた最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)を取得する。図5は、その処理手順を示すフローチャートである。かかる処理では、まず前記基準画像Gを得たときの被写体の明るさを、ステップSA2における露光量の調整に際して設定されていた露出制御パラメータ、すなわちシャッター速度(TV)、絞り値(AV)、ISO感度(SV)に基づき下記の式
EV=TV+AV
LV=EV+(5-SV)
から取得する(ステップSC1)。」(段落【0036】)、
「さらに、前述した最適輝度分布テーブルT(図2参照)を用いて、被写体の明るさ(LV)に対応する目標輝度ポイント(Y2max)を確認した後(ステップSC2)、先に図8を以て説明した全域のヒストグラムにおける中央輝度位置(point)を求める(ステップSC3)。そして、係る中央輝度位置(point)の輝度と平均輝度(Y_ref)との差分である分布傾向値(Rflect)を算出する(ステップSC4)。この分布傾向値は、その時々の被写体の中央部と周辺部との間における明るさの差を示す本発明の関係情報であって、このとき、分布傾向値が正の値であれば、図8(b)に示したように被写体の中央部が周辺部よりも明るい場合であり、分布傾向値が負の値であれば、図8(c)に示したように被写体の中央部が周辺部よりも暗い場合である。また、分布傾向値の絶対値は、被写体の中央部と周辺部とにおける明るさの違いの度合となる。」(段落【0037】)、
「しかる後、そのときの被写体の明るさに対応する目標輝度ポイントを分布傾向値を用いて補正する。すなわち下記式
Y2FIXmax = Y2max + Rflect × K
を計算するとともに、その結果を最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)として一時記憶する(ステップSC5)。なお、上記式における「K」は機種毎に予め設定されている装置に固有の補正係数である。」(段落【0038】)、
「以上のように最終目標輝度ポイントを取得した後には再び図3のメインフローに戻り、ステップSA7で生成した全領域100のヒストグラムに基づき必要露出補正量(B)を取得する(ステップSA9)。この必要露出補正量(B)は適正露出を得るために必要となる基本的な露出補正量であるとともに、基準画像の全領域100における輝度分布を、被写体における中央部と周辺部との明るさの差が反映した適切な輝度分布とするのに必要な露出補正量であって、その取得は、先に図4で説明した露出補正可能量(A)の場合と同様、図6のフローチャートに示した手順によって行う。」(段落【0039】)、
「まず全領域100のヒストグラムにおいて、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき(ステップSD1)、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに(ステップSD2)、算出結果が予め設定されている第2の規定比率となるまで処理を繰り返す(ステップSD3でNO)。ここで、第2の規定比率は、全領域100において白とびの発生を許容する画素の割合であるとともに、前記重要領域における第1の規定比率(3%)よりも大きな比率であり、本実施の形態では6%である。そして、算出した比率が第2の規定比率に達したら、そのときの輝度を全領域100における処理上の最大輝度値(Y2)とする(ステップSD4)。しかる後、図11の下半分に示したように、かかる最大輝度値(Y2)の位置(最大輝度出現ポイント:図では「136」)を、前述した最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax:図では「163」)の輝度位置に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し(ステップSD5)、それを必要露出補正量(B)として一時記憶する(ステップSD6)。なお、必要露出補正量(B)の演算に際しても、撮像用のγカーブを考慮した演算を行う。」(段落【0040】)、
「引き続き、上記必要露出補正量(B)を取得した後には、図3のメインフローに戻り、ステップSA6で取得した露出補正可能量(A)と必要露出補正量(B)とに基づき、実際の露出補正量を設定する(ステップSA10)。図7は、その処理手順を示すフローチャートであって、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも大きいときには(ステップSE1,SE3が共にNO)、重要領域(第1の注目領域100a等)に白とびが発生しないと判断し、必要露出補正量(B)を実際の露出補正量として設定する(ステップSE5)。また、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも小さいときには(ステップSE1がNO,SE3がYES)、基準画像の全領域100の明るさに基づく補正を行うと重要領域に白とびが発生すると判断し、露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定する(ステップSE4)。また、露出補正可能量(A)がマイナス側の補正量であったとき(ステップSE1でYES)、つまり、重要領域に許容最大輝度(Y1max)を超えた輝度の画素が既に3%以上存在しており、重要領域では既に白とびが生じているようなときには、必要露出補正量(B)と関係なく、露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定する(ステップSE2)。」(段落【0041】)、
「しかる後、図3のメインフローに戻り、シャッターが押されたか否かを判断し、シャッターが押されていなければ(ステップSA11でNO)、ステップSA1へ戻って前述した処理を繰り返す。またシャッターが押されたら(ステップSA11でYES)、ステップSA2で調整した露光量、すなわち撮像画像の全領域100の画素の平均輝度を基準輝度に合わせたときの露光量に対して、ステップSA10で設定した露出補正量に応じ、プログラム線図に基づく絞り値、シャッタースピード、AGCゲインの制御を行い撮影光量を制御する(ステップSA12)。」(段落【0042】)、
「以上のように、本実施の形態における露出制御によれば、先に説明した従来のものと同様、重要領域(第1?第3の注目領域100a?100c)に白とびが生じない範囲内で画像全体の明るさに基づく露出制御を行うことができる。しかも、従来のものとは異なり、適正露出を得るために必要となる基本的な露出補正量である必要露出補正量(B)の取得に際しては、被写体の明るさに対応する目標輝度ポイント(Y2max)を、その時々の被写体の中央部と周辺部との間における明るさの差を示す分布傾向値(Rflect)によって補正し、補正後の最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)を用いて必要露出補正量(B)を取得するため、その補正量に、その時々の被写体の中央部と周辺部との間における明るさの差(その度合を含めた明るさの違い)を反映させることができる。」(段落【0043】)、
「そのため被写体の中央部が周辺部よりも著しく明るい場合に、撮像結果の画面全体の明るさが見た目よりも暗くなったり、被写体の中央部が周辺部よりも著しく暗い場合に、撮像結果の画面全体の明るさが見た目よりも明るくなったりすることがない。したがって、撮像される画像の中央部により適した明るさを確保すると同時に、例えば中心に白い服を着た人物や白い花が存在しており、かつそこに直射日光照らされているような場合には、撮像結果において非常に明るい白を再現することができる。また、背景が雪景色で中心に人物が存在している場合には、撮像結果において画面全体が必要以上に明るくなる事態を回避することができる。つまり見た目により近い良好な露出制御結果を得ることができる。」(段落【0044】)、
「さらに、その時々の被写体の中央部と周辺部との間における明るさの差を示す関係情報として、前述した基準画像の全域のヒストグラムにおける中央輝度位置(point)と平均輝度(Y_ref)との差分である分布傾向値(Rflect)を用いるため、被写体の所定領域とそれ以外の領域との間における明るさの差を容易かつ正確に判別し、それを撮影時における制御目標となる適正露出に反映させることができる。したがって、露出の制御性を向上させることができ、全体の明るさを、より正確に見た目により近い明るさに制御することができる。」(段落【0045】)、
「なお、本実施の形態においては、中央輝度位置(point)と平均輝度(Y_ref)とが、それぞれ基準画像の全域のヒストグラムにおいて、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率が50%(累積数が全画素数の半分)となる輝度位置としたが、上記比率は必ずしも50%でなくともよい。ただし、その場合には、被写体の所定領域とそれ以外の領域との間における明るさの差を正確に判別することが難しくなる。」(段落【0046】)、
「また、本実施の形態においては、重要領域に白とびが生じない範囲内で画像全体の明るさに基づく露出制御を行う場合について説明したが、これに限らず本発明は、重要領域における白とびの発生を考慮した制御を行うことなく、中央重点測光により計測して得られた画像における全領域の画素の輝度分布を示すヒストグラム情報に基づき適正露出を決定する露出制御を行う場合においても有効である。その場合においても、見た目により近い良好な露出制御結果を得ることができる。さらに、この点については、中央重点測光以外にも、中央以外の特定部分に周辺部よりも重み付けを行う測光方式による露出制御を行う場合についても同様である。また、本実施の形態においては、ハーフシャッターが押される以前にも中央重点測光による露出制御を行うものについて説明したが、ハーフシャッターが押される以前に、中央重点測光以外の他の測光方式による露出制御を行うようにしても構わない。」(段落【0047】)、
「また、以上の説明においては、本発明をデジタルカメラに採用した場合について説明したが、言うまでもなく、CCDやCMOS型の固体撮像素子を備えた他の撮像装置や、他の情報機器に内蔵されている撮像装置、例えばカメラ付き携帯電話、カメラ付きPDAにも採用することができる。」(段落【0048】)

(2)上記(1)の各事項によれば、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「被写体を撮像する撮像手段を備えた撮像装置において、
前記撮像手段により撮像された被写体画像の輝度情報に対し、所定領域の画素の輝度情報に重み付けを行う重み付け手段と、
この重み付け手段によって所定領域の画素の輝度情報に重み付けが行われた輝度情報に基づき、前記撮像手段による被写体の撮像時の露出を制御する露出制御手段と、
前記撮像手段による被写体の正規の撮像の直前における前記露出制御手段の露出制御を伴う撮像動作により撮像された基準画像の輝度情報に基づき、当該基準画像における前記所定領域と前記所定領域以外の領域との間における明るさの差を示す関係情報を取得する関係情報取得手段と、
被写体の明るさに対応する適正露出を示す適正露出情報を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段により前記基準画像が撮像されたときの被写体の明るさを取得する測光手段と、
この測光手段により取得された被写体の明るさに対応して前記記憶手段に記憶されている適正露出情報を、前記関係情報取得手段により取得された関係情報により示される明るさの差に応じて補正する補正手段と、
前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出に向けた露出制御を行わせる制御手段と
を備えた撮像装置であって、
前記基準画像における所定の重要領域の輝度情報に基づき、当該重要領域に許容される露出上限を示す露出上限情報を取得する露出上限取得手段を備え、
前記制御手段は、前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記露出上限取得手段により取得された露出上限情報により示される露出上限を超えない範囲で、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出へ向けた露出制御を行わせるものであり、
前記露出上限取得手段は、基準画像において前記重要領域を構成する各画素の輝度データに基づき、重要領域における輝度分布を示すヒストグラムデータを生成し、前記ヒストグラムにおいて最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第1の規定比率となるまで処理を繰り返し、ここで、第1の規定比率は、重要領域において白とびが生じても違和感がない(気にならない)と考えられる比率であり、そして、算出した比率が第1の規定比率に達したら、そのときの輝度を重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)とし、かかる最大輝度(Y1)の位置を、予め設定されている輝度であって、見た目において白とびを感じさせないような許容最大輝度(Y1max)の位置に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し、それを露出補正可能量(A)とするものであって、この露出補正可能量(A)が上記露出上限情報であり、
前記制御手段が適正露出へ向けた露出制御を行わせるために、前記基準画像の全領域における処理上の最大輝度値(Y2)、補正後の適正露出情報である最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)及び必要露光補正量(B)を得るものであって、
前記基準画像の全領域の全画素の輝度データに基づきヒストグラムのデータを生成し、全領域のヒストグラムにおいて、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第2の規定比率となるまで処理を繰り返し、算出した比率が第2の規定比率に達したら、そのときの輝度を全領域における処理上の最大輝度値(Y2)とするものであり、前記第2の規定比率は、全領域において白とびの発生を許容する画素の割合であるとともに前記重要領域における第1の規定比率よりも大きな比率であり、
最大輝度値(Y2)の位置を、上記最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)の輝度位置に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し、それを必要露光補正量(B)とするものであり、
前記制御手段が、前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記露出上限取得手段により取得された露出上限情報により示される露出上限を超えない範囲で、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出へ向けた露出制御を行わせることは、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも大きいときには必要露出補正量(B)を実際の露出補正量として設定し、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも小さいときには露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定し、露出補正可能量(A)がマイナス側の補正量であったときは必要露出補正量(B)と関係なく、露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定するものである、
撮像装置。」

4 対比
(1)本願発明と引用発明とを以下に対比する。
ア 引用発明では、「被写体を撮像する撮像手段」「により」「被写体画像」が「撮像される」ものであり、この「被写体画像」が、本願発明の「画像を撮像する撮像手段」の「画像」に相当する。そうすると、引用発明の「被写体を撮像する撮像手段」は、本願発明の「画像を撮像する撮像手段」に相当するといえる。

イ 本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを検出基準の異なる複数の検出方法により検出する検出手段」との特定事項について
(ア)引用発明の「前記撮像手段による被写体の正規の撮像の直前における前記露出制御手段の露出制御を伴う撮像動作により撮像された」「基準画像」は、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像」に相当する。

(イ)引用発明は「重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)」を得るものであるところ、この値は、「基準画像において前記重要領域を構成する各画素の輝度データに基づき、重要領域における輝度分布を示すヒストグラムデータを生成し、前記ヒストグラムにおいて最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第1の規定比率となるまで処理を繰り返し、ここで、第1の規定比率は、重要領域において白とびが生じても違和感がない(気にならない)と考えられる比率であり、そして、算出した比率が第1の規定比率に達したら、そのときの輝度を重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)と」することにより得られるものである。
そうすると、引用発明の「重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)」は、「基準画像」から得られたものであるから、上記(ア)に照らせば、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさ」に相当することになる。
そして、引用発明の「基準画像において前記重要領域を構成する各画素の輝度データに基づき、重要領域における輝度分布を示すヒストグラムデータを生成し、前記ヒストグラムにおいて最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第1の規定比率となるまで処理を繰り返し、ここで、第1の規定比率は、重要領域において白とびが生じても違和感がない(気にならない)と考えられる比率であり、そして、算出した比率が第1の規定比率に達したら、そのときの輝度を重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)と」するとの方法は、本願発明の「検出方法」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを」「検出方法により検出する検出手段」を備えているということができる。

(ウ)引用発明は「前記基準画像の全領域における処理上の最大輝度値(Y2)」を得るものであるところ、この値は、「前記基準画像の全領域の全画素の輝度データに基づきヒストグラムのデータを生成し、全領域のヒストグラムにおいて、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第2の規定比率となるまで処理を繰り返し、算出した比率が第2の規定比率に達したら、そのときの輝度を全領域における処理上の最大輝度値(Y2)とする」ことにより得られるものである。そして、「前記第2の規定比率は、全領域において白とびの発生を許容する画素の割合であるとともに前記重要領域における第1の規定比率よりも大きな比率である」とされている。
そうすると、引用発明の「前記基準画像の全領域における処理上の最大輝度値(Y2)」は、「基準画像」から得られたものであるから、上記(ア)に照らせば、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさ」に相当することになる。
そして、引用発明の「前記基準画像の全領域の全画素の輝度データに基づきヒストグラムのデータを生成し、全領域のヒストグラムにおいて、最高輝度から低輝度側へ画素数を積分していき、全画素数に対する積分量の比率(P)を順次算出するとともに、算出結果が予め設定されている第2の規定比率となるまで処理を繰り返し、算出した比率が第2の規定比率に達したら、そのときの輝度を全領域における処理上の最大輝度値(Y2)とする」との方法は、本願発明の「検出方法」に相当する。
したがって、引用発明は、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを」「検出方法により検出する検出手段」を備えているということができる。

(エ)引用発明の「重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)」と「前記基準画像の全領域における処理上の最大輝度値(Y2)」とを得るための方法は異なるといえる。
したがって、引用発明は、本願発明の「この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを検出基準の異なる複数の検出方法により検出する検出手段」との特定事項を備えているといえる。

ウ 本願発明の「この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさの各々について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量をそれぞれ算出する算出手段」との特定事項について
(ア)引用発明は、「基準画像」から得られた「重要領域における処理上の最大輝度値(Y1)」「の位置を、予め設定されている輝度であって、見た目において白とびを感じさせないような許容最大輝度(Y1max)の位置に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し、それを露出補正可能量(A)とする」ものであるから、本願発明の「この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさ」「について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量を」「算出する算出手段」との特定事項を備えているということができる。

(イ)引用発明は、「基準画像の全領域における処理上の最大輝度値(Y2)」「の位置を、上記最終目標輝度ポイント(Y2FIXmax)の輝度位置に移動させるようにヒストグラムを変化させるのに必要な露出の補正量を演算し、それを必要露光補正量(B)とする」ものであるから、本願発明の「この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさ」「について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量を」「算出する算出手段」との特定事項を備えているということができる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、引用発明は、本願発明の「この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさの各々について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量をそれぞれ算出する算出手段」との特定事項を備えているといえる。

エ 引用発明は、「前記制御手段が、前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記露出上限取得手段により取得された露出上限情報により示される露出上限を超えない範囲で、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出へ向けた露出制御を行わせることは、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも大きいときには必要露出補正量(B)を実際の露出補正量として設定し、露出補正可能量(A)が必要露出補正量(B)よりも小さいときには露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定し、露出補正可能量(A)がマイナス側の補正量であったときは必要露出補正量(B)と関係なく、露出補正可能量(A)を実際の露出補正量として設定するものである」から、上記ウをも踏まえると、本願発明の「この算出手段により算出された複数の補正量のうち、何れか一を選択する選択手段」との特定事項を備えているといえる。

オ 引用発明は、「前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記露出上限取得手段により取得された露出上限情報により示される露出上限を超えない範囲で、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出へ向けた露出制御を行わせる」ものであるから、上記エをも踏まえると、本願発明の「この選択手段により選択された補正量に基づいて、前記撮像手段による撮像の際の露出条件を設定する露出条件設定手段」との特定事項を備えているといえる。

カ 引用発明の「撮像装置」は、本願発明の「撮像装置」に相当する。

(2)上記(1)によれば、本願発明と引用発明とは、
「画像を撮像する撮像手段と、
この撮像手段により撮像された撮像画像の明るさを検出基準の異なる複数の検出方法により検出する検出手段と、
この検出手段により検出された前記撮像画像の明るさの各々について、前記撮像手段による撮像の際の所定の明るさ目標値に対する補正量をそれぞれ算出する算出手段と、
この算出手段により算出された複数の補正量のうち、何れか一を選択する選択手段と、
この選択手段により選択された補正量に基づいて、前記撮像手段による撮像の際の露出条件を設定する露出条件設定手段と、
を備えた撮像装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明は、「前記選択手段により前回選択された補正量に基づいて、前記露出条件設定手段による今回の露出条件の設定と、前記撮像手段による今回の撮像と、前記検出手段による今回の明るさ検出と、前記算出手段による今回の補正量の算出と、前記選択手段による今回の補正量の選択とを行うように制御する制御手段」を備えているのに対し、引用発明はそうなっていない点。

5 相違点の判断
(1)上記[相違点]について検討する。
ア 引用発明は、「撮像装置」に係るものであるところ、「撮像装置」との用語はビデオカメラをも含むものである(上記3(1)ウの段落【0002】)。
そして、引用発明は、「撮像される画像の所定領域により適した明るさを確保しつつ、全体の明るさを見た目により近い明るさに制御することが可能となる」ことをその作用効果とする(上記3(1)エの段落【0020】)ところ、当該作用効果はビデオカメラにおいても該当するものと解される。
また、露出制御に関する技術分野において、静止画撮影に係る技術と動画撮影に係る技術とは共通性を有するものである(例えば、本願の明細書に【先行技術文献】として開示された特開2009-20327号公報の段落【0001】・【0087】を参照。)。

イ 上記アによれば、引用発明を、動画撮影に対応するようになすことは、当業者が適宜なし得たことであるといえる。

ウ ここで、引用発明は、「前記撮像手段による被写体の正規の撮像に際し、前記露出制御手段に、前記補正手段による補正後の適正露出情報により示される適正露出に向けた露出制御を行わせ」ているものであるが、「正規の撮像」の「適正露出」のための情報を取得するのに際し、「前記撮像手段による被写体の正規の撮像の直前における前記露出制御手段の露出制御を伴う撮像動作により撮像された基準画像」を用いているものである。
しかしながら、動画撮影は、逐次的に「正規の撮像」たる静止画を撮影しているものにほかならないから、上記イのように引用発明を動画撮影に対応するようになした場合においては、今回の画像フレームを撮像する際の「適正露出」のための情報を取得するのに用いる「基準画像」として、その前のフレームの画像を当てることが自然であると解される。
この点、動画撮影における露出制御において、設定された露出条件で動画フレームの撮像処理を行い、その後、そのフレームに基づいて露出条件を設定することは周知でもある(例えば、上記特開2009-20327号公報の段落【0043】?【0047】・【0088】・図2、特開2007-104200号公報の段落【0028】・図2を参照。)。

エ そうすると、引用発明において、動画撮影に対応するようになすとともに、その際、今回の画像フレームを撮像する際の「適正露出」のための情報を取得するのに用いる「基準画像」として、その前のフレームの画像を当てるようにして、上記[相違点]の構成となすことは、当業者が適宜なし得たことであるということができる。

オ 本願発明の効果は、引用発明、引用例の記載及び上記周知技術に基づいて、当業者が予測し得たものである。

(2)上記(1)によれば、本願発明は、引用発明、引用例の記載及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-28 
結審通知日 2015-09-29 
審決日 2015-10-13 
出願番号 特願2009-122681(P2009-122681)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 雅明  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 山村 浩
本田 博幸
発明の名称 撮像装置、露出調整方法及びプログラム  

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