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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1308987
審判番号 不服2015-5448  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-23 
確定日 2016-01-06 
事件の表示 特願2010-264003「自動フォーム・レイアウト方法、システム、およびコンピュータ・プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月16日出願公開、特開2011-118902、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年11月26日の出願(パリ条約による優先権主張2009年12月2日、米国)であって、平成26年4月11日付けで拒絶理由が通知され、平成26年7月8日付けで手続補正がされ、平成26年12月18日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年3月23日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1-11に係る発明は、平成26年7月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
コンピュータが、フォーム・アクセス・イベントに応答して、前記フォーム・アクセス・イベントにより参照されたグラフィカル・ユーザ・インターフェース・フォーム(GUIフォーム)に関連する複数のフィールドに関するフォーム利用履歴情報を分析するステップと、
前記GUIフォームに関連する前記複数のフィールドそれぞれに関する利用の特徴を前記フォーム利用履歴情報内で特定するステップと、
前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む、ステップと、
前記変更されたGUIフォームを前記コンピュータのディスプレイに表示するステップと、
表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップと、
を含む、方法。」

第3 原査定の理由の概要
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物1:特開2009-093224号公報
2:特開2008-118346号公報

出願人は、平成26年7月8日付けで手続補正書を提出するとともに、意見書において、本願発明は、
「(i)前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割すること(段落54、図6の622、624、図4の402)を含む、ステップ、及び
(ii)表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップ(段落55、図6の626、628)」
を有しているのに対して、
特開2009-093224号公報(以下、「引用文献1」という。)及び
特開2008-118346号公報(以下、「引用文献2」という。)
には、その旨の記載がないので、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない旨主張している。
しかしながら、引用文献2(特に、段落【0006】、【0012】?【0014】、【図2】を参照。)には、利用頻度に応じて動的に抽出されたメニュー項目(本願発明における「フィールド」に相当する。)を「アダプティブ」メニュータブで選択されるメニュー画面(本願発明における「タブ化された部分」に相当する。)に表示させることで、ユーザがよく利用する項目へのアクセスを容易に行わせる発明が記載されており、利用頻度に応じて動的に抽出されたメニュー項目として、複数の項目を抽出した構成が開示されているから、
引用文献2に記載の発明における「利用頻度に応じて動的に抽出されたメニュー項目」は、本願発明における「他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセット」に相当し、
引用文献2に記載の発明は、「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む、ステップ」を有しているといえる。
また、メニュー選択回数などのアクセス履歴を解析してメニュー表示の変更(最適化)を行う引用文献1に記載の発明は、よく使う機能の設定項目のメニューを上位に表示する態様のほかに、特定項目のボックスの大きさを変えたり、当該特定項目について「!」などの注意を喚起する記号等を付加表示させる(本願発明における「強調表示する」ことに相当する。)ものであるから(特に、段落【0105】を参照。)、
引用文献1に記載の発明は、「表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップ」を有しているといえる。
そして、引用文献1及び引用文献2に記載の発明は、ともに、利用頻度に応じてメニュー画面を変更する技術に関するものであるから、
引用文献1に記載の発明に、引用文献1に記載の発明と技術分野が関連している引用文献2に記載の発明を適用し、
「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む、ステップ」及び「表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップ」を有するように構成することは、当業者が容易に想到し得たものである。

第4 当審の判断
1.刊行物の記載事項
引用文献1(特に、「第1の実施の形態」に係る、段落【0043】?【0137】、【図1】?【図12】の記載を参照。)には、以下の記載がある(下線は当審において付与。以下同様。)。
(1) 段落【0054】?【0059】
「【0054】
情報処理装置(複合機)500は、情報処理装置100?300の認証情報やメニュー表示要求をネットワークNを介して受信し、作成されたメニュー情報等を情報処理装置100?300に送信する有線インターフェイス(IF)カード501と、USB等の外部インターフェイス502と、液晶パネルや操作ボタン等で構成されるユーザインターフェイス部(U/I部)503と、マイクロコンピュータ等で構成され各部を制御するコントローラ部504と、複合機が備える印刷機能において所定の媒体に画像形成(印刷)を行うプリンタエンジン等で構成される画像形成部505と、メニュー情報の原型(ひな形)のデータを格納するROM510、予め登録された認証情報,メニューの設定値,メニュー情報(メニュー画面に関する情報)を格納するNVRAM(不揮発性RAM:装置電源がオフであっても記憶内容を失わないメモリ)520、作成中のメニュー情報や作成されたメニュー情報を一時的に格納するRAM530とから構成されている。

・・・(中略)・・・

【0058】
次に、図3を参照して、RAM530に格納されるメニュー情報D1の構成について説明する。
【0059】
メニュー情報D1は、グループ(本実施の形態では、A?Dの4つのグループが存在する)を識別するグループ識別子532と、メニュー管理情報533と、生成されたメニュー511と、項目(選択肢)の設定値521とから構成されている。」

(2) 段落【0098】?【0105】
「【0098】
また、図8の(a)には、メニュー情報の原型(ひな形)としてのメニュー情報(A)の他の構成例を示す。
【0099】
図8の(a)において、メニュー情報(A)は、大分類(メニュー)M4、中分類(ページ)M5、小分類(項目)M6が所定のレイアウトで配置されている。
【0100】
また、大分類(メニュー)M4等においてメニュー10000,20000,30000,・・・というように、徐々に番号が大きくなる順序で配列されている。
【0101】
そして、図8の(b)に示す作成されたメニュー情報(A’)の例では、大分類(メニュー)M4’、中分類(ページ)M5’、小分類(項目)M6’において項目等の表示順序が変更されている。
【0102】
例えば、大分類(メニュー)M4’では、先頭のメニューが30000に、2番目のメニューが40000に変更されている。
【0103】
このようなメニュー表示の変更(最適化)は、例えば、メニュー選択回数、設定回数、機能実行回数の各アクセス履歴をコントローラ部504の制御によって解析した結果に基づいて行うことができる。
【0104】
これにより、例えば、よく使う機能の設定項目のメニューが上位に表示されるように配列するなどの変更を行うことができ、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0105】
なお、メニュー表示の変更態様は、図7,図8の例に限定されるものではなく、例えば、特定の項目を表示する文字のフォントの大きさ,種類(ゴシック体,明朝体等),色などを変更するようにしてもよい。また、表示項目のボックスの大きさや背景色を変えることも考えられる。さらに、特定項目について、設定上の注意点等を伝えるヘルプ表示や、「!」などの注意を喚起する記号等を付加表示させるようにしてもよい。」

(3) 段落【0113】?【0125】
「【0113】
次に、図10のフローチャートを参照して、情報処理システムS1で実行されるメニュー情報更新処理の処理手順について説明する。
【0114】
なお、図10の例では、図4におけるグループAに属するユーザAのメニュー情報を更新する場合を想定する。
【0115】
この処理が開始されると、ステップS200でユーザAの情報処理装置100上で、情報処理装置500に対してメニュー画面(例えば、図7(b)や図8(b)のようなメニュー画面)の操作(所定項目の選択などの操作)を実行してステップS201に移行する。
【0116】
ステップS201では、情報処理装置500は、ユーザAからのメニュー設定変更や機能実行要求と、ユーザAの認証情報(ユーザ名、パスワード等)を受信してステップS202に移行する。
【0117】
ステップS202では、認証情報に基づいた個人認証(正規ユーザか否かの判定)が行われ、判定結果が「No」の場合にはステップS203に移行して、正規ユーザではない旨のメッセージ(例えば「正規ユーザ登録されていないため、メニューの設定変更を実行できません。」等のメッセージ)をユーザAの情報処理装置100に送信して処理を終了する。
【0118】
これにより、ユーザAが不正ユーザである場合には、メニュー操作による不正な設定変更等を回避することができる。また、ユーザAが正当なアクセス権限を有する場合には、認証情報(ユーザ名、パスワード等)に入力間違い等があった可能性もあるので、認証情報の再送信等を試行することができる。
【0119】
一方、ステップS202で「Yes」と判定された場合(正規ユーザと認証された場合)には、ステップS204に移行して、設定変更あるいは機能実行を行ってからステップS205に進む。
【0120】
ステップS205では、エラー発生か否かが判定され、「No」の場合にはステップS207に移行し、「Yes」の場合にはステップS206に移行する。
【0121】
ステップS206では、ユーザAの対応する項目の設定ミス累積回数をインクリメントしてステップS207に移行する。
【0122】
ステップS207では、ユーザAの対応する項目等のメニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数(あるいは設定成功累積回数)をインクリメントしてステップS208に移行する。
【0123】
ステップS208では、メニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数、設定ミス累積回数のそれぞれについて、予め設定されている閾値との比較を行ってステップS209に移行し、閾値を超えたメニュー,設定項目,機能実行の表示順番、表示方法、付加表示方法の順位を更新して処理を終了する。
【0124】
これにより、ユーザAの使用環境の変化に応じた適切なメニュー画面を提供することができ、利便性を一層向上させることができる。
【0125】
また、図4に示す他のユーザについても、上記と同様のメニュー情報更新処理により、当該ユーザの使用環境の変化に応じた適切なメニュー画面を提供することができ、利便性を一層向上させることができる。」

(4) 段落【0130】?【0137】
「【0130】
図12に示すメニュー表示例では、グループ毎に表示される項目を限定している。
【0131】
即ち、ユーザのスキルが最も高いグループAについては全項目(図12の例では8項目)を通常の表示態様で表示している。
【0132】
次にスキルの高いユーザが属するグループBでは、表示項目数を6個に減らすと共に、例えばアクセス頻度が高い項目(図12では項目10107)を先頭に配置し、さらにボックスを2重線で囲って目立つようにしている。
【0133】
また、アクセス頻度などが低い項目については、ボックスの枠線を変更してユーザの注目度が変化するように表示させている。
【0134】
また、グループCでは、例えば、表示項目数を4個に減らすと共に、上位の項目ほど大きく表示されるようにしてユーザの注目度が変化するように表示させている。
【0135】
また、最もスキルが低いユーザが属するグループDでは、表示項目を3個に限定すると共に、例えば項目毎に背景色を変えるなどして、ユーザの注目度が変化するように表示させている。
【0136】
これにより、ユーザのスキルに応じて、設定が難しい項目や、設定を誤ると装置の停止等の事態を招く虞のある項目等を表示しないようにして、ユーザの利便性向上と、情報処理装置500のセキュリティ性向上を図ることができる。
【0137】
また、項目のアクセス頻度等によりユーザの注目度が変化するように表示態様を工夫することにより、所望の項目にアクセスし易くすることができ、ユーザの利便性を一層向上させることができる。」

そうすると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「情報処理装置(複合機)500は、項目(選択肢)の設定値521を含む、メニュー情報(メニュー画面に関する情報)を格納しており、
メニュー情報(A)は、大分類(メニュー)M4、中分類(ページ)M5、小分類(項目)M6が所定のレイアウトで配置され、
大分類(メニュー)M4’、中分類(ページ)M5’、小分類(項目)M6’において項目等の表示順序が変更され、
このような、メニュー表示の変更(最適化)は、メニュー選択回数、設定回数、機能実行回数の各アクセス履歴をコントローラ部504の制御によって解析した結果に基づいて行うことができ、これにより、よく使う機能の設定項目のメニューが上位に表示されるように配列するなどの変更を行うことができ、ユーザの操作性を向上させることができ、
メニュー表示の変更態様は、特定の項目を表示する文字のフォントの大きさ,種類(ゴシック体,明朝体等),色などを変更するようにしてもよく、また、表示項目のボックスの大きさや背景色を変えることも考えられ、さらに、特定項目について、設定上の注意点等を伝えるヘルプ表示や、「!」などの注意を喚起する記号等を付加表示させるようにしてもよく、
情報処理システムS1で実行されるメニュー情報更新処理の処理手順について、
ステップS207では、ユーザAの対応する項目等のメニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数(あるいは設定成功累積回数)をインクリメントしてステップS208に移行し、
ステップS208では、メニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数、設定ミス累積回数のそれぞれについて、予め設定されている閾値との比較を行ってステップS209に移行し、閾値を超えたメニュー,設定項目,機能実行の表示順番、表示方法、付加表示方法の順位を更新して処理を終了し、
更新されたメニュー情報により、例えば、ユーザのスキルが最も高いグループAについては全項目(図12の例では8項目)を通常の表示態様で表示し、
次にスキルの高いユーザが属するグループBでは、表示項目数を6個に減らすと共に、アクセス頻度が高い項目を先頭に配置し、さらにボックスを2重線で囲って目立つようにし、アクセス頻度などが低い項目については、ボックスの枠線を変更してユーザの注目度が変化するように表示させ、
グループCでは、表示項目数を4個に減らすと共に、上位の項目ほど大きく表示されるようにしてユーザの注目度が変化するように表示させ、
最もスキルが低いユーザが属するグループDでは、表示項目を3個に限定すると共に、項目毎に背景色を変えるなどして、ユーザの注目度が変化するように表示させる、方法。」

2.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1) 引用発明の「大分類(メニュー)M4、中分類(ページ)M5、小分類(項目)M6が所定のレイアウトで配置されている」、「メニュー情報(A)」は、項目(選択肢)の設定値を選択して入力できる点で、本願発明の「グラフィカル・ユーザ・インターフェース・フォーム(GUIフォーム)」に対応するといい得る。
よって、引用発明の「ユーザAの対応する項目等のメニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数(あるいは設定成功累積回数)をインクリメントしてステップS208に移行し」、「ステップS208では、メニュー選択累積回数、設定累積回数、機能実行累積回数、設定ミス累積回数のそれぞれについて、予め設定されている閾値との比較を行ってステップS209に移行し、閾値を超えたメニュー,設定項目,機能実行の表示順番、表示方法、付加表示方法の順位を更新して処理を終了」することは、本願発明の「コンピュータが、フォーム・アクセス・イベントに応答して、前記フォーム・アクセス・イベントにより参照されたグラフィカル・ユーザ・インターフェース・フォーム(GUIフォーム)に関連する複数のフィールドに関するフォーム利用履歴情報を分析するステップ」と、「前記GUIフォームに関連する前記複数のフィールドそれぞれに関する利用の特徴を前記フォーム利用履歴情報内で特定するステップ」に対応するといえる。

(2) 引用発明の「メニュー表示の変更(最適化)は、メニュー選択回数、設定回数、機能実行回数の各アクセス履歴をコントローラ部504の制御によって解析した結果に基づいて行うことができ、これにより、よく使う機能の設定項目のメニューが上位に表示されるように配列するなどの変更を行うことができ、ユーザの操作性を向上させることができ」、「メニュー表示の変更態様は、特定の項目を表示する文字のフォントの大きさ,種類(ゴシック体,明朝体等),色などを変更するようにしてもよく、また、表示項目のボックスの大きさや背景色を変えることも考えられ、さらに、特定項目について、設定上の注意点等を伝えるヘルプ表示や、『!』などの注意を喚起する記号等を付加表示させるようにしてもよく」、「グループBでは、・・・アクセス頻度が高い項目を先頭に配置し、さらにボックスを2重線で囲って目立つようにし、アクセス頻度などが低い項目については、ボックスの枠線を変更してユーザの注目度が変化するように表示させ」、「グループCでは、・・・上位の項目ほど大きく表示されるようにしてユーザの注目度が変化するように表示させ」、「グループDでは、・・・項目毎に背景色を変えるなどして、ユーザの注目度が変化するように表示させる」ことは、本願発明の「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップ」、「前記変更されたGUIフォームを前記コンピュータのディスプレイに表示するステップ」、「表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップ」に対応するといえる。

したがって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりである。

<一致点>
「コンピュータが、フォーム・アクセス・イベントに応答して、前記フォーム・アクセス・イベントにより参照されたグラフィカル・ユーザ・インターフェース・フォーム(GUIフォーム)に関連する複数のフィールドに関するフォーム利用履歴情報を分析するステップと、
前記GUIフォームに関連する前記複数のフィールドそれぞれに関する利用の特徴を前記フォーム利用履歴情報内で特定するステップと、
前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップと、
前記変更されたGUIフォームを前記コンピュータのディスプレイに表示するステップと、
表示された前記変更後のGUIフォーム中の前記複数のフィールドのうちの少なくとも1つに関連する前記特定された利用の特徴を表す表示を用いて、前記複数のフィールドのうちの前記少なくとも1つをグラフィックで強調表示するステップと、
を含む、方法。」

<相違点>
本願発明は、「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップ」が、「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む、ステップ」であるのに対して、引用発明は、「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップ」が、「他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む」ものではない点。

3.判断
上記相違点について検討する。
上記相違点について、引用文献2(特に、段落【0006】、【0012】?【0014】、【図2】を参照。)には、「利用履歴に基づいて各対象アイテムの利用頻度を算出して利用頻度テーブルを作成し、作成された利用頻度テーブルの内容に基づいて表示する項目を抽出し、抽出された項目をメニュー画面を表示するようにしたことから、ユーザに提供するメニュー画面を対象アイテムの利用状況に応じて動的に更新して表示させることができるようになる」こと、「アダプティブ」メニュー、「カスタマイズ」メニュー、「オリジナル」メニューのように、「メニュー画面として数種類の画面を用意しておけば、メニュータブを切り替えることにより所望の画面を表示することができるようになる」こと、「『アダプティブ』メニューのメニュー画面では、端末機能、インターネットおよびアプリケーションのカテゴリ毎に項目が表示され・・・端末機能のカテゴリに表示される項目は、カレンダー、ボイスメモ、カメラとされ、・・・各カテゴリに表示される項目は対応する対象アイテムの利用頻度に応じて動的に抽出されている。ここで、メニュー画面において端末機能のカレンダーを選択したとすると、移動通信端末10の表示器にカレンダーが表示されるようになる。そして、カレンダーのアイテムが利用されたことから、利用した項目であるカレンダー、利用した時間情報、利用した際に移動通信端末10が位置していた場所情報が含まれている利用情報が、利用履歴に新たに記録されて利用履歴が更新される。さらに、カレンダーのアイテムの利用回数と、カレンダーのアイテムの利用した時間帯および利用した場所での利用回数が1ずつインクリメントされて、利用頻度テーブルが更新されるようになる」こと、すなわち、予め用意されている「アダプティブ」メニューにおいて、「カレンダー」等のメニュー項目を更新することは記載があるが、GUIフォームに関連する「前記複数のフィールドそれぞれに関する前記特定された利用の特徴に基づいて、前記GUIフォームを自動的に変更するステップであって、他のサブセットと比較してより高い利用の特徴で特定された複数のフィールドのサブセットを前記GUIフォーム中のタブ化された部分に分割することを含む、ステップ」は、開示されていないから、上記相違点に係る構成は、引用文献1、及び、引用文献2に基づいて、容易に想到できたものであるとはいえない。
したがって、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願の請求項2-11に係る発明は、本願発明と実質的にカテゴリーのみが相違するもの(請求項8?9)、本願発明をさらに限定したもの(請求項2?7、10?11)であるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-11に係る発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2015-11-25 
出願番号 特願2010-264003(P2010-264003)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山澤 宏
稲葉 和生
発明の名称 自動フォーム・レイアウト方法、システム、およびコンピュータ・プログラム  
復代理人 小池 文雄  
代理人 上野 剛史  
代理人 太佐 種一  

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