• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1309394
審判番号 不服2015-4605  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-09 
確定日 2016-02-01 
事件の表示 特願2011- 55222「装置、方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日出願公開、特開2012-190390、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月14日の出願であって、平成26年9月4日に拒絶理由通知がなされ、同年11月6日付けで手続補正がなされ、同年12月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年3月9日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年3月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「画像を縮小した状態でレンダリングするコマンドを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記コマンドに基づいて縮小画像をレンダリングするレンダリング手段と、
前記レンダリング手段によりレンダリングされた縮小画像を保存する保存手段と、
前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に画像処理を適用する一連の処理を複数回実行する画像処理手段と、を有し、
複数回それぞれで異なった画像処理が前記画像処理手段により実行されることを特徴とする装置。」
から
「画像を縮小した状態でレンダリングするコマンドを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記コマンドに基づいて縮小画像をレンダリングするレンダリング手段と、
前記レンダリング手段によりレンダリングされた縮小画像を保存する保存手段と、
画像処理として第1調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第1調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第1調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を第1のレイアウト形式で配置し、
画像処理として第2調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第2調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第2調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を前記第1のレイアウト形式とは異なる形の配置であり、かつ、配置される複数の縮小画像の数が異なる第2のレイアウト形式で配置する画像処理手段と、を有し、
複数回それぞれで異なった画像処理が前記画像処理手段により実行されることを特徴とする装置。」
に補正する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。

2.補正の適否
本件補正の補正事項1は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である
「前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に画像処理を適用する一連の処理を複数回実行する画像処理手段」

「画像処理として第1調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第1調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第1調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を第1のレイアウト形式で配置し、
画像処理として第2調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第2調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第2調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を前記第1のレイアウト形式とは異なる形の配置であり、かつ、配置される複数の縮小画像の数が異なる第2のレイアウト形式で配置する画像処理手段」
に限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-147799号公報(以下、「刊行物」という。)には、次の記載がある。
なお、下線は、注目箇所を表している。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに画像処理を施して出力する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置としては、スキャナ機能および印刷機能を持つデジタル複合機において、原稿から読み取った画像データに対して濃度、色味やシャープネス等の画像処理を施し複写すると同時に、画像データを記憶装置に保存する。
【0003】
この保存した画像データから所定の大きさに縮小したサムネイル画像を生成し、生成したサムネイル画像に対して利用者が選択した画像処理設定に基づいて強度を変えて画像処理を施しサムネイル画像を生成して表示することにより、各画像処理設定による画像処理の効果を一覧して確認できるようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005-094564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置では、サムネイル画像に対してシャープネス、ノイズ除去、モアレ除去等の画像の空間的特徴に依存して作用する空間フィルタリング画像処理を施す場合は画像を縮小し過ぎると、元の大きさの画像に空間フィルタリング画像処理を施した場合と結果が異なり、サムネイル画像上では画像処理の効果を確認できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するために次の手段を採用する。すなわち、画像データに画像処理を施して出力する画像処理装置において、前記画像処理の内容を記憶する画像処理内容記憶手段と、前記記憶した画像処理の内容に基づいてサムネイル画像の縮小率を決定するサムネイル縮小率決定手段と、前記縮小率に基づき画像データからサムネイル画像を生成するサムネイル画像生成手段と、前記生成したサムネイル画像に、前記画像処理の内容に基づき画像処理を施す画像処理手段を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明の画像処理装置によれば、画像処理の内容を記憶する画像処理内容記憶手段と、前記記憶した画像処理の内容に基づいてサムネイル画像の縮小率を決定するサムネイル縮小率決定手段と、前記縮小率に基づき画像データからサムネイル画像を生成するサムネイル画像生成手段とを設け、前記生成したサムネイル画像に、前記画像処理の内容に基づき画像処理を施すようにしたので、サムネイル画像上においても画像処理の効果を確実に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
・・・(中略)・・・
【実施例1】
・・・(中略)・・・
【0046】
プリンタドライバはステップS302により設定された印刷設定情報および画像処理内容を記憶する(ステップS303)。サムネイル印刷を利用せず通常印刷を行う場合は1つの画像処理内容を記憶し、サムネイル印刷を利用する場合は複数の画像処理内容を記憶する。
【0047】
プリンタドライバはステップS301によりアプリケーションから受信したアプリケーションデータから、プリンタ100で解釈できるPDL(Page Description Language)で記述されたPDLデータを作成し、ステップS303により記憶した印刷設定情報を付け加え印刷データを作成する(ステップS304)。
【0048】
プリンタドライバはステップS304により作成した印刷データに、ステップS303により記憶した画像処理内容を付け加える(ステップS305)。
【0049】
図8は、ステップS305で作成される印刷データ800を説明する図である。 印刷データ800は、印刷設定情報801と、画像処理内容802と、PDLデータ803とから構成される。
【0050】
印刷設定情報801は用紙サイズ、印刷解像度、両面印刷の有無などの印刷条件に関わる情報である。画像処理内容802は図5ないし図7で説明した画像処理に関する設定情報である。
【0051】
PDLデータ803はPDL(Page Description Language)で記述された画像に関するデータである。プリンタドライバはステップS305により作成した印刷データをプリンタ100に送信する(ステップS306)。
【0052】
(プリンタの印刷動作)
図4は、プリンタ100上で実施例1において行う動作を説明するフローチャートであり、制御プログラムとしてプリンタ100内のプログラムROM203に格納され、実行時には一時的にRAM202に読み込まれCPU201によって実行される。
【0053】
印刷データ入力部101は、情報処理装置210から送信された印刷データをホストI/F207を介して受信し、受信した印刷データをRAM202に記憶する(ステップS401)。印刷データのうち画像処理内容は画像処理内容記憶部102であるところのRAM202が記憶する。
【0054】
展開部103は、印刷データ入力部101が受信した印刷データ中のPDLデータを展開して画像データを作成する(ステップS402)。
【0055】
次に、サムネイル印刷を行うかどうか判断する(S403)。この判断はステップS401で画像処理内容記憶部102に記憶された画像処理内容の数に基づいて行われ、複数の場合はサムネイル印刷を行うものとしてステップS405へ移行し、複数でない場合はサムネイル印刷を行わず通常印刷を行うものとしてステップS404へ移行する。
【0056】
ステップS403にて画像処理内容の数が複数でなく通常印刷であると判断した場合は、画像処理部106は、展開部103により展開された画像データに対して、画像処理内容記憶部102に記憶されている画像処理を施す(ステップS404)。
【0057】
一方、ステップS403にて画像処理内容の数が複数でサムネイル印刷を行うと判断した場合は、サムネイル縮小率決定部104は、画像処理内容記憶部102に記憶されている画像処理内容の中に空間フィルタリング画像処理が含まれるかどうかを判断し(S405)、含まれる場合はステップS406へ移行し、含まれない場合はステップS407へ移行する。
【0058】
ステップS405にて、空間フィルタリング画像処理が含まれると判断した場合は、サムネイル縮小率決定部104は縮小率を1ページに4枚画像を配置できる縮小率とする。すなわち50%とする(ステップS406)。
【0059】
一方、ステップS405にて、空間フィルタリング画像処理が含まれないと判断した場合は、サムネイル縮小率決定部104は縮小率を1ページに16枚画像を配置できる縮小率とする。すなわち25%とする(ステップS407)。
【0060】
サムネイル画像作成部105は、サムネイル縮小率決定部104が決定した縮小率に基づいて、展開部103が展開した画像データを縮小処理し、サムネイル画像を作成する(ステップS408)。画像縮小処理は、例えば、間引き処理を行うニアレストネイバー法や、線形補間のバイリニア法などの公知のアルゴリズムを用いて行えばよい。
【0061】
画像処理部106は、サムネイル画像作成部105が作成したサムネイル画像のひとつひとつに対して、画像処理内容記憶部102に記憶されている画像処理を施す(ステップS409)。
【0062】
次に、ページデータ作成部107は、画像処理部106が画像処理した画像データと、印刷データ入力部101が受信した印刷データ中の印刷設定情報に基づいて1ページごとのページデータを作成する(ステップS410)。
【0063】
エンジンI/F205は、ページデータ作成部107が作成したページデータを印刷し、印刷結果を出力して(ステップS411)、本印刷動作を終了する。
【0064】
図9ないし図11は、以上の実施例1のプリンタにより印刷した結果を示し、図9は通常印刷による印刷例900を示し、図10は空間フィルタリング処理が含まれる場合の印刷例1000を示し、図11は空間フィルタリング処理を含まない場合の印刷例1100を示したものである。
【0065】
図10に示したように、空間フィルタリング処理を含むサムネイル印刷例1000では、1ページに4枚の画像を配置し、画像処理されたサムネイル画像1001とそれぞれの画像処理内容1002を印刷する。
【0066】
また、図11に示したように、空間フィルタリング処理を含まないサムネイル印刷例1100では、1ページに16枚の画像を配置し、画像処理されたサムネイル画像1101とそれぞれの画像処理内容1202を印刷する。
【0067】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の画像処理装置によれば、画像データのサムネイル画像の縮小率を決定するサムネイル縮小率決定部を設け、空間フィルタリング画像処理を施す場合は縮小率を低くし、サムネイル画像を大きく印刷するようにしたので、空間フィルタリング画像処理を実施してもサムネイル画像の空間的特徴への影響が少なく、サムネイル画像上においても画像処理の効果を確実に知ることができる。」

ここで、上記記載事項を刊行物の図面と技術常識に照らせば、次のことがいえる。
ア.段落【0060】に記載される「サムネイル画像作成部105」が作成した「サムネイル画像」は、何らかの記憶手段に記憶された上で段落【0061】に記載される「画像処理部106」による画像処理が施されるのが普通であるから、刊行物でいう「プリンタ100」は、「サムネイル画像作成部105が作成したサムネイル画像を記憶する記憶手段」といい得る記憶手段を当然に有している。

イ.段落【0004】、【0057】等の記載からみて、「画像処理内容記憶部102」に記憶されている画像処理内容には、空間フィルタリング画像処理が含まれる場合と含まれない場合があり、段落【0061】に記載される「画像処理部106」は、当然に、画像処理内容記憶部102に記憶されている画像処理に空間フィルタリング画像処理が含まれる場合は、空間フィルタリング画像処理を含む画像処理を施し、空間フィルタリング画像処理が含まれない場合は、空間フィルタリング画像処理を含まない画像処理を施すものである。

ウ.段落【0058】、【0059】、図10、11の記載からみて、段落【0062】に記載される「ページデータ作成部107」は、「サムネイル縮小率決定部104が決定した縮小率が50%の場合は1ページに4枚、25%の場合は1ページに16枚のサムネイル画像が配置された1ページごとのページデータを作成する」ものである。

エ.刊行物に記載される発明が、段落【0003】に記載される背景技術を前提にしたものであることと、段落【0055】に記載されるように、画像処理内容記憶部102に記憶された画像処理内容の数が複数の場合にサムネイル印刷が行われるものであることからみて、段落【0061】に記載される「画像処理」すなわち「サムネイル画像のひとつひとつに対して施される画像処理」は、それぞれ異なった画像処理である。

以上を踏まえ、上記記載事項中の下線部に着目すれば、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

(引用発明)
「印刷データ中のPDLデータを展開して画像データを作成する展開部103と、
サムネイル縮小率決定部104が決定した縮小率に基づいて、展開部103が展開した画像データを縮小処理し、サムネイル画像を作成するサムネイル画像作成部105と、
サムネイル画像作成部105が作成したサムネイル画像を記憶する記憶手段と、
サムネイル画像作成部105が作成し記憶手段に記憶されたサムネイル画像のひとつひとつに対して、画像処理内容記憶部102に記憶されている画像処理に空間フィルタリング画像処理が含まれる場合は、空間フィルタリング画像処理を含む画像処理を施し、空間フィルタリング画像処理が含まれない場合は、空間フィルタリング画像処理を含まない画像処理を施す画像処理部106と、
画像処理部106が画像処理した画像データと、印刷データ入力部101が受信した印刷データ中の印刷設定情報に基づいて、サムネイル縮小率決定部104が決定した縮小率が50%の場合は1ページに4枚、25%の場合は1ページに16枚のサムネイル画像が配置された1ページごとのページデータを作成するページデータ作成部107と、を有し、
前記サムネイル画像のひとつひとつに対して施される画像処理は、それぞれ異なった画像処理である、プリンタ100。」

(2)対比
補正発明と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア.一般に、「レンダリング」という用語は、「画像や画面の内容を指示するデータの集まりをコンピュータプログラムで処理して、具体的な画素の集合を得ること。」といった程度の意味で使用されており(http://e-words.jp/w/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0.html参照)、補正発明の「レンダリング」もそのような意味に解されるが、引用発明でいう「印刷データ中のPDLデータを展開して画像データを作成する」も、その「レンダリング」の概念に含まれる。したがって、引用発明の「展開部103」と補正発明の「レンダリング手段」は、「画像をレンダリングするレンダリング手段」である点で共通する。

イ.引用発明の「記憶手段」と補正発明の「保存手段」は、「縮小画像を保存する保存手段」である点で共通する。

ウ.上記イ.を踏まえ、引用発明の「空間フィルタリング画像処理を含む画像処理」、「空間フィルタリング画像処理を含まない画像処理」を、それぞれ補正発明の「第1調整」、「第2調整」に対応するものと考えると、引用発明の「画像処理部106」と「ページデータ作成部107」を併せた部分は、
「画像処理として第1調整が設定された場合、保存手段により保存された縮小画像に対して、前記第1調整に対応する画像処理を適用する処理を複数回実行し、前記第1調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を第1のレイアウト形式で配置し、
画像処理として第2調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、前記第2調整に対応する画像処理を適用する処理を複数回実行し、前記第2調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を前記第1のレイアウト形式とは配置される複数の縮小画像の数が異なる第2のレイアウト形式で配置する画像処理手段」ともいい得、その点で補正発明の「画像処理手段」と共通する。

以上を踏まえると、補正発明と引用発明の間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「画像をレンダリングするレンダリング手段と、
縮小画像を保存する保存手段と、
画像処理として第1調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、前記第1調整に対応する画像処理を適用する処理を複数回実行し、前記第1調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を第1のレイアウト形式で配置し、
画像処理として第2調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、前記第2調整に対応する画像処理を適用する処理を複数回実行し、前記第2調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を前記第1のレイアウト形式とは配置される複数の縮小画像の数が異なる第2のレイアウト形式で配置する画像処理手段と、を有し、
複数回それぞれで異なった画像処理が前記画像処理手段により実行されることを特徴とする装置。」である点。

(相違点1)
補正発明は、「画像を縮小した状態でレンダリングするコマンドを生成する生成手段」を有し、その「レンダリング手段」は、「前記生成手段により生成された前記コマンドに基づいて」縮小画像をレンダリングするものであるのに対し、引用発明は、そのような「生成手段」を有するものではなく、その「レンダリング手段」(展開部103)は、「前記生成手段により生成された前記コマンドに基づいて」縮小画像をレンダリングするものではない点。

(相違点2)
補正発明の「保存手段」は、「縮小画像をレンダリングするレンダリング手段」によりレンダリングされた縮小画像を保存するものであるのに対し、引用発明の「保存手段」(記憶手段)は、そのようなものではない点。

(相違点3)
補正発明の「画像処理手段」は、
「画像処理として第1調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第1調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第1調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を第1のレイアウト形式で配置し、
画像処理として第2調整が設定された場合、前記保存手段により保存された縮小画像に対して、当該保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第2調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行し、前記第2調整に対応する画像処理が実行された複数の縮小画像を前記第1のレイアウト形式とは異なる形の配置であり、かつ、配置される複数の縮小画像の数が異なる第2のレイアウト形式で配置する」
ものであるのに対し、
引用発明の「画像処理手段」(「画像処理部106」と「ページデータ作成部107」を併せた部分)は、
「保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に第1調整または第2調整に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行」するものではなく、また、画像処理として第2調整が設定された場合の縮小画像を、「画像処理として第1調整が設定された場合の縮小画像の配置である第1のレイアウト形式の配置」とは異なる形の配置である「第2レイアウト形式」で配置するものではない点。

この点、相違点3は、以下の理由で、一致点ではなく相違点と考えるのが妥当である。
(ア)補正発明でいう「保存された縮小画像をコピーして当該コピーされた縮小画像に前記第1調整(または第2調整)に対応する画像処理を適用する一連の処理を複数回実行」は、その文言上、「『保存された縮小画像をコピー』という処理と『コピーされた縮小画像に第1調整(または第2調整)に対応する画像処理を適用する』という処理の2つの処理を一つながりとした処理」(以下、「一連の処理」という。)を複数回実行することを規定した記載としか解することができないが、引用発明は、そのような「一連の処理」を複数回実行するものではない。
(イ)補正発明でいう「異なる形の配置」は、「縮小画像の数が異なる」こととは別の事項として規定されているものであるから、「縮小画像の数が異なることで結果として配置の輪郭形状が異なることになるもの」までを含むものではなく、「縮小画像の数が仮に同じであっても形が異なるような配置」を指すものと解するのが自然である。
一方、刊行物の図10と11に示されるサムネイル画像の配置は、何れも長方形状の配置であって、その相互は、サムネイル画像の数は違うものの、形は同じであると解するのが自然である。
したがって、刊行物の図10と11に示されるサムネイル画像の配置をもって、刊行物に「画像処理として第2調整が設定された場合の縮小画像を、『画像処理として第1調整が設定された場合の縮小画像の配置である第1のレイアウト形式の配置』とは異なる形の配置である『第2レイアウト形式』で配置」に相当する技術的事項(以下、「技術的事項A」という。)が記載されているとはいえない。
また、刊行物には、ほかに上記「技術的事項A」を示す記載は見当たらない。
よって、引用発明は、上記「技術的事項A」を具備するものとはいえない。

(3)判断
当審は、引用発明において相違点3に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえないと判断する。
理由は次のとおりである。
ア.引用発明を上記「一連の処理」を複数回実行するものとすることが当業者にとって容易であったことを示す証拠はない。
イ.引用発明を上記「技術的事項A」を具備するものとすることが当業者にとって容易であったことを示す証拠もない。
この点、前置報告書で引用文献5として呈示された特開2004-142423号公報(以下、前置報告書に合わせ「引用文献5」という。)の図9、10は、引用発明を上記「技術的事項A」を具備するものとすることが当業者にとって容易であったことを示す証拠とはいえない。なぜならば、上記引用文献5の段落【0122】に記載されるように引用文献5の図10は、図9の変形例であって、上記「技術的事項A」の容易想到性を根拠付けるものとはいえないからである。

以上のとおりであるから、相違点1、2について検討するまでもなく、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ほかに、補正発明を出願の際独立して特許を受けることができないものと言うべき理由は見当たらない。
よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-15に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-01-19 
出願番号 特願2011-55222(P2011-55222)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 片岡 利延  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 小曳 満昭
山澤 宏
発明の名称 装置、方法およびプログラム  
代理人 下山 治  
代理人 永川 行光  
代理人 大塚 康徳  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 木村 秀二  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ