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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B62D
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B62D
管理番号 1309536
審判番号 不服2014-18545  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-17 
確定日 2016-01-05 
事件の表示 特願2013-506587号「縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備えた駐車システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月 3日国際公開、WO2011/134843号、平成25年 6月20日国内公表、特表2013-525192号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2011年4月19日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年4月28日、(DE)ドイツ連邦共和国)を国際出願日とする出願であって、平成26年5月26日付け(発送日:同年6月2日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、その請求と同時に手続補正がなされたものである。

第2.平成26年9月17日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年9月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本件発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、
(1)「【請求項1】
縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備える駐車支援のための駐車システムの動作方法において、
・少なくとも1つの停止点(410)を有する駐車軌道(400)を計算するステップ(304)と、
・運転者アクションに依存せずに、計算された前記停止点(410)に到達したことを検出するステップ(306)と、
・前記検出に応じて、ステアリング制御部(218)に対して、ステアリング操作のための信号(216)を供給するステップ(308)
とを有し、
前記ステアリング操作のための信号は、運転者によって実施されるギアチェンジ(508)の前(502)に供給される、
ことを特徴とする方法。」
とあったものを
(2)「【請求項1】
縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備える駐車支援のための駐車システムの動作方法において、
・少なくとも1つの停止点(410)を有する駐車軌道(400)を計算するステップ(304)と、
・運転者アクションに依存せずに、計算された前記停止点(410)に到達したことを検出するステップ(306)と、
・前記検出に応じて、ステアリング制御部(218)に対して、ステアリング操作のための信号(216)を供給するステップ(308)と
を有し、
前記ステアリング操作のための信号は、運転者によって実施されるギアチェンジ(508)の前(502)に供給され、ステアリング操作の間にギアチェンジが実行可能である、
ことを特徴とする方法。」
と補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付したものである。)

上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「運転者によって実施されるギアチェンジ(508)」に関して、「ステアリング操作の間にギアチェンジが実行可能である」との限定事項を付加したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と、補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載される発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.刊行物の記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2005-313775号公報(以下、「刊行物」という。)には、自動操舵駐車支援装置の動作方法に関し、以下の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。以下同様。)
(ア)「【0001】
本発明は、並列駐車や縦列駐車等の際に、車両を目標駐車位置へ自動的に操舵して駐車操作の支援を行う自動操舵駐車支援装置に関する。」

(イ)「【0023】
車輪速センサ8は、車輪の回転速度を検出するもので、この検出された回転速度と予め計測されている車輪の円周長とに基づいて車両20の移動距離情報を提供できるようになっている。また、車輪18の回転速度から、車両20の走行速度(車速)Vが演算されるようになっている。
なお、操舵角θ及び走行速度Vは、駐車支援ECU10及び監視装置9へ入力されるようになっている。」

(ウ)「【0028】
現在位置推定部12は、車輪速センサ8及びハンドル角センサ7の出力に基づいて駐車支援開始後の車両20の挙動を演算(積算)して、車両20が現在どのような位置にあるのかを推定するようになっている。・・・」

(エ)【0031】
さらに、目標駐車位置設定部13は、現在位置推定部12により推定された車両20の現在位置も考慮して、目標駐車位置を設定できるようになっている。したがって、現在車両20が存在する位置と相対的な位置に目標駐車位置を設定できるようになっている。
このように、目標駐車位置設定手段13において目標駐車位置が設定されると、次に、その目標駐車位置までの走行ルート(なお、走行ルートについては後述する)が設定されるとともに、駐車支援のための自動操舵を開始する初期停止位置が設定される。
【0032】
なお、目標駐車位置設定部13は、目標駐車位置,初期停止位置を設定した後、車両20が初期設定位置に到達すると、車両20が走行ルート上を辿って目標駐車位置へ移動するように、車両20の操舵角θの目標値である目標操舵角θ_(t)を設定するようになっている。
案内内容設定部11は、ディスプレイ15やスピーカ16による教示,案内の内容やそのタイミングを設定し、制御する機能要素であり、駐車操作中に適切な教示内容を適切なタイミングでドライバに提供するようになっている。例えば、目標駐車位置や初期停止位置が設定されたことをドライバへ教示し、車両20を初期停止位置まで誘導するように案内するようになっている。また、車両20が走行ルート上を辿って目標駐車位置へ移動するように、車両20の前進,後進及び停止を案内するようになっている。
【0033】
また、スピーカ16及びディスプレイ15は、目標駐車位置設定部13により設定された目標駐車位置に車両20が駐車するために、ドライバに対して車両20の前進,後進,停止,さらにはハンドルを切る方向を案内,教示するようになっている。また、ディスプレイ15には、リヤビューカメラ7により撮像される映像と一緒に、駐車支援のための運転操作の情報とコーナーセンサシステムによる近接障害物情報が表示されるようになっている。
【0034】
自動操舵制御部14は、車両20の実際の操舵角θと目標駐車位置設定部13で設定された目標操舵角θ_(t)とが等しくなるように、ステアリングアクチュエータ17を制御して操舵トルクを発生させ、ハンドルの自動転舵(すなわち、転舵制御)を行うようになっている。また、このような自動操舵は、車両20の停止時にのみ行われて、操舵輪18を据え切りするようになっている。一方、車両20の走行(前進,後退)時には、操舵輪18の操舵角θがそのまま保持(すなわち、保舵制御)されるようになっており、ステアリングアクチュエータ17へ保舵指示が出力されて、ハンドルが回転しないようになっている。
【0035】
つまり、本実施形態では、自動操舵制御部14及びステアリングアクチュエータ17が転舵制御と保舵制御とを実施する自動操舵制御手段として機能している。
目標駐車位置設定部13で設定される走行ルートは、その始点を初期停止位置、終点を目標駐車位置とする車両20の走行軌跡の線で表すことができ、目標操舵角θ_(t)に対応した一定の曲率を有する曲線と直線を連結した形状となっている。本実施形態では、例えば左側方への縦列駐車時には、図4に示すように、一本の直線cdと二本の曲線bc,deとを連結した形状の走行ルートbeが設定され、また、左側方への並列駐車(車庫入れ駐車)では、図5に示すように、二本の曲線b′c′,c′d′と一本の直線d′e′とを連結した形状の走行ルートが設定される。そして、走行ルート上の変曲点(操舵角θが変化する点であり、図4では点b,c,d、図5では点b′,c′,d′)の各点において、車両20を停止させて据え切りを行う制御が行われるようになっている。」

(オ)【0038】
このように、本自動操舵駐車支援装置1においては、駐車支援制御として、車両20の停止時に操舵輪18の据え切りを行う据切制御(転舵制御)と、車両20の移動(前進,後退)時に操舵角θを一定に保持する保舵制御との二つの制御が実施されるようになっている。
この駐車支援ECU10による駐車支援の制御は、以下の手順で実施されるようになっている。すなわち、まず、目標駐車位置設定部13において、車両20の周囲の障害物の検出が実施され、車両20が一時停止した時点でそれらの検出情報に基づいて目標駐車位置及びその目標駐車位置までの走行ルートが設定される。そして、車両20が目標駐車位置までの走行ルートを辿るように、車両20の目標操舵角θ_(t)が設定され、車両20の停止時に、ハンドルへ操舵トルクが付与されて、ドライバの操作に依らず自動的に据え切りが行われる。この据切制御の内容は、随時、案内内容設定部11においてドライバへ教示,案内される。
【0039】
操舵輪18の据え切りが完了して操舵角θが目標操舵角θ_(t)に等しくなると、それがドライバへ教示,案内されて、ドライバは車両20を前進又は後退させる。このとき、操舵角θが一定に保持されて、車両20が走行ルート上を辿るように移動することになる。
つまり、本駐車支援制御によれば、ドライバはハンドル操作を行う必要がなく、教示,案内に従って車両20を前進又は後退させる操作を行うだけで自動操舵が実施されて、車両20を目標駐車位置へ移動させることができるようになっているのである。」

(カ)「【0052】
ステップA40では、車輪速センサ8で検出された車速Vが0であるか否かが判定される。ここでは、車両20が停止しているか否かが判定される。ここでV=0の場合にはステップA80へ進み、自動操舵制御が実施(または継続)される。また、V≠0の場合にはステップA90へ進む。つまり、ステップA20において、据切制御中であると判定されたということは、駐車支援ECU10の自動操舵制御部14において、車両20が停止していると判断しているということである。しかしながら、車輪速センサ8で検出された車速Vが0でないということは、駐車支援ECU10あるいは自動操舵制御部14が誤作動しているということになる。したがって、V≠0の場合にはステップA90のフェイルセーフ処理が行われるようになっているのである。」

これら記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに倣って整理すると、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されている。

「目標駐車位置に車両20が駐車するために、ドライバに対して車両20の前進,後進,停止,さらにはハンドルを切る方向を案内,教示する自動操舵駐車支援装置の動作方法において、
目標駐車位置設定部13が、始点を初期停止位置、終点を目標駐車位置とする一定の曲率を有する曲線と直線を連結した形状となる走行軌跡で表される車両20の走行ルートを設定し、
車両20が設定された前記初期停止位置に到達すると、
前記目標駐車位置設定部13により、車両20が目標駐車位置までの走行ルートを辿るように、車両20の目標操舵角θ_(t)が設定され、
車輪速センサ8で検出された車速VがV=0の場合に車両20が停止していると判定し、自動操舵制御部14により、ハンドルへ操舵トルクが付与されて、据切制御がドライバの操作に依らず自動的に実施され、
操舵輪18の据え切りが完了して操舵角θが目標操舵角θ_(t)に等しくなったことをドライバへ教示,案内し、ドライバは車両20を後退させる自動操舵駐車支援装置の動作方法。」

3.対比
本願補正発明と刊行物発明とを対比する。
a)後者の「目標駐車位置に車両20が駐車するために、ドライバに対して車両20の前進,後進,停止,さらにはハンドルを切る方向を案内,教示する自動操舵駐車支援装置」は、縦方向及び横方向のガイド機能を有するといえるから、前者の「縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備える駐車支援のための駐車システム」に相当する。

b)後者の「初期停止位置」及び「車両20の走行ルート」は、前者の「停止点」及び「駐車軌道」に相当する。また、後者の「車両20の走行ルート」は「始点を初期停止位置、終点を目標駐車位置とする一定の曲率を有する曲線と直線を連結した形状となる走行軌跡で表される」ものであるところ、刊行物の記載事項(エ)段落【0031】の「目標駐車位置設定部13は、現在位置推定部12により推定された車両20の現在位置も考慮して、目標駐車位置を設定できるようになっている。」との記載、及び同記載事項(ウ)の「現在位置推定部12は、車輪速センサ8及びハンドル角センサ7の出力に基づいて駐車支援開始後の車両20の挙動を演算(積算)して、車両20が現在どのような位置にあるのかを推定するようになっている。」との記載から、「目標駐車位置」は演算により設定されるものであり、最終的に設定される「車両20の走行ルート」も演算(計算)により設定されているといえる。このことから、後者の「目標駐車位置設定部13が、始点を初期停止位置、終点を目標駐車位置とする一定の曲率を有する曲線と直線を連結した形状となる走行軌跡で表される車両20の走行ルートを設定し」は、前者の「少なくとも1つの停止点を有する駐車軌道を計算するステップ」に相当する。

c)前者の「運転者アクションに依存せずに、計算された前記停止点(410)に到達したことを検出する」に関し、本願明細書の段落【0025】には、「計算された停止点410に到達したことを検出装置204が検出する。このために装置204は例えば図2に概略的に図示された車輪センサ210を使用することができ、例えば車両が静止状態にあるか否かを検出する。例えば周囲センサ208、および/または、ブレーキシステムおよび/または駆動システムの状態を検出するセンサからの別のさらなるセンサデータも、装置204にて処理することができる。」と記載され、「運転者アクションに依存せずに、停止点に到達したことを検出する」手段として、車輪センサを使用することが例示されている。
他方、後者は、「車輪速センサ8で検出された車速VがV=0の場合に車両20が停止していると判定し、自動操舵制御部14により、ハンドルへ操舵トルクが付与されて、据切制御がドライバの操作に依らず自動的に実施され」るものであるから、「初期停止位置に到達する」ことを「車輪速センサ8で検出された車速VがV=0の場合」を条件としており、初期停止位置に到達する検出手段として車輪速センサ8を使用しているといえる。
また、後者の「自動操舵制御部14」は、前者の「ステアリング制御部」に、後者の「目標操舵角θ_(t)」は、前者の「ステアリング操作のための信号」に相当するところ、車輪速センサ8の検出に応じて、自動操舵制御部14に対して、目標操舵角θ_(t)の信号が供給されていることも自明な事項といえる。
そうすると、後者の「車両20が設定された前記初期停止位置に到達すると、
前記目標駐車位置設定部13により、車両20が目標駐車位置までの走行ルートを辿るように、車両20の目標操舵角θ_(t)が設定され、
車輪速センサ8で検出された車速VがV=0の場合に車両20が停止していると判定し、自動操舵制御部14により、ハンドルへ操舵トルクが付与されて、据切制御がドライバの操作に依らず自動的に実施され」は、
前者の「・運転者アクションに依存せずに、計算された前記停止点(410)に到達したことを検出するステップ(306)と、
・前記検出に応じて、ステアリング制御部(218)に対して、ステアリング操作のための信号(216)を供給するステップ(308)とを有し」との構成を含んでいるといえる。

そうすると、両者は、本願補正発明の用語を用いて表現すると、次の点で一致する。
[一致点]
「縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備える駐車支援のための駐車システムの動作方法において、
・少なくとも1つの停止点を有する駐車軌道を計算するステップと、
・運転者アクションに依存せずに、計算された前記停止点に到達したことを検出するステップと、
・前記検出に応じて、ステアリング制御部に対して、ステアリング操作のための信号を供給するステップと
を有する方法。」

そして、両者は次の点で相違する。

[相違点]
本願補正発明は、「前記ステアリング操作のための信号は、運転者によって実施されるギアチェンジ(508)の前(502)に供給され、ステアリング操作の間にギアチェンジが実行可能である」のに対し、
刊行物発明は、ドライバによって実施されるギアチェンジのタイミングが明らかでなく、「目標操舵角θ_(t)」の信号が、自動操舵制御部14に対して供給されるタイミングが該ギアチェンジのタイミングの前であるか不明であるとともに、操舵輪18の据え切りが完了して操舵角θが目標操舵角θ_(t)に等しくなる間にギアチェンジが実行可能であるか不明である点。

4.当審の判断
(1)上記相違点について
刊行物発明は、「車両20が設定された前記初期停止位置に到達すると、・・・目標操舵角θ_(t)が設定され、・・・車両20が停止していると判定し、・・・据切制御が・・・実施され、操舵輪18の据え切りが完了して操舵角θが目標操舵角θ_(tに)等しくなったことをドライバへ教示,案内し、ドライバは車両20を後退させる」ものであるが、通常、ギアチェンジの操作と据切制御とは機械的に独立したものであり、かつ、刊行物には、ギアチェンジのタイミングについての記載はなく、ギアチェンジを禁止されている期間がある旨等の記載もないので、刊行物発明におけるギアチェンジ(バックギヤへの)は、初期停止位置に停止した時点からドライバが車両20を後退させる時点の間のいずれかで実行可能であるといえる。
さらに検討を加えると、刊行物発明は「車両20が設定された前記初期停止位置に到達すると、前記目標駐車位置設定部13により、車両20が目標駐車位置までの走行ルートを辿るように、車両20の目標操舵角θ_(t)が設定され」るところ、初期停止位置の到達してから目標操舵角θ_(t)の設定までの処理は、前述の対比c)で検討したとおり、車輪速センサ8の検出に応じて、自動操舵制御部14に対して、目標操舵角θ_(t)の信号が供給されるといった電子的なシーケンシャルなものであるため、要する時間はごく僅かであるから、ギアチェンジは、操舵角θが目標操舵角θ_(t)に等しくなる間、若しくは、操舵輪18の据え切りが完了した後に実施するのが自然である。
そして、ギアチェンジのタイミングは、ドライバの目標駐車位置への到達時間の短縮の要求度や、自動操舵駐車支援装置の慣れ具合に応じて決められるものであるから、刊行物発明において、目標操舵角θ_(t)の信号は、ドライバによって実施されるギアチェンジの前に供給され、操舵角θが目標操舵角θ_(t)に等しくなる間にギアチェンジが実行可能なように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、刊行物発明において、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)本願補正発明による効果も、刊行物発明から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、刊行物発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成26年4月25日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、前記「第2.1.(1)」に記載したとおりである。

2.刊行物の記載事項
刊行物の記載事項は、前記「第2.2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、前記「第2.1.」に記載した限定事項を省くものである。そうすると、本願発明の発明特定事項を含み、さらに、前記「第2.1.」の限定事項により減縮したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.3.及び4.」に記載したとおり、刊行物発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、刊行物発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-06 
結審通知日 2015-08-10 
審決日 2015-08-21 
出願番号 特願2013-506587(P2013-506587)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (B62D)
P 1 8・ 121- Z (B62D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳元 八大  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 氏原 康宏
島田 信一
発明の名称 縦方向ガイドおよび横方向ガイドを備えた駐車システム  
代理人 久野 琢也  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 高橋 佳大  

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