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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F02B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F02B
管理番号 1310060
審判番号 不服2015-4055  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-02 
確定日 2016-01-14 
事件の表示 特願2010-242541「電動アシストターボチャージャ」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月17日出願公開、特開2012- 92800〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成22年10月28日の出願であって、平成26年5月23日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成26年7月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年9月1日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成26年11月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年11月21日付けで平成26年11月7日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定がされ、同日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成27年3月2日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。


第2 平成27年3月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年3月2日付けの手続補正を却下する。
[理由]
〔1〕本件補正の内容
平成27年3月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年7月28日に提出された手続補正書により補正された)下記の(A)に示す請求項1及び2を、下記の(B)に示す請求項1及び2と補正するものである。
(A)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2
「 【請求項1】
排気ガスにより回転されるタービンホイールを有する排気タービンと、
回転により空気を圧縮するコンプレッサホイールを有する吸気コンプレッサと、
前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとに一体化され排気タービン側から吸気コンプレッサ側へ回転を伝達するターボ軸と、
外力を加えても前記ターボ軸の軸振動の振動モードに影響を及ぼさない、前記ターボ軸の軸振動の節部分に取り付けられたドリブンギアと、
前記ドリブンギアに噛み合うドライブギアと、
前記ドライブギアを回転させる電気モータとを備えたことを特徴とする電動アシストターボチャージャ。
【請求項2】
排気ガスにより回転されるタービンホイールを有する排気タービンと、
回転により空気を圧縮するコンプレッサホイールを有する吸気コンプレッサと、
前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとに一体化され排気タービン側から吸気コンプレッサ側へ回転を伝達するターボ軸と、
前記ターボ軸の軸振動の節部分に取り付けられたドリブンギアと、
前記ドリブンギアに噛み合うドライブギアと、
前記ドライブギアを回転させる電気モータとを備え、
前記ターボ軸の軸振動の節部分を前記排気タービン側にも前記吸気コンプレッサ側にも偏らない位置に設定したことを特徴とする電動アシストターボチャージャ。」

(B)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2
「 【請求項1】
排気ガスにより回転されるタービンホイールを有する排気タービンと、
回転により空気を圧縮するコンプレッサホイールを有する吸気コンプレッサと、
前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとに一体化され排気タービン側から吸気コンプレッサ側へ回転を伝達するターボ軸と、
外力を加えても前記ターボ軸の軸振動の振動モードに影響を及ぼさない、前記ターボ軸の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように取り付けられたドリブンギアと、
前記ドリブンギアに噛み合い前記ドリブンギアよりも歯数が多いドライブギアと、
前記ドライブギアを回転させる電気モータとを備えたことを特徴とする電動アシストターボチャージャ。
【請求項2】
排気ガスにより回転されるタービンホイールを有する排気タービンと、
回転により空気を圧縮するコンプレッサホイールを有する吸気コンプレッサと、
前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとに一体化され排気タービン側から吸気コンプレッサ側へ回転を伝達するターボ軸と、
前記ターボ軸の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように取り付けられたドリブンギアと、
前記ドリブンギアに噛み合い前記ドリブンギアよりも歯数が多いドライブギアと、
前記ドライブギアを回転させる電気モータとを備え、
前記ターボ軸の軸振動の節部分を前記排気タービン側にも前記吸気コンプレッサ側にも偏らない位置に設定したことを特徴とする電動アシストターボチャージャ。
」(なお、下線は、請求人が補正箇所を明示するために付したものである。)

〔2〕本件補正の目的要件について
本件補正は、本件補正前の請求項2における「前記ターボ軸の軸振動の節部分に取り付けられたドリブンギア」という記載を、「前記ターボ軸の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように取り付けられたドリブンギア」として、本件補正前の請求項2に係る発明の発明特定事項である「ドリブンギヤ」について、「取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように」という事項を追加して、ターボ軸へのドリブンギヤの取付の態様を限定するものといえ、また、本件補正前の請求項2における「前記ドリブンギアに噛み合うドライブギア」という記載を、「前記ドリブンギアに噛み合い前記ドリブンギアよりも歯数が多いドライブギア」とし、本件補正前の請求項2に係る発明の発明特定事項である「ドライブギア」について、「前記ドリブンギアよりも歯数が多い」という事項を追加して、ドライブギアの構造を限定するものするものといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項2についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項2に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項2に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

〔3〕本願補正発明の独立特許要件について
1.本願補正発明
本願補正発明は、平成27年3月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるものであるところ、上記〔1〕(B)の【請求項2】に示したとおりのものである。

2.引用刊行物
(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭55-135620号(実開昭57-58725号)のマイクロフィルム(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「2.実用新案登録請求の範囲
車載用の内燃機関の排気によってタービンを回転させ、タービン回転軸に取付けたコンプレッサを駆動して機関への吸入空気を強制的に圧入するターボチャージャーにおいて、上記回転軸に歯車を設け、これと離合自在に組み合わせられる駆動歯車と駆動用電動機を設けたことを特徴とするターボチャージャー。」(明細書1ページ4ないし11行)

イ 「この考案は自動車用等の車載用内燃機関に付設されるターボチャージャーに関する。
従来のターボチャージャーは機関の排気ガスを利用してタービンを回転させこれと同軸のコンプレッサにより機関へ空気を過給し機関出力を向上させるものである。従って時間当り排気ガス量の少ない低回転時においては、タービンを回転させるトルクが少なく、機関への過給作用が不十分で低回転時の機関出力向上効果は十分に期待できない欠点があった。一方機関の運転上からは低速運転時に加速操作をする場合など、すみやかに機関出力を向上させるため、十分に過給作用をさせることが望まれる。
本考案はこの問題を解決するためなされたものであって、通常の排気駆動の他に歯車を設けて、これにより機関低回転時にコンプレッサを駆動するものである。」(明細書1ページ13行ないし2ページ9行)

ウ 「本考案を実施例により説明すれば、第1図において内燃機関(1)に付設したターボチャージャー(2)は機関(1)の排気管路内に配設したタービン羽根(3)、空気吸入管路内に配設した遠心式コンプレッサ(4)、両者を連結する回転軸(5)等より成る。回転軸(5)には小歯車(6)が固設され、これと離合自在に噛み合わせる大歯車(7)及び大歯車(7)を駆動する電動機(8)が設けられる。大歯車(7)を小歯車(6)へ噛み合わせる離合装置(9)は、通常のシンクロ方式変速機等のような周知の機構のものである。電動機(8)は蓄電池(14)と接続される駆動電源回路を有し、回路中に電源元スイッチ(S)、アクセルペダルと連動されアイドル又は減速運転時には開となる開閉器(10)、および開閉装置(11)を有する。さらに機関回転数を電気的あるいは機械的方法により関知する周知の機関回転数感知手段(12)の制御信号を受けて、機関の特定高回転以下でのみ閉ぢる開閉装置(11)と、電源回路が閉のときのみ離合装置(9)を歯車噛み合わせ位置に置く制御装置(13)を設ける。前記の特定した高回転数は排気バイパス弁(15)が開弁する過給圧に対応する機関回転数より低く定めるものとする。また電動機(8)によるコンプレッサ(4)の回転数は、排気バイパス弁(15)が開弁する過給圧以下の回転となるよう歯車比および電動機定格等を定めるものとする。
上記のような構成から成る本考案のターボチャージャーは次のような作用をする。すなわち機関が始動されるとアイドル運転時においてはターボチャージャーはほとんど過給効果がないが加速過程に入ると開閉器(10)が閉ぢ感知手段(12)の信号により開閉装置(11)は閉ぢているので制御装置(13)および離合装置(9)を介して歯車(6)(7)を噛み合わせて歯車を駆動し過給圧を急速に向上させる。機関の回転が上がると歯車駆動とともに機関回転数に応じて排気タービンのトルクも向上し過給圧を向上させるが、特定回転数に達すると、感知手段(12)の信号により開閉装置(11)が作用し歯車は解放されるので、排気タービンによる駆動のみとなり、更に機関回転数が上がれば排気バイパス弁(15)が開き一定過給圧を保つ。機関の減速あるいはアイドル運転時には開閉器(10)が開くので機関回転数が高くても歯車によるターボチャージャーの駆動は行われない。 ・・・中略・・・
上記のように、本考案のターボチャージャーは従来の欠点である低速加速時における過給効果不足を改善し、機関回転数全域にわたってターボチャージャーの効果をもたらし、機関出力向上に役立つものである。」(明細書2ページ10行ないし5ページ4行)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)アないしウ及び第1図の記載(特に、明細書2ページ6ないし17行及び3ページ16行ないし4ページ11行、並びに、第1図の記載)によれば、ターボチャージャーにおいて、排気タービンによる内燃機関への過給作用が不十分である機関低回転時に、電動機8により歯車6,7を介して遠心式コンプレッサ4に連結された回転軸5を駆動して過給圧を向上させていることから、引用刊行物には、電動機によりアシストするターボチャージャーが記載されていることが分かる。

イ 上記(1)アないしウ及び第1図の記載(特に、明細書2ページ10ないし17行及び3ページ16行ないし4ページ4行、並びに、第1図の記載)を上記アとあわせてみると、電動機によりアシストするターボチャージャーは、排気ガスにより回転されるタービン羽根3を有する排気用のタービンと、回転により空気を圧縮する遠心式コンプレッサ4を有する吸気用のコンプレッサと、前記タービン羽根3と前記遠心式コンプレッサ4とに一体化され排気用のタービン側から吸気用のコンプレッサ側へ回転を伝達する回転軸5と、前記回転軸5に固設された小歯車6と、前記小歯車6に離合装置9を介して噛み合う大歯車7と、前記大歯車7を回転させる電動機8とを備えたことが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合して、本願補正発明の表現に倣って整理すると、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「排気ガスにより回転されるタービン羽根3を有する排気用のタービンと、
回転により空気を圧縮する遠心式コンプレッサ4を有する吸気用のコンプレッサと、
前記タービン羽根3と前記遠心式コンプレッサ4とに一体化され排気用のタービン側から吸気用のコンプレッサ側へ回転を伝達する回転軸5と、
前記回転軸5に固設された小歯車6と、
前記小歯車6に離合装置9を介して噛み合う大歯車7と、
前記大歯車7を回転させる電動機8とを備えた電動機によりアシストされるターボチャージャー。」

3.対比
本願補正発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「タービン羽根3」は、前者における「タービンホイール」に相当し、以下同様に、「排気用のタービン」は「排気タービン」に、「遠心式コンプレッサ4」は「コンプレッサホイール」に、「吸気用のコンプレッサ」は「吸気コンプレッサ」に、「回転軸5」は「ターボ軸」に、「固設された」は「取り付けられた」に、「小歯車6」は「ドリブンギア」に、「大歯車7」は「ドライブギア」に、「電動機8」は「電気モータ」に、「電動機によりアシストされるターボチャージャー」は「電動アシストターボチャージャ」に、それぞれ相当する。
・後者における「前記回転軸5に固設された小歯車6」は、前者における「前記ターボ軸の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように取り付けられたドリブンギア」に、「前記ターボ軸に取り付けられたドリブンギア」という限りにおいて一致する。
・後者における「前記小歯車6に離合装置9を介して噛み合う大歯車7」は、前者における「前記ドリブンギアに噛み合い前記ドリブンギアよりも歯数が多いドライブギア」に、「前記ドリブンギアに噛み合うドライブギア」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「排気ガスにより回転されるタービンホイールを有する排気タービンと、
回転により空気を圧縮するコンプレッサホイールを有する吸気コンプレッサと、
前記タービンホイールと前記コンプレッサホイールとに一体化され排気タービン側から吸気コンプレッサ側へ回転を伝達するターボ軸と、
前記ターボ軸に取り付けられたドリブンギアと、
前記ドリブンギアに噛み合うドライブギアと、
前記ドライブギアを回転させる電気モータとを備えた電動アシストターボチャージャ。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
「前記ターボ軸に取り付けられたドリブンギア」に関し、本願補正発明においては、「前記ターボ軸の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように取り付けられたドリブンギア」であるのに対して、引用発明においては、「前記回転軸5に固設された小歯車6」である点。(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
「前記ドリブンギアに噛み合うドライブギア」に関し、本願補正発明においては、「前記ドリブンギアに噛み合い前記ドリブンギアよりも歯数が多いドライブギア」であるのに対して、引用発明においては、「前記小歯車6に離合装置9を介して噛み合う大歯車7」であるところ、大歯車7が小歯車6よりも歯数が多いか否か不明である点。(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
本願補正発明においては、「前記ターボ軸の軸振動の節部分を前記排気タービン側にも前記吸気コンプレッサ側にも偏らない位置に設定した」ものであるのに対して、引用発明においては、そのような構成を有するものであるか否か不明である点。(以下、「相違点3」という。)。

4.判断
上記相違点について検討する。
[相違点1及び3について]
回転軸に歯車を設ける際に、当該歯車と噛み合う相手の歯車との噛み合いに衝突等の異常が生じないようにして歯車列の信頼性を向上するため、回転軸の軸振動の節部分に歯車を設けることは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術」という。必要であれば、実願昭58-15213号(実開昭59-121424号)のマイクロフィルム(特に、明細書5ページ18行ないし7ページ7行、第2図及び第3図)、特開平4-133678号公報(特に、2ページ右下欄末行ないし3ページ左上欄10行及び第4図)及び特開平11-179721号公報(特に、段落【0009】)を参照。)である。
ここで、回転軸の軸振動の節部分に歯車を設けることにより、取り付け前に対して回転軸の軸振動の振動モードが変わらないものとすることができることは明らかである。
そして、引用発明において、小歯車6(ドリブンギア)と大歯車7(ドライブギア)との歯車列の噛み合いを安定したものとすることは、耐久性の向上や異音の発生防止のために当然に考慮することであるから、引用発明において、上記周知技術を適用することは当業者が容易に想到し得ることである。
また、ターボチャージャーにおいて、フローティング式の軸受け等の一般的に採用される軸受けによりターボ軸を支持した場合に、ターボ軸にすりこぎ状の歳差運動が生じて、ターボ軸の軸振動の節部分が排気タービン側にも吸気コンプレッサ側にも偏らない位置にあることは、本件出願前に周知の事項(以下、「周知事項」という。必要であれば、特開2009-174466号公報(特に、段落【0003】ないし【0006】及び【0043】、並びに、図1ないし4)及び特開2010-138757号公報(特に、段落【0002】ないし【0014】及び図1)である。
そうすると、引用発明において、上記周知事項を考慮して上記周知技術を適用することにより、小歯車6を、排気用のタービン(排気タービン)側にも吸気用のコンプレッサ(吸気コンプレッサ)側にも偏らない位置に設定された回転軸5(ターボ軸)の軸振動の節部分に、取り付け前に対して前記回転軸5の軸振動の振動モードが変わらないように固設された(取り付けられた)ものとし、上記相違点1及び3に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことである。

[相違点2について]
引用発明において、大歯車7(ドライブギア)は小歯車6(ドリブンギア)に離合装置9を介して噛み合うものであるところ、所望の歯車比を得るために大歯車7と小歯車6が採用されていること、及び、複数の歯車より動力伝達するものにおいて、各歯車における歯形や歯のピッチ等の歯の形態は同じものとされるのが通常の設計手法であることを考慮すると、大歯車7、小歯車6及び離合装置における歯形や歯のピッチ等の歯の形態を同じものとして、大歯車7を小歯車6よりも歯数が多いものとし、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者がごく普通になし得ることである。

そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明、周知技術及び周知事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。
したがって、本願補正発明は、引用発明、周知技術及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

〔4〕むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。


第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成26年7月28日に提出された手続補正書により補正された(本件出願の願書に最初に添付された)特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定されるものであるところ、前記第2[理由]〔1〕(A)の【請求項2】に示したとおりのものである。

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項、並びに、引用発明は、前記第2[理由]〔3〕2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]〔3〕で検討した本願補正発明において、発明特定事項である「ドリブンギア」について、「取り付け前に対して前記ターボ軸の軸振動の振動モードが変わらないように」というターボ軸へのドリブンギヤの取付の態様を限定する事項を削除すると共に、発明特定事項である「ドライブギア」について、「前記ドリブンギアよりも歯数が多い」というドライブギアの構造を限定する事項を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含む本願補正発明が、前記第2[理由]〔3〕に記載したとおり、引用発明、周知技術及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、周知技術及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-11 
結審通知日 2015-11-17 
審決日 2015-11-30 
出願番号 特願2010-242541(P2010-242541)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F02B)
P 1 8・ 121- Z (F02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 二之湯 正俊  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 槙原 進
松下 聡
発明の名称 電動アシストターボチャージャ  
代理人 絹谷 信雄  
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