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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1310465
審判番号 不服2015-2539  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-09 
確定日 2016-01-27 
事件の表示 特願2012-545052「敷設容易な床材」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 6月30日国際公開、WO2011/075933、平成25年 5月 9日国内公表、特表2013-515878〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年8月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年12月23日、中国)を国際出願日とする出願であって、平成26年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年2月9日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされたものである。

第2 補正の却下の決定
1 結論
平成27年2月9日付けの手続補正を却下する。

2 理由
(1)補正の内容・目的
平成27年2月9日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正するものである。
(補正前)
「方形底板と、前記方形底板上に固定連結される方形表面板とを有する敷設容易な床材であって、
前記方形底板は、
方形底板本体と、
前記方形底板本体の各辺に均等に設ける複数の板状フックと、
前記板状フックの近辺の前記方形底板本体の外縁の下部に設け、前記板状フックに対応するバックルと、
を含み、
前記方形底板本体の両辺における板状フックの位置と前記方形底板本体の他の両辺における板状フックの位置をずらして設け、
前記方形底板本体の両辺におけるバックルの位置と前記方形底板本体の他の両辺におけるバックルの位置をずらして設けることを特徴とする敷設容易な床材。」
(補正後)
「方形底板と、前記方形底板上に固定連結される方形表面板とを有する敷設容易な床材であって、
前記方形底板は、
方形底板本体と、
前記方形底板本体の各辺に均等に設ける複数の板状フックと、
前記板状フックの近辺の前記方形底板本体の外縁の下部に設け、前記板状フックに対応するバックルと、
を含み、
前記方形底板本体の両辺における板状フックの位置と前記方形底板本体の他の両辺における板状フックの位置をずらして設け、
前記方形底板本体の両辺におけるバックルの位置と前記方形底板本体の他の両辺におけるバックルの位置をずらして設け、
使用時は、一枚の前記床材の辺を他の一枚の前記床材の辺に結合させ、結合時には、両辺の前記板状フックおよび前記バックルの位置をずらして設けられることにより、一枚の前記床材の辺における前記板状フックおよび前記バックルは、他の一枚の前記床材における前記バックルおよび前記板状フックと結合できることを特徴とする敷設容易な床材。」(下線は補正箇所を明示するため審決で付した。)

上記補正事項は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「板状フック」及び「バックル」の床材の敷設時の結合状態について、「両辺の前記板状フックおよび前記バックルの位置をずらして設けられることにより、一枚の前記床材の辺における前記板状フックおよび前記バックルは、他の一枚の前記床材における前記バックルおよび前記板状フックと結合できる」ことを限定するものであり、かつ補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、新規事項を追加するものではないから、同条第3項の規定を満たしている。

(2)独立特許要件についての検討
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

ア 刊行物の記載
(ア)原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特開2002-339552号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の記載がある(下線は審決にて付した。以下同じ。)。

a 「【請求項1】 合成樹脂製枠体に意匠表面材を接着剤によって固定したユニット床材において、前記合成樹脂製枠体に、使用する接着剤と接着性の良好な接着力向上部材を一体に設けたことを特徴とするユニット床材。」

b 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ユニット床材に関するものである。」

c 「【0007】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、合成樹脂製枠体に対してタイルなどの意匠表面材を少量の接着剤で接着強度を確保して接着することのできるユニット床材を提供するものである。」

d 「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明のユニット床材の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】図1乃至図3には、本発明のユニット床材1の一実施形態が示されている。
【0020】このユニット床材1は、縦横に複数個のユニット枠21が連結されてなる合成樹脂製枠体2と、合成樹脂製枠体2の各ユニット枠21にそれぞれ配置された意匠表面材3と、合成樹脂製枠体2と意匠表面材3を接着する接着剤4と、から構成されている。
【0021】合成樹脂製枠体2は、ポリプロピレン、ポリエチレンあるいはエチレン-酢酸ビニル共重合体などで成形され、方形状の底壁211および該底壁211の周縁部に立設された周壁212からなる浅い箱状のユニット枠21を縦横にそれぞれ3個ずつ計9個連結して形成され、各ユニット枠21の底壁211および周壁212によって意匠表面材3を配置するための空間が区画されている。そして、各ユニット枠21の底壁211には、周壁212に沿って複数個の開口21aが形成されているとともに、その中央部にも複数個の開口21aが形成されており、周壁212に沿う開口21aには、後述する連結片22が嵌合できるように設定されている。……
【0022】さらに、合成樹脂製枠体2の相隣り合う二辺には、周壁212の外面から外方に向けて他の合成樹脂製枠体2と連結するための複数個の連結片22が形成されている。この連結片22は、カギ型に形成され、他の合成樹脂製枠体2の外周側の各ユニット枠21の底壁211に形成された周壁212に沿う開口21aに嵌合可能となっている。」

e 図1は、次のものである。


f 上記cの記載を踏まえて図1をみると、合成樹脂製枠体2及び意匠表面材3が方形であることがみてとれる。

g 上記aないしfによれば、刊行物1には、次の発明が記載されているものと認められる(以下「刊行物1発明」という。)。
「方形の合成樹脂製枠体に方形の意匠表面材を接着剤によって固定したユニット床材であって、
合成樹脂製枠体は、方形状の底壁及び底壁の周縁部に立設された周壁からなる浅い箱状のユニット枠を縦横にそれぞれ3個ずつ計9個連結して形成され、
意匠表面材が各ユニット枠にそれぞれ配置され、
各ユニット枠の底壁には、周壁に沿って複数個の開口が形成され、
合成樹脂製枠体の相隣り合う二辺には、周壁の外面から外方に向けて他の合成樹脂製枠体と連結するための複数個の連結片が形成され、連結片は、カギ型に形成され、他の合成樹脂製枠体の外周側の各ユニット枠の底壁に形成された周壁に沿う開口に嵌合可能となっているユニット床材。」

(イ)原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である実願平3-46625号(実開平5-837号)のCD-ROM(以下「刊行物2」という。)には、以下の記載がある。

a 「【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、各単位となるフロア部材単体夫々の各辺に形成した継手手段によって夫々の方向に連結でき、しかも、端切れが生じたときにもこれを利用して結合敷設できるようにしたフロア部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
……
このフロア部材は、互いが1個の単位としての単体となって相互に結合連結できるよう、例えば図4に示すように、平面でほぼ正方形状に形成されたフロア材本体11の各辺夫々に、フロア材本体11夫々における連結方向の前後に対応するよう雄継手12、雌継手13のいずれか一方を夫々形成してある……それは、図示のように、隣接する辺夫々のいずれか一方は雄継手12あるいは雌継手13とし、また、いずれか他方は雌継手13あるいは雄継手12としてあって、フロア材本体11自体の方向を変更することなく、縦方向あるいは横方向への連続配置を可能にする。……
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかして、フロア材本体11夫々の各辺に形成された雄継手12、雌継手13相互間の結合によって多数のものを連続敷設するとき、敷設するベランダや屋上における床面の如き被敷設面の広狭に対応させてフロア材本体11自体を切断することがある。この切断によって端切れが生じると、それをそのまま廃棄するのは無駄であり、不経済であるから、これの再利用が望まれるものである。
【0004】
ところが、この従来の連結方向の前後に夫々雄継手12、雌継手13のいずれか一方を形成した継手構造によると、図4の右側に示したように、A部材を残してB部材を切断した場合、このB部材をA部材の図面下部にC部材として結合しようとすると、他のフロア材本体11との結合に際し、その結合部位においては、フロア材本体11における雄継手12、雌継手13夫々と同一なものが相対し、それらの間では結合することが全く不可能となっていた。またこのB部材を図4の上部にD部材として結合しようとしても、図面左右方向に設けられた雄継手12、雌継手13の方向が逆になってしまい、左右方向への結合ができなくなってしまっていた。
【0005】
そこで、この考案は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、敷設される各単位となるフロア材本体夫々の各辺に形成される継手構造に工夫を施して全方向で結合できるようにし、敷設させるべきベランダや屋上における床面等の被敷設面の広狭に対応させてフロア材本体自体を切断することで生じた端切れであっても、これを再活用して他のものと相互に結合でき、無駄を省き、経済的な有効利用を図り得るフロア部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、この考案にあっては、相互間で当接される各辺に形成された雌雄結合の継手手段によって結合しながら被敷設面に敷設されるフロア部材において、フロア材本体の各辺に形成した継手手段は、相対して相互に結合される雄継手、雌継手が交互に配列形成されていることを特徴とする。」

b 「【0010】
このフロア材本体1は、図示のように、適宜肉厚を有する平面でほぼ正方形状に形成されていて、フロア材本体1自体が単体のものとして、被敷設面における敷設の一単位として取扱われる。
また、フロア材本体1自体の各辺には、互いに結合される雌雄の結合構造を形成する雄継手2、雌継手3から成る継手手段4が付設されている。各辺における継手手段4は、その辺に沿って雄継手2、雌継手3が交互に配列されており、この交互の配列構成は、これに隣接する辺においても同様にして配列されるもので、1個の辺における端部位置のそれが雄継手2であると、隣接する辺における端部位置のそれは雌継手3となるようにしてある。
【0011】
このときの継手手段4における雄継手2、雌継手3の配列は、図2に示すように、各辺において、夫々が少なくとも1個宛の対となっており、また、必要があれば、図3に示すように、複数対にして配列構成することができる。」

c 「【0014】
【考案の効果】
この考案は以上のように構成されており、これがため、床面等の被敷設面の広狭に対応させてフロア材本体自体を切断することで生じた端切れであっても、これを再活用して他のものと相互に結合でき、その端切れを廃棄する無駄がなくなり、これを有効利用できる。」

d 上記aないしcによれば、刊行物2には、以下の技術的事項が記載されているものと認められる。
「相互間で当接される各辺に形成された雌雄結合の継手手段によって結合しながら被敷設面に敷設されるフロア部材において、
フロア部材は、平面でほぼ正方形状に形成され、
フロア部材の各辺には、互いに結合される雌雄の結合構造を形成する複数対の雄継手、雌継手から成る継手手段が付設されており、各辺における継手手段は、その辺に沿って雄継手、雌継手が交互に配列され、この交互の配列構成は、これに隣接する辺においても同様にして配列されるもので、1個の辺における端部位置のそれが雄継手であると、隣接する辺における端部位置のそれは雌継手となるようにしてあること。」

イ 対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する。

(ア)刊行物1発明の「『方形状の底壁及び底壁の周縁部に立設された周壁からなる浅い箱状のユニット枠を縦横にそれぞれ3個ずつ計9個連結して形成され』た『方形の合成樹脂製枠体』」は、本願補正発明の「方形底板(方形底板本体)」に相当し、以下同様に、「『各ユニット枠にそれぞれ配置され』、『接着剤によって固定』される『方形の意匠表面材』」は、「前記方形底板上に固定連結される方形表面板」に、「ユニット床材」は、「敷設容易な床材」に、それぞれ相当する。

(イ)刊行物1発明の「『合成樹脂製枠体の相隣り合う二辺に』『周壁の外面から外方に向けて他の合成樹脂製枠体と連結するため』に『形成され』る『カギ型に形成され』た『複数個の連結片』」と、本願補正発明の「前記方形底板本体の各辺に均等に設ける複数の板状フック」とは、「方形底板本体の辺に設ける複数の板状フック」の点で共通し、刊行物1発明の「『連結片』と『嵌合可能となっている』、『合成樹脂製枠体の外周側の各ユニット枠の底壁に形成された周壁に沿う開口』」と、本願補正発明の「前記板状フックの近辺の前記方形底板本体の外縁の下部に設け、前記板状フックに対応するバックル」とは、「方形底板本体の外縁の下部に設け、板状フックに対応するバックル」の点で共通する。

(ウ)刊行物1発明の「ユニット床材」は、一つの「辺」に「形成され」た「連結片」が「他の合成樹脂製枠体の外周側の各ユニット枠の底壁に形成された周壁に沿う開口に嵌合可能となっている」から、「使用時は、一枚の前記床材の辺を他の一枚の前記床材の辺に結合させ」るものであるといえる。

(エ)刊行物1発明の「ユニット床材」は、一つの「辺」に「形成され」た「連結片」が「他の合成樹脂製枠体の外周側の各ユニット枠の底壁に形成された周壁に沿う開口に嵌合可能となっている」ことと、本願補正発明の「結合時には」、「一枚の前記床材の辺における前記板状フックおよび前記バックルは、他の一枚の前記床材における前記バックルおよび前記板状フックと結合できる」こととは、「結合時には、一枚の床材の辺における板状フックは、他の一枚の床材におけるバックルと結合できる」点で共通する。

(オ)以上によれば、両者は以下の点で一致する。
<一致点>
「方形底板と、前記方形底板上に固定連結される方形表面板とを有する敷設容易な床材であって、
前記方形底板は、
方形底板本体と、
前記方形底板本体の辺に設ける複数の板状フックと、
前記方形底板本体の外縁の下部に設け、前記板状フックに対応するバックルと、
を含み、
使用時は、一枚の前記床材の辺を他の一枚の前記床材の辺に結合させ、結合時には、一枚の前記床材の辺における前記板状フックは、他の一枚の前記床材における前記バックルと結合できる敷設容易な床材。」

(カ)他方、両者は以下の点で相違する。
<相違点>
板状フック及びバックルの形成箇所及び床材の結合態様に関し、本願補正発明では、方形底板本体の各辺に均等に複数の板状フック設けるとともに、板状フックの近辺にバックルを設け、さらに、方形底板本体の両辺における板状フック及びバックルの位置と方形底板本体の他の両辺における板状フック及びバックルの位置をずらして設けることにより、結合時には、一枚の床材の辺における板状フック及びバックルは、他の一枚の床材におけるバックル及び板状フックと結合できるのに対し、刊行物1発明では、合成樹脂製枠体の相隣り合う二辺に複数個の連結片が形成され、結合時には、連結片は、他の合成樹脂製枠体の(連結片が形成されていない二辺の)底壁に形成された開口に嵌合する点。

ウ 検討
(ア)相違点について
刊行物2には、
「相互間で当接される各辺に形成された雌雄結合の継手手段によって結合しながら被敷設面に敷設されるフロア部材において、
フロア部材は、平面でほぼ正方形状に形成され、
フロア部材の各辺には、互いに結合される雌雄の結合構造を形成する複数対の雄継手、雌継手から成る継手手段が付設されており、各辺における継手手段は、その辺に沿って雄継手、雌継手が交互に配列され、この交互の配列構成は、これに隣接する辺においても同様にして配列されるもので、1個の辺における端部位置のそれが雄継手であると、隣接する辺における端部位置のそれは雌継手となるようにしてあること。」(上記ア(イ)dを参照。以下「刊行物2記載事項」という。)
が記載されており、刊行物2記載事項の「フロア部材」、「雄継手」及び「雌継手」は、本願補正発明の「床材」、「板状フック」及び「バックル」にそれぞれ相当し、刊行物2記載事項の「フロア部材の各辺には、互いに結合される雌雄の結合構造を形成する複数対の雄継手、雌継手から成る継手手段が付設されており、各辺における継手手段は、その辺に沿って雄継手、雌継手が交互に配列され、この交互の配列構成は、これに隣接する辺においても同様にして配列されるもので、1個の辺における端部位置のそれが雄継手であると、隣接する辺における端部位置のそれは雌継手となるようにしてあること」は、本願補正発明の「前記方形底板本体の両辺における板状フックの位置と前記方形底板本体の他の両辺における板状フックの位置をずらして設け」、「前記方形底板本体の両辺におけるバックルの位置と前記方形底板本体の他の両辺におけるバックルの位置をずらして設け」、「結合時には、両辺の前記板状フックおよび前記バックルの位置をずらして設けられることにより、一枚の前記床材の辺における前記板状フックおよび前記バックルは、他の一枚の前記床材における前記バックルおよび前記板状フックと結合できること」に相当する。
そして、刊行物1発明及び刊行物2記載事項は、ともに床材の技術分野に属するものであり、刊行物2に記載された「被敷設面の広狭に対応させてフロア材本体自体を切断することで生じた端切れであっても、これを再活用して他のものと相互に結合でき、無駄を省き、経済的な有効利用を図り得るフロア部材を提供する」(上記ア(イ)aを参照。)という課題は、刊行物1発明の床材においても内在するものであるから、刊行物1発明において、連結片及び開口の配列構成として、刊行物2記載事項のものを採用して上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(イ)本願補正発明の効果について
本願補正発明によってもたらされる効果を全体としてみても、刊行物1発明及び刊行物2記載事項から当業者が当然に予測できる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。

(ウ)審判請求書の主張について
請求人は、審判請求書(8頁5?10行)において、刊行物1及び2のいずれにも、「床材の各辺に設けられた板状フックと、床材の外縁の下部に板状フックに対応するように設けられたバックルとを相互に結合させることにより、床材同士を水平方向および垂直方向の両方において互いに堅固に結合する」という、本願補正発明の特徴に対応する内容は記載も示唆もされていない旨主張する。
しかし、上記(ア)において検討したとおり、刊行物1発明において、連結片及び開口の配列構成として、刊行物2記載事項のものを採用して、「床材の各辺に設けられた板状フックと、床材の外縁の下部に板状フックに対応するように設けられたバックルとを相互に結合させる」よう構成することは、当業者が容易になし得たことであり、また、刊行物2記載事項の雌雄の結合構造が「床材同士を水平方向および垂直方向の両方において互いに堅固に結合する」との効果を有することは、当業者にとって自明の事項にすぎないから、上記請求人の主張は採用できない。

エ 小括
以上のとおり、本願補正発明は、当業者が刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)補正却下の決定のむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、出願当初の特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2、2(1)において、本件補正前の請求項1として示したとおりのものである。

2 判断
本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定を付したものが本願補正発明であるところ、本願補正発明が、上記第2、2(2)において検討したとおり、当業者が刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであることに照らせば、本願発明が刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであることは明らかである。

3 むすび
以上の検討によれば、本願発明(本願の請求項1に係る発明)は、当業者が刊行物1に記載された発明及び刊行物2に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-28 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2015-09-14 
出願番号 特願2012-545052(P2012-545052)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
P 1 8・ 575- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瓦井 秀憲  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 中田 誠
住田 秀弘
発明の名称 敷設容易な床材  
代理人 八田国際特許業務法人  

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