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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
管理番号 1311821
異議申立番号 異議2015-700130  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-10-29 
確定日 2016-01-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第5710738号「液処理方法、液処理装置および記憶媒体」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5710738号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5710738号の請求項1ないし10に係る特許についての出願は、平成22年12月22日を出願日とする特願2010-285921号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年12月10日に新たな特許出願としてなされたものであって、平成27年3月13日に特許の設定登録がされ、その後、その請求項1ないし10に係る特許に対し、特許異議申立人田村彰彦(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。


第2 本件発明
本件特許第5710738号の請求項1ないし10に係る特許の発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」ないし「本件発明10」という。)。

「【請求項1】
本体部と、該本体部に突設された親水性の複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に撥水性の下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法において、
前記被処理体の前記下地面が親水化し、かつ前記凸状部表面が撥水化した状態となるようにする表面処理工程であって、前記被処理体に対して、撥水性の前記下地面を親水化する親水処理液を供給する親水処理液供給工程と、前記被処理体に対して、親水性の前記凸状部表面を撥水化する撥水処理液を供給する撥水処理液供給工程とを含む、表面処理工程と、
前記下地面を親水化し、かつ前記凸状部表面を撥水化した状態に表面処理された前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給工程と、
前記被処理体から前記リンス液を除去する乾燥工程とを備え、
前記親水処理液供給工程と前記撥水処理液供給工程との間に、前記被処理体に対して、親水処理液と撥水処理液とを互いに置換するための置換促進液を供給する、置換促進液供給工程が設けられ、
前記表面処理工程から前記リンス液供給工程までの間、前記被処理体の前記凸状部が液面から露出しないことを特徴とする液処理方法。
【請求項2】
前記被処理体の各前記凸状部は、それぞれシリンダー形状を有することを特徴とする請求項1記載の液処理方法。
【請求項3】
前記下地面がSi系材料からなり、各前記凸状部が金属系材料からなることを特徴とする請求項1又は2記載の液処理方法。
【請求項4】
前記置換促進液供給工程の前に、前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給工程が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の液処理方法。
【請求項5】
本体部と、該本体部に突設された親水性の複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に撥水性の下地面が形成された、被処理体を処理する液処理装置において、
前記被処理体を保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構に保持された前記被処理体に対して表面処理を行う表面処理機構と、
前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給機構と、
前記表面処理機構および前記リンス液供給機構を制御する制御部とを備え、
前記表面処理機構は、前記被処理体に対して、撥水性の前記下地面を親水化する親水処理液を供給する親水処理液供給機構と、前記被処理体に対して、親水処理液と撥水処理液とを互いに置換するための置換促進液を供給する置換促進液供給機構と、前記被処理体に対して、親水性の前記凸状部表面を撥水化する撥水処理液を供給する撥水処理液供給機構とを含み、
前記制御部は、
前記表面処理機構の前記親水処理液供給機構を制御して、前記被処理体の前記下地面が親水化した状態となるようにし、かつ前記表面処理機構の前記撥水処理液供給機構を制御して、前記凸状部表面が撥水化した状態となるようにし、
前記リンス液供給機構を制御して、前記下地面を親水化し、かつ前記凸状部表面を撥水化した状態に表面処理された前記被処理体に対して前記リンス液を供給し、
前記親水処理液供給機構によって前記被処理体の前記下地面が親水化した状態にすることと、前記撥水処理液供給機構によって前記凸状部表面が撥水化した状態にすることとの間に、前記置換促進液供給機構を制御して、前記被処理体に対して置換促進液を供給し、
前記親水処理液供給機構により前記被処理体の前記下地面を親水化した状態にするとともに前記撥水処理液供給機構により前記凸状部表面を撥水化した状態にしてから、前記リンス液供給機構により前記被処理体に対して前記リンス液を供給するまでの間、前記被処理体の前記凸状部が液面から露出しないようにすることを特徴とする液処理装置。
【請求項6】
前記基板保持機構は、前記被処理体を回転可能に保持しており、前記制御部は、前記基板保持機構を制御して、前記基板保持機構を回転させることにより、前記被処理体から前記リンス液を除去することを特徴とする請求項5記載の液処理装置。
【請求項7】
前記被処理体の各前記凸状部は、それぞれシリンダー形状を有することを特徴とする請求項5又は6記載の液処理装置。
【請求項8】
前記下地面がSi系材料からなり、各前記凸状部が金属系材料からなることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記置換促進液供給機構が前記被処理体に対して置換促進液を供給する前に、前記リンス液供給機構を制御して、前記被処理体に対してリンス液を供給することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項記載の液処理装置。
【請求項10】
液処理装置に液処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記液処理方法は、
本体部と、該本体部に突設された親水性の複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に撥水性の下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法であって、
前記被処理体の前記下地面が親水化し、かつ前記凸状部表面が撥水化した状態となるようにする表面処理工程であって、前記被処理体に対して、撥水性の前記下地面を親水化する親水処理液を供給する親水処理液供給工程と、前記被処理体に対して、親水性の前記凸状部表面を撥水化する撥水処理液を供給する撥水処理液供給工程とを含む、表面処理工程と、
前記下地面を親水化し、かつ前記凸状部表面を撥水化した状態に表面処理された前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給工程と、
前記被処理体から前記リンス液を除去する乾燥工程とを有し、
前記親水処理液供給工程と前記撥水処理液供給工程との間に、前記被処理体に対して、親水処理液と撥水処理液とを互いに置換するための置換促進液を供給する、置換促進液供給工程が設けられ、
前記表面処理工程から前記リンス液供給工程までの間、前記被処理体の前記凸状部が液面から露出しないことを特徴とする記憶媒体。」

第3 特許異議申立の概要
特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1号証を提出して、請求項1、3ないし6、8ないし10に係る発明は、甲第1号証に記載の発明と同一であるから、それらの特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであり、取り消すべきである旨主張している。
また、主たる証拠として甲第1号証並びに従たる証拠として下記の甲第2号証及び甲第3号証を提出して、請求項1、3ないし6、8ないし10に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、又は甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された発明から容易に発明をすることができたものであり、請求項2及び7に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明、又は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明から容易に発明することができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消すべきである旨主張している。


甲第1号証:特開2010-114414号公報(以下「甲1刊行物」という。)
甲第2号証:特開平7-142349号公報(以下「甲2刊行物」という。)
甲第3号証:特開2010-56534号公報(以下「甲3刊行物」という。)

なお、上記甲1号証ないし甲3号証は、本件の特許公報に参考文献として記載されているものである。


第4 刊行物の記載及び刊行物に記載された発明
1 甲1刊行物及び甲1刊行物に記載された発明
(1)「【0009】
さらに本発明の別態様による半導体基板の表面処理方法は、表面の所定の領域に複数の凸形状パターンを有する半導体基板表面を、洗浄薬液を用いて洗浄し、前記洗浄薬液を用いて前記半導体基板を洗浄後、処理薬液を用いて前記凸形状のパターン表面の少なくとも一部を改質し、改質した前記凸形状のパターン表面に撥水性保護膜を形成し、前記撥水性保護膜形成後に水を用いて前記半導体基板をリンスし、前記半導体基板を乾燥させるものである。」

(2)「【0049】
(第3の実施形態)本発明の第3の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を図7に示すフローチャートを用いて説明する。また、図2に示す表面処理装置と同様の、複数枚の半導体基板の洗浄・乾燥を一括して行うバッチ式の表面処理装置を使用するものとする。
【0050】
(ステップS301)半導体基板1を基板保持部2で保持し、処理槽3に導入する。
【0051】
(ステップS302)処理薬液供給部(図示せず)から処理槽3へ薬液を供給し、半導体基板1の洗浄を行う。薬液には例えば硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)が用いられる。
【0052】
(ステップS303)処理薬液供給部から処理槽3へ純水を供給し、半導体基板1のリンスを行い、ステップS302で用いた薬液成分を除去する。
【0053】
(ステップS304)処理薬液供給部から処理層3へIPA(イソプロピルアルコール)を供給し、純水をIPAに置換するアルコールリンス処理を行う。
【0054】
(ステップS305)処理薬液供給部から処理層3へシンナーを供給し、IPAをシンナーに置換する。シンナーにはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)やシクロヘキサノンを用いることができる。
【0055】
(ステップS306)処理薬液供給部から処理槽3へシランカップリング剤を供給し、半導体基板1表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)を形成する。
【0056】
シランカップリング剤には、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等を用いることができる。また、これらのシランカップリング剤をシンナーで希釈して用いてもよい。
【0057】
(ステップS307)処理薬液供給部から処理層3へIPAを供給し、シランカップリング剤をIPAに置換する。
【0058】
(ステップS308)処理薬液供給部から処理槽3へ純水を供給し、IPAを純水に置換する。
【0059】
(ステップS309)半導体基板1の乾燥処理を行う。例えば半導体基板1を処理槽3から引き上げて気体供給部(図示せず)からドライエアを供給し蒸発乾燥させる。減圧乾燥法を用いてもよい。
【0060】
また、処理槽3上部の空間に乾燥薬品供給部(図示せず)より乾燥薬品(IPA等)を液体、蒸気、又はミスト状で、単体又は窒素等のガスと共に供給し、半導体基板1を浸漬している純水を抜いて、徐々に液面を下げて乾燥を行うようにしてもよい。また、HFE等の表面張力の低い液体を用いて乾燥を行ってもよい。
【0061】
半導体基板10に形成されているパターンは撥水性保護膜に覆われているため、液体の接触角θが大きく(90°に近く)なる。そのため、cosθが0に近づき、乾燥処理時にパターンに作用する液体の表面張力が小さくなり、パターン倒壊を防止することができる。
【0062】
(ステップS310)ドライアッシングやオゾンガス処理等の灰化処理を行い、半導体基板1表面に形成された撥水性保護膜を除去する。
【0063】
このように、半導体基板10表面の洗浄を行う際に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、乾燥処理時の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0064】
撥水化処理(ステップS306)に用いられるシランカップリング剤は、ヒドロキシル基を有するIPAやH2Oが加わると、加水分解を起こし、撥水化能力が低下することが知られている。撥水化能力の低下はパターン倒壊防止効果を低減させる。
【0065】
そこで、本実施形態では、純水リンス(ステップS303)、IPA置換(ステップS304)を行った後、撥水化処理(ステップS306)を行う前に、シンナー処理(ステップS305)を行い、ヒドロキシル基を含まないシンナーでIPAを置換している。
【0066】
そのため、シランカップリング剤の撥水化能力が低下せず、パターン倒壊を防止することができる。なお、シンナーが水と置換可能である場合にはIPA置換(ステップS304)を省略しても構わない。また、上記した第2の実施形態と同様に、使用するシランカップリング剤が純水と置換可能である場合は、ステップS307のアルコールリンス処理を省略することができる。
【0067】
上記第1、第3の実施形態ではバッチ式の表面処理装置を用いていたが、枚葉式にも適用できる。同様に、上記第2の実施形態では枚葉式の表面処理装置を用いていたが、バッチ式にも適用できる。
【0068】
上記実施形態では半導体基板の乾燥処理の後に撥水性保護膜を除去するための灰化処理を行っていたが、乾燥処理の後にRIE工程を行う場合などは、そのRIE工程で撥水性保護膜も除去されるため、灰化処理を行わなくてもよい。
【0069】
なお、上記実施形態で説明した撥水性保護膜形成は、例えば下地微細パターンの表面が酸化膜、窒化膜等の「親水性を示す物質」に対して「撥水性を示す保護膜」を形成するものである。下地微細パターンがポリシリコン、アモルファスシリコン等であり、この下地微細パターンにフッ化水素系薬液処理を施した場合、さらに撥水性を高める為に、上記実施形態で説明した界面活性剤又はシランカップリング剤を用いることができる。」

(4)「【0107】
(第6の実施形態)本発明の第6の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を図7に示すフローチャートを用いて説明する。また、図2に示す表面処理装置と同様の、複数枚の半導体基板の洗浄・乾燥を一括して行うバッチ式の表面処理装置を使用するものとする。
【0108】
(ステップS301)表面の所定の領域に複数の凸形状パターンを有する半導体基板1を基板保持部2で保持し、処理槽3に導入する。この凸形状パターンは、例えば、ラインアンドスペースパターン等であり、凸形状パターンの少なくとも一部は、シリコンを含む膜により形成されている。凸形状パターンは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)法等により形成される。
【0109】
(ステップS302)処理薬液供給部(図示せず)から処理槽3へ薬液を供給し、半導体基板1の洗浄を行う。薬液には例えば硫酸と過酸化水素水の混合溶液(SPM)やSC-1等が用いられる。
【0110】
(ステップS303)処理薬液供給部から処理槽3へ純水を供給し、半導体基板1のリンスを行い、ステップS302で用いた薬液成分を除去する。
【0111】
(ステップS304)処理薬液供給部から処理層3へIPA(イソプロピルアルコール)を供給し、純水をIPAに置換するアルコールリンス処理を行う。
【0112】
(ステップS305)処理薬液供給部から処理層3へシンナーを供給し、IPAをシンナーに置換する。シンナーにはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)やシクロヘキサノンを用いることができる。
【0113】
(ステップS306)処理薬液供給部から処理槽3へシランカップリング剤を供給し、半導体基板1表面に濡れ性が低い保護膜(撥水性保護膜)を形成する。
【0114】
シランカップリング剤には、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)、テトラメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)等を用いることができる。また、これらのシランカップリング剤をシンナーで希釈して用いてもよい。
【0115】
なお、本実施形態においても例えば、洗浄工程後のシリコン窒化膜やシリコン系の部材からなる微細パターンについて処理を行っている。そのため、本実施形態においてもシリル化処理後の撥水性を向上させることができる。
【0116】
(ステップS307)処理薬液供給部から処理層3へIPAを供給し、未反応のシランカップリング剤をIPAに置換する。
【0117】
(ステップS308)処理薬液供給部から処理槽3へ純水を供給し、IPAを純水に置換する。
【0118】
(ステップS309)半導体基板1の乾燥処理を行う。例えば半導体基板1を処理槽3から引き上げて気体供給部(図示せず)からドライエアを供給し純水を蒸発乾燥させる。減圧乾燥法を用いてもよい。
【0119】
また、処理槽3上部の空間に乾燥薬品供給部(図示せず)より乾燥薬品(IPA等)を液体、蒸気、又はミスト状で、単体又は窒素等のガスと共に供給し、半導体基板1を浸漬している純水を抜いて、徐々に液面を下げて乾燥を行うようにしてもよい。また、HFE等の表面張力の低い液体を用いて乾燥を行ってもよい。
【0120】
(ステップS310)ドライアッシングやオゾンガス処理等の灰化処理を行い、半導体基板1表面に形成された撥水性保護膜を除去する。本実施形態は半導体基板の表面を洗浄・乾燥させるものであるので、撥水性保護膜の除去を行うことにより清浄化工程が終了となる。なお、この工程の後の工程で撥水化保護膜が除去される場合には乾燥後、すぐに撥水化保護膜を除去しなくても構わない。
【0121】
このように、半導体基板10表面の洗浄を行う際に、基板表面に撥水性の保護膜を形成することで、乾燥処理時の凸形状の微細パターン倒壊を防止することができる。
【0122】
上記実施形態では半導体基板の乾燥処理の後に撥水性保護膜を除去するための灰化処理を行っていたが、乾燥処理の後にRIE(反応性イオンエッチング)工程を行う場合などは、そのRIE工程で撥水性保護膜も除去されるため、灰化処理を行わなくてもよい。
【0123】
なお、上記実施形態で説明した撥水性保護膜形成は、例えば下地微細パターンの表面が酸化膜、窒化膜等の「親水性を示す物質」に対して「撥水性を示す保護膜」を形成するものである。下地微細パターンがポリシリコン、アモルファスシリコン等であり、この下地微細パターンにフッ化水素系薬液処理を施した場合、さらに撥水性を高める為に、上記実施形態で説明した界面活性剤又はシランカップリング剤を用いることができる。」

(5)「【0127】
(第7の実施形態)上記第4?第6の実施形態に係る半導体基板の表面処理方法を用いた半導体装置の製造方法を図9?図17に示す工程断面図を用いて説明する。ここでは、NAND型フラッシュメモリにおけるSTI構造の素子分離領域の加工を例として説明を行う。
【0128】
図9に示すように、シリコン基板401上に、例えば膜厚5nmのゲート酸化膜(シリコン酸化膜)402、膜厚100nmのポリシリコン膜403、膜厚100nmのシリコン窒化膜404、膜厚250nmのシリコン酸化膜405を順に積層する。ポリシリコン膜403が後にフローティングゲート電極を構成する。
【0129】
図10に示すように、シリコン酸化膜405上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、ライン/スペースパターンを持つレジスト層406を形成する。ライン幅/スペース幅は例えば20nm/20nmである。ライン/スペースパターンは素子分離領域形成用のパターンであり、ビットライン方向と平行になっている。
【0130】
図11に示すように、レジスト層406をマスクとして、シリコン酸化膜405をRIEによって加工する。シリコン窒化膜404がエッチングストッパとなる。
【0131】
図12に示すように、例えばSPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去する。例えば基板をH_(2)SO_(4):H_(2)O_(2)=4:1、120℃のSPMに10分浸漬させる。
【0132】
続いて、純水を用いてSPMをリンスアウトした後、SC-1処理を行う。例えば、基板をNH_(4)OH:H_(2)O_(2):H_(2)O=1:1:5、60℃のアンモニア過酸化水素水に10分浸漬させる。
【0133】
続いて、純水でSC-1をリンスアウトした後に、純水をIPAに置換する。
【0134】
図13に示すように、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成する。シランカップリング剤としては、HMDSやTMSDEAを用いることができる。パターン表面は図12に示す工程におけるSPM処理によってOH基リッチな状態になっているため、撥水性保護膜407が形成されやすくなっている。
【0135】
また、図12に示す工程において純水をIPAに置換しているため、シランカップリング剤と純水との接触に伴う加水分解の進行を抑制し、反応性劣化(失活)を防止できる。使用されるシランカップリング剤がIPAとの接触でも失活する場合は、IPAをさらにシンナーと置換することが好適である。
【0136】
続いてシランカップリング剤をIPAで置換し、さらにIPAを純水で置換する。
【0137】
その後、スピン乾燥や引き上げ乾燥等を用いて、基板を乾燥させる。撥水性保護膜407によりパターン表面は高撥水化しているため、表面張力が小さくなり、パターン倒壊を防止できる。」

(6)図7


(7)図12


図12から、複数の凸形状パターンを有するシリコン酸化膜405を有すること、及び凸形状パターンを有するシリコン酸化膜405の間にシリコン窒化膜404を有することが、看取できる。

(8)図13


(9)上記(5)の【0131】、【0137】の「基板」が「半導体基板」であることは、明らかである。また、上記(6)を参酌すると、上記(5)の「純水を用いてSPMをリンスアウトした後、」半導体「基板をNH_(4)OH:H_(2)O_(2):H_(2)O=1:1:5、60℃のアンモニア過酸化水素水に10分浸漬させる」「SC-1処理を行」い、「続いて、純水でSC-1をリンスアウトした後に、純水をIPAに置換し、」「IPAをさらにシンナーと置換する」ことは、「SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去」した後であって、「シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成する」前のことであることは、明らかである。

上記(1)ないし(9)より、甲1刊行物には、
「A.シリコン基板401上に、シリコン酸化膜402、ポリシリコン膜403、シリコン窒化膜404、凸形状パターンを有するシリコン酸化膜405を順に積層し、前記シリコン窒化膜404は前記凸形状パターン間に形成された、半導体基板の処理方法において、
B.SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去し、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成し、
C.続いてシランカップリング剤をIPAで置換し、さらにIPAを純水で置換し、
D.その後、スピン乾燥や引き上げ乾燥等を用いて、前記半導体基板を乾燥させ、
E.SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去した後であって、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成する前に、純水を用いてSPMをリンスアウトした後、前記半導体基板をNH_(4)OH:H_(2)O_(2):H_(2)O=1:1:5、60℃のアンモニア過酸化水素水に10分浸漬させるSC-1処理をし、続いて、純水でSC-1をリンスアウトした後に、純水をIPAに置換し、IPAをさらにシンナーと置換する、
半導体基板の処理方法。」(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。

2 甲2刊行物
(1)「【0047】
このとき、現像槽からリンス槽への半導体ウエハの移動時に、表面張力の作用によって半導体ウエハ上を覆っている現像液がこぼれてレジストパターンの上部が露出されれば、レジストパターンの倒れが発生する。そこで、現像処理後の半導体ウエハの移動時に半導体ウエハ上から現像液がこぼれないようにするために、以下の試みがなされた。
【0048】
すなわち、発塵のないテフロンゴムなどの枠で半導体ウエハの周囲を覆った状態にしてそのウエハをリンス処理槽内へ移動させ、リンス槽内でウエハ上にリンス液を注入すると同時にその枠が外される。そのような枠材料としては、現像液に腐食されずかつ濡れ性のないテフロンなどが望ましい。枠材料が現像液に対して濡れ性が良ければ、ウエハ上の現像液面を低下させることがある。
【0049】
ところで、1度目の現像処理後にウエハ上に再度現像液を注入する場合、最初の現像液を振り切って飛散させることなく2度目の現像液を上から注入し、レジストパターンの上部が現像液から露出しないように注意しなければならない。」

(2)「【0060】
実際には、化学増幅型レジストをKrFエキシマレーザ露光器によって露光して現像処理した後に、純水のリンス液中でウエハを振動させることによって十分にリンス処理が行なわれる。その後に、リンス液面からレジストパターンの上部が露出しないように注意しながらウエハをリンス液から取り出し、レジストパターンがリンス液に浸された状態でウエハ裏面に液体窒素を接触させることによって、瞬間的にリンス液が凍結される。凍結状態のウエハは凍結乾燥用の真空チャンバ内に入れられ、凍結乾燥法によってリンス液が乾燥させられる。その結果、通常のリンス処理と比較して、凍結乾燥法を用いた場合にはほとんどレジストパターンの倒れが認められなかった。」

3 甲3刊行物
「【0008】
更にまた、上記のように例えばエッチング処理により形成されるパターンとしては、ライン102のように長く伸びる形状以外にも、例えば図18(a)に示すように、double gate型 Fully Depleted SOI-MOSFET構造を形成する時に上面及び側面にチャネルを形成するための短冊状のピラーや、FIN-FETと呼ばれるダブルゲート構造を形成する時に配置されるゲート電極などの柱状の構造体110、あるいは同図(b)に示すように例えばゲート電極の上層側に形成されたシリンダー型(円筒型)の電極111などがある。そして、このような形状のパターンが形成されたウェハ100についても、例えばエッチング処理により生じた残渣を除去するために洗浄される場合があるので、洗浄液を除去(乾燥)する時に凸部(構造体110、電極111)が倒れてしまう場合がある。
更に、配線密度の高密度化が進むにつれてこのようなパターンの凸部の幅寸法が薄くなっていくと、倒れの問題が顕著になっていくことになる。」


第5 対比・判断
1 本件発明1について
(1)本件発明1と甲1発明とを対比する。
ア 甲1発明の「シリコン基板401上に、シリコン酸化膜402、ポリシリコン膜403」「を順に積層し」たものは、本件発明1の「本体部」に相当する。

イ 甲1発明の「凸形状パターンを有するシリコン酸化膜405」は、本件発明1の「凸状部」に相当する。

ウ 甲1発明の「シリコン窒化膜」は、本件発明1の「下地面」に相当し、甲1発明の「前記シリコン窒化膜404は前記凸形状パターン間に形成された」ことは、本件発明1の「前記本体部上であって前記凸状部間に下地面が形成された」ことに相当する。

エ 甲1発明の「半導体基板」は、本件発明1の「被処理体」に相当し、甲1発明において液処理をすることは明らかであるから、甲1発明の「半導体基板の処理方法」は、本件発明1の「液処理方法」に相当する。

オ 甲1発明の「B.SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去し、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成」することは、本件発明1の「前記被処理体の前記下地面が親水化し、かつ前記凸状部表面が撥水化した状態となるようにする表面処理工程であって、前記被処理体に対して、撥水性の前記下地面を親水化する親水処理液を供給する親水処理液供給工程と、前記被処理体に対して、親水性の前記凸状部表面を撥水化する撥水処理液を供給する撥水処理液供給工程とを含む、表面処理工程」と、「表面処理工程」の点で一致する。

カ 甲1発明の「C.続いてシランカップリング剤をIPAで置換し、さらにIPAを純水で置換」することは、本件発明1の「前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給工程」に相当する。

キ 甲1発明の「D.スピン乾燥や引き上げ乾燥等を用いて、前記半導体基板を乾燥させ」ることは、本件発明1の「前記被処理体から前記リンス液を除去する乾燥工程」に相当する。

ク 甲1発明の「E.SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去した後であって、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成する前に、純水を用いてSPMをリンスアウトした後、前記半導体基板をNH_(4)OH:H_(2)O_(2):H_(2)O=1:1:5、60℃のアンモニア過酸化水素水に10分浸漬させるSC-1処理をし、続いて、純水でSC-1をリンスアウトした後に、純水をIPAに置換し、IPAをさらにシンナーと置換する」ことは、本件発明1の「前記親水処理液供給工程と前記撥水処理液供給工程との間に、前記被処理体に対して、親水処理液と撥水処理液とを互いに置換するための置換促進液を供給する、置換促進液供給工程が設けられ」ることと、「置換促進処理工程が設けられ」ることの点で一致する。

上記アないしクより、本件発明1と甲1発明とは、「本体部と、該本体部に突設された複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法において、
表面処理工程と、
前記被処理体に対してリンス液を供給するリンス液供給工程と、
前記被処理体から前記リンス液を除去する乾燥工程とを備え、
置換促進処理液供給工程が設けられる、
液処理方法。」である点で一致し、以下の相違点で相違している。

<相違点1>「凸状部」が、本件発明1では、「親水性」であるのに対して、甲1発明では、「シリコン酸化膜」であることにとどまり、親水性であるかどうか明らかでない点。

<相違点2>「下地面」が、本件発明1では、「撥水性」であるのに対して、甲1発明では、「シリコン窒化膜」であることにとどまり、撥水性であるかどうか明らかでない点。

<相違点3>「表面処理工程」が、本件発明1では、「前記被処理体の前記下地面が親水化し、かつ前記凸状部表面が撥水化した状態となるようにする表面処理工程であって、前記被処理体に対して、撥水性の前記下地面を親水化する親水処理液を供給する親水処理液供給工程と、前記被処理体に対して、親水性の前記凸状部表面を撥水化する撥水処理液を供給する撥水処理液供給工程とを含む」のに対して、甲1発明では、「SPM(硫酸と過酸化水素水の混合溶液)を用いてレジスト層406を除去し、シランカップリング剤を用いて、シリコン酸化膜405のパターン表面に撥水性保護膜407を形成」する点。

<相違点4>「置換促進液供給工程」が、本件発明1では、「前記親水処理液供給工程と前記撥水処理液供給工程との間に、前記被処理体に対して、親水処理液と撥水処理液とを互いに置換するための置換促進液を供給する」のに対して、甲1発明では、「純水でSC-1をリンスアウトした後に、純水をIPAに置換し、IPAをさらにシンナーと置換」する点。

<相違点5>本件発明1では、「前記表面処理工程から前記リンス液供給工程までの間、前記被処理体の前記凸状部が液面から露出しない」のに対して、甲1発明では、このような工程は明記されていない点。

(2)相違点2について検討する。
シリコン窒化膜の撥水性は、組成比や成膜する際の温度や雰囲気等の条件に依存することが技術常識であるところ、甲1刊行物においてはシリコン窒化膜の組成比や成膜する際の温度や雰囲気等の条件について具体的な記載がない。しかも、甲1刊行物の【0069】(上記「第4」「1(2)」)、【0123】(上記「第4」「1(3)」)には、「なお、上記実施形態で説明した撥水性保護膜形成は、例えば下地微細パターンの表面が酸化膜、窒化膜等の「親水性を示す物質」に対して「撥水性を示す保護膜」を形成するものである。」と記載されていて、窒化膜が親水性であることが示唆されている。
すると、甲1発明の「シリコン窒化膜」が撥水性であるとはいえず、甲1発明の「シリコン窒化膜」を撥水性とする動機付けもない。
さらに、甲2刊行物においても、「本体部と、該本体部に突設された」「複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に」「下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法」における「下地面」が「撥水性」であることは、記載されていない。
してみると、甲1発明の「シリコン窒化膜」が「撥水性」であることは記載されておらず、また、甲1発明の「シリコン窒化膜」を「撥水性」とすることは、当業者であっても想到容易であるとはいえない。

なお、特許異議申立人の特許異議申立書の第15頁第14行?第20行のける主張について、本件明細書の【0015】に下地面を構成する材料としてSiNが例示されているとしても、上述したように、シリコン窒化膜の撥水性は、組成比や成膜する際の温度や雰囲気等の条件に依存することが技術常識であるところ、甲1刊行物においてはシリコン窒化膜の組成比や成膜する際の温度や雰囲気等の条件について具体的な記載がなく、しかも、甲1刊行物には、窒化膜が親水性であることが示唆されていることから、上記主張を採用することはできない。

(3)以上のとおり、本件発明1は甲1発明と相違点2において相違するものであり、相違点2は容易想到とはいえないものであるから、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本件発明2について
本件発明2は、本件発明1をさらに限定したものであるところ、甲3刊行物において、「本体部と、該本体部に突設された」「複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に」「下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法」における「下地面」が「撥水性」であることは、記載されていない。
してみると、本件発明1と同様に、甲1発明の「シリコン窒化膜」を「撥水性」とすることは、当業者であっても想到容易であるとはいえない。
よって、本件発明2は、甲1発明及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。また、本件発明2は、甲1発明並びに甲2刊行物に記載された事項及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本件発明3及び4について
本件発明3及び4は、本件発明1をさらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、本件発明3及び4は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明3及び4は、本件発明2をさらに限定したものであるから、本件発明2と同様に、本件発明3及び4は、甲1発明及び甲3刊行物に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。また、本件発明3及び4は、甲1発明並びに甲2刊行物に記載された事項及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本件発明5について
本件発明5は本件発明1の「液処理方法」を「液処理装置」としたものであるから、本件発明1と同様に、本件発明5は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本件発明6について
本件発明6は、本件発明5をさらに限定したものであるから、本件発明5と同様に、本件発明6は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

6 本件発明7について
本件発明7は、本件発明5をさらに限定したものであるところ、甲3刊行物において、「本体部と、該本体部に突設された」「複数の凸状部とを有し、前記本体部上であって前記凸状部間に」「下地面が形成された、被処理体を処理する液処理方法」における「下地面」が「撥水性」であることは、記載されていない。
してみると、本件発明5と同様に、甲1発明の「シリコン窒化膜」を「撥水性」とすることは、当業者であっても想到容易であるとはいえない。
よって、本件発明7は、甲1発明及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。また、本件発明7は、甲1発明並びに甲2刊行物に記載された事項及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

7 本件発明8及び9について
本件発明8及び9は、本件発明5をさらに限定したものであるから、本件発明5と同様に、本件発明8及び9は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明8及び9は、本件発明7をさらに限定したものであるから、本件発明7と同様に、本件発明8及び9は、甲1発明及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。また、本件発明8及び9は、甲1発明並びに甲2刊行物に記載された事項及び甲3刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

8 本件発明10について
本件発明10は本件発明1の「液処理方法」を「液処理装置に液処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体」としたものであるから、本件発明1と同様に、本件発明10は、甲1発明でなく、また、甲1発明、又は甲1発明及び甲2刊行物に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-01-15 
出願番号 特願2013-255415(P2013-255415)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
P 1 651・ 113- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松岡 智也  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 松川 直樹
井口 猶二
登録日 2015-03-13 
登録番号 特許第5710738号(P5710738)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 液処理方法、液処理装置および記憶媒体  
代理人 村田 卓久  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 永井 浩之  
代理人 宮嶋 学  
代理人 朝倉 悟  
代理人 森 秀行  
代理人 中村 行孝  

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