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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1311827
異議申立番号 異議2015-700182  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-12 
確定日 2016-01-28 
異議申立件数
事件の表示 特許第5715981号「基板処理方法および基板処理装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5715981号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第5715981号は、平成24年3月28日に出願され、平成27年3月20日に特許の設定登録がなされ、同年5月13日に特許掲載公報が発行され、その後、同年11月12日付けで、その請求項1ないし5に係る特許に対し、特許異議申立人鈴木啓文により特許異議の申立てがなされたものである。

第2 本件特許発明
本件特許第5715981号の請求項1ないし5に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明5」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。(なお、A.?N.(M1.?M7.及びN1.?N4.を含む)の分節の記号は異議申立書に記載のとおりのものである。以下、A.?N.,M1.?M7.及びN1.?N4.の分節で特定される事項を、それそれ、「構成要件A」?「構成要件N」,「構成要件M1」?「構成要件M7」及び「構成要件N1」?「構成要件N4」という)

「【請求項1】
A.基板の表面に形成されたレジスト膜を、硫酸および過酸化水素水を混合して生成したSPM液を用いて除去する基板処理方法において、
B.第1温度の硫酸に過酸化水素水を第1の混合比で混合することにより生成したSPM液をノズルから基板に供給する第1工程と、
C.第1工程の前または後に実行される第2工程であって、第2温度の硫酸に過酸化水素水を第2混合比で混合することにより生成したSPM液をノズルから前記基板に供給する第2工程と、
を備え、
D.前記レジスト膜は、表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜であり、
E.前記第1工程は前記第2工程の前に実行され、
F.少なくとも、前記第1温度が前記第2温度より高いか、若しくは前記第1混合比が前記第2混合比より高いことを特徴とする、基板処理方法。
【請求項2】
G.前記第1工程で前記表面硬質層を破壊し、前記第2工程で前記表面硬質層が破壊された後のレジスト膜を除去する、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
H.前記第1工程において硫酸と過酸化水素水とが混合される位置から前記ノズルまでの第1経路長が、前記第2工程において硫酸と過酸化水素水とが混合される位置から前記ノズルまでの第2経路長より短い、請求項1または2記載の基板処理方法。
【請求項4】
I.硫酸と過酸化水素水とを混合してなるSPM液を基板に供給することにより、前記基板の表面に形成された表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜を除去する基板処理装置において、
J.基板を水平に保持する基板保持部と、
K.前記基板保持部を回転させて基板を鉛直軸線周りに回転させる駆動機構と、
L.前記基板保持部に保持された基板にSPM液を供給するノズルと、
M. 前記ノズルにSPM液を供給するSPM供給部であって、
M1.硫酸供給部によって供給される硫酸を流すための硫酸供給路と、
M2.硫酸を加熱するヒータと、
M3.前記硫酸供給路を流れる硫酸の流量を調節する硫酸流量調節手段と、
M4.過酸化水素水供給部により供給される過酸化水素水を流すための過酸化水素水供給路と、
M5.前記過酸化水素水供給路を流れる過酸化水素水の流量を調節する過酸化水素水流量調節手段と、
M6.前記過酸化水素水供給路から分岐するとともに前記ノズルまでの距離が互いに異なる位置において前記硫酸供給路に接続された複数の分岐路と、
M7.前記複数の分岐路から、前記過酸化水素水供給路から前記硫酸供給路に過酸化水素水を流すための少なくとも1つの分岐路を選択するための選択手段と、
を有するSPM供給部と、
N.制御装置と、を備え、
N1.前記制御装置は、前記SPM供給部を制御して、一枚の基板に対して、第1温度の硫酸に過酸化水素水を第1の混合比で混合することにより生成したSPM液を前記ノズルから基板に供給し、
N2.その後に第2温度の硫酸に過酸化水素水を第2混合比で混合することにより生成したSPM液を前記ノズルから前記基板に供給し、
N3.このとき、前記ヒータの設定温度を変化させるか、または、硫酸と過酸化水素水との混合比を変化させることにより、少なくとも、前記第1温度が前記第2温度より高いか、若しくは前記第1混合比が前記第2混合比より高いようにすることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
N4.前記制御装置は、一枚の基板の処理中において、前記ヒータの設定温度が変化したか、または、硫酸と過酸化水素水との混合比が変化したときに、前記選択手段により選択される分岐路が変更されるように、前記SPM供給部を制御する、請求項4記載の基板処理装置。」

第3 特許異議申立人の主張の概要
特許異議申立人は、証拠として下記の甲第1ないし4号証を提出して、本件特許発明1ないし5は、いずれも、甲第1ないし4号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条の規定に違反してなされたものであり、取り消すべきものである旨の主張をしている。

・甲第1号証:特開2010-225789号公報
・甲第2号証:特開2011-9300号公報
・甲第3号証:特開2011-228438号公報
・甲第4号証:特開2011-61034号公報

第4 甲第1?4号証に記載された事項、及び、甲第1号証に記載された発明
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証には次の事項が記載されている。(下線は当審において付したものである。以下、甲第2?4号証において同じ。)
ア 「【技術分野】
【0001】
この発明は、硫酸と過酸化水素水とを混合してなる液体をレジスト剥離液として、該レジスト剥離液により、基板表面に形成されたレジストを除去する基板処理装置に関するものである。ここで、処理対象となる基板としては、例えば半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板およびフォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体表面を局所的に感光性樹脂などのレジストによって覆い、その状態でエッチングやイオン注入など各種の処理が施される。処理後の不要なレジストを除去するために、例えば、硫酸と過酸化水素水とを混合してなる硫酸過水(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture;SPM)をレジスト剥離液として用いたものがある。このSPMは強い酸化力を持つペルオキソ一硫酸などの物質を含むとともに、硫酸と過酸化水素水とを混合した際の反応熱により液温が上昇するため、高いレジスト除去能力を有するものである。
【0003】
この反応熱による昇温作用をより効果的に利用するため、本願出願人は、それぞれ個別に供給源から供給される硫酸と過酸化水素水とをミキシングバルブで混合した後のSPMを、経路長の異なる複数の配管から選択した1つに流通させることで経路長を変化させ、これによりSPMの温度上昇を促進させる技術を先に開示した(特許文献1参照)。」
イ 「【0005】
ところで、SPMにより除去すべき対象となるレジストは、その種類によって、あるいは該レジストが基板とともに受けた処理の内容によって、SPMに対する耐性が異なっている。したがって、レジストの性質によって最適なSPMの流量、混合比、温度などの条件が異なっており、処理対象物に応じて、あるいは混合前の硫酸や過酸化水素水、周囲の温度などに応じてこれらを適宜切り換えることが必要な場合がある。しかしながら、混合後の配管長を切り換える構造としている上記従来技術においては、例えば配管を切り換えたときに、それまで使用していなかった配管に残留する液や配管が冷えているために液温が変動してしまい、速やかな切り換えに対応することができない可能性があった。」
ウ 「【0007】
この発明は、硫酸と過酸化水素水とを混合して生成したレジスト剥離液を基板の表面に供給して基板表面のレジストを除去する基板処理装置において、上記目的を達成するため、前記基板に対し前記レジスト剥離液を吐出するノズルと、昇温された硫酸を前記ノズルに向けて通送する硫酸供給路と、前記硫酸供給路上の互いに異なる位置に設けられた複数のミキシングポイントのそれぞれに接続されて、前記硫酸供給路に過酸化水素水を流入させる過酸化水素水供給路と、前記複数のミキシングポイントの各々において、前記過酸化水素水供給路から前記硫酸供給路に流入する過酸化水素水の流入量を個別に制御することで、前記レジスト剥離液の液温度を調節する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、ノズルまで通ずる硫酸供給路に、昇温された硫酸が通送されている。そして、その硫酸供給路の途中に設けられた複数のミキシングポイントへの過酸化水素水の流入量がミキシングポイントごとに制御される。そのため、硫酸は常に同じ供給路を通ってノズルまで送られ、その過程で過酸化水素水がどのミキシングポイントから流入するかだけが変化する。このため、各ミキシングポイントからノズルまでの硫酸供給路は常に昇温された硫酸あるいはこれに過酸化水素水が混合されたSPMによって温められた状態となっている。これにより、この発明では、流量、混合比、液温などの条件を変更したい場合にも、速やかにこれに対応することができ、適切に調節された温度のレジスト剥離液(SPM)を基板に供給することができる。
【0009】
ここで、前記制御手段は、除去すべきレジストの種類に応じて、前記ノズルからの前記レジスト剥離液の吐出量に応じて、または前記硫酸供給路内の硫酸の温度に応じて、前記各ミキシングポイントへの過酸化水素水の流入量を制御するようにしてもよい。これらの要素はいずれもノズルから吐出されるレジスト剥離液の温度に関わるパラメータである。したがって、このような条件の変化があるときに各ミキシングポイントへの過酸化水素水の流入量を制御することで、ノズルから吐出されるレジスト剥離液の温度を適切に調節することができる。
【0010】
また、前記制御手段は、前記複数のミキシングポイントのうち択一的に選択した1つに接続された前記過酸化水素水供給路から過酸化水素水を流入させる一方、他のミキシングポイントに接続された前記過酸化水素水供給路からの過酸化水素水の流入を禁止するようにしてもよい。すなわち、各ミキシングポイントのうち1つのみから過酸化水素水が流入するようにしてもよい。複数のミキシングポイントから過酸化水素水を流入させた場合、反応熱による温度上昇の態様が複雑となり、温度管理が難しくなる。これに対し、1つのミキシングポイントから過酸化水素水を流入させるようにすれば、ノズルから吐出されるレジスト剥離液の温度管理をより容易に行うことが可能となる。
【0011】
この場合において、前記ノズルから吐出する前記レジスト剥離液の流量を可変としたときには、前記制御手段は、例えば前記硫酸供給路内の硫酸の流量と選択すべき前記ミキシングポイントとを対応付けたテーブルを有しており、該テーブルに基づいて前記複数のミキシングポイントのうち1つを選択するようにしてもよい。1つのミキシングポイントから過酸化水素水を流入させる場合、ノズルから吐出されるレジスト剥離液の流量と温度との関係は、各ミキシングポイントごとに当該ミキシングポイントからノズルまでの経路長によって決まるので、各ミキシングポイントについて両者の対応関係を予め求めておくことができる。これをテーブル化しておき、これに基づいてミキシングポイントを選択するようにすれば、レジスト剥離液の流量を可変とする場合でもミキシングポイントを切り換えることで速やかに所望の温度のレジスト剥離液をノズルから吐出させることができる。」
エ 「【0018】
<第1実施形態>
図1は本発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の電気的構成を示すブロック図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の基板Wの表面Wfに付着しているレジスト膜を除去するためのレジスト除去処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、レジスト膜を形成された基板表面Wfに対してレジスト剥離液として硫酸と過酸化水素水とを混合した硫酸過水(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture;SPM)によるレジスト除去処理、純水やDIW(脱イオン水:deionized water)などのリンス液によるリンス処理を順番に施した後、リンス液で濡れた基板表面Wfを乾燥させる装置である。
【0019】
この基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック2と、スピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfに向けてSPMを吐出する薬液吐出ノズル4と、SPMによりレジスト除去された基板Wにリンス液としてのDIWを吐出するリンスノズル5とを備えている。
【0020】
スピンチャック2は、回転支軸6がモータを含むチャック回転機構8の回転軸に連結されており、チャック回転機構8の駆動により回転軸J(鉛直軸)回りに回転可能となっている。これら回転支軸6、チャック回転機構8は、円筒状のケーシング10内に収容されている。回転支軸6の上端部には、円盤状のスピンベース12が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット14からの動作指令に応じてチャック回転機構8を駆動させることによりスピンベース12が回転軸J回りに回転する。また、制御ユニット14はチャック回転機構8を制御してスピンベース12の回転速度を調整する。
【0021】
スピンベース12の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン16が立設されている。チャックピン16は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース12の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン16のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン16は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。
【0022】
スピンベース12に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン16を解放状態とし、後述する基板処理を基板Wに対して行う際には、複数個のチャックピン16を押圧状態とする。このように押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン16は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース12から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で支持される。なお、基板保持手段としてはチャックピン16に限らず、基板裏面Wbを吸引して基板Wを支持する真空チャックを用いてもよい。
【0023】
薬液吐出ノズル4は薬液供給管20に接続されている。薬液供給管20の最上流側端部には硫酸供給源21が接続されており、硫酸供給源21と薬液吐出ノズル4とを結ぶ薬液供給管20の途中には上流側から、昇温ユニット23、ゲートバルブ22、3基のミキシングバルブ241,242,243およびインラインミキサー25がこの順序で介挿されている。
【0024】
ゲートバルブ22は制御ユニット14からの制御指令に応じて開閉することで、硫酸供給源21から薬液供給管20への硫酸の流入を許可/禁止する。昇温ユニット23は硫酸供給源21から供給される硫酸を後述する所定の温度に昇温させるものであるが、硫酸供給源21から供給される硫酸が既に温度調節されたものである場合には省いてよい。ミキシングバルブ241,242,243はそれぞれ、後述する過酸化水素水供給源41から供給される過酸化水素水を硫酸に混合させる。インラインミキサー25はその中を通る液体を攪拌して液体内の化学種の化学反応を促進させるものであり、例えば前記した特許文献1(特開2008-004819号公報)に記載されたと同じものを使用することができる。硫酸と過酸化水素水との混合後の薬液供給管20にインラインミキサー25を設けることにより、これらの化学反応による温度上昇を促進し、薬液供給管20全体の管長を短縮することができる。
【0025】
また、この実施形態は、過酸化水素水供給源41にゲートバルブ42を介して接続された過酸化水素水供給管40を備えており、この過酸化水素水供給管40の下流側端部は分岐してミキシングバルブ241,242,243にそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット14がミキシングバルブ241,242,243を個別に制御して、各バルブを介した過酸化水素水供給管40から薬液供給管20への過酸化水素水の流入をそれぞれ制御している。以下では、薬液供給管20内の薬液流通経路上において、該経路を流れる硫酸に過酸化水素水が混合されうるミキシングバルブ241,242,243の設置位置をそれぞれミキシングポイントMP1,MP2,MP3と称する。」
オ 「【0030】
上記のような構成を有する基板処理装置では、基板表面Wfに形成されたレジスト膜に向けて、昇温された硫酸と過酸化水素水とを薬液供給管20内で混合することで生成されるSPMを薬液吐出ノズル4から吐出することで、基板上のレジスト膜を除去する。この場合において、レジスト膜の種類によって、あるいは、基板Wとともにレジスト膜が受けた処理の内容によって、SPMに対するレジストの耐薬品性が異なる。例えば、基板Wへのイオン注入処理のために形成されたレジスト膜では、イオン種のドーズ量によってその耐薬品性が変化することがある。このため、汎用性の高い基板処理装置を構成するためには、処理対象物であるレジストの性質に応じて、薬液吐出ノズル4から吐出するSPMの流量や温度が可変となっていることが求められる。
【0031】
一般的には、薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの温度ができるだけ高いことが望ましい。これにより、難溶性のレジストであっても良好に除去することが可能であるし、逆に易溶性のレジストであればSPMの流量を少なくしてその消費量の低減を図ることが可能である。SPMにおいては、硫酸と過酸化水素水とが混合されるとその際に反応熱が生じるため、これを利用して液温を上昇させることが可能である。
【0032】
図3は混合後のSPMの温度上昇の例を示す図である。より具体的には、所定の温度に調節された硫酸に対し、体積比で1:0.3の常温の過酸化水素水を混合した時からの液温の変化を調べた結果を示すグラフである。図3(a)に示すように、硫酸と過酸化水素水とを混合してから数秒後に温度が上昇し始め、最終的には200℃程度にまで達する。元の硫酸の温度Tsが高いほど速く温度が上昇し、また最高到達温度も高くなる。図3(b)に示すように、硫酸の温度Tsが高いほど、最高到達温度が高く、また最高温度に到達するまでの時間も短い。なお、これらの曲線は、硫酸と過酸化水素水との混合比によっても変化する。例えば、過酸化水素水の量を少なくすると最高到達温度が低くなる。
【0033】
図4はミキシングポイントからの経路長と液温との関係を模式的に示す図である。なお、上記したように元の硫酸の温度によっても液温は変化するので、図4では液温を混合直後の液温T0で正規化して示している。ミキシングポイントで混合されたSPMは流通経路に沿って流れるうちに化学反応が進みその温度が次第に上昇するが、その上昇の態様は、上記したように元の硫酸の温度や混合後の経過時間によって様々に異なる。例えば、硫酸の温度が高く、混合後のSPMが流通経路内をゆっくりと流れる場合には、図4の曲線(A)に示すように、ミキシングポイントに近い位置から急速に温度が上昇し、その温度が下流側まで持続すると考えられる。一方、SPMの流速が速い場合には、曲線(C)に示すように、混合後十分な時間が経過しないうちに流通経路を通過してしまうため、温度の立ち上がりが遅くなり、場合によっては十分に昇温しないうちにノズルから吐出されてしまう可能性がある。さらに、SPMの流量が少ない場合、曲線(B)に示すように、いったん温度が上昇するものの、上がりきってからは外部へ流出する熱の方が多くなるため温度が次第に下がる場合もありうる。
【0034】
このことから、硫酸の温度や流量が変化する場合には、ミキシングポイントから吐出ノズルまでの経路長を適切に設定することが、より高温のSPMを得るという点で重要となってくる。このような問題に対応するため、上記した特許文献1に記載の技術では、ミキシングポイント後、ノズルに至るまでの配管として互いに配管長の異なるものを複数組用意しておき、経路上で測定したSPMの温度に応じて配管を切り換えるようにしている。このような構成とすることにより、所望の温度のSPMを基板に供給するという目的は達成されるが、切り換え時の過渡的な状態や、硫酸の温度や流量等を広範囲に変化させたいというニーズなどを考えると、さらなる改良の余地が残されているといえる。というのは、特許文献1に記載の構成では、使用していない配管に残った冷えた薬液が混入したり配管自体が冷えていることに起因して薬液の温度が一時的に下がってしまうため、切り換えの度に、配管に残留した薬液を廃棄したり管が温まるのを待つ必要が生じるからである。
【0035】
この点に鑑み、この実施形態では、予め昇温された硫酸が薬液吐出ノズル4まで通送される薬液供給管20を主たる流通経路とし、過酸化水素水はこの経路上に複数設けられたミキシングポイントMP1、MP2、MP3のいずれかから薬液供給管20に流入する構成とした。このような構成によれば、過酸化水素水がどのミキシングポイントから混合されるかにかかわらず、硫酸の経路は常に同じであり、しかもこの経路を流れる硫酸は予め温められたものである。このため、主たる流通経路は常に温められた状態となっており、ミキシングポイントの切り換え時にもSPMの温度変動を最小限に抑えることができる。また、主たる1本の流通経路が常に使用されるので、不使用の経路に滞留した薬液の排出を必要とせず、切り換えを素早く行うことができる上に、薬液の無駄も抑えられる。
【0036】
次に、この実施形態において、所望の温度のSPMを薬液吐出ノズル4から吐出させるための方法について説明する。上記したように、この実施形態では、硫酸の流通経路である薬液供給管20への過酸化水素水のミキシングポイントを適宜に選択することによって、薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの温度を調節しようとするものである。以下ではその具体的な制御方法について述べる。この実施形態では、薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの液温と、硫酸の液温、SPMの流量、混合比およびミキシングポイントの組み合わせとの相関性を予め求めてテーブル化しておき、必要な流量および液温が決まればそれに対応するミキシングポイントを制御ユニット14が選び出すことができるようにしている。
【0037】
図5は第1実施形態におけるテーブルの例を示す図である。この実施形態では、まず図5(a)に示すように、硫酸の温度、硫酸および過酸化水素水それぞれの流量の組み合わせを多段階に変更設定しながら、硫酸と過酸化水素水とを混合するミキシングポイントを変えたときに薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの液温を測定しておく。図5(a)の例では、例えば液温Ts=80℃の硫酸の流量をVs1、常温の過酸化水素水の流量をVh1に設定したとき、これらをミキシングポイントMP1、MP2、MP3でそれぞれ混合すると、薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの液温がそれぞれT11、T21、T31であったことが示されている。ミキシングポイントからの距離が異なるため、吐出されるSPMの液温も異なっていると予想されるが、その態様は図4に示したように様々である。同様に、硫酸および過酸化水素水の流量の組み合わせを変更して同様に測定を行うことで、実測された液温T12?T35を得ることができる。これを、硫酸の温度Tsを変更しながら繰り返す。なお、硫酸の温度Ts、硫酸および過酸化水素水の流量の組み合わせについては、表の全ての組み合わせについて測定する必要はなく、実際に使用する可能性のある組み合わせのみについて測定を行えばよい。
【0038】
こうして得られた図5(a)の関係をテーブル化しておけば、実際の処理において例えば次のようにして利用することができる。処理対象物であるレジストの性質が決まれば、それを除去するためにSPMの液温がどれだけ必要かがわかる。そこで、その温度以上のSPMを吐出することのできる組み合わせを図5(a)のテーブルから抽出し、抽出された中からいずれかの組み合わせを選択して、その組み合わせにより指定される条件で処理を行えばよい。該当する組み合わせが複数ある場合には原理的にはどれを選んでもよいが、例えば処理時間や薬液使用量など他の要件に基づいて条件を絞り込むようにしてもよい。
【0039】
逆に、上記の結果を、硫酸の温度、硫酸および過酸化水素水それぞれの流量の組み合わせが決まったときに、その組み合わせにおいて所望の液温のSPMを生成するのに最適なミキシングポイントを選定するために利用することができる。ここで、「最適なミキシングポイント」としては、例えば最も高温を得られるものであってもよいし、所望の温度に最も近い液温が得られるミキシングポイントであってもよく、ニーズに応じて選択すればよい。ここでは3つのミキシングポイントのうち最も高温のSPMが得られるものを「最適なミキシングポイント」とする場合について考える。
【0040】
例えば、図5(a)に示す硫酸、過酸化水素水の流量をそれぞれVs1、Vh1としたときの、各ミキシングポイントMP1、MP2、MP3で両者を混合したときの温度測定結果T11、T12、T13のうち、T12が最も高温であったとする。この場合、図5(b)のテーブルにおいて硫酸の流量Vs1の列と、過酸化水素水の流量Vh1の行とが交わる欄に入るべきはミキシングポイントMP2となる。このことは、硫酸、過酸化水素水の流量が上記であるとき、これらをミキシングポイントMP2で混合すれば薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMが最も高温となる、ということを意味する。同様にして、他の各欄にもそれぞれミキシングポイントMP1、MP2、MP3のいずれかが入る。これを、硫酸の温度Tsごとに作成する。
【0041】
実際の処理では、硫酸の液温Ts、硫酸および過酸化水素水の流量が決まれば、図5(b)のテーブルにおいてその組み合わせに対応する欄に記載されたミキシングポイントを選択すれば、その条件において可能な最も高い液温のSPMを薬液吐出ノズル4から吐出させることができる。また、所望の温度に対応するミキシングポイントをテーブル化している場合には、所望の液温のSPMを薬液吐出ノズル4から吐出させることができる。
【0042】
目的の温度を得られるミキシングポイントが複数ある場合には、それらのうち最も高温を得られるものを選択してもよいが、最も上流側に位置するミキシングポイントを選択するようにしてもよい。このようにすると、SPMの流れる経路長が長くなるため、たとえ吐出されるSPMの液温は同じであったとしても、薬液供給管20を温める効果はより高くなる。
【0043】
以上のように、この実施形態では、昇温された硫酸が流れる薬液供給管20を主たる流通経路として、これに過酸化水素水を混合する際のミキシングポイントを複数の中から選択することにより、薬液吐出ノズル4から吐出されるSPMの液温を調節している。このような構成により、この実施形態では、流量、混合比、液温などの条件を変更したい場合にも速やかにこれに対応して、適切に調節された温度のSPM(レジスト剥離液)を基板に供給することができる。」
カ 「【0060】
また、上記実施形態は、硫酸および過酸化水素水の流量をそれぞれ独立に変更できるものとして説明したが、これ以外にも、例えば、これらの流量比を一定に保って全体の流量だけを変えるようにしてもよい。また、いずれかの流量を一定として、他方の流量のみを可変としてもよい。また、上記実施形態では硫酸の温度と液の流量とをともに変更できるようにしているが、いずれか一方のみを可変とした装置に対しても、本発明を有効に適用することが可能である。」
キ 「【図1】


ク 「【図2】


ケ 「【図3】


コ 「【図4】


サ 「【図5】



(2)甲第1号証に記載された発明の認定
上記(1)のア?サの記載事項から、甲第1号証には、方法の発明として
「硫酸と過酸化水素水とを混合して生成したレジスト剥離液(SPM液)を基板Wの表面Wfに供給して基板表面のレジストを除去する基板処理方法であって、
薬液吐出ノズルからスピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfに向けてSPMを吐出する工程を備え
基板Wへのイオン注入処理のために形成されたレジスト膜では、イオン種のドーズ量によってその耐薬品性が変化するものである、基板処理方法。」
の発明が記載されている。
また、装置の発明として、
「硫酸と過酸化水素水とを混合して生成したレジスト剥離液(SPM液)を基板の表面に供給して基板表面の、イオン注入処理のためにその耐薬品性が変化したレジスト膜を除去する基板処理装置において、
基板処理装置は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させるスピンチャック2と、
スピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfに向けてSPMを吐出する薬液吐出ノズル4とを備え、
薬液吐出ノズル4は薬液供給管20に接続され、薬液供給管20の最上流側端部には硫酸供給源21が接続されており、硫酸供給源21と薬液吐出ノズル4とを結ぶ薬液供給管20の途中には上流側から、昇温ユニット23、ゲートバルブ22、3基のミキシングバルブ241,242,243およびインラインミキサー25がこの順序で介挿され、
ゲートバルブ22は制御ユニット14からの制御指令に応じて開閉することで、硫酸供給源21から薬液供給管20への硫酸の流入を許可/禁止し、
昇温ユニット23は硫酸供給源21から供給される硫酸を後述する所定の温度に昇温させるものであり、
過酸化水素水供給源41にゲートバルブ42を介して接続された過酸化水素水供給管40を備えており、この過酸化水素水供給管40の下流側端部は分岐してミキシングバルブ241,242,243にそれぞれ接続され、
ミキシングバルブ241,242,243はそれぞれ、過酸化水素水供給源41から供給される過酸化水素水を硫酸に混合させ、
制御ユニット14が、ミキシングポイントMP1,MP2,MP3の各々において、複数のミキシングバルブ241,242,243を個別に制御して、前記過酸化水素水供給路40から前記硫酸供給路20に流入する過酸化水素水の流入量を個別に制御する基板処理装置。」
の発明が記載されている。
したがって、甲第1号証には、異議申立書に記載のとおり、次の方法の発明(以下「甲1方法発明」という。)及び装置の発明(以下「甲1装置発明」という。)が記載されていることは明らかであるといえる。なお、イオン注入処理によってレジスト膜の表面が硬化することは周知の技術事項(異議申立書の第20ページ第10?11行に記載のとおり)であるから、甲第1号証に記載された「イオン注入処理」によって「耐薬品性が変化」した「レジスト膜」は、「表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜」であるものと認定した。

ア 甲1方法発明
「A.基板(W)の表面に形成されたレジスト膜を、硫酸および過酸化水素水を混合して生成したSPM液を用いて除去する基板処理方法において、
B.第1温度の硫酸に過酸化水素水を第1の混合比で混合することにより生成したSPM液をノズル(4)から基板(W)に供給する第1工程を備え、
D.前記レジスト膜は、表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜である、基板処理方法。」

イ 甲1装置発明
「I.硫酸と過酸化水素水とを混合してなるSPM液を基板(W)に供給することにより、前記基板の表面に形成された表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜を除去する基板処理装置において、
J.基板を水平に保持する基板保持部(2)と、
K.前記基板保持部(2)を回転させて基板(W)を鉛直軸線(J)周りに回転させる駆動機構(8)と、
L.前記基板保持部(2)に保持された基板(w)にSPM液を供給するノズル(4)と、
M. 前記ノズル(4)にSPM液を供給するSPM供給部(20?25,40?42,241?243)であって、
M1.硫酸供給部(21)によって供給される硫酸を流すための硫酸供給路(20)と、
M2.硫酸を加熱するヒータ(23)と、
M3.前記硫酸供給路(20)を流れる硫酸の流量を調節する硫酸流量調節手段と、
M4.過酸化水素水供給部(41)により供給される過酸化水素水を流すための過酸化水素水供給路(40)と、
M5.前記過酸化水素水供給路(40)を流れる過酸化水素水の流量を調節する過酸化水素水流量調節手段と、
M6.前記過酸化水素水供給路(40)から分岐するとともに前記ノズル(4)までの距離が互いに異なる位置(MP1,MP2,MP3)において前記硫酸供給路(20)に接続された複数の分岐路(過酸化水素水供給路40の下流側端部)と、
M7.前記複数の分岐路から、前記過酸化水素水供給路(40)から前記硫酸供給路(20)に過酸化水素水を流すための少なくとも1つの分岐路を選択するための選択手段(241,242,243)と、
を有するSPM供給部と、
N.制御装置(14)と、を備え、
N1.前記制御装置(14)は、前記SPM供給部(20?25,40?42,241?243)を制御して、一枚の基板(W)に対して、第1温度の硫酸に過酸化水素水を第1の混合比で混合することにより生成したSPM液を前記ノズル(4)から基板(W)に供給する基板処理装置。」

2 甲第2号証について
甲第2号証には次の事項が記載されている。
ア 「【請求項7】
第1の薬液に溶解する第1の膜と、この第1の膜の上層に形成され、当該第1の膜よりも前記第1の薬液に溶解しにくい第2の膜とが形成された基板から、これら第1の膜及び第2の膜を除去する液処理方法において、
前記第2の膜の強度を低下させるため、前記基板に第2の薬液を供給する工程と、
次いで、前記第2の膜に物理的衝撃を与えて前記第2の膜を破壊する工程と、
基板に流体を供給して、物理的衝撃が与えられた第2の膜の破片を流体により流し去ることによって第2の膜を除去する工程と、
この後、前記基板に前記第1の薬液を供給し、前記第1の膜を溶解させて除去する工程と、を含むことを特徴とする液処理方法。」
イ 「【請求項12】
前記第1の膜はレジスト膜であるか、このレジスト膜の下層に形成され、基板表面の凹凸をなだらかにして、前記レジスト膜の表面を平坦化するための膜であるかの少なくとも一方であり、前記第2の膜はレジスト膜の露光時における入射光の反射を抑える反射防止膜であるか、または前記レジスト膜を構成する材料が化学的に変化して形成された硬化層であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1つに記載の液処理方法。」
ウ 「【0023】
以上の構成を備えた液処理装置3は、犠牲膜102を溶解するための薬液をウエハW表面に供給する機能を備えていると共に、この犠牲膜102の上層に形成され、前記の薬液によっては溶解されにくいBARC103に対して物理的(言い替えると力学的)な衝撃を与えて破壊することによりBARC103を除去する機能を備えている。以下、これら機能の詳細な構成について説明する。」
エ 「【0037】
まずウエハ保持機構4に図7(a)の状態のウエハWが保持されると、処理液供給機構5はアーム部54を旋回させて図6(a)に示すように薬液ノズル51をウエハWの中央部上方位置まで移動させ、ウエハWの中央部上方に位置させる一方、回転軸43によりウエハWを鉛直軸周りに回転させる。そして図9(a)に示すように時刻T1にて薬液ノズル51から薬液の供給を開始する。
【0038】
既述のように本実施の形態に係る薬液は、BARC103内へと浸透する程度の能力は持っているので、図7(b)に示すように薬液はBARC103内に浸透してBARC103を膨潤させ、BARC103にはクラック121が形成され始める。さらに薬液が浸透すると、クラック121の数が増える共にBARC103の下面に到達した薬液によって犠牲膜102が溶解され始め、BARC103の下層側に液状部122が形成される(図7(c))。このように多数のクラック121や液状部122が形成されることによってBARC103の機械的な強度が低下し、BARC103は衝撃によって壊れやすい状態となる。また回転するウエハWから振り落とされた薬液の排出先に着目すると、排液ライン681は薬液回収ライン682側に接続されており、薬液はリサイクルタンク61へ回収されている(図6(a)、図9(d))。
【0039】
所定時間薬液を供給しBARC103の機械的強度が低下したら、時刻T_(2)にて薬液ノズル51からの薬液の供給を停止した後、図6(b)、図9(b)に示すように二流体スプレーノズル52からDIWと窒素ガスとの混合流体を吐出して、BARC103を破壊する動作を開始する。このときウエハWは回転を継続しており、また二流体スプレーノズル52をウエハW中央と周縁部との間で予め定められた回数だけ径方向にスキャンさせてウエハWの前面に満遍なく衝撃を与えることにより、例えば図7(d)に示すようにBARC103を小さな破片であるBARC片106に破壊して、ウエハW表面を流れるDIWによってこのBARC片106を流し去ることができる。
【0040】
ここで例えば図示しない中央部用リンスノズルをさらに設け、ウエハWの中央部側の領域にリンス液を供給する構成としてもよい。中央部用リンスノズルは、例えばウエハWを径方向にスキャンする二流体スプレーノズル52がウエハWの中央部側の領域を離れている期間中に、当該中央部側の領域にDIWなどのリンス液を供給する役割を果たす。これにより、当該ウエハWの中央部側の領域の乾燥を防止してBARC片106をより効率的に流し去ることができる。
【0041】
図9(b)、図9(d)に示すように二流体スプレーノズル52からの混合流体の吐出が開始された時刻T_(2)において、排液ライン681の接続先は直ちに排出ライン683側に切り替えられるので、多量のBARC片106を含むDIWはリサイクルタンク61には流れ込まない。この結果、薬液をリサイクルしてもフィルター64の目詰まりが発生しにくいのでフィルター64の交換頻度を下げることができる。
【0042】
所定時間BARC103の除去動作を実行したらウエハWを回転させたまま薬液ノズル51からの混合流体の吐出を停止し、リンス洗浄を実行する(図9(c)の時刻T_(3))。しかる後、薬液ノズル51をウエハWの中央部上方に位置させ、BARC103の除去されたウエハWの表面に薬液の供給を再開する(図6(c)、図9(a)の時刻T_(4))。
【0043】
このときウエハWの表面には、例えば図8(a)に示すようにウエハWの面積比で1割?3割程度のBARC片106が残存している可能性があるが、先行するBARC103の除去によりウエハWには犠牲膜102が露出しているので、図8(b)に示すように犠牲膜102は薬液の供給によって速やかに溶解し、これに伴ってBARC片106も溶解した犠牲膜102と共に流し去られる。以上の処理により犠牲膜102及びその上面に残存していたBARC片106が除去され、図8(c)に示すように層間絶縁膜101が露出した状態のウエハWを得ることができる。」

3 甲第3号証について
甲第3号証には次の事項が記載されている。
ア 「【0003】
一般的なレジスト除去方式としては、酸素プラズマ照射等を用いたアッシング処理による方式と、SPM(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:硫酸過酸化水素水)等を用いた洗浄処理による方式とがある。従来、イオン注入されたレジストの除去には、一般にアッシング処理が用いられてきた。しかし近年、デバイスの微細化に伴い、アッシングによるドーズロス(基板上のイオン注入された領域が酸化し、実効的なドーズ量が減少してしまうこと)に対応するために、アッシングを避けてSPM洗浄のみによってレジストを除去する方式が注目されている。
【0004】
ここで、基板上にパターン形成されたレジストにイオン注入を行うと、イオン注入ダメージによってレジスト表面に変質層が形成され、SPMによるレジスト除去性を低下させることが知られている。
【0005】
変質層とは、イオン注入ダメージによってレジストが変質した層、より具体的にはレジスト中の化学結合(例えばC-H結合等)が破壊された層であり、炭化層と想定される。特に、トランジスタ形成工程等のイオン注入条件として多く用いられるドーズ量5×10^(14)/cm^(2) 以上の高濃度のイオン注入を施されたレジスト表面には、強固な変質層が形成される。このような変質層を短時間で良好に除去するためには、高温のSPMを基板表面に供給しなければならない。」
イ 「【0010】
しかしながら、枚葉式洗浄方法において、ドーズ量5×10^(14)/cm^(2) 程度の高濃度のイオン注入が施されたレジスト膜を、140℃程度の高温のSPMによって除去すると、基板表面のSPMの吐出位置近傍に残渣が発生する。
【0011】
以上に鑑み、本発明の目的は、基板上のレジストパターン等を除去するための枚葉式の基板洗浄方法及び洗浄装置において、残渣の発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための検討の結果、本願発明者は、前記の残渣が、イオン注入により生じた変質層がリフトオフした後、基板に再付着することによって発生するもの(再付着残渣)であることを突き止めた。これについて以下に説明する。
【0013】
基板上に供給されたSPMの流れがレジストパターンに接触すると、レジストパターンの表面のうち脆弱な箇所(例えば、変質層の厚さが薄い箇所)が溶解除去され、この箇所を起点として、レジストパターンの内部が溶解除去される。この結果、変質していない部分よりも溶解に時間を要する変質層が基板からリフトオフされる。
【0014】
ここで、SPMが高温(例えば140℃程度)の場合、レジストパターンの脆弱箇所の溶解は瞬時に起るので、リフトオフも速やかに起る。よって、SPMの先端部分において変質層がリフトオフされて蓄積され、沈殿して基板表面に再付着することになる。このようにして、SPM洗浄後に基板表面に残差が生じる。
【0015】
これに対し、SPMが比較的低温(例えば120℃程度)の場合、レジストパターンの脆弱箇所の溶解にはある程度の時間を要するので、変質層のリフトオフが発生する頃には、基板表面の中央部から周縁に向かう安定した液流が形成されている。この場合、リフトオフされた変質層は液流によって基板上から排除され、基板にはほとんど再付着しない。よって、SPM洗浄後に、基板表面に残差はほとんど生じない。
【0016】
このように、再付着残渣の発生を避けるためには、低温のSPMを用いることが有効である。しかしながら、枚葉式のSPM洗浄において低温のSPMを用いると、レジストパターンの除去には膨大な処理時間を要する。つまり、生産能力及びコストの点からは、高温のSPMを用いる方が良い。尚、SPMを処理液とする例により説明したが、これには限られないと考えられる。
【0017】
以上に基づき、本開示の基板洗浄方法は、レジストパターンを有する基板上に第1の温度の第1処理液を供給し、第1処理液により基板の表面を覆う工程(a)と、第1処理液に覆われた基板の表面に第2処理液を供給し、第1の温度よりも高温である第2の温度の第2処理液により基板の表面を覆ってレジストパターンを除去する工程(b)とを備える。」
ウ 「【0045】
ここで、SPMが高温(例えば140℃程度)の場合、レジストパターンの脆弱箇所の溶解は瞬時に起るので、SPMの流れの先端部分(SPMが基板上に広がる過程における先端部分)において変質層がリフトオフされる。変質層は瞬時には溶解しないのでSPMの流れの先端部分に蓄積され、更には沈殿して基板表面に再付着することになる。このようにして、SPM洗浄後に基板表面に残差が生じる。
【0046】
これに対し、SPMが比較的低温(例えば120℃程度)の場合、変質層を溶解する能力が高温の場合に比べて低い。よって、レジストパターンの脆弱箇所の溶解は瞬間的には起らず、ある程度の時間を要するので、変質層のリフトオフにもある程度の時間を要する。この結果、変質層のリフトオフが発生する頃には基板表面がSPMによって覆われ、中央部(吐出位置)から周縁に向かう安定した液流が形成されている。この場合、リフトオフされた変質層は沈殿せず、液流によって基板上から外部に排除されるので、基板にはほとんど再付着しない。よって、SPM洗浄後に、基板表面に残差はほとんど生じない。」
エ 「【0055】
エクステンション領域を形成するためのイオン注入としては、例えば、Asイオンをドーズ量5×10^(14)/cm^(2) の注入量で注入する。これにより、基板31表面におけるレジストパターン34に覆われていない部分に、イオン注入された活性領域35が形成される。この際、レジストパターン34の表面部には、イオン注入のダメージにより変質層36が形成される。変質層36の内側には、変質していないレジスト層37が残っている。
【0056】
イオン注入の後、レジストパターン34を除去するための洗浄を行なう。このために、まず、第1の温度の第1処理液を基板31上に吐出する。具体的に、第1処理液としては、硫酸(濃度95%以上)と過酸化水素水(濃度31%)とを体積比2:1にて混合したSPMを用いる。第1の温度は、例えば120℃とする。また、基板31を300rpmにて回転させながら、900ml/minの吐出流量にて吐出する。
【0057】
図3(c)に示すように、基板31上への第1処理液の吐出を開始した後、20秒経過すると、基板31の表面が第1処理液によって覆われ、基板表面の温度が120℃付近に達した状態となる。
【0058】
第1処理液を供給する工程では、レジストパターン34の溶解がある程度進行すると考えられるが、変質層36の瞬間的なリフトオフはほとんど発生しない。また、基板31上を第1処理液にて覆うことにより、基板31の中心付近である吐出位置から周縁部に向かって第1処理液の安定した流れが形成される。
【0059】
このような状態において、基板表面にて第2の温度、例えば140℃となる第2処理液を基板31上に吐出する。第2処理液としては、第1処理液とは温度のみが異なり、同一の成分を有するSPMを用いる。基板31を300rpmにて回転させながら、900ml/minの吐出流量にて吐出する点も同じである。また、第1処理液によって基板31の表面が覆われた状態において第2処理液を供給することにより、基板31の表面には、処理終了まで安定した処理液の流れが形成されることになる。
【0060】
第2処理液は、基板31からレジストパターン34を完全に除去できるまで、例えば40秒間、供給する。この際、基板表面の温度は第2処理液の温度と同じ140℃付近に達している。
【0061】
これにより、レジストパターン34の除去が進行する。この際、変質層36のリフトオフが発生するが、基板31の中心付近から周縁部に向かう処理液の安定した流れが形成されているので、リフトオフされた変質層は基板31上に再付着することなく除去される。」

4 甲第4号証について
甲第4号証には次の事項が記載されている。
「【0004】
ところが、レジストのアッシングのためのプラズマの照射は、基板の表面のレジストで覆われていない部分(たとえば酸化膜や金属膜)にダメージを与えてしまう。そのため、FEOL(Front End of the Line:半導体製造プロセスにおける第1層目のメタル配線までの工程)では、アッシング処理による基板のダメージを回避するために、高温のSPMを基板に供給してレジストを除去する場合がある。しかしながら、高温のSPMを用いた場合でも、基板におけるレジストの下地となる部分が金属や有機物によって構成されている場合には、高温のSPMによる強酸化力によって基板にダメージ(たとえば、金属や有機物の腐食)が生じるおそれがある。さらに、高温のSPMを用いる場合には、耐熱性を有する部品を用いる必要があり、基板処理装置の部品の選定が困難になる。」

第5 対比・判断
1 本件特許発明1について
(1)対比・一致点・相違点
本件特許発明1と甲1方法発明とを対比すると、甲1方法発明の分節A.,B.及びD.で特定された事項が、それぞれ、本件特許発明1の構成要件A,B及びDに相当することは明らかであるから、本件特許発明1と甲1方法発明とは、
「A.基板の表面に形成されたレジスト膜を、硫酸および過酸化水素水を混合して生成したSPM液を用いて除去する基板処理方法において、
B.第1温度の硫酸に過酸化水素水を第1の混合比で混合することにより生成したSPM液をノズルから基板に供給する第1工程、
を備え、
D.前記レジスト膜は、表面にイオン注入がされた表面硬質層を有するレジスト膜である、
基板処理方法。」
の発明である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
本件特許発明1が、
「C.第1工程の前または後に実行される第2工程であって、第2温度の硫酸に過酸化水素水を第2混合比で混合することにより生成したSPM液をノズルから前記基板に供給する第2工程と、
を備え、
E.前記第1工程は前記第2工程の前に実行され、
F.少なくとも、前記第1温度が前記第2温度より高いか、若しくは前記第1混合比が前記第2混合比より高い」
という構成(構成要件C,E,F)を有するのに対し、甲1方法発明は、「第1工程の前または後に実行される第2工程」を有するものではなく、したがって、上記の構成要件C,E,Fを備えないものである点。

上記の相違点に関し、異議申立書においては次のように記載されている(第19ページ第13?26行)。
「甲1方法発明と本件特許発明1とは、構成要件A,B,Dの点で一致し、構成要件C,E,Fの点で相違する。より具体的には、両者の相違点は、次のとおりである。
相違点1:「第2温度の硫酸に過酸化水素水を第2混合比で混合することにより生成したSPM液をノズルから前記基板に供給する第2工程」について、本件特許発明1は、第1工程が実行された後に、当該基板に対して第2工程が実行されるかどうか、および第1工程が第2工程の前に実行されるのかどうかが不明である点。
相違点2:本件特許発明1では、第1温度(第1工程における硫酸の温度)が、第2温度(第2工程における硫酸の温度)より高いか、若しくは第1混合比(第1工程における過酸化水素水硫酸の混合比)が第2混合比(第1工程における過酸化水素水硫酸の混合比)より高いが、甲1方法発明では、これらの関係が不明である点。」
上記のように異議申立書においては本件特許発明1と甲1方法発明との相違点を2つに分けて認定し、それぞれについての検討が行われている。
しかしながら、上記の相違点2に係る構成要件Fは、第2工程が実行されること、すなわち、構成要件Cが前提となって認定できる相違点であり、技術的観点から、構成要件C,E,Fから構成要件Fのみを分離して認定することはできないものである。すなわち、異議申立書のように相違点を相違点1と相違点2に分離して検討することは、技術的観点から考えて、許されることではないから、本決定においては、相違点を上記のように認定した。

(2)相違点についての検討
上記相違点について検討すると、上記相違点に係る構成要件C,E,Fを備えることは、異議申立人が提出した甲第2?4号証のいずれにも記載されておらず、甲1方法発明において、上記相違点に係る構成を採用して本件特許発明1を導出することが当業者にとって容易であるということはできない。
詳述すると、甲第2号証には、「第2の膜に物理的衝撃を与えて第2の膜を破壊する工程の前に予め第2の膜の強度を低下させるため、基板に第2の薬液を供給する工程」と、その後の工程であって、「基板に第1の薬液を供給し、第1の膜を溶解させて除去する工程」を有する方法が記載されているのみで、上記の相違点に係る構成要件C,E,Fについて、特に構成要件Fについては全く記載されていない。
甲第3号証に記載の発明は、「枚葉式洗浄方法において、ドーズ量5×10^(14)/cm^(2) 程度の高濃度のイオン注入が施されたレジスト膜を、140℃程度の高温のSPMによって除去すると、基板表面のSPMの吐出位置近傍に残渣が発生する。」という課題を解決するために、「SPMが比較的低温(例えば120℃程度)の場合、・・・SPM洗浄後に、基板表面に残差はほとんど生じない。」「再付着残渣の発生を避けるためには、低温のSPMを用いることが有効である。」という技術的知見を踏まえ、「レジストパターンを有する基板上に第1の温度(120℃)の第1処理液を供給し、第1処理液により基板の表面を覆う工程(a)と、第1処理液に覆われた基板の表面に第2処理液を供給し、第1の温度よりも高温である第2の温度(140℃)の第2処理液により基板の表面を覆ってレジストパターンを除去する工程(b)とを備える。」という構成を採用した発明である。したがって、甲第3号証に記載の発明においては、「レジストパターンを有する基板上に第1の温度の第1処理液を供給し」た工程の実行後に「第1の温度よりも高温である第2の温度の第2処理液により基板の表面を覆ってレジストパターンを除去する」工程を実行するという工程の順序は避けられない事項であり、これを順序を逆にすることに阻害要因があることは明らかである。すなわち、上記相違点における構成要件E,Fは、甲第3号証に記載されていない事項であり、かつ、甲第3号証に記載されている発明の上記工程の順序を入れ換えて、構成要件E,Fのようにすることには阻害要因があり、許されないことである。
甲第4号証には、「高温のSPMを用いた場合でも、基板におけるレジストの下地となる部分が金属や有機物によって構成されている場合には、高温のSPMによる強酸化力によって基板にダメージ(たとえば、金属や有機物の腐食)が生じるおそれがある。」という技術課題が記載されているのみで、上記の相違点に係る構成要件C,E,Fについて記載されていないことは明らかである。
以上のとおり、上記相違点に係る構成要件C,E,Fについては、甲第2?4号証のいずれにも記載されておらず、かつ、甲第3号証において、「レジストパターンを有する基板上に第1の温度の第1処理液を供給し」た工程の実行後に「第1の温度よりも高温である第2の温度の第2処理液により基板の表面を覆ってレジストパターンを除去する」工程を実行するという工程の順序を入れ換えることに阻害要因があることを踏まえると、甲第2?4号証に記載された事項を組合わせて上記相違点に係る構成要件C,E,Fを導出することが容易ということもできない。

(3)結論
上記のとおり、上記相違点は、甲第1?4号証に記載された事項ではなく、かつ、甲第1?4号証に記載された事項から当業者が容易に想到し得る事項でもないから、本件特許発明1は、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本件特許発明2,3について
本件特許発明2,3は、本件特許発明1を限定した発明であるところ、上記「1 本件特許発明1について」で記載したとおり、本件特許発明1は、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないのであるから、本件特許発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えた本件特許発明2,3についても、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らかである。

3 本件特許発明4について
本件特許発明1と甲1装置発明とを対比すると、甲1装置発明の分節I.?M.,M1.?M7.,N.,N1.で特定された事項が、それぞれ、本件特許発明1の構成要件I?M,M1?M7,N,N1に相当することは明らかであるから、本件特許発明1と甲1装置発明とは、本件特許発明1の構成要件I?M,M1?M7,N,N1を備えた発明である点で一致し、これに対して、本件特許発明1が構成要件N2,N3を備えるのに対して、甲1装置発明が構成要件N2,N3を備えていない点で相違する。
そして、この相違点については、上記の「1 本件特許発明1について」の「(2)相違点についての検討」において記載した理由と同様の理由により、上記相違点に係る構成要件N2,N3については、甲第2?4号証のいずれにも記載されておらず、かつ、甲第2?4号証に記載された事項を組合わせて上記相違点に係る構成要件N2,N3を導出することが容易ということもできない。
上記のとおり、上記相違点は、甲第1?4号証に記載された事項ではなく、かつ、甲第1?4号証に記載された事項から当業者が容易に想到し得る事項でもないから、本件特許発明4は、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本件特許発明5について
本件特許発明5は、本件特許発明4を限定した発明であるところ、上記「3 本件特許発明4について」で記載したとおり、本件特許発明4は、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないのであるから、本件特許発明4の特定事項を全て含み、さらに限定を加えた本件特許発明5についても、甲1発明及び甲第2?4号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないことは明らかである。

第6 むすび
以上のとおり、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。


 
異議決定日 2016-01-20 
出願番号 特願2012-74263(P2012-74263)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今井 彰松岡 智也  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 森林 克郎
土屋 知久
登録日 2015-03-20 
登録番号 特許第5715981号(P5715981)
権利者 東京エレクトロン株式会社
発明の名称 基板処理方法および基板処理装置  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 宮嶋 学  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
代理人 森 秀行  
代理人 中村 行孝  

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