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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H02K
管理番号 1311842
異議申立番号 異議2015-700240  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-30 
確定日 2016-02-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第5729439号「ブラシレスモータ」の請求項1,2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5729439号の請求項1,2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第5729439号は、平成21年7月9日に出願した特願2009-162855号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年9月18日に新たな特許出願とした特願2013-192569号に係るものであって、その請求項1?4に係る発明について、平成27年4月17日に特許の設定登録がされ、その後、その請求項1,2に係る特許に対し、特許異議申立人六川浩明及び徳永博久(以下「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

2.本件発明
特許第5729439号の請求項1,2に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定されるとおりのものである。

3.申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として、実願昭61-57917号(実開昭62-168779号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)、特開2001-298893号公報(以下「刊行物2」という。)、及び、従たる証拠として、特開2005-198417号公報、特開平8-186969号公報、特開2009-124900号公報、特開2007-166880号公報、特開2009-100573号公報、特開2005-39970号公報、特開2009-30757号公報(以下、それぞれ「刊行物3」?「刊行物9」という。)を提出し、請求項1,2に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、該特許は取り消されるべきものである旨主張している。

4.刊行物の記載
(1)刊行物1の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物1には、「ブラシレスモータ」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「電子機器のシヤーシに取付けられたステータケーシング5には、中空部27が形成されており、この中空部27には、第1および第2のボールベアリング1、3が共軸的に取付けられている。ステータケーシング5の上部には、複数の突極歯29を放射状に有する磁心9が取付けられ、磁心の突極歯29には、複数の駆動コイル7が巻かれており、図示を省略した回路基板の駆動回路に接続されている。
ビデオデイスク11を支持して回転駆動する支持板13を一端に取付けたロータシヤフト15が、第1のボールベアリング1側から第2のボールベアリング3を貫通してこれら第1及び第2のボールベアリング1、3に回転自在に軸支されている。ロータシヤフト15の先端外周には筒型の取付け部材17が嵌められ、この取付け部材17には側面からねじ込まれたねじ23によつてロータシヤフト15に固定されている。
取付け部材17には、磁心9を覆うようなカップ状のロータヨーク19が取付けられており、ロータヨーク19の側壁内側には、磁心9と僅かな間隔をおいて囲むような環状の多極駆動マグネツト21が取付けられ、ローク31が形成されている。」(明細書第5頁第16行目?第6頁第17行目)
(イ)図1には、回転中心軸に対して上下に延びるロータシヤフト15と、ロータシヤフト15を回転可能に支持する第1のボールベアリング1及び第2のボールベアリング3を含む軸受部材と、ロータシヤフト15に連結され、下向きに開口するカップ形状のロータヨーク19と、ロークヨーク19の径方向内側に保持される環状の多極駆動マグネツト21と、多極駆動マグネツト21の径方向内側に位置し、多極駆動マグネツト21と間隙を介して対向する磁心9と、外側に磁心9を保持する円筒部を有するステータケーシング5と、を備え、磁心9は、突極歯29と、該各突極歯29に巻かれた駆動コイル7と、を有し、磁心9の孔形成部分の内側には、第2のボールベアリング3が配置され、磁心9の孔形成部分の径方向内側は、ステータケーシング5と接触し、ステータケーシング5は、第1のボールベアリング1を収容する収容部を備え、第1のボールベアリング1は、磁心9の下面よりも軸方向下側に配置されるブラシレスモータが図示されている。
(ウ)記載事項(ア)の「磁心9」は、「複数の突極歯29を放射状に有する」ものであるから、その「突極歯29」は、磁心9の環状のコアバック部の外周から径方向外側に延びるものといえる。

そうすると、刊行物1には、「回転中心軸に対して上下に延びるロータシヤフト15と、ロータシヤフト15を回転可能に支持する第1のボールベアリング1及び第2のボールベアリング3を含む軸受部材と、ロータシヤフト15に連結され、下向きに開口するカップ形状のロータヨーク19と、ロークヨーク19の径方向内側に保持される環状の多極駆動マグネツト21と、多極駆動マグネツト21の径方向内側に位置し、多極駆動マグネツト21と間隙を介して対向する磁心9と、外側に磁心9を保持する円筒部を有するステータケーシング5と、を備え、磁心9は、環状のコアバック部と、該コアバック部の外周から径方向外側に延びる複数の突極歯29と、該各突極歯29に巻かれた駆動コイル7と、を有し、磁心9の孔形成部分の内側には、第2のボールベアリング3が配置され、磁心9の孔形成部分の径方向内側は、ステータケーシング5と接触し、ステータケーシング5は、第1のボールベアリング1を収容する収容部を備え、第1のボールベアリング1は、磁心9の下面よりも軸方向下側に配置されるブラシレスモータ」の発明が記載されている。

(2)刊行物2の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物2には、「小型モータ」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「【0009】
【発明の実施の形態】図2は本発明を適用した小型モータの一実施例を示す模式的縦断面図である。以下、図2を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、図2は、本発明をアウターロータ型の小型のブラシレスモータに適用する場合を示す。図2において、モータ全体を支持するハウジング1は真鍮等の金属で作られており、該ハウジング1の外周部には回路基板4及びコア(鉄心)6が装着されており、該ハウジング1の内周部にはモータ軸7を回転自在に軸支する2個の玉軸受8、9の外輪が嵌合固定されている。前記コア6には巻線(コイル)5が巻き回されている。
【0010】前記回路基板4には、ロータ位置検出器2やコイル端末線半田付け部3等が所定の配列を成してかしめ等によって固定されている。前記ハウジング1には前記巻線5が巻き回されたコア6が接着又は圧入等で固定されており、該巻線に通電することにより後述するロータユニット15との磁気作用によりトルクを発生させるように構成されている。前記ハウジング1の内周部には所定間隔をおいた2か所に出力軸側玉軸受8及び反出力軸側玉軸受9の2つの玉軸受が位置決め固定されている。こうして、前記ハウジング1を支持部材とするステータユニット10が構成されている。そして、前記玉軸受8、9によってモータ軸7が回転自在に軸支されている。
【0011】図2において、前記コア6の半径方向外側にはトルクを発生するロータマグネット12と該ロータマグネット12を保持するとともに磁路を形成するロータヨーク13が配設されている。前記ロータヨーク13は一端開放のドラム形状をしており、その中心部には取付具14がかしめ等によって固定されている。そして、前記取付具14を前記モータ軸7に圧入等で固定することにより、前記ロータマグネット12及び前記ロータヨーク13が該モータ軸7に固定されている。こうして、小型モータの回転部であるロータユニット15が構成されている。ロータユニット15が構成されている。
【0012】前記モータ軸7の反出力軸側端部には止め輪20によって抜け止めされたワッシャ18が装着され、該ワッシャ18と前記反出力軸側玉軸受9の内輪16との間に板ばね17が装着されている。この板ばね17は、前記反出力軸側玉軸受9と前記出力軸側玉軸受8に軸方向の予圧をかけるためのものである。以上により、モータ軸7と該モータ軸を軸支する玉軸受8、9と巻線5が巻き回されたコア6と該コアを支持するハウジング1とを有する小型モータが構成されている。
【0013】そこで、本発明を適用した小型モータにおいては、図2に示すように、モータ軸7を回転自在に軸支する出力軸側玉軸受8の外輪21は前記コア6と前記ハウジング1とによって保持されている。具体的には、前記出力軸側玉軸受8の外輪21の外周面を前記コア6の内周面22に嵌合し、該玉軸受8の外輪21の内側端面を前記ハウジング1の端面25に当接させることにより、該出力軸側玉軸受8を位置決め固定するように構成されている。つまり、出力軸側玉軸受8の外輪21の半径方向位置は、ハウジング1に位置決め固定されたコア6の内径面によって位置決め保持され、該出力軸側玉軸受8の外輪21の軸方向位置はハウジング1の内側端面によって位置決め保持されている。」(段落0009?0013)
(イ)図2には、回転中心軸に対して上下に延びるモータ軸7と、モータ軸7を回転自在に支持する出力側玉軸受8及び反出力側玉軸受9を含む軸受部材と、モータ軸7に連結され、一端開放のドラム形状をしたロータヨーク13と、ロータヨーク13の径方向内側に保持されるロータマグネット12と、ロータマグネット12の径方向内側に位置し、ロータマグネット12と間隙を介して対向するコア6と、外側にコア6を支持する円筒部を有するハウジング1と、を備え、コア6は、巻線5を有し、コア6の孔形成部分の内側には、出力側玉軸受8が配置され、コア6の孔形成部分の径方向内側は、ハウジング1と接触し、ハウジング1は、反出力側玉軸受9を収容する収容部を備え、反出力側玉軸受9は、コア6の下面よりも軸方向下側に配置されるブラシレスモータが図示されている。

そうすると、刊行物2には、「回転中心軸に対して上下に延びるモータ軸7と、モータ軸7を回転自在に支持する出力側玉軸受8及び反出力側玉軸受9を含む軸受部材と、モータ軸7に連結され、一端開放のドラム形状をしたロータヨーク13と、ロータヨーク13の径方向内側に保持されるロータマグネット12と、ロータマグネット12の径方向内側に位置し、ロータマグネット12と間隙を介して対向するコア6と、外側にコア6を支持する円筒部を有するハウジング1と、を備え、コア6は、巻線5を有し、コア6の孔形成部分の内側には、出力側玉軸受8が配置され、コア6の孔形成部分の径方向内側は、ハウジング1と接触し、ハウジング1は、反出力側玉軸受9を収容する収容部を備え、反出力側玉軸受9は、コア6の下面よりも軸方向下側に配置される、ブラシレスモータ」の発明が記載されている。

(3)刊行物3の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物3には、「アウターロータ型電動機」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「【0002】
従来のこの種のアウターロータ型電動機は、図2に示す構造であった。即ち、カップ状のロータヨーク1の内周に永久磁石2が固定されて構成されているアウターロータ3と、該アウターロータ3の永久磁石2に対向する複数の磁極部4aを環状部4bの外周に突設させているステータ鉄心4の磁極部4aに樹脂ボビン5を介してコイル6が巻装されたステータ7と、ステータ鉄心4の環状部4bの内周に設けられて固定された樹脂ボス8と、該樹脂ボス8の軸心をメタル軸受9を介して回転自在に貫通していて先端にロータヨーク1の中心部が固定され且つ基端に樹脂ギヤー10が設けられているメタル回転軸11と、ステータ7を支持体に取付けるためのメタル取付けプレート12と、このメタル取付けプレート12にネジ13で固定されていて電動機の駆動回路を搭載した回路基板14と、メタル取付けプレート12を樹脂ボス8に固定しているメタルネジ15とを備えた構造であった(例えば、特許文献1参照。)。」(段落0002)
(イ)「【0010】
本例のアウターロータ型電動機では、ステータ鉄心4とボス8´とが圧粉磁芯材で一体成形された構造になっている。その他の構成は、図2と同様の構成になっており、対応する部分には同一符号を付けて示している。
【0011】
このようなアウターロータ型電動機では、ボス8´内にメタル軸受9やメタル回転軸11が配置されていても、メタル回転軸11はメタル軸受9に電気的につながり、メタル軸受9は圧粉磁芯材で一体成形されたステータ鉄心4及びボス8´とメタル取付けプレート12を経てアースされているので、ボス8´内のメタル軸受9やメタル回転軸11が帯電するのを防止できる。このためメタル軸受9やメタル回転軸11からの放電により、電気回路や電子部品の誤動作や損傷を防止することができる。また、ステータ鉄心4及びボス8´が一体成形されていると、部品点数が低減され、工数が低減され、コストダウンを図ることができる。さらに、ステータ鉄心4及びボス8´が一体成形されていると、ステータ7で発生した熱の放熱が樹脂ボス8のように低下することがない。」(段落0010?0011)
(ウ)図1には、ステータ鉄心4の環状部4bのメタル回転軸11が挿通する小径孔形成部分と、それより上側に位置するメタル軸受9が嵌め込まれている大径孔形成部分が図示されている。

そうすると、刊行物3には、「ステータ鉄心4の環状部4bに、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、メタル軸受9が配置されている」構成が記載されている。

(4)刊行物4の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物4には、「ブラシレスモータ」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「【0009】軸受12,13は連結構造体状に形成されたステータ2と可携部材7とスリーブ8等からなる組立体の内面に嵌着される。すなわち、図1および図2に示すように、ステータコア3の図の上方側に設けた段付部14に上方側の軸受12は嵌着される。また、下方側の軸受13はステータコア3の下端側に設けた段付部とスリーブの内周に嵌着される。」(段落0009)
(イ)「【0014】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果が上げられる。
1)半径方向に肉厚を有する円筒部を備えるブラケットを無くし、直接ステータ等によりロータのシャフトを枢支する構造を採用することにより、小型化が実現される。
2)比較的大物部品のブラケットがなくなるため、全体として軽量化され、かつ部品コストも低減する。
3)取付ベース側とボルトにより直接連結され、取付場所の省スペース化が図れる。
4)全体の小型化に伴って構成要素が小型化されないためモータ性能は、小型化されない従来のものと変らない。」(段落0014)
(ウ)図1には、ステータコア3の環状部のシャフト17が挿通する小径孔形成部分と、それより上側及び下側に位置する軸受12が嵌め込まれている大径孔形成部分が図示されている。

そうすると、刊行物4には、「ステータコア3の環状部に、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側及び下側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、上側軸受部材が配置されている」構成が記載されている。

(5)刊行物5の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物5には、「ブラシレスモータ」に関し、図1?3に、「ステータコア34は、小径の軸方向孔部36と、軸方向孔部36よりも上側に位置する大径の第一収容凹部38と、を有し、第一収容凹部38の内側には、第一玉軸受42が配置される」構成が記載されている。

(6)刊行物6の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物6には、「DCブラシレスモータ」に関し、図1(B),2(B),3(B)に、「ステータコア1は、小径部4bと大径部4aを有する」構成が記載されている。

(7)刊行物7の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物7には、「ブラシレスモータ」に関し、図1,2に、「ステータ14は、円筒部42の筒状部44Bと接触する小径孔形成部分と、円筒部42のZ2側部分と接触する大径孔形成部分を有する」構成が記載されている。

(8)刊行物8の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物8には、「ヨークハウジング及び電気機械」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「【0018】
図2(a)(b)に示すように、モータ本体2は、冷間圧延鋼板をプレス成形してなる有底扁平円筒状のヨークハウジング4を有している。このヨークハウジング4は、互いに平行な1対の平面部4aとその平面部4aの端部をそれぞれ繋ぐ1対の円弧部4bとを有する側壁部4cと、側壁部4cの一端を塞ぐ底部4dと、側壁部4cの他端の開口部4eで円弧部4bの外側面から径方向外側に延設されるフランジ部4fとを有している。」(段落0018)

この記載事項(ア)によれば、刊行物8には、「ヨークハウジング4は有底扁平円筒状をしており、冷間圧延鋼板をプレス成形されて形成される」構成が記載されている。

(9)刊行物9の記載事項
本件特許に係る原出願の出願日前に頒布された刊行物である、刊行物9には、「スピンドルモータ、およびディスク駆動装置」に関し、次の事項が記載されている。
(ア)「【0041】
本実施形態の軸受ハウジング344は、冷間圧延鋼板(例えば、SPCC,SPCD,SPCE)の表面に亜鉛鍍金を施した亜鉛鍍金鋼板(SECE)を有底円筒状にプレス成型し、その表面全体にニッケル鍍金を施したものである。すなわち、図4に示したように、軸受ハウジング344の表面全体がニッケル鍍金層344aに被覆されている。このため、軸受ハウジング344の内部に充填された潤滑オイル51が軸受ハウジング344の亜鉛鍍金表面に直接接触することはなく、亜鉛成分による潤滑オイル51の変質を防止することができる。これにより、流体動圧軸受装置5の信頼性および耐用年数を向上させることができる。また、潤滑オイル51を変質させる恐れが少ない樹脂材料(LCP樹脂,PPS樹脂等)やステンレスを使用して軸受ハウジング344を形成する場合に比べて、軸受ハウジング344を安価に得ることができる。」(段落0041)

この記載事項(ア)によれば、刊行物9には、「軸受ハウジング344は有底円筒状をしており、冷間圧延鋼板をプレス成形されて形成される」構成が記載されている。

5.判断
(1)請求項1に係る発明について
ア.請求項1に係る発明と刊行物1の発明との対比
刊行物1の「ロータシヤフト15」は、請求項1に係る発明の「シャフト」に相当し、以下同様に、
「第1のボールベアリング1及び第2のボールベアリング3を含む軸受部材」は、「上側軸受部材および下側軸受部材を含む軸受部材」に、
「ロータヨーク19」は、「ロータハブ」に、
「多極駆動マグネツト21」は、「ロータマグネット」に、
「磁心9」は、「ステータ」に、
「ステータケーシング5」は、「ハウジング」に相当する。
刊行物1の「磁心9は、環状のコアバック部と、該コアバック部の外周から径方向外側に延びる複数の突極歯29と、該各突極歯29に巻かれた駆動コイル7と、を有」することは、請求項1に係る発明の「前記ステータは、環状のコアバック部と、該コアバック部の外周から径方向外側に延びる複数のティースと、該各ティースに導電線が巻回されてなるコイルとからな」ることに相当する。
刊行物1の「ステータケーシング5は、第1のボールベアリング1を収容する収容部を備え」ることは、請求項1に係る発明の「前記ハウジングは、前記下側軸受部材を収容する収容部を備え」ることに相当する。
刊行物1の「第1のボールベアリング1は、磁心9の下面よりも軸方向下側に配置される」ことは、請求項1に係る発明の「前記下側軸受部材は、前記ステータの下面よりも軸方向下側に配置される」ことに相当する。
刊行物1の「磁心9の孔形成部分の内側には、第2のボールベアリング3が配置され」ることと、請求項1に係る発明の「前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され」ることとは、孔形成部分の内側に上側軸受部材が配置される点で共通する。
刊行物1の「磁心9の孔形成部分の径方向内側は、ステータケーシング5と接触」すること、請求項1に係る発明の「前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」することとは、孔形成部分の径方向内側がハウジングと接触する点で共通する。

イ.請求項1に係る発明と刊行物2の発明との対比
刊行物2の「モータ軸7」は、請求項1に係る発明の「シャフト」に相当し、以下同様に、
「出力側玉軸受8及び反出力側玉軸受9を含む軸受部材」は、「上側軸受部材および下側軸受部材を含む軸受部材」に、
「ロータヨーク13」は、「ロータハブ」に、
「ロータマグネット12」は、「ロータマグネット」に、
「コア6」は、「ステータ」に、
「ハウジング1」は、「ハウジング」に相当する。
刊行物2の「ハウジング1は、反出力側玉軸受9を収容する収容部を備え」ることは、請求項1に係る発明の「前記ハウジングは、前記下側軸受部材を収容する収容部を備え」ることに相当する。
刊行物2の「反出力側玉軸受9は、コア6の下面よりも軸方向下側に配置される」ことは、請求項1に係る発明の「前記下側軸受部材は、前記ステータの下面よりも軸方向下側に配置される」ことに相当する。
刊行物2の「コア6は、巻線5を有」することと、請求項1に係る発明の「前記ステータは、環状のコアバック部と、該コアバック部の外周から径方向外側に延びる複数のティースと、該各ティースに導電線が巻回されてなるコイルとからな」ることとは、ステータが導電線が巻回されてなるコイルを有する点で共通する。
刊行物2の「コア6の孔形成部分の内側には、出力側玉軸受8が配置され」ることと、請求項1に係る発明の「前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され」ることとは、孔形成部分の内側に上側軸受部材が配置される点で共通する。
刊行物2の「コア6の孔形成部分の径方向内側は、ハウジング1と接触」すること、請求項1に係る発明の「前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」することとは、孔形成部分の径方向内側がハウジングと接触する点で共通する。

ウ.判断
(ア)請求項1に係る発明と特許異議申立人が提出した刊行物1,2の発明との上記「ア.」及び「イ.」における対比を踏まえると、刊行物1,2の何れにも、「コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され、前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成が記載されていないことは明らかである。
(イ)そこで、刊行物1の発明及び刊行物2の発明において、「コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され、前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成とすることの容易想到性について検討する。
(イ1)まず、刊行物3?6,8?9には、少なくとも、「前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成は記載されていない。
また、刊行物7には、少なくとも、「コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、」を有する構成と、コアバック部の「前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され」る構成は記載されていない。
そうすると、結局「コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され、前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成は、刊行物3?9の何れにも記載されていない。

(イ2)特許異議申立人の主張についての検討
特許異議申立人は、コアバック部の「前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され」る構成(構成要件I)と、コアバック部の「前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成(構成要件J)は、刊行物1,2に記載されていると主張しているが、刊行物1のコアバック部は、小径孔形成部分及び大径孔形成部分を有していないから、コアバック部の大径孔形成部分の内側に、第2のボールベアリング3が配置されるものでなく、コアバック部の小径孔形成部分の径方向内側がステータケーシング5と接触するものでもない。また、刊行物2のコア6も、小径孔形成部分及び大径孔形成部分を有していないから、コア6の大径孔形成部分の内側に、出力側玉軸受8が配置されるものでなく、コア6の小径孔形成部分の径方向内側がハウジング1と接触するものでもない。
さらに、特許異議申立人は、「前記コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、」を有する構成(構成要件H)は、刊行物3,4に記載されており、この構成を刊行物1,2の発明に適用して、請求項1に係る発明とすることは容易になし得た旨主張しているが、刊行物3,4の構成は、コアバック部の小径孔形成部分の径方向内側にあるハウジングの円筒部分が存在しないものであり、刊行物3,4の構成を刊行物1,2の発明に採用すると、コアバック部の小径孔形成部分の径方向内側にあったハウジングの円筒部分が存在しない構成となり、コアバック部の小径孔形成部分の径方向内側がハウジングと接触しないもの、すなわち、コアバック部の「前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成(構成要件J)を有しないものとなる。さらに、刊行物1,2の発明に対して、刊行物3,4の上側に位置する大径孔形成部分のみを適用することを示唆する記載も存在しない。そうすると、請求項1に係る発明は、刊行物1?4に記載の発明から当業者が容易になし得たとする特許異議申立人の主張は採用できるものではない。

(イ3)また他に、刊行物1の発明及び刊行物2の発明を、「コアバック部は、小径孔形成部分と、該小径孔形成部分よりも上側に位置する大径孔形成部分と、を有し、前記大径孔形成部分の内側には、前記上側軸受部材が配置され、前記小径孔形成部分の径方向内側は、前記ハウジングと接触」する構成とすることが容易想到であるとする根拠も発見できない。
そうすると、請求項1に係る発明は、刊行物1?9に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)請求項2に係る発明について
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、刊行物1?9に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。

6.むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1,2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1,2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-02-04 
出願番号 特願2013-192569(P2013-192569)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H02K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安食 泰秀  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 前田 浩
矢島 伸一
登録日 2015-04-17 
登録番号 特許第5729439号(P5729439)
権利者 日本電産株式会社
発明の名称 ブラシレスモータ  
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