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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  B02C
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  B02C
審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  B02C
管理番号 1312122
審判番号 不服2015-13369  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-14 
確定日 2016-03-30 
事件の表示 特願2010- 16176「ミル」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 8月11日出願公開、特開2011-152518、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成22年1月28日の出願であって、平成25年12月18日付けで拒絶理由が通知されたの対し、平成26年2月4日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年8月12日付けで最後の拒絶理由が通知されたの対し、平成26年10月8日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年4月20日付けで平成26年10月8日提出の手続補正書でした補正の却下の決定(以下、「本件決定」という。)がされ、同日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成27年7月14日に拒絶査定不服審判が請求され、当審において、平成28年2月5日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知されたの対し、平成28年2月9日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本件決定の適否について
原審において、本件決定により平成26年10月8日提出の手続補正書でした手続補正(以下、「本件補正」という。)が却下されたが、審判請求人は、審判請求書において、本件決定は不当である旨を主張しているので、本件決定の妥当性について、以下に検討する。

1.本件決定の概要
本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的としている。
しかしながら、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、引用文献1ないし3に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(1)実公昭15-16420号公報(以下、「引用文献1」という。)
(2)特開2005-66511号公報(以下、「引用文献2」という。)
(3)特開2005-169246号公報(以下、「引用文献3」という。)
(4)特開2005-66508号公報(周知技術を示す文献。以下、「引用文献4」という。)
(5)特開2000-334325号公報(周知技術を示す文献。以下、「引用文献5」という。)
(6)実願平5-64809号(実開平7-33998号)のCD-ROM(周知技術を示す文献。以下、「引用文献6」という。)
(7)特開2010-201289号公報(周知技術を示す文献。以下、「引用文献7」という。)

したがって、本件補正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この本件補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下する。

2.当審の判断
2.1 本件補正
(1)本件補正の内容
平成26年10月8日提出の手続補正書による本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に関しては、本件補正前の(すなわち、平成26年2月4日提出の手続補正書によって補正された)特許請求の範囲の請求項1の下記(ア)の記載を、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の下記(イ)の記載へと補正するものである。

(ア)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
粉粒体原料と空気を供給する供給口と、前記粉粒体原料と空気を受け入れる破砕室と、前記破砕室に設けられる破砕歯と、前記破砕歯で粉砕された粉粒体を篩い分けるスクリーンと、を有するミルにおいて、
前記破砕歯が、固定盤に固定された輪状の複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え、
前記破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の波型枠が周方向に非透過性の波型の板材を備え、
前記粉粒体原料が、前記破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され、前記波型の板材と前記第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間でも粉砕されて、前記スクリーンから外部に排出されることを特徴とするミル。」

(イ)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「 【請求項1】
粉粒体原料と空気を供給する供給口と、前記粉粒体原料と空気を受け入れる破砕室と、前記破砕室に設けられる破砕歯と、前記破砕歯で粉砕された粉粒体を篩い分けるスクリーンと、を有するミルにおいて、
前記破砕歯が、固定盤に固定された輪状の複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え、
前記破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の波型枠が周方向に非透過性の波型の板材を備え、
前記粉粒体原料が、前記破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され、前記波型の板材の曲面に沿って移動する際、前記波型の板材と前記第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、前記スクリーンから外部に排出されることを特徴とするミル。」(なお、下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

(2)本件補正の目的
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項である「波型の板材と前記第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間でも粉砕され」ることについて、「波型の板材の曲面に沿って移動する際」に、「波型の板材と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕され」る旨を限定することを含むものであって、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

2.2 独立特許要件についての判断
本件補正における本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に関する補正は、前述したように、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

2.2-1 引用発明
(1)引用文献1の記載
本願の出願前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用文献1(実公昭15-16420号公報)には、「粉砕機」に関し、図面とともに、例えば、次のような記載がある(当審注:摘記にあたり、旧字体を新字体で、カタカナをひらがなで表記した。)。

(ア)「図面の略解 第一図は本案の縦断面図第二図は破砕室に装着せる環状篩の側面図第三図はその展開面図なり」(第1ページ上段第13ないし14行)

(イ)「実用新案の性質、作用及び効果の要領 本案は破砕室(1)に固定破砕子(2)と回転破砕子(3)とを食合する如く組合せて設置し又破砕室(1)に稜角部か内方にある如く三角型格子(4)(4)を横に列置固着し上記三角型格子(4)(4)を互に接合せしめたる群(a)と互に隔離せしめたる群(b)とに分ち然も異種の群(a)(b)を交互に位置せしめて成れるものなり
本案に在りては被破砕物は漏斗(5)-導樋(6)-破砕室(3)の側面中央の導孔(7)を通して破砕室(1)に給送され固定破砕子(2)と回転破砕子(3)との食合により破砕さる加之に破砕室(1)に稜角部が内方に在る如く三角型格子(4)(4)を横に列置固着しあるにより此の三角型格子(4)(4)と回転破砕子(3)とにより更に破砕さるるを以て粉砕は誤なく行はる即ち従来破砕室に透孔を列穿せる所謂網版を固着し該網版にて回転破砕子を囲繞するものあれとも網版と回転破砕子との間にて破砕作業の行はるることなし然るに本案に在りては三角型格子(4)を叙上の如く位置せしめあるにより該三角型格子(4)の稜角部と回転破砕子(3)との間にて破砕作業行はれ従って破砕能率を増進し得而して此の粉砕物は三角型格子(4)(4)の間隙(8)を通して回転粉砕子(3)の回転に伴う空気流により排出さる殊に三角型格子(4)(4)の群(a)と群(b)とを交互に設けある故群(b)より排出さるる空気量は空気の排出なき群(a)と群(b)との合量なるを以て粉砕物の排出は強き空気流に伴随して行はる斯く粉砕部か誤なく移出さるる以上粉砕物を繰返し破砕に附することなく従って破砕能率を増進し得るものとす」(第1ページ上段第15行ないし下段第9行)

(ウ)「登録請求の範囲 図面に示す如く破砕室(1)に固定破砕子(2)と回転破砕子(3)とを食合する如く組合せて設置し又破砕室(1)に稜角部か内方に在る如く三角型格子(4)(4)を横に列置固着し上記三角型格子(4)(4)を互に接合せしめたる群(a)と互に隔離せしめたる群(b)とに分ち然も異種の群(a)(b)を交互に位置せしめて成れる粉砕機の構造」(第1ページ下段第10ないし14行)

(2)引用文献1記載の事項
上記(1)(ア)ないし(ウ)並びに第一ないし三図の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていることが分かる。

(カ)上記(1)(ア)ないし(ウ)並びに第一ないし三図の記載から、引用文献1には、粉砕機が記載されていることが分かる。

(キ)上記(1)(イ)に、粉砕物の排出が強い空気流に随伴して行われる旨の記載があり、被破砕物とともに空気が導孔(7)を通して供給されることは明らかであるから、上記(1)(イ)並びに第二及び三図の記載から、引用文献1に記載された粉砕機は、被破砕物と空気を供給する導孔(7)と、被破砕物と空気を受け入れる破砕室(1)と、破砕室(1)に設置された固定破砕子(2)と回転破砕子(3)と、固定破砕子(2)と回転破砕子(3)で破砕された粉砕物を間隙(8)を通して排出する三角型格子(4)(4)とを有することが分かる。

(ク)第一図において、複数の固定破砕子(2)は板状体に固着されていることが看取でき、また、複数の回転破砕子(3)は、第一図において、板状の回転体に固着されていることが看取できる。

(ケ)上記(1)(イ)並びに第二及び三図の記載から、引用文献1に記載された粉砕機は、破砕室(1)の周縁に、三角型格子(4)を間隔(8)で隔離して配置固定した群(b)と三角型格子(4)を接合して配置固定した群(a)とを交互に備えることが分かる。

(コ)上記(1)(イ)には、被粉砕物は、固定破砕子(2)と回転破砕子(3)との食合、及び三角型格子(4)の稜角部と回転破砕子(3)との間で破砕される旨の記載があるから、上記(1)(イ)及び第一ないし三図の記載から、引用文献1に記載された粉砕機において、被粉砕物が、破砕室(1)の側面中央の導孔(7)を通して給送され、破砕室(1)の外周部に移動する間に固定破砕子(2)と回転破砕子(3)により粉砕され、三角型格子(4)(4)と最外周の固定破砕子(2)の間の空間でも破砕されて、三角型格子(4)(4)の間隙(8)を通して排出されることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに第一ないし三図の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「被破砕物と空気を供給する導孔(7)と、被破砕物と空気を受け入れる破砕室(1)と、破砕室(1)に設置された固定破砕子(2)と回転破砕子(3)と、固定破砕子(2)と回転破砕子(3)で破砕された粉砕物を間隙(8)を通して排出する三角型格子(4)(4)と、を有する粉砕機において、
複数の固定破砕子(2)は板状体に固着され、複数の回転破砕子(3)は板状の回転体に固着され、
破砕室(1)の周縁に、三角型格子(4)を間隔(8)で隔離して配置固定した群(b)と三角型格子(4)を接合して配置固定した群(a)とを交互に備え、
被粉砕物が、破砕室(1)の側面中央の導孔(7)を通して給送され、破砕室(1)の外周部に移動する間に固定破砕子(2)と回転破砕子(3)により粉砕され、三角型格子(4)(4)と最外周の固定破砕子(2)の間の空間でも破砕されて、三角型格子(4)(4)の間隙(8)を通して排出される粉砕機。」

2.2-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「空気」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願補正発明における「空気」に相当し、以下同様に、「導孔(7)」は「供給口」に、「破砕室(1)」は「破砕室」に、「設置された」は「設けられる」に、「固定破砕子(2)」は「第1の破砕歯」に、「回転破砕子(3)」は「第2の破砕歯」に、「粉砕機」は「ミル」に、「板状体に固着され」は「固定盤に固定され」に、「板状の回転体」は「回転盤」に「固着され」は「固定され」に、「破砕室(1)の側面中央の導孔(7)を通して給送され」は「破砕室中心部から供給され」に、「破砕室(1)の外周部に移動する間に」は「破砕室の外周部に移動する間に」に、それぞれ相当する。
また、「被破砕物」という限りにおいて、引用発明における「被破砕物」は、本願補正発明における「粉粒体原料」に相当し、「粉砕物」という限りにおいて、引用発明における「粉砕物」は、本願補正発明における「粉粒体」に相当する。
そして、引用発明においては、三角型格子(4)(4)の間隙(8)よりも小さく粉砕された粉砕物が、三角型格子(4)(4)の群(b)から排出されると認められるから、引用発明における「三角型格子(4)(4)の群(b)」は、その機能からみて、本願補正発明における「スクリーン」に相当し、ミルが「破砕歯で粉砕された粉砕物を篩い分けるスクリーンと、を有する」という限りにおいて、引用発明において粉砕機が「固定破砕子(2)と回転破砕子(3)で破砕された粉砕物を間隙(8)を通して排出する三角型格子(4)(4)と、を有する」ことは、本願補正発明においてミルが「破砕歯で粉砕された粉粒体を篩い分けるスクリーンと、を有する」ことに相当する。
さらに、引用発明における「固定破砕子(2)」と「回転破砕子(3)」とを合わせて、本願補正発明における「破砕歯」に相当するといえるから、「破砕歯が、固定盤に固定された複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え」るという限りにおいて、引用発明において「複数の固定破砕子(2)は板状体に固着され、複数の回転破砕子(3)は板状の回転体に固着され」ることは、本願補正発明において「破砕歯が、固定盤に固定された輪状の複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え」ることに相当する。
また、「被破砕物が、」「破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され」るという限りにおいて、引用発明において「被破砕物が、破砕室(1)の側面中央の導孔(7)を通して給送され、破砕室(1)の外周部に移動する間に固定破砕子(2)と回転破砕子(3)により粉砕され」ることは、本願補正発明において「粉粒体原料が、破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され」ることに相当する。
そして、ミルが「破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の破砕室壁を備え」、「被破砕物」が、「破砕室壁と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、スクリーンから外部に排出される」という限りにおいて、引用発明における粉砕機が「破砕室(1)の周縁に、三角型格子(4)を間隔(8)で隔離して配置固定した群(b)と三角型格子(4)を接合して配置固定した群(a)とを交互に備え」、「被破砕物が」「三角型格子(4)(4)と最外周の固定破砕子(2)の間の空間でも破砕されて、三角型格子(4)(4)の間隙(8)を通して排出される」ることは、本願補正発明におけるミルが「破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の波型枠が周方向に非透過性の波型の板材を備え」、「粉粒体原料が」「波型の板材の曲面に沿って移動する際、波型の板材と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、スクリーンから外部に排出される」ることに相当する。

よって、本願補正発明と引用発明とは、
「 被粉砕物と空気を供給する供給口と、前記被粉砕物と空気を受け入れる破砕室と、前記破砕室に設けられる破砕歯と、前記破砕歯で粉砕された粉砕物を篩い分けるスクリーンと、を有するミルにおいて、
前記破砕歯が、固定盤に固定された複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え、
破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の破砕室壁を備え、
被破砕物が、前記破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され、破砕室壁と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、スクリーンから外部に排出されるミル。」
である点で一致し、次の点で相違又は一応相違する。

<相違点>
(サ)「被破砕物」に関し、本願補正発明においては「粉粒体原料」であるのに対し、引用発明においては「被破砕物」であり、「粉砕物」に関し、本願補正発明においては「粉粒体」であるのに対し、引用発明においては「粉砕物」である点(以下、「相違点1」という。)。
(シ)本願補正発明においては複数の第1の破砕歯が「輪状」であるのに対し、引用発明においては複数の固定破砕子(2)が輪状に配置されたものであるか否かが不明である点(以下、「相違点2」という。)。
(ス)ミルが「破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の破砕室壁を備え」、「被破砕物」が、「破砕室壁と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、スクリーンから外部に排出される」ことに関し、本願補正発明においてはミルが「破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の波型枠が周方向に非透過性の波型の板材を備え」、「粉粒体原料が」「波型の板材の曲面に沿って移動する際、波型の板材と第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、スクリーンから外部に排出される」のに対し、引用発明においては粉砕機が「破砕室(1)の周縁に、三角型格子(4)を間隔(8)で隔離して配置固定した群(b)と三角型格子(4)を接合して配置固定した群(a)とを交互に備え」、「被破砕物が」「三角型格子(4)(4)と最外周の固定破砕子(2)の間の空間でも破砕されて、三角型格子(4)(4)の間隙(8)を通して排出される」るものである点(以下、「相違点3」という。)。

2.2-3 判断
上記相違点について検討する。

まず、相違点1に関し、引用発明において、被破砕物を何にするかは選択的事項にすぎず、粉砕機すなわちミルによって粉粒体を粉砕することは、例えば引用文献2(特開2005-66511号公報)等に記載されるように周知の事項であるから、引用発明において被破砕物及び破砕物を、それぞれ粉粒体原料及び粉粒体として、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

次に、相違点2に関し、引用文献1には、複数の固定破砕子(2)が板状体にどのように配置されているかは記載されていないが、上記(1)(イ)の回転破砕子(3)との食合により被破砕物を破砕する旨の記載を、技術常識に照らし合わせると、固定破砕子(2)は輪状に配置されていると理解できるから、上記相違点2は、実質的な相違点であるとはいえない。
また、たとえ、引用発明において、固定破砕子(2)が輪状に配置されているか否かが不明であるとしても、粉砕装置において固定刃を輪状に配置することは周知技術(以下、「周知技術」という。例えば、引用文献5(特開2000-334325号公報)の段落【0015】及び図4や、引用文献4(特開2005-66508号公報)の段落【0014】及び図7等参照。)であり、引用発明において、周知技術を参酌して固定破砕子(2)は輪状に配置することにより、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように特定することは、当業者が容易に想到し得たことである。

最後に、相違点3に関し、本願補正発明は、ミルの破砕室の周縁に、周方向に非透過性の波型板材を備える円筒形の波型枠を設けることにより、「旋回する粉砕原料Pが乱反射されるように」(本願の明細書の段落【0024】)するものである。
これに対し、引用文献6(実願平5-64809号(実開平7-33998号)のCD-ROM)に記載された乾式古紙解繊装置において、歯型111は、遠心式羽根車12との隙間空間を原料古紙が通過する間に繊維状にほぐして綿状を呈する解繊物とするために設けられたものであり(引用文献7の段落【0019】参照)、やはり、本願補正発明における波型板材とは作用効果を異にするものである。
そして、引用文献1ないし6のいずれにも、ミルの破砕室の周縁に、周方向に非透過性の波型板材を備える円筒形の波型枠を設けることにより、旋回する粉砕原料Pが乱反射されるようにする旨の記載及び示唆はなく、周知技術であるということもできない。
したがって、引用発明において、引用文献2及び3に記載された発明並びに引用文献4ないし6等に記載された周知技術に基づいて、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることが容易であったということはできない。
よって、本願補正発明は、引用文献1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。

2.2-4 まとめ
以上から、本件補正発明は、引用文献1ないし6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないとはいえない。

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により、却下しますとした本件決定の判断は妥当ではない。

3.むすび
よって、平成27年4月20日付けの補正の却下の決定を取り消す。

第3 原査定の適否について
原査定は、本件補正の却下の決定の前提として、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかし、上記のとおり、本件補正の却下の決定は取り消されたから、原査定の判断は妥当ではない。

第4 当審拒絶理由について

1.当審拒絶理由の概要
本願は、特許請求の範囲の記載が、次の点で不備であるから、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



本願の請求項1の記載「前記粉粒体原料が、…前記波型の板材の曲面に沿って移動する際」は、意味が不明確である。

したがって、本願の請求項1係る発明は明確でない。

2.当審拒絶理由に対する判断
平成28年2月9日付け手続補正書によって、本願の請求項1は、次のとおり補正された。

「 【請求項1】
粉粒体原料と空気を供給する供給口と、前記粉粒体原料と空気を受け入れる破砕室と、前記破砕室に設けられる破砕歯と、前記破砕歯で粉砕された粉粒体を篩い分けるスクリーンと、を有するミルにおいて、
前記破砕歯が、固定盤に固定された輪状の複数の第1の破砕歯と、回転盤に固定された複数の第2の破砕歯と、を備え、
前記破砕室の周縁に設けられスクリーンを有する円筒形の波型枠が周方向に非透過性の連続する曲面を有する波型の板材を備え、
前記粉粒体原料が、前記破砕室の中心部から供給され、前記破砕室の外周部に移動する間に前記第1の破砕歯と第2の破砕歯により粉砕され、前記波型の板材と前記第1の破砕歯の最外周の破砕歯の間の空間でも粉砕されて、前記スクリーンから外部に排出されることを特徴とするミル。」

このことにより、当審拒絶理由は解消した。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-03-18 
出願番号 特願2010-16176(P2010-16176)
審決分類 P 1 8・ 121- WYA (B02C)
P 1 8・ 537- WYA (B02C)
P 1 8・ 575- WYA (B02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 筑波 茂樹  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 槙原 進
中村 達之
発明の名称 ミル  
代理人 尾崎 隆弘  
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