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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1313004
審判番号 不服2014-23135  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-13 
確定日 2016-03-31 
事件の表示 特願2012-234540号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月12日出願公開、特開2014- 83226号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月24日の出願であって、平成26年1月27日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月3日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものの、同年8月13日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年8月19日)、これに対して、同年11月13日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年11月13日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年11月13日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、特許請求の範囲の請求項1は、
補正前(平成26年4月3日付け手続補正)の
「【請求項1】
遊技盤の透明部に配置された入賞手段と、
前記透明部の裏側に配置され且つ前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する球排出通路とを備えた遊技機において、
前記透明部と前記球排出通路との間に、該球排出通路を前記透明部の前面側から視認不能にする装飾手段を備え、
該装飾手段は、
前面側に配置された装飾部と、
該装飾部に裏側から光を照射して発光させるための発光手段とを備えた
ことを特徴とする遊技機。」
から、
補正後(平成26年11月13日付け手続補正)の
「【請求項1】
遊技盤の透明部に配置された入賞手段と、
前記透明部の裏側に配置され且つ前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する球排出通路とを備えた遊技機において、
前記透明部と前記球排出通路との間に、該球排出通路を前記透明部の前面側から視認不能にする装飾手段を備え、
該装飾手段は、
前面側に前記透明部と略平行に配置された装飾部と、
該装飾部に裏側から光を照射して発光させるための発光手段と、を備えた
ことを特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線部は補正箇所を示す。)。

2 補正の適否について
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、装飾部に関して「前面側に前記透明部と略平行に配置された装飾部」とし、装飾部の位置を透明部に対して限定する補正事項を含んでいる。
よって、補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そして、補正事項は、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願の日前に頒布された刊行物である、特開2012-61329号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。
(1-a)「【0001】
本発明は、パチンコ遊技機、コイン遊技機等で代表される遊技機に関する。詳しくは、遊技盤の前面側に形成された遊技領域に遊技球を打込んで遊技が行なわれ、遊技において所定条件が成立したときに、遊技者にとって有利な状態に制御される遊技機に関する。」

(1-b)「【0015】
図3に示すように、遊技盤6は、遊技盤本体をなす板状部材600と、その板状部材600に取付けられた電気部品等の各種構造物を含む構造体である。具体的に、遊技盤6は、板状部材600、障害釘630、特別可変入賞球装置20、第1始動入賞口13、入賞口29,30,33,39、変動表示装置9、可変入賞球装置15、および、発光装飾ユニット700(内部ランプとしてのLED610a?610j等が設けられた構造体、図13参照)を含む構造物である。このような遊技盤6は、遊技枠11に対して着脱可能な構造物として設けられている。
【0016】
遊技盤6の板状部材600は、透光性を有する透明(無色透明)のアクリル板により構成されている。遊技盤6の板状部材600の前面には、図2に示すように、遊技球の軌道を変えるための障害釘630が多数植設されている。遊技盤6の後面側には、発光体よりなる装飾ランプとしての内部ランプが所定個数設けられている。この実施の形態では、内部ランプとして10個のLED610a?610jが設けられている。内部ランプには、異なる大きさの発光体が含まれている。具体的に、LED610a,610c,610e,610g,610iの方が、LED610b,610d,610f,610h,610jよりもサイズが大きい)。LED610a?610jは、所定の色(白色)で、点灯または点滅させられる。LED610a?610jは、奥行き方向において、板状部材600から近い方にサイズが大きいLED610a,610c,610e,610g,610iを配置し、板状部材600から遠い方にサイズが小さいLED610a,610c,610e,610g,610iを配置することにより、遠近感を強調することができる。
【0017】
内部ランプとしてのLED610a?610jは、後述する図13等に示すように板状部材600の後面側に取付けられる発光装飾ユニット700におけるメッキベース71内に設けられている。なお、ベース体(基体)としてのメッキベース71は、前面側に銀色の金属メッキが施された部材であり、光を反射する。なお、ベース体は、金属メッキではなく、鏡面処理、または、蒸着処理(PVDまたはCVDによる蒸着を含む)が施され、光を反射する部材であってもよい。発光装飾ユニット700の構成については、後述する。
【0018】
LED610a?610jのそれぞれは、前方へ広がる態様で傾斜した反射面である傾斜反射面が設けられた反射部の最奥部に取付けられている。その傾斜反射面は、メッキベース71に形成されており、メッキが施されているので、光を反射する。LED610a,610c,610e,610g,610iのそれぞれは、前方へ広がる態様で傾斜した反射面である傾斜反射面720aが設けられた反射部72aの最奥部に取付けられている。また、LED610b,610d,610f,610h,610jのそれぞれは、前方へ広がる態様で傾斜した反射面である傾斜反射面720bが設けられた反射部72bの最奥部に取付けられている。LED610a?610jは、図1および図3に示すように、1個または2個1組のものが、正面から見て、変動表示装置9の上方の位置から左周りに変動表示装置9の周りを半周程度取り巻くような態様となるように、骸骨152の右側の位置まで適宜の間隔を隔てて設置されている。」

(1-c)「【0041】
遊技領域7には、通常入賞口としての入賞口を有し、遊技盤6の板状部材600に取付けられた入賞口部材が複数設けられている。板状部材600には、このような入賞口部材のそれぞれに対応して、入賞した遊技球を発光装飾ユニット700の裏面側へ誘導するための貫通孔(図7に示す貫通孔63)が形成されている。入賞口部材としては、入賞口29を有する入賞口部材295、入賞口30を有する入賞口部材305、入賞口33を有する入賞口部材335、入賞口39を有する入賞口部材395が設けられている。各入賞口部材は、後述する図11に示すように、上部に入賞口が形成され、かつ、遊技球を誘導する空間が内部に設けられた部材であり、入賞口に受入れられた遊技球が、対応する貫通孔63へ誘導される内部構造となっている。」

(1-d)「【0098】
さらに、銀色の金属メッキが施されたメッキベース71、および、可動部材ユニット150は、板状部材600の後面側における変動表示装置9が設けられた領域以外の領域を、遊技盤6の前面側から透視不能な態様で隠蔽する隠蔽部材としての機能も兼ねている。
【0099】
このように、板状部材600の後面側における変動表示装置9が設けられた領域以外の領域について、遊技盤6の前面側から透視不能な態様で隠蔽する必要がある理由は、次のとおりである。遊技盤6の板状部材600が透明の部材であるので、遊技者により遊技盤6の前面側から板状部材600の後面側が透視可能である。図5等に示すように、板状部材600の後面側には、機構板140、および、主基板31等のように、装飾されていない構造物が設けられており、さらに、各種配線も設けられている。つまり、遊技盤6の後面側は、何らかの隠蔽部材を設けなければ、パチンコ遊技機1の装飾性を損なうような内部構造部分である。
【0100】
この実施の形態においては、次のように隠蔽部材が設けられている。具体的に、メッキベース71は、銀色の金属メッキが施されている不透明な部材であって、板状部材600の後面側を覆う形態であり、隠蔽部材としての機能も有する。これにより、板状部材600の後面側における変動表示装置9が設けられた領域以外の領域については、メッキベース71により、遊技盤6の前面側から透視不能な態様で隠蔽することができる。」

(1-e)「【0107】
また、メッキベース71の後面においては、表示開口部75を覆う態様で、変動表示装置9が取付けられている。また、メッキベース71の後面においては、取付開口部74、アウト口開口部726、および、開口部715等の遊技球の排出口を覆う態様で、球通路部800が取付けられている。球通路部800は、遊技球を受入れ可能な箱状の部材であり、特別可変入賞球装置20、第1始動入賞口13、および、入賞口29,30,33,39へ入賞した遊技球を受入れ、その遊技球を集合させて入賞球を処理する入賞球処理装置へ送る遊技球の通路としての機能を有する。球通路部800の下部には、遊技球送出穴802が形成されており、球通路部800内に受入れられた遊技球は、その遊技球送出穴802から下方へ落下し、入賞球処理装置へ送られる。このように、発光装飾ユニット700において、後面側に、球通路部800が取付けられているので、発光装飾ユニット700が球通路部として兼用されるため、パチンコ遊技機1の部品点数を低減することができる。」

(1-f)「【0134】
メッキベース71において、反射部72aの最深部には、内部ランプとしてのLED610a,610c,610e,610g,610iを臨ませるための穴である発光体開口部73aが開口形成されている。各LED610a,610c,610e,610g,610iは、図に示す第3内部ランプ基板633等の基板(第1内部ランプ基板631、第3内部ランプ基板633?第6内部ランプ基板636)に取付けられており、発光体開口部73aに臨む態様で、メッキベース71の後面側から発光体開口部73a内に挿入され、前面側に露出する態様で反射部72aに取付けられている。また、各LED610a,610c,610e,610g,610iには、反射部72aの前面側からランプカバー730aが取付けられている。」

(1-g)上記(1-b)には板状部材600の後面側に発光装飾ユニット700が取付けられると記載され、上記(1-e)には、発光装飾ユニット700の一部であるメッキベース71の後面に球通路部800が取付けられていると記載されていることから、球通路部800は、板状部材600の後面側に配置されているといえる。
また、上記(1-c)には入賞口部材に入賞した遊技球を発光装飾ユニット700の裏面側へ誘導されると記載されており、上記(1-e)には、球通路部800は、入賞口へ入賞した遊技球を受入れ、その遊技球を集合させて遊技球送出穴802から下方へ落下させる遊技球の通路としての機能を有すると記載されている。更に、図13によれば、発光装飾ユニット700が遊技盤6の裏側に位置していることが把握できる。
これより、球通路部800は、板状部材600の後面側に配置されており、入賞口部材に入賞して遊技盤6の裏側に誘導された遊技球を集合させて遊技球送出穴802から下方へ落下させているといえる。

(1-h)上記(1-b)には板状部材600の後面側に発光装飾ユニット700が取付けられると記載され、上記(1-e)には、発光装飾ユニット700の一部であるメッキベース71の後面に球通路部800が取付けられていると記載されていることから、板状部材600と球通路部800との間にメッキベース71が存在するといえる。
また、上記(1-d)には、メッキベース71は、板状部材600の後面側における変動表示装置9が設けられた領域以外の領域を、遊技盤6の前面側から透視不能な態様で隠蔽する隠蔽部材としての機能も兼ねていると記載されている。また、上記(1-e)にはメッキベース71の後面に球通路部800が取付けられていると記載されていることから、メッキベース71により球通路部800を板状部材600の前面側から透視不能としていることは明らかである。
これより、メッキベース71は、板状部材600と球通路部800との間にあり、球通路部800を板状部材600の前面側から透視不能としているといえる。

(1-i)上記(1-b)には、メッキベース71に反射部72aが設けられていると記載され、上記(1-f)には、反射部72aの前面側からランプカバー730aが取付けられていると記載されている。
これより、ランプカバー730aは、メッキベース71の前面側に取付けられているといえる。

(1-j)上記(1-f)には、LED610aがメッキベース71の後面側から反射部72aに取付けられ、且つ、ランプカバー730aが前面側から反射部72aに取付けられていると記載されている。よって、LED610aは、ランプカバー730aの後面側に配置されているといえる。
また、図16のランプカバー730aの周囲には黒塗りの三角が放射状に示されているが、当該三角は、LED610aからの光がランプカバー730aを介して放出される様子を表していると解される。
これより、LED610aは、ランプカバー730aに後面側から光を照射して発光させているといえる。

上記記載事項及び図示内容を総合すると、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「遊技盤6の透光性を有する板状部材600に設けられた入賞口部材295と、
板状部材600の後面側に配置されており、入賞口部材295に入賞して遊技盤6の裏側に誘導された遊技球を集合させて遊技球送出穴802から下方へ落下させる球通路部800とを備えた遊技機において、
板状部材600と球通路部800との間に、球通路部800を板状部材600の前面側から透視不能とするメッキベース71を備え、
前記メッキベース71は、
前面側に取付けられているランプカバー730aと、
該ランプカバー730aに後面側から光を照射して発光させるためのLED610aと、を備えた
遊技機。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「遊技盤6」、「(透光性を有する)板状部材600」、「入賞口部材295」は、本願補正発明の「遊技盤」、「透明部」、「入賞手段」にそれぞれ相当する。
よって、引用発明の「遊技盤6の透光性を有する板状部材600に設けられた入賞口部材295」は、本願補正発明の「遊技盤の透明部に配置された入賞手段」に相当する。

(イ)引用発明は、「遊技球送出穴802から下方へ落下させる」ことで、入賞した遊技球を遊技盤外の入賞球処理装置に送ることから、引用発明における「入賞口部材295に入賞して遊技盤6の裏側に誘導された遊技球を集合させて遊技球送出穴802から下方へ落下させる」との事項は、本願補正発明の「前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する」との事項に相当する。
よって、引用発明の「板状部材600の後面側に配置されており、入賞口部材295に入賞して遊技盤6の裏側に誘導された遊技球を集合させて遊技球送出穴802から下方へ落下させる球通路部800」は、本願補正発明の「前記透明部の裏側に配置され且つ前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する球排出通路」に相当する。

(ウ)引用発明の「板状部材600と球通路部800との間に、球通路部800を板状部材600の前面側から透視不能とするメッキベース71」は、本願補正発明の「前記透明部と前記球排出通路との間に、該球排出通路を前記透明部の前面側から視認不能にする装飾手段」に相当する。

(エ)一般にランプカバーは、ランプからの光を受けて発光させることで、当該ランプカバーの形状の発光装飾を得るために設けられる部材である。そして、刊行物1の図16において、光が放出される様子を表している三角が、ランプカバーの周囲に放射状に示されていることから、引用発明のランプカバーも、LEDからの光を受けて発光させることで、当該ランプカバーの形状の発光装飾を得るために設けられる部材であるといえる。よって、引用発明の「ランプカバー730a」は、本願補正発明の「装飾部」に相当する。
よって、引用発明の「前面側に取付けられているランプカバー730a」と、本願補正発明の「前面側に前記透明部と略平行に配置された装飾部」とは、「前面側に配置された装飾部」という点で共通する。

(オ)引用発明の「該ランプカバー730aに後面側から光を照射して発光させるためのLED610a」は、本願補正発明の「該装飾部に裏側から光を照射して発光させるための発光手段」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは
「遊技盤の透明部に配置された入賞手段と、
前記透明部の裏側に配置され且つ前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する球排出通路とを備えた遊技機において、
前記透明部と前記球排出通路との間に、該球排出通路を前記透明部の前面側から視認不能にする装飾手段を備え、
該装飾手段は、
前面側に配置された装飾部と、
該装飾部に裏側から光を照射して発光させるための発光手段と、を備えた
遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
装飾部に関し、本願補正発明は「前記透明部と略平行に配置」されているのに対し、引用発明はその様な構成を有していない点。

(3)当審の判断
(ア)[相違点]について検討する。
遊技機の装飾用の部材について、裏側からの光を受けて発光する装飾部を、透明部と略平行に配置することは、例えば、特開2010-273826号公報(【0028】、【図3】には、LED45からの光を拡散させて均一にするLEDレンズ47を、透明遊技盤6と略平行に配置することが記載されている。)、特開2009-61115号公報(【0025】-【0029】、【図3】、【図5】、【図11】には、第2発光部12を光源として発光する装飾部材11を、透明樹脂板10と略平行に配置することが記載されている。)に記載されているように本願出願日前に周知の技術である。また、装飾用の部材としてどの様なものを用いるかは、遊技機のデザインや、求められる装飾効果などに応じて、当業者が適宜選択し得たものである。
したがって、引用発明において、ランプカバー730aに代えて、周知技術である、透明部と略平行に配置された装飾部を採用し、前記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

(イ)そして、本願補正発明の作用効果は、引用発明及び周知技術から見て格別なものではない。

(ウ)したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術により、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし5に係る発明は、平成26年4月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記第2の1で前述した次のとおりのものである。

「遊技盤の透明部に配置された入賞手段と、
前記透明部の裏側に配置され且つ前記入賞手段に入賞して前記遊技盤の裏側に案内された遊技球を排出する球排出通路とを備えた遊技機において、
前記透明部と前記球排出通路との間に、該球排出通路を前記透明部の前面側から視認不能にする装飾手段を備え、
該装飾手段は、
前面側に配置された装飾部と、
該装飾部に裏側から光を照射して発光させるための発光手段とを備えた
ことを特徴とする遊技機。」

2 刊行物1に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1に記載された引用発明は、上記第2の3(1)に記載したとおりである。

3 対比、判断
本願発明は、上記第2の1及び2で検討したとおり、本願補正発明から構成の一部(限定された構成)を省いたものである。
そして、上記第2の3(2)に示した相違点に係る構成は、本願補正発明から省かれた構成であるから、本願発明と引用発明を対比すると、両者は相違点を有していない。
したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
仮に、本願発明と引用発明の構成に微差があったとしても、本願発明は引用発明により、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1号第3号に該当し、又は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-29 
結審通知日 2016-02-02 
審決日 2016-02-15 
出願番号 特願2012-234540(P2012-234540)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 113- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 洋行  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 本郷 徹
山崎 仁之
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人谷藤特許事務所  

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