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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G03B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03B
管理番号 1313076
異議申立番号 異議2016-700062  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-05-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-01-26 
確定日 2016-04-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第5756944号「写真撮影遊戯機,写真撮影遊戯方法及び写真撮影遊戯機の制御プログラム」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 特許第5756944号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第5756944号の請求項1ないし4に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は,平成22年8月19日に出願した特願2010-184155号の一部を平成23年12月26日に新たな特許出願とした特願2011-282610号の一部を平成26年4月16日にさらに新たな特許出願(特願2014-84094号)としたものであって,平成27年6月12日に本件特許の設定登録がされ,その後,平成28年1月26日に本件特許に対し,特許異議申立人により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし4に係る発明は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
カメラを備えた写真撮影遊戯機であって,
前記カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成する第1撮影制御手段と,
第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像を表示するレイアウト表示手段と,
前記カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成する第2撮影制御手段と,
前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに,前記複数の第1写真画像のうちの一部の枚数の第1写真画像を前記第1配置領域に配置し,前記第2写真画像に含まれる被写体全体を前記第2配置領域に配置した第3写真画像を自動生成する生成手段と,
を備える写真撮影遊戯機。
【請求項2】
請求項1に記載の写真撮影遊戯機であって,
前記一部の枚数の第1写真画像は,前記被写体の上半身が撮影された写真画像である,写真撮影遊戯機。
【請求項3】
カメラを備えた写真撮影遊戯機を用いた写真撮影遊戯方法であって,
前記カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成するステップと,
第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像を表示するステップと,
前記カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成するステップと,
前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに,前記複数の第1写真画像のうちの一部の枚数の第1写真画像を前記第1配置領域に配置し,前記第2写真画像に含まれる被写体全体を前記第2配置領域に配置した第3写真画像を自動生成するステップと,
を備える写真撮影遊戯方法。
【請求項4】
カメラを備えた写真撮影遊戯機に搭載されたコンピュータに,
前記カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成するステップと,
第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するコラージュ合成画像用のレイアウト画像を表示するステップと,
前記カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成するステップと,
前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに,前記複数の第1写真画像のうちの一部の枚数の第1写真画像を前記第1配置領域に配置し,前記第2写真画像に含まれる被写体全体を前記第2配置領域に配置した第3写真画像を自動生成するステップと,
を実行させる制御プログラム。」(以下,本件特許の請求項1ないし4に係る発明をそれぞれ「本件発明1」ないし「本件発明4」といい,「本件発明1」ないし「本件発明4」を総称して「本件発明」という。)

第3 申立の理由の概要
(1)特許異議申立人は,下記の甲第1及び2号証を提出し,請求項1ないし4に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから,請求項1ないし4に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
甲第1号証:特開2008-78810号公報(以下「引用例1」という。)
甲第2号証:特開2007-104336号公報(以下「引用例2」という。)

(2)特許異議申立人は,請求項1に係る発明について,「被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに」との具体的構成が,発明の詳細な説明に何ら記載されていないことから,発明の詳細な説明は,その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなく,特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていないから,請求項1に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。

第4 引用例の記載
(1)引用例1
本件の出願前に頒布された刊行物である引用例1には,次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,写真シール作成装置および方法,並びにプログラムに関し,特に,娯楽性を向上させることにより利用者の満足度を向上させ,収益性を向上させることができるようにした写真シール作成装置および方法,並びにプログラムに関する。」

イ 「【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の側面は,利用者を被写体として撮影し,得られた画像に対して利用者に落書き編集入力を行わせ,前記画像を所定のシールシートに印刷して写真シールを作成し,成果物として前記写真シールを前記利用者に提供する写真シール作成装置であって,前記利用者を被写体として撮影する撮影手段と,前記利用者の入力に基づいて,前記撮影手段の撮影により得られた撮影画像に対する落書き編集を行う第1の編集手段と,前記撮影画像,または,前記第1の編集手段により落書き編集が行われた編集済み画像を,組み合わせ画像として選択する組み合わせ画像選択手段と,前記組み合わせ画像選択手段により選択された複数の前記組み合わせ画像を,所定の領域内に,任意の位置,大きさ,角度,および重ね順で配置して合成し,1枚の合成画像を作成する合成画像作成手段と,前記利用者の入力に基づいて,前記合成画像作成手段により作成された前記合成画像に対する落書き編集を行う第2の編集手段と,少なくとも,前記第2の編集手段により落書き編集が行われた編集済み合成画像を前記シールシートに印刷する印刷手段とを備える写真シール作成装置である。
【0014】
この写真シール作成装置の,撮影手段は,例えば,撮影処理部により構成され,第1の編集手段は,例えば,落書き編集部により構成され,組み合わせ画像選択手段は,例えば,組み合わせ画像選択部により構成され,合成画像作成手段は,例えば,組み合わせプリ作成部により構成され,第2の編集手段は,例えば,組み合わせプリ落書き編集部により構成され,印刷手段は,例えば,印刷処理部により構成される。
【0015】
本発明の写真シール作成装置においては,利用者が被写体として撮影され,利用者の入力に基づいて,撮影画像に対する落書き編集が行われ,撮影画像,または,編集済み画像が,組み合わせ画像として選択され,選択された複数の組み合わせ画像が,所定の領域内に,任意の位置,大きさ,角度,および重ね順で配置されて合成され,1枚の合成画像が作成され,利用者の入力に基づいて,その合成画像に対する落書き編集が行われ,少なくとも,その落書きが行われた編集済み合成画像がシールシートに印刷される。
【0016】
組み合わせ画像は,組み合わせプリを作成するための画像である。
【0017】
組み合わせプリは,写真シール作成装置においてプレイされる写真シール作成ゲームの撮影作業により得られる撮影画像等と同様に,落書き編集の対象とされる編集対象画像として利用される画像である。この組み合わせプリは,複数の組み合わせ画像を,所定の領域内に,任意の位置,大きさ,角度,および重ね順で配置し(すなわち,任意のレイアウトで配置し),合成する(組み合わせる)ことにより作成される面白みのある画像である。
【0018】
組み合わせ画像は,この組み合わせプリの作成の際に,領域内に配置する(合成させる)画像として利用者等に選択された画像である。利用者は,その時点において存在する,撮影画像,その撮影画像に対して行われた落書き編集が反映された編集済み画像,および,以前に作成された組み合わせプリ等の中から,組み合わせ画像として利用する画像を選択する。
【0019】
従って,写真シール作成装置は,複数の撮影画像や編集済み画像を組み合わせて利用し,落書き編集や写真シールへの印刷を行うことができる。これにより,利用者の嗜好に応じた面白みのある画像を作成することができる。さらに,利用者は,編集済み画像を組み合わせて生成した組み合わせプリ全体に対してさらに落書き編集を行うことができるので,より面白みのある落書き編集を行うことができる。つまり,写真シール作成装置は,娯楽性を向上させ,利用者の満足度を向上させ,収益性を向上させることができる。」

ウ 「【発明の効果】
【0037】
本発明によれば,写真シール作成装置の収益性を向上させることができる。特に,写真シールの作成プレイの娯楽性を向上させ,利用者の満足度を向上させることにより,収益性を向上させることができる。」

エ 「【0103】
カメラ71は,上述したように,前方ユニット12Aの正面12A-1の中央付近に設けられ,制御装置101に制御されて撮影空間32内の被写体(利用者)の撮影を行う。例えば,カメラ71は,制御装置101の制御の下,取得画像を画像データとして制御装置101に供給する。また,カメラ71は,制御装置101より供給されるシャッタ制御信号に基づいて,メカシャッタを動作させる等して,撮影画像の取得を行う。その撮影画像の画像データも取得画像の画像データと同様に制御装置101に供給される。」

オ 「【0111】
次に,制御装置101について説明する。図9は,制御装置101が有する機能ブロックの構成例を示す図である。図9に示されるように,制御装置101は,写真シール作成ゲームを開始する際に投入される代金(硬貨)に関する処理を行う硬貨投入受付処理部161,撮影作業や編集作業の前に,利用者を接客する事前接客処理部162,利用者等を撮影する撮影作業に関する処理を行う撮影処理部163,撮影画像に対する編集作業に関する処理を行う編集処理部164,写真シールへの画像印刷に関する処理を行う印刷処理部165,および,編集作業を終了した利用者を接客する事後接客処理部166を有する。

【図9】

【0112】
編集処理部164は,撮影画像取得部171,事後接客内容選択部172,編集入力画面制御部173,落書き編集部174,パターン選択部175,組み合わせ画像選択部176,組み合わせプリ作成部177,組み合わせプリ落書き編集部178,および,分割数選択部179を有する。

・・・略・・・

【0117】
詳細については後述するが,編集入力画面においては,撮影画像が編集対象画像として表示され,利用者の操作により落書き編集が行われる。このとき,通常の場合,各撮影画像は,互いに異なる編集対象画像として表示される。つまり,図10Aに示されるように,1枚の編集対象画像201は,1枚の撮影画像により構成される。従ってこの場合,利用者は,各編集対象画像(各撮影画像)を1枚ずつ落書き編集する。

【図10】

【0118】
これに対して,組み合わせプリは,撮影画像や編集済み画像よりなる複数の組み合わせ画像を,所定の領域内に,任意の位置,大きさ,角度,および重ね順で配置し(すなわち,任意のレイアウトで配置し),合成した(組み合わせた)合成画像であり,1枚の編集対象画像として利用される。例えば,図10Bに示されるように,組み合わせプリ202の画像領域内には,撮影画像211乃至撮影画像213が配置される。このように,組み合わせプリは,複数の組み合わせ画像を組み合わせて生成され,その画像領域内に複数の組み合わせ画像を有する1枚の画像であり,他の撮影画像と同様に,1枚の編集対象画像として利用される画像である。
【0119】
つまり,利用者は,図10Bに示されるように,撮影画像211乃至撮影画像213を組み合わせて生成した組み合わせプリ202全体に対してさらに落書き編集を行うことができ,より面白みのある落書き編集を行うことができる。

・・・略・・・

【0122】
写真シールには,通常,図11に示されるように,複数の編集済み画像が印刷される。図11において,写真シール220に描かれた四角枠は,それぞれ,編集済み画像(撮影画像も含む)を示している。つまり,写真シール220には,撮影作業および編集作業により作成された複数の編集済み画像(編集を省略した撮影画像も含む)が所定のパターンで隙間無く(若しくは所定の間隔で)並べられて(1枚の画像が複数配置されることも含む)印刷される。このとき,組み合わせプリも,他の編集済み画像と同様に処理されて(1枚の編集済み画像として)印刷される。
【0123】
パターン選択部175は,組み合わせ画像のレイアウト(画像配置)のパターン(型)を,利用者に,予め用意された複数のパターンの中から選択させる。写真シール作成装置1には,写真シール作成ゲームの制限時間内において,利用者が容易に組み合わせプリを作成することができるように,このレイアウトパターンの候補が所定の数予め用意されており,パターン選択部175は,編集部113を制御し,利用者にこの候補を提示し,その中から使用するパターン(組み合わせ画像を所定の領域内に配置する際の,その領域内における位置,大きさ,角度,および重ね順の型)を選択させる。

【図11】


【0124】
図10Bにその一例を示しているが,組み合わせ画像のレイアウト(位置,大きさ,角度,画像数,画像同士の重ね方等)は,基本的にどのようなものであってもよい。なお,例えば,図10Bに示されるように,組み合わせプリ202の,撮影画像211乃至撮影画像213が配置されていない領域には,背景画像が表示されるようにしてもよい。つまり,組み合わせプリは,複数の組み合わせ画像を所定の背景画像上に配置することにより作成されるようにしてもよい。この場合,背景画像はレイアウトパターンの候補ごとに予め決められていてもよい。もちろん,組み合わせ画像に対して所定の前景画像が予め設けられていてもよい。
【0125】
組み合わせ画像選択部176は,利用者に組み合わせ画像を選択させる。組み合わせ画像は,撮影画像,および,落書き編集された撮影画像である編集済み画像の中から選択可能である。つまり,利用者は,撮影画像のみを選択することも,編集済み画像のみを選択することも,撮影画像と編集済み画像の両方を選択することも可能である。なお,複数の組み合わせプリを作成可能な場合,作成された組み合わせプリを,他の組み合わせプリの組み合わせ画像として使用することができるようにしてもよい。また,1つの撮影画像または編集済み画像を,複数の組み合わせプリの組み合わせ画像として使用することができるようにしてもよい。さらに,例えば所定の条件に基づく等して,撮影画像,編集済み画像,および組み合わせプリの中から,組み合わせ画像として選択不可能な画像が設定されるようにしてもよい。」

カ 「【0131】
次に,写真シール作成ゲームの流れについて,図12のフローチャートを参照して説明する。

【図12】

【0132】
写真シール作成ゲームを行う利用者は,最初に,事前接客領域31において,事前接客ユニット11の硬貨投入排出部にコインを投入し,ゲームの代金を支払う。制御装置101の硬貨投入受付処理部161は,ステップS1において,このような硬貨投入を受け付け,正当な代金が投入されたと判定した場合,処理をステップS2に進める。
【0133】
ステップS2において,事前接客処理部162は,事前接客ユニット11の各部を制御し,写真シール作成ゲームの最初の工程である事前接客作業を,事前接客領域31の利用者に行わせる事前接客処理を実行する。事前接客処理において,事前接客作業が終了すると,利用者は,撮影空間32への移動を案内される。利用者は,撮影空間32に移動し,ゲームを進行させる。ステップS3において,撮影処理部163は,撮影空間32に移動した利用者に対して撮影処理を行い,撮影画像を得,その撮影画像を記憶部102またはRAM107に保持させる。
【0134】
撮影処理において,撮影作業が終了すると,利用者は,第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bへの移動を案内される。利用者は,案内された方の編集空間33に移動し,ゲームを進行させる。ステップS4において,編集処理部164は,第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bに移動した利用者に対して,その空間に対応する編集インタフェース部を用いて編集処理を行い,撮影空間32における本撮影により得られた合成撮影画像に対する,ペン入力やスタンプ入力等の落書き編集作業や組み合わせプリの作成作業を行わせ,編集済み画像(組み合わせプリも含む)を得る。編集処理の詳細については後述する。
・・・中略・・・
【0137】
次に,図12のステップS4において実行される編集処理の詳細の流れの例を,図13のフローチャートを参照して説明する。必要に応じて図14を参照して説明する。なお,この編集処理は,実際には,第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bのうち,図12のフローチャートに対応する写真シール作成ゲームをプレイする利用者が移動した方の編集空間に対して実行される(編集部113が,第1編集インタフェース部13A若しくは第2編集インタフェース部13Bのいずれか一方に対応することになる)が,いずれの編集空間に対する場合も同様の処理が実行されるので,以下においては説明の簡略化のため,利用者が第1編集空間33Aに移動したか第2編集空間33Bに移動したかを特に明言せずに,編集空間33に移動したものとして説明する。

【図13】

【0138】
編集処理が開始されると,編集処理部164の撮影画像取得部171は,ステップS21において,撮影部112において得られた撮影画像を取得する。
【0139】
事後接客内容選択部172は,ステップS22において,82に,事後接客における作業内容を利用者に選択させるGUI画面を表示させ,事後接客内容を利用者に選択させる。写真シール作成装置1は,編集作業を終了した利用者に対して,画像印刷が終了するまで飽きさせないように,事後接客作業として,例えば,ミニゲーム,携帯型電話機等への画像転送,および人気投票等のような予め定められた所定の作業をプレイさせる。事後接客内容選択部172は,そのときの事後接客において,どの作業をプレイするかを利用者に選択させるGUI画面を編集表示部82に表示させ,タッチペン83およびタッチパネル141を制御して,そのGUI画面に対して入力される利用者の選択指示を受け付け,その選択指示に従って,事後接客内容を決定し,その設定を保存する。
【0140】
事後接客内容の設定が終了すると,編集入力画面制御部173は,ステップS23において,編集表示部82に,撮影画像に対する落書き編集を利用者に入力させる編集入力画面を表示する。
【0141】
図14は,落書き編集入力画面の構成例を示す図である。図14に示される落書き編集入力画面300には,基本的に同じ組の2名の利用者が同時に落書き編集入力を行うことができるように,画面内の主な構成が,一部を除き2つずつ設けられている。以下においては,この2つを互いに区別して説明する必要がある場合,図中左側の構成は符号に「A」を付して説明し,図中右側の構成は符号に「B」を付して説明する。左右の対になる構成を互いに区別して説明する必要のない場合,符号に「A」も「B」も付さずに説明する。

【図14】



【0142】
図14に示されるように,落書き編集入力画面300には,組み合わせプリ作成領域301若しくは落書き編集入力領域302が表示される領域が左右2箇所設けられている。これらの領域横には,組み合わせプリタブ303および終了タブ304が設けられており,利用者が選択したタブに対応する領域が表示されるようになされている。
【0143】
例えば,利用者が組み合わせプリタブ303を選択すると組み合わせプリ作成領域301が表示され,利用者が終了タブ304を選択すると落書き編集入力領域302が表示されるようになされている。より具体的に説明すると,図14の例の場合,図中左側の領域において,組み合わせプリタブ303が選択されて組み合わせプリ作成領域303Aが表示され,図中右側の領域において,終了タブ304Bが選択されて落書き編集入力領域302Bが表示されている。
【0144】
組み合わせプリ作成領域301は,組み合わせプリを作成する領域である。この組み合わせプリ作成領域301には,後述するように選択された組み合わせプリのレイアウトが表示される。つまり,組み合わせプリ作成領域301には,組み合わせ画像が表示される組み合わせ画像表示領域が表示される。図14の例の場合,組み合わせプリ作成領域301Aには,組み合わせ画像表示領域321A乃至組み合わせ画像表示領域323Aが表示されている。
【0145】
これらの組み合わせ画像表示領域には,それぞれ,利用者に選択された画像が表示される。このように組み合わせプリ作成領域301において,組み合わせプリが作成される。さらに,組み合わせプリ作成領域301においては,このように作成された組み合わせプリに対する落書き編集入力も行われる。
【0146】
これに対して,落書き編集入力領域302は,利用者が撮影画像に対する落書き編集を入力する領域である。すなわち,落書き編集入力領域302は,利用者に選択された落書き編集対象画像が1枚表示され,その表示された編集対象画像に対して落書き編集が行われる領域である。
【0147】
なお,この落書き編集入力領域302において,利用者が組み合わせプリに対する落書き編集を行うことができるようにしてもよい。
【0148】
組み合わせプリ作成領域301や落書き編集入力領域302が表示される左右の領域の間には,サムネイル領域305が設けられている。サムネイル領域305には,撮影作業により得られた撮影画像の縮小(サムネイル)画像が表示される。このサムネイル領域305内に表示されるサムネイル画像は選択可能に構成されている。つまり,利用者が,このサムネイル画像の中から1枚を選択すると,その画像が,タッチペン83に対応する側の落書き編集入力領域302に落書き編集対象画像として表示されたり,タッチペン83に対応する側の組み合わせプリ作成領域301に組み合わせ画像として表示されたりする。
【0149】
また,そのサムネイル領域305の左右には,組み合わせプリ作成領域301や落書き編集入力領域302における落書き編集の進行を制御するボタン等が設けられた領域である落書き編集制御領域306Aおよび落書き編集制御領域306Bを有する。
【0150】
さらに,サムネイル領域305の図中上側に設けられた終了管理領域307には,残り時間が表示され,さらに,強制的に編集作業を終了させるための終了ボタン308が設けられている。
【0151】
また,サムネイル領域305の下側には,組み合わせプリ作成領域301Aにおいて作成された組み合わせプリのサムネイル画像310Aと,組み合わせプリ作成領域301Bにおいて作成された組み合わせプリのサムネイル画像310Bを表示する組み合わせプリ表示領域309が設けられている。この組み合わせプリ表示領域309に表示されるサムネイル画像310Aおよびサムネイル画像310Bも,サムネイル領域305の場合と同様に,利用者によって選択可能としてもよい。つまり,例えば,利用者がサムネイル画像310Aを選択すると,組み合わせプリ作成領域301A(または落書き編集入力領域302A)にそのサムネイル画像310Aに対応する組み合わせプリが表示される。
【0152】
なお,組み合わせプリ表示領域309に表示されるサムネイル画像310Aやサムネイル画像310Bは,複数の組み合わせ画像を組み合わせた組み合わせプリであるので,利用者にとってより見やすくなるように,サムネイル領域305に表示されるサムネイル画像より大きく表示されるようにしてもよい。
【0153】
落書き編集入力領域302の下には,落書き編集に利用される,落書きペンツールの機能一覧,スタンプツールの機能一覧,背景やフレームの一覧等が表示されるツール領域311が表示される。なお,組み合わせプリ作成領域301が表示されているとき,ツール領域311の位置には,利用者が組み合わせ画像のレイアウトパターンを選択するためのパターン表示領域331が表示される。
【0154】
図14の例においては,組み合わせプリ作成領域301Aの下にパターン表示領域331Aが表示され,落書き編集入力領域302の下にツール領域311Bが表示されている。
【0155】
ツール領域311には,各ツールの機能一覧が選択可能に表示されており,利用者は,この領域に表示された機能を選択することにより,タッチペン83にその機能を割り当てる。また,ツール領域311Aとツール領域311Bとの間には,ツール領域311に機能一覧を表示させるツールを選択するための落書き入力ボタン群312が表示される。図14の例においては,落書き入力ボタン群312として,スタンプツールを選択するスタンプボタン,背景画像の一覧をツール領域311に表示させる背景ボタン,フレーム画像の一覧をツール領域311に表示させるフレームボタン,および落書きペンツールを選択する落書きペンボタンが2つずつ設けられている。
【0156】
パターン表示領域331には,予め用意された組み合わせ画像のレイアウトパターンのサンプル(候補)が複数,選択可能なサムネイル画像として表示されている。図14においては,互いに異なるパターンに対応するサムネイル画像341A乃至サムネイル画像344Aが表示されている。また,パターン表示領域331には,利用者が操作することにより,サムネイル画像の選択の決定を示す決定ボタン345Aも設けられている。
【0157】
利用者がタッチペン83を操作して,これらのサムネイル画像の中から1つを選択し,決定ボタン345を押下すると,その選択されたレイアウトパターンが組み合わせプリ作成領域301に表示される。図14の例の場合,サムネイル画像341Aが選択されている。なお,この決定ボタン345が操作されると,パターン表示領域331の表示がツール領域311の表示に切り替えられるようにしてもよい。
【0158】
このような構成の落書き編集入力画面300を用いて,利用者は,落書き編集作業や,組み合わせプリ作成作業を行う。
【0159】
以上のような落書き編集入力画面300を編集表示部82に表示させると,編集入力画面制御部173は,ステップS24において,編集部113のタッチパネル141やタッチペン83を制御し,利用者による落書き編集入力画面300に対する落書き編集入力の受け付けを開始する。
【0160】
落書き編集部174は,ステップS25において,編集入力画面制御部173により受け付けられた落書き編集入力に基づいて,各撮影画像に対する落書き編集処理を行う。例えば,利用者が,落書き編集入力画面300において,終了タブ304を選択して落書き編集入力領域302を表示させ,サムネイル領域305に表示されたサムネイル画像の中から所望の撮影画像に対応するサムネイル画像を選択して落書き編集入力領域302にその撮影画像を落書き編集対象画像として表示させ,落書き入力ボタン群の所望のボタンを操作して所望の落書きツールを選択し,ツール領域に表示された機能を選択してタッチペン83に割り当て,その落書き機能が割り当てられたタッチペン83を用いて,落書き編集入力領域302に表示された落書き編集対象画像に落書き編集を入力する。落書き編集部174は,利用者によるこのようにして入力された落書き編集入力に基づいて,その落書き編集の画像情報を生成して撮影画像に重畳させたり,撮影画像そのものを加工したりして編集済み画像を生成する。
【0161】
また,編集入力画面制御部173は,ステップS26において,組み合わせプリの作成が選択されたか否かを判定する。例えば,各撮影画像に対する落書き編集の入力作業から,組み合わせプリの作成作業に切り替える場合,利用者は,落書き編集入力画面300において組み合わせプリタブ303を操作し,組み合わせプリ作成領域301を表示させる。このような入力を検出し,利用者が組み合わせプリの作成を選択したと判定した場合,編集入力画面制御部173は,処理をステップS27に進める。
【0162】
組み合わせプリの作成が選択されると,パターン選択部175は,ステップS27において,落書き編集入力画面300のツール領域311にパターン表示領域331を表示させ,利用者に組み合わせパターンを選択させる。
【0163】
利用者が,パターン表示領域331に表示されたサムネイル画像を選択することにより,組み合わせパターンを選択すると,その組み合わせパターンが組み合わせプリ作成領域301に表示される。組み合わせ画像選択部176は,ステップS28において,例えば案内音声をスピーカ84より出力させるなどして,利用者に組み合わせ画像を選択させる。利用者は,サムネイル領域305に表示されたサムネイル画像を選択することにより,組み合わせ画像を選択し,それぞれを組み合わせ画像表示領域に表示させる。
【0164】
このように,組み合わせプリを構成する組み合わせ画像を全て選択すると,組み合わせプリ作成部177は,ステップS29において,その利用者選択された複数の組み合わせ画像を,利用者に選択されたレイアウトに従って1つの編集画像(組み合わせプリ)を作成し,その組み合わせプリの画像データを,例えばRAM107に編集対象画像として保存する。
【0165】
組み合わせプリ落書き編集部178は,ステップS30において,その組み合わせプリのサムネイル画像を組み合わせプリ表示領域309に表示する。なお,組み合わせプリ表示領域309にサムネイル画像が表示された組み合わせプリは,利用者がそのサムネイル画像を選択することにより,いつでも組み合わせプリ作成領域301または落書き編集入力領域302に表示させることができる。
【0166】
編集入力画面制御部173は,ステップS31において,組み合わせた1つの編集画像である組み合わせプリに対する落書き編集処理を行う。組み合わせプリを作成した利用者は,落書き編集入力画面300において,他の撮影画像等と同様に,組み合わせプリに対しても落書き編集を行う。この組み合わせプリに対する落書き編集は,組み合わせプリ作成領域301において行われるようにしてもよいし,落書き編集入力領域302において行われるようにしてもよい。組み合わせプリ落書き編集部178は,編集入力画面制御部173により受け付けられた利用者からの落書き編集入力に基づいて,その落書き編集の画像情報を生成して組み合わせプリに重畳させたり,組み合わせプリそのものを加工したりして編集済み画像を生成する。
【0167】
ステップS31の処理を終了すると,編集入力画面制御部173は,処理をステップS32に進める。また,ステップS26において,組み合わせプリが選択されていないと判定した場合,編集入力画面制御部173は,処理をステップS32に進める。
【0168】
ステップS32において,編集入力画面制御部173は,所定時間が経過したか,または,終了が指示されたか否かを判定し,所定時間が経過しておらず,かつ,終了が指示されていないと判定した場合,編集入力画面制御部173は,処理をステップS25に戻し,それ以降の処理を繰り返す。
【0169】
また,ステップS32において,所定時間が経過した,または,利用者が終了ボタン308を操作するなどして終了が指示されたと判定した場合,編集入力画面制御部173は,処理をステップS33に進め,落書き編集入力画面300の表示を終了させると共に,編集入力の受け付けを終了する。
【0170】
分割数選択部179は,ステップS34において,編集表示部82にGUI画面を表示させ,利用者に写真シールの印刷領域の分割数を選択させる。分割数を選択させると,分割数選択部179は,編集処理を終了し,図12のステップS4に処理を戻し,ステップS5以降に処理を進める。
【0171】
図15は,以上のような編集処理により作成された組み合わせプリの例を示す図である。組み合わせプリ401は,図14の組み合わせプリ作成領域301Aに示されるレイアウトの例に基づいて,組み合わせ画像を組み合わせて作成された画像である。

【図15】

【0172】
組み合わせプリ401においては,背景画像に3枚の組み合わせ画像が互いに重なるように配置されている。そして,各組み合わせ画像は,互いに異なる編集済み画像により構成される。つまり,各組み合わせ画像は,それぞれ,互いに独立して編集されている。そして,それらの組み合わせ画像が1枚の組み合わせプリとしてまとめられた後,さらに落書き編集されている。例えば,組み合わせ画像表示領域321Aの位置に配置された組み合わせ画像内の「なかよちこよち」の落書きや,組み合わせ画像表示領域322Aの位置に配置された組み合わせ画像内の「超マブなり」の落書き等は,それぞれ,組み合わせ画像毎に行われた落書きである。これに対して,組み合わせプリ401の画像範囲内上側にある「うちら まぢ仲子」の落書きや,画像範囲内下側の「ダチ 命」の落書きや,組み合わせ画像表示領域321Aの位置に配置された組み合わせ画像の端と背景部分に跨って書き込まれたハートマークや顔の絵柄等は,組み合わせプリ401に対して行われた(組み合わせプリ401を1枚の落書き編集対象画像として行われた)落書きである。
【0173】
このように,組み合わせプリは,複数の組み合わせ画像(撮影画像や編集済み画像等)が任意のレイアウトで組み合わせられた,従来の1枚の撮影画像を落書き編集した編集済み画像や,複数の編集済み画像を縦や横に並べただけの画像にはない,面白みのある画像である。従って,このような画像を作成する写真シール作成ゲームをプレイした利用者の満足度を向上させることができ,所謂リピータを増やすことが期待できるだけでなく,このような画像が印刷された写真シールを提供することにより,未だプレイしたことのない利用者の関心を集め,興味を抱かせることを期待することができ,新規利用者の増大を期待することもできる。」

キ 上記アないしカから,引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「カメラ及び編集表示部を備えた写真シール作成装置であって,
前記編集表示部は,撮影画像が表示される組み合わせ画像表示領域及び背景画像が表示され撮影画像が配置されていない領域からなる組み合わせプリ作成領域を有する落書き編集入力画面を表示するものであり,
撮影画像利用者に対して撮影処理を行い,撮影画像を得る撮影処理部と,
前記編集表示部に落書き編集入力画面を表示させる編集入力画面制御部と,
利用者に組み合わせ画像(撮影画像や編集済み画像等)を選択させる組み合わせ画像選択部と,
利用者に選択された複数の組み合わせ画像から1つの編集画像(組み合わせプリ)を作成する組み合わせプリ作成部と
を有する写真シール作成装置。」(以下「引用発明」という。)

(2)引用例2
本件の出願前に頒布された刊行物である引用例2には,次の事項が記載されている。

ア「【技術分野】
【0001】
本発明は,デジタルカメラ,特に撮影後にアルバム等で楽しむことのできる静止画や動画の撮影に適したカメラに関する。」

「【0024】
図5はこのカメラ10の背面外観を示す図である。カメラ背面の中央には大型液晶部(LCD)からなる表示手段9の表示画面19が配置され,表示画面19の右上にはスイッチ12に含まれる十字キースイッチ12aが配置される。この表示画面19には,一枚の写真を全画面表示させて鑑賞するようにしてもよいし,図5で示すように複数の画面,例えばメイン画面19aとサブ画面19bの2つの画面を表示するようにしてもよい。詳細は後述する。また,カメラからプリント11へプリントするの際には,確認のために表示画面19にはプリント予定画像が表示される。

【図5】


【0025】
図6及び図7は,本発明実施例1の画面表示例である。この図で表示される画面は,上記図2(B)や(C)で説明したような複数画像(シーン)が配置された画面で,再生時の鑑賞態様を予定して撮影される際の,表示画面である。詳しくは,撮影される画像(モニタ画像)が再生表示される大きさで表示され,また再生時の表示予定位置を示す情報が表示され,また撮影時の推奨構図も同時に表示され,あるいは再生時(鑑賞時)に現モニタ画像による撮影画像と同時に表示される他の画像も合わせた複数画像(シーン)が再生時と同様なレイアウトで表示される。

【図6】


【図7】


【0026】
なお,ここで画面に表示される撮影支援用の画像を「テンプレート」と呼ぶ。そして,これらの表示制御は,CPU1の処理による表示制御手段(表示制御部)によって行われる。
【0027】
図6は,2種類のテンプレートを示す図である。まず,図6(A),(B),(C)は,いずれもテンプレートAを用いての撮影及び再生で,表示手段9に表示される各画面を示す。このテンプレートAは,再生時に同時に3つの画面を表示させるテンプレートであるとともに,鑑賞時に楽しいと考えられる写真を撮影画像に付帯させるためのテンプレートである。
【0028】
図6(A)は,テンプレートAの紹介用の画面を示す図である。撮影時にテンプレートAを選択すると,まずこの画面が表示される。画面には複数のシーンとして,3つのサブ画面19c,19d,19eが表示される。画面中央のサブ画面19dには,おすすめ構図として,例えば2人一緒の構図を示すサンプル画像が表示される。画面左右のサブ画面19c,19eには,例えば撮影者二人の好きな写真のはめ込みを薦めるようなサンプル画像が表示される。なお,サブ画面19dが太枠で囲われるが,これは3つの画面のうちサブ画面19dが撮影画面に選択されていることを示す。詳細は後述する。
【0029】
図6(B)は,テンプレートAの選択後に実際に撮影する時の画面を示す図である。モニタ画像(被写体画像)とともに撮影構図を支援するための表示がされる。大きな面積のメイン画面19aには撮影時の被写体画像(以降モニタ画像とも称す)が表示される。画面右下のサブ画面19dには,2人で撮影する場合のおすすめの構図である構図画像がサンプル画像として表示される。また,画面右上のサブ画面19fには,被写体画像が画面全体でどの部分に相当する画面になるかを示すレイアウト画像がサンプル画像として表示される。ここでは,中央の領域に斜線が施され,ここで撮影される画像が画面の中央に配置されることを示している。
【0030】
そして撮影指示により,被写体画像がCPU1の処理による記録制御手段により記録部7aに記録される。次に,画面左右のサブ画面19c,19e用の画像を,その後それぞれ撮影を行って記録する。なお,メイン画面とサブ画面の撮影順番はいずれでよく,サブ画面用画像として既に撮影された画像を利用しても良い。
【0031】
これにより,例えば二人一緒の写真と左右に二人の好きなものの写真が付帯配置された合成の画像が記録される。
【0032】
図6(C)は,同図(B)で撮影された画像の再生画面を示す図である。画面レイアウトは,同図(A)で示されたようになっている。画面中央のメイン画面19aには,同図(B)で撮影された被写体画像が表示され,その左右の小さなサブ画面19c,19eには,その前後に撮影された例えば二人の好きなものの写真が表示される。」

ウ 上記ア及びイからみて,引用例2には,
「表示手段を有するデジタルカメラであって,
撮影時には,大きな画面のメイン画面19aに撮影時の被写体画像が表示され,画面右下のサブ画面19dには2人で撮影する場合のおすすめの構図である構図画像がサンプル画像として表示され,
撮影指示により,被写体画像が記録部7aに記録され,サブ画面19c,19e用の画像がそれぞれ撮影及び記録され,
撮影された画像の再生画面では,画面中央のメイン画面19aに前記被写体画像が表示され,その左右の小さなサブ画面19c,19eにその前後に撮影された写真が表示されるデジタルカメラ。」(以下「引用例2の記載事項という」。)が記載されているものと認められる。

第5 当審の判断
1 特許法第29条第2項について
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「利用者」,「撮影処理部」,「撮影画像」,「編集表示部」,「組み合わせプリ」及び「組み合わせ画像表示領域」は,それぞれ本件発明1の「被写体」,「第1撮影制御手段」,「第1写真画像」,「レイアウト表示手段」,「コラージュ合成画像」及び「第1配置領域」に相当する。
本件発明1の「第3写真画像」は,発明の詳細な説明に直接的な記載はないものの,請求項1の記載によれば,第1配置領域に配置された第1写真画像と,第2配置領域に配置された第2写真画像から自動生成されているから,「コラージュ合成画像」のことであると認められる。そうすると,引用発明の「組み合わせプリ」は,本件発明1の「第3写真画像」にも相当し,引用発明の「組み合わせプリ作成部」は,本件発明1の「生成手段」に相当する。
また,本件発明1の「レイアウト表示手段」は,発明の詳細な説明に直接的な記載はないものの,請求項1の記載によれば,「レイアウト画像」を表示する手段であるから,撮影時にレイアウト画像が表示される「撮影用ディスプレイ11」及び編集時にレイアウト画像が表示される「編集用ディスプレイ40」を指しているものと認められる。してみれば,引用発明において,編集時に落書き編集入力画面が表示される「編集表示部」は,本件発明1の「レイアウト表示手段」に相当する。
また,引用発明の「写真シール作成装置」は,写真シール作成ゲームをするのであるから,本件発明1の「写真撮影遊技機」に相当する。

イ 引用発明の「撮影処理部」がカメラを制御することは,段落【0103】の「カメラ71は,制御装置101(当審注:図9にも示されるように,「制御装置101」は,「撮影処理部163」を含んでいる)より供給されるシャッタ制御信号に基づいて,メカシャッタを動作させる等して,撮影画像の取得を行う」との記載からも明らかである。また,引用発明は,複数の「撮影画像」を組み合わせ画像として利用するのであるから,引用発明の「利用者に対して撮影処理を行い,撮影画像を得」る「撮影処理部」(本件発明1の「第1撮影制御手段」に相当)は,本件発明1の「カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成する」との要件を満たしている。

ウ 本件発明1の「第2撮影制御手段」について,本件明細書の発明の詳細な説明では,具体的な定義は記載されていないが,請求項1及び発明の詳細な説明の記載を参酌しつつ検討すると,当該「第2撮影制御手段」とは,概ね次のような手段であると認められる。
請求項1では,「第2の撮影制御手段」について,「前記カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成する」ことが特定されている。また,「第2写真画像」については,当該請求項1において,「コラージュ合成画像専用の第2写真画像」との記載があるが,本件明細書には,「コラージュ合成画像専用」について直接的に定義づける記載は存在しない。そこで,まず,当該「コラージュ合成画像専用の第2写真画像」との特定が,どのような意味を有するのかについて検討する。
写真シールの模式図を示す本件の図10の矩形領域852Lには,矩形領域852Rに表示されるコラージュ合成画像のうち,通常合成画像が配置される複数の配置領域に配置された複数の「第1写真画像」に対応する写真は存在しているものの,コラージュ合成画像の中心に位置する(1枚の)「第2写真画像」に対応する写真は存在していない。

【図10】


さらに,明細書の段落【0007】には,本件発明が解決しようとする課題として,「特許文献1に開示された方法では,撮影処理で生成された複数の画像の中から,編集処理において,プレイヤがいくつかの画像を選択し,組合せる。そのため,組合せ画像の生成に時間がかかる。さらに,『組合せプリ』画像は,各々が独立した複数の画像を組み合わせるものであり,『組合せプリ』専用の画像は存在しない。そのため,組合せた画像のイメージが異なってしまったり,全体として統一感が薄れたものになってしまったりする場合がある。」と記載されている。
これら記載からみて,本件発明1における「コラージュ合成画像専用の第2写真画像」とは,単体の写真としては印刷されることはない写真,すなわち,もっぱらコラージュ合成画像を作成することのみに用いられる写真画像を意味すると解するのが自然である。
そうすると,本件発明1における「第2撮影制御手段」とは,「第2写真画像」を撮影することに特化した(「第1撮影制御手段」とは別の)撮影制御手段であると認められる(なお,「第1撮影制御手段」によって撮影される「第1写真画像」は,コラージュ合成画像を作成すること以外にも利用されるものと認められる。このことは,図10において,矩形領域852Lに,第1撮影制御手段によって撮影された6枚全ての第1写真画像が存在していることからも裏付けられる。)。
一方,引用発明は,「第1撮影制御手段」とは別の特別な撮影制御手段を有していない。

エ 引用発明の「第1配置領域(組み合わせ画像表示領域)」が複数あることは,引用発明の「複数の撮影画像や編集済み画像を組み合わせて利用し,落書き編集や写真シールへの印刷を行うことができるようにすることにより,娯楽性を向上させて利用者の満足度を向上させ,収益性を向上させるようにする」(引用例1の段落【0012】)という目的からみても,また図10,15の記載等からみても明らかである。
また,引用発明の「組み合わせプリ作成領域」は,「組み合わせ画像表示領域」(本件発明1の「第1配置領域に相当」)及び「背景画像」を有するのであるから,引用発明の「編集表示部」には,本件発明1の(「第2配置領域」を有しないものとしての)「レイアウト画像」に相当するものが表示されていることは明らかである。
さらに,編集表示部に表示される「レイアウト画像」に相当するものが,「撮影画像」よりも大きくなることもまた明らかである。
してみれば,引用発明の「撮影画像」が表示される「組み合わせ画像表示領域」及び「背景画像」が表示された「編集表示部」(本件発明1の「レイアウト表示手段」に相当)は,本件発明1の「第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像を表示する」との要件を満たしている。

オ 本件発明1では,「被写体による前記第1写真画像及び第2写真画像を配置する操作を介さずに」と特定されている。本件明細書の発明の詳細な説明では,「操作を介さ」ないとはどのような技術手段を指し示すのか,具体的に定義されてはいないところ,当該記載がどのような手段であるのかについて,本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して検討する。
段落【0007】には,特許文献1(当審注:本決定における引用例1)を引用しつつ,以下のように記載されている。
「特許文献1において開示された方法では,撮影処理で生成された複数の画像の中から,編集処理において,プレイヤがいくつかの画像を選択し,組合せる。そのため,組合せ画像の生成に時間がかかる。」
さらに,本件明細書における【発明を実施するための形態】(以下「本件発明の実施形態」という。)の開示を参照すると,段落【0072】?【0076】において,第1?第4回目の撮影が行われ,4枚の通常写真画像(第1写真画像)を得ることが記載され,段落【0089】には,仮のコラージュ合成画像は,第1?第4回の撮影で得られた4枚の通常写真画像を用いて作成されることが記載されている。そして,仮のコラージュ合成画像を作成した後に,コラージュ合成画像に用いる画像を選択し直したり,又は他の画像に差し替える旨の記載は存在していないから,最終的に生成されるコラージュ合成画像も,第1?第4回の撮影で得られた通常写真画像を用いて作成されているものと認められる。さらに,コラージュ合成画像用写真画像(第2写真画像)も,1枚のみ撮影され,コラージュ合成画像にどの画像を利用するのかを選択する手順は存在していない。
してみると,本件発明にいう「配置する操作を介さ」ないとは,コラージュ合成画像にどの写真画像を用いるのか,どの位置にその写真画像を配置するのか(どのように組み合わせるのか)について「選択」する操作を要しない,との意味であると解される。
一方,引用発明では,「コラージュ合成画像(組み合わせプリ)」にどの画像を利用するのかについて,選択する手段が存在している。

カ 上記第4(1)キで認定したように,引用発明における「組み合わせプリ作成領域」は,「背景画像が表示され撮影画像が配置されていない領域」とともに「撮影画像が表示される組み合わせ画像表示領域」を有しており,「組み合わせプリ作成部」では,「複数の組み合わせ画像(撮影画像や編集済み画像等)」から「1つの編集画像(組み合わせプリ)」を作成するのであるから,引用発明の「組み合わせプリ作成部」(本件発明1の「生成手段」に相当)は,「第1写真画像を第1配置領域に配置し,第3写真画像を生成する」との要件を満たす。

キ 上記アないしカから,本件発明1と引用発明とは,
「カメラを備えた写真撮影遊技機であって,
前記カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成する第1撮影手段と,
第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像を表示するレイアウト表示手段と,
第1写真画像を第1配置領域に配置し,第3写真画像を生成する生成手段と,
を備える写真撮影遊技機」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:
本件発明1では,カメラを制御して被写体全体を撮影し,第2写真画像を生成する第2撮影制御手段を有し,かつ,レイアウト表示手段によって表示されるレイアウト画像は,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域を有するのに対し,
引用発明では,第1撮影制御手段と別個の撮影制御手段を有しておらず,かつ,レイアウト表示手段によって表示されるレイアウト画像は,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域を有していない点。

相違点2:
本件発明1では,第3写真画像を自動生成するのにあたり,被写体による第1写真画像及び第2写真画像を配置する操作を介さないのに対し,引用発明では,第1写真画像を配置する操作を介している点。

相違点3:
本件発明1では,第3写真画像を自動生成する生成手段において,複数の第1写真画像のうちの一部の枚数の第1写真画像が用いられるのに対し,引用発明では,この点が明らかでない点。

(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
(ア)引用発明では,コラージュ合成画像専用である第2写真画像を撮影するための第2撮影制御手段を,第1撮影制御手段と別途設けることについては記載されていない。また,引用例1の全記載をみても,コラージュ合成画像専用である第2写真画像を利用することや,前記第2写真画像を撮影するための第2撮影制御手段を設けることの動機や示唆となるような記載も発見できない。
(イ)引用例2の記載事項(上記第4(2)ウを参照)は,デジタルカメラに関するものであって,表示手段を有し,前記表示手段に表示される画面としてメイン画面とサブ画面を有し,撮影によって得られた画像を前記メイン画面と前記サブ画面に表示するものである。しかし,引用例2においては,メイン画面の画像をコラージュ合成画像専用とすることは記載されていない。また,本件発明1の第2撮影制御手段は,「被写体全体」を撮影するものであるが(すなわち,第2撮影制御手段は,もっぱら「被写体全体」を撮影することに特化したものであると認められる),引用例2において,メイン画像の撮影を行う時に,「被写体全体」を撮影するように制御されることは記載されていない。したがって,引用発明に引用例2の記載事項を組み合わせても,相違点1に係る本件発明1の構成とはならない。
(ウ)してみると,引用発明において,上記相違点1に係る本件発明1の構成となすことが,当業者が引用発明及び引用例2の記載事項に基づいて容易になし得たものであるということはできない。
(エ)なお,特許異議申立人は,引用例1の図10Bを参照しつつ,「よって,甲1号証には,第1写真画像211,213が配置される第1配置領域と,コラージュ合成画像専用の第2写真画像212が配置される第2配置領域と,背景画像(211乃至213が配置されない領域)とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像が開示されている。」と主張している。
しかし,引用例1の段落【0118】には,「例えば,図10Bに示されるように,組み合わせプリ202の画像領域内には,撮影画像211乃至撮影画像213が配置される。このように,組み合わせプリは,複数の組み合わせ画像を組み合わせて生成され,その画像領域内に複数の組み合わせ画像を有する1枚の画像であり,他の撮影画像と同様に,1枚の編集対象画像として利用される画像である。」と記載されているように,引用例1では,撮影画像211,213と,撮影画像212とは,特に区別されておらず,したがって,撮影画像211,213がコラージュ合成画像専用でなく,撮影画像212のみがコラージュ合成画像専用となることが記載されているものとも認められず,またそのようにすることの示唆もない。
(オ)また,異議申立人は,「・・・甲1発明は『カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成する第2撮影制御手段』を有している。」と述べている。
しかし,上記(1)ウ及び上記(イ)で検討したとおり,本件発明1における「第2撮影制御手段」は,コラージュ合成画像専用でありかつ「被写体全体」を撮影した「第2写真画像」を撮影することに特化した,「第1撮影制御手段」とは別の手段であると認められる。引用発明には,このようなコラージュ合成画像専用でありかつ「被写体全体」を撮影した「第2写真画像」を撮影することに特化した撮影制御手段を設けることについては記載も示唆もされていない。
(カ)また,異議申立人は,「第1写真画像と第2写真画像の撮影制御手段を区別するが,これは,請求項1にあっては,第1写真画像の”画像と配置領域”と第2写真画像の”画像と配置領域”を区別することと推認される。」と述べている。しかし,本件発明においては,第1写真画像は,明細書の段落【0073】?【0081】及び図16?18において説明されているような制御で撮影され,第2写真画像は,段落【0082】?【0090】及び図19?22において説明されるような制御で撮影されている。すなわち,第1撮影制御手段と第2撮影制御手段とは,単に「画像と配置領域」を区別しているのではなく,第1写真画像の撮影と第2写真画像の撮影を行うにあたって,撮影制御手段それ自体が区別されている(別の撮影制御手段が準備されている)ことを意味しているものと認められる。
(キ)また,異議申立人は,「・・・甲2号証の発明において,メイン画面19aとサブ画面19c,19dが区別されている。メイン画面の画像が本件発明のコラージュ専用画像に相当し,サブ画面の画像が通常画像に相当することは明らかで,メイン画面の画像とサブ画面の画像を区別している。なお,図11にも,メイン画像と2つのサブ画像からなるコラージュ画像が示されている(段落0058)。・・・したがって,引用文献2に開示されるコラージュ技術を,コラージュ技術分野の発明である甲1発明と組み合わせて本件発明1は,当業者により容易に想到されたものである。」と主張している。
しかし,引用例2においては,メイン画面の画像をコラージュ合成画像専用とすることは記載されていないこと,メイン画像の撮影を行う時に,「被写体全体」を撮影するように制御されることが記載されていないことは,上記(イ)で検討したとおりである。

イ 相違点2,3について検討する。
(ア)引用例1の全記載をみても,第1写真画像を配置する操作を介さないようにすることについて,動機や示唆となるような記載は発見できない。
(イ)また,本件発明1においては,第1写真画像を配置する操作を介さないにもかかわらず,撮影された複数の第1写真画像のうちの一部の枚数のみが,第3写真画像の生成に用いられることも特定されている(相違点3)。すなわち,本件発明1においては,第3写真画像に使われないことが確定している第1写真画像をも取得することが暗に特定されていることとなる。
(ウ)しかし,引用例1の全記載をみても,そのような構成は採用されていないばかりか,そのような構成を採用する動機となる記載も,示唆となる記載も存在していない。また,そのような動機の存在を根拠付けるような技術常識が存在するとも認められない。
(エ)してみると,引用発明において,上記相違点2及び3に係る本件発明1の構成となすことは,当業者が容易になし得たものということはできない。

(3)本件発明2について
本件発明1が,引用例1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないのであるから,本件発明1の発明特定事項をすべて含み,さらに他の発明特定事項を付加した本件発明2も同様に,引用例1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

(4)本件発明3,4について
本件発明1が,引用例1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないのであるから,本件発明1の発明特定事項を事実上すべて含み,実質的にみて,本件発明1とは単に発明のカテゴリーが異なるにすぎない本件発明3についても同様に,引用例1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。また,本件発明3のステップを実行させる制御プログラムに係る本件発明4についても同様に,引用例1ないし2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえない。

2 特許法第36条第4項第1号について
(1)請求項1に係る発明(本件発明1)
請求項1には,以下のように記載されている。
「【請求項1】
カメラを備えた写真撮影遊戯機であって,
前記カメラを制御して被写体を撮影し,複数の第1写真画像を生成する第1撮影制御手段と,
第1写真画像が配置される複数の第1配置領域と,コラージュ合成画像専用の第2写真画像が配置される第2配置領域と,背景画像とを有し,前記第1写真画像よりも大きな画像サイズを有するレイアウト画像を表示するレイアウト表示手段と,
前記カメラを制御して前記被写体全体を撮影し,前記第2写真画像を生成する第2撮影制御手段と,
前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに,前記複数の第1写真画像のうちの一部の枚数の第1写真画像を前記第1配置領域に配置し,前記第2写真画像に含まれる被写体全体を前記第2配置領域に配置した第3写真画像を自動生成する生成手段と,
を備える写真撮影遊戯機。」

(2)請求項1の上記記載のうち,「前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに」との事項は,上記第5の1(1)オで検討したように,第1写真画像や第2写真画像について,コラージュ合成画像にどの写真画像を用いるのか,また,どの位置にその写真画像を配置するのかについて「選択」する操作を要しないことを意味しているものと解される。
そして,本件明細書の発明の詳細な説明においては,第1?第4回目の撮影により得られた通常写真画像(第1写真画像)を元に作成された通常合成画像が,配置等について選択されることなくコラージュ合成画像(第3写真画像)に利用され,コラージュ合成画像用の写真画像についても,配置等について選択されることなくコラージュ合成画像に利用される実施形態が記載されている(段落【0082】?【0116】を参照)。
してみれば,本件発明1のうち,上記「前記被写体による前記第1写真画像及び前記第2写真画像を配置する操作を介さずに」との事項について,発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものである。

(3)そして,本件発明1のうち,(2)で検討した以外の部分についても,発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されたものと認められる。

第6 むすび
したがって,特許異議申立ての理由及び証拠によっては,請求項1ないし4に係る特許を取り消すことはできない。
また,他に請求項1ないし4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-03-29 
出願番号 特願2014-84094(P2014-84094)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (G03B)
P 1 651・ 537- Y (G03B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野村 伸雄登丸 久寿  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 鉄 豊郎
道祖土 新吾
登録日 2015-06-12 
登録番号 特許第5756944号(P5756944)
権利者 株式会社メイクソフトウェア
発明の名称 写真撮影遊戯機、写真撮影遊戯方法及び写真撮影遊戯機の制御プログラム  

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