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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1313431
審判番号 不服2014-24757  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-04 
確定日 2016-04-14 
事件の表示 特願2012-173505「投射型映像表示システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日出願公開、特開2012-234203〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成20年3月10日に出願された特願2008-59433号の一部を平成24年8月6日に新たな特許出願としたものであって、同日及び平成25年12月24日に手続補正がなされ、平成26年9月1日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月4日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成26年12月4日になされた手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成26年12月4日になされた手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成26年12月4日になされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであって、平成25年12月24日になされた手続補正によって補正された(以下、「本件補正前」という。)請求項1に、
「投射型映像表示装置と表示部とを備えた投射型映像表示システムであって、
前記投射型映像表示装置は、
前記表示部へ投射される画像を表示する映像表示素子と、
前記映像表示素子に表示された画像を拡大して、前記表示部へ投射する拡大投射光学ユニットと、
前記映像表示素子上に表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動する表示制御部とを備え、
前記拡大投射光学ユニットは、前記映像表示素子に表示された画像を拡大する投射レンズを含むレンズ群と、前記レンズ群からの光を反射すると共に、前記表示部へ拡大投射される画像の台形歪を補正する反射ミラーとを備え、
前記レンズ群は、該レンズ群の光軸に対して偏心して配置された絞りを備えると共に、
前記拡大投射光学ユニットと前記表示部との距離に応じて前記レンズ群の一部が移動することで前記レンズ群を構成するレンズ間の距離が変化可能であり、
前記表示制御部は、前記映像表示素子に表示された画像を前記拡大投射光学ユニットを介して前記表示部上に投射して表示した場合に、前記映像表示素子の表示面内において前記表示部に適合する部分を選択的に投射して表示するように、前記映像表示素子の表示面上の映像を移動させることを特徴とする投射型映像表示システム。」とあったものを、

「投射型映像表示装置と表示部とを備えた投射型映像表示システムであって、
前記投射型映像表示装置は、
前記表示部へ投射される画像を表示する映像表示素子と、
前記映像表示素子に表示された画像を拡大して、前記表示部へ投射する拡大投射光学ユニットと、
前記映像表示素子上に表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動する表示制御部とを備え、
前記拡大投射光学ユニットは、前記映像表示素子に表示された画像を拡大する投射レンズを含むレンズ群と、前記レンズ群からの光を反射すると共に、前記表示部へ拡大投射される画像の台形歪を補正する反射ミラーとを備え、
前記レンズ群は、該レンズ群の光軸に対して偏心して配置された絞りを備えると共に、前記拡大投射光学ユニットと前記表示部との距離に応じて前記レンズ群の一部が移動することで前記レンズ群を構成するレンズ間の距離が変化可能であり、
前記表示制御部は、前記映像表示素子の表示面内において前記表示部に適合する部分を選択的に投射して表示するように、前記映像表示素子の表示面上の画像を移動させるものであり、前記映像表示素子に表示された画像を前記拡大投射光学ユニットを介して前記表示部上に投射して表示した場合に、前記表示部上に表示される画像は、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像であることを特徴とする投射型映像表示システム。」と補正するものである(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次のア及びイの補正からなるものである。
ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「映像表示素子に表示された画像を拡大投射光学ユニットを介して表示部上に投射して表示した場合」に「前記表示部上に表示される画像」が、「前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像である」ことを限定する補正。
イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「表示制御部」が「移動させる」「映像表示素子の表示面上の」「映像」を「画像」とする補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)アの補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「映像表示素子に表示された画像を拡大投射光学ユニットを介して表示部上に投射して表示した場合」に「前記表示部上に表示される画像」を、願書に最初に添付された明細書(以下、「出願当初明細書」という。)の【0017】、【0018】、図1及び図2の記載に基づいて、「前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像」に限定するものである。
(2)上記1(2)イの補正は、本件補正前の請求項1において記載されていた「表示制御部」が「移動させる」「映像表示素子の表示面上の」「映像」が、出願当初の請求項1又は本件補正前の請求項1に「映像表示素子に表示された画像」と記載されていることからみて「画像」の誤記であることが明らかであることから、「映像」を「画像」に訂正するものである。
(3)上記(1)及び(2)からみて、本件補正後の請求項1は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であり、また、誤記を訂正するものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同条同項第3号に掲げる誤記の訂正を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

3 引用例
(1)本願の出願前に頒布され原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された刊行物である特開平8-195846号公報(以下、「引用例」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来は以上のように構成されていたので、以下に示すような問題点があった。反射式のタブレットの正面からプロジェクターなどの投影部によって画像を投影する場合は、タブレット上で描画等の操作を行う際に、操作者がタブレットと投影部との間に位置するために、操作者の影がタブレット上にできて操作しづらいという欠点があった。さらにタブレットと投影部を一体化できないため、利用する度にタブレットと投影部の位置を調整するか、またはタブレットと投影部をそれを用いる会議室などの設置場所に予め固定して設置しておく必要があり、面倒であるという欠点があった。
【0006】また、これに対して、透過式のタブレットの裏面からプロジェクターなどの投影部によって画像を投影する場合は、タブレットの裏面から画像を投影するために操作者の影がタブレット上にできることはなく、タブレットと投影部が一体化できるために位置の調整が不要である。しかし、タブレットの裏面から画像を投影するという構造上、電子ボードを構成する装置の奥行きが長くなるため設置面積が大きくなり、狭い会議室等では使用しづらいという欠点があった。
【0007】この発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、電子ボードを用いるとき、設置時の調整を必要とせず、また、設置場所を選ばず、操作者の影があまり映らないようにすることを目的とする。」
イ 「【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の電子ボードは、マーカを用いてタブレット上をなぞることで座標入力が行え、投影部から投影することでそのタブレット上に表示出力する電子ボードにおいて、投影部がタブレット上方前部より投影するように投影部を移動可能な状態でタブレット上部で支持する支持手段と、支持手段における投影部の支持位置を検出する検出手段と、検出手段から得られる投影部の位置情報を用いて投影部が投影する画像を変形する画像変形手段とを有することを特徴とする。また、画像変形手段は、投影部より離れたタブレット上に投影する画像ほど縮小するように変形することを特徴とする。
【0009】
【作用】投影部のタブレットに対する位置が規格化され、投影部のタブレットに対する位置関係により、投影する画像が変形されてタブレット上に表示される。」
ウ 「【0010】
【実施例】以下この発明の1実施例を図を参照して説明する。図1は、この発明の1実施例である電子ボードの構成を示す構成図である。同図において、7はタブレット1上に配置され投影部6をタブレット1の水平方向に移動可能な状態で支持する支持部、8は支持部7における投影部6の支持位置を検出する位置検出部、9は画像メモリ5に格納されている画像データを位置検出部8が検出した投影部6の位置により変形する画像変形部、10は画像変形部9により変形された画像データを格納する変形画像メモリである。この構成の場合、投影部6は変形画像メモリ10に格納されている画像データをタブレット1上に投影する。なお、他の符号は図3と同様である。
【0011】次に、信号の流れについて説明する。タブレット1の表面でマーカ2を用いて描画等の操作を行うと、タブレット1は、マーカ2の位置によって変化するタブレット信号を出力する。このタブレット信号は座標検出部3に入力し、これにより座標検出部3ではタブレット1上におけるマーカ2の座標を算出して座標情報信号を出力する。この座標情報信号は描画処理部4に入力し、この入力された座標情報信号により、描画処理部4では描画情報信号を生成して画像メモリ5上にマーカ2の軌跡を描画情報として格納する。
【0012】一方、支持部7は、投影部6を支持している位置によって、その位置に対応する支持部信号を出力している。この支持部信号は位置検出部8に入力し、この入力された支持部信号により、位置検出部8では支持部7における投影部6の支持位置を算出し、位置情報信号を出力する。この位置情報信号は画像変形部9に入力し、この入力された位置情報信号により、画像変形部9では画像変形比率を決定して前述した画像メモリ5から読み込んだ画像情報信号を変形して変形画像情報を生成し、変形画像メモリ10にその変形したマーカ2の軌跡を変形描画情報として格納する。
【0013】投影部6は、以上のようにして変形画像メモリ10に格納された変形描画情報により、変形したマーカ2の軌跡を投影出力し、マーカ2の軌跡をタブレット1上に表示する。そして、画像変形部9の画像情報信号の変形により、投影部6がどの位置にあっても、マーカ2の軌跡は、タブレット1上に正確に表示される。すなわち、マーカ2でタブレット1中央部上に正方形の形状を入力すれば、投影部6が支持部7の左端にあっても右端にあっても、タブレット1中央部に正方形が表示される。
【0014】図2は、上述した画像変形部9による画像変形を説明するための平面図であり、タブレット1,投影部6,支持部7、および入力画像,投影画像の状態を示している。前述したように、マーカ2で図2(a)に示すような長方形の形状をタブレット1上に入力(描く)すれば、画像メモリ5(図1)を介して画像変形部9にはその長方形の画像が入力される。
【0015】ここで、図2(b)に示すように、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態では、これを示す位置情報信号を支持部7より受け取ることで、画像メモリ5(図1)における長方形の形状を、図2(c)に実線で示すように、上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形する。図2(b)に示す状態では、投影部6が投影する図形は、タブレット1の下の方に表示されるものほど、その投影部6から離れることになり、投影倍率も大きいものとなる。したがって、図2(c)に示すように、下に行くほど小さくなるように変形すれば、タブレット1上に投影して表示した状態は、もとの入力の形状と等しくなる。
【0016】上述に対して、投影部6が、図2(d)に示すように、支持部7の右側に配置しているときは、画像変形部9(図1)は長方形の形状を、図2(e)に実線で示すように、左右非対象となった形状とする。投影部6が支持部7の右側に配置しているときは、タブレット1の左下の部分ほど投影部6から離れることになり、投影倍率も大きいものとなる。したがって、図2(e)に示すように、右下方向(審決注:「左下方向」の誤記と認められる。)ほど小さくなるように変形すれば、タブレット1上に投影して表示した状態は、もとの入力の形状と等しくなる。
【0017】なお、上述したような画像変形は、例えば、行列式を用いた座標変換によって実現可能であり、使用する行列式に種々の工夫を凝らすことによって、投影部6自身の持つ光学的な投影歪などを補正することも可能となる。また、他の情報処理装置により得られるデータの画像情報を座標検出部3(図1)の出力する座標情報信号を参照して描画処理部4に格納するようにし、情報処理装置のCRTなどの表示部に表示されるそれらデータをタブレット1上に表示するようにしても良いことはいうまでもない。このようにすれば、上述した電子ボードを、マーカ2をポインティングデバイスや文字入力手段などとした、情報処理装置のマンマシーンインタフェイスとして用いることもできる。」
エ 「【0018】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、投影部がタブレット上方前部より投影するように投影部を移動可能な状態でタブレット上部に支持し、投影部の支持位置により投影部が投影する画像を変形するようにした。このため、操作者の利き腕や、操作者の立つ位置によって、投影部の位置を臨機応変に変更しても、それに合わせてタブレット上に表示出力ができるので、マーカによる入力などの操作の妨げになるような影がタブレット上にでき難くいという効果がある。また、タブレットと投影部との位置が規格化されているので、利用する段階での位置関係の調整が不要であり、設置面積を大きくとる必要がなく設置場所を選ばないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の1実施例である電子ボードの構成を示す構成図である。
【図2】 図1の画像変形部9による画像変形を説明するための平面図である。・・・略・・・」
オ 「【図1】


カ 「【図2】


キ この発明の1実施例の構成図である図1から、投影部6がタブレット1に対して正面視で上方に配置されており、このため、投影部6からタブレット1への画像データの投影が、斜め投影であることが見て取れる。
ク 画像変形部9による画像変形を説明するための図2(上記カ)の記載からみて、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態を示す図2(c)では、長方形の形状を上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形した画像が、画像メモリ5上で左右方向の中央に位置し、投影部6が支持部7の右側に配置している図2(e)のときは、長方形の形状を左下方向ほど小さくなるような左右非対象の形状に変形した画像が、画像メモリ5上で中央より左寄りに位置していることが見て取れる。
ケ 上記アないしクから、引用例には次の発明が記載されているものと認められる。
「タブレット1上に配置され投影部6をタブレット1の水平方向に移動可能な状態で支持する支持部7と、支持部7における投影部6の支持位置を検出する位置検出部8と、画像メモリ5に格納されている画像データを位置検出部8が検出した投影部6の位置により変形する画像変形部9と、画像変形部9により変形された画像データを格納する変形画像メモリ10とを備え、
投影部6は変形画像メモリ10に格納されている画像データをタブレット1上に斜め投影するものであり、
投影部6が支持部7の中央部に位置している状態では、これを示す位置情報信号を支持部7より受け取ることで、長方形の形状を上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形した画像が画像メモリ5上で、左右方向の中央に位置するようにし、
投影部6が支持部7の右側に配置しているときは、画像変形部9が長方形の形状を左下方向ほど小さくなるような左右非対象の形状に変形した画像が画像メモリ5上で中央より左寄りに位置するようにする、
電子ボード。」(以下、「引用発明」という。)

(2)周知の事項1
ア 特開2007-334052号公報の記載
原査定で引用文献7として引用された特開2007-334052号公報(以下、「周知例1」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例1には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示素子と、当該映像表示素子に表示された映像を拡大して投写面に投写する投写光学ユニットとを備えた投写型映像表示装置であって、前記投写光学ユニットは、
前記映像表示素子に隣接して配置され、かつ、複数の投写用レンズを含んで構成されるレンズ群と;
前記レンズ群からの出射光を反射して前記投写面上に傾斜して投写する反射ミラーとを備えており、
前記レンズ群は、前記映像表示素子と前記反射ミラーの間に配置され、回転非対称の自由曲面の形状を有する複数のレンズを備えており、かつ、前記レンズ群からの出射光を反射する前記反射ミラーは、その一部が反射方向に凸形状の回転非対称の凸面反射ミラーであることを特徴とする投写型映像表示装置。

・・・略・・・

【請求項8】
前記請求項1に記載の投写型映像表示装置において、前記投写光学ユニットを構成する前記レンズ群は、回転対称な面形状を有する正のパワーを有する複数の屈折レンズを含む前方レンズ群と、前記回転非対称の自由曲面の形状を有する複数のレンズを含む後方レンズ群とを備えていることを特徴とする投写型映像表示装置。

・・・略・・・

【請求項10】
前記請求項8に記載の投写型映像表示装置において、前記後方レンズ群は、更に、回転対称な面形状を有する負のパワーを有する屈折レンズを含んでおり、かつ、前記後方レンズ群は、前記前方レンズ群に対して、光軸方向に移動可能になっていることを特徴とする投写型映像表示装置。」
(イ)「【0019】
この図2にも示すように、本発明になる投写光学ユニットは、光源8からの光を入射して所望の映像を射出する画像表示素子1とプリズム10、前方レンズ群2と後方レンズ群3とを含む2つのレンズ群から構成される透過(レンズ)光学系、そして、回転対称でない(即ち、非回転対称)の自由曲面形状の反射面を有する反射鏡(以下、自由曲面ミラーと言う)4を含む反射光学系とによって構成される。」
(ウ)「【0023】
なお、上述したように、スクリーンに対して光線を斜めに入射すると、上記画像表示素子1から投写された長方形の形状が台形になる、所謂、台形歪を含め、その他にも、光軸に対して回転対称でないことによる種々の収差が生じることとなるが、しかしながら、本発明では、これらを前記レンズ光学系を構成する後方レンズ群3と、そして、前記反射光学系の反射面とで補正するものである。」
(エ)「【0121】
そこで、上記の実施例を基に、スクリーン位置の移動に対応して、レンズを移動させ、もって、スポット形状の歪や解像性能の改善に効果があるレンズを調査した結果、特に、前記後方レンズ群を構成する負のパワーを有するレンズ33、34(上記の図2又は図6を参照)と共に、自由曲面を有する透過レンズ31と32とを、その光軸方向に移動させることが有効であることを見出した。なお、前記自由曲面を有するミラー4の移動も効果的である。しかしながら、傾いて設置され、かつ、比較的サイズが大きい自由曲面のミラー4を移動させることは、装置の構造上からも、困難な点が多いため、特に、上記後方レンズ群3を構成するレンズ31?34を移動することが最も有効である。」
イ 特開2003-255229号公報の記載
原査定で引用文献13として引用された特開2003-255229号公報(以下、「周知例2」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例2には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 パネル表示面の画像をスクリーン面上に斜め投影する投影光学系を備えたリアプロジェクション光学系において、
前記投影光学系が、パネル表示面からスクリーン面への光路順に、屈折レンズ群と、光路を折り曲げる中折り反射面と、パワーを有するパワー反射面と、スクリーン面に対して略平行に対向する対向反射面と、を備えるとともにパネル表示面側に略テレセントリックな構成を有し、前記屈折レンズ群の光軸に対して法線が平行なパネル表示面に関し以下の条件式(1)を満たすことを特徴とするリアプロジェクション光学系;
・・・略・・・」
(イ)「【0014】ここで、各実施の形態を構成している投影光学系の各光学要素を更に詳しく説明する。第1?第3,第5の実施の形態(図1?図3,図5)では、パネル表示面(I1)側から光路順に、絞り(ST)を含む共軸系の屈折レンズ群(GL)と、平面反射面で光路を折り曲げる中折りミラー(M1)と、負パワーの自由曲面反射面を有するパワーミラー(M2)と、スクリーン面(I2)に対して略平行な平面反射面を有する対向ミラー(M3)と、でパネル表示面(I1)側に略テレセントリックな投影光学系を構成している。また、第1?第3の実施の形態(図1?図3)では、パネル表示面(I1)側から3枚目のレンズの両面と最もスクリーン面(I2)側のレンズ面とが非球面から成っており、パワーミラー(M2)の反射面が自由曲面から成っている。第5の実施の形態(図5)では、パネル表示面(I1)側から2枚目のレンズのスクリーン面(I2)側のレンズ面と最もスクリーン面(I2)側のレンズ面とが非球面から成っており、パワーミラー(M2)の反射面が自由曲面から成っている。
【0015】第4の実施の形態(図4)では、パネル表示面(I1)側から光路順に、屈折レンズ群(GL)と、偏心した絞り(ST)と、偏心した屈折レンズ群(GL)と、平面反射面で光路を折り曲げる中折りミラー(M1)と、正パワーの自由曲面反射面を有する第1パワーミラー(M2a)と、負パワーの自由曲面反射面を有する第2パワーミラー(M2b)と、スクリーン面(I2)に対して略平行な平面反射面を有する対向ミラー(M3)と、でパネル表示面(I1)側に略テレセントリックな投影光学系を構成している。また、第4の実施の形態(図4)では、絞り(ST)の直前に位置するレンズの両面と最もスクリーン面(I2)側のレンズ面とが非球面から成っており、2枚のパワーミラー(M2a,M2b)の反射面が自由曲面から成っている。
【0016】第6,第7の実施の形態(図6,図7)では、パネル表示面(I1)側から光路順に、偏心した絞り(ST)と、偏心した屈折レンズ群(GL)と、平面反射面で光路を折り曲げる中折りミラー(M1)と、正パワーの自由曲面反射面を有する第1パワーミラー(M2a)と、負パワーの自由曲面反射面を有する第2パワーミラー(M2b)と、スクリーン面(I2)に対して略平行な平面反射面を有する対向ミラー(M3)と、で投影光学系を構成している。また、第6の実施の形態(図6)では、最もパネル表示面(I1)側に位置するレンズの両面と最もスクリーン面(I2)側に位置するレンズの両面とが非球面から成っており、2枚のパワーミラー(M2a,M2b)の反射面が自由曲面から成っている。第7の実施の形態(図7)では、パネル表示面(I1)側から2枚目のレンズの両面と最もスクリーン面(I2)側に位置するレンズの両面とが非球面から成っており、2枚のパワーミラー(M2a,M2b)の反射面が自由曲面から成っている。」
(ウ)「【0042】各実施の形態では、パワーミラー(M2;M2a,M2b)の反射面が自由曲面で構成されている。このように投影光学系が有する反射面のうちの少なくとも1つを回転対称な軸を持たない自由曲面形状の反射面にすることが望ましく、これにより少ない光学要素で斜め投影による非軸対称な収差の補正が可能となる。この自由曲面は反射面に限らず、屈折面(つまりレンズ面)に用いてもよい。投影光学系内に2面以上の自由曲面(反射面や屈折面)を用いることによって、斜め投影の台形歪みを主に補正するスクリーン面(I2)側の自由曲面と、斜め投影による非対称な像面湾曲及び非点隔差を補正する絞り(ST)側の自由曲面と、に収差補正を分担することができるため、より高性能な投影光学系を達成することができる。」
(エ)「【図4】


(オ)「【図6】


(カ)「【図7】


ウ 特開2007-328130号公報の記載
特開2007-328130号公報(以下、「周知例3」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例3には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示素子から出射された画像を拡大する複数のレンズを含む第1光学系と、
前記第1光学系から出射された画像をスクリーンに投射するミラーを備える第2光学系と、
前記第1光学系を構成する複数のレンズのうち前記第2光学系に最も近い位置に配置されたレンズの光出射面と前記ミラーの光反射面を外気から遮蔽するように覆う、前記第2光学系と前記スクリーンとの間に配置されている湾曲形成された透明部材と、
を備えることを特徴とする投射型画像表示装置。

・・・略・・・

【請求項4】
前記第1光学系の前記第2光学系に最も近い位置に配置されたレンズは、自由曲面レンズであって、前記第2光学系の前記ミラーは自由曲面ミラー又は非球面ミラーであることを特徴とする請求項1に記載の投射型画像表示装置。」
(イ)「【0021】
光軸に対して傾いた像平面を得るのに物平面を傾ける方法は周知であるが、実用的な大きさの画角では、物平面の傾きによる像面は光軸に対して非対称な変形を生じ、回転対称な投写レンズでは補正が困難である。
【0022】
この点、本実施の形態では、投射光学系において、回転非対称の自由曲面レンズ22及び自由曲面ミラー18を用いていることから、非対称な像面の変形に対応できる。このため、物平面を傾けることで低次の像面の歪を大きく低減でき、自由曲面レンズ又は自由曲面ミラーによる収差補正を補助する上で効果的である。
【0023】
以下において、さらに台形歪や収差の補正について詳述する。第1光学系である投写レンズ12は、その前群12が前記画像表示素子10の表示画面をスクリーン20に投写するための主レンズであり、回転対称な光学系における基本的な収差を補正する。投写レンズ12の後群16は、回転非対称の自由曲面レンズ22を含んでいる。ここで本実施形態においては、自由曲面ミラー18に最も近い自由曲面レンズ22は、その光出射方向に対して凹を向くように湾曲して形成されている。そして第2光学系は、回転非対称の自由曲面形状を有する自由曲面ミラー18を有している。
【0024】
自由曲面ミラー18は、その一部が光の反射方向に対して凸を向くように湾曲された、回転非対称の凸面ミラーである。具体的には、自由曲面ミラー18は、スクリーン20の下方に向かう光を反射する部分の曲率を、スクリーン20の上方に向かう光を反射する部分の曲率よりも大きくなるように形成されている。また、自由曲面ミラー18のスクリーン20の下方に向かう光を反射する部分が光の反射方向に凸の形状を為し、スクリーン20の上方に向かう光を反射する部分が光の反射方向に凹の形状に形成してもよい。
【0025】
これらの第1光学系の自由曲面レンズと第2光学系の自由曲面ミラー18の作用により、主として、斜め入射によって生じる収差の補正が行われる。すなわち、本実施形態では、第2光学系が主として台形歪を補正し、第1光学系である投写レンズ12の後群16が、主として像面の歪みなどの非対称な収差の補正を行うようになっている。
【0026】
また、このように投射光学系に自由曲面レンズ22や自由曲面ミラー18を用いることで、屈折面を有する投写レンズ12において、レンズの偏心やレンズ径の増大を招くことなく、またレンズ枚数を増加させることなく、斜め入射による台形歪の補正を実現できる。
【0027】
このように、本実施形態は、第1光学系が回転非対称の自由曲面レンズを少なくとも一つ含み、第2光学系が回転非対称の自由曲面ミラーを少なくとも一つ含むことによって、斜め投写によって生じる台形歪と収差の両方を補正可能としている。」
エ 特開2007-164007号公報の記載
特開2007-164007号公報(以下、「周知例4」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例4には次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、カラーの拡大映像を投射して映像表示を行なう投射型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型、透過型液晶パネルや微小ミラーを用いた表示素子を拡大表示する投射型映像表示装置においては、たとえばスクリーン上で充分な大きさの拡大映像を得ることは勿論のこと、装置の奥行き寸法を短縮することが要求される。かかる要求を実現するために、特開2001-264627号公報に記載されているような、スクリーンに対して斜め方向から映像を拡大して投射する(以下、これを「斜め投射」と称する)ための投射光学ユニットおよび投射型映像表示装置が知られている。また、かかる斜め投射に曲面ミラーを用いた場合における光学的な調整に関しては、例えば特開2002-350774号公報に記載のものが知られている。

・・・略・・・

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
斜め投射、すなわちスクリーン主平面の法線に対し、所定の角度をもって(例えばスクリーン下方から)映像を投射すると、スクリーン上に投射された映像に、台形歪み、及びスクリーン上下の投射距離の差から生じる収差が生じる。この収差を解消するため、特開2001-264627号公報では、投射光学系とスクリーンとの間に配置された負のパワーをもつ自由曲面ミラーにより台形歪を補正している。一方、収差については、映像表示素子を共軸投射光学系に対し光軸と垂直な方向に大きく平行移動、または映像表示素子を非軸対称の投射光学系に対し傾けるとともに平行移動させることにより補正している。」
オ 周知例1ないし4から把握される周知技術
上記アないしエからみて、本願の出願前に、「映像表示素子と、当該映像表示素子に表示された映像を投射面に対して斜め方向から拡大して投射する投射光学ユニットとを備えた投射型映像表示装置において、前記投射光学ユニットが、前記映像表示素子に隣接して配置され、かつ、複数の投射用レンズを含んで構成されるレンズ群と、前記レンズ群からの出射光を反射して前記投射面上に投射する反射ミラーとを備え、前記反射ミラーが、前記映像を斜め方向から投射することにより生じる台形歪みを補正するための自由曲面を有する」ことは周知(以下、「周知技術1」という。)であったと認められる。

(3)周知の事項2
ア 特開2003-255226号公報の記載
原査定で引用文献11として引用された特開2003-255226号公報(以下、「周知例5」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例5には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像表示パネルによって照明光から作り出される投映光をスクリーンに向けて拡大投射するための投映用レンズにおいて、
投映光軸に対して垂直方向に偏心した絞りが設けられていることを特徴とする投映用レンズ。
【請求項2】 フォーカス時に第1群が光軸上で進退し、変倍時の全長が固定された4群以上のズーム光学系からなり、前記第1群にはパネル側に凹面を向けた凹メニスカスレンズが設けられており、第4群以降に凹レンズと凸レンズの接合レンズがスクリーン側に凹面を向けて設けられ、前記接合レンズよりもパネル側に少なくとも2枚の凸レンズが設けられ、前記絞りが第2群と第3群の間に配置されており、・・・略・・・」
(イ)「【0007】本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、上記光路不一致型のように投映光学系に対する入射光が傾いたプロジェクタに好適であり、後玉径を小さく維持するとともに、光学性能の向上を実現した投映用レンズを提供することを目的とする。」
(ウ)「【0009】絞りを偏心させると、パネル上の特定光点から出射される光の上光線と下光線は、その出射方向が投映光軸に対して非対称となり、出射光線が投映光軸に対して傾けられる。その結果、パネル上の各点から出射する光線が平行になって投映系に入射し、明るさにムラのない投映光が投射される。これにより、投映画像の照度ムラが小さくなるとともに、テレセントリック性確保のために入射瞳を大きくする必要がなくなり、後玉の小型化と光学性能の向上が実現できる。」
イ 特開平5-134210号公報の記載
原査定で引用文献10として引用された特開平5-134210号公報(以下、「周知例6」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例6には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源と、映像信号に応じて透過効率の変化として光学像を形成するライトバルブと、投写レンズとを備え、前記光源から出射した光は前記ライトバルブを照射し、前記ライトバルブ上に形成された光学像は前記投写レンズによりスクリーン上に拡大投写され、前記投写レンズは少なくとも一箇所に、前記投写レンズの光軸から開口部の中心がずれた偏心絞りを有することを特徴とする投写型表示装置。」
(イ)「【0012】
【作用】投写レンズ内に、光軸から開口部の中心が液晶セルの垂直走査方向へずれた偏心絞りを用いると、主光線角度θは絞りの偏心量に応じて変化する。投写レンズ光軸上の主光線角度θが、コントラスト比が最も高くなるθ_(0)となるように絞りを偏心させれば、投写レンズの光軸に対して液晶セルを垂直方向に平行移動することなく、液晶セルの画面中心を透過する主光線角度θはθ_(0)となり高いコントラスト比の投写画像を得ることができる。」
ウ 周知例2、5及び6から把握される周知技術
周知例2の第4、第6及び第7の実施形態(上記(2)イ(エ)ないし(カ)の図4、図6及び図7参照。)のいずれにおいても、表示パネル(I1)から出射する主光線は、屈折レンズ群(GL)の光軸に対して傾いて入射していることが見て取れる。
してみると、上記(2)イ、上記ア及びイからみて、本願の出願前に、「画像表示パネルによって照明光から作り出される投映光をスクリーンに向けて拡大投射するための投映用レンズにおいて、画像表示パネルからの出射光が投映用レンズの光軸に対して傾いて入射するものである場合に、投映用レンズを構成するレンズ群にその光軸に対して偏心した絞りを設けることにより、明るさにムラのない、あるいは、高いコントラスト比の投映光が投射されるようにする」ことは周知(以下、「周知技術2」という。)であったと認められる。

(4)周知の事項3
ア 特開2007-322811号公報の記載
原査定で引用文献8として引用された特開2007-322811号公報(以下、「周知例7」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例7には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示素子の画像を拡大してスクリーンなどの透写面上に投写して画像表示を行うための投写光学ユニット、特に、フロント透写型の映像表示装置に適した投写光学ユニットに関し、更には、かかる投写光学ユニットを用いた投写型映像表示装置に関する。」
(イ)「【0115】
そこで、上記の実施例を基に、スクリーン位置の移動に対応して、レンズを移動させ、もって、スポット形状の歪や解像性能の改善に効果があるレンズを調査した結果、特に、前記後方レンズ群を構成する負のパワーを有する一組の(この例では2枚)レンズ33と34(以下の図20を参照)と共に、自由曲面を有する透過レンズ31と、そして透過レンズ32とを、それぞれ独立して、その光軸方向に所定の距離だけ移動させることが有効であることを見出した。なお、前記自由曲面を有するミラー4の移動も効果的である。しかしながら、傾いて設置され、かつ、比較的サイズが大きい自由曲面のミラー4を移動させることは、装置の構造上からも、困難な点が多いため、特に、上記後方レンズ群3を構成するレンズ31?34を移動することが最も有効である。
【0116】
添付の図20には、上記後方レンズ群3を構成するレンズ、即ち、自由曲面を有する透過レンズ31と、他の自由曲面を有する透過レンズ32と、そして、一組の負のパワーを有する回転対称なレンズ33、34を所定の位置に移動させた状態を示している。なお、図20(a)は、上記図17において、スクリーンを、投射画面を小さくする方向の位置66(例えば、画面サイズ60インチ相当)に置いた場合、図20(b)は、スクリーンを設計位置65(例えば、画面サイズ80インチ相当)に位置する場合、そして、図20(c)は、スクリーンを投射画面を大きくする方向の位置67(例えば、画面サイズ100インチ相当)に移動した場合をそれぞれ示している。即ち、この実施例では、スクリーン位置の移動に対して、上記後方レンズ群3を構成する負のパワーを有するレンズとその近傍の回転対称なレンズを合せて一体としたレンズ群と、そして、自由曲面を有する2枚の透過レンズを各々1つのレンズ群とし、これらのレンズ群をその光軸方向に移動させてスクリーン位置に対して調整することにより、スクリーンを位置66から67までの間で、良好な性能を得られるようにしている。」
イ 特開2005-352407号公報の記載
原査定で引用文献9として引用された特開2005-352407号公報(以下、「周知例8」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例8には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカス時にスクリーン側から順に配された少なくとも2つの前群及び後群レンズを光軸方向に一緒に移動させるフォーカス案内機構と、フォーカス案内機構の案内に連動して前記後群レンズを前群レンズとの間隔が変わるように光軸方向に移動して収差補正をする機構とを備えたフローティングフォーカス方式の投映レンズ鏡筒において、
前記フォーカス案内機構をヘリコイド機構又はカム機構との何れか一方で構成し、また、前記収差補正をする機構を前記ヘリコイド機構又はカム機構とのうちの他方で構成したことを特徴とする投映レンズ鏡筒。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターなどに使用される2群の投映レンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターは、会議、学会、展示会等でのマルチメディアプレゼンテーションに広く利用されている。このプロジェクターには、光源から出射される光束を利用して画像情報に応じた画像を形成する電気光学装置で形成した画像をスクリーンなどに拡大投映する投映レンズが組み込まれている。
【0003】
投映レンズとしては、これを一つのレンズ群として構成し、このレンズ群を光軸方向に移動してフォーカスを行うのが最も簡単である。この場合、レンズの焦点距離とフォーカス位置の関係は、近軸的には[数1]に従う。」
ウ 周知例1、7及び8から把握される周知技術
上記(2)ア、上記ア及びイからみて、本願の出願前に、「投射型映像表示装置において、スクリーン位置の移動への対応やフォーカスを行うために、投映用レンズの一部が移動することでレンズ群を構成するレンズ間の距離を変化させる」ことは周知(以下、「周知技術3」という。)であったと認められる。

(5)周知の事項4
ア 特開2005-215542号公報の記載
原査定で引用文献2として引用された特開2005-215542号公報(以下、「周知例9」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例9には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される映像信号に基づき映像をスクリーン上に投射表示するビデオプロジェクタ装置に係り、特に投射映像の面積及び位置を整可能とするビデオプロジェクタ装置及びその投射映像の位置調整方法に関するものである。」
(イ)「【0028】
図1(c)は本実施例1における最も特徴的な動作を説明するものであって、図1(c)では、スケーラ部13で、映像を変倍する場合に、表示デバイス15の画素数よりも、少ない画素数に変倍して、表示デバイス15の中央位置(またはその他の固定された位置)に縮小表示した後、ユーザが赤外線リモコンなどの操作手段20を操作することによって表示位置の移動を指示し、スケーラ部13を制御して、縮小表示された映像信号を、表示デバイス15で表示可能な範囲の目的の位置に移動させて表示することができる。これによって、スクリーン18上の投射映像の垂直及び水平方向の位置を調整する「デジタルシフト動作」を実現することができる。」
イ 特開2006-246306号公報の記載
原査定で引用文献3として引用された特開2006-246306号公報(以下、「周知例10」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例10には次の記載がある。
(ア)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を入力し、前記画像信号に応じた光学像を投写して、投写面に画像を表示するプロジェクタであって、
光を変調可能な変調可能領域を有し、光源から射出された光を前記変調可能領域で変調して光学像を形成する光変調装置と、
前記光変調装置で形成された光学像を拡大投写する投写レンズと、
前記変調可能領域内で前記画像信号に応じた光学像を形成するための形成領域のサイズ又は形状を変更可能な形成領域変更手段と、
前記画像信号に応じた光学像の投写位置を表す位置情報を入力可能な操作部と、
前記形成領域変更手段によってサイズ又は形状が変更された前記形成領域が前記変調可能領域内を移動可能な場合に、前記操作部から入力した前記位置情報に基づいて前記形成領域を移動させる形成領域移動手段と、
を備えることを特徴とするプロジェクタ。」
(イ)「【0049】
画像処理部75は、前記サイズ情報に基づいて、液晶ライトバルブ40R,40G,40Bの画素領域41A内に、画像データに応じた画像を形成する領域(形成領域)のサイズや形状を変更することにより、電子ズーム機能、アスペクト比変更機能、台形歪補正機能を実現するとともに、前記位置情報に基づいて、前記形成領域の位置を画素領域41A内で移動させることにより、投写画像の位置を変更することが可能になっている。このため、領域変更部70aと画像処理部75とが、本発明の形成領域変更手段として機能し、領域移動部70bと画像処理部75とが、本発明の形成領域移動手段として機能する。」
特許第3880609号公報の記載
原査定で引用文献4として引用された特許第3880609号公報(以下、「周知例11」という。)は、本願の出願前に頒布された刊行物であって、当該周知例11には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン等の外部の被投射面に対して矩形の画像を投影するプロジェクタに関し、より詳細には、被投射面に投影された画像の形状を補正しながら画像を投影する画像投影方法及びプロジェクタに関する。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、プロジェクタで投影画像を投影している最中に、被投射面上で投影画像の位置を変更したい場合がある。投影画像の位置を変更する方法には、プロジェクタ自体の位置を変更する方法、及び光を投射するための光学系を制御してプロジェクタ自体は動かさずに光が被投射面に当たる位置を変更する方法がある。しかしこれらの方法では、投影画像の各部分に対応する光が被投射面に到達するまでの距離、及び各光と被投射面との角度がキーストン補正の設定を行ったときの状態から変化するので、キーストン補正でキーストン歪みを補正しきれずに再び投影画像の形状が歪むこととなる。また投影画像の位置を変更するその他の方法としては、プロジェクタ自体の位置及び光学系の状態を変更せずに、画像形成パネル上で表示可能領域が占める位置を変更することで投影画像の被投射面上での位置を変更するデジタルシフトが考えられる。しかし、投影画像に対応する画像領域の形状は、一旦設定した表示可能領域の位置に応じて定められているので、表示可能領域の位置を変更した場合は、投影画像の投影元の画像を定められた画像領域の形状に変形することではキーストン歪みを補正することはできず、再び投影画像の形状が歪むこととなる。このように、従来のプロジェクタでは、被投射面上で投影画像の位置を変更する都度、キーストン補正を行うための条件が変化するので、投影画像のキーストン歪みを十分に補正できるようにキーストン補正の設定を繰り返す必要があるという問題がある。特に、使用者の操作に応じてキーストン補正の設定を行うプロジェクタの場合は、使用者の手間が煩雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、キーストン補正の条件を調整しながら投影範囲のデジタルシフトを行うことにより、キーストン補正の設定を再度実行することなく投影画像を被投射面上で移動させることができる画像投影方法、及びプロジェクタを提供することにある。
【0008】
また本発明の他の目的とするところは、デジタルシフトが可能な範囲内で投影範囲の移動量を定めることにより、被投射面上で移動した上で投影画像が確実に投影できるようにするプロジェクタを提供することにある。」
エ 周知例9ないし11から把握される周知技術
上記アないしウからみて、本願の出願前に、「投射型映像表示装置において、投射対象画像を表示デバイス上の目的の位置に移動させ、これによって、スクリーン上の投射映像の垂直及び水平方向の位置を調整する、すなわち、デジタルシフト動作をする」ことは周知(以下、「周知技術4」という。)であったと認められる。

4 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「投影部6」は、本願補正発明の「投射型映像表示装置」に相当する。

(2)引用発明において、「投射型映像表示装置(投影部6)」(引用発明の用語を本願補正発明の用語に置き換えた。()内は置き換え前の引用発明の用語を表す。以下同様。)は変形画像メモリ10に格納されている画像データをタブレット1上に投影するものであるから、引用発明の「タブレット1」は、本願補正発明の「表示部」に相当する。

(3)引用発明の「電子ボード」は、「投射型映像表示装置(投影部6)」と、「表示部(タブレット1)」とを備えるものであるから、本願補正発明の「投射型映像表示システム」に相当する。

(4)上記(1)ないし(3)からみて、本願補正発明と引用発明とは、
「投射型映像表示装置と表示部とを備えた投射型映像表示システム。」である点(以下、「一致点」という。)で一致し、次の点で相違する。

・相違点1:
前記「投射型映像表示装置」が、
本願補正発明では、「前記表示部へ投射される画像を表示する映像表示素子と、
前記映像表示素子に表示された画像を拡大して、前記表示部へ投射する拡大投射光学ユニットとを備え、
前記拡大投射光学ユニットは、前記映像表示素子に表示された画像を拡大する投射レンズを含むレンズ群と、前記レンズ群からの光を反射すると共に、前記表示部へ拡大投射される画像の台形歪を補正する反射ミラーとを備え、
前記レンズ群は、該レンズ群の光軸に対して偏心して配置された絞りを備えると共に、前記拡大投射光学ユニットと前記表示部との距離に応じて前記レンズ群の一部が移動することで前記レンズ群を構成するレンズ間の距離が変化可能であ」るのに対し、
引用発明では、上記構成を備えているかどうかが明らかでない点。

・相違点2:
前記「投射型映像表示装置」が、
本願補正発明では、
「前記映像表示素子上に表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動する表示制御部」を備え、「前記表示制御部は、前記映像表示素子の表示面内において表示部に適合する部分を選択的に投射して表示するように、前記映像表示素子の表示面上の画像を移動させるものであり、前記映像表示素子に表示された画像を前記拡大投射光学ユニットを介して前記表示部上に投射して表示した場合に、前記表示部上に表示される画像は、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像である」のに対し、
引用発明では、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態では、これを示す位置情報信号を支持部7より受け取ることで、長方形の形状を上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形した画像が画像メモリ5上で左右方向の中央に位置するようにし、投影部6が支持部7の右側に配置しているときは、画像変形部9が長方形の形状を左下方向ほど小さくなるような左右非対象の形状に変形した画像が画像メモリ5上で中央より左寄りに位置するようにしているが、画像メモリ5上での画像の位置の左右方向中央から左寄りへの移動の際に、映像表示素子上で表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動可能にしているかどうかが明らかでなく、前記映像表示素子に表示された画像を拡大投射光学ユニットを介して表示部上に投射して表示した場合に、前記表示部上に表示される画像は、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像であるかどうかも明らかでない点。

5 判断
(1)上記相違点1について検討する。
ア 周知技術1は「映像表示素子と、当該映像表示素子に表示された映像を投射面に対して斜め方向から拡大して投射する投射光学ユニットとを備えた投射型映像表示装置において、前記投射光学ユニットが、前記映像表示素子に隣接して配置され、かつ、複数の投射用レンズを含んで構成されるレンズ群と、前記レンズ群からの出射光を反射して前記投射面上に投射する反射ミラーとを備え、前記反射ミラーが、前記映像を斜め方向から投射することにより生じる台形歪みを補正するための自由曲面を有する」というものである(上記3(2)オ参照)。
イ 引用発明は、投影部6(投射型映像表示装置)が画像データをタブレット1(表示部)上に斜め投影する電子ボード(投射型映像表示システム)であり、タブレット1上方に位置する投影部6(投射型映像表示装置)からタブレット1(表示部)へ斜め投影する際に画像が台形歪等を生じることから、それを補正するために、引用例の【0015】及び【0016】(上記3(1)ウ)に記載されているように、画像変形部9と画像メモリ5を用いて画像メモリ5上で長方形を台形に変形していることは明らかであるところ、引用発明において、画像変形部を9を省略して変形処理のための計算コストと時間を削減するために、当該画像メモリ5上での画像の変形に替えて、周知技術1の投射光学ユニットを採用することは、当業者が周知技術1に基づいて適宜なし得た程度のことである。
ウ また、周知技術2は「画像表示パネルによって照明光から作り出される投映光をスクリーンに向けて拡大投射するための投映用レンズにおいて、画像表示パネルからの出射光が投映用レンズの光軸に対して傾いて入射するものである場合に、投映用レンズを構成するレンズ群にその光軸に対して偏心した絞りを設けることにより、明るさにムラのない、あるいは、高いコントラスト比の投映光が投射されるようにする」というものである(上記3(3)ウ参照)。
エ 引用発明に周知技術1の投射光学ユニットを採用する場合において、当該投射光学ユニットとして映像表示素子から出射する主光線が投射用レンズの光軸に対して傾いて入射するものがしばしば採用される(例えば、周知例2の図4(A)(上記3(2)イ(エ))、図6(A)(同(オ))、図7(A)(同(カ))参照。)。その場合において、明るさにムラのない、あるいは、高いコントラスト比の投影光が投影されるようにするために、投射光学ユニットのレンズ群にその光軸に対して偏心した絞りを設けるようになすことは、当業者が周知技術2に基づいて適宜なし得た程度のことである。
オ また、周知技術3は「投射型映像表示装置において、スクリーン位置の移動への対応やフォーカスを行うために、レンズの一部が移動することでレンズ群を構成するレンズ間の距離を変化させる」というものである(上記3(4)ウ)。
カ 引用発明に周知技術1の投射光学ユニットを採用する場合において、スクリーン位置の移動への対応やフォーカスを行うために、当該投射光学ユニットに含まれる投射用レンズの一部が移動することでレンズ群を構成するレンズ間の距離が変化可能な構成となすことは、当業者が周知技術3に基づいて適宜なし得た程度のことである。
キ 上記アないしカからみて、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術1ないし3に基づいて容易になし得たことである。

(2)上記相違点2について検討する。
る。
ア 周知技術4は「投射型映像表示装置において、投射対象画像を表示デバイス上の目的の位置に移動させ、これによって、スクリーン上の投射映像の垂直及び水平方向の位置を調整する、すなわち、デジタルシフト動作をする」というものである(上記3(5)エ参照。)。
イ 引用例には、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態では、長方形の形状を上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形した画像が、画像メモリ5上で左右方向の中央に位置し、投影部6が支持部7の右側に配置している状態では、長方形の形状を左下方向ほど小さくなるような左右非対象の形状に変形した画像が、画像メモリ5上で中央より左寄りに位置していること(上記3(1)ク)が記載されていることからみて、引用発明において、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態と、投影部6が支持部7の右側に配置している状態とでは、画像メモリ5上における画像の左右方向の位置が移動していることは明らかである。
ウ 周知技術1の投射光学ユニットを採用した引用発明において、映像表示素子上に表示される画像の位置を画像メモリ上における画像の移動に対応して、当該素子上の表示面内で移動させ、前記映像表示素子の表示面内において表示部に適合する部分を選択的に投射して表示するような、いわゆるデジタルシフト動作によって画像をシフトするようになすことは、上記ア及びイからみて、当業者が周知技術4に基づいて適宜なし得た程度のことであり、また、前記デジタルシフト動作をさせるに際して、前記映像表示素子上に表示された画像を前記表示部上に投射して表示した場合に、前記表示部上に表示される画像が、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像となることは当業者に自明であるから、引用発明において、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術4に基づいて容易になし得たことである。

(3)本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術1ないし4の奏する効果から当業者が予測することができた程度のものである。

(4)よって、本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術1ないし4に基づいて容易に発明をすることができたものである。
本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術1ないし4に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

6 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成25年12月24日に補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用例
引用例、周知例1ないし11及びその記載事項は、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
(1)本願発明は、上記「第2〔理由〕1(2)」に記載したとおり、本願補正発明における「表示制御部」が「移動させる」「映像表示素子の表示面上の」「画像」を誤記訂正前の「映像」とするとともに、「映像表示素子に表示された画像を拡大投射光学ユニットを介して表示部上に投射して表示した場合」に「前記表示部上に表示される画像」が、「前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像である」との限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2〔理由〕4(7)」に記載した相違点1及び相違点2のうち「前記表示部上に表示される画像は、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像である」ことを削除した下記相違点2’で相違する。

・相違点2’:
前記「投射型映像表示装置」が、
本願発明では、
「映像表示素子上に表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動する表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記映像表示素子の表示面内において表示部に適合する部分を選択的に投射して表示するように、前記映像表示素子の表示面上の映像を移動させる」ものであるのに対し、
引用発明では、投影部6が支持部7の中央部に位置している状態では、これを示す位置情報信号を支持部7より受け取ることで、長方形の形状を上辺に比べて下辺が短い左右対称の等脚台形の形状に変形した画像が画像メモリ5上で左右方向の中央に位置するようにし、投影部6が支持部7の右側に配置しているときは、画像変形部9が長方形の形状を左下方向ほど小さくなるような左右非対象の形状に変形した画像が画像メモリ5上で中央より左寄りに位置するようにしているが、画像メモリ5上での画像の位置の左右方向中央から左寄りへの移動の際に、映像表示素子上で表示される画像の位置を、当該素子上の表示面内で移動可能にしているかどうかが明らかでなく、前記映像表示素子に表示された画像を拡大投射光学ユニットを介して表示部上に投射して表示した場合に、前記表示部上に表示される画像は、前記映像表示素子の全体を用いて投射して表示した場合の画像よりも面積が小さい画像であるかどうかも明らかでない点。

(2)引用発明において、相違点1及び相違点2’に係る本願発明の構成となすことは、上記第2〔理由〕5(1)及び(2)と同様の理由で当業者が周知技術1ないし4に基づいて容易になし得たことである。

4 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術1ないし4に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-02-12 
結審通知日 2016-02-16 
審決日 2016-02-29 
出願番号 特願2012-173505(P2012-173505)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
P 1 8・ 575- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 浩史  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 道祖土 新吾
鉄 豊郎
発明の名称 投射型映像表示システム  
代理人 青稜特許業務法人  

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